JP5556794B2 - Ledリフレクターとして有用な白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物を用いた光半導体装置 - Google Patents

Ledリフレクターとして有用な白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物を用いた光半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、LEDリフレクターとして有用な白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物を用いた光半導体装置に関する。
LED(Light Emitting Diode)等の光半導体素子は、街頭ディスプレイ、自動車ランプ、住宅用照明など種種のインジケータ及び光源として利用されるようになっている。中でも、白色LEDは、発光効率の高さから、二酸化炭素削減及び省エネルギーをキーワードとして、各分野で急速に製品開発に応用されている。
LED等の半導体機器・装置及び電子機器・装置の材料のひとつである光リフレクター材料としてポリフタルアミド樹脂(PPA)が現在広く使用されている。PPAを使用した光リフレクター材料は長波長域においては優れた光特性を示す。しかしながら、近年、光半導体装置の高出力化及び短波長化が進んだ結果、PPAを光半導体素子の周辺に使用すると、変色等の激しい劣化が生じ、光出力低下等が引き起こされるので、PPAは光リフレクター材料として適していない。
エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を構成成分とするBステージ状の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記構成成分が分子レベルで均一に混合されている樹脂組成物の硬化体で構成されていることを特徴とする光半導体装置が公知である(特許文献1)。この組成物において、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が主として用いられる。特許文献1には、トリグリシジルイソシアネート等を使用し得ることも記載されているが、トリグリシジルイソシアネートは、実施例においてビスフェノール型エポキシ樹脂に少量添加使用されているものである。本発明者らの検討によれば、このBステージ状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化体は、特に高温かつ長時間の放置で黄変するという問題がある。
更に、発光素子封止用エポキシ樹脂組成物においてトリアジン誘導体エポキシ樹脂を使用しても、高温かつ長時間の放置で黄変するという問題は十分に解決されてはいない(特許文献2〜4)。
オルガノポリシロキサン及び縮合触媒を含有し、耐紫外線性に優れるLED素子封止用樹脂組成物が知られている(特許文献5)が、該組成物は、リフレクター等の、白色顔料を用いる用途よりも、高い透明性が要求される用途向けである。
オルガノポリシロキサンといったシリコーン樹脂を用いたLEDリフレクター用樹脂組成物は元来、シリコーン樹脂の特徴である強度が低い、脆いといった特徴を有している。耐熱性及び耐侯性には優れるシリコーン樹脂に強度を持たせることはLEDリフレクター用樹脂組成物にとって大変重要な課題である。
近年、MAP(Matrix Array Package)方式等により成形パッケージサイズが大型化しており、封止樹脂が未充填となるなどの問題が生じることがある。上記各組成物は、この点においても満足いくものではない。
特開平02−189958号公報 特開2000−196151号公報 特開2003−224305号公報 特開2005−306952号公報 特開2006−77234号公報
そこで、本発明は、硬化前は高流動性を有し、硬化して高強度の硬化物を与える白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物の硬化物をリフレクターとして用いた光半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、下記の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体装置により上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は第一に、
(A)下記平均組成式(1)で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20000のオルガノポリシロキサン 70〜99質量部、
(CHSi(OR)(OH)(4−a−b−c)/2 (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である)、
(B)下記一般式(2)で表される、シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物 1〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、

(式中、R1は独立にアルコキシ基又はヒドロキシ基を示す。R2及びR3の各々は独立に1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はヒドロキシ基を示す。R4〜R7の各々は水素原子又は炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基を表す。Xは独立に下記一般式(3)又は(4)で示される構造ユニットを示す。X'は独立に下記一般式(3)又は(4')で示される構造ユニットを示す。nは独立に0〜9の整数である)

(式中、R8及びR9の各々は水素原子、1価の脂肪族炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基を示す)

(式中、R10及びR11の各々は1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はヒドロキシ基を示し、左側の結合手には炭素原子又は他の酸素原子が結合し、右側の結合手には炭素原子又は他のケイ素原子が結合する)

(式中、R10及びR11は前記のとおりである)
(C)白色顔料 3〜200質量部、
(D)(C)成分以外の無機充填剤 300〜1000質量部、並びに
(E)硬化触媒 0.01〜10質量部
を含む白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物を提供する。
本発明は第二に、光半導体素子と上記組成物の硬化物を含むリフレクターとを備える光半導体装置を提供する。
本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、硬化前は高流動性を有し、硬化して高強度の硬化物を与える。該硬化物は高い光反射率を有するので、リフレクター、特にLEDリフレクターとして有用である。また、該組成物はLED素子ケース等の光半導体素子ケースを形成するのに好適に用いることができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。なお、本明細書において、重量平均分子量又はポリスチレン換算の重量平均分子量とは、例えば、トルエン等を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。また、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
[(A)レジン状オルガノポリシロキサン]
(A)成分は、下記平均組成式(1)で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20000のオルガノポリシロキサンであり、レジン状(即ち、分岐状又は三次元網状)の構造を有する。(A)成分は、ヒドロキシ基を含有し、後述する(E)成分の硬化触媒の存在下で、架橋構造を形成する。(A)成分は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(CH3aSi(OR)b(OH)c(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である)
メチル基の含有量(即ち、分子中のケイ素原子数に対するモル比。以下、同様。)を示すaが0.8未満であると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンを含むシリコーン樹脂組成物の硬化物は硬すぎて耐クラック性に乏しい等の問題が生じやすくなり、好ましくない。一方、aが1.5を超えると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは固形化しにくい。好ましくは0.9≦a≦1.2、より好ましくは0.9≦a≦1.1である。
アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリーロキシ基等のオルガノオキシ基の含有量を示すbが0.3を超えると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンの分子量が小さくなりやすく、耐クラック性が低下することが多い。好ましくは0.001≦b≦0.2であり、より好ましくは0.01≦b≦0.1である。
Si原子に結合したヒドロキシル基の含有量を示すcが0.5を超えると、得られるレジン状オルガノポリシロキサン同士の縮合反応もしくは該レジン状オルガノポリシロキサンと(B)成分の有機ケイ素化合物との縮合反応又はこれらの縮合反応の組み合わせが加熱硬化時に過剰に進行しやすくなる結果、生成する硬化物は高い硬度を示す一方で耐クラック性に乏しくなりやすい。一方、cが0.001未満であると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは、融点が高くなる傾向があり、作業性に問題が生じる場合がある。また、(A)成分と(B)成分との間で結合が全く生成されないと、得られる硬化物内にこれらの成分が固定化されない結果、該硬化物は硬度が低く耐溶剤性が悪くなる傾向がある。好ましくは0.01≦c≦0.3であり、より好ましくは0.05≦c≦0.2である。cの値を制御するには、原料中のアルコキシ基等のオルガノオキシ基の完全縮合率を86〜96モル%に維持することが好ましい。該完全縮合率が上記範囲内であると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンの融点が適度な値となりやすい。
以上のことから、好ましくは0.911≦a+b+c≦1.8であり、より好ましくは1.0≦a+b+c≦1.5である。
Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などの炭素原子数1〜8、好ましくは炭素原子数1〜4の1価炭化水素基が挙げられる。これらの中でも原料の入手が容易である点でメチル基及びイソプロピル基が好ましい。
(A)成分のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、500〜20000、好ましくは1000〜10000、より好ましくは2000〜8000である。該分子量が500未満であると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは固形化しにくく、該分子量が20000を超えると、得られる組成物は粘度が高くなりすぎて流動性が低下し成形性が悪くなることがある。
(A)成分は、一般に、Q単位(SiO4/2単位)、T単位(CHSiO3/2単位等)、及びD単位((CHSiO2/2単位等)の組み合わせで表現することができる。(A)成分をこの表現法で示した時、全シロキサン単位に対するT単位のモル比が70モル%以上(70〜100モル%)であることが好ましく、75モル%以上(75〜100モル%)であることがより好ましく、80モル%以上(80〜100モル%)であることが特に好ましい。該モル比が70モル%未満では、得られる硬化物について、硬度、密着性、概観等の総合的なバランスが崩れる場合がある。なお、残部はD及びQ単位でよく、全シロキサン単位に対するこれら単位の合計のモル比が30モル%以下(0〜30モル%)であることが好ましい。
(A)成分は、下記一般式(5)で示される加水分解性基含有シラン化合物の加水分解縮合物として得ることができる。該加水分解性基含有シラン化合物は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(CHSiY4−n (5)
(式中、Yは独立に塩素原子等のハロゲン原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、炭素原子数6〜8のアリーロキシ基等のオルガノオキシ基を示す。nは0、1、又は2である。)
Yのうち、炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基等が挙げられ、炭素原子数6〜8のアリーロキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基等が挙げられる。Yは、固体状のオルガノポリシロキサンを得る点からは、ハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。
上記式(5)で示される加水分解性基含有シラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のメチルトリアルコキシシラン;ジメチルジクロロシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジメチルジアルコキシシラン;テトラクロロシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランなどが挙げられる。
上記の加水分解性基含有シラン化合物の加水分解及び縮合は、通常の方法で行えばよいが、例えば、酢酸、塩酸、硫酸等の酸触媒又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば、加水分解性基としてクロロ基を含有するシランを使用する場合は、水添加によって発生する塩化水素ガス及び塩酸を触媒として、目的とする適切な分子量の加水分解縮合物を得ることができる。
加水分解及び縮合に使用される水の量は、上記加水分解性基含有シラン化合物中の加水分解性基(特にクロロ基)1モルに対し、一般的には0.9〜1.6モルであり、好ましくは1.0〜1.3モルである。この量が0.9〜1.6モルの範囲を満たすと、得られる組成物の作業性及び該組成物の硬化物の強靭性が優れたものとなりやすい。
上記加水分解性基含有シラン化合物の加水分解及び縮合は、通常、アルコール類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等の有機溶剤中で行われる。有機溶剤は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。具体的には、該有機溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類であることが好ましく、組成物の硬化性及び硬化物の強靭性が優れたものとなりやすいので、イソプロピルアルコール、トルエン、及びイソプロピルアルコール・トルエン併用系がより好ましい。
加水分解及び縮合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜100℃である。反応温度がかかる範囲を満たすと、ゲル化しにくく、次の工程に使用可能な固体の加水分解縮合物が容易に得られる。
[(B)シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物]
(B)成分は、下記一般式(2)で表される、シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物である。(B)成分はシルフェニレン部位とともにシルアルキレン部位もしくはシロキサン部位又はこれらの組み合わせを有する。(B)成分等のシルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物は、得られる硬化物の基材密着性、耐熱性、及び機械強度の向上に寄与する。(B)成分は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。

(式中、R1は独立にアルコキシ基又はヒドロキシ基を示す。R2及びR3の各々は独立に1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はヒドロキシ基を示す。R4〜R7の各々は水素原子又は炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基を表す。Xは独立に下記一般式(3)又は(4)で示される構造ユニットを示す。X'は独立に下記一般式(3)又は(4')で示される構造ユニットを示す。nは独立に0〜9の整数である)

(式中、R8及びR9の各々は水素原子、1価の脂肪族炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基を示す)

(式中、R10及びR11の各々は1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はヒドロキシ基を示し、左側の結合手には炭素原子又は他の酸素原子が結合し、右側の結合手には炭素原子又は他のケイ素原子が結合する)

(式中、R10及びR11は前記のとおりである)
(B)成分を予めレジン内に組み込まずに(即ち、樹脂成分である(A)成分と予め反応させることなく)本発明の組成物に添加することで、作業の簡便化が図れるだけでなく、(B)成分がウェッターの役割を果たすことにより、該組成物は高い流動性を有し、該組成物の成形性が向上し、該組成物の製造が容易になるという利点も得られる。
アルコキシ基であるRとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。中でも原料の入手が容易である点でメトキシ基が好ましい。
1価の脂肪族炭化水素基であるR2及びR3としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基が挙げられる。1価の芳香族炭化水素基であるR2及びR3としては、例えば、フェニル基、トリル基などのアリール基が挙げられる。アルコキシ基であるR2及びR3としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。中でも原料の入手が容易である点でメチル基及びメトキシ基が好ましい。
R1〜R3のうち、少なくとも1つがアルコキシ基又はヒドロキシ基であるのは、(B)成分を(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンと反応させると、得られる硬化物の基材密着性、耐熱性、及び機械強度が(B)成分のシルフェニレン部位の寄与により向上するとともに、成形時のバリ発生が有効に防がれるからである。
炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基であるR4〜R7としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。中でも原料入手の点及び反応性の点からメチル基が好ましい。
R8及びR9の各々は、好ましくは水素原子又は炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基(即ち、炭素原子数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基及び炭素原子数1〜6の1価の芳香族炭化水素基)である。炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。これらの中でも原料入手の点から水素原子及びメチル基が好ましい。
R10及びR11の各々は、好ましくは炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基(即ち、炭素原子数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基及び炭素原子数1〜6の1価の芳香族炭化水素基)である。炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。また、アルコキシ基であるR10及びR11としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。中でも原料入手の点からメチル基が好ましい。
(B)成分の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部のうち、通常、1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部である。該配合量が1質量部に満たないと、十分な強度及び靭性を有する硬化物は得にくい。該配合量が30質量部を超えると、硬化前のシリコーン樹脂組成物は、柔らかくなりすぎる傾向にあり、取り扱いが難しくなりやすい。
[(C)白色顔料]
(C)成分の白色顔料は、硬化物の白色度を高めるために本発明の組成物に配合される。(C)成分の白色顔料は、光半導体装置のリフレクター(反射板)等の用途に用いられる硬化物を調製するためのシリコーン樹脂組成物において通常用いられているものでよい。(C)成分としては、例えば、二酸化チタン、アルミナ、希土類酸化物(例えば、酸化イットリウムや酸化ランタン)、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、中空粒子等が挙げられる。(C)成分は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(C)成分の白色顔料としては白色度をより高めるために二酸化チタンを用いることが好ましい。二酸化チタンの単位格子はルチル型、アナタース型、及びブルカイト型のどれでも構わないが、熱安定性の面から見ればルチル型がより好ましい。
(C)成分の平均粒径及び形状は限定されない。(C)成分の平均粒径は典型的には0.05〜5.0μmである。(C)成分は、樹脂成分及び無機充填剤との相溶性及び分散性を高めるため、AlやSiなどの金属の含水酸化物等で予め表面処理することができる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対し、通常、3〜200質量部、好ましくは質量部5〜150部である。該配合量が3質量部未満では十分な白色度が得られない場合がある。また、該配合量が200質量部を超えると、機械的強度向上の目的で添加する他成分の割合が少なくなるだけでなく、成形性が著しく低下することがある。なお、本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物全体における(C)成分の割合は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜30質量%の範囲である。
[(D)無機充填剤]
本発明のシリコーン樹脂組成物には、更に(D)成分として上記(C)成分以外の無機充填剤を配合する。(D)成分の無機充填剤としては、通常、シリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられるが、上記した(C)成分の白色顔料(白色着色剤)は除かれる。(D)成分は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(D)成分の無機充填剤の平均粒径及び形状は特に限定されないが、平均粒径は好ましくは3〜40μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
特に、溶融シリカ、溶融球状シリカ等のシリカ系無機充填剤が好適に用いられ、その粒径は特に限定されるものではないが、組成物の成形性及び流動性からみて、平均粒径は4〜40μmが好ましく、特には7〜35μmが好ましい。また、組成物の高流動化を図るには、0.1〜3μmの微細領域、4〜8μmの中粒径領域、及び10〜40μmの粗領域の平均粒径それぞれを有する無機充填剤を組み合わせて使用するのが好ましい。
(D)成分の無機充填剤は、(A)及び(B)成分等の樹脂成分並びに(C)成分の白色顔料との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤で予め表面処理したものでもよい。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。アミン系のシランカップリング剤のように150℃以上に放置した場合に、表面処理した無機充填剤の変色を引き起こすものはあまり好ましくない。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
(D)成分の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対し、300〜1,000質量部、特に400〜950質量部が好ましい。300質量部未満では、十分な強度を有する硬化物を得ることができないおそれがあり、1,000質量部を超えると、得られる組成物の増粘により、充填不良及び硬化物の柔軟性喪失が起こり、該組成物の硬化物を含むリフレクターの剥離等の不良が半導体装置内で発生する場合がある。なお、本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物全体における(D)成分の割合は、好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%の範囲である。
[(E)硬化触媒]
(E)成分の硬化触媒は、上記(A)及び(B)成分の硬化に用いるための縮合触媒であり、(A)成分の安定性、組成物の硬化性、並びに被膜の硬度及び無黄変性などを考慮して選択される。(E)成分は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。(E)成分としては、例えば、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等の有機金属縮合触媒が好適に用いられ、具体的には安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテートアルミニウムジ(n-ブチレート)、アルミニウム-n-ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等が例示される。中でも、安息香酸亜鉛が好ましく利用される。
(E)成分の添加量は、上記(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、特に好ましくは0.1〜1.6質量部である。該添加量が0.01質量部未満であると、良好な硬化性を安定して有する組成物を得にくい。該添加量が10質量部を超えても、組成物の硬化性は向上しにくく、省資源化が図りにくい。
本発明の組成物には、上記成分に加え、下記の成分を配合できる。
[(F)直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有するオルガノポリシロキサン]
(F)成分は、下記一般式(6)で表される直鎖状構造のジオルガノポリシロキサン残基を有し、ヒドロキシ基を含有するオルガノポリシロキサンである。(F)成分は上記のジオルガノポリシロキサン残基を有することを特徴とし、低応力剤として使用するものである。(F)成分は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。

(式中、R12及びR13の各々は独立にヒドロキシ基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、ビニル基、フェニル基、又はアリル基を示す。mは5〜50の整数である)
炭素原子数1〜3のアルキル基であるR12及びR13としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。R12及びR13としては中でもメチル基及びフェニル基が好ましい。
mは、通常、5〜50、好ましくは8〜40、より好ましくは10〜35の整数である。mが上記範囲内であると、得られる硬化物の耐クラック性及び機械的強度が十分となりやすく、装置の反りが特に起こりにくい。
(F)成分は、上記式(6)で示されるD単位(R1213SiO2/2)に加えて、M単位(R'SiO1/2)及びT単位(R'SiO3/2)を含んでいてよい。D単位:M単位:T単位のモル比は、90〜24:75〜0:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、これらの単位の合計は100)であることが硬化物特性から好ましい。ここでR'はヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、アリル基を示す。更に、(F)成分はQ単位(SiO)を含んでいてよい。
(F)成分中の全シロキサン単位の好ましくは30モル%以上(例えば、30〜90モル%)、特には50モル%以上(例えば、50〜80モル%)が上記一般式(6)で表される直鎖状構造(直鎖状ジオルガノポリシロキサン構造)を形成していることが好ましい。
(F)成分のポリスチレン換算の重量平均分子量は3000〜100000であることが好ましく、より好ましくは10000〜100000である。該分子量がこの範囲にあると、(F)成分は固体状又は半固体状であり、得られる組成物の作業性、硬化性などから好適である。
(F)成分は、上記各単位の原料となる化合物を、該単位が生成ポリマー中で所要のモル比となるように組み合わせ、例えば、酸の存在下で加水分解して縮合を行うことによって合成することができる。
ここで、上記T単位の原料としては、MeSiCl3、EtSiCl3、PhSiCl3、プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のクロロシラン類、これらのクロロシランそれぞれに対応するメトキシシラン等のアルコキシシラン類などを例示できる。なお、Me、Et、Ph、及びViは、それぞれメチル基、エチル基、フェニル基、及びビニル基を示す(以下、同様)。
上記式(2)で示されるD単位の原料としては、

(ここで、m=3〜48の整数(平均値)、n=0〜48の整数(平均値)、かつm+nが3〜48(平均値))
等を例示することができる。
上記M単位の原料としては、Me2PhSiCl、Me2ViSiCl、Ph2MeSiCl、Ph2ViSiCl等のクロロシラン類、これらのクロロシランそれぞれに対応するメトキシシラン等のアルコキシシラン類などを例示することができる。
これらの原料となる化合物を、所定のモル比で組合せて、例えば、以下のとおりに反応させることで(F)成分を得ることが出来る。まず、原料であるシラン及びシロキサンとトルエン等の有機溶剤とを混合して原料混合物を得、水中に該原料混合物を滴下し30〜50℃で1時間共加水分解する。次に、反応混合物を50℃で1時間熟成した後、そこに水を入れて洗浄し、有機層を分離する。該有機層について、共沸脱水又は25〜40℃でのアンモニア重合を行い、濾過及び減圧ストリップをすることにより(F)成分が得られる。
なお、上記共加水分解及び縮合により製造した(F)成分には、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれ得る。(F)成分のオルガノポリシロキサンは、かかるシラノール基含有シロキサン単位を全シロキサン単位に対して、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは1〜5モル程度含有する。上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、R'(HO)SiO2/2単位、R'(HO)SiO1/2単位、R'(HO)SiO1/2単位が挙げられる(ここで、R'は前記のとおりであり、ただし、ヒドロキシル基ではない)。(F)成分のオルガノポリシロキサンはシラノール基を含有するので、(A)成分のレジン状ポリオルガノシロキサン及び(B)成分のシルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物と反応する。
(F)成分の配合量は(A)及び(B)成分の合計100質量部に対し、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは3〜30質量部である。該配合量が上記範囲であると、連続成形性の向上効果が得られやすく、また低反り性及び耐クラック性を達成しやすい。更に、得られる組成物は粘度が上昇しにくく、支障なく成形することが容易である。
[(G)離型剤]
本発明のシリコーン樹脂組成物には、内部離型剤を配合することができる。(G)成分は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。(G)成分は、成形時の離型性を高めるために配合するものである。(G)成分の配合量は、本発明の組成物全体に対して0.2〜5.0質量%である。内部離型剤としては、例えば、天然ワックス及び酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックス等の合成ワックスなどが挙げられるが、中でも融点が120〜140℃であるステアリン酸カルシウムを用いることが望ましい。
[(H)カップリング剤]
本発明のシリコーン樹脂組成物には、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合することができる。(H)成分は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(H)成分としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。アミン系のシランカップリング剤のように150℃以上に放置した場合にシリコーン樹脂の変色を引き起こすものはあまり好ましくない。
(H)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜8.0質量部、より好ましくは0.5〜6.0質量部である。該配合量が上記範囲内であると、得られる組成物の粘度は適度な範囲に維持される傾向にあるためボイドが生じにくく、また、得られる硬化物と基材との接着効果が十分となりやすい。
[その他の添加剤]
本発明のシリコーン樹脂組成物には、更に必要に応じてその他の各種の添加剤を配合することができる。これらの添加剤は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々のシリコーンパウダー、シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で本発明の組成物に添加することができる。
[組成物の調製及び成形]
本発明の組成物は、例えば、(A)〜(E)成分並びに必要に応じて(F)〜(H)成分及びその他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して、製造することができる。
本発明の組成物の最も一般的な成形方法としては、トランスファー成形法及び圧縮成形法が挙げられる。トランスファー成形法は、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度120〜190℃、及び成形時間30〜500秒の条件で、特に成形圧力5〜20N/mm2、成形温度150〜185℃、及び成形時間30〜180秒の条件で行うことが好ましい。また、圧縮成形法は、コンプレッション成形機を用い、成形温度120〜190℃及び成形時間30〜600秒の条件で、特に成形温度130〜160℃及び成形時間120〜300秒の条件で行うことが好ましい。更に、いずれの成形法においても、後硬化を150〜185℃で2〜20時間行ってよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度超の温度領域における線膨張係数が30ppm/K以下であることが好ましく、25ppm/K以下であることがより好ましい。
[光半導体装置]
本発明の光半導体装置は、光半導体素子と本発明の組成物の硬化物を含むリフレクターとを備える。光半導体素子としては、例えば、LED等の発光素子及びフォトダイオード、光学センサー、CMOSイメージセンサー等の受光素子が挙げられる。リフレクターは、本発明の組成物の硬化物のみからなるものでもよいし、該硬化物と他のリフレクター材料との組み合わせからなるものであってもよい。
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
(A)レジン状オルガノポリシロキサン
A 合成例1で調製したレジン状オルガノポリシロキサン
(B)シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物
B−1 合成例2で調製した、シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物
B−2 合成例3で調製した、シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物
(C)白色顔料
C ルチル型二酸化チタン:CR−95、平均粒径0.28μm(石原産業(株)製)
(D)無機充填剤
D 溶融球状シリカ:CS−6103 53C2、平均粒径15μm((株)龍森製)
(E)硬化触媒
E 安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(G)離型剤
G ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)
[合成例1]レジン状オルガノポリシロキサンAの合成
メチルトリクロロシラン100質量部及びトルエン200質量部を1Lのフラスコに入れて混合し、得られた混合物に氷冷下で水8質量部及びイソプロピルアルコール60質量部の混合液を液中滴下した。内温は−5〜0℃に維持しながら、5〜20時間かけて滴下した。次に、反応混合物を加熱して還流温度で20分間撹拌した後、室温まで冷却した。反応混合物に水12質量部を30℃以下で30分かけて滴下し、20分間撹拌した。そこに更に水25質量部を滴下し、40〜45℃で60分間撹拌した。そこに更に水200質量部を添加して撹拌した後、有機層を分離した。この有機層を中性になるまで水で洗浄した。該有機層について、共沸脱水、濾過、及び減圧ストリップをすることにより、下記式(A)で示されるレジン状オルガノポリシロキサンAを無色透明の固体(融点76℃、重量平均分子量3,060)として36.0質量部得た。
(CH1.0Si(OC0.07(OH)0.101.4 (A)
[合成例2]シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物B−1の合成
シルフェニレン(C)(1,4-ビス(ジメチルハイドロジェンシリル)ベンゼン、北興化学(株)製)583.3g(3.00モル)及びトルエン200gを5Lのフラスコに入れて混合し、100℃に加熱し、そこにKBM−1003(ビニルトリメトキシシラン、信越化学(株)製)933.8g(6.30モル)、トルエン990g、及び1質量%塩化白金酸オクチルアルコール変性溶液1.05gの混合液を液中滴下した。その後、反応混合物の減圧ストリップをすることにより、下記構造式(B−1)で表される、シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物B−1を1471.1g(収率100%)得た。
[合成例3]シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物B−2の合成
シルフェニレン(C) 194.4g(1.00モル)及びトルエン70gを3Lのフラスコに入れて混合し、100℃に加熱し、そこにビニルシラントリオール111.5g(1.05モル)、トルエン330g、及び1質量%塩化白金酸オクチルアルコール変性溶液0.35gの混合液を液中滴下した。その後、反応混合物の減圧ストリップをすることにより、下記構造式(B−2)で表される、シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物B−2を406.3g(収率100%)得た。
[実施例1〜3及び比較例1]
表1に示す配合量(質量部)で、(A)レジン状オルガノポリシロキサン、(B)含シルフェニレン化合物、(C)白色顔料、(D)無機充填剤、(E)硬化触媒、及び(G)離型剤を混合し、熱ロールにて溶融混合処理した後、得られたコンパウンドを冷却及び粉砕して白色シリコーン樹脂組成物を得た。
得られた組成物を用いて以下の諸特性を測定した。結果を表1に示す。成形はすべて以下の条件で行った:トランスファー成形機を使用、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm、成形時間120秒。
・スパイラルフロー値
EMMI規格に準じた金型を使用して、上記条件で測定した。
・室温での曲げ強度及び曲げ弾性率
JIS K 6911規格に準じた金型を使用して、上記条件で成形を行い、得られた硬化物を180℃で4時間ポストキュアーした。ポストキュアーした硬化物について、JIS K 6911規格に準拠して室温(25℃)にて曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
・光反射率
上記条件で成形を行って1辺50mm、厚さ0.35mmの正方形板状の硬化物を作製し、該硬化物についてエス・デイ・ジー(株)製X-rite8200を使用して450nmにおける光反射率を測定した。
・線膨脹係数
上記条件で成形を行って5mm×5mm×15mmの硬化物を作製し、該硬化物を180℃で4時間ポストキュアーした。ポストキュアーした硬化物について、理学製TMA8140Cを使用して、昇温スピード5℃/min及び温度範囲50〜100℃の条件で線膨脹係数を測定した。
表1より、(B)成分を添加することで流動性及び強度が向上することが分かった。また、(B)成分を含む組成物の硬化物は、光反射率が良好な数値を示し、線膨張係数が低下する傾向にあることから、光半導体装置のリフレクターとして有効であることが確認できた。

Claims (4)

  1. (A)下記平均組成式(1)で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20000のオルガノポリシロキサン 70〜99質量部、
    (CHSi(OR)(OH)(4−a−b−c)/2 (1)
    (式中、Rは炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である)
    (B)下記一般式(2)で表される、シルフェニレン部位を有する有機ケイ素化合物 1〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、

    (式中、R1は独立にアルコキシ基又はヒドロキシ基を示す。R2及びR3の各々は独立に1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はヒドロキシ基を示す。R4〜R7の各々は水素原子又は炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基を表す。Xは独立に下記一般式(3)又は(4)で示される構造ユニットを示す。X'は独立に下記一般式(3)又は(4')で示される構造ユニットを示す。nは独立に0〜9の整数である)
    (式中、R8及びR9の各々は水素原子、1価の脂肪族炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基を示す)
    (式中、R10及びR11の各々は1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はヒドロキシ基を示し、左側の結合手には炭素原子又は他の酸素原子が結合し、右側の結合手には炭素原子又は他のケイ素原子が結合する)
    (式中、R10及びR11は前記のとおりである)
    (C)白色顔料 3〜200質量部、
    (D)(C)成分以外の無機充填剤 300〜1000質量部、並びに
    (E)硬化触媒 0.01〜10質量部
    を含む白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
  2. (E)成分が有機金属縮合触媒である請求項1に係る組成物。
  3. (A)成分を80〜95質量部、そして(B)成分を5〜20質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)を含む、請求項1又は2に係る組成物。
  4. 光半導体素子と請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物の硬化物を含むリフレクターとを備える光半導体装置。
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