JP2011052115A - 光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体ケース - Google Patents

光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体ケース Download PDF

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純一 沢田
Yusuke Taguchi
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Abstract

【解決手段】(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤、
(D)硬化触媒、
(E)離型材
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(F)シランカップリング剤として、一般式(1)
(R3O)dSiR4 e (1)
(R3は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、dは1又は2、eは2又は3を表す。R4はアルケニル基を含む炭素数が1〜10の有機基である。)
で表されるシランカップリング剤が配合され、パラジウムでメッキされたリードフレーム基板への接着力が5MPa以上であるシリコーン樹脂組成物。
【効果】本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、光半導体ケース形成用として使用した場合、パラジウムでメッキされたリードフレーム基板に対する接着性に優れる硬化物を与えるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、白色性、耐熱性、耐光性を保持し、均一でかつ黄変が少なく、特にパラジウムでメッキされたリードフレーム基板への接着性に優れる硬化物を与える光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物並びに該組成物の硬化物からなるLED(Light Emitting Diode)用等の光半導体ケースに関する。
LED等の光半導体素子は、小型で効率よく鮮やかな色の発光をし、また半導体素子であるため球切れがなく、駆動特性に優れ、振動やON/OFF点灯の繰り返しに強い。そのため種々のインジケータや光源として利用されている。このような光半導体素子を用いた光半導体装置のケース材の一つとして、ポリフタルアミド樹脂(PPA)が現在広く使用されている。
しかし、今日の光半導体技術の飛躍的な進歩により、光半導体装置の高出力化及び短波長化が著しいため、特に無着色・白色の材料として従来のPPA樹脂を用いた光半導体素子封止及びケースでは、長期間の使用による劣化が著しく、色ムラの発生や剥離、機械的強度の低下等が起こり易く、このような問題を効果的に解決することが望まれている。
更に詳述すると、特許第2656336号公報(特許文献1)には、封止樹脂が、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を構成成分とするBステージ状光半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記構成成分が分子レベルで均一に混合されている樹脂組成物の硬化体で構成される光半導体装置が記載されている。ここでは、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が主として用いられ、トリグリシジルイソシアネート等を使用し得ることも記載されている。しかし、実施例では、トリグリシジルイソシアネートがビスフェノールA又はF型エポキシ樹脂に少量添加されて使用されているもので、本発明者らの検討によれば、このBステージ状光半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、特に高温・長時間の放置で黄変するという問題がある。
特開2000−196151号公報(特許文献2)、特開2003−224305号公報(特許文献3)、特開2005−306952号公報(特許文献4)には、LED発光素子封止用エポキシ樹脂組成物におけるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の使用について記載されているが、いずれも高温・長時間の放置で黄変するという問題解決が十分ではなかった。
特開2006−77234号公報(特許文献5)には、重量平均分子量が5×103以上のオルガノポリシロキサン及び縮合触媒を含有するLED素子封止用樹脂組成物が記載されている。しかし、このオルガノポリシロキサンは透明性を有する常温で液状のものでなければならないために、トランスファー成形や圧縮成形に適さないものである。
なお、本発明に関連する公知文献としては、上記の特許文献に加えて、下記特許文献6〜10が挙げられる。
特許第2656336号公報 特開2000−196151号公報 特開2003−224305号公報 特開2005−306952号公報 特開2006−77234号公報 特許第3512732号公報 特開2001−234032号公報 特開2002−302533号公報 特開平9−310007号公報 特開2001−316591号公報
現在、LED用等の光半導体ケースの基板として使用されるリードフレームは、銀メッキされた銅フレーム、金メッキされた銅フレームなどで、これらの基板を用いる際には接着助剤としてメルカプト官能性シランカップリング剤を添加する。しかし、パラジウムでメッキされたリードフレームでは接着性が不十分であり、高温(215〜260℃)リフロー工程において、リードフレームと樹脂の界面で剥離が発生し、信頼性が保証できないという大きな問題が生じている。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、パラジウムでメッキされたリードフレーム基板との接着性に著しく優れる硬化物を与える光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物並びに該組成物の硬化物からなるLED用等の光半導体ケースを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤、
(D)硬化触媒、
(E)離型材
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(F)シランカップリング剤として、下記一般式(1)
(R3O)dSiR4 e (1)
(式中、R3は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、dは1又は2、eは2又は3を表す。R4はアルケニル基を含む炭素数が1〜10の有機基である。)
表されるシランカップリング剤を使用することにより、この熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物がパラジウムでメッキされたリードフレーム基板への接着力を5MPa以上とする良好な接着性を与えることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は下記に示す光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体ケースを提供する。
請求項1:
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤、
(D)硬化触媒、
(E)離型材
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(F)シランカップリング剤として、下記一般式(1)
(R3O)dSiR4 e (1)
(式中、R3は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、dは1又は2、eは2又は3を表す。R4はアルケニル基を含む炭素数が1〜10の有機基である。)
で表されるシランカップリング剤が配合され、パラジウムでメッキされたリードフレーム基板への接着力が5MPa以上であることを特徴とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
請求項2:
(A)成分の熱硬化性オルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(2)
1 aSi(OR2b(OH)c(4-a-b-c)/2 (2)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
からなるシリコーンポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項3:
(B)成分の白色顔料が二酸化チタンである請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項4:
(D)成分の硬化触媒が有機金属縮合触媒である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項5:
(D)成分の有機金属縮合触媒が安息香酸亜鉛である請求項4に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項6:
(E)成分の離型材が、融点120〜140℃のステアリン酸カルシウムを含むものであり、全組成物に対して0.2〜5質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項7:
請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物の硬化物からなる光半導体ケース。
本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、光半導体ケース形成用として使用した場合、パラジウムでメッキされたリードフレーム基板に対する接着性に優れる硬化物を与えるものである。そのため、本発明の組成物の硬化物にて封止されたLED用ケース、フォトカプラー等の半導体・電子機器装置は、産業上特に有用である。
本発明の光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いた光半導体ケース(LEDリフレクター)の一例を示す断面図である。 本発明の光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いたフォトカプラーの一例を示す断面図である。
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
本発明に係る(A)成分の熱硬化性オルガノポリシロキサンは、シラノール基含有オルガノポリシロキサンで、特に下記平均組成式(2)
1 aSi(OR2b(OH)c(4-a-b-c)/2 (2)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で表されるシリコーンポリマーである。
ここで、R1における有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等の炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基が挙げられ、上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましく、例えばビニル基、アリール基、プロペニル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数6〜10のものがより好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、炭素数7〜10のものがより好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
また、上記非置換の1価炭化水素基の水素原子の1個又はそれ以上をハロゲン原子、シアノ基等で置換した置換1価炭化水素基であってもよい。
上記平均組成式(2)のR1は、これらの中でも、特にメチル基又はフェニル基であることが好ましい。
上記平均組成式(2)中、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基であり、例えばアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。また、OR2はシロキサン樹脂の末端基のうち、シラノ−ル基(Si−OH)以外の部分を示し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、原料の入手が容易なメトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。
上記平均組成式(2)中、a、b及びcは、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数であり、より好ましくは0.9≦a≦1.3、0.001≦b≦0.2、0.01≦c≦0.3、0.911≦a+b+c≦1.8である。R1の含有量aが0.8未満では硬くなり、クラック防止性が低下し、1.5を超えると有機基が多くなって疎水性が高くなり、かつ柔らかくなるため、クラック防止効果がなくなるだけでなく、ハジキ等の概観不良が生じる。OR2の含有量bが0.3を超えると末端基量が多くなり、分子量が小さくなる傾向であるため、クラック防止性能が発現しなくなる。OHの含有量cが0.5を超えると加熱硬化時の縮合反応に関与してくる比率が高まり、高硬度ではあるが、耐クラック性に乏しくなる。cが0.001未満では、融点が高くなる傾向があり、作業性に問題が生じる。cを制御する条件としては、アルコシキ基の完全縮合率を86〜96%にすることが好ましく、86%未満では、融点が低くなり、96%を超えると融点が高くなりすぎる傾向となる。
このような上記平均組成式(2)の(A)成分は、一般に4官能シラン由来のQ単位[SiO4/2]、3官能シラン由来のT単位[R1SiO3/2(R1は上記の通り、以下同じ。)]、2官能シラン由来のD単位[R1SiO2/2]、1官能シラン由来のM単位[R1SiO1/2]の組み合わせで表現することができるが、(A)成分をこの表記法で表した時、全シロキサン単位の総モル数に対し、R1SiO3/2で表されるT単位の含有モル数の比率が70モル%以上、望ましくは75モル%以上、特に望ましくは80モル%以上であることが好ましい。T単位が70モル%未満では、硬度、密着性、概観等の総合的なバランスが崩れる場合がある。なお、残部は、M、D、Q単位でよく、これらの和が30モル%以下であることが好ましい。融点に対しては、Q及びT単位が多くなるほど融点が高くなり、D、M単位が多くなるほど、融点が低くなる傾向がある。R1SiO3/2で表されるT単位の含有モル数の比率が70モル%以上、残りの30モル%以下がD単位であることがより好ましい。
(A)成分の融点は、40〜130℃であり、好ましくは70〜80℃である。40℃未満の場合には、固体状でなくなり、固体表面のベタツキが多くなってトランスファー成形が難しくなり、130℃を超える場合は、流動性がなくなり、トランスファー成形が困難となる。
このような(A)成分は、下記一般式(3)
1 nSiX4-n (3)
(式中、R1は上記の通りである。Xは塩素等のハロゲン原子又はアルコキシ基、特に炭素数1〜4のアルコキシ基で、nは1、2又は3である。)
で示されるオルガノシランの加水分解縮合物として得ることができる。
この場合、Xとしては、固体状のオルガノポリシロキサンを得る点からは、ハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(3)におけるnは、1〜3の整数を表す。nが2又は3である場合、即ちR1が複数ある場合、各R1は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。nは、固形状のポリシロキサンを得ることができる点で、n=1であることが好ましい。
上記一般式(3)で表されるシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノトリクロロシラン及びオルガノトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。特にメチルトリクロロシランを用いることが好ましい。また、これにフェニルトリクロロシランを併用することも有効である。
なお、これらシラン化合物は、T単位を70モル%以上含むシラノール基含有オルガノポリシロキサンを得る点から、トリクロロシランやトリアルコキシシランの使用量を選定することが好ましい。
上記加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解及び縮合は、通常の方法で行えばよいが、例えば酢酸、塩酸、硫酸等の酸触媒、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば加水分解性基としてクロル基を含有するシランを使用する場合は、水添加によって発生する塩酸を触媒として、目的とする適切な分子量の加水分解縮合物を得ることができる。
加水分解及び縮合の際に添加される水の量は、上記加水分解性基を有するシラン化合物中の加水分解性基(例えばクロル基の場合)の合計量1モル当り、通常、0.9〜1.6モルであり、好ましくは1.0〜1.3モルである。この添加量が0.9〜1.6モルの範囲を満たすと、後述の組成物は作業性が優れ、その硬化物は強靭性が優れたものとなる。
上記加水分解性基を有するシラン化合物は、通常、アルコール類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等の有機溶剤中で加水分解して使用することが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、芳香族化合物としてトルエン、キシレンが好ましく、組成物の硬化性及び硬化物の強靭性が優れたものとなるので、イソプロピルアルコール、トルエン併用系がより好ましい。
この場合、加水分解及び縮合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜100℃である。反応温度がかかる範囲を満たすと、ゲル化することなく、次の工程に使用可能な固体の加水分解縮合物が得られる。
具体的合成方法として、メチルトリクロロシランを用いる場合、トルエンに溶解したメチルトリクロロシランに、水及びイソプロピルアルコールを添加して部分加水分解(反応温度−5〜100℃)し、その後残存するクロル基の全量を加水分解する水を添加して、反応させることにより、融点76℃の固体シリコーンポリマーが得られる。
こうして目的とするオルガノポリシロキサンが得られる。このオルガノポリシロキサンの融点は、50〜100℃であり、好ましくは70〜80℃である。50℃未満及び100℃を超えた場合には、次工程の混合作業性で混練りが難しくなる問題が発生する。
(B)白色顔料
本発明に係る(B)成分の白色顔料は、白色着色剤として、白色度を高めるために配合するものであり、白色顔料としては二酸化チタンを用いることが好ましく、この二酸化チタンの単位格子はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のどれでも構わないが、ルチル型が好ましく使用される。また、平均粒径や形状も限定されないが、平均粒径は通常0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜3.0μm、更に好ましくは0.1〜1.0μmである。上記二酸化チタンは、樹脂や無機充填剤との相溶性、分散性を高めるため、AlやSiなどの含水酸化物等で予め表面処理することができる。
なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
白色顔料の充填量は、組成物全体の2〜80質量%、特に5〜50質量%が好ましい。2質量%未満では十分な白色度が得られない場合があり、80質量%を超えると未充填やボイド等の成形性が低下する場合がある。
(C)無機充填剤
本発明に係る(C)成分の無機充填剤は、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等が挙げられるが、上記した白色顔料(白色着色剤)は除かれる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は通常4〜50μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
特に、溶融シリカ、溶融球状シリカが好適に用いられ、その粒径は特に限定されるものではないが、成形性、流動性からみて、平均粒径は4〜50μm、特には7〜45μmが好ましい。また、高流動化を得るためには、0.1〜3μmの微細領域、4〜8μmの中粒径領域、10〜50μmの粗領域のものを組み合わせて、平均粒径4〜50μmのものを使用することが望ましい。
全シリカ中、平均粒径0.1〜3μmの微細領域のシリカの割合が3〜20質量%、特に7〜18質量%、平均粒径4〜8μmの中粒径領域のシリカの割合が5〜40質量%、特に10〜30質量%、平均粒径10〜50μmの粗領域のシリカの割合が50〜80質量%、特に60〜70質量%であることが好ましい。この割合から外れると十分な流動性を得られなくなる場合がある。
また、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。
なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。また、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、150℃以上に放置した場合に処理フィラーが黄変しないものが好ましい。
無機充填剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、200〜1,000質量部、特に250〜950質量部が好ましい。1,000質量部を超えると、増粘による未充填不良や柔軟性が失われることで、素子内の剥離等の不良が発生する場合がある。なお、この無機充填剤は、白色顔料との合計量が白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物全体の50〜95質量%、特に75〜91質量%の範囲で含有することが好ましい。
(D)硬化触媒
本発明のシリコーン樹脂組成物で、得られたオルガノポリシロキサンを硬化させる場合には、硬化触媒(縮合触媒)と混合して組成物を調製する必要がある。この縮合触媒は、上記オルガノポリシロキサンの安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。例えば、有機金属触媒として、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられ、具体的にはオクチル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテートアルミニウムジ(ノルマルブチレート)、アルミニウム−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等が例示される。
硬化触媒の添加量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.0001〜10質量部、特に好ましくは0.001〜1.0質量部である。添加量がかかる範囲を満たすと、硬化性が良好であり、安定したものとなる。
(E)離型材
本発明のシリコーン樹脂組成物には、内部離型材を配合する。(E)成分の内部離型材は、成形時の離型性を高めるために配合するものであり、全組成物に対して0.2〜5質量%含有するように添加するものである。内部離型材としては、カルナバワックスをはじめとする天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステルをはじめとする合成ワックスなどがあるが、中でも融点が120〜140℃のステアリン酸カルシウムを用いるのが望ましく、高温放置下や光照射下においても、黄変性を抑え、かつ長時間に亘り良好な離型性を継続して保持する。
(F)シランカップリング剤
本発明のシリコーン樹脂組成物にはシランカップリング剤を配合する。(F)成分のシランカップリング剤は樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするために配合される。シランカップリング剤としては、下記一般式(1)
(R3O)dSiR4 e (1)
で表されるシラン化合物が使用される。
上記式(1)中、R3は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、dは1又は2、eは2又は3を表す。R4はアルケニル基を含む炭素数が1〜10の有機基である。
3としては、メチル基、プロピル基などのアルキル基などが挙げられ、OR3は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、原料の入手が容易なメトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。
4としては、ビニル基、アリル基、スチリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などが挙げられ、中でもビニル基が好ましい。
このような化合物としてはビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシメチルジメトキシシランなどが使用される。
上記(F)成分のシランカップリング剤は、全組成物に対して0.2〜5質量%含有するように添加するものである。
このようにして得られる本発明のシリコーン樹脂組成物は、半導体・電子機器装置、特にはLED用ケース、フォトカプラー用の封止材として有効に利用できる。
ここで、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いた半導体素子の一例であるLEDリフレクターの断面図を図1に示す。図1で示されるLEDは、化合物半導体からなる半導体素子1がリードフレーム2にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ3により別のリードフレームにワイヤボンドされている。これらの素子は透明封止樹脂4により被覆されている。更に、この封止樹脂4により被覆された半導体素子は本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物(白色リフレクターとしての光半導体ケース)5により保持(樹脂封止)されている。なお、6はレンズである。
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いた半導体素子の一例であるフォトカプラーの断面図を図2に示す。図2で示されるフォトカプラーは、化合物半導体からなる半導体素子11がリードフレーム12にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ13により別のリードフレーム(図示せず)にワイヤボンドされている。また、この半導体素子11と対向するように受光用の半導体素子14がリードフレーム15上にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ16により別のリードフレーム(図示せず)にワイヤボンドされている。これらの半導体素子の間は透明封止樹脂17により充填されている。更に、この封止樹脂17により被覆された半導体素子11は本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物18により樹脂封止されている。
この場合、本発明の光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物の成形封止の最も一般的な方法としては、トランスファー成形法や圧縮成形法が挙げられる。
トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度は120〜190℃で30〜500秒、特に150〜185℃で30〜180秒で行うことが好ましい。また、圧縮成形法では、コンプレッション成形機を用い、成形温度は120〜190℃で30〜600秒、特に130〜160℃で120〜300秒で行うことが好ましい。更に、いずれの成形法においても、後硬化を150〜185℃で2〜20時間行うことができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
<熱硬化性オルガノポリシロキサンの調製>
メチルトリクロルシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で水8質量部、イソプロピルアルコール60質量部の混合液を液中滴下した。内温は−5〜0℃で5〜20時間かけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。更に水25質量部を滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後水200質量部を加えて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、無色透明の固体(融点76℃)36.0質量部のオルガノポリシロキサン(A−1)を得た(収率80%)。
(CH31.0Si(OC370.07(OH)0.101.4
実施例、比較例で使用した原料を以下に示す。
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
(A−1)上記で得たオルガノポリシロキサン
(B)白色顔料
(B−1)二酸化チタン(CR−95:ルチル型、平均粒径0.28μm)
(C)無機充填剤
(C−1)球状溶融シリカA 平均粒径45μm(MSR−4500TN:(株)龍森
製)
(C−2)球状溶融シリカB 平均粒径4μm(N−MSR−04:(株)龍森製)
(C−3)球状溶融シリカC 平均粒径0.5μm(SO−25R:(株)アドマテッ
ク製)
(D)硬化触媒
(D−1)安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(E)離型材
(E−1)ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)
(F)シランカップリング剤
(F−1)ビニルトリメトキシシラン(KBM−1003:信越化学工業(株)製商品
名)
(F−2)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学
工業(株)製商品名)
[実施例、比較例]
上記で調製したオルガノポリシロキサンを用い、表1に示す組成で各成分を熱2本ロールで溶融混練を行い、シリコーン樹脂組成物を得た。
得られたシリコーン樹脂組成物につき、下記方法で諸特性を測定した。
《接着試験》
20mm×20mmの銅製フレームにパラジウムメッキを施したフレーム基板上にシリコーン樹脂組成物を温度175℃,成形圧力70kgf/mm2、成形時間90秒の条件で成形し、接着用テストピースを作製し、180℃で4時間ポストキュアした後、温度260℃でのIRリフローを3回行った後の室温での接着力を万能ボンドテスター(DAGE SERIES 4000:DAGE社製)を用いて0.2mm/秒の速度で接着片を弾くことでそれぞれ測定した。
表1の実施例によれば、Pd基板への接着力が5MPa以上である熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得ることができ、従って、該組成物の硬化物でLED用リフレクターが封止された半導体装置は有用であることが確認できた。
1 半導体素子
2 リードフレーム(AgメッキCuフレーム又はNiPdAuメッキCuフレーム)
3 ボンディングワイヤ
4 透明封止樹脂
5 白色リフレクター(熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物)
6 レンズ
11 半導体素子
12 リードフレーム
13 ボンディングワイヤ
14 半導体素子
15 リードフレーム(AgメッキCuフレーム又はNiPdAuメッキCuフレーム)
16 ボンディングワイヤ
17 透明封止樹脂
18 熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物

Claims (7)

  1. (A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
    (B)白色顔料、
    (C)無機充填剤、
    (D)硬化触媒、
    (E)離型材
    (F)シランカップリング剤
    を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(F)シランカップリング剤として、下記一般式(1)
    (R3O)dSiR4 e (1)
    (式中、R3は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、dは1又は2、eは2又は3を表す。R4はアルケニル基を含む炭素数が1〜10の有機基である。)
    で表されるシランカップリング剤が配合され、パラジウムでメッキされたリードフレーム基板への接着力が5MPa以上であることを特徴とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
  2. (A)成分の熱硬化性オルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(2)
    1 aSi(OR2b(OH)c(4-a-b-c)/2 (2)
    (式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
    からなるシリコーンポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。
  3. (B)成分の白色顔料が二酸化チタンである請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物。
  4. (D)成分の硬化触媒が有機金属縮合触媒である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
  5. (D)成分の有機金属縮合触媒が安息香酸亜鉛である請求項4に記載のシリコーン樹脂組成物。
  6. (E)成分の離型材が、融点120〜140℃のステアリン酸カルシウムを含むものであり、全組成物に対して0.2〜5質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物の硬化物からなる光半導体ケース。
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