JP2014177570A - 熱硬化性シリコーン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】パラジウムや銀などでメッキされた基板への接着性に優れる硬化物を与える熱硬化性シリコーン樹脂組成物を提供する。さらに、該樹脂組成物を用いた受光素子半導体素子を封止した半導体装置を提供する。
【解決手段】(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン(B)無機充填剤(但し白色顔料を除く)(C)硬化触媒、及び(D)シランカップリング剤を含有する熱硬化性シリコーン樹脂組成物であって、(D)シランカップリング剤が下記一般式(1)で表されることを特徴とする熱硬化性シリコーン樹脂組成物
(式中、R4、R7は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基であり、ただし、R4、R7で示される基のうち少なくとも1個はアルコキシ基である。R5、R6は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8の一価炭化水素基である。xは平均値として1〜6の数であり、m、nは、互いに独立に、0〜6の整数である)。
【選択図】なし
【解決手段】(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン(B)無機充填剤(但し白色顔料を除く)(C)硬化触媒、及び(D)シランカップリング剤を含有する熱硬化性シリコーン樹脂組成物であって、(D)シランカップリング剤が下記一般式(1)で表されることを特徴とする熱硬化性シリコーン樹脂組成物
(式中、R4、R7は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基であり、ただし、R4、R7で示される基のうち少なくとも1個はアルコキシ基である。R5、R6は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8の一価炭化水素基である。xは平均値として1〜6の数であり、m、nは、互いに独立に、0〜6の整数である)。
【選択図】なし
Description
本発明は、パラジウムや銀などでメッキされたリードフレーム基板への接着性に優れる硬化物を与える熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物の硬化物からなる光半導体ケース、及び該光半導体素子ケースを備える光半導体装置、並びに、該組成物の硬化物で受光素子その他の半導体素子を封止した半導体装置に関する。
LED(Light Emitting Diode)等の光半導体素子は、街頭ディスプレイや自動車ランプ、住宅用照明など種種のインジケータや光源として利用されるようになっている。中でも、白色LEDは発光効率の高さから、二酸化炭素削減や省エネルギーをキーワードとして、各分野で応用した製品の開発が急速に進んでいる。
LED等の半導体・電子機器装置の材料のひとつとして、光リフレクター材料にポリフタルアミド樹脂(PPA)が現在広く使用されている。PPAを使用した光リフレクター材料は高波長域の光特性に関して優れた特性を示す。しかし、近年、光半導体装置の高出力化及び短波長化が進んでいるため、PPAを光半導体素子の周辺に使用すると変色を起こすなど劣化が激しく、その為、光出力低下等を引き起こすという大きな問題がある。従って、PPAは、照明や車載用途など長期信頼性を求められる用途に使用することには適していない。
特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を構成成分とするBステージ状の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記構成成分が分子レベルで均一に混合されている樹脂組成物の硬化物で構成されていることを特徴とする光半導体装置が記載されている。特許文献1は、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂を主として用い、トリグリシジルイソシアネート等を使用し得ることを記載している。しかし本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載のBステージ状半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、高温・長時間の放置で黄変するという問題がある。
特許文献2には環状オレフィンを酸化して得られる脂環式エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を用いて被覆した発光ダイオードが記載されている。特許文献3及び4にはトリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤を含む発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物が記載されている。
しかし、いずれの樹脂組成物も高温・長時間の放置で黄変するという問題を十分解決していない。
しかし、いずれの樹脂組成物も高温・長時間の放置で黄変するという問題を十分解決していない。
特許文献5には、紫外線照射による劣化が抑制された、オルガノポリシロキサン及び縮合触媒を含有するLED素子封止用樹脂組成物が記載されている。しかし、該組成物は高い透明性が要求される用途向けであり、リフレクター等の白色顔料を用いる用途には適さない。また、該オルガノポリシロキサンは常温で液状であるため、トランスファー成形や圧縮成形に適さない。
LED用等の光半導体ケースは、リードフレームの上にLEDチップを搭載してワイヤボンディングした後、その上をエポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂で封止し、さらにLEDからの光が漏れないようにリフレクター材(反射材)で封止するのが一般的である。リードフレームとしては、銀メッキされた銅フレーム、金メッキされた銅フレームなどが使用されている。その際にリフレクター材(反射材)とリードフレームとの接着性が要求される。これまでリフレクター材(反射材)等光半導体ケース用の樹脂組成物の接着助剤としてメルカプト官能性アルコキシシラン等のカップリング材が添加されてきた(特許文献6)。
しかし、従来のシリコーン樹脂組成物から形成される光半導体ケースでは、メッキの種類によってはリードフレームとの接着性が不十分となり、特に、高温(215〜260℃)リフロー工程において、リードフレームと樹脂硬化物の界面で剥離が生じ、半導体装置の信頼性が保証できないという大きな問題がある。
本発明は、パラジウムや銀などでメッキされた基板への接着性に優れる硬化物を与える熱硬化性シリコーン樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は該組成物の硬化物からなる光半導体ケースを備えた半導体装置、及び、該組成物の硬化物で受光素子その他の半導体素子を封止した半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤を含有する熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物が、銀やパラジウムでメッキされた基板と高い接着力を有し、かつ高温高湿信頼性に優れることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
(B)無機充填剤(但し白色顔料を除く)
(C)硬化触媒、及び
(D)シランカップリング剤
を含有する熱硬化性シリコーン樹脂組成物であって、(D)シランカップリング剤が下記一般式(1)で表されることを特徴とする熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
(式中、R4、R7は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基であり、ただし、R4、R7で示される基のうち少なくとも1個はアルコキシ基である。R5、R6は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8の一価炭化水素基である。xは平均値として1〜6の数であり、m、nは、互いに独立に、0〜6の整数である)。
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
(B)無機充填剤(但し白色顔料を除く)
(C)硬化触媒、及び
(D)シランカップリング剤
を含有する熱硬化性シリコーン樹脂組成物であって、(D)シランカップリング剤が下記一般式(1)で表されることを特徴とする熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
(式中、R4、R7は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基であり、ただし、R4、R7で示される基のうち少なくとも1個はアルコキシ基である。R5、R6は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8の一価炭化水素基である。xは平均値として1〜6の数であり、m、nは、互いに独立に、0〜6の整数である)。
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、パラジウムや銀などでメッキされた基板への接着性に優れる硬化物を与えることができ、かつ、該硬化物は高温高湿信頼性に優れるため、信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
(A)成分は、加熱により硬化して架橋構造を形成することができる熱硬化性オルガノポリシロキサンである。該熱硬化性オルガノポリシロキサンとしては、特に制限されるものでないが、下記に示す(A−1)成分と(A−2)成分を所定の配合比率で含有してなるオルガノポリシロキサンが好ましい。
(A−1)下記平均組成式(2)で表され、重量平均分子量(ポリスチレン換算)500〜20000を有するオルガノポリシロキサン
(R’)aSi(OR1)b(OH)cO(4−a−b−c)/2 (2)
(式中、R’及びR1は、互いに独立に、炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である)
(A−2)下記式(3)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサン
(R2及びR3は、互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基及びフェニル基から選ばれる基であり、dは5〜50の整数である)
(A)成分は、加熱により硬化して架橋構造を形成することができる熱硬化性オルガノポリシロキサンである。該熱硬化性オルガノポリシロキサンとしては、特に制限されるものでないが、下記に示す(A−1)成分と(A−2)成分を所定の配合比率で含有してなるオルガノポリシロキサンが好ましい。
(A−1)下記平均組成式(2)で表され、重量平均分子量(ポリスチレン換算)500〜20000を有するオルガノポリシロキサン
(R’)aSi(OR1)b(OH)cO(4−a−b−c)/2 (2)
(式中、R’及びR1は、互いに独立に、炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である)
(A−2)下記式(3)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサン
(R2及びR3は、互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基及びフェニル基から選ばれる基であり、dは5〜50の整数である)
(A−1)成分は、上記式(2)で表されるレジン状(即ち、分岐状又は三次元網状構造)のオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンはヒドロキシル基を含有しており、(C)硬化触媒の存在下で、加熱下に硬化して架橋構造を形成する。
上記式(2)において、aは分子中の一価炭化水素基の含有量(即ち、分子中のケイ素原子の個数に対する一価炭化水素基の個数の比。以下、同様。)を示す。aは0.8≦a≦1.5の数であり、好ましくは0.9≦a≦1.2の数であり、より好ましくは0.9≦a≦1.1の数である。aが上記下限値未満のオルガノポリシロキサンを含む組成物は、その硬化物が硬すぎて、耐クラック性に乏しい等の問題が生じやすくなり、好ましくない。一方、aが上記上限値を超える樹脂は固形化しない。
上記式(2)において、bはオルガノオキシ基(−OR1基)の含有量を示す。bは0≦b≦0.3の数であり、好ましくは0.001≦b≦0.2の数であり、より好ましくは0.01≦b≦0.1の数である。bが上記上限値を超えると、分子量が小さくなり、耐クラック性が低下することがある。
上記式(2)において、cはSi原子に結合したヒドロキシル基(−OH基)の含有量を示す。cは0.001≦c≦0.5の数であり、好ましくは0.01≦c≦0.3の数であり、より好ましくは0.05≦c≦0.2の数である。cが上記上限値を超えたオルガノポリシロキサンは、加熱硬化時の縮合反応、及び/又は、後述する(A−2)成分のポリオルガノシロキサンとの縮合反応により、高い硬度を示す一方で耐クラック性に乏しい硬化物を与える。一方、cが上記下限値未満のオルガノポリシロキサンは、融点が高くなる傾向があり、作業性に問題が生じる場合がある。また、ヒドロキシル基を含まないと、(A−2)成分との結合生成がなくなってしまい硬化物内に固定化されないため、硬化物の硬度が低くなり、耐溶剤性が悪くなる傾向がある。cの数を上記範囲内とするためには、原料の完全縮合率を86〜96%にすることが好ましい。原料の完全縮合率が86%未満では融点が低くなり、96%を超えると融点が高くなりすぎる傾向となる。
さらにa、b及びcは、上記に加え、0.801≦a+b+c<2を満たす数であり、好ましくは0.911≦a+b+c≦1.8を満たす数であり、より好ましくは1.0≦a+b+c≦1.5を満たす数である。
上記平均組成式(2)中、R’及びR1は、互いに独立に、炭素数1〜6の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、及びイソプロピル基等のアルキル基、ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基、及びフェニル基等のアリール基が挙げられる。中でも、R1としては、原料シラン化合物の入手が容易である点で、メチル基及びイソプロピル基が好ましい。R’としてはメチル基が好ましい。
(A−1)成分のオルガノポリシロキサンは、トルエンやTHF(テトラヒドロフラン)等を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量500〜20000、好ましくは1000〜10000、より好ましくは2000〜8000を有する。重量平均分子量が上記下限値未満では、オルガノポリシロキサンが固形化しにくくなり、重量平均分子量が上記上限値を超えると、オルガノポリシロキサンの粘度が高くなりすぎるため流動性が低下して成形性が悪くなることがある。
(A−1)成分は、Q単位(SiO4/2)、T単位(RSiO3/2)、及びD単位((R)2SiO2/2)の組み合わせで表現することができる(式中、Rは、上述したR’、−OR1、または−OHで示される基)。本発明の(A−1)成分は、Q単位、T単位、及びD単位で示した時に、T単位のモル数が全シロキサン単位の総モル数に対して70モル%以上、望ましくは75モル%以上、特に80モル%以上であることが好ましい。T単位の含有量が上記下限値未満では、オルガノポリシロキサンの硬度、密着性、及び外観等のバランスが崩れる場合がある。なお、残部はD単位及びQ単位でよく、D単位及びQ単位のモル数が全シロキサン単位の総モル数に対して30モル%以下であることが好ましい。なお、本発明の(A−1)成分は、さらにM単位(RSiO1/2)を有することもできる。
上記(A−1)成分は、下記一般式(4)で示されるシラン化合物を加水分解及び縮合することにより得ることができる。
(R’)kSiX4−k (4)
式中、R’は上述の通りであり、Xは塩素等のハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、kは0、1または2である。特には、Xは、固体状のオルガノポリシロキサンを得る点から、ハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。
(R’)kSiX4−k (4)
式中、R’は上述の通りであり、Xは塩素等のハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、kは0、1または2である。特には、Xは、固体状のオルガノポリシロキサンを得る点から、ハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。
上記式(4)で示されるシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びフェニルトリエトキシシラン等のオルガノトリクロロシラン、及びオルガノトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、及びメチルフエニルジエトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、及びテトラエトキシシラン等などが挙げられる。
上記式(4)で示されるシラン化合物の加水分解及び縮合は、従来公知の方法で行えばよいが、例えば、酢酸、塩酸、硫酸等の酸触媒、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば、加水分解性基としてクロロ基を含有するシラン化合物を使用する場合は、水添加によって発生する塩化水素ガス及び塩酸を触媒として、目的とする適切な分子量の加水分解縮合物を得ることができる。
加水分解及び縮合の際に使用される水の量は、上記式(4)で示されるシラン化合物中の加水分解性基の合計量1モルに対して、0.9〜1.6モルとなる量、好ましくは1.0〜1.3モルとなる量である。水の添加量が上記範囲を満たすと、得られるシリコーン樹脂組成物は作業性に優れるものとなり、該組成物より得られる硬化物は強靭性に優れたものとなる。
上記式(4)で示されるシラン化合物は、アルコール類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等の有機溶剤中で加水分解することが好ましい。該有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、及び2−ブタノール等のアルコール類、及び、トルエン、及びキシレン等の芳香族化合物が好ましい。中でも、得られるシリコーン樹脂組成物の硬化性および硬化物の強靭性が優れたものとなるので、イソプロピルアルコール、トルエン、及びイソプロピルアルコール・トルエン併用系がより好ましい。
加水分解および縮合の反応温度は特に制限されるものでないが、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜100℃である。反応温度が上記範囲を満たすと、オルガノポリシロキサンがゲル化することなく、次の工程に使用可能な固体の加水分解縮合物となるため好ましい。
(A−2)成分は、上記式(3)で示される直鎖状ジオルガノポリシロキサン単位を有することを特徴とするオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンは低応力剤として機能する。
上記式(3)において、R2及びR3は、互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基及びフェニル基から選ばれる基であり、好ましくはメチル基及びフェニル基である。dは5〜50、好ましくは8〜40、より好ましくは10〜35の整数である。dが上記下限値未満では、硬化物の耐クラック性に乏しく、装置の反りを起こす場合がある。一方、dが上記上限値を超えると、機械的強度が不足する傾向にある。
(A−2)成分は、上記式(3)で示される直鎖状ジオルガノポリシロキサン単位に加えて、上記直鎖状ジオルガノポリシロキサン単位以外のD単位(R2SiO2/2)、M単位(R3SiO1/2)、及びT単位(RSiO3/2)を含んでいてよい。(A−2)オルガノポリシロキサンが有する全D単位(式(3)中のR2R3SiO2/2単位も含む)と、M単位と、T単位とのモル比は順に90〜24:75〜0:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、合計で100)であることが、得られる硬化物特性の点から好ましい。Rは互いに独立に上記R2及びR3で示された基と同じである。また本発明の(A−2)成分は更にQ単位(SiO2)を含んでいてよい。
(A−2)オルガノポリシロキサンが有する全シロキサン単位(即ち、RpSiO(4−p)/2で示される単位、pは0〜3の整数)のうち、好ましくは30モル%以上、特には50モル%以上のシロキサン単位が、上記一般式(3)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン単位を構成していることが好ましい。また、(A−2)成分はトルエンやTHF(テトラヒドロフラン)等を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量3,000〜100,000を有することが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000を有する。重量平均分子量が上記範囲にあると、該オルガノポリシロキサンは固体もしくは半固体状となり、作業性、硬化性などの点から好適である。
(A−2)成分は、上記各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で加水分解して縮合を行うことによって合成することができる。
T単位(RSiO3/2)の原料としては、MeSiCl3、EtSiCl3、PhSiCl3、プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類などのアルコキシシラン類などを例示できる。尚、上記においてMeはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す。
また、M単位(R3SiO1/2)、D単位(R2SiO2/2)の原料としては、Me2PhSiCl、Me2ViSiCl、MePhSiCl2、MeViSiCl2、Ph2MeSiCl、Ph2ViSiCl、PhViSiCl2等のクロロシラン類、これらのクロロシランのそれぞれに対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類などを例示することができる。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
(A−2)成分は、上述した原料化合物を所定のモル比で組合せ、例えば以下の反応で得ることが出来る。フェニルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、Si数21個の両末端クロルジメチルシリコーンオイル、及びトルエンを混合し、水中に前記混合シランを滴下し、30〜50℃で1時間共加水分解する。その後、50℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、共沸脱水、あるいは、より高分子量体を製造する場合には、25〜40℃下でのアンモニア重合を行い、濾過、減圧ストリップをする。
本発明の(A−2)成分はシラノール基を有してもよい。(A−2)成分がシラノール基を有すると上記(A−1)成分と縮合反応するため、得られる硬化物の硬度が高くなり、また耐溶剤性に優れた硬化物となる。(A−2)成分は、シラノール基含有シロキサン単位を、全シロキサン単位の総モル数に対して0.5〜10モル%、特には1〜7.5モル%で含有することが好ましい。上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、R(HO)SiO2/2単位、R(HO)2SiO1/2単位、R2(HO)SiO1/2単位が挙げられる(Rはヒドロキシル基ではない上記R2及びR3で示された基である)。
(A−1)成分と(A−2)成分の配合比率は、(A−1)成分と(A−2)成分の合計100質量部に対する(A−2)成分の質量部が0〜40質量部となる量、好ましくは1〜40質量部となる量、より好ましくは5〜30質量部となる量、更に好ましくは10〜20質量部となる量である。(A−2)成分が少なすぎると連続成形性の向上効果が少なく、また低反り性や耐クラック性を達成することが出来ないおそれがある。(A−2)成分の添加量が多いと、組成物の粘度が上昇し成形に支障をきたすことがある。
(B)無機充填剤
(B)無機充填剤は、後述する(E)白色顔料以外の充填剤である。該充填剤としては、通常シリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は3〜40μm、好ましくは5〜35μmであるのがよい。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
(B)無機充填剤は、後述する(E)白色顔料以外の充填剤である。該充填剤としては、通常シリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は3〜40μm、好ましくは5〜35μmであるのがよい。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
中でも、溶融シリカ、溶融球状シリカが好適に用いられる。樹脂組成物の成形性を向上し、高い流動性を得るためには、平均粒径4〜50μm、特には7〜35μmを有することが好ましい。また、高流動化を得るためには、0.1〜3μmの微細領域、4〜8μmの中粒径領域、及び10〜50μmの粗領域のものを組み合わせて使用するのが好ましい。
上記無機充填剤は、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、アミン系のシランカップリング剤のように150℃以上に放置した場合に処理フィラーが変色しないものが好ましい。
(B)無機充填剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、300〜1000質量部、好ましくは390〜950質量部、特には600〜950質量部が好ましい。上記下限値未満では、十分な強度を得ることができないおそれがあり、上記上限値を超えると、増粘による未充填不良や柔軟性が失われることで、素子内の剥離等の不良が発生する場合がある。特に、無機充填剤は、組成物全体の10〜90質量%、特に20〜80質量%となる量で配合することが好ましい。
(C)硬化触媒
硬化触媒は、(A)成分のシリコーン樹脂の硬化反応を促進するために使用する。該硬化触媒は熱硬化性シリコーン樹脂の硬化触媒として通常使用するものであればよく、シリコーン樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性、並びに得られる硬化物の硬度及び無黄変性などを考慮して選択される。中でも有機金属触媒が好ましく、例えば、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が挙げられる。より詳細には、安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、p−ターシャリーブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテ−トアルミニウムジ(ノルマルブチレ−ト)、アルミニウム-n-ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、及びナフテン酸錫等が挙げられる。中でも、安息香酸亜鉛が好ましい。
硬化触媒は、(A)成分のシリコーン樹脂の硬化反応を促進するために使用する。該硬化触媒は熱硬化性シリコーン樹脂の硬化触媒として通常使用するものであればよく、シリコーン樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性、並びに得られる硬化物の硬度及び無黄変性などを考慮して選択される。中でも有機金属触媒が好ましく、例えば、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が挙げられる。より詳細には、安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、p−ターシャリーブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテ−トアルミニウムジ(ノルマルブチレ−ト)、アルミニウム-n-ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、及びナフテン酸錫等が挙げられる。中でも、安息香酸亜鉛が好ましい。
硬化触媒の配合量は、(A)熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させるための有効量であればよく特に限定されないが、上記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、特に好ましくは0.1〜1.6質量部である。硬化触媒の配合量が上記範囲内であれば、硬化性が良好であり、また、組成物の貯蔵性が安定する。
(D)シランカップリング剤
本発明のシリコーン樹脂組成物は、シランカップリング剤が下記式(1)で示される構造を有する化合物(即ち、(ポリ)スルフィド構造を有するビスシラン化合物)であることを特徴とする。該シランカップリング剤は樹脂と無機充填剤との結合強度の向上、及び樹脂組成物の硬化物と金属基板との接着性の向上を目的として配合される。
(式中、R4、R7は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基であり、ただし、R4、R7で示される基のうち少なくとも1個はアルコキシ基である。R5、R6は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8の一価炭化水素基である。xは平均値として1〜6の数であり、m、nは、互いに独立に、0〜6の整数である)
本発明のシリコーン樹脂組成物は、シランカップリング剤が下記式(1)で示される構造を有する化合物(即ち、(ポリ)スルフィド構造を有するビスシラン化合物)であることを特徴とする。該シランカップリング剤は樹脂と無機充填剤との結合強度の向上、及び樹脂組成物の硬化物と金属基板との接着性の向上を目的として配合される。
上記式(1)中、R4、R7は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基である。ただしR4、R7で示される基のうち、少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上はアルコキシ基である。例えば、−Si(R4)3又は−Si(R7)3で示される基のうち、少なくとも1個がオルガノジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基であることが好ましく、最も好ましくは両方の基がトリアルコキシシリル基である。R4及びR7としては、メチル基、及びプロピル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基が挙げられ、原料の入手が容易なメチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。
上記式(1)中、R5、R6は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基が好ましい。特には、R5及びR6は水素原子であることが好ましい。
xは平均値として1〜6の数であり、好ましくはx=1である。m、nは、互いに独立に、0〜6の整数であり、好ましくはm、nのうち少なくとも1個が1〜6の整数、特には1〜3の整数である。特に、m、nのうちどちらか一方が1〜6の整数であり、他方が0であることが好ましく、m、nのうちどちらか一方が1〜3の整数であり、他方が0であることが更に好ましい。
上記式(1)で表される化合物の製造方法は特に制限されるものでなく、公知の方法に従えばよい。例えば、xが2以上の化合物の製造方法としては下記一般式
(R8)3 Si−(CR9 2)p−X
( 式中、R8はR4又はR7であり、R9はR5又はR6であり、pはmまたはnであり、X はハロゲン原子を表す)
で表される化合物と、
下記一般式
M2Sr
(式中、Mはアルカリ金属であり、好ましくはNaである。rは1〜4の数である)
で表される無水硫化アルカリ金属又は無水多硫化アルカリ金属、及び場合により硫黄と反応させることにより製造することができる。反応方法は従来公知の方法に従えばよい。
(R8)3 Si−(CR9 2)p−X
( 式中、R8はR4又はR7であり、R9はR5又はR6であり、pはmまたはnであり、X はハロゲン原子を表す)
で表される化合物と、
下記一般式
M2Sr
(式中、Mはアルカリ金属であり、好ましくはNaである。rは1〜4の数である)
で表される無水硫化アルカリ金属又は無水多硫化アルカリ金属、及び場合により硫黄と反応させることにより製造することができる。反応方法は従来公知の方法に従えばよい。
本発明の(D)シランカップリング剤は、特に、下記式(5)で表されるビスシラン化合物であることが好ましい。
(式中、x=1であり、mは1〜6の整数であり、R5は、水素原子又は炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、R4、R7は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基であり、ただし少なくとも1個のR4がアルコキシ基である)
特には、上記式(5)において、x=1であり、m=3であり、R5が水素原子であり、R4及びR7がメトキシ基又はエトキシ基であるビスシラン化合物が好ましい。
特には、上記式(5)において、x=1であり、m=3であり、R5が水素原子であり、R4及びR7がメトキシ基又はエトキシ基であるビスシラン化合物が好ましい。
上記式(5)で表される化合物は、例えば、下記式
(R4)3 Si−(CR5 2)m−SH
(式中、R4、R5、mは上述の通りである)
で表される化合物と、下記式
(R7)3 SiH
(R7は上述の通りである)
で表される化合物を、触媒を用いて反応させることにより製造することができる。反応方法は従来公知の方法に従えばよい。触媒としては、遷移金属触媒やルイス酸触媒が挙げられ、中でもロジウム触媒が好ましく、RhCl(PPh3)3触媒が更に好ましい。
(R4)3 Si−(CR5 2)m−SH
(式中、R4、R5、mは上述の通りである)
で表される化合物と、下記式
(R7)3 SiH
(R7は上述の通りである)
で表される化合物を、触媒を用いて反応させることにより製造することができる。反応方法は従来公知の方法に従えばよい。触媒としては、遷移金属触媒やルイス酸触媒が挙げられ、中でもロジウム触媒が好ましく、RhCl(PPh3)3触媒が更に好ましい。
(D)シランカップリング剤は、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の全体量に対して、0.05〜5質量%、好ましくは0.08〜3質量%、より好ましくは0.3〜2.5質量%となる量で配合するのがよい。(D)シランカップリング剤の配合量が上記上限値超では樹脂が増粘しすぎるため好ましくない。また、配合量が上記下限値未満では金属基板との接着強度及び樹脂と無機充填物との結合強度が乏しくなるため好ましくない。
(E)白色顔料
本発明のシリコーン樹脂組成物はさらに白色顔料を含有してもよい。白色顔料を含有することにより組成物の白色度が高まるため、本発明のシリコーン樹脂組成物を光半導体装置のリフレクター(反射板)等の用途に好適に使用することができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物はさらに白色顔料を含有してもよい。白色顔料を含有することにより組成物の白色度が高まるため、本発明のシリコーン樹脂組成物を光半導体装置のリフレクター(反射板)等の用途に好適に使用することができる。
本発明において白色顔料とは、(A)成分である硬化性オルガノポリシロキサンに対して5vol%となる量で添加したときに、シリコーン樹脂組成物の硬化物が450nmにおける反射率75%以上の値を示すものと定義する。上記条件において、450nmにおける反射率が75%未満の値を示すものは上述した(B)無機充填剤とする。該白色顔料としては、二酸化チタン、酸化イットリウム及び酸化ランタン等希土類酸化物、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられ、単独で又は数種の白色顔料を併用することができる。中でも、シリコーン樹脂組成物の白色度をより高めるために二酸化チタンであることが好ましい。二酸化チタンの単位格子はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のどれでも構わない。
白色顔料の平均粒径や形状は特に限定されるものでないが、平均粒径0.05〜5.0μm、好ましくは0.10〜1.0μmであるのがよい。また、白色顔料は、樹脂や無機充填剤との相溶性、分散性を高めるため、AlやSiなどの含水酸化物等で予め表面処理することができる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
(E)白色顔料は、(A)成分100質量部に対し、200質量部以下(例えば、1〜200質量部)の範囲で配合することが望ましく、より好ましくは3〜200質量部、更に好ましくは5〜150質量部が望ましい。白色顔料の配合量が上記下限値未満では、組成物が十分な白色度を有さない場合がある。また、上記上限値を超えると硬化物の機械的強度が劣るおそれがあり、また、成形性が著しく低下するおそれがある。なお、該白色顔料の配合量は、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の全体に対して1〜50質量%、望ましくは3〜30質量%となる量であるのがよい。
(F)離型剤
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上記成分(A)〜(E)に加え、離型剤を必要に応じて適宜配合できる。(F)離型剤は、成型時の離型性を高めるために機能するものである。該離型剤としては、天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックスを代表とする合成ワックスなどが挙げられるが、中でも、融点が120〜140℃であるステアリン酸カルシウムを用いることが望ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上記成分(A)〜(E)に加え、離型剤を必要に応じて適宜配合できる。(F)離型剤は、成型時の離型性を高めるために機能するものである。該離型剤としては、天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックスを代表とする合成ワックスなどが挙げられるが、中でも、融点が120〜140℃であるステアリン酸カルシウムを用いることが望ましい。
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜8.0質量部、好ましくは0.3〜5.0質量部で配合するのが良い。(F)成分の配合量が上記下限値未満であると、基材への接着効果が十分得られないおそれがあり、また上記上限値を超えると、粘度が極端に低下して、ボイドの原因になる可能性がある。また、(F)成分の配合量は、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の合計質量に対して0.2〜5.0質量%となる量、好ましくは0.5〜3.0質量%となる量であるのがよい。
その他の添加剤
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上記成分以外に更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々のシリコーンパウダー、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。また、強度や靱性向上のために無機物ウィスカー状繊維も配合することができる。無機物ウィスカー状繊維としては、ガラス繊維やホウ珪酸ガラス、ロックウールのような非晶質繊維、カーボン繊維やアルミナ繊維のような多結晶繊維、チタン酸カリウム、珪酸カルシウム、ホウ酸アルミニウムのような単結晶繊維などが挙げられ、どのタイプでも構わない。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上記成分以外に更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々のシリコーンパウダー、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。また、強度や靱性向上のために無機物ウィスカー状繊維も配合することができる。無機物ウィスカー状繊維としては、ガラス繊維やホウ珪酸ガラス、ロックウールのような非晶質繊維、カーボン繊維やアルミナ繊維のような多結晶繊維、チタン酸カリウム、珪酸カルシウム、ホウ酸アルミニウムのような単結晶繊維などが挙げられ、どのタイプでも構わない。
本発明の組成物は、上記(A)〜(D)成分及び、必要に応じて(E)成分、(F)成分、及びその他の添加剤を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して、調製することができる。本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度超の線膨張係数が30ppm/K以下、好ましくは25ppm/K以下であることが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、半導体・電子機器装置、特にはLED用の光半導体ケースとして好適に使用できる。特に、白色顔料を含有する本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、波長450nmでの光反射率が、初期値で70%以上、特に80%以上、とりわけ85%以上である。該硬化物は、180℃で24時間劣化テストした後であっても該光反射率を維持することができる。従って、リフレクター材(反射材)としての機能を有する光半導体ケースとして特に好適に使用できる。
光半導体ケースの成形方法としては、トランスファー成形法や圧縮成形法が使用できる。トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度120〜190℃で成形時間30〜500秒、特に成形温度150〜185℃で成形時間30〜180秒で行うことが好ましい。また、圧縮成形法では、コンプレッション成形機を用い、成形温度120〜190℃、成形時間30〜600秒、特に成形温度130〜160℃で成形時間120〜300秒で行うことが好ましい。更に、いずれの成形法においても、後硬化を150〜185℃で2〜20時間行ってよい。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物は半導体用封止材や車載用各種モジュールなどの封止材としても利用することができる。本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、銀やパラジウムでメッキされたリードフレームに対する高い接着力を有し、かつ高温高湿信頼性に優れるため、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。尚、以下において、重量平均分子量は下記測定条件により測定されたものである。
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK-GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK-GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
[合成例1]
メチルトリクロロシラン100g、トルエン200gを1Lのフラスコに入れ、氷冷下で水8g、イソプロピルアルコール60gの混合液を液中滴下した。内温−5〜0℃で5〜20hrかけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから室温まで冷却し、水12gを30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。更に水25gを滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後水200gをいれて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、下記平均組成式(6)で示される無色透明の固体(融点76℃、重量平均分子量3,060)36.0質量部(熱硬化性オルガノポリシロキサン(A−1))を得た。
[合成例1]
メチルトリクロロシラン100g、トルエン200gを1Lのフラスコに入れ、氷冷下で水8g、イソプロピルアルコール60gの混合液を液中滴下した。内温−5〜0℃で5〜20hrかけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから室温まで冷却し、水12gを30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。更に水25gを滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後水200gをいれて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、下記平均組成式(6)で示される無色透明の固体(融点76℃、重量平均分子量3,060)36.0質量部(熱硬化性オルガノポリシロキサン(A−1))を得た。
[合成例2]
フェニルメチルジクロロシラン100g(4.4モル%)、フェニルトリクロロシラン2100g(83.2モル%)、Si数21個の両末端クロル封鎖のジメチルポリシロキサンオイル2400g(12.4モル%)、トルエン3000gを混合し、水11000g中に混合した上記シランを滴下し30〜50℃で1時間共加水分解する。その後、30℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、下記平均組成式(7)で示される、150℃での溶融粘度5Pa.sを有し、無色透明である生成物(熱硬化性オルガノポリシロキサン(A−2))を得た(重量平均分子量3060)。該生成物はシラノール単位を有しており(下記平均組成式に示さず)、全シロキサン単位に対するシラノール基含有シロキサン単位の比率は7.1モル%であった。
フェニルメチルジクロロシラン100g(4.4モル%)、フェニルトリクロロシラン2100g(83.2モル%)、Si数21個の両末端クロル封鎖のジメチルポリシロキサンオイル2400g(12.4モル%)、トルエン3000gを混合し、水11000g中に混合した上記シランを滴下し30〜50℃で1時間共加水分解する。その後、30℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、下記平均組成式(7)で示される、150℃での溶融粘度5Pa.sを有し、無色透明である生成物(熱硬化性オルガノポリシロキサン(A−2))を得た(重量平均分子量3060)。該生成物はシラノール単位を有しており(下記平均組成式に示さず)、全シロキサン単位に対するシラノール基含有シロキサン単位の比率は7.1モル%であった。
(B)無機充填剤
溶融球状シリカ:CS−6103 53C2 平均粒径15μm(龍森(株)製)
溶融球状シリカ:CS−6103 53C2 平均粒径15μm(龍森(株)製)
(C)硬化触媒
安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(D)シランカップリング剤
[合成例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社(株)製KBE−803)238.4g(1.0mol)、RhCl(PPh3)30.069g(7.5×10−5mol)を納め、オイルバスにて90℃に加熱した。その後トリエトキシシラン(信越化学工業(株)製KBE−03)164.3g(1.0mol)を滴下した。その後、90℃にて10時間加熱撹拌し、IR測定(測定装置:NICOLET 6700 FT-IR(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製))にて原料のSi−H結合が完全に消失していることを確認し、反応を終了した。その後、減圧加熱下(0.15torr、122℃)で蒸留を行うことにより、下記式(8)で示される、純度99%を有するシランカップリング剤(D−1)を297.6g(収率83%)で得た。
(式中、Etはエチル基を意味する)
[合成例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社(株)製KBE−803)238.4g(1.0mol)、RhCl(PPh3)30.069g(7.5×10−5mol)を納め、オイルバスにて90℃に加熱した。その後トリエトキシシラン(信越化学工業(株)製KBE−03)164.3g(1.0mol)を滴下した。その後、90℃にて10時間加熱撹拌し、IR測定(測定装置:NICOLET 6700 FT-IR(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製))にて原料のSi−H結合が完全に消失していることを確認し、反応を終了した。その後、減圧加熱下(0.15torr、122℃)で蒸留を行うことにより、下記式(8)で示される、純度99%を有するシランカップリング剤(D−1)を297.6g(収率83%)で得た。
(D−2)γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン:KBE−803 (信越化学工業(株)製)
(E)白色顔料
二酸化チタン ルチル型:CR−95 平均粒径0.28μm(石原産業(株)製)
二酸化チタン ルチル型:CR−95 平均粒径0.28μm(石原産業(株)製)
(F)離型剤
ステアリン酸カルシウム (和光純薬工業(株)製)
ステアリン酸カルシウム (和光純薬工業(株)製)
[実施例1、2、及び比較例1〜3]
上記(A)〜(F)成分を表1に示す組成となるように配合し、二本熱ロールにて混合し、冷却、粉砕して熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得た。得られたシリコーン樹脂組成物の諸特性を下記に示す方法で測定した。
上記(A)〜(F)成分を表1に示す組成となるように配合し、二本熱ロールにて混合し、冷却、粉砕して熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得た。得られたシリコーン樹脂組成物の諸特性を下記に示す方法で測定した。
接着試験
20mm×20mmの銅製フレームに銀またはパラジウムメッキを施したフレーム基板上でシリコーン樹脂組成物を温度175℃,成形圧力70kgf/mm2、成形時間120秒の条件で成形し、接着用テストピースを作製した。180℃で4時間ポストキュアした後、万能ボンドテスター(DAGE SERIES 4000:DAGE社製)を用いて0.2mm/秒の速度で接着片を弾き、室温(25℃)での接着力を測定した。結果を表1に示す。
20mm×20mmの銅製フレームに銀またはパラジウムメッキを施したフレーム基板上でシリコーン樹脂組成物を温度175℃,成形圧力70kgf/mm2、成形時間120秒の条件で成形し、接着用テストピースを作製した。180℃で4時間ポストキュアした後、万能ボンドテスター(DAGE SERIES 4000:DAGE社製)を用いて0.2mm/秒の速度で接着片を弾き、室温(25℃)での接着力を測定した。結果を表1に示す。
高温高湿信頼性試験
20mm×20mmの銅製フレームに銀メッキを施したフレーム基板上にシリコーン樹脂組成物を温度175℃,成形圧力70kgf/mm2、成形時間120秒の条件で成形し、接着用テストピースを10個作製した。180℃で4時間ポストキュアした後、85℃/85%RH/96hrの条件で吸湿処理を施し、更にピーク温度260℃でのIRリフロー処理を三回施した。10個のテストピース全てにおいて剥離がないものを[○]、平均して1〜2個の剥離があるものを[△]、平均して3個以上の剥離があるものを[×]と判定して評価した。結果を表1に示す。
20mm×20mmの銅製フレームに銀メッキを施したフレーム基板上にシリコーン樹脂組成物を温度175℃,成形圧力70kgf/mm2、成形時間120秒の条件で成形し、接着用テストピースを10個作製した。180℃で4時間ポストキュアした後、85℃/85%RH/96hrの条件で吸湿処理を施し、更にピーク温度260℃でのIRリフロー処理を三回施した。10個のテストピース全てにおいて剥離がないものを[○]、平均して1〜2個の剥離があるものを[△]、平均して3個以上の剥離があるものを[×]と判定して評価した。結果を表1に示す。
光反射率
トランスファー成型機を用いて、成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm2、成型時間120秒の条件で、1辺50mm、厚さ0.35mmを有する正方形の硬化物を作成した。該硬化物の450nmでの光反射率を、エス・デイ・ジー(株)製X-rite8200を使用して測定した。結果を表1に示す。
トランスファー成型機を用いて、成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm2、成型時間120秒の条件で、1辺50mm、厚さ0.35mmを有する正方形の硬化物を作成した。該硬化物の450nmでの光反射率を、エス・デイ・ジー(株)製X-rite8200を使用して測定した。結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、銀やパラジウムでメッキされた基板、特に銀基板に対して高い接着力を有し、かつ高温高湿信頼性に優れる。したがって、該組成物の硬化物でLED用リフレクター材が封止された半導体装置が有用である。
本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、銀やパラジウムでメッキされたリードフレームに対する高い接着力を有し、かつ高温高湿信頼性に優れるため、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
Claims (7)
- (A)熱硬化性オルガノポリシロキサンが、
(A−1)下記平均組成式(2)で表され、重量平均分子量(ポリスチレン換算)500〜20000を有するオルガノポリシロキサン 60〜100質量部
(R’)aSi(OR1)b(OH)cO(4−a−b−c)/2 (2)
(式中、R’及びR1は、互いに独立に、炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である)、及び
(A−2)下記式(3)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサン 0〜40質量部
(式中、R2及びR3は、互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基及びフェニル基から選ばれる基であり、dは5〜50の整数である)
(但し、(A−1)成分及び(A−2)成分の合計は100質量部である)を含有する、請求項1に記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物。 - (C)硬化触媒が有機金属縮合触媒である、請求項1または2に記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
- (E)白色顔料をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物からなる光半導体素子ケース。
- 請求項6に記載の光半導体素子ケースを備える光半導体装置。
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