JP2019159140A - 白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物の硬化物からなる白色リフレクター - Google Patents

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吉弘 堤
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Abstract

【課題】成形時の流動性に優れ、かつ、耐熱性に優れ、低熱膨張率で硬化収縮が小さく、反りが小さい硬化物を与える白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物の硬化物からなる白色リフレクターの提供。【解決手段】下記(A)〜(E)成分を含有する白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。(A)レジン状オルガノポリシロキサン(B)直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基またはフェニル基を含むオルガノポリシロキサン(C)X線回折法により測定した30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満である無機充填材(c)(C)成分以外の無機充填材(D)白色顔料(E)硬化触媒【選択図】なし

Description

本発明は、白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物を硬化して得られる白色リフレクターに関する。
LED(Light Emitting Diode)等の光半導体素子は、街頭ディスプレイや自動車ランプ、住宅用照明など種々のインジケータや光源として広く利用されるようになっている。LED等の半導体・電子機器装置の材料のひとつとして、熱可塑樹脂のポリフタルアミド樹脂(PPA)が現在広く使用されている。
近年、輝度向上のために光半導体装置の高出力化及び演色性向上のために光の短波長化さらには高発熱化が進んでいる。このため、PPAは、強度やコストの面で有用な材料であるが、これを無着色・白色の材料として光半導体素子封止およびケースに、長期間使用すると、黄変等により、光出力低下等が起こるという問題がある。
近年、耐熱性、耐光性に優れる材料として、特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、無機充填材及び白色顔料を混合してなる樹脂組成物及びそれを利用した光半導体装置が記載されている。この場合、エポキシ樹脂としては、実質的にトリグリシジルイソシアヌレートを使用しており、PPAよりも優れた耐熱性、耐光性を有している。
さらには発光素子封止用エポキシ樹脂組成物におけるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の使用については、特許文献2〜4に記載があるが、特許文献1を含めてUVLED、白色LED、青色LEDなどの高輝度タイプのLEDでは、長期のより高い耐変色性が求められるようになっている。
より耐熱性、耐光性に優れる熱硬化性樹脂として、特許文献5には、シラノール基含有オルガノポリシロキサン、直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基含有オルガノポリシロキサン、白色顔料、シリカから成る無機充填材及び縮合触媒を含有するトランスファー成形可能な光半導体装置用シリコーン樹脂組成物が記載されている。
ここで、トランスファー成形等によりシリコーン樹脂を成形する際、樹脂の硬化収縮及びその構成材料の基板、樹脂、チップなどの物性の違いから、残留ひずみや、反り変形が発生する。この反り変形が、実装時の各種の熱プロセスを受ける過程で樹脂の界面剥離、クラックなどの原因となるため、樹脂組成物の硬化後の反り低減が重要な技術的課題となっている。
樹脂組成物の硬化後の反り低減の技術として低線膨張率化が求められており、樹脂組成物にフィラーを高充填することにより低線膨張率化することが知られている。しかしながら、従来のフィラーを高充填にして樹脂組成物を調製した場合、樹脂組成物の硬化後の反り低減に効果はあるものの成形時の溶融粘度が高くなり、成形が困難になってしまう問題が新たに生じる。特に、リフレクター用途の樹脂組成物は白色顔料を含むため、樹脂組成物におけるフィラー成分(無機充填材及び白色顔料)の含有率が高く、成形時の溶融粘度が高くなるというこの問題が顕著であった。
特開2007−129173号公報 特開2006−140207公報 特開2009−024185公報 特開2015−172104号公報 特開2011−032392号公報
かように、従来では、樹脂組成物の硬化後の反り発生の抑制を目的にフィラーを高充填量とした場合、特にフィラーを高充填する必要があるリフレクター用樹脂組成物の場合、成形時の流動性と反りの抑制を両立させることが困難であり、これらの課題が解決された光半導体装置用の成形材料が要望されている。
従って、本発明は、成形時の流動性に優れ、かつ、耐熱性に優れ、低熱膨張率で硬化収縮が小さく、反りが小さい硬化物を与える白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物の硬化物からなる白色リフレクターを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の熱膨張係数を有する無機充填材を一定の割合で含有する下記熱硬化性シリコーン樹脂組成物が、上記目的を達成できる熱硬化性シリコーン樹脂であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び該組成物の硬化物からなる白色リフレクターを提供するものである。
[1]
下記(A)〜(E)成分を含有する白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
(A)下記平均組成式(1)
(CH3aSi(OR1b(OH)c(4-a-b-c)/2 (1)
(式(1)中、R1は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20,000のレジン状オルガノポリシロキサン
(B)下記一般式(2)
Figure 2019159140
(式(2)中、R2は互いに独立にヒドロキシル基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基及びアリル基から選ばれる基であり、mは5〜50の整数を示す。)
で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基またはフェニル基を含むオルガノポリシロキサン
(C)X線回折法により測定した30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満である無機充填材
(c)(C)成分以外の無機充填材
(D)白色顔料
(E)硬化触媒
[2]
前記(C)成分の無機充填材がリン酸ジルコニウムであることを特徴とする[1]に記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
[3]
前記(C)成分、(c)成分及び(D)成分の合計に対する(C)成分の割合が1〜70質量%であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
[4]
(E)成分の硬化触媒が有機金属縮合触媒であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
[5]
前記(D)成分の白色顔料が、該表面がアルミナ処理され、さらにシリカ、アルミナ、ジルコニア、ポリオール及びシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の処理剤で処理された二酸化チタンである請求項[1]〜[4]のいずれかに記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
[6]
更に、(F)成分の離形剤、及び/又は、(G)成分のカップリング剤を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物からなる白色リフレクター。
本発明の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、耐熱性に優れるだけでなく、成形時の流動性に優れ、低熱膨張率で硬化収縮が小さく、反りが低減された硬化物を与える。従って、白色リフレクター用の熱硬化性シリコーン樹脂組成物として有用である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
(A)レジン状オルガノポリシロキサン
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)で表され、例えばテトラヒドロフラン等を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20,000のレジン状(即ち、分岐状又は三次元網目状構造の)オルガノポリシロキサンが挙げられ、後述する(E)成分の縮合反応用硬化触媒の存在下で、架橋構造を形成する。また、この平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは、後述するように、下記一般式(3)で示される加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解縮合物として得ることができる。
(CH3aSi(OR1b(OH)c(4-a-b-c)/2 (1)
上記式(1)中、R1は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基である。a、b及びcは、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。
上記平均組成式(1)において、メチル基の含有比を示すaが0.8未満のオルガノポリシロキサンを含む組成物は、その硬化物が硬すぎて、クラック耐性に乏しい等の問題が生じやすくなり好ましくない。一方、aが1.5を超えると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは固形化しにくくなり好ましくない。好ましくは、0.8≦a≦1.2、より好ましくは0.9≦a≦1.1である。
上記平均組成式(1)において、OR1基の含有比を示すbが0.3を超えると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンの分子量が小さくなりやすく、クラック耐性が低下しやすい。好ましくは0.001≦b≦0.2であり、より好ましくは0.01≦b≦0.1である。
上記平均組成式(1)において、Si原子に結合したヒドロキシル基の含有比を示すcが0.5を超えると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは加熱硬化時の縮合反応により、高い硬度を示す一方でクラック耐性に乏しくなりやすい。一方、cが0.001未満であると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは、融点が高くなる傾向があり、作業性に問題が生じる場合がある。好ましくは0.01≦c≦0.3であり、より好ましくは0.05≦c≦0.2である。cの値を制御するには、原料のアルコキシ基の完全縮合率を86〜96%にすることが好ましい。該完全縮合率が86%未満では融点が低くなり、96%を超えると融点が高くなりすぎる傾向にあるため好ましくない。
以上のことから、上記平均組成式(1)において、好ましくは0.9≦a+b+c≦1.8であり、より好ましくは1.0≦a+b+c≦1.5である。
上記平均組成式(1)中、R1は炭素原子数1〜4の有機基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基が挙げられ、原料の入手が容易である点で、メチル基及びイソプロピル基が好ましい。
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、GPC測定によるポリスチレン標準で換算した重量平均分子量が500〜20,000、好ましくは1,000〜10,000、より好ましくは2,000〜8,000である。該分子量が500未満であると、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは固形化しにくく、該分子量が20,000を超えると、得られる組成物は成形時に粘度が高くなりすぎて流動性が低下して成形性が悪くなることがある。
なお、以下本発明において重量平均分子量は下記測定条件によりGPCで測定されたものである。
<分子量測定条件>
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
上記平均組成式(1)で表される(A)成分は、一般にQ単位(SiO4/2)、T単位(CH3SiO3/2)、D単位((CH32SiO2/2)及びM単位((CH33SiO1/2)の組み合わせで表現することができる。(A)成分をこの表現法で示した時、全シロキサン単位の総モル数に対して、T単位の含有モル数の比率が70モル%以上(70〜100モル%)であることが好ましく、75モル%以上(75〜100モル%)であることがより好ましく、80モル%以上(80〜100モル%)であることが特に好ましい。単位のモル比が70モル%未満では、得られる硬化物の硬度、密着性、概観等の総合的なバランスが崩れる場合がある。なお、残部はM、D、Q単位でよく、全シロキサン単位に対するこれら単位の合計のモル比が30モル%以下(0〜30モル%)、特に0モル%を超え、30モル%以下であることが好ましい。
上記平均組成式(1)で表される(A)成分は、下記一般式(3)で示される加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解縮合物として得ることができる。
(CH3nSiX4-n (3)
上記式(3)中、Xは塩素等のハロゲン原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示し、nは0、1、2のいずれかである。
この場合、Xとしては、固体状のオルガノポリシロキサンを得る観点から、塩素原子またはメトキシ基であることが好ましい。
上記式(3)で示される加水分解性基を有するシラン化合物としては、例えばメチルトリクロロシラン等のオルガノトリクロロシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン;テトラクロロシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランなどが挙げられる。
上記加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解及び縮合は、通常の方法で行えばよいが、例えば酢酸、塩酸、硫酸等の酸触媒、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば、加水分解性基としてクロロ基を含有するシランを使用する場合は、水添加によって発生する塩化水素ガス及び塩酸を触媒として、目的とする適切な分子量の加水分解縮合物を得ることができる。
加水分解及び縮合の際に使用される水の量は、上記加水分解性基を有するシラン化合物中の加水分解性基(例としてクロロ基)の合計量1モルに対して、一般的には0.9〜1.6モルであり、好ましくは1.0モル〜1.3モルである。この使用量が0.9〜1.6モルの範囲を満たすと、後述の組成物は作業性に優れ、その硬化物は強靭性に優れたものとなりやすい。
上記加水分解性基を有するシラン化合物は、通常、アルコール類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等の有機溶剤中で加水分解することが好ましい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、又はトルエン、キシレン等の芳香族化合物が好ましく、得られる組成物の硬化性および得られる硬化物の強靭性が優れたものとなる点で、イソプロピルアルコール、トルエン、又はイソプロピルアルコール・トルエン併用系がより好ましい。
加水分解および縮合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜80℃である。反応温度がかかる範囲を満たすと、ゲル化しにくく、次の工程に使用可能な固体の加水分解縮合物、即ち(A)成分の(A)レジン状オルガノポリシロキサンが得られる。
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の組成物中、(A)成分は、6〜20質量%含有することが好ましく、7〜19質量%含有することがより好ましく、8〜17質量%含有することがさらに好ましい。
(B)オルガノポリシロキサン
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物は応力緩和やクラック耐性向上のために(B)成分として、下記式(2)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のシクロヘキシル基またはフェニル基を含むオルガノポリシロキサンを含む。
Figure 2019159140
上記式(2)中、R2は、互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基及びアリル基から選ばれる基である。R2は、好ましくはメチル基又はフェニル基である。mは5〜50、好ましくは8〜40、より好ましくは10〜35の整数である。mが5未満では、得られる硬化物はクラック耐性に乏しくなりやすく、この硬化物を含む装置に反りを起こす場合がある。一方、mが50を超えると、得られる硬化物の機械的強度が不足する傾向にある。
(B)成分は、上記式(2)で示されるD単位(R2 2SiO2/2)に加えて、上記式(2)に該当しないD単位(R2SiO2/2)、M単位(R3SiO1/2)及び/又はT単位(RSiO3/2)を含んでいてもよい。D単位:M単位:T単位のモル比はそれぞれ、90〜24:75〜9:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、これらの単位の合計は100)であることが硬化物特性の観点から好ましい。ここでRはヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基又はアリル基を示す。これらに加えて、(B)成分はQ単位(SiO4/2)を含んでもよい。(B)成分のオルガノポリシロキサンは、式(2)のD単位(R2 2SiO2/2)、式(2)に該当しないD単位(R2SiO2/2)、M単位(R3SiO1/2)及び/又はT単位(RSiO3/2)中に、シクロヘキシル基またはフェニル基を有することで、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基またはフェニル基を含む。
(B)成分のオルガノポリシロキサン中の好ましくは30モル%以上(例えば、30〜90モル%)、特には50モル%以上(例えば、50〜80モル%)が、該オルガノポリシロキサン分子中でかかる一般式(2)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン構造を形成していることが好ましい。また、(B)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は3,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。該分子量がこの範囲にあると、(B)成分は固体もしくは半固体状であり、得られる組成物の作業性、硬化性などから好適である。
(B)成分は、上記各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で加水分解して縮合を行うことによって合成することができる。
ここで、T単位(RSiO3/2)の原料としては、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のトリクロロシラン類、これらそれぞれのトリクロロシラン類に対応するトリメトキシシラン類などのアルコキシシラン類を例示できる。
上記式(2)の直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を形成するD単位(R2 2SiO2/2)の原料としては、
Figure 2019159140

(ここで、m=3〜48の整数(平均値)、n=0〜48の整数(平均値)、かつm+nが3〜48(平均値であり、各繰返し単位はブロックであってもランダムであってもよい))等を例示することができる。
また、M単位、D単位等の原料としては、Me2PhSiCl、Me2ViSiCl、Ph2MeSiCl、Ph2ViSiCl、Me2SiCl2、MeEtSiCl2、ViMeSiCl2、Ph2SiCl2、PhMeSiCl2等のモノ又はジクロロシラン類、これらのクロロシランのそれぞれに対応するモノ又はジメトキシシラン類等のモノ又はジアルコキシシラン類を例示することができる。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
これらの原料となる化合物を、所定のモル比で組み合せて、例えば以下のとおりに反応させることで(B)成分を得ることが出来る。フェニルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、Si数21個の両末端クロロジメチルシリコーンオイル、及びトルエンを反応容器に投入し、混合し、水中に混合シランを滴下し、30〜50℃で1時間共加水分解する。その後、50℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水や25〜40℃でアンモニア等を触媒として用いた重合を行い、濾過、減圧ストリップをする。
なお、上記共加水分解及び縮合により製造した(B)成分には、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれ得る。(B)成分のオルガノポリシロキサンは、かかるシラノール基含有シロキサン単位を、通常、全シロキサン単位に対して0.5〜10モル%、好ましくは1〜5モル%程度含有することが好ましい。上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、R(HO)SiO2/2単位、R(HO)2SiO1/2単位、R2(HO)SiO1/2単位が挙げられる(ここで、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基又はアリル基である)。(B)成分のオルガノポリシロキサンはシラノール基を含有するので、上記式(1)で表されるヒドロキシル基を含む(A)成分のレジン状ポリオルガノシロキサンと縮合反応する。
(B)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分との合計100質量部に対し、好ましくは(A)成分と(B)成分の比が95:5〜70:30の範囲、より好ましくは90:10〜80:20の範囲となる量である。(B)成分の配合量が少なすぎると得られる組成物の連続成形性の向上効果が少なく、また得られる硬化物に低反り性やクラック耐性を達成しにくくなる。一方、(B)成分の配合量が多過ぎると、得られる組成物の粘度が上昇しやすくなり、成形に支障をきたすことがある。
(C)X線回折法により測定した30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満である無機充填材
(C)成分の無機充填材は、X線回折法により測定した30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満であることを特徴とする。該無機充填材は、本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物の線膨張率を低化させ、硬化収縮を小さくするために配合される。この無機充填材としては、例えば、リン酸ジルコニウム系フィラーが挙げられる。該リン酸ジルコニウム系フィラーの市販品の例としては、東亞合成(株)製の「WJ1」熱膨張係数(30〜500℃):−3.5ppm/K)、東亞合成(株)製の「WH2」(熱膨張係数(30〜500℃):−2.0ppm/K)、東亞合成(株)製の「WD25」(熱膨張係数(30〜500℃):−1.0ppm/K)が挙げられる。
上記(C)成分の無機充填材の平均粒径及び形状は特に限定されないが、樹脂組成物の流動性の観点から平均粒径は0.1μm〜50μmの範囲が好ましく、0.5μm〜30μmの範囲がより好ましい。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
上記(C)成分の無機充填材の真比重は、2.5g/cm3〜4.0g/cm3の範囲が好ましく、3.0g/cm3〜3.5g/cm3の範囲がより好ましい。
上記(C)成分の無機充填材のかさ密度は、0.1cm3〜2.5g/cm3の範囲が好ましく、0.5g/cm3〜2.0g/cm3の範囲がより好ましい。
(C)成分の無機充填材は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記(C)成分の無機充填材の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総和100質量部に対し、10〜1,000質量部、特に30〜600質量部とすることが好ましい。1,000質量部を超えると、増粘による組成物への充填不良や硬化物の柔軟性が失われることで、素子内の剥離等の不良が発生する場合がある。
(c)(C)成分以外の無機充填材
本発明のシリコーン樹脂組成物は、(C)成分以外の無機充填材((c)成分)を含む。
(C)成分以外の無機充填材((c)成分)としては、通常エポキシ樹脂組成物やシリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、球状シリカ、溶融シリカ及び結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、ガラス繊維、ガラス粒子、及び三酸化アンチモン等が挙げられるが、後述する(D)成分の白色顔料(白色着色材)は含まないものとする。
前記(C)成分以外の無機充填材の種類、平均粒径及び形状は特に限定されないが、平均粒径が0.5〜40μmの球状シリカが好適に用いられる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
また、前記(C)成分以外の無機充填材は、得られる組成物の高流動化の観点から、複数の粒径範囲の無機充填材を組み合わせてもよく、このような場合では、0.1〜3μmの微細領域、3〜7μmの中粒径領域、及び10〜40μmの粗領域の球状シリカを組み合わせて使用することが好ましい。さらなる高流動化のためには、平均粒径がさらに大きい球状シリカを用いることが好ましい。
(c)成分((C)成分以外の無機充填材)は、1種単独で使用されてもよく、若しくは2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
前記(C)成分以外の無機充填材の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総和100質量部に対し、300〜1,200質量部、特に600〜1,000質量部とすることが好ましい。300質量部未満では、十分な強度を得ることができないおそれがあり、1,200質量部を超えると、増粘による組成物への充填不良や硬化物の柔軟性が失われることで、素子内の剥離等の不良が発生する場合がある。なお、(C)成分以外の無機充填材は、組成物全体の10〜90質量%、特に20〜80質量%の範囲で含有せしめることが好ましい。
(D)白色顔料
(D)成分の白色顔料は、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を光半導体装置のリフレクター(反射板)等の用途向けに必要となる白色度を高めるために、前記(C)成分及び(c)成分とは別に配合される。例えば、白色顔料としては、二酸化チタン、酸化イットリウムを代表とする希土類酸化物、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、及び酸化マグネシウム等が挙げられ、これらは単独で又は数種を併用して用いることができる。
これらのうち、(D)成分の白色顔料としては、白色度をより高めるために二酸化チタンを用いることが好ましい。この二酸化チタンの単位格子は、ルチル型、アナタース型、ブルカイト型があり、いずれも使用できるが、二酸化チタンの白色度や光触媒能の観点からルチル型を用いるのが好ましい。また、二酸化チタンの平均粒径及び形状も限定されないが、平均粒径は0.05〜5.0μmが好ましく、その中でも1.0μm以下のものがより好ましく、0.30μm以下のものが更に好ましい。上記二酸化チタンは、樹脂や無機充填材との濡れ性や相溶性及び分散性や流動性を高めるため、表面処理されたものであることが好ましく、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ポリオール、及び有機ケイ素化合物から選ばれる少なくとも1種以上、特には2種以上の処理剤で表面処理されたものであることがより好ましい。すなわち、二酸化チタンの分散性を高めるためには、アルミナ、シリカやジルコニアなどの含水酸化物等で予め表面処理された二酸化チタンが好ましい。(A)成分との濡れ性や相溶性を高めるためには、ポリオールで処理された二酸化チタンが好ましい。また、本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物から得られる硬化物の初期反射率を向上し、流動性を高めるためには、有機ケイ素化合物で処理された二酸化チタンが好ましい。有機ケイ素化合物の例としては、クロロシランやシラザン、エポキシ基やアミノ基などの反応性官能基を有するシランカップリング剤などの単量体有機ケイ素化合物、シリコーンオイルやシリコーンレジンなどのオルガノポリシロキサン等が挙げられる。なお、ステアリン酸のような有機酸など、通常、二酸化チタンの表面処理に用いられる他の処理剤を用いてもよく、上記以外の処理剤で表面処理しても、複数の処理剤で表面処理しても構わない。
なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めたものである。
また、二酸化チタンの製造方法は、硫酸法、塩素法などいずれの方法でもよいが、白色度の観点から塩素法の方が好ましい。
(D)成分の白色顔料の配合量は、(A)及び(B)成分の総和100質量部に対し、3〜300質量部が好ましく、特に5〜250質量部が好ましい。白色顔料の配合量が3質量部未満では十分な白色度が得られない場合があり、300質量部を超えると機械的強度向上の目的で添加する他成分の割合が少なくなるだけでなく、成形性が著しく低下することがある。なお、この白色顔料は、光半導体装置用の反射材のような高い白色度を必要とする用途では、熱硬化性シリコーン樹脂組成物全体に対しては1〜50質量%含有することが好ましく、3〜40質量%含有することがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(C)成分、(c)成分及び(D)成分の合計に対する(C)成分の割合は、1〜70質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが更に好ましい。この割合が1質量%未満であると、(C)成分による反り特性の改善の効果が小さく、70質量%を超えると成形時の流動性が低下するため、好ましくない。
(E)硬化触媒
(E)成分の硬化触媒は、上記(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンさらには上記(B)成分のオルガノポリシロキサンの硬化に用いるための縮合触媒であり、(A)及び(B)成分の安定性、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。該硬化触媒は、例えば、有機金属触媒として、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられ、具体的には安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテ−トアルミニウムジ(ノルマルブチレ−ト)、アルミニウム−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等が例示される。中でも、安息香酸亜鉛が好ましく使用される。
(E)成分の硬化触媒は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(E)成分の硬化触媒の配合量は、上記(A)成分及び(B)成分の総和100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、特に好ましくは0.1〜1.6質量部である。配合量がかかる範囲を満たすと、(A)成分及び(B)成分の硬化が良好であり、組成物が安定したものとなる。
なお、本発明は、上記成分に加え、下記の任意の成分を配合できる。
(F)離型剤
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、離型剤を配合することができる。(F)成分の離型剤は、成形時の離型性を高めるために配合するものであり、全組成に対して0.2〜5.0質量%含有するように添加するものである。離型剤としては、天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックスを代表とする合成ワックスなどがあるが、中でもステアリン酸カルシウムやステアリン酸エステル、さらにはそれらの混合物を用いることが好ましい。市販の離型剤としては、例えば、TOWAX131(カルナバ)等の天然ワックス;H22等のポリエチレンワックス;カオーワックス220(エステル系離型剤)、リケマールH−100、リケマールPB−100、リケマールSL−900A及びリケマールS−100A等の脂肪酸ワックス;及びルナックS−30(脂肪酸、ステアリン酸)等が挙げられる。
(G)カップリング剤
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、樹脂と無機充填材との結合強度を強くしたり、メッキされた金属基板への接着強度をさらに向上させたりするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合することができる。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、アミン系のシランカップリング剤のように150℃以上に放置した場合に硬化物が変色するものはあまり好ましくない。
その他の添加剤
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で(A)成分及び(B)成分以外のオルガノポリシロキサン、シリコーンパウダー、シリコーンオイル、アクリル樹脂のような熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光安定剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
組成物の製造方法
本発明のシリコーン樹脂組成物の製造方法としては、オルガノポリシロキサン、白色顔料、X線回折法により測定した30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満である無機充填材、硬化触媒、及び任意の成分を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕する。本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度超の熱膨張係数が30ppm/K以下、好ましくは25ppm/K以下であることが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物をリフレクターとして用いる場合の、該リフレクターの最も一般的な成形方法としては、トランスファー成形法や圧縮成形法が挙げられる。トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度120〜190℃で成形時間30〜500秒、特に成形温度150〜185℃で成形時間30〜180秒で成形を行うことが好ましい。また、圧縮成形法では、コンプレッション成形機を用い、成形温度は120〜190℃で成形時間30〜600秒、特に成形温度130〜160℃で成形時間120〜300秒で成形を行うことが好ましい。更に、いずれの成形法においても、後硬化(二次硬化)を150〜200℃で2〜20時間行ってよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。尚、以下において重量平均分子量は下記測定条件により測定されたものである。
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
(A)レジン状オルガノポリシロキサンの合成
[合成例1]
メチルトリクロロシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で水8質量部、イソプロピルアルコール60質量部の混合液を液中滴下した。内温は−5〜0℃で5〜20hrかけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。更に水25質量部を滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後水200部をいれて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、下記平均式(A−1)で示される無色透明の固体(融点76℃、重量平均分子量3,060、屈折率1.43)36.0質量部の熱硬化性オルガノポリシロキサン(A−1)を得た。
(CH31.0Si(OC370.07(OH)0.101.4 (A−1)
(B)オルガノポリシロキサンの合成
[合成例2]
フェニルメチルジクロロシラン100g(4.4モル%)、フェニルトリクロロシラン2,100g(83.2モル%)、Si数21個の両末端クロロ封鎖のジメチルポリシロキサンオイル2,400g(12.4モル%)、トルエン3,000gを混合し、水11,000g中に混合した上記シランを滴下し30〜50℃で1時間共加水分解した。その後、30℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水、ろ過、減圧ストリップをすることにより、無色透明である生成物(オルガノシロキサン(B−1))を得た。該オルガノシロキサン(B−1)はICIコーンプレートを用いた150℃での溶融粘度が5Pa・sを有し、重量平均分子量が50,000、屈折率が1.49、該シロキサンのシラノール単位は全シロキサン単位に対して3.3モル%であった。
[(Me2SiO)210.124(PhMeSiO)0.044(PhSiO1.50.832
(B−1)
(C)X線回折法により測定した30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満である無機充填材
(C−1):リン酸ジルコニウム系フィラー(ウルテア WH2:東亞合成(株)製、30〜500℃での熱膨張係数:−2.0ppm/K)
(c)(C)成分以外の無機充填材
(c−2):溶融球状シリカ(RS−8225/53C:(株)龍森製、平均粒径10μm、30〜500℃での熱膨張係数:0.5ppm/K)
(c−3):球状アルミナ(AO−509:(株)アドマテックス、平均粒径10μm、30〜500℃での熱膨張係数:7.2ppm/K)
(D)白色顔料
(D−1):二酸化チタン ルチル型(PC−3:石原産業(株)製、平均粒径0.21μm、表面処理剤:アルミナ/シリカ/シロキサン)
(E)硬化触媒
(E−1):安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(F)離型剤
(F−1):エステル系離型剤(カオーワックス220:花王(株)製)
(G)カップリング剤
(G−1):3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803:信越化学工業(株)製)
[実施例1〜3、比較例1〜3]
表1に示す配合(質量部)で、各成分を熱二本ロール溶融混合し、次いで冷却固化させ、粉砕して熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得た。これらの組成につき、以下の諸特性を測定した。結果を表1に示す。
スパイラルフロー値
EMMI規格に準じた金型を使用して、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で、上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物の成形体のスパイラルフロー値を測定した。
成形収縮率、曲げ強さ、曲げ弾性率、たわみ量(25℃)
JIS K 6911:2006記載の方法で、成形収縮率、及び25℃における曲げ強さ、曲げ弾性率、及びたわみ量を測定した。
・成形収縮率
前記規格に準じた金型を使用して、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物を成形し、180℃×4時間二次硬化した。二次硬化後の成形体を25℃まで放冷し、放冷後の成形体(試験片)の長さを電気マイクロメーターで測定した。金型に対する試験片の長さから成形収縮率を算出した。
・曲げ強さ、曲げ弾性率、たわみ量
前記成形収縮率と同じ成形条件で本試験に供する試験片を作製し、25℃で曲げ強さ、曲げ弾性率及びたわみ量を測定した。
熱膨張係数
EMMI規格に準じた金型を使用して、成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物を成形し、180℃×4時間二次硬化した。二次硬化した試験片をTMA(TMA8310リガク(株)製)により測定し、50℃〜100℃の範囲の熱膨張係数を測定した。
光反射率(初期反射率、長期耐熱性試験)
成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で、直径50mm×厚さ0.20mmの円板型硬化物を各組成物から作製し、その後、180℃×4時間の二次硬化を行い、エス・デイ・ジー(株)製X−rite8200を使用して、該硬化物の450nmでの初期光反射率を測定した。さらに二次硬化後の円板型硬化物試験片に対して180℃×168時間熱処理を行い、同様にエス・デイ・ジー(株)製X−rite8200を使用して450nmでの光反射率を測定した。
反り特性
成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で、65mm×65mm×0.5mmの銀メッキされた銅基板上に50mm×50mm×0.6mmの硬化物を作製し、その後、180℃×4時間の二次硬化を行い、反りを測定した。
Figure 2019159140
表1に示すように、本発明の樹脂組成物の成形体(硬化物)は、30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満である無機充填材であるジルコニウム系フィラーを含有することで成形時の流動性に優れ、熱膨張係数が低く、成形収縮率が小さく、反り特性も優れる。一方、30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満であるジルコニウム系フィラーを使用しない比較例1の樹脂組成物の成形体(硬化物)では反りが大きく、溶融球状シリカを高充填した比較例2の樹脂組成物の成形体(硬化物)では成形時の流動性が低下し未充填となり成形体が得られなかった。また、30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満であるジルコニウム系フィラーを使用せず、球状アルミナを使用した比較例3の樹脂組成物の成形体(硬化物)では反りが大きかった。よって、本発明の樹脂組成物の成形体は成形時の流動性に優れ、耐熱性に優れ、低熱膨張率で硬化収縮が小さく、反り特性に優れることが確認できた。従って、本発明の組成物は光半導体装置材料の白色リフレクターとして有用である。

Claims (7)

  1. 下記(A)〜(E)成分を含有する白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
    (A)下記平均組成式(1)
    (CH3aSi(OR1b(OH)c(4-a-b-c)/2 (1)
    (式(1)中、R1は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
    で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20,000のレジン状オルガノポリシロキサン
    (B)下記一般式(2)
    Figure 2019159140
    (式(2)中、R2は互いに独立にヒドロキシル基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基及びアリル基から選ばれる基であり、mは5〜50の整数を示す。)
    で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基またはフェニル基を含むオルガノポリシロキサン
    (C)X線回折法により測定した30〜500℃での熱膨張係数が0ppm/K未満である無機充填材
    (c)(C)成分以外の無機充填材
    (D)白色顔料
    (E)硬化触媒
  2. 前記(C)成分の無機充填材がリン酸ジルコニウムであることを特徴とする請求項1に記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分、(c)成分及び(D)成分の合計に対する(C)成分の割合が1〜70質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
  4. (E)成分の硬化触媒が有機金属縮合触媒であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
  5. 前記(D)成分の白色顔料が、該表面がアルミナ処理され、さらにシリカ、アルミナ、ジルコニア、ポリオール及びシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の処理剤で処理された二酸化チタンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
  6. 更に、(F)成分の離形剤、及び/又は、(G)成分のカップリング剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の白色リフレクター用熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物からなる白色リフレクター。
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