JP6403016B2 - 熱硬化性シリコーン樹脂組成物、それを用いたフォトカプラー、及びそのフォトカプラーを有する光半導体装置 - Google Patents
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(A)下記平均組成式(1)で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20,000のレジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、
(CH3)aSi(OR1)b(OH)cO(4−a−b−c)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
(B)下記一般式(2)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、全シロキサン単位に対して0.5〜10モル%のシラノール基含有シロキサン単位を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基またはフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、
(C)無機充填材:400〜1200質量部、
(D)硬化触媒:0.01〜10質量部、及び
(E)内部離型剤:0.5〜10質量部
を含み、(C)成分である無機充填材の屈折率が1.35〜1.60であることを特徴とする熱硬化性シリコーン樹脂組成物を提供するものである。
本発明はまた、該熱硬化性シリコーン樹脂組成物で封止されたフォトカプラー、更に、該フォトカプラーを有する光半導体装置を提供するものである。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)
(CH3)aSi(OR1)b(OH)cO(4−a−b−c)/2 (1)
(上記式(1)中、R1は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基である。a、b及びcは、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で表され、例えばテトラヒドロフラン等を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20,000のレジン状(即ち、分岐状又は三次元網状構造の)オルガノポリシロキサンであり、後述する(D)成分である縮合反応用の硬化触媒の存在下で、架橋構造を形成する。
なお、以下本発明において重量平均分子量は下記測定条件によりGPCで測定されたものである。
<分子量測定条件>
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
(CH3)nSiX4−n (3)
(式中、Xは塩素等のハロゲン原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示し、nは0、1、2のいずれかである。)この場合、Xとしては、固体状のオルガノポリシロキサンを得る点からは、塩素原子またはメトキシ基であることが好ましい。
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物は応力緩和や耐クラック性向上のために(B)成分として、下記式(2)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、全シロキサン単位に対して0.5〜10モル%のシラノール基含有シロキサン単位を有し、1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のシクロヘキシル基またはフェニル基を含むことを特徴とするオルガノポリシロキサンを含む。
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物には無機充填材を配合する。このような無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン、チタン酸カリウム、ガラス粒子、ガラス繊維等の通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものが挙げられる。それらの中でも、シリコーン樹脂と無機充填材との屈折率が近い方が光取出し効率が優れることから、屈折率が1.35〜1.60、より好ましくは1.40〜1.55の無機充填材を用いることが好ましい。流動性の面から球状シリカやガラス粒子が望ましく、補強性の面から破砕シリカやガラス繊維が好ましい。特に、成形性、流動性、バリ、透過率の面からみて、溶融球状シリカが好ましい。
なお、本発明において、屈折率とは、JIS K 0062:1992に準拠した方法で、アッベ型屈折率計により、温度25℃で、波長589.3nmにおいて測定した値である。
(D)成分の硬化触媒は、上記(A)及び(B)成分である熱硬化性オルガノポリシロキサンの硬化に用いるための縮合触媒であり、(A)及び(B)成分の安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。具体的には、例えば、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジシアンジアミド等の塩基性化合物類、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸等の酸性化合物類、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられ、具体的には安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテ−トアルミニウムジ(ノルマルブチレ−ト)、アルミニウム−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等の有機金属縮合触媒が例示される。中でも、安息香酸亜鉛の使用が好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物には、内部離型剤を配合する。(E)成分は、成形時の離型性を高めるために配合するものであり、組成物全体に対して0.2〜5.0質量%含有するように添加するものである。該内部離型剤としては、天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックスを代表とする合成ワックスなどがあるが、中でも融点が120〜140℃であるステアリン酸カルシウムやステアリン酸エステルを用いることが好ましい。
(F)カップリング剤
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、樹脂と無機充填材との結合強度を強くし、無機充填材とレジン成分との密着性を向上させ、成型物の強度を上げたり、二次封止用のエポキシ樹脂との接着強度を向上させたり、光の減衰を防止させするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合することができる。
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的でシリコーンパウダー、シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光安定剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
本発明の熱硬化性シリコーン組成物の製造方法としては、シリコーン樹脂、無機充填材、硬化触媒、内部離型剤、その他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して熱硬化性シリコーン樹脂組成物の成形材料とすることができる。本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度を超える温度での線膨張係数が30ppm/K以下、好ましくは25ppm/K以下であることが好ましい。
本発明に示すフォトカプラー用一次封止材の最も一般的な成形方法としては、トランスファー成形法や圧縮成形法が挙げられる。トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度120〜190℃で成形時間60〜500秒、特に成形温度150〜185℃で成形時間30〜180秒で行うことが好ましい。また、圧縮成形法では、コンプレッション成形機を用い、成形温度は120〜190℃で成形時間30〜600秒、特に成形温度130〜160℃で成形時間120〜300秒で行うことが好ましい。更に、いずれの成形法においても、後硬化を150〜185℃で0.5〜20時間行ってよい。
尚、以下本発明において重量平均分子量は下記測定条件によりGPCで測定されたものである。
<分子量測定条件>
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
[合成例1]
メチルトリクロロシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で、水8質量部とイソプロピルアルコール60質量部との混合液を液中滴下した。内温−5〜0℃の範囲で5時間かけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから該混合液を室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。これに水25質量部を滴下後、得られた反応混合物を40〜45℃の範囲で60分間撹拌した。その後、該反応混合物に水200質量部を加えて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過及び減圧ストリップをすることにより、下記平均式(A−1)で示される無色透明の固体(融点76℃、重量平均分子量3,060、屈折率1.43)のレジン状オルガノポリシロキサン(A−1)36.0質量部を得た。
(CH3)1.0Si(OC3H7)0.07(OH)0.10O1.4 (A−1)
[合成例2]
フェニルメチルジクロロシラン100g(4.4モル%)、フェニルトリクロロシラン2,100g(83.2モル%)、Si数21個の両末端クロロ封鎖のジメチルポリシロキサンオイル2,400g(12.4モル%)、トルエン3,000gを混合し、水11,000g中に混合した上記シランを滴下し、30〜50℃の範囲で1時間共加水分解した。その後、30℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水、ろ過、及び減圧ストリップをすることにより、無色透明な生成物(オルガノシロキサン(B−1))を得た。該シロキサン(B−1)はICIコーンプレートを用いた150℃での溶融粘度5Pa・sを有し、重量平均分子量50,000、屈折率1.49であった。
[(Me2SiO)21]0.124(PhMeSiO)0.044(PhSiO1.5)0.832 (B−1)
(C−1):溶融球状シリカ(商品名:RS−8225/53C、平均10μm、屈折率、1.46、(株)龍森製)
(C−2):ガラスフィラー(商品名:CF0093、平均10μm、屈折率1.50、日本フリット(株)製)
(D−1):安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(D−2):2−フェニルイミダゾール(商品名:2PZ、四国化成工業(株)製)
(E−1):エステル系ワックス(商品名:カオーワックス220、花王(株)製)
(E−2):カルナバワックス(商品名:F1−100,大日化学工業(株)製)
(F−1):3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−803、信越化学工業(株)製)
(F−2):3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業(株)製)
(G−1):トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−s:日産化学(株)製)
(G−2):オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EOCN−1020−55、日本化薬(株)製)
(G−3):ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(商品名:エピクロンHP−7200、DIC(株)製)
(H−1):ノボラック型フェノール樹脂(商品名:TD―2131、DIC(株)製)
表1、2に示す配合(質量部)で、熱二本ロールにて製造し、冷却、粉砕して熱硬化性シリコーン及びエポキシ樹脂組成物を得た。これらの組成につき、以下の諸特性を測定した。結果を表1、2に示す。
EMMI規格に準じた金型を使用して、成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で行った。
成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で、1辺50mm×厚さ0.35mmの硬化物を作成し、180℃×4時間の二次硬化を行い、エス・デイ・ジー(株)製X-rite8200を使用して740nmの光透過率を測定した。その後、175℃×300時間の熱処理を行い、同様にエス・デイ・ジー(株)製X-rite8200を使用して740nmの光透過率を測定した。
UL−94規格に基づき、1/8インチ厚の板を、成形温度175℃、成型圧力6.9N/mm2、成型時間120秒の条件で成型し、180℃で4時間ポストキュアーした。ポストキュアーした試験片の難燃性を確認した。
Claims (4)
- (A)下記平均組成式(1)で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20,000のレジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、
(CH3)aSi(OR1)b(OH)cO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
(B)下記一般式(2)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、全シロキサン単位に対して0.5〜10モル%のシラノール基含有シロキサン単位を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基またはフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、
(C)無機充填材:300〜1200質量部、
(D)硬化触媒:0.01〜10質量部、及び
(E)内部離型剤:0.5〜10質量部
を必須成分とし、(C)成分である無機充填材の屈折率が1.35〜1.60であることを特徴とする熱硬化性シリコーン樹脂組成物で封止されたフォトカプラー。 - 前記(C)成分の無機充填材が、シリカ、ガラス粒子及びガラス繊維からなる群の少なくとも1つを含む請求項1に記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物で封止されたフォトカプラー。
- (D)成分の硬化触媒が有機金属縮合触媒であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物で封止されたフォトカプラー。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトカプラーを有する光半導体装置。
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