JP2011054902A - 光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体ケース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤(但し、白色顔料を除く)、
(D)硬化触媒、
(E)離型材、
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(B)成分の白色顔料がアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されている単位格子がアナタース型構造の二酸化チタンであり、波長350〜400nmで光反射率が80%以上である光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【効果】本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、光半導体ケース形成用として使用した場合、波長350〜400nmにおいて80%以上と高い光反射率を維持する硬化物を与えるものである。
【選択図】図1
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤(但し、白色顔料を除く)、
(D)硬化触媒、
(E)離型材、
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(B)成分の白色顔料がアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されている単位格子がアナタース型構造の二酸化チタンであり、波長350〜400nmで光反射率が80%以上である光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【効果】本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、光半導体ケース形成用として使用した場合、波長350〜400nmにおいて80%以上と高い光反射率を維持する硬化物を与えるものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、白色性、耐熱性、耐光性を保持し、均一でかつ黄変が少なく、特に350〜400nm領域での反射率が80%以上である光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物並びに該組成物の硬化物からなるLED(Light Emitting Diode)用等の光半導体ケースに関する。
LED等の光半導体素子は、小型で効率よく鮮やかな色の発光をし、また半導体素子であるため球切れがなく、駆動特性に優れ、振動やON/OFF点灯の繰り返しに強い。そのため種々のインジケータや光源として利用されている。このような光半導体素子を用いた光半導体装置のケースの一つとして、ポリフタルアミド樹脂(PPA)が現在広く使用されている。
しかし、今日の光半導体技術の飛躍的な進歩により、光半導体装置の高出力化及び短波長化が著しいため、特に無着色・白色の材料として従来のPPA樹脂を用いた光半導体素子封止及びケースでは、長期間の使用による劣化が著しく、色ムラの発生や剥離、機械的強度の低下等が起こり易く、このような問題を効果的に解決することが望まれている。
更に詳述すると、特許第2656336号公報(特許文献1)には、封止樹脂が、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を構成成分とするBステージ状光半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記構成成分が分子レベルで均一に混合されている樹脂組成物の硬化体で構成される光半導体装置が記載されている。ここでは、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が主として用いられ、トリグリシジルイソシアネート等を使用し得ることも記載されている。しかし、実施例では、トリグリシジルイソシアネートがビスフェノールA又はF型エポキシ樹脂に少量添加されて使用されているもので、本発明者らの検討によれば、このBステージ状光半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、特に高温・長時間の放置で黄変するという問題がある。
特開2000−196151号公報(特許文献2)、特開2003−224305号公報(特許文献3)、特開2005−306952号公報(特許文献4)には、LED発光素子封止用エポキシ樹脂組成物におけるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の使用について記載されているが、いずれも高温・長時間の放置で黄変するという問題解決が十分ではなかった。
特開2006−140207号公報(特許文献5)には波長800〜350nmにおける光反射率が80%以上の光反射用樹脂組成物についての記載がなされているが、該組成物はエポキシ樹脂組成物であるために、高温で長時間放置された場合や、LEDがUVLED、白色LED、青色LEDなどの高輝度タイプの場合に黄変するといった問題が発生する可能性があった。
更に、特開2006−77234号公報(特許文献6)には、重量平均分子量が5×103以上のオルガノポリシロキサン及び縮合触媒を含有するLED素子封止用樹脂組成物が記載されている。しかし、このオルガノポリシロキサンは透明性を有する常温で液状のものでなければならないために、トランスファー成形や圧縮成形に適さないものである。
また更に、LEDより放出された熱はLEDパッケージなどに使用されている透明封止材やリフレクターには輝度低下の原因となっていた。そこで、350〜800nmの波長領域においても反射率が高く、かつ耐熱性を有する材料の開発が待たれていた。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、白色顔料としてアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されていて、かつ単位格子がアナタース型構造を有する酸化チタンを使用することで波長350〜400nmにおいて高い光反射率を維持する光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物並びに該組成物の硬化物からなるLED用等の光半導体ケースを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤(但し、白色顔料を除く)、
(D)硬化触媒、
(E)離型材、
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(B)成分の白色顔料がアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されている二酸化チタンで、単位格子がアナタース型構造からなるものを用いることにより、シリコーン樹脂組成物の硬化物が波長350〜400nmにおいて光反射率が80%以上であることを見出し、本発明をなすに至った。
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤(但し、白色顔料を除く)、
(D)硬化触媒、
(E)離型材、
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(B)成分の白色顔料がアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されている二酸化チタンで、単位格子がアナタース型構造からなるものを用いることにより、シリコーン樹脂組成物の硬化物が波長350〜400nmにおいて光反射率が80%以上であることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は下記に示す光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体ケースを提供する。
請求項1:
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤(但し、白色顔料を除く)、
(D)硬化触媒、
(E)離型材、
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(B)成分の白色顔料がアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されている単位格子がアナタース型構造の二酸化チタンであり、波長350〜400nmで光反射率が80%以上であることを特徴とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
請求項2:
(A)成分の熱硬化性オルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(1)
R1 aSi(OR2)b(OH)cO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で示されるシリコーンポリマーである請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項3:
(D)成分の硬化触媒が有機金属縮合触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項4:
(D)成分の有機金属縮合触媒が安息香酸亜鉛である請求項3に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項5:
(E)成分の離型材が融点120〜140℃であるステアリン酸カルシウムを含むものであり、全組成物中、0.2〜5質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項6:
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物の硬化物からなる光半導体ケース。
請求項1:
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤(但し、白色顔料を除く)、
(D)硬化触媒、
(E)離型材、
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(B)成分の白色顔料がアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されている単位格子がアナタース型構造の二酸化チタンであり、波長350〜400nmで光反射率が80%以上であることを特徴とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
請求項2:
(A)成分の熱硬化性オルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(1)
R1 aSi(OR2)b(OH)cO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で示されるシリコーンポリマーである請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項3:
(D)成分の硬化触媒が有機金属縮合触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項4:
(D)成分の有機金属縮合触媒が安息香酸亜鉛である請求項3に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項5:
(E)成分の離型材が融点120〜140℃であるステアリン酸カルシウムを含むものであり、全組成物中、0.2〜5質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
請求項6:
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物の硬化物からなる光半導体ケース。
本発明の白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、光半導体ケース形成用として使用した場合、波長350〜400nmにおいて80%以上と高い光反射率を維持する硬化物を与えるものである。そのため、本発明の組成物の硬化物にて封止されたLED用ケース、フォトカプラー等の半導体・電子機器装置は、産業上特に有用である。
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
本発明に係る(A)成分の熱硬化性オルガノポリシロキサンは、シラノール基含有オルガノポリシロキサンで、特に下記平均組成式(1)
R1 aSi(OR2)b(OH)cO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で表されるシリコーンポリマーである。
本発明に係る(A)成分の熱硬化性オルガノポリシロキサンは、シラノール基含有オルガノポリシロキサンで、特に下記平均組成式(1)
R1 aSi(OR2)b(OH)cO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で表されるシリコーンポリマーである。
ここで、R1における有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等の炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基が挙げられ、上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましく、例えばビニル基、アリール基、プロペニル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数6〜10のものがより好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、炭素数7〜10のものがより好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
また、上記非置換の1価炭化水素基の水素原子の1個又はそれ以上をハロゲン原子、シアノ基等で置換した置換1価炭化水素基であってもよい。
上記平均組成式(1)のR1は、これらの中でも、特にメチル基又はフェニル基であることが好ましい。
上記アリール基としては、炭素数6〜10のものがより好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、炭素数7〜10のものがより好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
また、上記非置換の1価炭化水素基の水素原子の1個又はそれ以上をハロゲン原子、シアノ基等で置換した置換1価炭化水素基であってもよい。
上記平均組成式(1)のR1は、これらの中でも、特にメチル基又はフェニル基であることが好ましい。
上記平均組成式(1)中、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基であり、例えばアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。また、OR2はシロキサン樹脂の末端基のうち、シラノ−ル基(Si−OH)以外の部分を示し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、原料の入手が容易なメトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。
上記平均組成式(1)中、a、b及びcは、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数であり、より好ましくは、0.9≦a≦1.3、0.001≦b≦0.2、0.01≦c≦0.3、0.911≦a+b+c≦1.8である。R1の含有量aが0.8未満では硬くなり、クラック防止性が低下し、1.5を超えると有機基が多くなって疎水性が高くなり、かつ柔らかくなるため、クラック防止効果がなくなるだけでなく、ハジキ等の概観不良が生じる。OR2の含有量bが0.3を超えると末端基量が多くなり、分子量が小さくなる傾向であるため、クラック防止性能が発現しなくなる。OHの含有量cが0.5を超えると加熱硬化時の縮合反応に関与してくる比率が高まり、高硬度ではあるが、耐クラック性に乏しくなる。cが0.001未満では、融点が高くなる傾向があり、作業性に問題が生じる。cを制御する条件としては、アルコキシ基の完全縮合率を86〜96%にすることが好ましく、86%未満では、融点が低くなり、96%を超えると融点が高くなりすぎる傾向となる。
このような上記平均組成式(1)の(A)成分は、一般に4官能シラン由来のQ単位[SiO4/2]、3官能シラン由来のT単位[R1SiO3/2(R1は上記の通り、以下同じ。)]、2官能シラン由来のD単位[R1SiO2/2]、1官能シラン由来のM単位[R1SiO1/2]の組み合わせで表現することができるが、(A)成分をこの表記法で表した時、全シロキサン単位の総モル数に対し、R1SiO3/2で表されるT単位の含有モル数の比率が70モル%以上、望ましくは75モル%以上、特に望ましくは80モル%以上であることが好ましい。T単位が70モル%未満では、硬度、密着性、概観等の総合的なバランスが崩れる場合がある。なお、残部は、M、D、Q単位でよく、これらの和が30モル%以下であることが好ましい。融点に対しては、Q及びT単位が多くなるほど融点が高くなり、D、M単位が多くなるほど、融点が低くなる傾向がある。R1SiO3/2で表されるT単位の含有モル数の比率が70モル%以上、残りの30モル%以下がD単位であることがより好ましい。
(A)成分の融点は、40〜130℃であり、好ましくは70〜80℃である。40℃未満の場合には、固体状でなくなり、固体表面のベタツキが多くなってトランスファー成形が難しくなり、130℃を超える場合は、流動性がなくなり、トランスファー成形が困難となる。
このような(A)成分は、下記一般式(2)
R1 nSiX4-n (2)
(式中、R1は上記の通りである。Xは塩素等のハロゲン原子又はアルコキシ基、特に炭素数1〜4のアルコキシ基で、nは1、2又は3である。)
で示されるオルガノシランの加水分解縮合物として得ることができる。
R1 nSiX4-n (2)
(式中、R1は上記の通りである。Xは塩素等のハロゲン原子又はアルコキシ基、特に炭素数1〜4のアルコキシ基で、nは1、2又は3である。)
で示されるオルガノシランの加水分解縮合物として得ることができる。
この場合、Xとしては、固体状のオルガノポリシロキサンを得る点からは、ハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(2)におけるnは、1〜3の整数を表す。nが2又は3である場合、即ちR1が複数ある場合、各R1は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。nは、固形状のポリシロキサンを得ることができる点で、n=1であることが好ましい。
上記一般式(2)で表されるシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノトリクロロシラン及びオルガノトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。特にメチルトリクロロシランを用いることが好ましい。また、これにフェニルトリクロロシランを併用することも有効である。
なお、これらシラン化合物は、T単位を70モル%以上含むシラノール基含有オルガノポリシロキサンを得る点から、トリクロロシランやトリアルコキシシランの使用量を選定することが好ましい。
上記加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解及び縮合は、通常の方法で行えばよいが、例えば酢酸、塩酸、硫酸等の酸触媒、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば加水分解性基としてクロル基を含有するシランを使用する場合は、水添加によって発生する塩酸を触媒として、目的とする適切な分子量の加水分解縮合物を得ることができる。
加水分解及び縮合の際に添加される水の量は、上記加水分解性基を有するシラン化合物中の加水分解性基(例えばクロル基の場合)の合計量1モル当り、通常、0.9〜1.6モルであり、好ましくは1.0〜1.3モルである。この添加量が0.9〜1.6モルの範囲を満たすと、後述の組成物は作業性が優れ、その硬化物は強靭性が優れたものとなる。
上記加水分解性基を有するシラン化合物は、通常、アルコール類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等の有機溶剤中で加水分解して使用することが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、芳香族化合物としてトルエン、キシレンが好ましく、組成物の硬化性及び硬化物の強靭性が優れたものとなるので、イソプロピルアルコール、トルエン併用系がより好ましい。
この場合、加水分解及び縮合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜100℃である。反応温度がかかる範囲を満たすと、ゲル化することなく、次の工程に使用可能な固体の加水分解縮合物が得られる。
具体的合成方法として、メチルトリクロロシランを用いる場合、トルエンに溶解したメチルトリクロロシランに、水及びイソプロピルアルコールを添加して部分加水分解(反応温度−5〜100℃)し、その後残存するクロル基の全量を加水分解する水を添加して、反応させることにより、融点76℃の固体シリコーンポリマーが得られる。
こうして目的とするオルガノポリシロキサンが得られる。このオルガノポリシロキサンの融点は、50〜100℃であり、好ましくは、70〜80℃である。50℃未満及び100℃を超えた場合には、次工程の混合作業性で混練りが難しくなる問題が発生する。
(B)白色顔料
本発明のシリコーン樹脂組成物には、白色顔料を配合する。(B)成分の白色顔料は、白色着色剤として白色度を高めるために配合するものであり、二酸化チタンを用いる。二酸化チタンの単位格子としてはルチル型、アナタース型、ブルカイト型などが挙げられるが、本発明においてはアナタース型構造のものを使用する。その平均粒径は通常0.05〜5.0μm、好ましくは0.05〜3.0μm、特に0.1〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。上記の二酸化チタンは、樹脂や無機充填剤との相溶性、分散性を高めるため、予め表面処理されるが、本発明においては、光を反射する効果において、特に350〜400nm領域の波長を80%以上反射する効果を有するアルミナ又はシリカとアルミナで処理したものを使用する。
本発明のシリコーン樹脂組成物には、白色顔料を配合する。(B)成分の白色顔料は、白色着色剤として白色度を高めるために配合するものであり、二酸化チタンを用いる。二酸化チタンの単位格子としてはルチル型、アナタース型、ブルカイト型などが挙げられるが、本発明においてはアナタース型構造のものを使用する。その平均粒径は通常0.05〜5.0μm、好ましくは0.05〜3.0μm、特に0.1〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。上記の二酸化チタンは、樹脂や無機充填剤との相溶性、分散性を高めるため、予め表面処理されるが、本発明においては、光を反射する効果において、特に350〜400nm領域の波長を80%以上反射する効果を有するアルミナ又はシリカとアルミナで処理したものを使用する。
表面処理二酸化チタンは、原料である二酸化チタンを水に分散させて水性スラリーとし、この水性スラリーに、シリカ源として、ケイ酸ナトリウムや四塩化ケイ素等、アルミナ源としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の表面処理剤を加え、二酸化チタンに表面被覆を形成し、乾燥した後、焼成、粉砕することによって得ることができる。
しかし、液中でアルミニウムの水酸化物又は含水酸化物の被覆層を緻密に形成することは困難である。被覆層を形成した後、焼成すれば、被覆層を緻密化することはできるが、微粒子粉体を焼成することは粒子同士の融着等により微粒子状態を維持できない。従って、表面活性が非常に高い二酸化チタンを完全に抑制するためにはより緻密な被膜である高密度シリカ被覆層を形成し、しかる後にアルミナ被覆層を形成するシリカ−アルミナ混合被膜を形成することが好ましい。
このよう表面被覆二酸化チタンの製造において、上記表面処理剤は、表面被覆すべき二酸化チタンに対して、それぞれシリカ及びアルミナ換算にて合わせて2質量%以上である。用いる表面処理剤の量が表面被覆すべき二酸化チタンに対してそれぞれシリカ及びアルミナ換算にて合わせて2質量%よりも少ないときは、二酸化チタンの表面被覆が不十分であって、表面活性を抑制する効果に乏しく、十分な耐光性を得ることができない。他方、用いる表面処理剤の量が表面被覆すべき二酸化チタンに対してそれぞれシリカ及びアルミナ換算にて合わせて15質量%よりも多いときは、得られる表面被覆二酸化チタンが樹脂への分散性において劣るようになる。
また、二酸化チタンに形成する表面被覆のアルミナ/シリカ質量比は、0.5〜1.1の範囲にあることが好ましい。アルミナの比率が余りに高いときは、焼成時に硬くなり、分散性が低下する。他方、アルミナの比率が余りに少ないときは、得られる表面被覆二酸化チタンは、表面活性はよく抑制されているが、樹脂に対する濡れ性が低下するので、十分な分散性を得ることができず、波長350〜400nmで光反射率が80%以上である熱硬化性シリコーン樹脂組成物が得られない。
かかる、表面被覆二酸化チタンは、特開2006−182896号公報に記載の方法により得ることができる。
このようなアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されたアナタース型二酸化チタンとしては市販品が使用され、例えば堺化学(株)製W−2568等が使用し得る。
かかる、表面被覆二酸化チタンは、特開2006−182896号公報に記載の方法により得ることができる。
このようなアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されたアナタース型二酸化チタンとしては市販品が使用され、例えば堺化学(株)製W−2568等が使用し得る。
白色顔料の充填量は、(A)成分100質量部に対し、2〜400質量部、特に10〜200質量部が好ましく、組成物全体の2〜80質量%、特に5〜50質量%が好ましい。2質量%未満では十分な白色度が得られない場合があり、80質量%を超えると著しい増粘による未充填やボイド等の成形不良の可能性がある。
(C)無機充填剤
本発明に係る(C)成分の無機充填剤は、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等が挙げられるが、上記した白色顔料(白色着色剤)は除かれる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は通常4〜50μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
特に、溶融シリカ、溶融球状シリカが好適に用いられ、その粒径は特に限定されるものではないが、成形性、流動性からみて、平均粒径は4〜50μm、特には7〜45μmが好ましい。また、高流動化を得るためには、0.1〜3μmの微細領域、4〜8μmの中粒径領域、10〜50μmの粗領域のものを組み合わせて、平均粒径4〜50μmのものを使用することが望ましい。
本発明に係る(C)成分の無機充填剤は、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等が挙げられるが、上記した白色顔料(白色着色剤)は除かれる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は通常4〜50μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
特に、溶融シリカ、溶融球状シリカが好適に用いられ、その粒径は特に限定されるものではないが、成形性、流動性からみて、平均粒径は4〜50μm、特には7〜45μmが好ましい。また、高流動化を得るためには、0.1〜3μmの微細領域、4〜8μmの中粒径領域、10〜50μmの粗領域のものを組み合わせて、平均粒径4〜50μmのものを使用することが望ましい。
全シリカ中、平均粒径0.1〜3μmの微細領域のシリカの割合が3〜20質量%、特に7〜18質量%、平均粒径4〜8μmの中粒径領域のシリカの割合が5〜40質量%、特に10〜30質量%、平均粒径10〜50μmの粗領域のシリカの割合が50〜80質量%、特に60〜70質量%であることが好ましい。この割合から外れると十分な流動性を得られなくなる場合がある。
また、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。
なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。また、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、150℃以上に放置した場合に処理フィラーが黄変しないものが好ましい。
無機充填剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、200〜1,000質量部、特に250〜950質量部が好ましい。1,000質量部を超えると、増粘による未充填不良や柔軟性が失われることで、素子内の剥離等の不良が発生する場合がある。なお、この無機充填剤は、白色顔料との合計量が白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物全体の50〜95質量%、特に75〜91質量%の範囲で含有することが好ましい。
(D)硬化触媒
本発明のシリコーン樹脂組成物で、得られたオルガノポリシロキサンを硬化させる場合には、硬化触媒(縮合触媒)と混合して組成物を調製する必要がある。この縮合触媒は、上記オルガノポリシロキサンの安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。例えば、有機金属触媒として、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられ、具体的にはオクチル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテートアルミニウムジ(ノルマルブチレート)、アルミニウム−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等が例示される。
本発明のシリコーン樹脂組成物で、得られたオルガノポリシロキサンを硬化させる場合には、硬化触媒(縮合触媒)と混合して組成物を調製する必要がある。この縮合触媒は、上記オルガノポリシロキサンの安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。例えば、有機金属触媒として、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられ、具体的にはオクチル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテートアルミニウムジ(ノルマルブチレート)、アルミニウム−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等が例示される。
硬化触媒の添加量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.0001〜10質量部、特に好ましくは0.001〜1.0質量部である。添加量がかかる範囲を満たすと、硬化性が良好であり、安定したものとなる。
(E)離型材
本発明のシリコーン樹脂組成物には、内部離型材を配合する。(E)成分の内部離型材は、成形時の離型性を高めるために配合するものであり、全組成物に対して0.2〜5質量%含有するように添加するものである。内部離型材としては、カルナバワックスをはじめとする天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステルをはじめとする合成ワックスなどがあるが、中でも融点が120〜140℃のステアリン酸カルシウムを用いるのが望ましく、高温放置下や光照射下においても、黄変性を抑え、かつ長時間に亘り良好な離型性を継続して保持する。
本発明のシリコーン樹脂組成物には、内部離型材を配合する。(E)成分の内部離型材は、成形時の離型性を高めるために配合するものであり、全組成物に対して0.2〜5質量%含有するように添加するものである。内部離型材としては、カルナバワックスをはじめとする天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステルをはじめとする合成ワックスなどがあるが、中でも融点が120〜140℃のステアリン酸カルシウムを用いるのが望ましく、高温放置下や光照射下においても、黄変性を抑え、かつ長時間に亘り良好な離型性を継続して保持する。
(F)シランカップリング剤
本発明のシリコーン樹脂組成物には、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合する。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、カップリング剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.2〜5質量部、特に0.5〜3質量部が好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物には、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合する。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、カップリング剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.2〜5質量部、特に0.5〜3質量部が好ましい。
(G)その他の添加剤
本発明の光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々のウィスカー、シリコーンパウダー、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴムを、本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
本発明の光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々のウィスカー、シリコーンパウダー、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴムを、本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
本発明の光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、必要により、フェノール系、リン系、硫黄系酸化防止剤を配合してもよいが、添加しなくても従来の熱硬化性シリコーン樹脂組成物、熱硬化性エポキシ樹脂組成物、PPAに比べて変色性は少ない。
本発明のシリコーン樹脂組成物は熱硬化性であり、例えば150〜185℃で30〜180秒の加熱により硬化するが、この場合、更に150〜180℃で2〜20時間の後硬化を行ってもよい。
本発明の(A)〜(F)成分を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化して得られた硬化物は、その波長350〜800nmでの反射率が初期値で80%以上、180℃,24時間劣化テスト後の反射率が80%以上であることは当然のこととして、波長350〜400nm領域での光反射率が初期値で80%以上、とりわけ85%以上、180℃,24時間劣化テスト後の反射率が80%以上、とりわけ85%以上であることが好ましい。反射率が80%未満であるとLED用半導体素子ケース用として、使用上、使用時間が短くなる問題が発生する。また、365nmピーク波長の高圧水銀灯を用いて24時間照射(60mW/cm)した後の反射率も80%以上、とりわけ85%以上であることが好ましい。
なお、このような反射率は、上記(A)成分として式(1)のシラノール基含有オルガノポリシロキサンを用いると共に、アルミナで表面処理されたアナタース型二酸化チタンを上述した量で配合することにより達成することができる。
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、これを成形して光半導体ケースを形成することができる。ここで、光半導体ケースは、内部に透明樹脂、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等で封止したLED等の光半導体を保持、収容するものであり、この場合、光半導体を封止した透明樹脂との接触面が反射面(リフレクター)となるものである。
従って、本発明の光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、半導体・電子機器装置、特にはLED用ケース、フォトカプラー用の封止材として有効に利用できる。
ここで、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いた半導体素子の一例であるLEDリフレクターの断面図を図1に示す。図1で示されるLEDは、化合物半導体からなる半導体素子1がリードフレーム2にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ3により別のリードフレームにワイヤボンドされている。これらの素子は透明封止樹脂4により被覆されている。更に、この封止樹脂4により被覆された半導体素子は本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物(白色リフレクターとしての光半導体ケース)5により保持(樹脂封止)されている。なお、6はレンズである。
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いた半導体素子の一例であるフォトカプラーの断面図を図2に示す。図2で示されるフォトカプラーは、化合物半導体からなる半導体素子11がリードフレーム12にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ13により別のリードフレーム(図示せず)にワイヤボンドされている。また、この半導体素子11と対向するように受光用の半導体素子14がリードフレーム15上にダイボンドされ、更にボンディングワイヤ16により別のリードフレーム(図示せず)にワイヤボンドされている。これらの半導体素子の間は透明封止樹脂17により充填されている。更に、この封止樹脂17により被覆された半導体素子11は本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物18の硬化物により樹脂封止されている。
この場合、本発明の光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物の成形封止の最も一般的な方法としては、トランスファー成形法や圧縮成形法が挙げられる。
トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度は120〜190℃で30〜500秒、特に150〜185℃で30〜180秒で行うことが好ましい。また、圧縮成形法では、コンプレッション成形機を用い、成形温度は120〜190℃で30〜600秒、特に130〜160℃で120〜300秒で行うことが好ましい。更に、いずれの成形法においても、後硬化を150〜185℃で2〜20時間行うことができる。
トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度は120〜190℃で30〜500秒、特に150〜185℃で30〜180秒で行うことが好ましい。また、圧縮成形法では、コンプレッション成形機を用い、成形温度は120〜190℃で30〜600秒、特に130〜160℃で120〜300秒で行うことが好ましい。更に、いずれの成形法においても、後硬化を150〜185℃で2〜20時間行うことができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
<熱硬化性オルガノポリシロキサンの調製>
メチルトリクロルシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で水8質量部、イソプロピルアルコール60質量部の混合液を液中滴下した。内温は−5〜0℃で5〜20時間かけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。更に水25質量部を滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後水200質量部を加えて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、無色透明の固体(融点76℃)36.0質量部のオルガノポリシロキサン(A−1)を得た(収率80%)。
(CH3)1.0Si(OC3H7)0.07(OH)0.10O1.4
メチルトリクロルシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で水8質量部、イソプロピルアルコール60質量部の混合液を液中滴下した。内温は−5〜0℃で5〜20時間かけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。更に水25質量部を滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後水200質量部を加えて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、無色透明の固体(融点76℃)36.0質量部のオルガノポリシロキサン(A−1)を得た(収率80%)。
(CH3)1.0Si(OC3H7)0.07(OH)0.10O1.4
実施例、比較例で使用した原料を以下に示す。
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
(A−1)上記で得たオルガノポリシロキサン
(B)白色顔料
(B−1)二酸化チタン(W−2568:堺化学(株)製、アルミナ−シリカ表面処理
、アナタース型、平均粒径0.29μm)
(B−2)二酸化チタン(CR−95:石原産業(株)製、アルミナ−シリカ−有機物
表面処理、ルチル型、平均粒径0.28μm)
(C)無機充填剤
(C−1)球状溶融シリカA 平均粒径45μm(MSR−4500TN:(株)龍森
製)
(C−2)球状溶融シリカB 平均粒径4μm(N−MSR−04:(株)龍森製)
(C−3)球状溶融シリカC 平均粒径0.5μm(SO−25R:(株)アドマテッ
ク製)
(D)硬化触媒
(D−1)安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(E)離型材
(E−1)ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)
(F)シランカップリング剤
(F−1)3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(KBM−803:信越化学工
業(株)製商品名)
(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン
(A−1)上記で得たオルガノポリシロキサン
(B)白色顔料
(B−1)二酸化チタン(W−2568:堺化学(株)製、アルミナ−シリカ表面処理
、アナタース型、平均粒径0.29μm)
(B−2)二酸化チタン(CR−95:石原産業(株)製、アルミナ−シリカ−有機物
表面処理、ルチル型、平均粒径0.28μm)
(C)無機充填剤
(C−1)球状溶融シリカA 平均粒径45μm(MSR−4500TN:(株)龍森
製)
(C−2)球状溶融シリカB 平均粒径4μm(N−MSR−04:(株)龍森製)
(C−3)球状溶融シリカC 平均粒径0.5μm(SO−25R:(株)アドマテッ
ク製)
(D)硬化触媒
(D−1)安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(E)離型材
(E−1)ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)
(F)シランカップリング剤
(F−1)3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(KBM−803:信越化学工
業(株)製商品名)
[実施例、比較例]
上記で調製したオルガノポリシロキサンを用い、表1に示す組成で各成分を熱2本ロールで溶融混練を行い、シリコーン樹脂組成物を得た。
得られたシリコーン樹脂組成物につき、下記方法で諸特性を測定した。
《光反射率》
175℃,6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で直径50mm×厚さ3mmの円盤(硬化物)を成形し、成形直後、180℃で24時間保管後、UV照射24時間後(365nmピーク波長の高圧水銀灯60mW/cm)の波長450nmにおける光反射率をエス・デイ・ジー(株)製X−rite8200を使用して測定した。
上記で調製したオルガノポリシロキサンを用い、表1に示す組成で各成分を熱2本ロールで溶融混練を行い、シリコーン樹脂組成物を得た。
得られたシリコーン樹脂組成物につき、下記方法で諸特性を測定した。
《光反射率》
175℃,6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で直径50mm×厚さ3mmの円盤(硬化物)を成形し、成形直後、180℃で24時間保管後、UV照射24時間後(365nmピーク波長の高圧水銀灯60mW/cm)の波長450nmにおける光反射率をエス・デイ・ジー(株)製X−rite8200を使用して測定した。
表1の実施例によれば、波長350〜400nmでの光反射率が80%以上である白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得ることができ、従って、該組成物の硬化物でLED用リフレクターが封止された半導体装置は有用であることが確認できた。
1 半導体素子
2 リードフレーム
3 ボンディングワイヤ
4 透明封止樹脂
5 白色リフレクター(熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物)
6 レンズ
11 半導体素子
12 リードフレーム
13 ボンディングワイヤ
14 半導体素子
15 リードフレーム
16 ボンディングワイヤ
17 透明封止樹脂
18 熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物
2 リードフレーム
3 ボンディングワイヤ
4 透明封止樹脂
5 白色リフレクター(熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物)
6 レンズ
11 半導体素子
12 リードフレーム
13 ボンディングワイヤ
14 半導体素子
15 リードフレーム
16 ボンディングワイヤ
17 透明封止樹脂
18 熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物
Claims (6)
- (A)熱硬化性オルガノポリシロキサン、
(B)白色顔料、
(C)無機充填剤(但し、白色顔料を除く)、
(D)硬化触媒、
(E)離型材、
(F)シランカップリング剤
を必須成分とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、(B)成分の白色顔料がアルミナ又はシリカとアルミナで表面処理されている単位格子がアナタース型構造の二酸化チタンであり、波長350〜400nmで光反射率が80%以上であることを特徴とする光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物。 - (A)成分の熱硬化性オルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(1)
R1 aSi(OR2)b(OH)cO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で示されるシリコーンポリマーである請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。 - (D)成分の硬化触媒が有機金属縮合触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物。
- (D)成分の有機金属縮合触媒が安息香酸亜鉛である請求項3に記載のシリコーン樹脂組成物。
- (E)成分の離型材が融点120〜140℃であるステアリン酸カルシウムを含むものであり、全組成物中、0.2〜5質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物の硬化物からなる光半導体ケース。
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