以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る発光装置1は、ベース2と、発光素子5と、封止材6とを備える。ベース2は、リフレクタ3と、このリフレクタ3に埋め込まれているリードフレーム4とを備える。ベース2は凹所21を有し、この凹所21の底面にリードフレーム4の一部が露出している。発光素子5は、ベース2の凹所21内に搭載されているとともにリードフレーム4に電気的に接続されている。封止材6は、ベース2の凹所21内に充填され、発光素子5を封止している。リードフレーム4の表面におけるリフレクタ3に接する領域は、Raが0.5〜1.5μmの範囲内の粗化面8を有する。また、リフレクタ3は、平均粒径9〜25μm、粒径6μm以下の粒子の割合25〜40体積%であるシリカ粉を含有する樹脂組成物(以下、組成物(X)という)の成形体である。
本実施形態に係る発光装置1では、上記のように、リードフレーム4が特定の粗度を有する粗化面8を有するだけでなく、更にリフレクタ3が特定の粒度を有するシリカ粉を含有する組成物(X)の成形体であることで、リフレクタ3とリードフレーム4との間の高い密着性が実現できる。このため、封止材6を作製するために凹所21内に樹脂、蛍光物質などの材料を配置しても、このような材料がリフレクタ3とリードフレーム4との間を通じて外部へ漏出しにくい。これにより、発光素子5を封止材6で十分に保護できる。また、封止材6中の蛍光物質の本来の濃度を維持して封止材6の所期の波長変換性能を維持することもできる。また、リフレクタ3とリードフレーム4との間を水分が通過しにくくなることから、外部から侵入した水分が発光素子5へ到達することが抑制される。このため水分による発光素子5の劣化が抑制される。
本実施形態に係る発光装置1について、更に詳しく説明する。
まず、発光装置1の構造について説明する。
図1は、本実施形態に係る発光装置1の断面図を示し、図2は発光装置1におけるベース2の破断した斜視図を示し、図3Aは発光装置1におけるリードフレーム4の平面図を、図3Bはこのリードフレーム4の底面図をそれぞれ示す。
ベース2は、リフレクタ3と、リフレクタ3に埋め込まれているリードフレーム4とを備える。
リードフレーム4は、第一面43と、第一面43とは反対側にある第二面44とを有する。リードフレーム4は、第一面43に沿った一方向に間隔をあけて並んでいる第一のリード41及び第二のリード42を備える。第一のリード41及び第二のリード42の各々の第二面44側の外周縁には、その全周にわたって、段45が形成されている。なお、本実施形態ではこのようにリードフレーム4には段45が形成されているが、段45が形成されていなくてもよい。
本実施形態では、リフレクタ3は、リフレクタ部31と絶縁部32とを備える。リフレクタ部31は筒状であり、リードフレーム4の第一面43から突出するように形成されている。絶縁部32は、第一のリード41及び第二のリード42の間に介在して両者を電気的に絶縁するとともに、第一のリード41及び第二のリード42の各々の段45とかみ合っている。また、リフレクタ3は、リードフレーム4の外周部で、段45とかみ合っている。これにより、リードフレーム4はリフレクタ3に埋め込まれ、リフレクタ3で支持されている。筒状のリフレクタ部31で囲まれた内側が、ベース2の凹所21を構成している。凹所21の内径は、凹所21の開口に向かうほど大きくなっており、そうなるようにリフレクタ部31の内周面が傾斜している。このため、発光素子5から発せられる光が、リフレクタ部31の内周面で反射しやすくなり、その結果、発光装置1が高い光の取り出し効率を有することができる。凹所21の底面では、第一のリード41及び第二のリード42が露出し、これにより、凹所21の底面ではリードフレーム4の第一面43の一部が露出している。凹所21の底面では絶縁部32も露出している。リードフレーム4の第二面44は、段45を除き、外部に露出している。
ベース2の凹所21内に搭載されている発光素子5は、例えば図1に示すように、凹所21内の第一のリード41上に配置され、ワイヤー71及びワイヤー72で第一のリード41及び第二のリード42とそれぞれ電気的に接続される。これにより、発光素子5はリードフレーム4に電気的に接続されている。
凹所21内には、封止材6が充填されており、この封止材6が発光素子5を封止している。封止材6は、例えばシリコーン樹脂などから作製される。また、封止材6は、発光素子5が発する光を波長変換するための蛍光物質を含有してもよい。
本実施形態では、リードフレーム4は金属製であり、例えば銅又は銅合金から作製される。リードフレーム4は、めっき法などで形成された金属被膜を備えてもよい。金属被膜は、例えば銀被膜又は金被膜であるが、これに限られない。リードフレーム4が特に銀被膜を有すると、リードフレーム4とリフレクタ3との密着性は特に高くなる。銀被膜の厚みは、例えば1〜10μmの範囲内である。
上述の通り、リードフレーム4の表面におけるリフレクタ3に接する領域は、Raが0.5〜1.5μmの範囲内の粗化面8を有する。なお、Raとは、JIS B0601:2001で規定される算術平均高さのことである。
粗化面8は、例えば第一面43におけるリフレクタ部31と接する領域に形成される。第一面43における粗化面8は、凹所21の底面を囲むように、帯状に形成されていることが好ましい。この場合、凹所21内から外部への樹脂、蛍光物質等の漏出が効果的に抑制される。
第一面43における粗化面8の幅は、60〜80μmの範囲内であることが好ましい。粗化面8の幅が60μm以上であれば、粗化面8によって、リフレクタ3とリードフレーム4との間の密着性が、特に向上する。また、粗化面8の幅が80μmより大きくなると、レーザ加工に要する手間が多くなる割に、密着性向上の効果はほぼ飽和してしまう。
粗化面8は、第二面44における段45に形成されてもよい。この場合、リフレクタ3が段45にかみ合うとともにこの段45において粗化面8に接することで、リフレクタ3とリードフレーム4との密着性がより高くなる。段45における粗化面8の幅は、段45の寸法にも依存するが、例えば30〜50μmの範囲内である。
本実施形態の好ましい一態様では、リードフレーム4が銀被膜を備え、この銀被膜に粗化面8が形成されている。この場合、リードフレーム4とリフレクタ3との密着性は特に高くなる。
粗化面8は、例えばリードフレーム4における粗化面8を形成すべき位置にレーザ加工を施すことで形成される。すなわち、例えば粗化面8は、レーザ加工痕からなる。レーザ加工で粗化面8を形成する場合に用いられるレーザ種は、例えばFAYbレーザ又はYAGレーザであるが、これらに限られない。レーザの照射条件は、YAGレーザを用い、銀被覆を有するリードフレーム4にレーザ加工を施す場合には、発振波長が950〜1100nmの範囲内、好ましくは1000〜1070nmの範囲内であり、ピーク出力が例えば8kW以上、好ましくは10kW以上であるが、これに限られず、レーザの種類、リードフレーム4の材質などの条件に応じて、適宜設定される。
本実施形態におけるリフレクタ3は、上述の通り、組成物(X)の成形体である。組成物(X)は、例えば成形用樹脂と、充填材とを含有する。
成形用樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とのうちいずれでもよい。成形用樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、PCT樹脂といった、適宜の樹脂を含有できる。
特に成形用樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂とシリコーン樹脂とのうち少なくとも一方を含有することが好ましい。これらの樹脂の硬化物は本来的には金属との密着性が低い。しかし、成形用樹脂が不飽和ポリエステル樹脂とシリコーン樹脂とのうち少なくとも一方を含有しても、本実施形態のようにリードフレーム4が特定の粗度を有する粗化面8を有するとともにリフレクタ3が特定の粒度を有するシリカ粉を含有する組成物(X)の成形体であれば、そうでない場合と比べて、リフレクタ3とリードフレーム4との密着性が特に向上する。
組成物(X)に配合されうる不飽和ポリエステル樹脂について説明する。
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステル(A)からなり、又は不飽和ポリエステル(A)と架橋剤(B)とからなる。
不飽和ポリエステル(A)は、カルボン酸(a1)とアルコール(a2)との共重合体である。すなわち、不飽和ポリエステル(A)は、カルボン酸(a1)の残基とアルコール(a2)の残基とを備える。
カルボン酸(a1)は、例えば、フマル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘット酸及びテトラブロムフタル酸からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
アルコール(a2)は、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサン1,4―ジメタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド化合物、ジブロムネオペンチルグリコール、及びトリメチロールプロパンジアリルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
本実施形態の好ましい一態様では、カルボン酸(a1)はフマル酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含有し、アルコール(a2)は1,6−ヘキサンジオールを含有する。この場合、不飽和ポリエステル(A)は、結晶性を有することができる。そのため、不飽和ポリエステル(A)を含有する組成物(X)の常温での保存安定性が向上するとともに、溶融時の粘度が低減する。そのため組成物(X)の成形時の流動性が高くなり、例えば組成物(X)がトランスファ成形法により成形される際の成形性が向上する。また、組成物(X)から作製される成形体であるリフレクタ3の耐変色性が向上する。すなわち、リフレクタ3が加熱された場合及びリフレクタ3に光が照射された場合に、リフレクタ3が変色しにくい。さらに、リフレクタ3の曲げ弾性率が低減される。これにより、リフレクタ3の耐クラック性が向上する。これにより、リフレクタ3は、たとえ小型であっても、高い耐変色性と高い耐クラック性とを有することができる。カルボン酸(a1)全体に対する、フマル酸と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸との合計量は、99質量%以上であることが好ましい。フマル酸と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸との質量比は、63:27〜81:19の範囲内であることが好ましい。この場合、不飽和ポリエステル(A)は適度な量のエチレン性不飽和結合を有し、このため組成物(X)の溶融時の流動性が良好になるとともに熱硬化性も良好になる。アルコール(a2)全体に対する1,6−ヘキサンジオールの量は、99質量%以上であることが好ましい。
不飽和ポリエステル(A)のガラス転移温度は30〜50℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移温度が30℃以上であると、組成物(X)の保存安定性が特に高くなる。すなわち、例えば組成物(X)が粒状に粉砕されてから保管される場合、夏場などの高温時に組成物(X)の粒子同士が融着することが抑制される。また、ガラス転移温度が50℃より高くなると、それに伴って不飽和ポリエステル(A)の融点が高くなりすぎるおそれがある点で好ましくない。不飽和ポリエステル(A)のガラス転移温度は、構成成分の組成比率や分子量を調整することで容易に調整可能である。
不飽和ポリエステル(A)の融点は70〜100℃の範囲内であることが好ましい。融点が100℃以下であると、組成物(X)の調製のための加熱混練時に、硬化反応を進行させることなく不飽和ポリエステル(A)を溶融させることが容易となる。このため、硬化物を含まない組成物(X)を容易に調製できる。また、融点が70℃以上であることで、リフレクタ3などの成形品の光反射率の低下が抑制される。その理由は次の通りであると推察される。不飽和ポリエステル(A)の融点が低いと、組成物(X)が粉砕装置で粉砕される際に、粉砕装置が発する熱や摩擦熱等で不飽和ポリエステル(A)が溶融し、組成物(X)が部分的に溶融状態となってしまう。このように部分的に溶融状態となった組成物(X)が粉砕装置における回転翼等の金属部品と衝突すると、組成物(X)が金属部品と接触した状態で擦れ合いやすくなる。組成物(X)中の充填材等の硬質な成分と、金属部品とが擦れ合うと、金属部品から金属粉が生じてこれが成形材料に混入しやすくなる。この金属粉が、リフレクタ3の光反射率の低下を引き起こすと考えられる。これに対し、不飽和ポリエステル(A)の融点が70℃以上であると、組成物(X)が粉砕装置で粉砕される際に不飽和ポリエステル(A)が溶融しにくくなる。そうすると、組成物(X)が回転翼等の金属部品と衝突した際に、組成物(X)が速やかに粉砕されやすくなる。このため、組成物(X)と金属部品との擦れ合いが生じにくくなる。この結果、組成物(X)中へ金属粉が混入しにくくなり、成形品の光反射率の低下が抑制される。
さらに、不飽和ポリエステル(A)が70〜100℃の範囲内の融点を有すると、組成物(X)に、特に優れた成形時の流動性を付与できる。このため組成物(X)がトランスファ成形法で成形される場合でも成形性が向上する。
不飽和ポリエステル(A)のヨウ素価は、75〜100の範囲内であることが好ましい。この場合、不飽和ポリエステル(A)は溶融時に特に良好な流動性を有するとともに、良好な熱硬化性を有する。このため、組成物(X)の成形時の流動性、熱硬化性、成形性、及び離型性が良好になる。なお、ヨウ素価の値は、カルボン酸(a1)における、フマル酸と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸との質量比を調整することで、容易に調整できる。
不飽和ポリエステル(A)の、150℃でのICI粘度(高剪断粘度)は、0.1〜5Pa・sの範囲内であることが好ましく、0.5〜3Pa・sの範囲内であれば更に好ましい。この場合、成形時に組成物(X)に適度な流動性が付与され、成形性が特に良好になるとともにバリの発生が効果的に抑制される。不飽和ポリエステル(A)のICI粘度は、不飽和ポリエステル(A)の組成を適宜調整することで、容易に調整可能である。
架橋剤(B)は、不飽和ポリエステル(A)の不飽和結合と反応することで架橋構造を構築する成分である。架橋剤(B)は、例えば、ビニル系の重合性モノマー、メタクリレート系の重合性モノマー、アクリレート系の重合性モノマー、及びプレポリマーからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。プレポリマーは、例えばビニル系の重合性モノマー、メタクリレート系の重合性モノマー及びアクリレート系の重合性モノマーからなる群から選択される少なくとも一種の化合物の重合体である。ビニル系の重合性モノマーは、例えばスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル及び酢酸ビニルからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。メタクリレート系及びアクリレート系の重合性モノマーは、例えばジアリルフタレート、イソジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
特に架橋剤(B)は、150℃以上の沸点を有する化合物を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)からの架橋剤(B)の揮発が抑制される。このため、組成物(X)からの臭気の発生が抑制されて、作業環境が改善される。また、組成物(X)の組成の安定性が高くなる。
架橋剤(B)は、150℃以上の沸点を有する化合物として、ジアリルフタレート、イソジアリルフタレート、ジエチレングリコールジアクリレート、及びこれらの化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物の重合体からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが、特に好ましい。なお、150℃以上の沸点を有する化合物には、常圧下では沸騰せず、かつ150℃以上の熱分解温度を有する化合物も含まれる。
架橋剤(B)は、ジアリルフタレートモノマー及びトリアリルシアヌレートのうち少なくとも一方の化合物を含有することも好ましい。この場合、揮発温度が高いことによる効果が得られるだけでなく、組成物(X)がトランスファ成形法等の型成形法で成形される場合に型汚れが抑制される。
不飽和ポリエステル樹脂が架橋剤(B)を含有する場合、不飽和ポリエステル(A)と架橋剤(B)との合計量に対する、架橋剤(B)の量は、2〜15質量%の範囲内であれば特に好ましい。この量が2質量%以上であることでリフレクタ3などの成形品のガラス転移点が特に高くなる。またこの量が15質量%以下であれば成形品の耐熱変色性が特に高くなる。
組成物(X)が不飽和ポリエステル樹脂を含有する場合、組成物(X)は、更に硬化触媒を含有してもよい。この場合、不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応が促進される。このため、組成物(X)の成形性と成形品の形状安定性とが向上する。硬化触媒は、例えば硬化促進剤と重合開始剤とのうち少なくとも一方を含有する。
重合開始剤は、例えば加熱分解型の有機過酸化物を含有できる。有機過酸化物は、例えばt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、及びジクミルパーオキサイドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
重合開始剤は、特に10時間半減期温度が100℃以上の有機過酸化物を含有することが好ましい。具体的には、重合開始剤は、ジクミルパーオキサイドを含有することが好ましい。重合開始剤がこのような有機過酸化物を含有すると、成形品の経時的な反射率低下が更に抑制される。
不飽和ポリエステル樹脂全体に対する有機過酸化物の量は、1〜3質量%の範囲内であることが好ましい。この量が1質量%以上であると、不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応を効果的に促進できる。また、この量が3質量%以下であると、成形時間の過度の短縮化を抑制し、リフレクタ3などの成形品におけるカスレなどの不良を抑制できる。
組成物(X)が不飽和ポリエステル樹脂を含有する場合、組成物(X)は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤は、例えば、キノン類、フェノール系化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。キノン類の例は、ハイドロキノン、モノメチルエーテルハイドロキノン、トルハイドロキノン、ジ−t−4−メチルフェノール、フェノチアジン、t−ブチルカテコール、パラベンゾキノン、及びピロガロールを含む。フェノール系化合物は、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、及び1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
組成物(X)に配合されうるシリコーン樹脂について説明する。
シリコーン樹脂は、例えば縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂、ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂、付加反応硬化型シリコーン樹脂、及び無機酸化物含有シリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂は、縮合反応及び付加反応によって硬化することができる。縮合反応は例えば、シラノール縮合反応であり、付加反応は例えばエポキシ開環反応又はヒドロシリル化反応である。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂は、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物及びオルガノハイドロジェンシロキサンを含有する。
シラノール基両末端ポリシロキサンは、分子の両末端にシラノール基(SiOH基)を含有するオルガノシロキサンである。シラノール基両末端ポリシロキサンは、例えば下記式(1)で示される。
HO−Si(R1)2−O−[Si(R1)2−O]n−Si(R1)2−OH …(1)
式(1)中、R1は、各々独立に、1価の飽和炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基である。R1は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基といった、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基といった、炭素数3〜6のシクロアルキル基;又は、フェニル基、ナフチル基といった、炭素数6〜10のアリール基である。
式(1)中、nは、1以上の整数である。nは、好ましくは1〜10000の整数、更に好ましくは、1〜1000の整数である。
シラノール基両末端ポリシロキサンの例は、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、シラノール基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、及びシラノール基両末端ポリジフェニルシロキサンを含む。シラノール基両末端ポリシロキサンの数平均分子量は、例えば100〜1000000の範囲内、好ましくは200〜100000の範囲内である。シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基当量は、例えば0.002〜25mmol/gの範囲内、好ましくは0.02〜25mmol/gの範囲内である。
シラノール基両末端ポリシロキサンの量は、シリコーン樹脂100質量部に対して、例えば1〜99.99質量部の範囲内、好ましくは50〜99.9質量部の範囲内、更に好ましくは80〜99.5質量部の範囲内である。
エチレン系ケイ素化合物は、エチレン系不飽和炭化水素基と、シラノール縮合反応における脱離基とを有するシラン化合物である。エチレン系ケイ素化合物は、例えば下記式(2)で示される。
R2−Si(X1)3 …(2)
式(2)中、R2は、1価のエチレン系不飽和炭化水素基である。R2は、例えば置換又は非置換のエチレン系不飽和炭化水素基であり、より具体的には、例えばアルケニル基又はシクロアルケニル基である。アルケニル基の炭素数は2〜10が好ましく、2〜5が更に好ましい。アルケニル基の例は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、及びオクテニル基を含み、特にビニル基が好ましい。シクロアルケニル基の例は、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基といった、炭素数3〜10のシクロアルケニル基を含む。
式(2)中、X1は、シラノール縮合反応における脱離基であり、SiX1基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。X1は、例えば各々独立にハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、又はアセトキシ基である。ハロゲン原子は、例えば、臭素、塩素、フッ素、又はヨウ素である。アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基といった、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するアルコキシ基、並びにシクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基といった、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するアルコキシ基を含む。X1は、特にアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基であれば特に好ましい。
このようなエチレン系ケイ素化合物は、例えばエチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリハロゲン化シラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリフェノキシシラン、及びエチレン系不飽和炭化水素基含有トリアセトキシシランからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。特に、エチレン系ケイ素化合物がエチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランを含有することが好ましい。
エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランの例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシランといったビニルトリアルコキシシラン;アリルトリメトキシシラン;プロペニルトリメトキシシラン;ブテニルトリメトキシシラン;並びにシクロヘキセニルトリメトキシシランを含む。エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランは、ビニルトリアルコキシシランを含有することが好ましく、ビニルトリメトキシシランを含有すれば特に好ましい。
エチレン系ケイ素化合物の量は、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂100質量部に対して、例えば0.01〜90質量部の範囲内、好ましくは0.01〜50質量部の範囲内、更に好ましくは0.01〜10質量部の範囲内である。
エポキシ基含有ケイ素化合物は、エポキシ基と、シラノール縮合反応における脱離基とを有するシラン化合物ある。エポキシ基含有ケイ素化合物は、例えば下記式(3)で示される。
R3−Si(X2)3 …(3)
式(3)中、R3は、エポキシ基を有する基である。R3は、例えばグリシジルエーテル基、又はエポキシシクロヘキシル基といったエポキシシクロアルキル基であり、好ましくはグリシジルエーテル基である。
グリシジルエーテル基は、例えば下記式(4)で示されるグリシドキシアルキル基である。
−[R4−O−Gr] …(4)
式(4)中、Grはグリシジル基(C3H3O)である。R4は2価の炭化水素基であり、例えば飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。飽和炭化水素基の例は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基といった炭素数1〜6のアルキレン基、並びにシクロアルキレン基(シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基といった炭素数3〜8を含む。芳香族炭化水素基の例は、フェニレン基、ナフチレン基といった炭素数6〜10のアリーレン基を含む。R4は炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、プロピレン基であれば特に好ましい。
グリシジルエーテル基は、例えばグリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシシクロヘキシル基、又はグリシドキシフェニル基であり、好ましくはグリシドキシプロピル基である。
式(3)中、X2はシラノール縮合反応における脱離基であり、SiX2基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。X2は、例えば各々独立にハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、又はアセトキシ基である。ハロゲン原子は、例えば、臭素、塩素、フッ素、又はヨウ素である。アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基といった、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するアルコキシ基、並びにシクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基といった、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するアルコキシ基を含む。X2は、特にアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基であれば特に好ましい。
エポキシ基含有ケイ素化合物は、例えばエポキシ基含有トリアルコキシシラン、エポキシ基含有トリハロゲン化シラン、エポキシ基含有トリフェノキシシラン、及びエポキシ基含有トリアセトキシシランからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。エポキシ基含有ケイ素化合物は、特にエポキシ基含有トリアルコキシシランを含有することが好ましい。エポキシ基含有トリアルコキシシランの例は、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランといったグリシドキシアルキルトリメトキシシラン;(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン;(3−グリシドキシプロピル)トリプロポキシシラン;並びに(3−グリシドキシプロピル)トリイソプロポキシシランを含む。エポキシ基含有トリアルコキシシランは、グリシドキシメチルトリアルコキシシランを含有することが好ましく、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランを含有すれば特に好ましい。
エポキシ基含有ケイ素化合物の量は、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂100質量部に対して、例えば0.01〜90質量部の範囲内、好ましくは0.01〜50質量部の範囲内、更に好ましくは0.01〜1質量部の範囲内である。
エチレン系ケイ素化合物の有する反応性官能基であるSiX1基とエポキシ基含有ケイ素化合物の有する反応性官能基であるSiX2基との合計に対する、シラノール基両末端ポリシロキサンの有するシラノール基SiOH基のモル比の値は、例えば20/1〜0.2/1の範囲内であり、好ましくは10/1〜0.5/1の範囲内であり、特に好ましくは実質的に1/1である。また、エポキシ基含有ケイ素化合物に対する、エチレン系ケイ素化合物のモル比の値は、例えば10/90〜99/1の範囲内であり、好ましくは50/50〜97/3の範囲内であり、更に好ましくは80/20〜95/5の範囲内である。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有するオルガノシロキサンであり、例えば水素側鎖含有オルガノポリシロキサンと水素両末端オルガノポリシロキサンとのうち少なくとも一方を含有する。
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンは、主鎖から分岐する側鎖として水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキサンである。水素側鎖含有オルガノポリシロキサンの例は、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサンを含む。水素側鎖含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば100〜1000000の範囲内である。
水素両末端オルガノポリシロキサンは、主鎖の両末端に水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキサンであり、例えばヒドロシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、及びヒドロシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。水素両末端オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば100〜1000000の範囲内であり、好ましくは100〜100000の範囲内である。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンを含有することが好ましく、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンを含有すれば更に好ましい。
オルガノハイドロジェンシロキサンの25℃におけるB型粘度計で測定される粘度は、例えば10〜100000mPa・sの範囲内であり、好ましくは20〜50000mPa・sの範囲内である。また、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基当量は、例えば、0.1〜30mmol/gの範囲内であり、好ましくは1〜20mmol/gの範囲内である。
オルガノハイドロジェンシロキサンの量は、例えばエチレン系ケイ素化合物100質量部に対して10〜10000質量部の範囲内、好ましくは100〜1000質量部の範囲内である。また、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基SiH基に対する、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基R2のモル比の値は、例えば20/1〜0.05/1の範囲内、好ましくは20/1〜0.1/1の範囲内、更に好ましくは10/1〜0.1/1の範囲内、とりわけ好ましくは10/1〜0.2/1の範囲内、最も好ましくは5/1〜0.2/1の範囲内である。なお、モル比の値が1/1未満又は0.05/1以上であってもよい。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂は、上記のシラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物及びオルガノハイドロジェンシロキサンを、触媒とともに配合して、攪拌混合することにより調製される。
触媒は、例えば縮合触媒と付加触媒(ヒドロシリル化触媒)とのうち少なくとも一方を含有する。
縮合触媒は、シラノール基と反応性官能基であるSiX1基及びSiX2基との縮合反応を促進させる。縮合触媒は、例えば塩酸、酢酸、ギ酸、硫酸といった酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムといった塩基:並びにアルミニウム、チタン、亜鉛、スズといった金属からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。縮合触媒は塩基を含有することが好ましく、水酸化テトラメチルアンモニウムを含有すればより好ましい。縮合触媒の量は、シラノール基両末端ポリシロキサン100モルに対して、例えば、0.1〜50モルの範囲内、好ましくは0.5〜5モルの範囲内である。
付加触媒は、付加反応、つまりエチレン系不飽和炭化水素基とSiHとのヒドロシリル化反応を促進させる。付加触媒は、例えば白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金一カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートといった白金触媒、並びにパラジウム触媒、ロジウム触媒といった金属触媒からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。付加触媒は、白金触媒を含有することが好ましく、白金−カルボニル錯体を含有すれば更に好ましい。付加触媒の量は、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して、付加触媒に含まれる金属量が例えば1.0×10-4〜1.0質量部の範囲内、好ましくは1.0×10-4〜0.5質量部の範囲内、更に好ましくは1.0×10-4〜0.05質量部の範囲内になる量である。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂を調製するには、上記の縮合原料及び付加原料と触媒とを配合し、必要に応じて加熱しながら混合する。触媒は、そのまま配合してもよく、取扱性の観点から溶媒に溶解又は分散させてから配合してもよい。溶媒は、例えば水、又はメタノール、エタノールなどのアルコールである。
ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂は、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサンと、ヘテロ原子錯体とを含有する。
シラノール基両末端ポリシロキサンは、例えば、上記式(1)で示されるシラノール基両末端ポリシロキサンと同じでよい。
ヘテロ原子錯体は、例えばSi、O、C及びH以外のヘテロ原子の錯体である。ヘテロ原子錯体は、例えば下記式(5)で示される。
M−(OY)n …(5)
式(5)中、Mは、Si、O、C、H以外のヘテロ原子であり、例えばアルミニウム、チタンといった金属原子、ホウ素、又はリンである。Mは金属原子であることが好ましく、アルミニウムであれば更に好ましい。
式(5)中、Yは、水素原子、1価の飽和炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基である。より具体的には、Yは、例えば水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基といった、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基といった、炭素数3〜6のシクロアルキル基;又はフェニル基、ナフチル基といった、炭素数6〜10のアリール基である。Yは、1価の飽和炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であればより好ましく、イソプロピル基であれば特に好ましい。
式(5)中、nは、ヘテロ原子の価数と同じ数である。nは、例えば、1〜6の範囲内の整数であり、好ましくは3〜5の範囲内の整数である。
ヘテロ原子錯体は、例えば、アルミニウムアルコシド、チタンアルコキシド、ホウ素アルコキシド、及びリンアルコキシドからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。ヘテロ原子錯体は、アルミニウムアルコシドを含有することが好ましく、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、及びアルミニウムトリブトキシドからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有すればより好ましく、アルミニウムトリイソプロポキシドを含有すれば特に好ましい。
ヘテロ原子錯体の量は、シラノール基両末端ポリシロキサン100質量部に対して、例えば0.01〜20質量部の範囲内であり、好ましくは0.1〜10質量部の範囲内である。
ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂は、例えばシラノール基両末端ポリシロキサン及びヘテロ原子錯体を配合して、それらを室温で攪拌混合することにより調製される。
充填材について説明する。
本実施形態では、充填材は無機充填材を含有し、無機充填材はシリカ粉を含有する。すなわち、組成物(X)はシリカ粉を含有する。
上記の通り、シリカ粉の平均粒径は9〜25μmの範囲内である。また、シリカ粉中の、粒径6μm以下の粒子の割合は、25〜40体積%の範囲内である。シリカ粉の平均粒径が25μm以下であることでリフレクタ3と粗化面8との間の密着性を向上できる。また、シリカ粉の平均粒径が9μm以上であることで、組成物(X)の良好な成形性を確保できる。また、シリカ粉中の粒径6μm以下の粒子の割合が40体積%以下であることでリフレクタ3と粗化面8との間の密着性を向上できる。また、この割合が25体積%以上であることで組成物(X)の良好な成形性を確保できる。
なお。シリカ粉の平均粒径は、レーザ回折散乱法で測定されるシリカ粉の粒度分布の測定結果から算出される、体積基準の算術平均径である。また、シリカ粉中の、粒径6μm以下の粒子の割合は、レーザ回折散乱法で測定されるシリカ粉の粒度分布の測定結果から算出される。
組成物(X)全体に対するシリカ粉の量は、10〜75質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、リフレクタ3とリードフレーム4との間の密着性が特に高くなる。このシリカ粉の量は、15〜70質量%の範囲内であればより好ましい。
シリカ粉は、特に非晶質の溶融シリカを含有することが好ましい。この場合、リードフレーム4とリフレクタ3との密着性は特に高くなる。シリカ粉は、非晶質の溶融シリカと破砕状シリカとを含有してもよい。この場合、破砕状シリカの粒子が粗化面8に突き刺さりやすくなることでリードフレーム4とリフレクタ3との密着性が更に高くなることができる。また溶融シリカの粒子の間の隙間を破砕状シリカの粒子が埋めることで、リフレクタ3の白色度が更に高くなる。
充填材は、シリカ粉以外の成分を含有してもよい。
特に、充填材が、白色顔料を含有することが好ましい。すなわち、組成物(X)は、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料は、組成物(X)から作製される成形体であるリフレクタ3に良好な光反射性を付与できる。白色顔料は、例えば酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸バリウムからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。
特に、白色顔料が、酸化チタン、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、及び硫化亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有することが好ましい。白色顔料が酸化亜鉛を含有すると、成形品の熱伝導率が特に高くなるため好ましい。白色顔料が、熱伝導率の高い酸化アルミニウムを含有することも好ましい。
白色顔料が酸化チタンを含有する場合、酸化チタンは、例えばアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、及びブルサイト型酸化チタンからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。特に、ルチル型酸化チタンは熱安定性に優れているため、酸化チタンが、ルチル型酸化チタンを含有することが好ましい。
白色顔料は、脂肪酸、カップリング剤等で表面処理されていてもよい。この場合、白色顔料の凝集、吸油等が抑制され、組成物(X)内での白色顔料の充填性が高くなる。
白色顔料の平均粒径は、2.0μm以下であることが好ましい。また、この平均粒径は、0.01μm以上であることが好ましい。この平均粒径は、0.03〜1.0μmの範囲内であることが更に好ましく、0.1〜0.7μmの範囲内であることがより好ましい。さらに、平均粒径は0.2〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。なお、白色顔料の平均粒径は、レーザ回折散乱法で測定される粒度分布から算出される体積基準の算術平均径である。
組成物(X)に対する白色顔料の量が15〜40質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、成形品の耐熱変色性が特に高くなるとともに、成形品の光反射性も特に高くなる。
無機充填材は、シリカ粉以外の材料を更に含有してもよい。この場合、シリカ粉以外の材料として適切な材料を選択することにより、リフレクタ3などの成形品の光反射性を更に高めるとともに、成形品の形状安定性を更に高くできる。また、シリカ粉以外の材料として適切な材料を選択することにより、成形品の熱伝導率を高めることもできる。それにより、成形品の熱による変色、劣化等が、更に抑制される。
シリカ粉以外の材料は、例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、及び中空ガラス粒子からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
シリカ粉以外の材料の平均粒径は、100μm以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)の成形性が特に良好になるとともに、成形品の耐熱変色性及び耐湿性が特に高くなる。また、この平均粒径は、0.1μm以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)の取扱い性が良好になる。無機充填材の平均粒径は、80μm以下であればより好ましく、50μm以下であれば更に好ましい。また、シリカ粉以外の材料の平均粒径は、0.3μm以上であればより好ましい。さらに、シリカ粉以外の材料の平均粒径が8〜20μmの範囲内であれば、組成物(X)の射出成形性が特に良好になる。なお、シリカ粉以外の材料の平均粒径は、レーザ回折散乱法で測定される粒度分布から算出される体積基準の算術平均径である。
組成物(X)中の全成形用樹脂に対するシリカ粉と無機充填材との合計量は、40質量%以上であることが好ましい。この場合、成形品の形状安定性が特に高くなる。また、この合計量は、300質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)の成形性が特に高くなる。この合計量は、50〜250質量%の範囲内であれば、特に好ましい。
充填材に対する白色顔料の量は、30質量%以上であることが好ましい。この場合、リフレクタ3の光反射性が特に高くなる。この量は、95質量%以下であることが好ましい。この量は、35〜90質量%の範囲内であればより好ましく、40〜85質量%の範囲内であれば更に好ましい。
組成物(X)中の全成形用樹脂に対する充填材の量は、500質量%以下であることが好ましい。この場合、成形時に組成物(X)の流動性が特に高くなる。この充填材は、100質量%以上であることが好ましい。この場合、リフレクタ3などの成形品の光反射性が特に高くなる。この充填材の量は、100〜400質量%の範囲内であればより好ましく、200〜300質量%の範囲内であれば更に好ましい。
充填材は、繊維状充填材を含有してもよい。充填材が繊維状充填材を含有すると、成形時に組成物(X)の硬化収縮が抑制されるとともに、リフレクタ3の強度が高くなり、更にリフレクタ3の寸法安定性が高くなる。
組成物(X)中の全成形用樹脂に対する繊維状充填材の量は、10〜200質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、成形時に組成物(X)の硬化収縮が特に抑制されるとともに、成形品の強度が特に高くなる。この繊維状充填材の量は、20〜100質量%の範囲内であればより好ましく、30〜80質量%の範囲内であれば更に好ましい。
繊維状充填材の平均繊維径は6〜12μmの範囲内であることが好ましく、6〜8μmの範囲内であれば更に好ましい。この場合、成形品の強度が特に高くなる。繊維状充填材の平均繊維長は100〜300μmの範囲内であることが好ましく、150〜250μmの範囲であれば更に好ましい。この場合、成形品の強度が特に向上するとともにその光反射率も特に向上する。繊維状充填材の平均繊維径及び平均繊維長は、それぞれ、繊維状充填材中の繊維の電子顕微鏡写真を画像処理することで得られる繊維径及び繊維長の算術平均値である。
繊維状充填材は、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムなどの炭酸塩のウィスカー、及びハイドロタルサイトからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。特に、繊維状充填材が、ガラス繊維を含有することが好ましい。
ガラス繊維は、例えばケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスを原料とするEガラス(電気用無アルカリガラス)、Cガラス(化学用含アルカリガラス)、Aガラス(耐酸用ガラス)、Sガラス(高強度ガラス)等のガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。ガラス繊維は、長繊維(ロービング)であっても、短繊維(チョップドストランド)であってもよい。ガラス繊維には収束剤などで表面処理が施されていてもよい。
繊維状充填材の量は、組成物(X)に対して3〜20質量%の範囲内であることが好ましく、5〜15質量%の範囲内であれば更に好ましい。これらの場合、セパレータの曲げ強度が特に向上する。さらに、これらの場合、材料収縮率を低下させることができる。すなわち、温度サイクル試験などで、セパレータのクラックの発生が抑制される。
組成物(X)に対する充填材の量は、20〜90質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲において、成形時に組成物(X)の優れた流動性が確保される。
組成物(X)は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。組成物(X)がシランカップリング剤を含有すると、リフレクタ3とリードフレーム4との間の密着性が特に高くなる。
シランカップリング剤は、例えばアミノシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、メルカプトシラン及びイソシアネートシランからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。シランカップリング剤は、エポキシシラン、メタクリルシラン及びビニルシラからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましく、エポキシシラン、メタクリルシランのうち少なくとも一方を含有すればより好ましく、エポキシシランを含有すれば更に好ましい。これらの成分は、リフレクタ3とリードフレーム4との間の密着性を特に向上させることができる。また、シランカップリング剤は、メタクリルシランとビニルシランのうち少なくとも一方を含有することも好ましい。この場合、リフレクタ3の耐熱変色性を向上できる。リフレクタ3とリードフレーム4との間の密着性の向上とリフレクタ3の耐熱変色性の向上とをバランス良く達成するためには、シランカップリング剤はメタクリルシランを含有することが好ましい。
シランカップリング剤の量は、無機充填材と白色顔料との合計量に対して0.3〜1質量%の範囲内であることが好ましい。シランカップリング剤の量が0.3質量%以上であると、リフレクタ3とリードフレーム4との間の密着性が特に高くなる。また、シランカップリング剤の量が1質量%以下であると、カップリング剤に起因するリフレクタ3の変色が抑制されるとともに、組成物(X)を成形する際に組成物(X)からのカップリング剤の揮発が抑制されて良好な連続成形性が確保できる。
なお、シランカップリング剤が組成物(X)中に分散していてもよく、無機充填材及び白色顔料のうち少なくとも一部がシランカップリング剤で処理されることで組成物(X)がシランカップリング剤を含んでもよい。
組成物(X)は、酸化防止剤を含有することが好ましい。この場合、成形品の変色が更に抑制され、成形品の経時的な光反射性の低下が、更に生じにくくなる。酸化防止剤は、例えばフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤のうち少なくとも一方を含有できる。酸化防止剤は、発色団を生成する化合物を含有しないことが好ましい。
組成物(X)は、特にリン系酸化防止剤を含有することが好ましい。この場合、成形品の、加工時の黄変及び経時的な黄変が、更に抑制され、これにより成形品の光反射率の低下が更に抑制される。特に組成物(X)がトリグリシジルイソシアヌラートを含有する場合に、更にリン系酸化防止剤も含有すると、成形品の光反射率の低下が、大幅に抑制される。
リン系酸化防止剤は、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト及びジステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。組成物(X)に対するリン系酸化防止剤の量は0.1〜0.5質量%の範囲内であることが好ましい。
組成物(X)は、硫黄系酸化防止剤を含有することも好ましい。硫黄系酸化防止剤の具体例としては、株式会社ADEKA製の品名アデカスタブAO−412Sが挙げられる。組成物(X)に対する硫黄系酸化防止剤の量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.01〜0.5質量%の範囲内であれば更に好ましい。
組成物(X)は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば一般的な脂肪酸系ワックス、脂肪酸金属塩系ワックス、及び鉱物系ワックスからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。特に、離型剤は、耐熱変色性に優れた脂肪酸系ワックスと脂肪酸金属塩系ワックスとのうち少なくとも一方を含有することが好ましい。
離型剤は、特にステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、及びステアリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有することが好ましい。
組成物(X)中の成形用樹脂100質量部に対する離型剤の量は、1〜15質量部の範囲内であることが好ましい。この場合、成形時の成形品の良好な離型性と成形品の優れた外観とが両立するとともに、成形品の光反射性が特に高くなる。
なお、組成物(X)は、上記成分以外に、着色剤、増粘剤、難燃剤、可撓性付与剤等の、適宜の添加剤を含有してもよい。
組成物(X)の調製に当たっては、例えばまず、上記のような原料を所定の割合で配合し、ミキサー、ブレンダー等の混合機で混合することで、混合物を調製する。この混合物を加熱加圧可能な混練機、押出機等で混練する。混練機として、加圧ニーダー、熱ロール、エクストルーダー等を用いることができる。混練時の加熱温度は、例えば80〜120℃の範囲内である。続いて混合物のバルク体を粉砕、整粒し、あるいは更に必要に応じて造粒することで、粒状、粉末状、ペレット状等の組成物(X)が得られる。
リフレクタ3は、例えば組成物(X)を成形して硬化させることで、作製される。組成物(X)の成形方法として、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファ成形法等の適宜の溶融加熱成形法が適用可能である。組成物(X)の組成にもよるが、特に、低コストで量産が容易なトランスファ成形法が適用されることが好ましい。トランスファ成形法における成形条件は、例えば成形型温度が130〜180℃の範囲内、トランスファ圧力が5〜20MPaの範囲内、硬化時間が30〜300秒、好ましくは30〜180秒の範囲内である。必要に応じてポストキュア処理が施されてもよい。
リフレクタ3を作製する場合、インサート成形によってリフレクタ3にリードフレーム4を埋め込むことが好ましい。すなわち、金型にリードフレーム4をセットした状態で、この金型を用いて適宜の溶融加熱成形法でリフレクタ3を作製することが好ましい。これにより、リードフレーム4とリフレクタ3とを備えるベース2を作製できる。
発光素子5は、例えば発光ダイオードであるが、これに限られず、例えばレーザダイオードでもよい。発光素子5は、例えば凹所21の底面における第一のリード41上にダイボンディングされることで、凹所21内に搭載される。上述の通り、本実施形態では、発光素子5は、ワイヤー71,72で第一のリード41及び第二のリード42と電気的に接続される。ワイヤー71,72の直径は例えば直径25〜35μmの範囲内であり、その材質は例えばアルミニウム、銅、白金又は金である。
封止材6は、例えば流動性を有する反応硬化性の樹脂組成物(以下、組成物(Y)という)から作製される。組成物(Y)は例えば熱硬化性を有するが、光硬化性を有してもよい。
組成物(Y)が熱硬化性を有する場合、組成物(Y)は例えば熱硬化性のシリコーン樹脂を含有する。このシリコーン樹脂は、上述の組成物(X)に含有されうるシリコーン樹脂と同じでよい。なお、組成物(Y)は、シリコーン樹脂以外の熱硬化性の樹脂を含有してもよい。
組成物(X)は、蛍光物質を含有することが好ましい。この場合、蛍光物質を含有する封止材6を作製できる。封止材6が蛍光物質を含有すると、発光素子5が発する光の一部が、封止材6を通過する際に蛍光物質で波長変換される。このため、発光装置1の発光色を蛍光物質で制御できる。蛍光物質は、例えばYAG:Ce、又はEuとCrのうち少なくとも一方で賦活された窒素含有CaO−Al2O3−SiO2であるが、これに限られない。
封止材6を作製する場合、まず組成物(Y)を凹所21内に充填する。このとき、リフレクタ3とリードフレーム4との間の密着性が低いと組成物(Y)中の樹脂、蛍光物質などの成分が凹所21から漏出するおそれがある。しかし、本実施形態では、リフレクタ3とリードフレーム4との間の密着性が高いため、凹所21からの組成物(Y)中の成分の漏出が抑制される。
続いて、凹所21内の組成物(Y)を、組成物(Y)の組成に応じた方法で硬化させる。例えば組成物(Y)が熱硬化性を有する場合は、組成物(Y)を加熱することで硬化させる。これにより、封止材6が作製される。
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。
(1)組成物の調製
表の「樹脂成分組成」の欄に示す原料を樹脂成分として準備するとともに、「充填材組成」の欄に示す原料を充填材成分として準備した。樹脂成分と充填材成分とを、全原料に対する充填材成分の合計量が「成形材料中の充填材の割合」の欄に示す値になるように配合して、配合物を得た。配合物を、シグマブレンダーを用いて均一に混合した後、100℃に加熱した熱ロールで混練することで、シート状の混練物を調製した。この混練物を冷却・粉砕・整粒した。これにより、粒状の樹脂組成物を調製した。
なお、原料の詳細は次の通りである。
・不飽和ポリエステル:テレフタル酸系不飽和ポリエステル、日本ユピカ製、品名ユピカ8552、軟化点50℃以上。
・架橋剤:ジアリルフタレートモノマー、ダイソー株式会社製、品名ダップモノマー、分子量246.3、30℃での粘度8.5mPa・s、ヨウ素価202、常温で液体、沸点290℃。
・重合開始剤:ジクミルパーオキサイド、日油株式会社製、1分半減期温度179℃。
・離型剤:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業株式会社製、品名SZ−P。
・酸化防止剤1:フェノール系酸化防止剤、株式会社ADEKA製、品名アデカスタブAO−80。
・酸化防止剤2:リン系酸化防止剤、株式会社ADEKA製、品名アデカスタブPEP−36。
・酸化防止剤3:硫黄系酸化防止剤、株式会社ADEKA製、品名アデカスタブAO−412S。
・シリコーン樹脂1:東レ・ダウコーン社製、品番OE6351A。
・シリコーン樹脂2:東レ・ダウコーン社製、品番OE6351B。
・シリコーン樹脂3:東レ・ダウコーン社製、品番OE6652A。
・シリコーン樹脂4:東レ・ダウコーン社製、品番OE6652B。
・硬化遅延剤:1−エチニル−1−シクロヘキサノール。
・酸化チタン:ルチル型酸化チタン、平均粒径0.4μm、タイオキサイドジャパン株式会社製、品名Tioxide RTC−30。
・酸化亜鉛:堺化学工業株式会社製、比重5.6、平均粒径0.6μm、商品名「酸化亜鉛1種」。
・シリカ粉1:非晶質球状溶融シリカ、平均粒径16μm、粒径6μm以下の粒子の割合29体積%。
・シリカ粉2:非晶質球状溶融シリカ、平均粒径11μm、粒径6μm以下の粒子の割合39体積%。
・シリカ粉3:非晶質球状溶融シリカ、平均粒径23μm、粒径6μm以下の粒子の割合28体積%。
・シリカ粉4:非晶質球状溶融シリカ、平均粒径12μm、粒径6μm以下の粒子の割合20体積%。
・シリカ粉5:非晶質球状溶融シリカ、平均粒径10μm、粒径6μm以下の粒子の割合45体積%。
・シリカ粉6:非晶質球状溶融シリカ、平均粒径8μm、粒径6μm以下の粒子の割合30体積%。
・シリカ粉7:非晶質球状溶融シリカ、平均粒径26μm、粒径6μm以下の粒子の割合33体積%。
・ビニルシラン:信越化学工業株式会社製、品番KBM−1003。
・エポキシシラン:信越化学工業株式会社製、品番KBM−403。
・メタクリルシラン:信越化学工業株式会社製、品番KBM−503。
・繊維状充填材:平均繊維長3mm、平均繊維径6.0μm、水分率0.02%、強熱減量0.28%のガラス繊維に、アミノシランカップリング剤による表面処理と脂肪族ウレタン系収束剤による表面処理とを順次施して得られた処理品。
(2)評価試験
(2−1)リードフレームの準備及び評価
図3A及び図3Bに示す形状のリードフレームを用意した。リードフレームは銅製であり、その表面にはめっき法で銀被膜を形成した。
比較例1の場合を除き、リードフレームの第一面における図3Aの粗化面の位置と合致する位置に、レーザ加工機(パナソニック株式会社製のレーザマーカ、型番LP−S500)を用いてレーザ加工を施した。使用したレーザ種はYAGレーザであり、レーザの照射条件は表の「レーザ照射設定条件」の欄に示す通りである。すなわち、レーザ光を、「出力」の欄に記載されている出力及び「パルス周波数」の欄に記載されているパルス周波数でリードフレームに照射しながら、「加工速度」の欄に記載されている速度でリードフレーム上のレーザ照射位置を移動させることで、レーザ加工を行った。なお、出力は、レーザ加工機の最大出力(42W)に対する、レーザ加工時の出力の割合(百分率)である。レーザ加工により第一面に形成された粗化面の幅は、「第一面の粗化面幅」の欄に示す通りである。また、「段への照射の有無」の欄に「有」と記載されている場合には、リードフレームの第二面における段の内面にもレーザ加工を施した。レーザ加工により第二面に形成された粗化面の幅は、「第一面の粗化面幅」の欄に示す通りである。
このレーザ加工で形成された粗化面のRaをオリンパス製のレーザ顕微鏡(型番OLS3500)を用いて、JIS B0633;2001に従って測定した。その結果を、「粗化面のRa」の欄に示す。
(2−2)ベースの作製及び評価
リードフレームを金型にセットした状態で、組成物をトランスファ成形することで、リフレクタを作製するとともにこのリフレクタにリードフレームを埋め込んだ。これにより、リードフレームとリフレクタとを備えるベースを作製した。トランスファ成形条件は、成形型温度150℃、トランスファ圧力8MPa、硬化時間90秒である。
ベースの凹所内に、赤インク(ライオン事務機器社製のスタンプインキ赤)を垂らしてから、24時間後に、赤インクがベースの凹所からベース外に漏れているか否かを確認した。200個のサンプルに対して同じ試験を行い、赤インクの漏れが確認されたサンプルの個数を調査した。その結果を、「インク試験 水性」の欄に示す。
また、ベースの凹所内に、ポッティング剤(信越化学工業株式会社製のフォトデバイス用透明封止樹脂、品番SCR1011)を充填し、70℃で1時間加熱してから150℃で5時間加熱することで硬化させてから、20時間後に、ポッティング剤がベースの凹所からベース外に漏れているか否かを確認した。200個のサンプルに対して同じ試験を行い、ポッティング剤の漏れが確認されたサンプルの個数を調査した。その結果を、「ポッティング剤漏れ」の欄に示す。
なお、比較例3及び4では組成物の流動性が低すぎたためにリフレクタを作製できなかったため、当該評価を行わなかった。
(2−3)発光装置の作製及び評価
ベースの凹所内に発光素子として株式会社ジェネライツ製の品番B2632を搭載した。続いて、ベースの凹所内に、ポッティング剤(信越化学工業株式会社製のフォトデバイス用透明封止樹脂、品番SCR1011)を充填し、70℃で1時間加熱してから150℃で5時間加熱することで硬化させて、封止材を作製した。これにより、発光装置を作製した。
この発光装置に、85℃、85%RHの条件下に1000時間曝露する処理を施した。この処理の前後に、発光素子に400mAの電流を通電して発光させた場合の、発光装置の発光輝度を、大塚電子製の輝度計を用いて測定した。処理前の発光装置の発光輝度に対する、処理後の発光装置の発光輝度の割合(百分率)を算出した。その結果を「85℃85%RH1000h LED劣化率」の欄に示す。なお、比較例3及び4ではリフレクタを作製できなかったため、当該評価は行わなかった。