JP2013001776A - 半導体発光装置用の樹脂成形体用材料およびその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性(耐光性、耐熱性)が高く、かつ優れた反射率によりLED出力を向上させる半導体発光装置用の樹脂成形体とすることができる樹脂成形体用材料、さらに、成形が容易となる半導体発光装置用の樹脂成形体用材料などの提供を課題とする。
【解決手段】(A)ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料及び(C)硬化触媒を含有する半導体発光装置用の樹脂成形体用材料であって、前記(B)白色顔料が、(a)アルミナを主成分とする白色顔料であり、(b)前記アルミナが、(B1)0.2μm以上1.5μm以下の平均二次粒子径をもつ成分と、(B2)2μm以上30μm以下の平均二次粒子径をもつ成分とを含有し、(c)前記(B1)成分の含有量と(B2)成分の含有量との質量比[(B1)/(B2)]が1/5から3/1の範囲内である樹脂成形体用材料、該材料を液状射出成形する半導体発光装置用の樹脂成形体の製造方法、該材料を成形してなる半導体発光装置用の樹脂成形体、該樹脂成形体を具備する半導体発光装置。
【選択図】図1

Description

本発明は発光ダイオード等の発光素子を備えた半導体発光装置に用いられる樹脂成形体用の材料およびその成形体等に関する。
半導体発光素子を搭載してなる半導体発光装置は図1に示す様に半導体発光素子1、樹脂成形体2、ボンディングワイヤ3、封止材4、リードフレーム5等から構成される。なお、リードフレーム等の導電性金属配線および絶縁性の樹脂成形体からなる構成をパッケージと称する。
従来、樹脂成形体に用いる絶縁性材料として、ポリアミド等の熱可塑性樹脂に白色顔料を配合したものが一般的に用いられてきた(例えば特許文献1参照)。発光に指向性が求められる半導体発光装置は、半導体発光素子より目的とする向きへ発せられた光だけでなく、目的と異なる向きへ発せられた光を樹脂成形体、リードフレームなどの金属配線、および反射材等で目的の向きに反射させ、発光効率を上げている。ポリアミドなどの熱可塑性樹脂が透光性であるために、樹脂成形体で光を反射させる際は、樹脂に白色顔料を配合することで樹脂と白色顔料の屈折率の差を利用し半導体発光素子からの光を反射し、半導体発光装置としての発光効率を上げている。
上記特許文献1では、白色顔料を使用した場合であっても、白色顔料の種類によってはその反射効率が十分でなく、樹脂成形体に吸収される光線や樹脂成形体を透過する光線も出てしまうため、結果として半導体発光素子からの光を目的とする向きに集中させることができずに半導体発光装置としての発光効率が下がってしまう場合があった。
また、ポリアミドを用いたパッケージは、ポリアミドが熱可塑性樹脂であり、環境問題より融点の高い鉛フリー半田が積極的に使用されリフロー温度が高くなる傾向にある現状では、その熱によりポリアミド樹脂が軟化してしまうため、パッケージの耐熱性に問題がある。また、ポリアミドは紫外線、熱により、光劣化、熱劣化が起こるため、近年実用化が進んでいる青色〜近紫外線半導体発光素子のようなエネルギーの高い波長領域まで発光域を持つ発光素子を用いた場合、光による劣化が特に問題となる。また、より明るい発光素子が求められている現状においては、半導体発光素子から発せられる光束の大きな光、発熱により、熱劣化、光劣化の問題がより顕在化する。
一方、耐熱性が求められる場合は焼結されたアルミナを配合したセラミックが絶縁材料として用いられる(例えば特許文献2参照)。セラミックを用いたパッケージは耐熱性が良いが、製造に際し成形後に高温での焼結工程が必要である。焼結工程では電気代などのコスト面での問題や、焼結により成形体の大きさ、形状が変化するために不良品が出やすく量産性に問題があった。
これに対して近年、樹脂にポリオルガノシロキサンを用い、白色顔料として酸化チタンを用いたシリコーン樹脂組成物を成形したケースも提案されている(例えば特許文献3参照)。樹脂にポリオルガノシロキサンを用いる事により、ポリアミドを用いたものと比べ耐熱性の向上が図られる。
特開2002−283498号公報 特開2004−288937号公報 特開2009−155415号公報
樹脂にポリオルガノシロキサンを用いている上記特許文献3においては、白色顔料に酸化チタンを用いているので次のような問題が生じる。
まず、樹脂組成物を調製する工程において、樹脂であるポリオルガノシロキサンに酸化チタンを添加し混合する場合には、酸化チタンは樹脂に対する分散性が低いという問題がある。このため、樹脂組成物を硬化した後の樹脂成形体において、酸化チタンが均一に分散しておらず樹脂成形体内での反射率が一定ではなく、その結果、半導体発光装置から発せられる光線の均一性の点で問題がある。
また、酸化チタンは光触媒性があるために、波長470nm程度以下の半導体発光素子を用いる場合には、半導体発光素子が発する光や、その光によって励起される蛍光体が発する光により、酸化チタン粒子近傍の樹脂成形体が劣化する。そのため、青色領域の光を発する半導体発光素子、および近紫外領域の光を発する半導体発光素子を用いた場合に、樹脂成形体の耐光性が著しく損なわれる。
さらに、酸化チタンは近紫外領域に吸収波長を持つために色が黄色味を帯びている。そのため半導体発光素子からの発光スペクトルを変化させ、半導体発光装置が発する光の白色性、演色性に問題を生じさせる。特に現在積極的に研究されている白色半導体発光装置では白色性、演色性が大きな要求事項となっており、この点に於いても不利である。
本発明は、耐久性(耐光性、耐熱性)が高く、かつ優れた反射率によりLED出力を向上させる半導体発光装置用の樹脂成形体とすることができる樹脂成形体用材料を提供することを課題とする。さらに、成形に適した流動特性を有し、成形が容易となる半導体発光装置用の樹脂成形体用材料を提供すること等を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料および(C)硬化触媒を含有する半導体発光装置用の樹脂成形体用材料において、(B)白色顔料として、平均二次粒径の異なるアルミナを特定の量比で配合したものを用いることにより、特に硬度が高く、十分に高い反射率を示すバランスのよい樹脂成形体が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明の要旨は、以下の〔1〕ないし〔10〕の通りである。
〔1〕(A)ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料および(C)硬化触媒を含有する半導体発光装置用の樹脂成形体用材料であって、前記(B)白色顔料が、
(a)アルミナを主成分とする白色顔料であり、
(b)前記アルミナが、(B1)0.2μm以上1.5μm以下の平均二次粒子径をもつ成分と、(B2)2μm以上30μm以下の平均二次粒子径をもつ成分とを含有し、
(c)前記(B1)成分の含有量と(B2)成分の含有量との質量比[(B1)/(B2)]が1/5から3/1の範囲内である
ことを特徴とする樹脂成形体用材料。
〔2〕(A)ポリオルガノシロキサン100質量部あたりの(B)白色顔料の含有量が80質量部以上900質量部以下であることを特徴とする〔1〕に記載の樹脂成形体用材料。
〔3〕(B1)成分の平均二次粒子径D(B1)と、(B2)成分の平均二次粒子径D(B2)との比[D(B1)/D(B2)]が1/2.5から1/10の範囲内であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂成形体用材料。
〔4〕(B1)成分の二次粒子が、アスペクト比1.2以上4.0以下の一次粒子よりなることを特徴とする〔1〕ないし〔3〕のいずれかに記載の樹脂成形体用材料。
〔5〕(A)ポリオルガノシロキサンが、常温・常圧下で液体の熱硬化性ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の樹脂成形体用材料。
〔6〕更に(D)硬化速度調整剤及び/又は(E)流動性調整剤を含有することを特徴とする〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載の樹脂成形体用材料。
〔7〕〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の材料を成形してなることを特徴とする半導体発光装置用の樹脂成形体。
〔8〕〔1〕ないし〔6〕のいずれかの材料を液状射出成形することを特徴とする半導体発光装置用の樹脂成形体の製造方法。
〔9〕半導体発光装置のパッケージ用であることを特徴とする〔7〕に記載の樹脂成形体。
〔10〕〔9〕に記載の樹脂成形体を具備することを特徴とする半導体発光装置。
本発明の樹脂成形体用材料を用いれば、耐久性(耐光性、耐熱性)や硬度、樹脂部の熱伝導率が高く、かつ優れた反射率によりLED出力を向上させる半導体発光装置用樹脂成形体を得ることができる。さらに、本発明によれば、線膨張係数が小さく、成形に適した流動特性を有し、成形が容易となる半導体発光装置用樹脂成形体用材料を提供することができる。
半導体発光装置の一態様の構成を概略的に示す断面図である。 半導体発光装置の別の態様の構成を概略的に示す断面図である。 半導体発光装置の別の態様の構成を概略的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<1.半導体発光装置用樹脂成形体用材料>
本発明において半導体発光装置用の樹脂成形体用材料とは、半導体発光装置に用いるための樹脂成形体の成形に用いる材料である。具体的には、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料、および(C)硬化触媒を含有する材料であって、前記(B)白色顔料が、(a)アルミナを主成分とする白色顔料であり、(b)前記アルミナが、(B1)0.2μm以上1.5μm以下の平均二次粒子径をもつ成分と、(B2)2μm以上30μm以下の平均二次粒子径をもつ成分とを含有し、(c)前記(B1)成分の含有量と(B2)成分の含有量との質量比[(B1)/(B2)]が1/5から3/1の範囲内であることを特徴とするものである。
ここで、半導体発光装置用の樹脂成形体とは、材料を硬化させた成形体であり、リードフレームなどの導電性金属配線と共に成形することにより半導体発光装置用パッケージとなる。また、半導体発光装置とは、上記半導体発光装置用の樹脂成形体に半導体発光素子を含む発光装置である。半導体発光装置の断面の略図を図1に示す。
<1−1.(A)ポリオルガノシロキサン>
本発明におけるポリオルガノシロキサンとは、ケイ素原子が酸素を介して他のケイ素原子と結合した部分を持つ構造に有機基が付加している高分子物質を指す。ここでポリオルガノシロキサンは、常温・常圧下において液体であることが好ましい。これは、半導体発光装置用の樹脂成形体を成形する際に、材料の扱いが容易となるからである。また、常温・常圧下において固体のポリオルガノシロキサンは、一般的に硬化物としての硬度は比較的高いが、破壊に要するエネルギーが小さく靭性が低いものや、耐光性、耐熱性が不十分で光や熱により変色しやすいものが多い傾向にあるからである。
なお、上記常温とは20℃±15℃(5〜35℃)の範囲の温度をいい、常圧とは大気圧に等しい圧力をいい、ほぼ一気圧である。また、液体とは流動性の有る状態をいう。
上記ポリオルガノシロキサンは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば以下に示す一般組成式(1)で表される化合物や、その混合物が挙げられる。
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2・・・(1)
ここで、上記式(1)中、RからRは独立して、有機官能基、水素原子から選択される。またM、D、TおよびQは0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。
主なポリオルガノシロキサンを構成する単位は、1官能型[RSiO1/2](トリオルガノシルヘミオキサン)、2官能型[RSiO2/2](ジオルガノシロキサン)、3官能型[RSiO3/2](オルガノシルセスキオキサン)、4官能型[SiO4/2](シリケート)であり、これら4種の単位の構成比率を変えることにより、ポリオルガノシロキサンの性状の違いが出てくるので、所望の特性が得られるように適宜選択し、ポリオルガノシロキサンの合成を行う。
上記構成単位が1〜3官能型のポリオルガノシロキサンは、オルガノクロロシラン(一般式RSiCl4−n(n=1〜3))と呼ばれる一連の有機ケイ素化合物をもとにして合成することができる。例えば、メチルクロロシランは塩化メチルとケイ素SiとをCu触媒下高温で直接反応させて合成することができ、また、ビニル基などの有機基を持つシラン類は、一般の有機合成化学の手法によって合成することができる。
単離されたオルガノクロロシランを、単独で、あるいは任意の割合で混合し、水により加水分解を行うとシラノールが生成し、このシラノールが脱水縮合するとシリコーンの基本骨格であるポリオルガノシロキサンが合成される。
ポリオルガノシロキサンは、硬化触媒の存在下で、熱エネルギーや光エネルギー等を与えることにより硬化させる事ができる。本発明においてポリオルガノシロキサンは、熱エネルギーを与えることにより硬化させる事ができる熱硬化性のものが好ましい。
ここで硬化とは、流動性を示す状態から、流動性を示さない状態に変化することをいい、例えば、対象物を水平より45度傾けた状態で30分間静置しても流動性がある状態を未硬化状態といい、全く流動性がない状態を硬化状態として判断することができる。
ポリオルガノシロキサンは、硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのポリオルガノシロキサンを挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型ポリオルガノシロキサン)、および縮合硬化タイプ(縮合型ポリオルガノシロキサン)が好適である。中でも、副生成物の発生が無く、また、反応が可逆性でないヒドロシリル化(付加重合)によって硬化するポリオルガノシロキサンのタイプがより好適である。これは、成形加工時に副生成物が発生すると、成形容器内の圧を上昇させたり、硬化材料中に泡として残存したりする傾向にあるからである。
以下、付加型ポリオルガノシロキサン、および縮合型ポリオルガノシロキサンについて説明する。
<1−1−1.付加型ポリオルガノシロキサン>
付加型ポリオルガノシロキサンとは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシラン等の(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物と、例えばヒドロシラン等の(C2)ヒドロシリル基を含有する珪素化合物とを総ヒドロシリル基量が0.5倍以上、2.0倍以下となる量比で混合し、(C3)白金(Pt)触媒などの付加縮合触媒の存在下で反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。
(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物としては、下記一般式(2)
SiO〔(4−n)/2〕・・・(2)
で表わされる、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。
ただし、式(2)中、Rは同一または異種の置換または非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基、または水酸基で、nは1≦n<2を満たす正の数である。
上記(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物においてアルケニル基とは、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基などの炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましい。Rが炭化水素基である場合は、メチル基、エチル基などのアルキル基、ビニル基、フェニル基等の炭素数1〜20の1価炭化水素基から選択される。好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基である。
上記式中、Rのそれぞれは、互いに異なっても良いが、耐UV性が要求される場合には、Rのうちの65%程度がメチル基であることが好ましく(つまり、Siの個数(mol数)に対してメチル基以外の官能基の含有数として0.35個(mol)以下であることが好ましく)、上記式中Rのうちの80%以上がメチル基であることがより好ましい。Rは炭素数1〜8のアルコキシ基や水酸基であってもよいが、アルコキシ基や水酸基の含有率は、(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物の10質量%以下であることが好ましい。また、nは1≦n<2を満たす正の数であるが、この値が2以上であると樹脂成形体用材料とリードフレーム等の導電体との接着に十分な強度が得られなくなり、1未満であるとこのポリオルガノシロキサンの合成が困難になる。
上記(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物としては、例えばビニルシラン、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上を任意の比率および組み合わせで用いることができる。上記の中でも分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサンとして具体的には例えば以下のものが挙げられる。
・両末端ビニルポリジメチルシロキサン
DMS−V00、DMS−V03、DMS−V05、DMS−V21、DMS−V22、DMS−V25、DMS−V31、DMS−V33、DMS−V35、DMS−V41、DMS−V42、DMS−V46、DMS−V52(いずれもGelest社製)
・両末端ビニルジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー
PDV−0325、PDV−0331、PDV−0341、PDV−0346、PDV−0525、PDV−0541、PDV−1625、PDV−1631、PDV−1635、PDV−1641、PDV−2331、PDV−2335(いずれもGelest社製)
・両末端ビニルフェニルメチルシロキサン
PMV−9925(Gelest社製)
・トリメチルシリル基封鎖ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー
VDT−123、VDT−127、VDT−131、VDT−153、VDT−431、VDT−731、VDT−954(いずれもGelest社製)
・ビニルT−構造ポリマー
VTT−106、MTV−124(いずれもGelest社製)
また、(C2)ヒドロシリル基を有する珪素含有化合物としては、例えばヒドロシラン、ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンを挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上を任意の比率および組み合わせで用いることができる。上記の中でも分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンとして具体的には例えば以下のものが挙げられる。
・両末端ヒドロシリルポリジメチルシロキサン
DMS−H03、DMS−H11、DMS−H21、DMS−H25、DMS−H31、DMS−H41(いずれもGelest社製)
・両末端トリメチルシリル封鎖メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー
HMS−013、HMS−031、HMS−064、HMS−071、HMS−082、HMS−151、HMS−301、HMS−501(いずれもGelest社製)
本発明における上記(C1)アルケニル基を有する珪素化合物および(C2)ヒドロシリル基を有する珪素化合物の使用量は、(C1)アルケニル基を有する珪素化合物1mol(アルケニル基のモル数)に対して、(C2)ヒドロシリル基を有する珪素化合物(ヒドロシリル基のモル数)が、通常0.5mol以上、好ましくは0.7mol以上、より好ましくは0.8mol以上であり、また、通常2.0mol以下、好ましくは1.8mol以下、より好ましくは1.5mol以下である。
アルケニル基に対するヒドロシリル基のモル数をコントロールすることにより硬化後の未反応末端基の残存量を低減し、点灯使用時の着色や剥離等の経時変化が少ない硬化物を得ることができる。
また、ヒドロシリル化を起こす反応点(架橋点)の含有量は、アルケニル基およびヒドロシリル基ともに白色顔料を含まない樹脂自体中において0.1mmol/g以上、20mmol/g以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.2mmol/g以上、10mmol/g以下である。
<1−1−2.縮合型ポリオルガノシロキサン>
縮合型ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。具体的には、下記一般式(3)および/または(4)で表わされる化合物、それら化合物のオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
m+ m−n・・・(3)
式(3)中、Mは、ケイ素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Yは、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。
(Ms+ s−t−1・・・(4)
式(4)中、Mは、ケイ素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Yは、1価の有機基を表わし、Yは、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。
縮合型ポリオルガノシロキサンは公知のものを使用することができ、例えば、特開2006−77234号公報、特開2006−291018号公報、特開2006−316264号公報、特開2006−336010号公報、特開2006−348284号公報、および国際公開第2006/090804号パンフレットに記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
<1−1−2−1.特に好ましい縮合型ポリオルガノシロキサン>
縮合型ポリオルガノシロキサンの中で、特に好ましい材料について、以下に説明する。
ポリオルガノシロキサンは、一般に半導体発光装置に用いた場合、半導体発光素子や半導体発光素子を配置する基板や、樹脂成形体等との接着性が弱いことがあるが、これらと密着性が高いポリオルガノシロキサンとするため、特に、以下の[1]および[2]のうち1つ以上の特徴を有する縮合型ポリオルガノシロキサンが好ましい。
[1]ケイ素含有率が20質量%以上である。
[2]測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(i)および/または(ii)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(i)ピークトップの位置がジメチルシリコーンゴムのジメチルシロキシケイ素を基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(ii)ピークトップの位置がジメチルシリコーンゴムのジメチルシロキシケイ素を基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
上記の特徴[1]および[2]のうち、特徴[1]を有する縮合型ポリオルガノシロキサンが好ましい。さらに好ましくは、上記の特徴[1]および[2]を有する縮合型ポリオルガノシロキサンが好ましい。
なお、縮合型ポリオルガノシロキサンにおいては、縮合反応の進行に伴い脱離成分が発生するが、成形加工方法により、該成分の成形加工性への影響が大きくない場合に用いることができる。その場合には、特に縮合型ポリオルガノシロキサン中のシラノール含有率が0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
本発明において、白色顔料添加前の(A)ポリオルガノシロキサンの粘度としては、取り扱いのし易さから、通常100,000mPa・s以下、好ましくは20,000mPa・s以下、さらに好ましくは10,000mPa・s以下である。下限は特には制限されないが、揮発度(沸点)との関係上一般的には15mPa・s以上である。なお、本明細書において、粘度は、特に明記しない限り23℃における値である。
また、(A)ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質として測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィーでの平均分子量測定値として、好ましくは500以上100,000以下、より好ましくは700以上50,000以下である。さらに、揮発成分を少なくする(他部材との接着性を維持するため)目的から1,000以上、また、成形前の材料の取扱いのし易さから25,000以下であることがより好ましい。最も好ましくは20,000以下である。
<1−2.(B)白色顔料>
本発明において白色顔料は、(a)アルミナを主成分とする白色顔料であり、
(b)前記アルミナが、(B1)0.2μm以上1.5μm以下の平均二次粒子径をもつ成分[(B1)成分]と、(B2)2μm以上30μm以下の平均二次粒子径をもつ成分[(B2)成分]とを含有し、(c)(B1)成分の含有量と(B2)成分の含有量との質量比[(B1)/(B2)]が1/5から3/1の範囲内である。
白色顔料としては、上記(B1)成分、(B2)成分とともに、必要に応じて、無機および/または有機の材料を併用する事ができる。また、これら成分は、樹脂の硬化を阻害しない公知の物質を適宜選択して用いればよい。ここで白色とは、無色であり透明ではない事をいう。すなわち可視光領域に特異な吸収波長を持たない物質により入射光を乱反射させる事ができる色をいう。
白色顔料中のアルミナの量は、アルミナが白色顔料を構成している成分のうちの主なもの、すなわち主成分となる量であれば特に制限されないが、白色顔料を構成する成分の全量に対して、通常60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、白色顔料の全量がアルミナであるものが特に好ましい。
また、アルミナの含有量は、後述するとおり、樹脂成形体用材料全体量に対して、通常40質量%以上90質量%以下である。
アルミナは、近紫外線の光反射効果が高く、近紫外線による変質が小さい観点からも、白色顔料として特に好ましい。また、アルミナを白色顔料の主成分として用いることにより、後述する樹脂成形体用材料の熱伝導率を0.4以上3.0以下の範囲に制御することができる。
アルミナの含有量を上記範囲とすることによって、反射率が十分に高く、かつ成形性のよい樹脂成形体用材料を得ることができる。アルミナの含有量が、樹脂成形体用材料全体量に対して40質量%未満であると十分な光反射効果が得られず、90質量%を超えると、材料の粘度が高くなるため成形が困難となる場合がある。
(B1)成分および(B2)成分のアルミナは、一次粒子が凝集して形成された二次粒子である。(B1)成分の平均二次粒子径は、通常0.2μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、また、通常1.5μm以下、好ましくは1.3μm以下、より好ましくは1.2μm以下である。
また、(B2)成分の平均二次粒子径は、通常2μm以上、好ましくは2.5μm以上、より好ましくは3μm以上であり、また、通常30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
(B1)成分のアルミナは隠蔽力が大きく、材料の反射率向上への寄与が大きいが、添加量を上げると材料が高粘度となりやすいため、(B1)成分単独では充填率を上げることができない。(B2)成分のアルミナは材料の粘度が上がりにくいため高充填化が可能だが、充填率を上げても反射率を(B1)成分と同程度まで上げることはできない。(B1)成分と(B2)成分を組み合わせることによって、(B1)成分で高反射を担保し、(B2)成分の併用で材料粘度が上がりすぎることなく高充填とすることが可能となる。
アルミナの充填率が高いと、材料の線膨張係数が小さくなるため加熱硬化時の寸法の変化が小さく成形しやすくなる。また、硬化後の硬度が高くなるため樹脂成形体の強度が増し、さらに熱伝導率が高くなるため樹脂成形体の放熱性が上がる。このように、アルミナの充填率を高くすると、一般的にアルミナよりも高価な(A)ポリオルガノシロキサンの使用量が減るため材料コストが下がる等のメリットがある。
白色顔料中の(B1)成分の含有量と(B2)成分の含有量の質量比[(B1)/(B2)]は、通常1/5から3/1の範囲内、好ましくは1/4から2/1の範囲内、より好ましくは1/3から1/1、の範囲内である。
(B1)成分が1/5よりも少ないと樹脂成形体の反射率が低く、3/1よりも多いと材料の粘度が上がりやすく、高充填化が難しい。
また、(B1)成分の平均二次粒子径D(B1)と(B2)成分の平均二次粒子径D(B2)との比[D(B1)/D(B2)]は特に制限されないが、好ましくは1/2.5から1/10の範囲内、より好ましくは1/3から1/5の範囲内、特に好ましくは1/3から1/4の範囲内である。
平均二次粒子径の比が上記範囲よりも小さい場合には、十分な高充填化への効果が得られ難くなる傾向がある。
平均二次粒径が上記範囲である場合には、成形性の観点で好ましい材料が得られ易い。また、成形に適した粘度への調整が容易で、金型の磨耗が少ない。加えて、白色顔料が金型の隙間を通過しにくいためバリが発生しにくく、かつ、金型のゲートに詰まりにくいため成形時のトラブルが起こりにくい。(B2)成分の二次粒径が上記範囲よりも大きい場合には、白色顔料の沈降により材料が不均一となる傾向にあり、金型の磨耗やゲートの詰まりにより成形性が損なわれたり、材料の反射の均一性が損なわれたりすることがある。
なお、平均二次粒径は、中心粒径である。中心粒径とは積算%の体積基準粒度分布曲線が50%の横軸と交差するポイントの粒子径を言い、一般的に50%粒子径(D50)、メディアン径と呼ばれるものを指す。
本発明における(B1)成分の一次粒子のアスペクト比は1.2以上4.0以下であることが好ましい。
上記(B1)成分の一次粒子のアスペクト比は、1.25以上であることがより好ましく、1.3以上であることが更に好ましく、1.4以上であることが特に好ましい。一方、上限は、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.2以下であることが更に好ましく、2.0以下であることが特に好ましく、1.8以下であることが最も好ましい。
アスペクト比が上記範囲である場合には、散乱により高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域の短波長の光の反射が大きい。これにより、かかる樹脂成形体を用いた半導体発光装置において、LED出力を向上させることができる。
また、アスペクト比が上記範囲である白色顔料を使用することは、金型の磨耗が少ないなど、成形性の観点からも好ましい。アスペクト比が上記範囲よりも大きい場合、顔料粒子の角部との接触により金型の磨耗が激しくなることがあり、逆に、アスペクト比が小さい白色顔料を使用する場合にも、白色顔料が金型の隙間を素通りしバリが発生しやすい傾向がある。さらに、アスペクト比が上記範囲である白色顔料を使用すると、材料粘度の調整が容易となり、成形に適した粘度に調整することで、成形サイクルを短縮することができたり、バリを抑えることができたり、成形性に優れた材料となる。
特にアスペクト比が4.0よりも大きい場合には、高反射になりにくく、また、成形時に配管、スクリュー、金型等の磨耗が発生しやすく、磨耗による不純物の混入により成形した樹脂成形体の反射率低下や、絶縁破壊が起こりやすい傾向にある。(B2)成分の一次粒子のアスペクト比は特に制限されず、材料の熱伝導率を上げる等の目的で、繊維状や板状のアルミナを選択することも出来るが、成形時の金型等の磨耗を抑え、できるだけ粘度を上げずに高充填化する等の目的には、球状に近いアスペクト比が小さいアルミナの選択が望ましい。
アスペクト比は、粒子等の形状を定量的に表現する簡便な方法として一般に用いられており、本発明ではSEMなどの電子顕微鏡観察により計測した粒子の長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除して求めるものとする。軸長さにばらつきがある場合は、複数点(例えば10点)をSEMで計測し、その平均値から算出することができる。あるいは、30点、100点を計測しても同様の算出結果を得ることができる。
アスペクト比は、粒子の形状が繊維状や棒状か、あるいは球状かの指標となり、粒子が繊維状の場合はアスペクト比が大きくなり、粒子が球状の場合は、1.0となる。
アスペクト比が上記範囲であることにより、(B1)成分の好ましい形状からは、球状、真球状に形成されたものが除かれる。また、極端に細長い形状のものも、かえって反射率を低下させてしまう場合がある。アスペクト比が上記範囲である場合、白色顔料が金型の隙間に詰まりやすく、バリが発生しにくいが、球状では金型の隙間を素通りしバリが発生しやすい傾向がある。
アスペクト比が上記範囲に含まれる粒子が(B1)成分の全体に対して、好ましくは60体積%以上、より好ましくは70体積%以上、特に好ましくは80体積%以上である。
一次粒子のアスペクト比を上記範囲とするためには、白色顔料の表面処理をしたり、研磨したりする等の一般的な方法を採ってもよい。また、白色顔料を破砕(粉砕)して微細化することや、白色顔料を焼成により生成し、解砕することによっても、達成できる。かくして得られた特定のアスペクト比をもつ一次粒子を用いて、それ自体既知の方法で二次粒子を調製すればよい。
また、本発明における(B1)成分の一次粒子径は、0.1μm以上1.5μm以下であることが好ましい。下限値については好ましくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.25μm以上であり、上限値については好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.8μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。
一次粒子径が上記範囲である場合には、後方散乱傾向と散乱光強度を兼ね備えることで材料が高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域等の短波長の光に対する反射が大きくなり、好ましい。
白色顔料は、粒子径が小さすぎると散乱光強度が小さいため反射率は低くなる傾向にあり、粒子径が大きすぎると散乱光強度は大きくなるが、前方散乱傾向になるため反射率は小さくなる傾向にある。
液状射出成形に好適に使用できる材料とするためには材料にある程度以上のチキソトロピー性を持たせることが必要である。一次粒子径が0.1μm以上1.5μm以下の(B1)成分を組成物中に添加するとチキソトロピー性付与効果が大きく、バリやショートが少なく成形しやすい組成物とするために、粘度とチキソトロピー性を容易に調整することができる。
しかし、粒径が小さい(B1)成分のみを使用する場合には、材料が高粘度になりやすく、白色顔料の充填量を上げられないため、高反射等の材料特性と成形性との両立が難しくなる傾向にある。樹脂組成物中の白色顔料の充填率を上げる等の目的で、二次粒子径が2.0μm以上の(B2)成分を併用することで、高反射等の材料特性と成形性との両立が可能になる。
前記のとおり、本発明の樹脂成形体用材料は、白色顔料として、異なる平均二次粒子径をもつ2成分のアルミナ[(B1)成分と(B2)成分]を特定の質量比で含有するものである。本発明には、平均二次粒子径が異なる2成分の白色顔料(アルミナ)[(B1)成分と(B2)成分]を混合して使用する場合も、(B1)成分と(B2)成分に相当する成分を質量比[(B1)/(B2)]が1/5から3/1の範囲内で含有する粒径分布が2山もしくはブロードな白色顔料(アルミナ)を単独で使用する場合も含まれる。
ここで、本発明における一次粒子とは粉体を構成している粒子のうち、他と明確に区別できる最小単位の個体をいい、一次粒子径はSEMなどの電子顕微鏡観察により計測した一次粒子の粒子径をいう。一方、一次粒子が凝集してできる凝集粒子を二次粒子という。二次粒子の中心粒径は、前記のとおり中心粒径であり、粉体を適当な分散媒(例えばアルミナの場合は水)に分散させて粒度分析計等で測定した粒径を言う。一次粒子径にばらつきがある場合は、数点(例えば10点)をSEM観察し、その平均値を粒子径としてもとめることができる。また、測定の際、個々の粒子径が球状でない場合はもっとも長い、すなわち長軸の長さを粒子径とする。
白色顔料のアスペクト比と粒子径は、成形後(硬化後)であっても測定することができる。SEMなどの電子顕微鏡によって成形品の断面を観察し、断面に露出した白色顔料の粒子径とアスペクト比を計測すればよい。
本発明ではSEMなどの電子顕微鏡観察により計測した粒子の長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除して求めるものとする。軸長さにばらつきがある場合は、複数点(例えば10点)をSEMで計測し、その平均値から算出することができる。あるいは、30点、100点を計測しても同様の算出結果を得ることができる。
また、電子線照射により発生する特性X線を検出し、エネルギーで分光することによって、観察部位の元素分析や組成分析を行うSEM/EDXなどの手法により、アルミナと他の白色顔料やシリカ微粒子(流動性調整剤)とを区別することができる。
また、本発明における(B1)成分の一次粒子径xと二次粒子の中心粒径yの比y/xは、通常1以上、好ましくは1より大きく、特に好ましくは1.2以上であり、また、通常10以下、好ましくは5以下である。
ここで、一次粒子径xと二次粒子の中心粒径yの比y/xが上記範囲であることにより、(B1)成分の好ましい形状からは、球状、真球状に形成されたもの(即ち、一次粒子がほとんど凝集しておらず、一次粒子径と二次粒子の中心粒径がほぼ等しいもの)が除かれる。
一次粒子径xと二次粒子の中心粒径yの比y/xが上記範囲である場合には、散乱により高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域の短波長の光の反射が大きい。これにより、かかる樹脂成形体を用いた半導体発光装置において、LED出力を向上させることができる。また、成形に適した材料粘度への調整も容易である。
また、アルミナ中にアルミニウム、酸素以外の元素を不純物として含むと可視光領域に吸収を持つために着色することがある。例えばわずかでもクロムを含有すると一般にルビーと呼ばれ赤色を呈し、鉄やチタンを不純物として含有すると一般にサファイアと呼ばれ青色を呈する。本発明におけるアルミナは、クロム、鉄、チタンの含有量がそれぞれ0.02質量%以下、好ましくは0.01質量%以下のものを使用することが好ましい。
本発明の樹脂成形体用材料の硬化時の熱伝導率は、高い方が好ましいが、熱伝導率を高くするためには、純度が98%以上のアルミナを用いることが好ましく、純度99%以上のアルミナを用いることがより好ましく、特に低ソーダアルミナを用いることが好ましい。また、熱伝導率を高くするためには、窒化硼素を併用することも好ましく、純度が99%以上の窒化硼素を用いることが特に好ましい。
(A)ポリオルガノシロキサンの屈折率と(B)白色顔料の屈折率差が大きいほど、少量の白色顔料添加でも白色度がより高く、反射・散乱効率の良い半導体発光装置用樹脂成形体を得ることができる。(A)ポリオルガノシロキサンは屈折率が1.41程度のものが好ましく、屈折率が1.76のアルミナ粒子を(B)白色顔料として好適に用いることができる。(A)ポリオルガノシロキサンの屈折率は、樹脂の硬度の観点から1.40以上が好ましく、アルミナとの屈折率差が小さくなり反射率が下がる傾向にある、耐熱性が下がる傾向にある等の理由により、1.50以下が好ましい。
本発明において、白色顔料は近紫外線の光反射効果が高く、近紫外線による変質が小さい点でも上記のとおり、アルミナを主成分とすることが好ましい。アルミナは、紫外線の吸収能が低いことから、特に、紫外〜近紫外発光の発光素子と共に用いる場合に好適に用いることができる。本発明においてアルミナはアルミニウムの酸化物をいい、その結晶形態は問わないが、化学的に安定、融点が高い、機械的強度が大きい、硬度が高い、電気絶縁抵抗が大きい等の特性を持つαアルミナが好適に使用できる。
白色顔料としては、本発明の効果を損なわない範囲で他の無機粒子(アルミナ以外の無機粒子)や有機微粒子を用いることができる。
他の無機粒子としては、例えば、酸化珪素、酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属塩;窒化硼素、アルミナホワイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、硼酸アルミニウム、クレー、タルク、カオリン、雲母、合成雲母などが挙げられる。
また、有機微粒子としては、例えば、弗素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の樹脂粒子などを挙げることができるが、いずれもこれらに限定されるものではない。
これら無機粒子や有機粒子は、単独もしくは2種以上混合して用いる事ができる。
中でも白色度が高く少量でも光反射効果が高く変質しにくい点からは、酸化チタン、酸化亜鉛などが特に好ましい。また、材料硬化時の熱伝導率向上の点からは、窒化硼素などが特に好ましい。酸化チタンを用いる場合は、光触媒性、分散性、白色性等の問題が出ない程度に含有する事ができる。
酸化チタンとしては、具体的には、例えば富士チタン工業社製のTAシリーズ、TRシリーズ、石原産業社製のTTOシリーズ、MCシリーズ、CR−ELシリーズ、PTシリーズ、STシリーズ、FTLシリーズ、タイペークWHITE等が挙げられ、アルミナとしては具体的には日本軽金属社製A30シリーズ、ANシリーズ、A40シリーズ、MMシリーズ、LSシリーズ、AHPシリーズ、アドマテックス社製「Admafine Alumina」AO−5タイプ、AO−8タイプ、日本バイコウスキー社製CRシリーズ、大明化学工業社製タイミクロン、Aldrich社製10μm径アルミナ粉末、昭和電工社製A−42シリーズ、A−43シリーズ、A−50シリーズ、ASシリーズ、AL−43シリーズ、AL−47シリーズ、AL−160SGシリーズ、A−170シリーズ、AL−170シリーズ、住友化学社製AMシリーズ、ALシリーズ、AMSシリーズ、AESシリーズ、AKPシリーズ、AAシリーズ等が挙げられ、ジルコニアとしては具体的には第一希元素化学工業社製UEP−100等が挙げられる。
酸化亜鉛としては、具体的には、例えばハクスイテック社製酸化亜鉛2種等が挙げられる。
また、特に、発光ピーク波長が420nm以上の発光素子を使用する半導体発光装置では、白色顔料として酸化チタンも好適に併用することができる。酸化チタン(チタニア)は紫外線吸収能を持つが、屈折率が大きく光散乱性が強いため、420nm以上の波長の光の反射率が高く、少ない添加量でも高反射を発現しやすい。本発明の白色顔料としては、紫外線吸収能や光触媒能が大きく高温で不安定なアナターゼ型よりも、高温で安定であり、屈折率が高く、比較的耐光性が高いルチル型が好ましく、光活性を抑える目的で表面にシリカやアルミナの薄膜コートが施されたルチル型が特に好ましい。
酸化チタンは屈折率が高く、ポリオルガノシロキサンとの屈折率差が大きいため少ない添加量でも高反射となりやすいことから、白色顔料としてアルミナに酸化チタンを併用してもよい。例えば、アルミナに対する酸化チタンの質量比(アルミナ:酸化チタン)が、60:40〜95:5となる割合で混合することができる。
アルミナに酸化チタンを少量添加することで、アルミナを単独で使用した場合よりも420nm以上の波長の光の反射率が高くなる可能性があり、さらに、材料中の白色顔料の割合が小さい場合や、材料の厚みが薄い場合にも反射率が下がりにくい傾向がある。チタニアの併用により材料中の白色顔料の割合を小さくできるため、材料組成の自由度が上がり、白色顔料以外の成分の充填量を上げることができる。また、薄い材料の反射率が高いことは、樹脂成形体の形状の自由度が上がる点で非常に有利である。また、厚みを大きくできない薄い樹脂成形体や細かい構造の樹脂成形体でも材料の反射率が高いことで、半導体発光装置の明るさを増す効果が期待できる。
なお、白色顔料をシランカップリング剤などで表面処理を行なってもよい。シランカップリング剤で表面処理した白色顔料を用いると、樹脂成形体用材料全体の硬度を向上させることができる。
<1−2−1.(B)白色顔料の添加量>
本発明において半導体発光装置用樹脂成形体材料中の(B)白色顔料の含有量は、使用する顔料の粒径や種類、ポリオルガノシロキサンと顔料の屈折率差により適宜選択される。(A)ポリオルガノシロキサン100質量部に対し通常20質量部以上、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上であり、通常900質量部以下、好ましくは600質量部以下、より好ましくは400質量部以下である。
上記範囲内であると反射率、成形性等が良好である。上記下限未満である場合には光線が透過してしまい半導体発光装置の反射効率が低下する傾向にあり、上限よりも大きい場合には材料の流動性が悪化することにより成形性が低下する傾向にある。
特に、液状射出成形に好適に使用できる材料とするためには、材料にある程度以上のチキソトロピー性を持たせることが必要である。一次粒子径が0.1μm以上1.5μm以下の白色顔料を組成物中に配合すると著しい増粘が起こり、チキソトロピー性付与効果が大きいが、そのような形状の白色顔料を組成物全体の20質量%以上含有させることで、バリやショートが少なく成形しやすい材料にすることができ、さらに、粘度とチキソトロピー性を調整することが容易となる。また、熱伝導率の制御のために、白色顔料として、アルミナに窒化硼素を併用してもよい。
<1−3.(C)硬化触媒>
本発明における(C)硬化触媒とは、(A)のポリオルガノシロキサンを硬化させる触媒である。ポリオルガノシロキサンは触媒により重合反応が早まり硬化する。この触媒はポリオルガノシロキサンの硬化機構により付加重合用触媒、縮合重合用触媒がある。
付加重合用触媒としては、前記(C1)成分中のアルケニル基と(C2)成分中のヒドロシリル基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒である。この付加重合触媒のとしては、例えば白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この(C3)付加重合触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属として(C1)および(C2)成分の合計質量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上であり、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。これにより触媒活性を高いものとすることができる。
縮合重合用触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、有機酸などの酸、アンモニア、アミン類などのアルカリ、金属キレート化合物などを用いることができ、好適なものとしてTi、Ta、Zr、Al、Hf、Zn、Sn、Ptのいずれか1以上を含む金属キレート化合物を用いることができる。なかでも、金属キレート化合物は、Ti、Al、Zn、Zrのいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものがさらに好ましく用いられる。
これらの触媒は半導体発光装置用樹脂成形体材料として配合した際の安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。
縮合重合用触媒の配合量は、前記式(3)および/または(4)で表される成分の合計質量に対して通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、一方上限は通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下である。
添加量が上記範囲であると半導体発光装置用樹脂成形体材料の硬化性、保存安定性が良好であり、加えて成形した樹脂成形体の品質が良好である。添加量が上限値を超えると樹脂成形体材料の保存安定性に問題が生じる場合があり、下限値未満では硬化時間が長くなり樹脂成形体の生産性が低下し、未硬化成分により樹脂成形体の品質が低下する傾向にある。
<1−4.(D)硬化速度制御剤>
本発明の半導体発光装置用の樹脂成形体用材料は、さらに(D)硬化速度制御剤を含有することが好ましい。ここで硬化速度制御剤とは、樹脂成形体用材料を成形する際に、その成形効率を向上させるために硬化速度を制御するためのものであり、硬化遅延剤または硬化促進剤が挙げられる。
硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、例えば、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が挙げられる。脂肪族不飽和結合を含有する化合物の中でも、三重結合を有する化合物が好ましい。有機リン化合物としては、例えば、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が挙げられる。有機イオウ化合物としては、例えば、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が挙げられる。窒素含有化合物としては、例えば、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が挙げられる。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が挙げられる。
脂肪族不飽和結合などの硬化遅延剤としての効果を持つ官能基が、ポリオルガノシロキサンの一部に共有結合で導入された変性シリコーンも硬化遅延剤として好適に使用できる。このようなポリマー型の硬化遅延剤は、低分子の硬化遅延剤と比べてベースのポリオルガノシロキサンと均一に混合しやすい、揮発しにくいなどの特長があるため、好ましい。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用する(C)硬化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1mol以上、より好ましくは1mol以上であり、好ましい添加量の上限は10mol以下、より好ましくは50mol以下である。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂を硬化させるものであれば特に制限はなく、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられ、中でも高い反応促進性を示す点でイミダゾール類を用いるのが好ましい。
上記イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、商品名としては、2E4MZ、2PZ−CN、2PZ−CNS(四国化成工業株式会社)等がある。硬化促進剤の添加量は、(A)ポリオルガノシロキサン熱硬化性樹脂と(C)硬化触媒の合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
硬化速度制御剤の種類や配合量を上記のように設定とすることにより、樹脂成形体用材料の成形が容易となる。例えば、金型への充填率が高くなったり、射出成形による成形時に金型からの漏れがなく、バリが発生しにくくなったりするメリットが得られる。
<1−5.その他の成分>
本発明の半導体発光装置用の樹脂成形体用材料は、さらに、必要に応じて他の成分を1種、または2種以上を任意の比率および組み合わせで含有させることができる。
例えば、半導体発光装置用樹脂成形体用材料の流動性コントロールや白色顔料の沈降抑制の目的で、固体粒子を(E)流動性調整剤として含有させることができる。流動性調整剤としては、含有させることで樹脂成形体用材料の粘度が高くなる常温から成形温度付近で固体の粒子であれば特に限定されないが、発光素子からの光や蛍光体により波長変換された光を吸収する性質が無いか非常に小さく、材料の反射率を極端に低下させないもので、光や熱による変色、変質が小さく耐久性が高いものが好ましい。
具体的には、シリカ微粒子、石英ビーズ、ガラスビーズ、ガラス繊維などの無機物繊維、窒化ホウ素、窒化アルミ等が挙げられる。
中でもチキソトロピー性付与効果が大きいシリカ微粒子は、組成物の粘度やチキソトロピー性をコントロールしやすく、好適に使用できる。石英ビーズ、ガラスビーズ、ガラス繊維などは、流動性調整剤としての効果のみならず、材料の熱硬化後の強度、靭性を高める効果や材料の線膨張係数を下げる効果も期待できるため好ましく、シリカ微粒子と併用するか単独で使用してもよい。
本発明に使用するシリカ微粒子は、特に限定されるものではないが、BET法による比表面積が、通常50m/g以上、好ましくは80m/g以上、さらに好ましくは100m/g以上である。また、通常300m/g以下、好ましくは200m/g以下である。比表面積が小さすぎるとシリカ微粒子の添加効果が認められず、大きすぎると樹脂中への分散処理が困難になる。シリカ微粒子は、例えば親水性のシリカ微粒子の表面に存在するシラノール基と表面改質剤を反応させることにより表面を疎水化したものを使用してもよい。
表面改質剤としては、アルキルシラン類の化合物が挙げられ、具体例としてジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、ジメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。
シリカ微粒子としては、例えばフュームドシリカを挙げることができる。フュームドシリカは、HとOとの混合ガスを燃焼させた1100〜1400℃の炎でSiClガスを酸化、加水分解させることにより作製される。フュームドシリカの一次粒子は、平均粒径が5〜50nm程度の非晶質の二酸化ケイ素(SiO)を主成分とする球状の超微粒子であり、この一次粒子がそれぞれ凝集し、粒径が数百nmである二次粒子を形成する。フュームドシリカは、超微粒子であるとともに、急冷によって作製されるため、表面の構造が化学的に活性な状態となっている。
具体的には、例えば日本アエロジル株式会社製「アエロジル」(登録商標)が挙げられ、親水性アエロジル(登録商標)の例としては、「90」、「130」、「150」、「200」、「300」、疎水性アエロジル(登録商標)の例としては、「R8200」、「R972」、「R972V」、「R972CF」、「R974」、「R202」、「R805」、「R812」、「R812S」、「RY200」、「RY200S」「RX200」が挙げられる。
また、樹脂成形体用材料の粘度を調整するため、液状増粘剤としての効果を持つポリオルガノシロキサンを(A)ポリオルガノシロキサンに一部配合することができる。液状増粘剤としては、25℃における粘度が、通常0.001Pa・s以上3Pa・s以下、好ましくは0.001Pa・s以上1Pa・s以下、より好ましくは0.001Pa・s以上0.7Pa・s以下であり、ヒドロキシル価が、通常1.0×10−2〜7.7×10−5mol/g、好ましくは1.0×10−2〜9.5×10−5mol/g、より好ましくは1.0×10−2〜10.3×10−5mol/gであり、一分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合したヒドロキシル基(すなわち、シラノール基)を含有する、直鎖状オルガノポリシロキサンを配合することができる。
この液状増粘剤としてのヒドロキシル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンは、分子中にアルケニル基および/またはSiH基等のヒドロシリル化付加反応に関与する官能性基を含有しないものであり、分子中のヒドロキシル基は分子鎖末端のケイ素原子に結合したものであっても、分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子に結合したものであっても、これらの両方に結合したものであってもよいが、好ましくは分子鎖両末端のケイ素原子に結合したヒドロキシル基を含有する直鎖状オルガノポリシロキサン(すなわち、α、ω‐ジヒドロキシジオルガノポリシロキサン)であることが望ましい。
このケイ素原子に結合した有機基としては、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基やフェニル基等のアリル基などの一価炭化水素基が挙げられる。該オルガノポリシロキサンの主鎖を構成するジオルガノシロキサン繰返し単位としては、ジメチルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位等の一種または二種以上の組み合わせであることが好ましい。具体的には、α、ω‐ジヒドロキシジメチルポリシロキサン、α、ω‐ジヒドロキシジフェニルポリシロキサン、α、ω‐ジヒドロキシメチルフェニルポリシロキサン、α、ω‐ジヒドロキシ(ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン)共重合体、α、ω‐ジヒドロキシ(ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン)共重合体等が挙げられる。
液状増粘剤としてのポリオルガノシロキサンの配合量は、(A)ポリオルガノシロキサン全体を100質量部とした時、通常0〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部程度とすることができる。
また、材料の熱硬化後の強度、靭性を高める目的で、ガラス繊維などの無機物繊維を含有させてもよく、また、熱伝導性を高めたるため、熱伝導率の高い窒化ホウ素、窒化アルミ、繊維状アルミナ等を前述の白色顔料とは別に含有させることができる。その他、硬化物の線膨張係数を下げる目的で、石英ビーズ、ガラスビーズ等を含有させることができる。
これらの添加する場合の含有量は、少なすぎると目的の効果か得られず、多すぎると半導体装置用樹脂成形体用材料の粘度が上がり、加工性に影響するので、十分な効果が発現し、材料の加工性を損なわない範囲で適宜選択できる。通常、ポリオルガノシロキサン100質量部に対し500質量部以下、好ましくは200質量部以下である。
また、上記樹脂成形体用材料中には、その他、イオンマイグレーション(エレクトロケミカルマイグレーション)防止剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを本発明の目的および効果を損なわない範囲において含有させることができる。
なお、カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性および接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
上記(A)乃至(E)成分の、本発明の樹脂成形体用材料中の好ましい含有量は以下のとおりである。
本発明の樹脂成形体用材料中における(A)ポリオルガノシロキサンの含有量は、通常樹脂成形体用材料として用いることができる範囲であれば限定されないが、通常材料全体の15質量%以上、50質量%以下であり、好ましくは20質量%以上、40質量%以下であり、より好ましくは25質量%以上、35質量%以下である。なお、材料中に含まれる(D)硬化速度制御剤やその他成分である液状増粘剤がポリオルガノシロキサンである場合は上記(A)の含有量に含まれるものとする。
本発明の樹脂成形体用材料中における(B)白色顔料の含有量は、通常樹脂成形体用材料として用いることができる範囲であれば限定されないが、通常材料全体の30質量%以上、85質量%以下であり、好ましくは40質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは45質量%以上、70質量%以下である。
本発明の樹脂成形体用材料中における(E)流動性調整剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば限定されないが、通常材料全体の55質量%以下であり、好ましくは2質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
また、樹脂成形体用材料全体に対する、(B)白色顔料及び(E)流動性調整剤の合計量の比が、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが特に好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。
<1−6.樹脂成形体用材料の粘度>
本発明の樹脂成形体用材料は、25℃における剪断速度100s−1での粘度が10Pa・s以上10,000Pa・s以下であることが好ましい。上記粘度は、半導体装置用の樹脂成形体を成形する際の成形効率の観点から、50Pa・s以上5,000Pa・s以下であることがより好ましく、100Pa・s以上2,000Pa・s以下であることがさらに好ましく、150Pa・s以上1,000Pa・s以下であることが特に好ましい。
加えて、後述するようにチキソトロピー性の観点から、本発明の樹脂成形体用材料は25℃での剪断速度100s−1での粘度に対する25℃での剪断速度1s−1での粘度の比(1s−1/100s−1)が15以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、30以上であることが特に好ましい。一方、上限は、500以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましい。
また、本発明の樹脂成形体用材料の粘度としては、特に、25℃における剪断速度100s−1での粘度が1,000Pa・s以下であり、かつ、25℃での剪断速度100s−1での粘度に対する25℃での剪断速度1s−1での粘度の比(1s−1/100s−1)が15以上であることが好ましい。
成形性のよい材料とするためには、材料に一定以上のチキソトロピー性を持たせることが必要であるが、25℃における剪断速度100s−1での粘度が10Pa・s以上10,000Pa・s以下であり、剪断速度100s−1での粘度に対する剪断速度1s−1での粘度の比が15以上である場合、バリやショートモールド(未充填)の発生が少なく、成形時の材料の計量時間や成形サイクルを短縮でき、成形も安定しやすく、成形効率の高い材料となる。
特に液状樹脂材料を用いたLIM成形では、金型の微小隙間から材料が染み出すことに起因するバリが発生しやすく、バリを除去する後処理工程が必要であった。一方、バリの発生を抑えるために金型の隙間を小さくするとショートモールド(未充填)が発生しやすくなる等の問題があった。樹脂成形体用材料の粘度が上記範囲にある場合、このような問題を解決することができ、樹脂成形体のLIM成形を容易に、成形性良く行うことができる。
剪断速度100s−1での粘度が10,000Pa・sより大きいと、樹脂の流れが悪いため金型への充填が不十分となったり、射出成形を行う際に材料供給に時間がかかるため成形サイクルが長くなったりするなどして、成形効率が低下する傾向にある。また、上記粘度が10Pa・sより小さいと、金型の隙間から材料が漏れてバリが発生したり、金型の隙間に射出圧力が逃げやすくなるため成形が安定しにくくなったり、やはり成形効率が低下する傾向にある。特に成形体が小さい場合にはバリを除去するための後処理も困難になるため、バリの発生を抑えることは成形性には重要である。
25℃における剪断速度100s−1での粘度に対する25℃における剪断速度1s−1での粘度の比が15未満の場合、つまり剪断速度1s−1での粘度が比較的小さい場合は、成形機や金型の隙間にも材料が入り込みやすくなったり、バリが非常に発生しやすくなったり、ノズル部で液ダレしやすくなったり、射出圧力が材料に伝わりにくく成形が安定しにくくなったりするなど、成形のコントロールが難しくなることがある。LIM成形ではスプルー部のパーティングラインの樹脂漏れが問題になりやすいが、上記粘度範囲に調整することは樹脂漏れ抑制にも効果がある。
これらの25℃における剪断速度100s−1での粘度と剪断速度1s−1での粘度は、例えばARES−G2−歪制御型レオメータ(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて測定することができる。
上記粘度を制御し、液状射出成形(LIM成形)に好適に使用できる材料とするためには材料に一定以上のチキソトロピー性を持たせることが必要である。微細領域(一次粒径0.1μm以上1.5μm以下)の微粒子を材料中に配合すると著しい増粘が起こり、チキソトロピー性付与効果が大きい。そのため、一次粒子径が0.1μm以上1.5μm以下の(B1)白色顔料や、比表面積が大きいフュームドシリカのような微細領域の(E)流動性調整剤を使用すると、組成物のチキソトロピー性をコントロールしやすい。具体的には、一次粒子径が0.1μm以上1.5μm以下の(B1)白色顔料を20質量%以上含有させることが好ましく、より好ましくは(B)白色顔料と、フュームドシリカや石英ビーズのような白色顔料以外の(E)流動性調整剤とを組み合わせ合計で50〜85質量%含有させることで、材料の粘度を上記範囲に制御することができる。
二次粒子の中心粒径が2μmよりも大きい白色顔料を用いる場合、特に中心粒径が5μm以上のものを用いる場合には、チキソトロピー性付与効果が大きい微細領域の流動性調整剤を併用することが好ましいが、(B)白色顔料自体の一次粒径が十分小さい場合には、流動性調整剤と併用せず白色顔料のみでも使用でき、更に中心粒径が比較的大きい数μm程度以上の流動性調整剤と組み合わせても良い。
<1−7.樹脂成形体用材料の熱伝導率>
本発明の樹脂成形体用材料は、硬化時の熱伝導率が0.4以上3.0以下であることが好ましく、0.6以上2.0以下であることがより好ましい。硬化時の熱伝導率は、例えばアイフェイズ・モバイル(アイフェイズ社製)を用いて測定することができる。
ここで硬化時とは、180℃で4分間熱硬化させた時をいう。
半導体発光装置においては、半導体発光素子から発せられる光により発熱が生じ、特に該素子の出力が大きい場合は発熱量がより大きくなる。この場合、発熱により樹脂成形体に隣接する蛍光体層の劣化が生じ、該装置の耐久性を低下させてしまう。
かかる問題に対し、本発明者らは、硬化時の、すなわち成形により樹脂成形体とした時の熱伝導率が上記範囲であることにより、樹脂成形体およびそれを用いて構成した半導体発光装置において半導体発光素子から発せられる光による発熱に対する放熱性が向上するため、該装置の耐久性が向上することを見出した。
上記熱伝導率が0.4より小さいと、該装置において半導体発光素子から発せられる光による発熱により該装置に含まれる蛍光体層が熱劣化する傾向にある。
上記熱伝導率は、半導体発光装置用樹脂成形体用材料に含有させる(B)白色顔料としてアルミナや窒化硼素を用いることにより上記範囲に制御することができる。
<1−8.樹脂成形体の反射率>
また、本発明の樹脂成形体用材料を用いた樹脂成形体は、可視光について高反射率を維持することができることが好ましい。具体的には、460nmの光の反射率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、波長400nmの光の反射率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
ここで、樹脂成形体の反射率は、本発明の樹脂成形体用材料を熱硬化させて、厚さ0.4mm〜0.5mm程度以下に成形した成形体を測定した場合の反射率をいう。前記熱硬化は、例えば、10kg/cmの圧力下、180℃で4分間、硬化させることにより行うことができる。
樹脂成形体の反射率は、樹脂の種類(例えば、樹脂の屈折率を変えることにより反射率を制御することができる。)や白色顔料(フィラー)の種類、白色顔料(フィラー)の粒径や含有量などにより制御することができる。
<2.樹脂成形体の製造方法>
本発明の半導体発光装置用パッケージが備える樹脂成形体は、以下に説明する樹脂組成物(樹脂成形体用材料)を成形することにより得られる。
<2−1.樹脂組成物の製造方法>
使用する原料としては、上述のとおり、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料及び(C)硬化触媒の他、適宜、(D)硬化速度制御剤(硬化遅延剤または硬化促進剤)、(E)流動性調整剤、およびその他の添加剤を用いることができる。
ここで、各原料の配合量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に制限はないが、(A)ポリオルガノシロキサンの配合量は、樹脂組成物100質量部に対し15〜70質量部、好ましくは20〜50質量部であり、(B)白色顔料の配合量は、樹脂組成物100質量部に対し20〜80質量部、好ましくは30〜70質量部であり、(E)流動性調整剤の配合量は、樹脂組成物100質量部に対し1〜50質量部、好ましくは3〜30質量部である。また、(C)硬化触媒の配合量は、例えば白金系触媒であればポリオルガノシロキサンに対する白金濃度として1〜20ppm、好ましくは2〜10ppmである。(D)硬化速度制御剤(硬化遅延剤)の配合量は、使用する硬化触媒1molに対して0.1〜1000mol、好ましくは1〜50molである。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
各原料を混合する際は、液状媒体としてポリオルガノシロキサンを使用することができる。例えば、所定量のポリオルガノシロキサン、白色顔料(フィラー)、硬化触媒等を計量し、ミキサー、高速ディスパー、ホモジナイザー、3本ロール、ニーダー、遠心脱泡装置等で混合する等、従来公知の方法で混合することができる。
本発明において、無機粒子を混合する方法は特に制限されないが、通遊星攪拌ミキサー、自転・公転式真空ミキサー、薄膜旋回型ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合することが好ましい。例えば、遊星攪拌ミキサーとしては、プライミクス社製T.K.ハイビスミックス、淺田鉄工社製プラネタリーミキサーやプラネタリーデスパ、井上製作所社製プラネタリーミキサーやトリミックス、PDミキサー、アシザワ・ファインテック社製二軸プラネタリーミキサーPLM、三軸プラネタリーミキサー3PLM等が挙げられる。遠心撹拌する場合には、自転・公転式真空ミキサー(具体的には、シンキー社製ARV310、EME社製V−mini300V、クラボウ社製マゼルスター等が挙げられる。)を用いることができる。また、薄膜旋回型ミキサーとしては、プライミクス社製T.K.フィルミックスが挙げられ、臼型混練機として、淺田鉄工社製ミラクルKCKが挙げられる。
なお、アエロジルのような凝集しやすい小粒子を混合する場合には、小粒子の混合後、必要に応じてビーズミルや三本ロールなどを用いて凝集粒子の解砕を行ってから白色顔料(フィラー)等の混合容易な大粒子成分を混合してもよい。
各原料を混合する工程において、製造される樹脂組成物が水分を多く含むと樹脂成形体中のSiH存在量が少なくなり、水分を少なくすると樹脂成形体中のSiH存在量が多くなる傾向にあるので、SiH存在量が特定の範囲となるよう、水分の含有量を調整することが好ましい。樹脂組成物への水分の混入を少なくするために、混合を減圧雰囲気下で行うことができる。減圧時の気圧としては、通常0kPa以上、好ましくは0.1kPa以上、さらに好ましくは0.5kPa以上、また、通常40kPa以下、好ましくは30kPa以下、さらに好ましくは20kPa以下である。この範囲を下回ると、減圧度の維持が困難で高精度の装置を要し、経済的ではない可能性がある。また、この範囲を上回ると、水分の除去が不十分になる傾向にある。
また、減圧時の雰囲気としては、大気や、窒素、希ガス等の不活性ガス等が好ましい。
減圧時の雰囲気の相対湿度は、温度や圧力、減圧工程に用いる機器の種類や操作方法により異なるので一概には言えないが、一般に減圧操作前の相対湿度が25℃において、通常0%以上、好ましくは5%以上であり、また、通常80%以下、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下である。この範囲を下回ると、水分の除去効率は上がるものの特殊なデシカント装置を使用することとなり、不経済かつ生産性に劣るという可能性がある。また、この範囲を上回ると、水分の除去が不十分になる傾向にある。
また、雰囲気の温度に比較して混合時の材料温度を低くし過ぎる場合、局所的な結露により樹脂組成物の水分含有量を増加させる。
また、白色顔料(フィラー)や流動性調整剤、例えばシリカ微粒子等を混合前に熱風乾燥することで、樹脂組成物への水分含有量を減らすこともできる。熱風乾燥時の温度としては150℃以上が好ましく、250℃以上が更に好ましい。
上述の原料成分を全て混合して、1液型の樹脂組成物を製造してもよいが、2液型にしてもよい。2液型の場合、例えば、(i)ポリオルガノシロキサンと白色顔料(フィラー)と流動性調整剤とを主成分とするポリオルガノシロキサン樹脂組成物と、(ii)硬化触媒と硬化遅延剤とを主成分とする架橋剤液の2液を調製しておき、使用直前に(i)ポリオルガノシロキサン樹脂組成物と(ii)架橋剤液とを混合することもできる。
樹脂組成物の保管方法に特に制限はないが、保管時の環境温度を15℃以下とすると、硬化反応の急速な進行を抑制することで、成形の際の金型への充填不良を防止することができるので好ましい。中でも、樹脂組成物の保管時の環境温度を0℃より高くすると保管中にSiH存在量が少なくなる傾向にあり、環境温度を0℃以下、好ましくは−20℃以下にすると樹脂成形体中のSiH存在量が減少しにくい傾向にあるので、SiH存在量が特定の範囲となるよう、保管時の環境温度を調整することが好ましい。
<2−2.成形方法>
本発明の樹脂成形体の成形方法として圧縮成形法、トランスファー成形法、および射出成形法を例示する事ができる。これらのうち、好ましい成形方法としては、無駄な硬化物が発生せず二次加工が不要である(すなわちバリが発生しにくい)点から、樹脂成形体の成形工程の自動化、成形サイクルの短縮化、成形品のコスト削減が可能になる等大きなメリットがある、射出成形法、特に液状射出成形法(LIM成形)が挙げられる。LIM成形とトランスファー成形とを比較すると、LIM成形は、成形形状の自由度が高く、成形機および金型が比較的安価であるというメリットがある。
射出成形法では射出成形機を用いて行う事ができる。シリンダー設定温度は材料に応じて適宜選択すればよいが、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。金型温度は80℃以上300℃以下、好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましくは120℃以上200℃以下である。射出時間は材料によって変わるが、通常数秒あるいは1秒以下である。成形時間は材料のゲル化速度や硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、通常3秒以上600秒以下、好ましくは5秒以上200秒以下、さらに好ましくは10秒以上60秒以下である。
液状射出成形(LIM成形)で樹脂を成形する際には、冷えた樹脂を熱い金型に送り込み化学反応を伴い粘度を上げていくため、通常は粘度上昇不十分なまま金型に到達する。すなわち、温度条件に対する粘度上昇に遅れが生じるため、樹脂の粘度の制御に加えて金型間やリードフレームと金型との隙間の精度が高いことも要求される。樹脂が金型に到達する際の粘度上昇が不十分な場合には、樹脂が金型の隙間やリードフレームと金型との隙間から漏れ出ることがあり、バリが発生しやすい。通常は10μm以下、好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下の金型隙間精度が要求される。金型に入る前にリードフレームを予熱することも、リードに沿ったバリの発生を抑えるのに効果がある。
また、樹脂の成形の際、金型を真空雰囲気下に置くことで、狭い空間への材料の浸透が促進され、成形品内にエアボイドの発生を防ぐことができる。
液状射出成形(LIM成形)における硬化時間については、硬化度をグラフで表した際に、グラフの形がS字に立ち上がると良い。初期の硬化の立ち上がりが早すぎると金型への未充填が発生する場合がある。バリの発生を抑え、かつ金型への未充填を防止するには、材料の硬化速度のコントロールと粘度調整が非常に重要である。金型に樹脂材料が充填された後は、成形サイクルを短縮でき、硬化収縮により離型性が上がるので、硬化は早いほど良い。
硬化終了までの時間は通常60秒以内、好ましくは30秒以内、さらに好ましくは10秒以内である。必要に応じてポストキュアを行ってもよい。硬化速度は白金触媒種の選択、触媒量、硬化速度制御剤の使用、ポリオルガノシロキサンの架橋度のほか、金型温度、充填速度、射出圧力等の成形条件によっても調節できる。
圧縮成形法ではコンプレッション成形機を用いて行う事ができる。成形温度は材料に応じて適宜選択すればよいが、通常80℃以上300℃以下、好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましくは120℃以上200℃以下である。成形時間は材料の硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、通常3秒以上1200秒以下、好ましくは5秒以上900秒以下、さらに好ましくは10秒以上600秒以下である。
トランスファー成形法ではトランスファー成形機を用いて行う事ができる。成形温度は材料に応じて適宜選択すればよいが、通常80℃以上300℃以下、好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましくは120℃以上200℃以下である。成形時間は材料のゲル化速度や硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、通常3秒以上1200秒以下、好ましくは5秒以上900秒以下、さらに好ましくは10秒以上600秒以下である。
いずれの成形法でも必要に応じて後硬化を行う事ができ、後硬化温度は100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下、さらに好ましくは170℃以上200℃以下である。後硬化時間は通常3分間以上24時間以下、好ましくは5分間以上10時間以下、さらに好ましくは10分間以上5時間以下である。
<3.半導体発光装置パッケージ、及び半導体発光装置>
本発明の半導体発光装置用樹脂成形体は、通常半導体発光素子を搭載して半導体発光装置として用いられる。半導体発光装置は、例えば図1に示す様に、半導体発光素子1、樹脂成形体2、ボンディングワイヤ3、封止材4、リードフレーム5等から構成される。この場合、リードフレーム5等の導電性材料と絶縁性の樹脂成形体からなるものを、パッケージと称する。
半導体発光素子1は、近紫外領域の波長を有する光を発する近紫外半導体発光素子、紫領域の波長の光を発する紫半導体発光素子、青領域の波長の光を発する青色半導体発光素子などを用いることが可能であり、350nm以上520nm以下の波長を有する光を発する。図1においては半導体発光素子が1つのみ搭載されているが、後述する図2のように複数個の半導体発光素子を線状に、あるいは平面状に配置することも可能である。半導体発光素子1を平面状に配置することで、面照明とすることができ、このような実施形態はより出力を強くしたい場合に好適である。
パッケージを構成する樹脂成形体2は、リードフレーム5と共に成形される。パッケージの形状は特段限定されず平面型でもカップ型でもよい。樹脂成形体2は、そのすべてが本発明の樹脂成形体材料からなるものであってもよく、その一部が本発明の樹脂成形体材料からなるものであってもよい。樹脂成形体2の一部が本発明の樹脂成形体材料からなるものである場合の具体例としては、後述する図2のように、リフレクター部102の樹脂成形体を本発明の樹脂成形体材料から成形する態様が挙げられる。
リードフレーム5は導電性の金属からなり、半導体発光装置外から電源を供給し、半導体発光素子1に通電する役割を果たす。
ボンディングワイヤ3は、半導体発光素子1をパッケージに固定する役割を有する。また、半導体発光素子1が電極となるリードフレームと接触していない場合には、導電性のボンディングワイヤ3が半導体発光素子1への電源供給の役割を担う。ボンディングワイヤ3は、リードフレーム5に圧着し、熱及び超音波の振動を与えることで接着させる。
本発明の樹脂成形体用材料からなる樹脂成形体2は、リードフレーム5の露出面積を極めて小さくすることが可能である。本発明の樹脂成形体材料を成形した樹脂成形体は、リードフレームの材料(例えば銀など)と反射率が同等乃至は高い傾向にあるため、樹脂成形体の露出面積を大きくしても、パッケージの高い反射率を維持することができる。そのため、本発明の樹脂成形体用材料からなるパッケージを用いることで、従来型のパッケージとは異なる構成の半導体発光装置を得ることもできる。
例えば、図3には従来型のパッケージを備えた半導体発光装置200を示す。図3の半導体発光装置は、リードフレーム204の露出面積が大きい。これは、樹脂成形体201の反射率がリードフレーム204と比較して低いため、半導体発光装置が高輝度を実現するためには、反射率の高い材料を用いているリードフレーム204の表面積を大きくする必要があった。このようなリードフレーム204の露出面積が大きい場合には、パッケージを発光装置に備えて使用した場合にリードフレームの変色が生じることで発光効率が低下する場合があるが、図1のように、リードフレーム5の露出面積を小さくすることで、このようなリードフレームの変色に起因する発光効率の低下を防ぐことができる。
パッケージを構成する樹脂成形体2は、半導体発光素子1が搭載され、蛍光体を混合した封止材4により封止されている。封止材4は、バインダー樹脂に蛍光体を混合した混合物であり、蛍光体は半導体発光素子1からの励起光を変換し、励起光と波長の異なる蛍光を発する。本実施形態においては、封止材が蛍光体層の役割を兼ねている。封止材4に含まれる蛍光体は、半導体発光素子1の励起光の波長に応じ、適宜選択される。白色光を発する半導体発光装置(白色LED)において、青色光を発する半導体発光素子を励起光源とする場合には、緑色及び赤色の蛍光体を蛍光体層に含ませることで白色光を生成することができる。紫色光を発する半導体発光素子の場合には、青色及び黄色の蛍光体を蛍光体層に含ませること、または青色、緑色及び赤色の蛍光体を蛍光体層に含ませることで白色光を生成することができる。
封止材4に含まれるバインダー樹脂は、通常封止材に用いられることが知られている透光性の樹脂を適宜選択すればよい。具体的にはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられ、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。
本発明の半導体発光装置の別の態様を図2を用いて説明する。
本実施形態の半導体発光装置1Cは、窓部を有する筐体101、リフレクター部102、光源部103、ヒートシンク104から構成されている。光源部103は配線基板上に発光部105を備えており、配線基板106に直接半導体発光素子が実装されたCOB(Chip on Board)形式、図1のような半導体発光装置が表面実装された形式のいずれでも良い。光源部103がCOB形式である場合は、半導体発光素子はドーム状又は平板状に成形された封止樹脂により枠材を使用せず封止されていても良い。また、配線基板106上に実装される半導体発光素子は1個でも複数個でもよい。リフレクター部102及びヒートシンク104は筐体101と一体型であっても別々であってもよく、必要に応じて用いることが出来る。放熱の観点から光源部103、筐体101、ヒートシンク104は一体構造もしくは高熱伝導性シートやグリースなどを介し隙間なく接していることが好ましい。窓部107は公知の透明樹脂や光学ガラスなどを用いることが出来、平板状であっても曲面を有していてもよい。
蛍光体部を設け白色LEDとする場合には蛍光体部を光源部103に設けても窓部107に設けてもよいが、窓部107に設けると発光素子から離れた位置に蛍光体を配置することが出来、熱や光で劣化しやすい蛍光体の劣化を抑制し、長期にわたり均一で高輝度な白色光を得ることが出来るメリットがある。
窓部107に蛍光体層を設ける場合は、透明な窓材の上(図示せず)に蛍光体層をスクリーン印刷やダイコーティング、スプレー塗布などの方法で製造することができる。このような態様の場合、半導体発光素子と蛍光体層とが距離をあけて配置されているため、蛍光体層が半導体発光素子からの光のエネルギーにより劣化することを防ぐことができ、また発光装置の出力も向上させることができる。半導体発光素子と窓部107の蛍光体層との距離は、5〜50mmであることが好ましい。図2における蛍光体層は、蛍光の自己再吸収とRGB各色蛍光体間の再吸収を低減するため、用いる蛍光体の各色ごとに塗り分けた多層構造としたり、ストライプ状、あるいはドット状などのパターンを形成したりしても良い。
上記半導体発光装置1Cの各部の形状は図に示す限りではなく、曲面部を有していたり必要に応じ調光装置や回路保護装置など付属の装置がついていても良い。
以上説明した本発明の半導体発光装置において、本発明に係る樹脂成形体(以下、単に「光学部材」と称する。)を適用する箇所は、すでに説明したとおり特に制限されない。例えば図2で示す半導体発光装置1Cにおいては、筐体101、リフレクター部102、光源部103、発光部105、配線基板106の各部材に用いることができる。本発明に係る樹脂成形体は紫外〜可視光の反射率が高く耐熱性、耐光性に優れるため、必要な半導体発光素子の個数を抑え安価で高輝度、高耐久な照明装置を供することが出来る。特に本発明の樹脂成形体は紫外〜青色光の反射率が高いことにより蛍光体により波長変換される前の半導体発光素子から発せられる光を有効に反射できることになり、蛍光体層を光源部から離れた位置に設置する実施態様に適している。半導体発光素子の発光色が紫外〜近紫外である場合には反射材フィラー(白色顔料)はアルミナを主成分とすることが好ましく、青色である場合にはアルミナにチタニアを併用することが好ましい。
本発明の半導体発光装置用樹脂成形体用材料を用いて形成された半導体発光装置用樹脂成形体は、好ましいものとして以下の特徴を有する。
<3−1.半導体発光装置パッケージの反射率>
本発明の半導体発光装置パッケージは、可視光のみならず、紫色よりも短い波長の近紫外光、紫外光についても高反射率を維持することができることが特徴である。波長360、400および460nmの光の反射率が、それぞれ通常60%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。紫外光領域から可視光領域まで高反射率を有する本発明の樹脂成形体を備えた半導体発光装置パッケージは、従来の半導体発光装置パッケージに認められないきわめて優れた特性を有する。特にポリシロキサン等の樹脂製の半導体発光装置パッケージにおいては、これまで当業者が容易に想到できなかった特性であり、技術的意義が極めて高い。
<3−2.半導体発光装置パッケージの厚み>
本発明の半導体発光装置パッケージは、通常、チップ装着面と前記チップ装着面と反対側に底面を有する。この場合、前記チップ装着面と底面の間の距離、すなわち半導体発光装置パッケージの厚みは、通常100μm以上、好ましくは200μm以上である。また、通常3000μm以下であり好ましくは2000μm以下である。厚みが薄すぎると底面に光が透過して反射率が低下する、パッケージの強度が不十分で取り扱い上変形する、などの問題が生じるおそれがあり、厚すぎるとパッケージ自体も厚く嵩高くなるため、半導体発光装置の適用用途が限られる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定される物ではない。なお、以下の実施例における諸種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
1.液状熱硬化性ポリオルガノシロキサンの調製
硬化触媒として白金化合物を含有する両末端ビニルポリジメチルシロキサン[ビニル基:0.3mmol/g、3官能型珪素と4官能型珪素の合計が珪素全体の約15%、粘度:4200mPa・s、質量平均分子量(MW):9600。白金濃度:14ppm]と、ヒドロシリル基含有ポリジメチルシロキサン[ビニル基:0.04mmol/g、ヒドロシリル基:4.8mmol/g、3官能型珪素と4官能型珪素の合計が珪素全体の約20%、粘度700mPa・s、質量平均分子量(MW):9800]と、硬化速度制御剤(硬化遅延剤)として働くアルキニル基が結合したポリジメチルシロキサン(ビニル基:0.2mmol/g、ヒドロシリル基:0.1mmol/g、3官能型珪素と4官能型珪素の合計が0%、硬化遅延剤のアルキニル基:0.2mmol/g、粘度500mPa・s、質量平均分子量(MW):10800]とを、100:10:5で混合し常温で攪拌することで均一化し、白金濃度12ppmの液状熱硬化性ポリオルガノシロキサンを得た。
なお、この液状熱硬化性ポリオルガノシロキサンの屈折率は、1.41であった。また、原料化合物の質量平均分子量(MW)は、ポリスチレンを標準物質として測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィーでの測定値である。
2.半導体発光装置パッケージ用組成物の調製と試験片の作成
<実施例1>
上記で得られた液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン、(B1)平均二次粒子径1.2μmのα−アルミナ(一次粒子径0.3μm、純度99.1%、アスペクト比1.48)と、(B2)平均二次粒子径3.6μmのα−アルミナ(一次粒子径3〜5μm、純度99.9%)、流動性調整剤としてシリカ微粒子「AEROSIL RX200」(日本アエロジル株式会社製:比表面積:140m/g)を表1に示す質量比で配合・攪拌して、白色顔料とシリカ微粒子を前記液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン中に分散させ、白色の半導体発光装置パッケージ用の組成物(樹脂成形体用材料)を得た。
この組成物を所定の厚さになるように熱プレス機にて、150℃3分間加熱・硬化させ、直径13mmの円形の試験片(テストピース)を得た。
<実施例2〜4、比較例1〜3>
液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料として(B1)又は(B2)、(E)流動性調整剤としてシリカ微粒子「AEROSIL RX200」の配合量を表1に示すとおりに変えたこと以外は、実施例1と同様の条件で試験片を得た。なお、表1中の「(A)シリコーン」は「硬化触媒と遅延剤を含む液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン」の量である。
3.評価
(1)粘度
上記実施例1、2および比較例1〜3の各組成物の硬化前の粘度を、射出成形にて成形可能な比較例1の組成物の粘度を基準として、と評価した。結果を表2に示す。
(2)線膨張係数
上記実施例1、2および比較例1〜3の各組成物について、液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン[(A)シリコーン]、(B)白色顔料、(E)流動性調整剤(RX200)の線膨張係数をそれぞれ300(×10−6/℃)、8.5(×10−6/℃)、0.5(×10−6/℃)とし、体積比(vol%)より組成物の線膨張係数を算出した。計算値を表2に示す。
(3)ショアD硬度
上記で得られた実施例および比較例の各試験片(厚さ3mm)を、200℃の恒温器中で20分間ポストキュアした後、試験片2枚を重ね、ゴム・プラスチック硬度計KORI Durometer KR−25Dを用いて、JIS K6753に従って、試験片の中心付近のショアD硬度を測定した。結果を表2に示す。
(4)反射率
上記実施例1、2および比較例1〜3の各試験片について、コニカミノルタ社製SPECTROPHOTOMETER CM−2600dを用い、測定径6mmにて波長360nmから740nmにおける光の反射率を測定した。各試験片の厚さと反射率を表2に示す。
Figure 2013001776
Figure 2013001776
<結果の評価>
表2によれば、(B)白色顔料として(B1)成分と(B2)成分を使用した実施例1、2では、成形性の良い粘度を維持しながら、組成物中の白色顔料の充填率を上げることができ、(B1)成分のみを含む比較例1より、硬化物の硬度が高く、線膨張係数も小さくなった。反射率については比較例1よりは低いものの、90%程度以上の十分高い反射率を示し、バランスのよい成形用材料が得られた。
白色顔料として(B1)成分のみを使用し、組成物中の白色顔料の充填率を上げた比較例2では硬化物の硬度は上がるが、組成物の粘度が高くなり、成形が困難となった。また、白色顔料として(B2)成分のみを使用した比較例3では、(A)/(B)=100/567まで白色顔料の充填率を上げたにもかかわらず反射率が低く、B2のみでは反射率の担保が困難であることがわかった。
これらの結果から、白色顔料として、主に高反射に寄与する(B1)成分と、高充填に寄与する(B2)成分を併用することで、高反射かつ成形性のよい材料とすることができた。
1 半導体発光素子
2 樹脂成形体
3 ボンディングワイヤ
4 封止材
5 リードフレーム
1C 半導体発光装置
101 筐体
102 リフレクター部
103 光源部
104 ヒートシンク
105 発光部
106 配線基板
107 窓部
200 半導体発光装置
201 樹脂成形体
202 半導体発光素子
203 封止材
204 リードフレーム

Claims (10)

  1. (A)ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料および(C)硬化触媒を含有する半導体発光装置用の樹脂成形体用材料であって、前記(B)白色顔料が、
    (a)アルミナを主成分とする白色顔料であり、
    (b)前記アルミナが、(B1)0.2μm以上1.5μm以下の平均二次粒子径をもつ成分と、(B2)2μm以上30μm以下の平均二次粒子径をもつ成分とを含有し、
    (c)前記(B1)成分の含有量と(B2)成分の含有量との質量比[(B1)/(B2)]が1/5から3/1の範囲内である
    ことを特徴とする樹脂成形体用材料。
  2. (A)ポリオルガノシロキサン100質量部あたりの(B)白色顔料の含有量が80質量部以上900質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体用材料。
  3. (B1)成分の平均二次粒子径D(B1)と、(B2)成分の平均二次粒子径D(B2)との比[D(B1)/D(B2)]が1/2.5から1/10の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形体用材料。
  4. (B1)成分の二次粒子が、アスペクト比1.2以上4.0以下の一次粒子よりなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂成形体用材料。
  5. (A)ポリオルガノシロキサンが、常温・常圧下で液体の熱硬化性ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の樹脂成形体用材料。
  6. 更に(D)硬化速度調整剤及び/又は(E)流動性調整剤を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の樹脂成形体用材料。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の材料を成形してなることを特徴とする半導体発光装置用の樹脂成形体。
  8. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の材料を液状射出成形することを特徴とする半導体発光装置用の樹脂成形体の製造方法。
  9. 半導体発光装置のパッケージ用であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂成形体。
  10. 請求項9に記載の樹脂成形体を具備することを特徴とする半導体発光装置。
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