JP2013095782A - 半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】リードフレーム等の金属配線基板との接着性が良好で、反射率が高く、LED出力の向上に有効な半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(C)の成分を含有してなる半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。特定の官能基を有する接着性ポリオルガノシロキサンと有機チタン化合物との併用で、優れた基板接着性を得ると共に、所定量のアルミナを用いて白色補正を行うことにより、基板接着性と高反射率との両立が可能となる。
(A)アルコキシ基を含有し、かつ、アルケニル基及びヒドロシリル基を、アルケニル基/ヒドロシリル基(当量比)として、1/0.1〜1/10の範囲で含有するポリオルガノシロキサン:100重量部
(B)有機チタン化合物:0.01〜10重量部
(C)アルミナ:5〜400重量部
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物に係り、特に発光ダイオード等の発光素子を備えた半導体発光装置の樹脂成形体の成形材料として用いられるシリコーン樹脂組成物に関する。
本発明はまた、この半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物を用いた半導体発光装置用基板と半導体発光装置に関する。
半導体発光素子を搭載してなる半導体発光装置1Aは、通常、図5に示す様に、半導体発光素子1、樹脂成形体2、ボンディングワイヤ3、封止材4、リードフレーム5等から構成される。なお、リードフレーム等の導電性金属配線及び絶縁性の樹脂成形体からなる構成をパッケージと称する。
従来、樹脂成形体に用いる絶縁性材料として、ポリアミド等の熱可塑性樹脂に白色顔料を配合したものが一般的に用いられてきた(例えば特許文献1参照)。発光に指向性が求められる半導体発光装置は、半導体発光素子より目的とする向きへ発せられた光だけでなく、目的と異なる向きへ発せられた光を樹脂成形体、リードフレームなどの金属配線、及び反射材等で目的の向きに反射させ、発光効率を上げている。ポリアミドなどの熱可塑性樹脂が透光性であるために、樹脂成形体で光を反射させる際は、樹脂に白色顔料を配合することで樹脂と白色顔料の屈折率の差を利用し半導体発光素子からの光を反射し、半導体発光装置としての発光効率を上げている。
上記特許文献1では、白色顔料を使用した場合であっても、白色顔料の種類によってはその反射効率が十分でなく、樹脂成形体に吸収される光線や樹脂成形体を透過する光線も出てしまうため、結果として半導体発光素子からの光を目的とする向きに集中させることができずに半導体発光装置としての発光効率が下がってしまう場合があった。
また、ポリアミドを用いたパッケージは、ポリアミドが熱可塑性樹脂であり、環境問題より融点の高い鉛フリー半田が積極的に使用されリフロー温度が高くなる傾向にある現状では、その熱によりポリアミド樹脂が軟化してしまうため、パッケージの耐熱性に問題がある。また、ポリアミドは紫外線劣化、熱劣化が起こるため、近年実用化が進んでいる青色〜近紫外線半導体発光素子のようなエネルギーの高い波長領域まで発光域を持つ発光素子を用いた場合、光による劣化が特に問題となる。また、より明るい発光素子が求められている現状においては、半導体発光素子から発せられる光束の大きな光、発熱により、熱劣化、光劣化の問題がより顕在化する。
これに対して近年、樹脂にオルガノポリシロキサンを用い、白色顔料として酸化チタンを用いた半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物も提案されている(例えば特許文献2参照)。樹脂にオルガノポリシロキサンを用いることにより、ポリアミドを用いたものと比べ耐熱性の向上が図られる。
また、本願出願人は、酸化チタンを用いた特許文献2のシリコーン樹脂組成物の耐光性、耐熱性の問題を解決し、耐久性が高く、かつ優れた反射率によりLED出力を向上させることができるものとして、先に、ポリオルガノシロキサンと、特定の形状特性を有する白色顔料と、硬化触媒を含有する半導体発光装置用樹脂成形体用材料を提案した(特許文献3)。
なお、特許文献4には、シリコーンゴム用の接着剤として、ポリオルガノシロキサン、微粉末シリカ、白金族金属系触媒及び有機チタン化合物を含有する組成物が提案されている。
特開2002−283498号公報 特開2009−155415号公報 WO2011/078239号パンフレット 特許第4634866号公報
特許文献3に記載の半導体発光装置用樹脂成形体用材料では、特定の形状特性を有する白色顔料を用いることにより、耐光性、耐熱性が改善され、また優れた反射率によりLED出力を向上させることができるが、本発明者らの検討により、基板との接着性の点で更なる改良が必要であることが判明した。
即ち、例えば、金型内でリードフレーム等の配線基板と樹脂成形体とを一体成形してパッケージとする際、樹脂成形体の成形材料には、金型(通常、ステンレス製)には接着せず、基板(一般的には銀等の金属製のリードフレーム)には強固に接着することが要求されるが、特許文献3の成形材料では、この基板接着性において、更なる改良が望まれる。
一方、特許文献4に記載されるゴム用接着剤については、LED用途に関する記載はなく、また、透明であるため、効率よく光を反射することができないことから、半導体発光装置の樹脂成形体の成形材料としては不適当である。また、ポリオルガノシロキサンに有機チタン化合物を配合することで黄みがかった色となることも、半導体発光装置用途には不適当であった。
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、リードフレーム等の金属配線基板との接着性が良好で、半導体発光装置の製造に好適に用いることができ、かつ反射率が高く、LED出力の向上に有効な半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の官能基を有する接着性ポリオルガノシロキサンと有機チタン化合物との併用で、優れた基板接着性を得ると共に、所定量のアルミナを用いて黄みがかった色を白色補正すると共に反射率を高めることにより、基板に対する選択的な接着性と高反射率との両立が可能となることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 下記の(A)〜(C)の成分を含有してなることを特徴とする、半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
(A)アルコキシ基を含有し、かつ、アルケニル基及びヒドロシリル基を、アルケニル基/ヒドロシリル基(当量比)として、1/0.1〜1/10の範囲で含有するポリオルガノシロキサン:100重量部
(B)有機チタン化合物:0.01〜10重量部
(C)アルミナ:5〜400重量部
[2] (B)有機チタン化合物が有機チタン酸エステル系有機チタン化合物であることを特徴とする、[1]に記載の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
[3] (C)アルミナとして、BET比表面積が1m/g以上20m/g以下のアルミナ(I)と、BET比表面積が30m/g以上であるアルミナ(II)とを含有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
[4] 前記アルミナ(I)と前記アルミナ(II)との重量比率が99/1〜5/95の範囲にあることを特徴とする、[3]に記載の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
[5] さらに(D)硬化触媒を含有することを特徴とする、[1]ないし[4]のいずれかに記載の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
[6] [1]ないし[5]のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物を用いて製造されたことを特徴とする、半導体発光装置用基板。
[7] 前記基板の表面層が銀又は銅よりなることを特徴とする、[6]に記載の半導体発光装置用基板。
[8] [6]又は[7]に記載の半導体発光装置用基板を用いて構成されることを特徴とする、半導体発光装置。
本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物は、銀、銅などの、通常半導体発光装置の配線基板に用いられている導電性金属に対して優れた接着性を有し、一方で、ステンレスのような金型材料に対する接着性は低いという選択的な接着性を有する。
このため、半導体発光装置パッケージや半導体発光装置に用いられる樹脂成形体として、導電性金属配線に対して高い接着性を示し、配線基板との剥離などの問題を生じることがなく、耐久性、実装安定性に優れる。
また、半導体発光装置パッケージや半導体発光装置の製造に際しては、樹脂成形体の成形時の金型離型時において、成形品を容易に取り出すことができ、その際の樹脂成形体と配線基板との剥離の問題もない。
しかも、本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂成形体は、反射率が高く、半導体発光装置の発光出力を効果的に向上させることができる。
このような本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物によれば、半導体発光装置ないしはそのパッケージの樹脂成形体を歩留りよく成形して、高品質の製品を得ることができる。
本発明の半導体発光装置の実施の形態の一例を示す概略的な断面図である。 本発明の半導体発光装置の実施の形態の他の例を示す概略的な断面図である。 本発明の半導体発光装置の実施の形態の別の例を示す概略的な断面図である。 本発明の半導体発光装置の実施の形態の別の例を示す概略的な断面図である。 一般的な半導体発光装置の構成を示す概略的な断面図である。 実施例1及び比較例1における反射率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物]
本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物(以下、「本発明のシリコーン樹脂組成物」と称す場合がある。)は、下記の(A)〜(C)の成分を含有してなることを特徴とするものであり、好ましくは更に、下記(D)成分、(E)成分を含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
(A)アルコキシ基を含有し、かつ、アルケニル基及びヒドロシリル基を、アルケニル基/ヒドロシリル基(当量比)として、1/0.1〜1/10の範囲で含有するポリオルガノシロキサン:100重量部
(B)有機チタン化合物:0.01〜10重量部
(C)アルミナ:5〜400重量部
(D)硬化触媒
(E)硬化速度制御剤
<(A)ポリオルガノシロキサン>
ポリオルガノシロキサンとは、珪素原子が酸素原子を介して他の珪素原子と結合した構造に有機基が付加している高分子物質を指す。ここでポリオルガノシロキサンは、常温常圧下において液体であることが好ましい。これは、半導体発光装置の樹脂成形体を成形する際に、材料の扱いが容易となるからである。また、常温常圧下において固体のポリオルガノシロキサンは、一般的に硬化物としての硬度は比較的高いが、破壊に要するエネルギーが小さく靭性が低いものや、耐光性、耐熱性が不十分で光や熱により変色しやすいものが多い傾向にあるからである。
なお、上記常温とは20℃±15℃(5〜35℃)の範囲の温度をいい、常圧とは大気圧に等しい圧力をいい、ほぼ一気圧である。また、液体とは流動性の有る状態をいう。
上記ポリオルガノシロキサンは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば以下に示す一般組成式(1)で表される化合物や、その混合物が挙げられる。
(R123SiO1/2M(R45SiO2/2D(R6SiO3/2T
(SiO4/2Q …(1)
ここで、上記式(1)中、R1からR6は独立して、有機官能基、水素原子から選択される。またM、D、T及びQは0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。
主なポリオルガノシロキサンを構成する単位は、1官能型[R3SiO0.5](トリオルガノシルヘミオキサン)、2官能型[R2SiO](ジオルガノシロキサン)、3官能型[RSiO1.5](オルガノシルセスキオキサン)、4官能型[SiO2](シリケート)であり、これら4種の単位の構成比率を変えることにより、ポリオルガノシロキサンの性状の違いが出てくるので、所望の特性が得られるように適宜選択し、ポリオルガノシロキサンの合成を行う。
上記構成単位が1〜3官能型のポリオルガノシロキサンは、オルガノクロロシラン(一般式RnSiCl4-n(n=1〜3))と呼ばれる一連の有機珪素化合物をもとにして合成することができる。例えば、メチルクロロシランは塩化メチルと珪素(Si)とをCu触媒下高温で直接反応させて合成することができ、また、ビニル基などの有機基を持つシラン類は、一般の有機合成化学の手法によって合成することができる。
単離されたオルガノクロロシランを、単独で、あるいは任意の割合で混合し、水により加水分解を行うとシラノールが生成し、このシラノールが脱水縮合するとシリコーンの基本骨格であるポリオルガノシロキサンが合成される。
ポリオルガノシロキサンは、硬化触媒の存在下で、熱エネルギーや光エネルギー等を与えることにより硬化させる事ができる。ここで硬化とは、流動性を示す状態から、流動性を示さない状態に変化することをいい、例えば、対象物を水平より45度傾けた状態で30分間静置しても流動性がある状態を未硬化状態といい、全く流動性がない状態を硬化状態として判断することができる。
ポリオルガノシロキサンは、硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのポリオルガノシロキサンを挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型ポリオルガノシロキサン)、及び縮合硬化タイプ(縮合型ポリオルガノシロキサン)が好適である。中でも、副生成物の発生が無く、また、反応が可逆性でないヒドロシリル化(付加重合)によって硬化するポリオルガノシロキサンのタイプがより好適である。これは、成形加工時に副生成物が発生すると、成形容器内の圧を上昇させたり、硬化材料中に泡として残存したりする傾向にあるからである。
本発明で用いる特定の官能基構成の(A)ポリオルガノシロキサンとしては特に制限はないが、付加型ポリオルガノシロキサンに適用することにより、所定の官能基構成を容易に制御することができ、好ましい。
以下、付加型ポリオルガノシロキサンである(A)ポリオルガノシロキサンについて説明する。
(A)ポリオルガノシロキサンの付加型ポリオルガノシロキサンとしては、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えば、シランカップリング剤、アルコキシ基を含有する1官能および4官能からなる(MQ型)ポリオルガノシロキサンレジン等の(A1)アルコキシ基を有する珪素含有化合物と、例えばビニルシラン等の(A2)アルケニル基を有する珪素含有化合物と、例えばヒドロシラン等の(A3)ヒドロシリル基を含有する珪素化合物とを所定の割合で混合し、白金触媒などの硬化触媒の存在下反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。従って、付加型ポリオルガノシロキサンの(A)ポリオルガノシロキサンとしては、(A2)アルケニル基を有する珪素含有化合物と、(A3)ヒドロシリル基を有する珪素含有化合物とを必須とする混合物であり、かつ、(A2)または(A3)中に珪素原子に結合したアルコキシ基を有するか、あるいは、(A2)または(A3)とは別に珪素原子に結合したアルコキシ基を有する珪素含有化合物(A1)を加えてなる混合物、或いは更にこれに硬化触媒を混合してなる液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン混合物であることが好ましい。
(A1)アルコキシ基を有する珪素含有化合物としては、例えば、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性の珪素基を各々少なくとも1個有する化合物であるシランカップリング剤、珪素原子に結合したアルコキシ基を有するポリオルガノシロキサン等が挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。(A1)アルコキシ基を有する珪素含有化合物としては、加水分解性の珪素基としての反応性の点から、メトキシシリル基、エトキシシリル基を含有するものが特に好ましい。
上記珪素含有化合物のアルコキシ基としては、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルコキシ基が挙げられるが、珪素含有化合物中のアルコキシ基は、上述のように、加水分解性の珪素基としての反応性の点から、特に珪素原子(Si)に直接結合したものであることが好ましく、Siに結合したメトキシ基(メトキシシリル基)や、Siに結合したエトキシ基(エトキシシリル基)が好ましく、特にSiに結合したメトキシ基が好ましい。なお、(A1)珪素含有化合物中には、2種以上のアルコキシ基が含まれていてもよい。
(A1)アルコキシ基を有する珪素含有化合物としては、具体的には以下のものが挙げられる。
珪素原子に結合したアルコキシ基を有するポリオルガノシロキサンとして、アルコキシ基含有MQ型ポリオルガノシロキサンレジンが挙げられる。
シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
(A2)アルケニル基を有する珪素含有化合物としては、下記一般式(2)で表される、1分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。
nSiO〔(4-n)/2〕 …(2)
ただし、式(2)中、Rは同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基、又は水酸基で、nは1≦n<3を満たす正の数である。
上記(A1)アルケニル基を有する珪素含有化合物においてアルケニル基とは、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基などの炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましい。Rが炭化水素基である場合は、メチル基、エチル基などのアルキル基、ビニル基、フェニル基等の炭素数1〜20の1価炭化水素基から選択される。好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基である。
それぞれは異なっても良いが、耐紫外線性が要求される場合には、上記式中Rのうちの65%程度がメチル基であることが好ましく(つまり、Siの個数(mol数)に対してメチル基以外の官能基の含有数として0.35個(mol)以下であることが好ましい。)、上記式中Rのうちの80%以上がメチル基であることがより好ましい。Rは炭素数1〜8のアルコキシ基や水酸基であってもよいが、アルコキシ基や水酸基の含有率は、(A2)アルケニル基を有する珪素含有化合物の10重量%以下であることが好ましい。また、nは1≦n<3を満たす正の数であるが、この値が3以上であると樹脂成形体用材料とリードフレーム等の導電性金属配線との接着に十分な強度が得られなくなり、1未満であるとこのポリオルガノシロキサンの合成が困難になる。
上記(A2)アルケニル基を有する珪素含有化合物としては、例えばビニルシラン、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを挙げることができ、これらを1種単独で、又は2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。上記の中でも分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサンとして具体的には以下のものが挙げられる。
<両末端ビニルポリジメチルシロキサン>
DMS−V00、DMS−V03、DMS−V05、DMS−V21、DMS−V22、DMS−V25、DMS−V31、DMS−V33、DMS−V35、DMS−V41、DMS−V42、DMS−V46、DMS−V52(いずれもGelest社製)
<両末端ビニルジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー>
PDV−0325、PDV−0331、PDV−0341、PDV−0346、PDV−0525、PDV−0541、PDV−1625、PDV−1631、PDV−1635、PDV−1641、PDV−2331、PDV−2335(いずれもGelest社製)
<両末端ビニルフェニルメチルシロキサン>
PMV−9925(Gelest社製)
<トリメチルシリル基封鎖ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー>
VDT−123、VDT−127、VDT−131、VDT−153、VDT−431、VDT−731、VDT−954(いずれもGelest社製)
<ビニルT−構造ポリマー>
VTT−106、MTV−124(いずれもGelest社製)
また、(A3)ヒドロシリル基を有する珪素含有化合物としては、例えばヒドロシラン、ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンを挙げることができ、これらを1種単独で、又は2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。上記の中でも分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンとして具体的には以下のものが挙げられる。
<両末端ヒドロシリルポリジメチルシロキサン>
DMS−H03、DMS−H11、DMS−H21、DMS−H25、DMS−H31、DMS−H41(いずれもGelest社製)
<両末端トリメチルシリル封鎖メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー>
HMS−013、HMS−031、HMS−064、HMS−071、HMS−082、HMS−151、HMS−301、HMS−501(いずれもGelest社製)
本発明における(A)ポリオルガノシロキサンにおいて、上記(A1)アルコキシ基を有する珪素含有化合物、(A2)アルケニル基を有する珪素化合物及び(A3)ヒドロシリル基を有する珪素化合物は、(A)ポリオルガノシロキサンに含まれるアルケニル基/ヒドロシリル基(当量比)が、1/0.1〜1/10の範囲となるように用いる。このアルケニル基/ヒドロシリル基(当量比)を上記範囲に制御することにより硬化後の未反応末端基の残存量を低減し、点灯使用時の着色や剥離等の経時変化が少ない硬化物を得ることができると共に、導電性金属配線基板への接着性を高めることができる。(A)ポリオルガノシロキサンのアルケニル基/ヒドロキシル基(当量比)は、好ましくは1/0.3〜1/5、より好ましくは1/0.5〜1/3、特に好ましくは1/0.8〜1/2である。
(A)ポリオルガノシロキサンのアルコキシ基の含有量としては、0.005mmol/g以上、特に0.02mmol/g以上、とりわけ0.04mmol/g以上であることが好ましく、1mmol/g以下、特に0.7mmol/g以下、とりわけ0.5mmol/g以下であることが好ましい。なお、ここでいう(A)ポリオルガノシロキサンのアルコキシ基の含有量とは、(A)ポリオルガノシロキサン全体に含まれる含有量であり、(A1)由来のものに限定されない。(A)ポリオルガノシロキサンがアルコキシ基を含むことにより、アルコキシ基の加水分解が進むとポリオルガノシロキサンと基板との接着性が向上するが、この含有量が多過ぎると硬化後の重量減少が大きくなる傾向にある。
(A)ポリオルガノシロキサンのアルケニル基の含有量としては、0.01mmol/g以上、特に0.1mmol/g以上、とりわけ0.2mmol/g以上であることが好ましく、5mmol/g以下、特に2mmol/g以下、とりわけ1mmol/g以下であることが好ましい。(A)ポリオルガノシロキサン中のアルケニル基量が上記下限値以上であることによりヒドロシリル基との反応点を十分持つことで硬化物の強度が増し、ポリオルガノシロキサン中の有機物の比率が高くなると耐熱性、耐光性などの耐久性低下のおそれがあるが、上記上限値以下であることにより、耐久性の高い硬化物を得ることができる。
(A)ポリオルガノシロキサンのヒドロシリル基の含有量としては、0.01mmol/g以上、特に0.1mmol/g以上、とりわけ0.2mmol/g以上であることが好ましく、5mmol/g以下、特に2mmol/g以下、とりわけ1mmol/g以下であることが好ましい。(A)ポリオルガノシロキサン中のヒドロシリル基量が上記下限値以上であることにより十分な架橋点を持つことで硬化物の強度が増し、上記上限値以下であることにより硬化物の硬度を適度にコントロールすることができる。
また、(A)ポリオルガノシロキサンの粘度としては、取り扱いのし易さから、通常30,000mPa・s以下、好ましくは10,000mPa・s以下、さらに好ましくは5,000mPa・s以下である。下限は特には制限されないが、揮発度(沸点)との関係上一般的には100mPa・s以上である。
さらに、(A)ポリオルガノシロキサンは、ポリスチレンを標準物質として測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィーでの平均分子量測定値としての重量平均分子量が500以上、100,000以下であることが好ましい。より好ましくは700以上50,000以下である。さらに、揮発成分を少なくする(他部材との接着性を維持するため)目的から1,000以上、また、成形前の組成物の取扱いのし易さから25,000以下であることがより好ましい。最も好ましくは20,000以下である。
また、(A)ポリオルガノシロキサンの屈折率は(C)アルミナ(屈折率1.76)との屈折率差で、反射率の高い樹脂成形体を形成するためには低い方が好ましいが、屈折率が低いポリオルガノシロキサンは硬度が低い傾向があるため、1.40以上、特に1.41以上であることが好ましい。ポリオルガノシロキサンの屈折率が過度に高いと、(C)アルミナとの屈折率差で十分な反射率を得ることができず、また、屈折率の高いポリオルガノシロキサンは耐熱性が低い傾向にあるため、(A)ポリオルガノシロキサンの屈折率は1.50以下であることが好ましい。(A)ポリオルガノシロキサンの屈折率は、前記式(2)中、Rのうちのメチル基と、フェニル基等の芳香族基との比をコントロールすることにより調整することができる。
<(B)有機チタン化合物>
本発明で用いる(B)有機チタン化合物としては、チタンキレート化合物、有機チタン酸エステルなどが挙げられる。チタンキレート化合物の具体例としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセタト)チタン、ジブトキシビス(メチルアセトアセタト)チタン等が挙げられる。有機チタン酸エステルの具体例としては、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン等のアルコキシチタン等が挙げられる。なお、有機チタン酸エステルのアルコキシ基の炭素数としては3〜5程度が好ましく、アルコキシ基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。これらの有機チタン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。(B)有機チタン化合物としては、これらのうち、有機チタン酸エステル系カップリング剤が好ましく用いられる。
(B)有機チタン化合物は、本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化を促進し、基板に対する接着性を向上させる効果を有するものと考えられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物の(B)有機チタン化合物の含有量は、(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対して0.01〜10重量部である。(B)有機チタン化合物の含有量が上記下限値以上であると、(B)有機チタン化合物による接着性の向上効果を有効に得ることができる。(B)有機チタン化合物の含有量が多過ぎるとシリコーン樹脂組成物が着色し、反射率が低下するため、(B)有機チタン化合物の含有量は上記上限値以下とする。
<(C)アルミナ>
本発明のシリコーン樹脂組成物において、(C)アルミナは、(A)ポリオルガノシロキサンに(B)有機チタン化合物を配合したことによる黄色みがかった色調を白色補正すると共に、入射光を乱反射させて、形成される樹脂成形体の反射率を高めるために配合される。
アルミナは屈折率1.76と屈折率が比較的高く、本発明のシリコーン樹脂組成物のマトリックス成分となる(A)ポリオルガノシロキサンの屈折率(前述の如く、1.40〜1.50、通常1.41程度)との差で反射・散乱効率の高い樹脂成形体の形成に有効である。
また、アルミナは、近紫外線の光反射効果が高く、近紫外線による変質が小さい点においても好ましい。アルミナは、紫外線の吸収能が低いことから、特に、紫外〜近紫外発光の発光素子と共に用いる場合に好適に用いることができる。
アルミナはアルミニウムの酸化物をいい、その結晶形態は問わないが、化学的に安定、融点が高い、機械的強度が大きい、硬度が高い、電気絶縁抵抗が大きい、等の特性を持つαアルミナが好適に使用できる。
また、アルミナ中にアルミニウム、酸素以外の元素を不純物として含むと可視光領域に吸収を持つために着色し、好ましくない。例えばわずかでもクロムを含有すると一般にルビーと呼ばれ赤色を呈し、鉄やチタンを不純物として含有すると一般にサファイアと呼ばれ青色を呈する。本発明における(C)アルミナは、クロム、鉄、チタンの含有量がそれぞれ0.02重量%以下、好ましくは0.01重量%以下のものを使用することが好ましい。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化時の熱伝導率を高くするためには、(C)アルミナとしては純度が98%以上のアルミナを用いることが好ましく、純度99%以上のアルミナを用いることがより好ましい。
更に、本発明で用いる(C)アルミナは、以下のような形状特性を有することが好ましい。
(C)アルミナの一次粒子のアスペクト比は1.2以上であることが好ましく、1.25以上であることがより好ましく、1.3以上であることが更に好ましく、1.4以上であることが特に好ましい。一方、上限は4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.5以下であることが更に好ましく、2.2以下であることが特に好ましく、2.0以下であることがとりわけ好ましく、1.8以下であることが最も好ましい。
(C)アルミナのアスペクト比が上記範囲である場合には、散乱により高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域の短波長の光の反射が大きい。これにより、本発明のシリコーン樹脂組成物により形成された樹脂成形体を用いた半導体発光装置において、LED出力を向上させることができる。
また、アスペクト比が上記範囲であるアルミナを使用することは、成形時に用いる金型の磨耗が少ないなど、成形性の観点からも好ましい。アスペクト比が上記範囲よりも大きい場合、アルミナの角部との接触により金型の磨耗が激しくなることがあり、逆に、アスペクト比が小さいアルミナを使用する場合にも組成物中のアルミナの充填密度を上げられるため金型とアルミナとの接触頻度が上がり、金型が磨耗しやすい傾向になる。さらに、アスペクト比が上記範囲であるアルミナを使用すると、組成物の粘度の調整が容易となり、成形に適した粘度に調整することで、成形サイクルを短縮することができたり、バリを抑えることができたり、成形性に優れた組成物となる。
特にアスペクト比が4.0よりも大きい場合には、高反射率になりにくく、また、成形時に配管、スクリュー、金型等の磨耗が発生しやすく、磨耗による不純物の混入により成形により得られる樹脂成形体の反射率低下や、絶縁破壊が起こりやすい傾向にある。
アスペクト比は、粒子等の形状を定量的に表現する簡便な方法として一般に用いられており、本発明ではSEMなどの電子顕微鏡観察により計測した粒子の長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除して求めるものとする。軸長さにばらつきがある場合は、複数点(例えば10点)をSEMで計測し、その平均値から算出することができる。あるいは、30点、100点を計測しても同様の算出結果を得ることができる。
アスペクト比は、粒子の形状が繊維状や棒状か、あるいは球状かの指標となり、粒子が繊維状の場合はアスペクト比が大きくなり、粒子が球状の場合は、1.0となる。
(C)アルミナのアスペクト比が上記範囲であると、(C)アルミナの好ましい形状からは、球状、真球状に形成されたものが除かれる。また、極端に細長い形状のものも、かえって反射率を低下させてしまうため、本発明に係る(C)アルミナからは除かれる。アスペクト比が上記範囲である場合、アルミナが金型の隙間に詰まりやすく、バリが発生しにくいが、球状では金型の隙間を素通りしバリが発生しやすい傾向がある。
従って、本発明では、アスペクト比が上記範囲に含まれる粒子が(C)アルミナ全体の60体積%以上、より好ましくは70体積%以上、特に好ましくは80体積%以上を占めることが好ましい。なお、必ずしも全ての(C)アルミナが上記アスペクト比の範囲を満たさなければいけないわけではないことは当業者が当然に理解できる事項である。
アスペクト比を上記範囲とするためには、アルミナの表面処理をしたり、研磨したりする等の一般的な方法を採ってもよい。また、アルミナを破砕(粉砕)して微細化することや、アルミナを焼成により生成することによっても、達成できる。
また、本発明における(C)アルミナは、破砕形状であることが好ましい。
ここで、破砕形状とは、主にアルミナを破砕(粉砕)によって微細化した形状をいい、破砕後の処理により結晶の角が少ない丸みを帯びた形状となったもの、焼成などによって生成した球状でないアルミナの形状も含まれる。すなわち、製造工程の性格上、球状、真球状に形成されたものを除く趣旨である。破砕形状のアルミナを使用した材料では、球状のアルミナを使用した材料に比べ、散乱により高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域の短波長の光(特に、波長360nm〜460nmの光)の反射が大きい。また、球状のアルミナに比べて、経済面でも有利な場合がある。これにより、このような(C)アルミナを含むシリコーン樹脂組成物で形成される樹脂成形体を用いた半導体発光装置において、LED出力を向上させることができる。
また、本発明における(C)アルミナの一次粒子径は、0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。一次粒子径の下限値については好ましくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.25μm以上であり、上限値については好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.8μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。
一次粒子径が上記範囲である場合には、後方散乱傾向と散乱光強度を兼ね備えることで材料が高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域等の短波長の光に対する反射が大きくなり、好ましい。
アルミナは、一次粒子径が小さすぎると散乱光強度が小さいため反射率は低くなる傾向にあり、一次粒子径が大きすぎると散乱光強度は大きくなるが、前方散乱傾向になるため反射率は小さくなる傾向にある。
また、一次粒子径が上記範囲である場合には、成形に適した粘度への調整が容易で、金型の磨耗が少ないなど、成形性の観点からも好ましい。一次粒子径が上記範囲よりも大きい場合、アルミナ粒子との接触による金型への衝撃が大きく金型の磨耗が激しくなる傾向があり、一次粒子径が上記範囲よりも小さいアルミナを使用する場合には、材料が高粘度になりやすく、アルミナの充填量を上げられないため、高反射等の材料特性と成形性との両立が難しくなる傾向にある。
特に、液状射出成形に好適に使用できる組成物とするためには、組成物にある程度以上のチキソトロピー性を持たせることが必要である。一次粒子径が0.1μm以上2.0μm以下のアルミナを組成物中に添加するとチキソトロピー性付与効果が大きく、バリやショートが少なく成形しやすい組成物とするために、粘度とチキソトロピー性を容易に調整することができる。
なお、樹脂組成物中のアルミナの充填率を上げる等の目的で、一次粒子径が2μmよりも大きいアルミナを併用することもできる。
本発明における一次粒子とは粉体を構成している粒子のうち、他と明確に区別できる最小単位の個体をいい、一次粒子径はSEMなどの電子顕微鏡観察により計測した一次粒子の粒子径をいう。一方、一次粒子が凝集してできる凝集粒子を二次粒子といい、二次粒子の中心粒径は粉体を適当な分散媒(例えばアルミナの場合は水)に分散させて粒度分析計等で測定した粒径を言う。一次粒子径にばらつきがある場合は、数点(例えば10点)をSEM観察し、その平均値を粒子径としてもとめることができる。また、測定の際、個々の粒子径が球状でない場合はもっとも長い、すなわち長軸の長さを粒子径とする。
アルミナのアスペクト比と一次粒子径は、成形後(硬化後)であっても測定することができる。SEMなどの電子顕微鏡によって成形品の断面を観察し、断面に露出したアルミナの一次粒子径とアスペクト比を計測すればよい。
前述の通り、本発明ではSEMなどの電子顕微鏡観察により計測した粒子の長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除して求めるものとする。軸長さにばらつきがある場合は、複数点(例えば10点)をSEMで計測し、その平均値から算出することができる。あるいは、30点、100点を計測しても同様の算出結果を得ることができる。
一方、上記アルミナは、二次粒子の中心粒径(以下、「二次粒径」と称する場合がある。)が、0.2μm以上であるものが好ましく、0.3μm以上であるものがより好ましい。二次粒径の上限は10μm以下であるものが好ましく、5μm以下であるものがより好ましく、2μm以下であるものが更に好ましい。
アルミナの二次粒径が上記範囲である場合には、成形性の観点で好ましい組成物が得られ易い。また、成形に適した粘度への調整が容易で、金型の磨耗が少ない。加えて、アルミナが金型の隙間を通過しにくいためバリが発生しにくく、かつ、金型のゲートに詰まりにくいため成形時のトラブルが起こりにくい。二次粒径が上記範囲よりも大きい場合には、アルミナの沈降により組成物が不均一となる傾向にあり、金型の磨耗やゲートの詰まりにより成形性が損なわれたり、組成物の反射の均一性が損なわれたりすることがある。
なお、シリコーン樹脂組成物中のアルミナの充填率を上げる等の目的で、二次粒径が10μmよりも大きいアルミナを併用することもできる。
なお、中心粒径とは積算%の体積基準粒度分布曲線が50%の横軸と交差するポイントの粒子径を言い、一般的に50%粒子径(D50)、メディアン径と呼ばれるものを指す。
また、本発明においては、(C)アルミナとして、BET比表面積が1m/g以上20m/g以下のアルミナ(I)(上記で説明したアルミナに相当する。)に加えて、BET比表面積が30m/g以上であるアルミナ(II)を併用してもよい。ここで、BET比表面積(窒素吸着比表面積)は、JIS K6217に準拠して定義される値である。
このうち、BET比表面積が小さい、即ち粒径の大きいアルミナ(I)は反射率の向上に機能し、アルミナ(I)は上述した形状特性を有するものに該当する。
なお、アルミナ(I)のBET比表面積はより好ましくは2m/g以上10m/g以下である。
一方、BET比表面積の大きい、即ち粒径の小さいアルミナ(II)は、これを含有させることでシリコーン樹脂組成物の粘度を高くし、シリコーン樹脂組成物の流動性コントロールやアルミナ(I)の沈降抑制のための流動性調整剤として機能する。
この流動性の調整のための配合成分としては、含有させることでシリコーン樹脂組成物の粘度が高くなる常温から成形温度付近で固体の粒子であれば、アルミナ(II)以外のものであっても、発光素子からの光や蛍光体により波長変換された光を吸収する性質が無いか非常に小さく、材料の反射率を極端に低下させないもので、光や熱による変色、変質が小さく耐久性が高いものであれば良く、例えば、後述のシリカ微粒子、石英ビーズ、ガラスビーズ、ガラス繊維などの無機物繊維、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等を用いることもできるが、アルミナ(II)も好適に用いることができる。
アルミナ(II)のBET比表面積は好ましくは40m2/g以上、さらに好ましくは65m2/g以上である。また、通常300m2/g以下、好ましくは200m2/g以下である。アルミナ(II)のBET比表面積が小さすぎると添加効果が認められず、大きすぎるとシリコーン樹脂組成物中への分散処理が困難になる。
なお、BET比表面積が大きいアルミナ(II)は、ポリオルガノシロキサンの硬化を阻害することがあり、その場合には表面改質剤で表面を疎水化したものを使用することが好ましい。
表面改質剤としては、アルキルシラン類の化合物が挙げられ、具体例としてジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメトキシオクチルシラン、ジメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。
また、アルミナ(II)の一次粒子径は、5nm以上、50nm以下であることが好ましく、10nm以上、40nm以下であることがより好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物中の(C)アルミナの含有量は、(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対して5〜400重量部の範囲で、使用するアルミナの粒径や、ポリオルガノシロキサンとアルミナとの屈折率差などにより適宜選択される。本発明のシリコーン樹脂組成物中の(C)アルミナの含有量は(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対して好ましくは15〜300重量部、より好ましくは50〜250重量部である。本発明のシリコーン樹脂組成物中の(C)アルミナの含有量が上記範囲内であると得られる樹脂成形体の色調、反射率、成形性等が良好である。(C)アルミナの含有量が上記下限値未満である場合には(B)有機チタン化合物により黄味がかった組成物となり、また、光線が透過してしまい形成される樹脂成形体の反射効率が低下する傾向にある。即ち、本発明において、(C)アルミナは、反射率の向上のみならず(B)有機チタン化合物による着色を相殺する成分としても有効に機能する。(C)アルミナの含有量が上記上限値よりも多い場合には、シリコーン樹脂組成物の流動性が悪化することにより成形性が低下する傾向にある。
また、後述のようにシリコーン樹脂組成物の熱伝導率を0.4以上3.0以下の範囲に制御するためには、(C)アルミナをシリコーン樹脂組成物全体量に対して40重量%以上90重量%以下添加することが好ましい。
(C)アルミナとして、アルミナ(I)とアルミナ(II)とを併用する場合、アルミナ(I)とアルミナ(II)との重量比率が99/1〜5/95の範囲、特に95/5〜30/70の範囲、とりわけ90/10〜50/50の範囲となるように用いることが、アルミナ(I)による反射率の向上効果と、アルミナ(II)による流動性の調整効果を有効に得る上で好ましい。
<(D)硬化触媒>
本発明のシリコーン樹脂組成物は(D)硬化触媒を含むことが好ましい。(D)硬化触媒とは、(A)ポリオルガノシロキサンを硬化させる触媒であり、(A)ポリオルガノシロキサンは触媒により重合反応が促進されて硬化する。この触媒は(A)ポリオルガノシロキサンの硬化機構により付加重合用触媒、縮合重合用触媒がある。
前述の如く、本発明で用いる(A)ポリオルガノシロキサンは、好ましくは付加型ポリオルガノシロキサンであることから、この硬化触媒としては、好ましくは付加重合用触媒が用いられる。
付加重合用触媒としては、(A2)成分中のアルケニル基と(A3)成分中のヒドロシリル基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加重合触媒の例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加重合触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属として(A)ポリオルガノシロキサンに含まれる(A2)アルケニル基を有する珪素含有化合物と(A3)ヒドロシリル基を有する珪素含有化合物との合計重量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上であり、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。これにより触媒活性を高いものとすることができる。
<(E)硬化速度制御剤>
本発明のシリコーン樹脂組成物は、さらに(E)硬化速度制御剤を含有することが好ましい。ここで硬化速度制御剤とは、シリコーン樹脂組成物を硬化させて成形する際に、その成形効率を向上させるために硬化速度を制御するためのものであり、硬化遅延剤又は硬化促進剤が挙げられる。
硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレエート等のマレイン酸エステル類等が例示される。脂肪族不飽和結合を含有する化合物の中でも、三重結合を有する化合物が好ましい。
有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。
有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。
窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。
有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレエート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用する(D)硬化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10-1mol以上、より好ましくは1mol以上であり、好ましい添加量の上限は103mol以下、より好ましくは50mol以下である。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂を硬化させるものであれば特に制限はなく、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられ、中でも高い反応促進性を示す点でイミダゾール類を用いるのが好ましい。
上記イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、商品名としては、2E4MZ、2PZ−CN、2PZ−CNS(四国化成工業株式会社)等がある。
硬化促進剤は、(A)ポリオルガノシロキサンと(D)硬化触媒の合計100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下の範囲で添加することが好ましい。
硬化速度制御剤の種類や配合量を上記のように設定とすることにより、シリコーン樹脂組成物の硬化時の成形が容易となる。例えば、金型への充填率が高くなったり、射出成形による成形時に金型からの漏れがなく、バリが発生しにくくなったりするメリットが得られる。
<その他の成分>
本発明のシリコーン樹脂組成物中には、上記(A)〜(E)成分以外に、本発明の要旨を損なわない限り、必要に応じて他の成分の1種又は2種以上を任意の比率及び組み合わせで含有させることができる。
例えば、シリコーン樹脂組成物の流動性コントロールや(C)アルミナの沈降抑制の目的で、前述のアルミナ(II)以外の固体粒子を流動性調整剤として含有させることができる。流動性調整剤としては、含有させることでシリコーン樹脂組成物の粘度が高くなる常温から成形温度付近で固体の粒子であれば特に限定されないが、発光素子からの光や蛍光体により波長変換された光を吸収する性質が無いか非常に小さく、材料の反射率を極端に低下させないもので、光や熱による変色、変質が小さく耐久性が高いものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子、石英ビーズ、ガラスビーズ、ガラス繊維などの無機物繊維、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
また、組成物の熱硬化後の強度、靭性を高める目的で、ガラス繊維などの無機物繊維を含有させてもよく、また、熱伝導性を高めたるため、熱伝導率の高い窒化ホウ素、窒化アルミニウム、繊維状アルミナ等を前述の(C)アルミナとは別に含有させることができる。その他、硬化物の線膨張係数を下げる目的で、石英ビーズ、ガラスビーズ等を含有させることができる。
これらの添加する場合の含有量は、少なすぎると目的の効果が得られず、多すぎるとシリコーン樹脂組成物の粘度が上がり、加工性に影響するので、十分な効果が発現し、組成物の加工性を損なわない範囲で適宜設定されるが、通常、(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対し500重量部以下、好ましくは200重量部以下である。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物中には、その他、イオンマイグレーション(エレクトロケミカルマイグレーション)防止剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、前述の(A1)成分としてのシランカップリング剤以外のカップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを本発明の目的及び効果を損なわない範囲において含有させることができる。なお、増粘剤としては、シリカ微粒子、好ましくは疎水性のシリカ微粒子を用いることができる。
<各成分の含有量>
本発明のシリコーン樹脂組成物における前記(A)〜(E)成分の(A)ポリオルガノシロキサンに対する含有量は、前述の通りであるが、各成分の好ましい含有量は以下のとおりである。
本発明のシリコーン樹脂組成物中における(A)ポリオルガノシロキサンの含有量は、通常樹脂成形体用成形材料として用いることができる範囲であれば限定されないが、通常組成物全体の15重量%以上、50重量%以下であり、好ましくは20重量%以上、40重量%以下であり、より好ましくは25重量%以上、35重量%以下である。
なお、シリコーン樹脂組成物中に含まれる(E)硬化速度制御剤やその他成分である液状増粘剤がポリオルガノシロキサンである場合は上記(A)ポリオルガノシロキサンの含有量に含まれるものとする。
本発明のシリコーン樹脂組成物中における(C)アルミナの含有量は、通常樹脂成形体用成形材料として用いることができる範囲であれば限定されないが、通常組成物全体の30重量%以上、85重量%以下であり、好ましくは40重量%以上80重量%以下であり、より好ましくは45重量%以上、70重量%以下である。
本発明のシリコーン樹脂組成物中における流動性調整剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば限定されないが、通常材料全体の55重量%以下であり、好ましくは2重量%以上50重量%以下であり、より好ましくは5重量%以上、45重量%以下である。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物中の(C)アルミナ及び流動性調整剤の合計の含有量は、20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることが特に好ましく、また、80重量%以下であることが好ましく、75重量%以下であることがより好ましい。
なお、流動性調整剤が前記のアルミナ(II)である場合、(C)アルミナの含有量に含まれるものとする。
<シリコーン樹脂組成物の粘度>
本発明のシリコーン樹脂組成物は、25℃における剪断速度10rad/secでの粘度が10Pa・s以上10,000Pa・s以下であることが好ましい。上記粘度は、半導体装置用パッケージの成形用材料としては成形効率の観点から、50Pa・s以上5,000Pa・s以下であることがより好ましく、100Pa・s以上2,000Pa・s以下であることがさらに好ましく、150Pa・s以上1,000Pa・s以下であることが特に好ましい。
特に、本発明のシリコーン樹脂組成物をパッケージ成形用材料として用いる場合においては、成形性のよい材料とするために、材料に一定以上のチキソトロピー性を持たせることが必要であるが、25℃における剪断速度10rad/secでの粘度が10Pa・s以上10,000Pa・s以下であり、剪断速度10rad/secでの粘度に対する剪断速度0.1rad/secでの粘度の比が10上である場合、バリやショートモールド(未充填)の発生が少なく、成形時の材料の計量時間や成形サイクルを短縮でき、成形も安定しやすく、成形効率の高い材料となる。
特に液状樹脂材料を用いたLIM成形では、金型の微小隙間から材料が染み出すことに起因するバリが発生しやすく、バリを除去する後処理工程が必要であった。一方、バリの発生を抑えるために金型の隙間を小さくするとショートモールド(未充填)が発生しやすくなる等の問題があった。シリコーン樹脂組成物の粘度が上記範囲にある場合、このような問題を解決することができ、樹脂成形体のLIM成形を容易に、成形性良く行うことができる。剪断速度10rad/secでの粘度が10,000Pa・sより大きいと、樹脂の流れが悪いため金型への充填が不十分となったり、射出成形を行う際に材料供給に時間がかかるため成形サイクルが長くなったりするなどして、成形効率が低下する傾向にある。また、上記粘度が10Pa・sより小さいと、金型の隙間から材料が漏れてバリが発生したり、金型の隙間に射出圧力が逃げやすくなるため成形が安定しにくくなったり、やはり成形効率が低下する傾向にある。特に成形体が小さい場合にはバリを除去するための後処理も困難になるため、バリの発生を抑えることは成形性には重要である。
25℃での剪断速度10rad/secでの粘度に対する25℃での剪断速度0.1rad/secでの粘度の比(0.1rad/sec/10rad/sec)が10未満の場合、つまり剪断速度0.1rad/secでの粘度が比較的小さい場合は、成形機や金型の隙間にも材料が入り込みやすくなったり、バリが非常に発生しやすくなったり、ノズル部で液ダレしやすくなったり、射出圧力が材料に伝わりにくく成形が安定しにくくなったりするなど、成形のコントロールが難しくなることがある。LIM成形ではスプルー部のパーティングラインの樹脂漏れが問題になりやすいが、上記の粘度範囲に調整することは樹脂漏れ抑制にも効果がある。
これら、25℃における剪断速度10rad/secでの粘度と剪断速度0.1rad/secでの粘度は、例えばARES−G2−歪制御型レオメータ(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて測定することができる。
上記粘度を制御し、特に液状射出成形(LIM成形)に好適に使用できる材料とするためには、シリコーン樹脂組成物に一定以上のチキソトロピー性を持たせることが必要である。そのため、前述のアルミナ(I)と、比表面積が大きいアルミナ(II)のような微細領域の流動性調整剤を使用すると、組成物のチキソトロピー性をコントロールしやすい。具体的には、アルミナ(I)とアルミナ(II)やアルミナ(II)のような流動性調整剤とを組み合わせ、合計で50〜85重量%含有させることで、組成物の粘度を上記範囲に制御することができる。
<シリコーン樹脂組成物の熱伝導率>
本発明のシリコーン樹脂組成物は、硬化時の熱伝導率が0.4以上3.0以下であることが好ましく、0.6以上2.0以下であることがより好ましい。硬化時の熱伝導率は、例えばアイフェイズ・モバイル(アイフェイズ社製)を用いて測定することができる。
ここで硬化時とは、180℃で4分間熱硬化させた時をいう。
半導体発光装置においては、半導体発光素子から発せられる光により発熱が生じ、特に該素子の出力が大きい場合は発熱量がより大きくなる。この場合、発熱により樹脂成形体に隣接する封止材層の劣化が生じ、該装置の耐久性を低下させてしまう。かかる問題に対し、硬化時の、すなわち成形により樹脂成形体とした時の熱伝導率が上記範囲であることにより、樹脂成形体及びそれを用いて構成した半導体発光装置において、半導体発光素子から発せられる光による発熱に対する放熱性が向上するため、該装置の耐久性が向上する。上記熱伝導率が0.4より小さいと、該装置において半導体発光素子から発せられる光による発熱により該装置に含まれる蛍光体層が熱劣化する傾向にある。
前述の如く、上記熱伝導率は、シリコーン樹脂組成物に含有させる(C)アルミナにより、上記範囲に制御することができる。
<樹脂成形体の反射率>
本発明のシリコーン樹脂組成物を用いた樹脂成形体は、可視光について高反射率を維持することができることが好ましい。具体的には、460nmの光の反射率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、波長400nmの光の反射率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
ここで、樹脂成形体の反射率は、本発明のシリコーン樹脂組成物を熱硬化させて、厚さ1mmに成形した成形体を測定した場合の反射率をいう。前記熱硬化は、本発明のシリコーン樹脂組成物を熱硬化することができれば特に制限はなく、例えば、10kg/cm2の圧力下、150℃で3分間、硬化させることにより行うことができる。
樹脂成形体の反射率は、(A)ポリオルガノシロキサンの種類(例えば、(A)ポリオルガノシロキサンの屈折率を変えることにより反射率を制御することができる。)や(C)アルミナの粒径や含有量などにより制御することができる。
[半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物の成形方法]
本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物の成形方法としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、及び射出成形法を例示することができる。これらのうち、好ましい成形方法としては、無駄な硬化物が発生せず二次加工が不要である(すなわちバリが発生しにくい)点から、樹脂成形体の成形工程の自動化、成形サイクルの短縮化、成形品のコスト削減が可能になる等大きなメリットがある、射出成形法、特に液状射出成形法(LIM成形)が挙げられる。LIM成形とトランスファー成形とを比較すると、LIM成形は、成形形状の自由度が高く、成形機及び金型が比較的安価であるというメリットがある。
[半導体発光装置用基板]
本発明の半導体発光装置用基板は、上述の本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物を必須の構成材料として用いて製造されたものである。好ましくは、上述の本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物を硬化させたものと、導電性金属配線とを備えるものであり、本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物を硬化させた部分の形状は特に限定されず、厚さに対してある程度の面積を有する層であってもよく、堰であってもよい。堰はその平面視形状が棒状であってもよく、枠状であってもよく、コ字形やL字形であってもよい。例えば、本発明の半導体発光装置用基板は、上述の本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物の硬化層が導電性金属配線を含む基板の表面に形成されてなるものである。この基板表面の導電性金属としては、一般に銀又は銅が用いられ、本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、これら銀又は銅等の導電性金属に対して高い接着力を有する。
[半導体発光装置]
本発明の半導体発光装置は、上述の半導体発光装置基板を用いて構成されるものである。
以下、図面を参照して本発明の半導体発光装置の実施の形態を説明する。
図1〜4は、本発明の半導体発光装置の実施の形態を示す概略的な断面図である。
なお、本発明の半導体発光装置は、図5に示す一般的な半導体発光装置の構成でもよいことは言うまでもない。
<図1の半導体発光装置>
図1において、図5に示す半導体発光装置と同一機能を奏する部分には同一符号を付してある。
この半導体発光装置1Bにおいて、半導体発光素子1は、近紫外領域の波長を有する光を発する近紫外半導体発光素子、紫領域の波長の光を発する紫半導体発光素子、青領域の波長の光を発する青色半導体発光素子などを用いることが可能であり、350nm以上520nm以下の波長を有する光を発する。図1においては半導体発光素子1が1つのみ搭載されているが、後述する図2のように複数個の半導体発光素子を線状に、あるいは平面状に配置することも可能である。半導体発光素子を平面状に配置することで、面照明とすることができ、このような実施形態はより出力を強くしたい場合に好適である。
パッケージを構成する樹脂成形体2は、リードフレーム5と共に成形される。パッケージの形状は特段限定されず平面型でもカップ型でもよい。樹脂成形体2は、そのすべてが本発明のシリコーン樹脂組成物からなるものであってもよく、その一部が本発明のシリコーン樹脂組成物からなるものであってもよい。樹脂成形体2の一部が本発明のシリコーン樹脂組成物からなるものである場合の具体例としては、後述する図2のように、リフレクター部102の樹脂成形体を本発明のシリコーン樹脂組成物から成形する態様が挙げられる。
リードフレーム5は導電性の金属からなり、半導体発光装置外から電源を供給し、半導体発光素子1に通電する役割を果たす。
ボンディングワイヤ3は、半導体発光素子1をパッケージに固定する役割を有する。また、半導体発光素子1が電極となるリードフレームと接触していない場合には、導電性のボンディングワイヤ3が半導体発光素子1への電源供給の役割を担う。ボンディングワイヤ3は、リードフレーム5に圧着し、熱及び超音波の振動を与えることで接着させる。
パッケージを構成する樹脂成形体2は、半導体発光素子1が搭載され、蛍光体を混合した封止材4により封止されている。封止材4は、バインダー樹脂に蛍光体を混合した混合物であり、蛍光体は半導体発光素子1からの励起光を変換し、励起光と波長の異なる蛍光を発する。本実施形態においては、封止材が蛍光体層の役割を兼ねている。封止材4に含まれる蛍光体は、半導体発光素子1の励起光の波長に応じ、適宜選択される。白色光を発する半導体発光装置(白色LED)において、青色光を発する半導体発光素子を励起光源とする場合には、緑色及び赤色の蛍光体を蛍光体層に含ませることで白色光を生成することができる。紫色光を発する半導体発光素子の場合には、青色及び黄色の蛍光体を蛍光体層に含ませること、又は青色、緑色及び赤色の蛍光体を蛍光体層に含ませることで白色光を生成することができる。
封止材4に含まれるバインダー樹脂は、通常封止材に用いられることが知られている透光性の樹脂を適宜選択すればよい。具体的にはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられ、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。
<図2の半導体発光装置>
本実施形態の半導体発光装置1Cは、窓部を有する筐体101、リフレクター部102、光源部103、ヒートシンク104から構成されている。光源部103は配線基板上に発光部105を備えており、配線基板106に直接半導体発光素子が実装されたCOB(Chip on Board)形式、図1のような半導体発光装置が表面実装された形式のいずれでも良い。光源部103がCOB形式である場合は、半導体発光素子はドーム状又は平板状に成形された封止樹脂により枠材を使用せず封止されていても良い。また、配線基板106上に実装される半導体発光素子は1個でも複数個でもよい。リフレクター部102及びヒートシンク104は筐体101と一体型であっても別々であってもよく、必要に応じて用いることが出来る。放熱の観点から光源部103、筐体101、ヒートシンク104は一体構造もしくは高熱伝導性シートやグリースなどを介し隙間なく接していることが好ましい。窓部107は公知の透明樹脂や光学ガラスなどを用いることが出来、平板状であっても曲面を有していてもよい。
蛍光体部を設け白色LEDとする場合には蛍光体部を光源部103に設けても窓部107に設けてもよいが、窓部107に設けると発光素子から離れた位置に蛍光体を配置することが出来、熱や光で劣化しやすい蛍光体の劣化を抑制し、長期にわたり均一で高輝度な白色光を得ることが出来るメリットがある。
窓部107に蛍光体層を設ける場合は、透明な窓材の上(図示せず)に蛍光体層をスクリーン印刷やダイコーティング、スプレー塗布などの方法で製造することができる。このような態様の場合、半導体発光素子と蛍光体層とが距離をあけて配置されているため、蛍光体層が半導体発光素子からの光のエネルギーにより劣化することを防ぐことができ、また発光装置の出力も向上させることができる。図2における蛍光体層は、蛍光の自己再吸収とRGB各色蛍光体間の再吸収を低減するため、用いる蛍光体各色ごとに塗り分けた多層構造としたり、ストライプ状、あるいはドット状などのパターンを形成したりしても良い。
上記半導体発光装置1Cの各部の形状は図に示す限りではなく、曲面部を有していたり必要に応じ調光装置や回路保護装置など付属の装置がついていても良い。
図2で示す半導体発光装置1Cにおいては、筐体101、リフレクター部102、光源部103、発光部105、配線基板106の各部材に本発明のシリコーン樹脂組成物を用いることができる。
<図3の半導体発光装置>
図3は、本発明の他の実施の形態に係る半導体発光装置を示す概略断面図であり、図1に示す半導体発光装置と同一機能を奏する部材に同一符号を付してある。
このような態様の半導体発光装置1Dは、リードフレーム5(インナーリード5A,アウターリード5B)と樹脂成形体2(側面部の樹脂成形体2Aと底面部の樹脂成形体2B)とから構成されるパッケージの構造が液状射出成形(LIM)法に適しており、また放熱が良好な構成となっている。
通常、半導体発光装置のパッケージ成形においては、樹脂成形体に用いられる樹脂が従来のエンプラ樹脂と比較して柔らかくタックがあるため型離れしにくかったり、成形体の薄肉部が離型時に千切れて型内に残ったりして連続成形を妨げる要因となりやすい。そのため、パッケージの側面に位置する樹脂成形体2Aの上縁やパッケージの角は角部を無くし曲面に近い形状とすることが好ましい。また、樹脂成形体2Aの内壁面及び外壁面はパッケージ底面から離れるほど肉薄となるように、パッケージ底面に対して垂直に立ち上げた線から3±1度程度の傾斜を有することが好ましい。
また、リードフレーム型では成形・型抜け時、パーツフィーダー・ロボットアーム等によるパッケージ個片移送時、また発光素子実装時などにパッケージへのねじり外力がかかりリードが樹脂成形体から剥離・脱落することがあるので、正負のインナーリード5Aは例えばパッケージ上から見て凸型と凹型のようにパッケージ底面において相互に入りこみ、ねじり応力やワイヤボンディング時の局部応力に対して強い構造となっていることが好ましい。さらに、リードフレーム5は上下から樹脂成形体2A,2Bに挟まれた部分の面積が多い構造であることが好ましく、図3の実施態様では、側面部2Aと底面部2Aの樹脂成形体2がアウターリード5Bを挟む構造になっている。
また、リードフレーム5があらかじめ折り曲げてあると成形後に折り曲げ加工するよりパッケージとリードフレームの界面に応力がかからず破損しにくいため好ましい。
本実施態様においてアウターリード5Aは完成形状に予め折り曲げてあり、かつアウターリード裏面はパッケージ実装面と同一平面上にあり、実装安定性が高く放熱が良好である。
このような構成の半導体発光装置1Dにおいて、本発明のシリコーン樹脂組成物は、パッケージの樹脂成形体2部分の成形に用いることができる。従来のシリコーン樹脂組成物では、成形時において、特に金型からの成形体の離型時などにかかる力で樹脂成形体2とリードフレーム5が剥離する問題があったが、本発明のシリコーン樹脂組成物は、リードフレーム5を構成する銀や銅などの導電性金属に対する接着性が著しく良好であるため、このような剥離が防止される。
<図4の半導体発光装置>
図4は、本発明の半導体発光装置である、いわゆるメタルベースの配線基板を有する構成の一例を模式的に示す断面図である。
この半導体発光装置1Eでは、金属基板(アルミニウム、銅などのメタルベース)11上に、高放熱性絶縁層12を介して、銀、銅などの導電性金属配線13が形成された配線基板14を用い、この配線基板14上に、絶縁性の堰15を形成し、この堰15で囲まれた部分の配線13にバンプ(金バンプ)16を介して半導体発光素子17を設け、堰15内の空間を封止材18で封止したものである。なお、堰15の外側の配線基板14上には白色絶縁層19が設けられている。
本実施形態の半導体発光装置1Eは、パッケージを用いることなく安価に製造することが可能である。
また、本実施形態の半導体発光装置1Eは、パッケージが不要であることから、薄型化が容易であり、薄型の発光デバイスに対して良好に適用できる。
さらに、本実施形態の半導体発光装置1Eは堰15を有しており、且つ堰15の高さが封止部の高さと略等しいか高いため、製造の際に封止材14の粘度、チキソ性などの物性の精密な制御が不要であり、広範な封止材を用いて半導体発光素子を適切に封止することが可能である。
また、本実施形態の半導体発光装置1Eは、配線基板14として熱伝導率が高いものを備えているため、半導体発光素子17から発せられる熱を外部に効率よく放熱することが可能である。
また、本実施形態の半導体発光装置1Eにおける堰15は、稜線を有さない形状に形成されているため、堰15で反射して発光部から出てくる光の光取り出し効率を向上させることができる。
本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物は、このような半導体発光装置1Eにおいて、堰15及び/又は白色絶縁層19の成形に用いることができ、その高反射率性により、発光照射効率が高く、また、配線基板14の表層の銀、銅などの導電性金属配線13との接着性が良好であるため、堰15や白色絶縁層19が剥がれにくいという効果が奏される。
なお、本発明の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物を堰15として用いる場合は、ディスペンサー塗布を行うことで製造することができる。また、堰ではなく、層として用いる場合はスクリーン塗布を行うことで製造することができる。
<樹脂成形体の反射率>
本発明のシリコーン樹脂組成物を用いて形成された半導体発光装置の樹脂成形体は、可視光のみならず、紫色よりも短い波長の近紫外光、紫外光についても高反射率を維持することができることが特徴である。波長360、400及び460nmの光の反射率は、それぞれ通常60%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上を実現することができる。
<樹脂成形体の厚み>
シリコーン樹脂組成物を用いて形成された半導体発光装置の樹脂成形体は、その適用箇所に応じて適当な厚みに成形される。例えば、半導体発光装置パッケージは、通常、チップ装着面と前記チップ装着面と反対側に底面を有し、この場合、前記チップ装着面と底面の間の距離、すなわち半導体発光装置パッケージの厚みは、通常100μm以上、好ましくは200μm以上である。また、通常3000μm以下であり好ましくは2000μm以下である。厚みが薄すぎると樹脂部から底面に光が透過して反射率が低下する、パッケージの強度が不十分で取り扱い上変形する、などの問題が生じるおそれがあり、厚すぎるとパッケージ自体も厚く嵩高くなるため、半導体発光装置の適用用途が限られる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定される物ではない。
なお、以下の実施例及び比較例で用いた(C)アルミナの物性は以下の通りである。
Figure 2013095782
また、以下の実施例及び比較例で得られたシリコーン樹脂組成物の評価は、次のようにして行った。
[反射率]
得られたシリコーン樹脂組成物をテフロン板に塗布し、150℃で20分間加熱して硬化させた。テフロン板より硬化物を剥がし、厚さ1mmのシート状の試験片を得た。
各試験片について、コニカミノルタ社製SPECTROPHOTOMETER CM−2600dを用いて測定径6mmにて360nmから740nmの波長における反射率を測定した。
[接着性]
シリコーン樹脂組成物を、表面がAgメッキされた銅板、銅板、SUS板にそれぞれ塗布し、150℃で20分間硬化させた。硬化物を環境温度に冷却した後、塗膜の縁部からヘラを挿入して剥がし、塗膜が破壊して基板に硬化物の一部が残る場合を接着性○、塗膜が基板と塗膜の界面からきれいに剥離し、基板に硬化物が残らない場合を接着性×として評価した。
[実施例1]
以下の成分(i)〜(iv)を攪拌により混合してシリコーン樹脂組成物(I)を得た。
(i)Siに結合したビニル基0.26mmol/g、ヒドロシリル基:0.34mmol/g、Siに結合したメトキシ基0.046mmol/g、Siに結合したエトキシ基0.049mmol/g、を含有する粘度900mPa・s、の液状熱硬化性ポリジメチルシロキサン混合物:100重量部
(ii)有効量の白金系付加重合触媒、硬化遅延成分含有ポリジメチルシロキサン(Siに結合したビニル基:0.15mmol/g、ヒドロシリル基:0.10mmol/g、エチニル基:0.17mmol/g、粘度500mPa・s):6.1重量部
(iii)テトラn−ブトキシチタン:1重量部
(iv)アルミナa:115重量部
なお、(A)ポリオルガノシロキサン全体としてアルケニル基/ヒドロシリル基量(当量比)は、1/1.3である。また、上記エチニル基が硬化遅延剤として機能するものである。
[実施例2]
アルミナaの代りに、アルミナbを95重量部と、流動性調整のための微粒アルミナcを20重量部用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーン樹脂組成物(II)を得た。
得られたシリコーン樹脂組成物(II)について、前述の方法で接着性の評価を行い、結果を表2に示した。
[比較例1]
テトラn−ブトキシチタンを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてシリコーン樹脂組成物(III)を得た。
得られたシリコーン樹脂組成物(III)について、前述の方法で反射率を測定し、結果を図6と表2に示した。また、接着性の評価結果を表2に示した。
Figure 2013095782
テトラn−ブトキシチタンは淡黄色であるため反射率低下をひきおこすおそれがあるが、白色顔料としてアルミナを含有する実施例1のシリコーン樹脂組成物は近紫外領域まで十分高い反射率を維持した。また、テトラn−ブトキシチタンを含有する実施例1,2のシリコーン樹脂組成物はAg表面、Cu表面に良好な接着性を示し、一方、SUS表面には接着せず、半導体発光装置の配線基板に対して選択的な接着性を持つことが確認された。
1,17 半導体発光素子
1A,1B,1C,1D,1E 半導体発光装置
2 樹脂成形体
3 ボンディングワイヤ
4、18 封止材
5 リードフレーム
11 金属基板
12,19 絶縁層
13 配線
14 配線基板
15 堰
16 バンプ

Claims (8)

  1. 下記の(A)〜(C)の成分を含有してなることを特徴とする、半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
    (A)アルコキシ基を含有し、かつ、アルケニル基及びヒドロシリル基を、アルケニル基/ヒドロシリル基(当量比)として、1/0.1〜1/10の範囲で含有するポリオルガノシロキサン:100重量部
    (B)有機チタン化合物:0.01〜10重量部
    (C)アルミナ:5〜400重量部
  2. (B)有機チタン化合物が有機チタン酸エステル系有機チタン化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
  3. (C)アルミナとして、BET比表面積が1m/g以上20m/g以下のアルミナ(I)と、BET比表面積が30m/g以上であるアルミナ(II)とを含有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
  4. 前記アルミナ(I)と前記アルミナ(II)との重量比率が99/1〜5/95の範囲にあることを特徴とする、請求項3に記載の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
  5. さらに(D)硬化触媒を含有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体発光装置用シリコーン樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物を用いて製造されたことを特徴とする、半導体発光装置用基板。
  7. 前記基板の表面層が銀又は銅よりなることを特徴とする、請求項6に記載の半導体発光装置用基板。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の半導体発光装置用基板を用いて構成される
    ことを特徴とする、半導体発光装置。
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