JP2008201873A - 半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents

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恒 中島
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伸也 秋月
Toshimichi Suzuki
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Abstract

【課題】リードフレームや半導体素子の表面状態にかかわらず優れた接着性を有する半導体封止用樹脂組成物、およびそれを用いて得られる半導体装置を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(C)成分を含有し、さらに、(D)成分としてジスルフィド基含有アルコキシシランを含有した半導体封止用樹脂組成物である。
(A)熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂。
(B)組成物全体に対し80〜92重量%の割合で含有される無機質充填剤。
(C)メルカプト基含有アルコキシシラン。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体素子に対する接着性に優れた半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置に関するものである。
従来から、トランジスタ、IC、LSI等の半導体素子は、外部環境からの保護および半導体素子のハンドリング性の簡易化を目的として、リードフレーム上に搭載した状態で、プラスチックパッケージ等により封止され半導体装置化されている。そして、上記プラスチックパッケージに用いられる封止材料としては、耐半田性が要求される場合、特に、低吸湿材料であるビフェニル型エポキシ樹脂、硬化剤であるフェノールアラルキル樹脂、無機質充填剤、離型剤、難燃剤、カップリング剤等を用いた樹脂組成物が好適に用いられている。
ところが、近年、鉛フリー化による環境対応技術の進展とともにリードフレームは従来の銅製フレームから、これにNi/Pd/Auメッキ処理されたリードフレームへと置き換わりつつあり、従来の、ビフェニル型エポキシ樹脂を用いた封止材料では、上記Ni/Pd/Auメッキ処理されたリードフレーム面に対する接着力が不充分で、半田条件時におけるパッケージクラックの発生や、半導体素子、リードフレームとの界面剥離を招くおそれがあり、問題となっている。
そこで、封止材料と、半導体素子やリードフレームとの接着性を高めるために、封止用の樹脂組成物に、メルカプト基(−SH)を有する化合物を配合することが提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−268200公報
しかしながら、上記メルカプト基を有する化合物を配合した樹脂組成物を用いた場合、メルカプト基の一部がエポキシ基と反応して消費されるため、比較的多く配合しなければ実効がないという問題がある。また、メルカプト基は極性基であるため、リードフレーム表面に酸化膜層や吸着水層が形成されている場合は高い接着性を示す一方、酸化物膜や吸着水層が形成されていない等、極性が低い状態では接着性が乏しくなる、という問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、リードフレームや半導体素子の表面状態にかかわらず優れた接着性を有する半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いて得られる半導体装置の提供を、その目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)〜(C)成分を含有し、さらに、(D)成分としてジスルフィド基含有アルコキシシランを含有した半導体封止用樹脂組成物を第1の要旨とする。
(A)熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂。
(B)組成物全体に対し80〜92重量%の割合で含有される無機質充填剤。
(C)メルカプト基含有アルコキシシラン。
また、本発明は、上記半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、半導体封止用樹脂組成物として、単に、メルカプト基を有する化合物を用いるのではなく、極性の高いメルカプト基含有アルコキシシランと、極性の低いジスルフィド基含有アルコキシシランとを組み合わせて用いると、リードフレーム表面や半導体素子表面の極性が高い場合には、上記メルカプト基含有アルコキシシランが高い接着性を示し、リードフレーム等の表面の極性が低い場合には、上記ジスルフィド基含有アルコキシシランが高い接着性を示すため、リードフレーム等の表面の極性にかかわらず、高い接着性を示すことを見いだした。しかも、上記メルカプト基含有アルコキシシランのメルカプト基が金属酸化膜等と結合して消費されても、その際にメルカプト基から離脱する水素が、上記ジスルフィド基含有アルコキシシランのジスルフィド基を還元解離して2個のメルカプト基に変えるため、樹脂組成物中で、メルカプト基の消費と補給が同時に起こり、メルカプト基が不足して接着が不充分になるという事態に至らないことを見いだし、本発明に到達した。
本発明の半導体封止用樹脂組成物は、上記のように、高い極性を有するメルカプト基含有アルコキシシラン(C成分)と、低い極性を有するジスルフィド基含有アルコキシシラン(D)成分とを組み合わせて用いているため、リードフレームや半導体素子の表面の極性にかかわらず、高い接着性を示し、耐半田性、耐湿信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
しかも、上記のように、メルカプト基含有アルコキシシランのメルカプト基が金属酸化膜等と結合して消費されても、その際にメルカプト基から離脱する水素が、上記ジスルフィド基含有アルコキシシランのジスルフィド基を還元解離して2個のメルカプト基に変えるため、メルカプト基が不足して接着が不充分になるという事態に至らず、金属酸化膜等に対する優れた接着力が維持されるという利点を有する。
また、最近の半導体装置は、小型化、高集積化の要請から、電極間が狭くなってきており、電解強度が高くなって電極面から漏れ電流が発生しやすいが、上記漏れ電流が、電極近傍において、メルカプト基とジスルフィド基の酸化還元反応に利用されて消失するため、半導体素子に影響を及ぼしにくい、という利点を有する。
なお、本発明の半導体封止用樹脂組成物のなかでも、特に、上記(A)成分の樹脂として、エポキシ樹脂を用いたものは、硬化剤であるフェノール樹脂等と組み合わせることにより、成形性、耐湿性等に優れ、封止材料として最適な樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明の半導体封止用樹脂組成物のなかでも、特に、上記(C)成分であるメルカプト基含有アルコキシシランと(D)成分であるジスルフィド基含有アルコキシシランの重量比(C/D)が、1/10〜1 0/1に設定されているものは、貴金属面に対する接着性にばらつきが少なく、安定した接着力を有する樹脂組成物を得ることができる。
さらに、本発明は、特に、リードフレーム上に半導体素子を搭載してなる半導体装置に適用することにより、優れた効果を奏し、最適である。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の半導体封止用樹脂組成物(以下「樹脂組成物」と略す)は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂(A成分)と、無機質充填剤(B成分)と、メルカプト基含有アルコキシシラン(C成分)と、ジスルフィド基含有アルコキシシラン(D成分)とを含有するもので、通常、粉末状もしくはこれを打錠しタブレット状にしたものが、封止材料として用いられる。
上記(A)成分として用いることのできる熱硬化性樹脂としては、特に限定するものではないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、シアノエステル樹脂、マレイミド樹脂等の架橋性基を有するポリイミド樹脂等があげられる。なかでも、半導体素子がLSI(集積回路)の場合、吸湿性が低く、線膨張率の低い材料が求められ、耐熱性、電気信頼性が求められるため、無機質充填剤を高い割合で含んでいても成形時に低粘度となる封止材料として、エポキン樹脂および硬化剤からなる系を用いることが好適である。
上記エポキシ樹脂としては、特に限定するものではないが、なかでも一分子中にエポキシ基を2個以上有するものを用いることが好適である。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流であるビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上を併用して用いることができる。
そして、このようなエポキシ樹脂としては、エポキシ当量が150〜250、軟化点もしくは融点が50〜130℃のものが、効果の上で好適である。
上記エポキシ樹脂は、アニオン系硬化触媒であるイミダゾールや、カチオン系硬化触媒であるスルホニウム塩等を併用した単独系の熱硬化も可能であるが、樹脂の粘度、保存性、硬化性、物性等の点から、硬化剤を併用することが好適である。
上記硬化剤としては、例えば、酸無水物、フェノール樹脂、アミン、チオール等があげられ、なかでも、保存安定性、硬化性、硬化体の物性に優れる点において、フェノール樹脂を用いることが好適である。
上記フェノール樹脂としては、特に限定するものではなく、一分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれを用いてもよい。例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビフェニル型ノボラック、トリフェニルメタン型、ナフトールノボラック、フェノールアラルキル樹脂等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
そして、上記エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量当たり、フェノール樹脂中の水酸基当量が0.7〜1.3当量となるよう配合することが好ましい。なかでも、0.8〜1.2当量に設定することが、優れた硬化性、優れた硬化物の物性を得る上で、特に好適である。
また、上記硬化剤による反応を促進し、低温、短時間で硬化物を得ることを目的として、硬化促進剤を用いることができる。このような硬化促進剤としては、特に限定するものではなく、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノール等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート等のリン化合物、4級アンモニウム塩、有機金属塩類、およびこれらの誘導体等があげられる。これらは単独で用いても2種以上併せて用いてもよいが、樹脂との溶解性を考慮する必要がある。
なお、上記硬化促進剤の配合割合は、硬化剤としてフェノール樹脂を用いる場合、フェノール樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対し1〜20部の範囲に設定することが好適であり、より好ましくは2〜15部である。すなわち、1部未満では、目的とする硬化反応の促進効果が得られにくく、逆に20部を超えると、硬化反応が速すぎて成形性を損なう傾向がみられるからである。
また、本発明の(A)成分としては、上記熱硬化性樹脂だけでなく、オレフィン系熱可塑性樹脂あるいはエンジニアリングプラスチックである熱可塑性樹脂を用いることができる。
上記オレフィン系熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等があげられ、なかでも、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂やメタクリル樹脂が好適に用いられる。
また、上記エンジニアリングプラスチックである熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、GE強化ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル等があげられ、なかでも、ポリカーボネートや変性ポリフェニレンエーテルが好適に用いられる。
一方、本発明の(B)成分として用いられる無機質充填剤としては、特に限定するものではなく、例えば、石英ガラス、シリカ粉末、アルミナ、タルク、窒化アンモニウム、窒化ケイ素等があげられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なかでも、得られる成形体の線膨張係数を低減できるという点から、上記シリカ粉末を用いることが好ましく、上記シリカ粉末のなかでも溶融シリカを用いることが、高充填性、高流動性の点から特に好適である。上記溶融シリカとしては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末があげられるが、流動性の点から、球状溶融シリカを用いることが好適である。
なお、高熱伝導性が必要な用途では、破砕溶融シリカ粉末を用いることが好ましいが、破砕溶融シリカ粉末の粒子形状がでこぼこしていることから、研磨して滑らかにしたり、球状粉末と併用したりすることで、流動性の改善を図ることが望ましい。このような球状粉末としては、その入手容易性、粒子径の多様性、イオン性不純物等が少ない、等の理由から、上記球状溶融シリカが好適である。
上記破砕溶融シリカ粉末を用いる場合、その平均粒子径が5〜80μm、好ましくは10〜60μmのものが好適であり、それとともに用いられる球状溶融シリカ粉は、その平均粒子径が0.5〜10μmのものが、流動性を得る上で好適である。
そして、無機質充填剤全体の平均粒子径としては、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μm、特に好ましくは10〜30μmである。すなわち、粒子径が小さすぎると、配合量が多い場合、樹脂組成物の粘度が高くなり、成形が困難になるおそれがあることから、多く配合することができず、成形品の熱電導性が低くなってしまうからである。また、粒子径が大きすぎると、金型の樹脂注入ゲート部に詰まったり、パッケージ中の薄肉部分に侵入できず気泡の発生原因となったり、パッケージの外観に流動縞等が表れたりして好ましくない。したがって、無機質充填剤の最大粒子径は、250μm以下に設定することが好ましく、より好ましくは200μm以下である。
なお、無機質充填剤の平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて求めることができるが、なかでも、顕微鏡型の、粒子形状写真から画像処理によって平均粒子径を算出するタイプのものが好適に用いられる。そして、無機質充填剤の最大粒子径は、上記レーザ回折散乱式粒度分布測定装置による粒度分布図から概数を把握することができるが、好ましくは、開口サイズの決まった篩を利用して、篩上に残るものがあるか否かで判断することが望ましい。
上記無機質充填剤の配合量は、樹脂組成物全体の80〜92重量%(以下「%」と略す)に設定することが必要である。すなわち、無機質充填剤が上記の範囲より少なすぎると、樹脂の割合が多くなって水分の透過が起こりやすく、無機質充填剤あるいは樹脂中のイオンが溶出して半導体素子や電極の界面まで移動し、耐湿信頼性が低下する。また、無機質充填剤が上記の範囲より多すぎると、樹脂の割合が少なくなって流動性が得られず、成形が困難になるからである。
さらに、本発明の(C)成分として用いられるメルカプト基含有アルコキシシランとしては、3−メルカプトプロピルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシシラン、(メルカプトメチル)ジメチルエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等があげられ、なかでも、3−メルカプトプロピルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシシランが好適に用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記メルカプト基含有アルコキシシランは、樹脂組成物全体に対し、0.05〜1.0部配合することが好適であり、より好ましくは0.2〜0.5部である。すなわち、メルカプト基含有アルコキシシランの量が、0.05部を下回ると、貴金属がメッキされたリードフレーム等との接着性が低下するおそれがある。また、その量が1.0部を超えると、無機質充填剤やエポキシ樹脂の水酸基等と結合して、組成物の粘度を高めたり、樹脂組成物に残存するメルカプト基がその保存中に反応したりして、樹脂組成物の流動性が変化するおそれがある。
また、本発明の(D)成分として用いられるジスルフィド基含有アルコキシシランとしては、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルメチル)等があげられ、なかでも、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好適に用いられる。これらも、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記ジスルフィド基含有アルコキシシランは、樹脂組成物全体に対し、0.05〜1.0部配合することが好適であり、より好ましくは0.2〜0.5部である。すなわち、ジスルフィド基含有アルコキシシランの量が、0.05部を下回ると、上記メルカプト基含有アルコキシシランの場合と同様、貴金属がメッキされたリードフレーム等との接着性が低下するおそれがある。また、その量が1.0部を超えると、無機質充填剤やエポキシ樹脂等と結合して、組成物の粘度を高め、成形性が悪くなるおそれがある。
そして、上記(C)成分であるメルカプト基含有アルコキシシランと、(D)成分であるジスルフィド基含有アルコキシシランとの重量比(C/D)は、10/1〜1/10に設定することが好ましく、より好ましくは3/1〜1/3である。すなわち、この比率の範囲内であると、得られる樹脂組成物が、貴金属面に対し安定した接着力を示すことができるからである。
なお、上記メルカプト基含有アルコキシシランとジスルフィド基含有アルコキシシランは、すでに述べたように、無機質充填剤やエポキシ樹脂等と反応して組成物の粘度を高めるおそれがあることから、このような反応を極力抑えることが望ましく、そのためには、樹脂成分の一部と事前に溶融混合しないようにすることが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、これらの成分に加えて、離型剤、難燃剤、難燃助剤、上記シラン化合物以外のカップリング剤、イオントラップ剤、カーボンブラックや酸化チタン等の顔料、低応力化剤等、各種の添加剤を適宜配合することができる。
上記離型剤は、金型からの硬化物の離型性を組成物内部から確保するために用いられるもので、例えば、カルナウバワックス、ポリエチレン系ワックス等があげられる。
また、上記難燃剤としては、例えば、ノボラック型ブロム化エポキシ樹脂等のハロゲン系難燃剤や、リン系の難燃剤、ホスファゼン系の難燃剤等を用いることができる。そして、上記難燃助剤としては、三酸化二アンチモンや五酸化二アンチモン等が用いられる。これらの難燃剤、難燃助剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
さらに、上記ハロゲン系難燃剤以外に、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、あるいは酸化アルミニウム・3水和物等の金属酸化物の水和物等を、その性質から難燃剤として利用することができる。なかでも、形状が球状に近い多面体形状を有する金属水酸化物を用いることが、流動性の点から好適である。
上記多面体形状を有する金属水酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物、酸化マグネシウム・酸化銅の水和物等があげられる。
そして、上記多面体形状を有する金属水酸化物は、最大粒径が10μm以下であることが好ましく、特に好ましくは最大粒径が6μm以下である。すなわち、最大粒径が10μmを超えると、金属水酸化物が均一に分散しにくくなるおそれがあるからである。また、上記金属水酸化物の、BET吸着法によって測定される比表面積が、2.0〜4.0m2 /gの範囲であることが好適である。すなわち、上記比表面積がこの範囲を外れると、組成物全体の粒度が上昇しすぎたり、難燃効果が不充分となるおそれがあるからである。
また、上記多面体形状を有する金属水酸化物のアスペクト比は、通常1〜8、好ましくは1〜7、特に好ましくは1〜4である。ここで、上記「アスペクト比」とは、金属水酸化物の短径に対する長径の比を表したもので、上記アスペクト比が8を超えると、この金属水酸化物を含有する樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎて好ましくない。
そして、上記シランカップリング剤としては、前記(C)成分、(D)成分として用いるものを除き、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤等があげられる。
さらに、上記イオントラップ剤としては、イオントラップ能力を有するどのような化合物であってもよく、例えば、ハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が用いられる。
また、上記低応力化剤として、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンゴム(MBS)、シリコーンゴム等があげられる。
なお、これらの添加剤の他にも、必要に応じて、変性剤、脱泡剤、レベリング剤等を、適宜用いることができる。
さらに、本発明は、貴金属面への接着性が顕著に優れているものであるが、表面酸化されやすい非貴金属面への接着を行う場合、ハードな配位子であるエチレンジアミン、エタノールアミン、サリチルアルデヒド、1,2−ジヒドロキシベンゼン等の骨格を有する2配位以上の多配位型のキレート系化合物を併用すると、非貴金属面への接着性が高くなり、より好適である。
このようなキレート系化合物のなかでも、例えば、ジメチロールメラミン重縮合物等のメチロールアミノ基を二つ以上有する化合物は、半導体装置で多用される銅への接着性に優れていることから、併用することが好適である。
本発明の樹脂組成物を用いた半導体素子の封止方法は、特に限定するものではなく、圧縮成形、トランスファー成形等、従来公知の適宜のモールド方法を採用することができる。
そして、得られた半導体装置は、すでに述べたように、極性の高いメルカプト基含有アルコキシシランと、極性の低いジスルフィド基含有アルコキシシランとが含有された、特殊な樹脂組成物の成形体によって封止されているため、リードフレーム等の表面の極性にかかわらず、封止樹脂とリードフレーム等の表面が強固に接着し、高い耐湿信頼性、耐熱性を備えたものとなる。しかも、リードフレーム表面に金属酸化膜が形成されている場合において、上記メルカプト基含有アルコキシシランのメルカプト基が上記金属酸化膜と結合して消費されても、その際にメルカプト基から離脱する水素が、樹脂組成物中のジスルフィド基含有アルコキシシランのジスルフィド基を還元解離して2個のメルカプト基に変えるため、樹脂組成物中で、メルカプト基の消費と補給が同時に起こり、メルカプト基が不足して接着が不充分になるという事態に至らず、強固な接着力が維持されるという利点を有する。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、実施例に先立って、下記に示す各成分を準備した。
〔A成分、樹脂成分〕
・エポキシ樹脂A:
3,3′,5,5′−テトラメチルビフェニル−4,4′−ビスグリシジルエーテル 型エポキシ樹脂(エポキシ当量193、融点105℃)
・エポキシ樹脂B:
ビス(メチル−t−ブチル−グリシドキシフェニル)スルフィド(エポキシ当量24 4、融点113℃)
・エポキシ樹脂C:
ポリ(4,4′−ビスメチレンビフェニル−グリシドキシフェニル)(エポキシ当量 274、融点60℃)
・フェノール樹脂A:
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量105、軟化点83℃)
・フェノール樹脂B:
ポリ(フェノール−キシリレン)(水酸基当量170、軟化点62℃)
・フェノール樹脂C:
ポリ(フェノール−ビスメチレンビフェニル)(水酸基当量203、軟化点67℃)
〔B成分、無機質充填剤〕
・球状溶融シリカ粉末A:
平均粒子径30μm
・球状溶融シリカ粉末B:
平均粒子径7μm
・球状溶融シリカ粉末C:
平均粒子径0.5μm
・溶融シリカ粉砕粉末:
平均粒子径15μm
・カーボンブラック
〔C成分、メルカプト基含有アルコキシシラン〕
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
〔D成分、ジスルフィド基含有アルコキシシラン〕
ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド
〔硬化促進剤〕
トリフェニルホスフィン
〔離型剤〕
カルナウバワックス
〔実施例1〜17、比較例1〜5〕
後記の表1〜表5に示す各成分を同表に示す割合で準備し、90〜110℃に加熱したロール混練機にかけて3分間溶融混練した。そして、この溶融物を冷却後粉砕し、さらに打錠してタブレットすることにより、半導体封止用樹脂組成物を得た。
Figure 2008201873
Figure 2008201873
Figure 2008201873
Figure 2008201873
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そして、これらのタブレットについて、下記の評価を行い、その結果を後記の表6〜10にまとめて示した。なお、各タブレットにおける、全体に対する無機質充填剤の含有割合(%)と、エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール樹脂の水酸基の官能基比(水酸基/エポキシ基)、用いたメルカプト基含有アルコキシシラン(C成分)とジスルフィド基含有アルコキシシラン(D成分)の重量比(C/D)を併せて示した。
〔リードフレーム接着性〕
リードフレームと同一残量の平板(銅板、銀板)を用意し、それぞれの上に、上記タブレットを用いて、円錐台状の封止樹脂(底面積25mm2 )を成形した。この円錐台に、260℃加熱下で、平板の面方向と水平に力を加え、封止樹脂成形物が平板から剥離する際の最大力を測定し、円錐台の底面積で除算し、単位面積あたりの接着力を算出した。そして、その値から、下記のとおり評価した。
◎…1.2MPa以上。
○…1.0MPa以上1.2MPa未満。
△…0.7MPa以上1.0MPa未満。
×…0.7MPa未満。
〔耐半田リフロー性〕
20mm角の144ピンのリードフレーム型のQFPパッケージに、上記実施例1〜17および比較例1〜5のタブレットを用いて、トランスファー成形装置において、1.4mm厚に移送成形した。半導体素子はシリコン、表面絶縁膜は窒化珪素で11mm角で、厚みが400μmのものを使用した。素子搭載部のダイパッドエリアは12mm角であり、素子はエポキシ系接着剤でダイパッドに接着したのである。リードフレーム材は、鉛フリー半田対応のために利用されるアウターリード部が、ニッケルパラジウムで事前にメッキ処理されたリードフレーム(Ni−Pd−PPF)である。金線を接続するインナーリード部の先端部は銀メッキがなされ、その他は銅が露出したものである。
このパッケージを成形後、175℃×6時間の後効果処理を行った。そして、耐半田リフロー試験前に、125℃×24時間乾燥させた後、85℃、65RH%の環境下に168時間放置して吸湿させた。つぎに、この吸湿されたパッケージを、赤外線半田リフロー炉において最高温度265℃、260℃以上の温度が10秒以上となるよう加熱した後、リフロー炉を1回通した後、超音波顕微鏡を用い、インナーリード部先端に剥離が生じていないか確認した。12個のパッケージのうち、剥離が生じているパッケージ数を数え、下記の通り評価した。
◎…0個以上2個未満。
○…2個以上7個未満。
×…7個以上。
Figure 2008201873
Figure 2008201873
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Figure 2008201873
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上記の結果から、メルカプト基含有アルコキシシラン(C成分)とジスルフィド基含有アルコキシシラン(D成分)とを組み合わせて用いたものは、銅リードフレームへの接着性、銀メッキ面への接着性に優れ、耐半田試験においてインナーリード部の先端剥離が生じない高品質のパッケージであることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記の(A)〜(C)成分を含有し、さらに、(D)成分としてジスルフィド基含有アルコキシシランを含有したことを特徴とする半導体封止用樹脂組成物。
    (A)熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂。
    (B)組成物全体に対し80〜92重量%の割合で含有される無機質充填剤。
    (C)メルカプト基含有アルコキシシラン。
  2. 上記(A)成分が、エポキシ樹脂である請求項1記載の半導体封止用樹脂組成物。
  3. 上記(C)成分と(D)成分の重量比(C/D)が、1/10〜1 0/1に設定されている請求項1または2記載の半導体封止用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかの半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置。
  5. 上記半導体素子が、リードフレーム上に搭載されたものである請求項4記載の半導体装置。
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