JP2007016191A - コーティング用組成物、保護被膜形成方法および積層物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外観、透明性、基材への密着性、耐擦傷性、耐摩耗性に優れた無機系の被膜を短時間に形成できる活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物、この活性コーティング用組成物を用いた保護被膜形成方法、および積層物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で示されるアルキルシリケート
【化1】
Figure 2007016191

及び
下記一般式(2)で示されるオルガノシラン
【化2】
Figure 2007016191

の少なくとも一方と、粒子径5〜200nmのコロイド状シリカとの縮合物(A)、並びに活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)を含有する活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐擦傷性、耐摩耗性に優れた透明な保護被膜を短時間に形成可能な活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物、このコーティング用組成物を用いた保護被膜形成方法および積層物に関する。
近年、透明ガラスの代替として、耐破砕性、軽量性に優れるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明プラスチック材料が広く使用されるようになってきた。しかし、透明プラスチック材料はガラスに比較して表面硬度が低いので、表面に傷を受け易いという問題を有している。
そこで、従来からプラスチック材料の耐擦傷性を改良すべく、多くの試みがなされてきた。最も一般的な方法の一つとして、コロイドシリカとアルコキシシラン化合物との混合物の加水分解とそれに続く縮合反応を利用して、基材表面にシロキサン結合からなる保護被膜を形成する方法が広く知られている(特許文献1参照)。また、シリカ粒子とアルキルシリケートから加水分解縮合物を調製し、耐クラック性、耐擦傷性に優れた保護被膜を形成する方法も試みられている(特許文献2)。しかし、これらの方法では、保護被膜を形成する為に数十分から数時間もの加熱時間が必要となるので生産性の点で問題があり、またコーティング用組成物の保存安定性が必ずしも良くないという製品管理上の問題もある。
これらの問題を解決するために、例えば、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性官能基を有するアルコキシシラン化合物を含有し、光照射により保護被膜を短時間で形成する組成物が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この被膜は、基材への密着性、耐擦傷性などの性能が必ずしも十分なものではない。また、シロキサン骨格を有する直鎖型無機系オリゴマー(アルキルシリケート類)とカチオン重合開始剤を必須成分として含有し、活性エネルギー線照射により硬化して保護被膜を形成する組成物が提案されている(特許文献4参照)。しかし、このような無機系の被膜の形成においては、硬化収縮によるクラックが発生し易いという問題がある。また、同文献4において、アルキルシリケート類とカチオン反応性化合物であるエポキシ化合物との組成物も提案されているが、耐擦傷性や基材との密着性が不十分であり、透明な被膜を得ることが困難であるという問題がある。
特開昭55−94971号公報 特開昭61−291665号公報 特開平8−302284号公報 特開2001−348515号公報
本発明は、上述の従来技術における問題を解決するためになされたものである。すなわち本発明の目的は、外観、透明性、基材への密着性、耐擦傷性、耐摩耗性に優れた無機系の被膜を短時間に形成できる活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物、この活性コーティング用組成物を用いた保護被膜形成方法、および積層物を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のアルキルシリケート及びオルガノシランの少なくとも一方と粒子径5〜200nmのコロイド状シリカとの縮合物並びに活性エネルギー線感応性酸発生剤を含有するコーティング用組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射することで、速やかに硬化しかつ良好な外観、耐擦傷性、耐摩耗性を有する被膜を形成できることを見出した。
即ち、本発明は下記一般式(1)で示されるアルキルシリケート
Figure 2007016191
(式中R、R、R、およびRはそれぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、nは1〜20の整数を示す)及び
下記一般式(2)で示されるオルガノシラン
Figure 2007016191
(式中Rは炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イソシアネート基、またはポリオキシアルキレン基を含有する有機基を示し、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)の少なくとも一方と、粒子径5〜200nmのコロイド状シリカとの縮合物(A)、
並びに活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)
を含有する活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物である。
また、本発明は前述のコーティング用組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して保護被膜を形成する保護被膜形成方法である。
さらに、本発明は前述のコーティング用組成物の硬化物を有する積層物である。
本発明によれば、外観、透明性、耐擦傷性、耐摩耗性に優れた無機系の保護被膜を短時間で形成可能な活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物を得ることができる。また、このコーティング用組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射すれば、その基材上に短時間で外観、透明性、耐擦傷性、耐摩耗性に優れた保護被膜を短時間で形成することができる。
アルキルシリケート及びオルガノシランの少なくとも一方と、コロイド状シリカとの縮合物(A)は、保護被膜を形成した際に保護被膜に高硬度、耐擦傷性を付与する成分である。
本発明で使用するアルキルシリケートは、前記一般式(1)で示される化合物であり、テトラアルコキシシランおよびこれらを直線状に重縮合した化合物の総称である。一般式(1)において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。それらの基は、同一でも良いし異なっていても良い。また、nはアルキルシリケートの繰り返し単位の数を表し、1〜20の整数であり、1〜10の範囲が好ましい。
本発明で使用するオルガノシランは、前記一般式(2)で示されるSi原子に直接有機基が1〜3個、アルコキシ基が1〜3個結合した化合物である。一般式(2)においてRは炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イソシアネート基、またはポリオキシアルキレン基を含有する有機基を示し、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜4のアシル基を示す。なお「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」と「メタクリロイル」との総称である。
オルガノシランの具体例としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等が挙げられる。中でも、メチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましい。
アルキルシリケートとオルガノシランとを併用する際には、その比率はアルキルシリケート1モルに対して、オルガノシラン0.01モル〜100モルが好ましく、0.1モル〜20モルがより好ましい。
本発明で使用するコロイド状シリカとは、例えば、シリカ微粒子が水に均一に分散したシリカゾル、または有機溶媒に均一に分散したオルガノシリカゾルである。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのグリコールエーテル類が挙げられる。溶媒は、単一でも、2種類以上の混合物でもよい。コロイド状シリカ中のシリカ含有率(固形分濃度)は、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
コロイド状シリカの粒子径は、保護被膜としたときの透明性の点から、200nm以下が好ましい。粒子径の下限は、保護被膜への耐擦傷性付与の点から、5nm以上であるものが好ましい。
また、コロイド状シリカにコロイド状のアルミナやチタンを混合して用いることもできる。
縮合物(A)は、アルキルシリケート及びオルガノシランの少なくとも一方と、コロイド状シリカとを加水分解・縮合することにより得ることができる。加水分解は、既知の方法を用いて行うことができる。例えば、アルキルシリケート及びオルガノシランの少なくとも一方と、コロイド状シリカとを溶媒(好ましくは水と任意に混合可能な有機溶媒)に溶解し、さらに水(アルキルシリケートとオルガノシランの合計1モルに対して、例えば水1〜1000モル)および塩酸や酢酸などの酸を加えて溶液を酸性(例えばpH2〜5)とし、攪拌する方法がある。また、アルキルシリケート及びオルガノシランの少なくとも一方と、コロイド状シリカとを溶媒(好ましくは水と任意に混合可能な有機溶媒)に溶解し、さらに水(アルキルシリケートとオルガノシランとの合計1モルに対して、例えば1〜1000モル)を加えて加熱(例えば30〜100℃)する方法がある。加水分解に際して発生するアルコールは、系外に留去することもできる。加水分解に続く縮合は、加水分解状態にあるアルコキシシラン類を放置することにより進行させることができる。その際、pHを中性付近(例えば、pH6〜7)に制御することにより、縮合の進行を速めることもできる。縮合に際して発生する水は、系外に留去することもできる。
コロイド状シリカと、アルキルシリケート及びオルガノシランとの比率は、コロイド状シリカ1モルに対し、アルキルシリケート及びオルガノシランとの合計0.001〜1モルが好ましく、0.01〜0.5モルがより好ましい。
尚、加水分解・縮合に使用する溶媒には特に限定はないが、通常水と任意に混合可能な
溶媒、例えば、アルコール類等が好適に用いられる。
本発明で使用する活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)は、可視光線、紫外線、熱線、電子線などの活性エネルギー線により酸を発生し、アルキルシリケート及びオルガノシランの少なくとも一方と、コロイド状シリカとの縮合物(A)に重縮合反応を起こす化合物である。中でも、可視光線、紫外線照射により酸を発生する光感応性酸発生剤、熱線により酸を発生する熱感応性酸発生剤が好ましい。更に、活性が高い点、プラスチック材料に熱劣化を与えない点から、光感応性酸発生剤がより好ましい。
光感応性酸発生剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩化合物等が挙げられる。
具体例としては、イルガキュア250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)、アデカオプトマーSP−150、SP−170(以上、旭電化工業(株)製、商品名)、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達(株)製、商品名)などが挙げられる。
活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)の配合量は、限定されるものではないが、全組成物を100質量部とした時に、100質量部中、0.01〜10質量部とするのが好ましい。0.01質量部以上で、活性エネルギー線の照射に対して良好な硬化が得られる。また、10質量部以下では、低着色で、被膜物性低下の少ない被膜が得られる。
硬化性が良好である点、良好な性能の保護被膜が得られる点から、0.05〜5質量部とするのがより好ましい。
本発明のコーティング用組成物は、前記一般式(1)で示されるアルキルシリケート及び前記一般式(2)で示されるオルガノシランの少なくとも一方の縮合物(C)を配合することもできる。これらを配合することで、成膜性、被膜の強靭性あるいは柔軟性を付与することができる。アルキルシリケートとオルガノシランとを併用する際には、その比率はアルキルシリケート1モルに対して、オルガノシラン0.01モル〜100モルが好ましく、0.1モル〜20モルがより好ましい。
加水分解・縮合する方法としては、アルキルシリケートあるいはオルガノシラン(併用の場合はこれら両方)を溶媒(好ましくは水と任意に混合可能な有機溶媒)に溶解し、さらに水(アルキルシリケートとオルガノシランとの合計1モルに対して、例えば1〜1000モル)を加えて加熱(例えば30〜100℃)する方法が好ましい。
縮合物(C)は、アルキルシリケートの加水分解・縮合、オルガノシランの加水分解・縮合、アルキルシリケートとオルガノシランとの任意の比率での混合物の加水分解・縮合により得ることができる。アルキルシリケートは、前述の例示の中でnが1〜20のものが好ましく、オルガノシランは、前述の例示の中で、特にメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましい。
縮合物(C)の配合量は、特に限定されないが、縮合物(A)100質量部に対して、1〜1000質量部の範囲が好ましく、10〜500質量部の範囲がより好ましい。1〜1000質量部の範囲であれば、成膜性、被膜の強靭性あるいは柔軟性等を付与することができる。
本発明のコーティング用組成物は、オルガノシラン(D)を配合することもできる。これを配合することで、被膜に柔軟性、耐擦傷性等を付与することができる。
オルガノシラン(D)の具体例としては、前述のものが挙げられる。これらの中で、被膜への柔軟性、耐擦傷性の点から、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましく、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
オルガノシラン(D)の配合量は、縮合物(A)100質量部に対して1〜1000質量部が好ましく、10〜500質量部よりが好ましい。1質量部以上ならば、被膜に耐擦傷性を付与することができ、500質量部以下ならば、柔軟性を付与することができる。
本発明のコーティング用組成物には、高分子化合物を配合することができる。高分子化合物の具体例としては、例えば、ポリアクリル系、ポリビニル系、ポリエーテル系、ポリジアルキルシロキサン系(シリコーン樹脂)等の高分子化合物が挙げられるが、これらの中で特にポリアクリル系が好ましい。高分子化合物の配合量は、特に限定されないが、コーティング用組成物100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲が好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましい。0.1〜50質量部の範囲であれば、基材への密着性を付与することや、被膜のクラックの発生を効果的に抑制することができる。
本発明のコーティング用組成物は、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、基材への密着性向上等を目的として、有機溶媒を含有することができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類などが挙げられる。
具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤の含有量は、有機溶剤を除く組成物の合計100質量部に対して0〜1000質量部の範囲内が好ましく、0〜100質量部の範囲内がより好ましい。これが1000質量部以下であれば、固形分量が低くなりすぎて塗膜が薄くなるという問題が生じ難くなり、耐擦傷性が良好な保護被膜が得られる傾向にある。
本発明のコーティング用組成物には、その他、必要に応じて、ポリマー微粒子、コロイド状シリカ、コロイド状金属、光増感剤(例えば、アントラセン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタレン系化合物、ピレン系化合物等)、充填剤、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ゲル粒子、微粒子粉などを配合してもよい。
本発明のコーティング用組成物を、例えば、プラスチック等からなる基材の表面に塗布し(被膜厚0.5〜100μm程度)、次いで活性エネルギー線を照射して硬化させて、保護被膜を形成することができる。
コーティング用組成物の塗布は、従来から公知の方法、例えば、スプレー、ロールコーター、グラビアコーター、フレキソ、スクリーン、スピンコーター、フローコーター、静電塗装等で行うことができる。
活性エネルギー線としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマーレーザー等を光源として照射でき、また電子線、β線、γ線なども使用できる。活性エネルギー線は、一種類を単独で使用しても良いし、異なるものを複数種使用しても良い。
異なる複数種の活性エネルギー線を使用する場合は、同時に照射しても良いし、順番に照射しても良い。
また、活性エネルギー線照射と同時に加熱しても良いし、活性エネルギー線照射の前後に加熱炉などを用いて加熱しても良い。
本発明のコーティング用組成物は、プラスチック、金属、缶、紙、木質材、無機質材等の様々な基材、あるいはこれらの基材にプライマー層を形成したものの塗料やインキとして応用することができる。特にプラスチック基材、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリルスチレン等の塗料などに好適である。
尚、本発明のコーティング用組成物により形成される被膜が密着しにくい基材には、プライマー層を形成することが好ましい。プライマー層としては特に限定はないが、光ラジカル重合性ビニル系化合物と光ラジカル重合開始剤を含有する組成物を光硬化させて得られる層が好ましい。より具体的には、ポリカーボネートなどの基材に、多官能(メタ)アクリレートと活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤を含む組成物でプライマー層を形成した基材などを例示することができるが、本発明はこれらに限られたものではない。尚、ここでいう多官能(メタ)アクリレートとは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
特に、光重合性や得られる被膜の耐擦傷性等の点から、3官能以上のアクリレートを用いることが好ましい。具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等を挙げることができる。
これら多官能(メタ)アクリレートは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。
活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤は、紫外線や可視光線に代表される活性エネルギー線に感応してラジカルを発生するものであり、従来知られる各種のものが使用できる。
活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインモノエチルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1,1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、カンファーキノン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピロリル−1−フェニル)チタニウム等が挙げられる。
これらの中でも、特に、メチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1,1−オン、ベンジルジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
これら活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。
また、プライマー層用組成物は、さらに、必要に応じて、単官能(メタ)アクリレート、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、有機溶媒を含んでいても良い。
単官能(メタ)アクリレートを多官能(メタ)アクリレートと共にプライマー層用組成物に配合することにより、硬化性、コーティング性、被膜物性を調整することができる。単官能(メタ)アクリレートとは、具体的には、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシク
ロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシ
エチル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、フェノキエチル(メタ
)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。単官能(メタ)アクリレートは、一種を単独で用いても良いし、二種以上
を併用しても良い。
単官能(メタ)アクリレートの配合量は、プライマー層用組成物の多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜200質量部が好ましい。この配合量が5質量部以上であれば、基材密着性の向上や被膜外観向上の点で効果がある。また、200質量部以下であれば、硬化性や被膜硬度を低下させずに密着性、外観に優れた被膜を得ることができる。
紫外線吸収剤をプライマー層用組成物に配合することで、基材を紫外線による劣化から保護することができる。特に、耐侯性が劣る樹脂製の基材(例えばポリカーボネート)を用いる場合はプライマー層用組成物に紫外線吸収剤を配合することが好ましい。例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、無機系、紫外線吸収性官能基を高分子鎖に取り込んだ高分子系などの何れの紫外線吸収剤も使用できる。紫外線吸収剤の具体例としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5'−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンゾトリアゾール骨格あるいはベンゾフェノン骨格を構造内に有するアクリル樹脂系高分子紫外線吸収剤、アクリルウレタン樹脂系高分子紫外線吸収剤等が挙げられる。特に、多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良い点から、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましく、耐水性が良い点から、アクリル樹脂系高分子紫外線吸収剤(大塚化学製PUVA−Mシリーズ、山南合成化学製RSAシリーズ、一方社油脂工業製USLシリーズ等)が好ましい。紫外線吸収剤は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。また、必要に応じ、ヒンダードアミン型の光安定剤を合わせて添加してもよい。
紫外線吸収剤の配合量は、プライマー層用組成物の多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。この配合量が0.1質量部以上であれば、基材の紫外線による劣化を抑制できる。また、20質量部以下であれば、被膜物性の低下を抑制できる。
シランカップリング剤類をプライマー層用組成物に配合することで、その上に形成される本発明の保護被膜との密着性を向上させることができる。シランカップリング剤類の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、安定性、密着性向上の効果が優れている点から、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤類の配合量は、プライマー層用組成物の多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜50質量部が好ましい。この配合量が5質量部以上であれば、本発明の保護被膜との密着性を向上させることができる。また、50質量部以下であれば、より透明性の高い保護被膜を得ることができる。
プライマー層用組成物が有機溶媒を含有することで、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、基材への密着性向上等を図ることができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類などの前述の溶媒が挙げられる。有機溶媒は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
有機溶媒の含有量は、プライマー層用組成物の多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、10〜1000質量部が好ましい。この含有量が10質量部以上であれば、コーティング性良好で、保存安定性の良い組成物が得られる。また、1000質量部以下であれば、良好な膜厚と耐擦傷性を与える組成物が得られる。
以上説明したプライマー用組成物を基材上に成膜し、硬化することにより、プライマー層が得られる。成膜法としては、例えば、ディップコート法、バーコート法、スプレーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、印刷法など、従来から知られる塗布法を用いることができる。そして、この塗膜に活性エネルギー線を照射することにより、硬化膜を得ることができる。
プライマー層用組成物を硬化する為の活性エネルギー線としては、例えば、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線などが挙げられる。中でも、紫外線、可視光線を、光感応性ラジカル重合開始剤と組み合わせて使用することが、重合速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。活性エネルギー線の光源の具体例としては、フュージョンランプ、太陽や前述の灯、ランプなどが挙げられる。照射エネルギーに関しては、200〜600nmの波長の積算エネルギーが0.05〜10J/cm2となるように照射することが好ましい。活性エネルギー線の照射雰囲気は、空気中でも良いし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でも良い。
本発明のコーティング用組成物の硬化物を有する積層物としては、基材に、硬化物からなる保護被膜を形成した積層物が挙げられる。保護被膜の透明性が高く、耐擦傷性、基材への密着性に優れているため、フラットパネルディスプレイ用フィルム・前面板、高速道路などの透明遮音板、ヘッドランプレンズなどの自動車部品、車両用プラスチック窓材等の用途に好適である。
以下、本発明の実施例について詳細に述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の記載において「%」は「質量%」を示す。尚、実施例中の縮合物(A)、縮合物(C)の固形分は、アルキルシリケート、オルガノシランの加水分解・縮合反応が100%完結したと仮定した場合の理論値に基づくものである。
縮合物(A)の合成例
<合成例1>
撹拌子、コンデンサーを備えた500mlナス型フラスコに、イソプロパノール分散コロイダルシリカ(日産化学製、IPA−ST:粒子径10〜15nm、固形分30%)100g(0.5mol/SiO換算)、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業製、KBM−13)6.8g(0.05mol)、純水5.4g(0.3mol)を仕込み、ウオーターバスで80℃、6時間加水分解・縮合を行い、縮合物a−1を得た。
<合成例2>
合成例1において、メチルトリメトキシシランの代わりに、テトラエトキシシラン(信越化学工業製、KBE−04)10.4g(0.05mol)を使用し、純水量を7.2g(0.4mol)に変更したこと以外は、同様の手順で、縮合物a−2を得た。
<合成例3>
合成例1において、メチルトリメトキシシランの代わりに、メチルシリケート4量体(コルコート製、メチルシリケート51)23.5g(0.05)molを使用し、純水量を18g(1.0mol)に変更したこと以外は、同様の手順で、縮合物a−3を得た。
<合成例4>
合成例1において、メチルトリメトキシシランの代わりに、メチルシリケート7量体(コルコート製、メチルシリケート53A)39.5g(0.05mol)を使用し、純水量を28.8g(1.6mol)に変更し、溶媒としてイソプロパノール86.7gを加えたこと以外は、同様の手順で、縮合物a−4を得た。
<合成例5〜6>
合成例3〜4において、イソプロパノール分散コロイダルシリカ(IPA−ST:粒子径10〜15nm、固形分30%)の代わりに、イソプロパノール分散コロイダルシリカ(日産化学工業製、IPA−ST−L:粒子径40〜50nm、固形分30%)を使用したこと以外は、同様の手順で、縮合物a−5〜a−6を得た。
<合成例7〜8>
合成例2〜3において、イソプロパノール分散コロイダルシリカ(IPA−ST:粒子径10〜15nm、固形分30%)の代わりに、イソプロパノール分散コロイダルシリカ(日産化学工業製、IPA−ST−ZL:粒子径70〜100nm、固形分30%)を使用したこと以外は、同様の手順で、縮合物a−7〜a−8を得た。
縮合物(C)の合成例
<合成例5>
撹拌子、コンデンサーを備えた500mlナス型フラスコに、メチルトリメトキシシラン68g(0.5mol)、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業製、KBM−103)7.25g(0.035mol)、純水57.8g(3.21mol)、イソプロパノール75gを仕込み、ウオーターバスで80℃、3h加水分解・縮合を行い、縮合物c−1を得た。
<実施例1>
100mlディスポカップに、合成例3で得られた縮合物a−3:16.8g(固形分換算5.0g)、縮合物c−1:27.2g(固形分換算5.0g)、光感応性酸発生剤(ダウケミカル日本製、サイラキュアUVI−6992):0.4g(固形分換算0.2g)、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー製、L−7001):0.01g、1-メトキシ−2−プロパノール(和光純薬工業製):4g、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業製):4gを秤り取って撹拌混合し、コーティング用組成物を調製した。
[被膜の形成]
このコーティング用組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル樹脂板(三菱レイヨン製、アクリライト(登録商標)EX)上に適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.12使用)にて4〜5μm厚の被膜が得られるように塗布し、乾燥機で60℃、10分乾燥し、被膜を形成した。
[被膜の硬化]
さらに、コンベアを備えた120W/cmの高圧水銀ランプ(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU-2161型)を用いて、積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化被膜を得た。
尚、紫外線照射量は、紫外線光量計((株)オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。
[被膜の評価]
得られた硬化被膜(保護被膜)を、以下の方法により評価した。
1)外観
目視にて硬化被膜を有するアクリル樹脂板の透明性、クラック、白化の有無を観察し、以下の基準で評価した。
「○」:透明でクラック、白化の欠陥の無いもの(良好)。
「×」:不透明な部分のあったもの、クラック、白化などの欠陥があったもの(不良)。
2)鉛筆硬度
鉛筆引っかき試験(JIS−K−5600)に準じて行った。
3)耐擦傷性
硬化被膜を有するアクリル樹脂板の硬化被膜面を、#0000スチールウールで、9.8×10Paの圧力を加えて10往復擦り、1cm×3cmの範囲に発生した傷の程度を観察し、以下の基準で評価した。
「A」:ほとんど傷が付かない
「B」:1〜9本のキズがつく。光沢面あり。
「C」:10〜99本のキズがつく。光沢面あり。
「D」:100本以上のキズがつく。光沢面あり。
「E」:光沢面が無くなる。
C以上を耐擦傷性良好と判断した。
4)基材密着性
アクリル樹脂板表面の硬化被膜へ、カミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつの切れ目を入れて100個のマス目を作り、セロハンテープを良く密着させた後、45度手前方向に急激に剥がし、硬化被膜が剥離せずに残存したマス目数を計測して、以下の基準で評価した。
「○」:剥離したマス目がない(密着性良好)。
「△」:剥離したマス目が1〜5個(密着性中程度)。
「×」:剥離したマス目が6個以上(密着性不良)。
その結果、本実施例の被膜は、良好な外観、耐擦傷性:C、鉛筆硬度:6H、基材密着性○であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
縮合物a−3の代わりにa−4:25.0g(固形分換算5.0g)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング用組成物の調製、被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例3>
縮合物a−3の代わりに縮合物a−1:16.8g(固形分換算5.0g)を配合し、縮合物c−1を13.6g(固形分換算2.5g)に変更し、更に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業製、KBM−403)2.5gを加えた以外は、実施例1と同様にして、コーティング用組成物を調製した。
[プライマー層用組成物の調製]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM−402)42g、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亞合成(株)製、アロニックスM−315)23g、ウレタンアクリレート(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート2モル、ノナブチレングリコール1モル及び2−ヒドロキシエチルアクリレート2モルから合成した分子量2500のもの)24g、ベンゾフェノン1g、メチルフェニルグリオキシレート(アクゾノーベル(株)製、Vicure55)2g、イソブタノール140g、酢酸ブチル50g、ブチルセロソルブ20g、酢酸セロソルブ10gを混合攪拌して均一溶液とし、プライマー層用組成物を得た。
[プライマー層の形成]
厚さ3mmのポリカーボネート板(筒中プラスチック製、商品名ポリカエースECK100)上に、上述のようにして得たプライマー層用組成物を適量滴下し、バーコーティング法(バーコーター#30)にて塗布し、乾燥機にて60℃、10分乾燥した。
さらに、高圧水銀灯((株)オーク製作所、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU-2161型)にて約2,000mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ10μmのプライマー層を形成した。
[保護被膜の形成]
ポリカーボネート板上に形成したプライマー層の上に、コーティング用組成物を適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.12使用)にて4〜5μm厚の被膜が得られるように塗布し、乾燥機で60℃、10分乾燥し、被膜を形成した。次いで、実施例1と同様にして硬化被膜を得た。
<実施例4>
a−1の代わりにa−2:25.0g(固形分換算5.0g)を配合したこと以外は、実施例3と同様にして、コーティング用組成物の調製、プライマー層と被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例5>
a−1の代わりにa−5:16.8g(固形分換算5.0g)を配合したこと以外は、実施例3と同様にして、コーティング用組成物の調製、プライマー層と被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例6>
a−1の代わりにa−6:25.0(固形分換算5.0g)を配合したこと以外は、実施例3と同様にして、コーティング用組成物の調製、プライマー層と被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例7>
a−1の代わりにa−7:17.8g(固形分換算5.0g)を配合したこと以外は、実施例3と同様にして、コーティング用組成物の調製、被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例8>
a−1の代わりにa−8:16.8g(固形分換算5.0g)を配合したこと以外は、実施例3と同様にして、コーティング用組成物の調製、プライマー層と被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例1>
a−3の代わりにイソプロパノール分散コロイダルシリカ(IPA−ST)16.7g(固形分5.0g)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング用組成物の調製、被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表2に示す。
<比較例2>
a−3の代わりにイソプロパノール分散コロイダルシリカ(IPA−ST−L)16.7g(固形分5.0g)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング用組成物の調製、被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表2に示す。
<比較例3>
a−3の代わりにイソプロパノール分散コロイダルシリカ(IPA−ST−ZL)16.7g(固形分5.0g)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング用組成物の調製、被膜の形成・硬化、硬化被膜の評価を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2007016191
Figure 2007016191
表中の略号;
UVI−6992:ダウケミカル日本製、サイラキュアUVI−6992
L−7001:日本ユニカー製、シリコン界面活性剤 L−7001
IPA−ST:日産化学工業製、イソプロパノール分散コロイダルシリカ
(粒子径10〜15nm)
IPA−ST−L:日産化学工業製、イソプロパノール分散コロイダルシリカ
(粒子径40〜50nm)
IPA−ST−ZL:日産化学工業製、イソプロパノール分散コロイダルシリカ
(粒子径70〜100nm)

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示されるアルキルシリケート
    Figure 2007016191
    (式中R、R、R、およびRはそれぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、nは1〜20の整数を示す)及び
    下記一般式(2)で示されるオルガノシラン
    Figure 2007016191
    (式中Rは炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イソシアネート基、またはポリオキシアルキレン基を含有する有機基を示し、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)の少なくとも一方と、粒子径5〜200nmのコロイド状シリカとの縮合物(A)、
    並びに活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)
    を含有する活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物。
  2. さらに、一般式(1)で示されるアルキルシリケート及び一般式(2)で示されるオルガノシランの少なくとも一方の縮合物(C)、またはオルガノシラン(D)を含有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載のコーティング用組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して保護被膜を形成する保護被膜形成方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載のコーティング用組成物の硬化物を有する積層物。
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