JP2008038086A - 活性エネルギー線硬化性組成物及び積層体 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物及び積層体 Download PDF

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彰 元永
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Abstract

【課題】透明性に優れ、かつ撥水性と表面硬度を兼ね備えた硬化被膜を短時間で、容易に形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物を提供し、このような特性を有し、防汚性の高い光学部品素材として好適な積層体を提供することにある。
【解決手段】炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)、及び活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)を含有し、水との接触角が100°以上の硬化被膜を与え、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)が、特定の炭化フッ素基含有アルコキシシラン類と、特定のフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類及び特定のアルキルシリケート類から選ばれるいずれか1種以上との加水分解・縮合物であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、高撥水性で透明性に優れ、高硬度な硬化被膜を短時間に形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物と、これを用いて得られる硬化被膜を有する積層体に関する。
近年、眼鏡レンズ、機器レンズ等の各種光学レンズや、液晶ディスプレイ、プロジェクションディスプレイ等の各種ディスプレイの前面板に、軽量で耐衝撃性に優れる等の利点から各種透明合成樹脂成形品が使用されている。
これらの光学部品には透明性等、高度な光学特性が要求され、表面における耐汚染性を強く要求される傾向が強くなっている。これに対して、光学部品の表面に、高撥水性被膜を付与することにより、耐汚染性の向上を図っている。
光学部品に高撥水性を付与する方法としては、光学部品の基材表面に、非晶質フッ素系樹脂からなる被膜、シリコーン(ジアルキルシロキサン)系樹脂からなる被膜、多官能(メタ)アクリレートを主成分とする組成物からなる被膜、アルコキシシラン化合物を原料としてゾルゲル反応で得られるシロキサン系被膜などを形成する方法が知られている。
また、これら被膜の更なる撥水性向上を目的に、被膜中に有機、無機微粒子を含有させ、撥水性硬化被膜表面に微細な凹凸を形成する手法(例えば特許文献1、2)が報告されている。
しかしながら、非晶質フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂からなる被膜は、表面硬度が不十分であり傷つきやすいという問題がある。また、多官能(メタ)アクリレートを主成分とする被膜は、元来撥水性はさほど高くないため、組成物中に炭化フッ素基含有の(メタ)アクリレート、ポリマー、界面活性剤などのフッ素含有化合物を配合することにより硬化被膜に撥水性を付与することが一般的に行われている。この手法においては、フッ素含有化合物の導入量の増加により、撥水性の向上が得られるものの、フッ素化合物の導入量が多くなると硬化被膜の透明性の低下、表面硬度の低下などの問題が発生し、撥水性と透明性、表面硬度(耐摩耗性)のバランスを得るのが困難である。
また、ゾルゲル反応で得られるシロキサン系被膜については、炭化フッ素基含有アルコキシシランを用いて得たシロキサン系被膜により、撥水性と表面硬度(耐摩耗性)を併せ持つ硬化被膜を得ている(例えば、特許文献3、4)。
しかしながら、上記の炭化フッ素基含有のシロキサン系被膜は、一般的に硬化に数十分〜数時間の加熱が必要であり、生産性が低く、また加熱温度によっては基材がダメージを受けるという問題がある。
それに対して、分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を含有するアルコキシシラン化合物と、分子内にフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物との加水分解・縮合物からなる炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマーから光カチオン反応にて、撥水・撥油に優れた硬化被膜を得る方法が提案されている(特許文献5)。しかし、これらの硬化被膜は、有機性のエポキシ基、オキセタニル基の開環重合構造を被膜に含むため、ゾルゲル反応で得られる炭化フッ素基含有シロキサン系被膜に比較して、耐候性、水の接触角が低下する傾向がある。
さらに、シロキサン系被膜の表面硬度、撥水性の向上を必要とする場合、無機微粒子の配合が有効であるが、無機微粒子は凝集し易く被膜の透明性を著しく低下させる問題がある。
特開平10−273617号公報 特開平8−3479号公報 特開2000−136350号公報 WO02−88268号公報 特開2000−212443号公報
本発明の課題は、透明性に優れ、かつ撥水性と表面硬度を兼ね備えた硬化被膜を短時間で、容易に形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物を提供し、このような特性を有し、防汚性の高い光学部品素材として好適な積層体を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、分子内に炭化フッ素基を含有するシロキサンオリゴマーと、活性エネルギー線感応性酸発生剤を含む組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射すると、透明性、表面硬度に優れた高撥水性被膜を短時間に形成できることを見出し本発明を完成するに到った。
さらに、予めアルコキシシラン類などで表面修飾したコロイダルシリカを活性エネルギー線硬化性組成物に配合することで、コロイダルシリカの凝集を抑え透明性を損なうことなく、硬化被膜の表面硬度と撥水性をさらに向上できることを見出し本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)、及び活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)を含有し、水との接触角が100°以上の硬化被膜を与える活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
また、本発明は、基材上に上記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜を有する積層体に関する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、透明性に優れ、かつ撥水性と表面硬度を兼ね備えた硬化被膜を短時間で、容易に成形することができる。
本発明の積層体は、透明性に優れ、かつ撥水性と表面硬度を兼ね備えた硬化被膜を短時間で、容易に成形することができ、防汚性の高い光学部品素材として好適である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)、及び活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)を含有し、水との接触角が100°以上の硬化被膜を与える活性エネルギー線硬化性組成物であれば、特に制限されるものではない。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に用いる炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)は、分子内にシロキサン結合(−Si−O−Si−)と、反応基(縮合性基)としてシラノール基(−Si−OH)またはアルコキシシリル基(−Si−OR)を有する化合物であり、水との接触角100°以上の硬化被膜を与えるものである。炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)の使用は、その原料である炭化フッ素基含有アルコキシシラン類、フッ素原子を含有しないアルコキシシラン類などを加水分解・縮合(オリゴマー化)せずに、直接、活性エネルギー線感応性酸発生剤と配合し、活性エネルギー線を照射して得た硬化被膜と比較して、硬化被膜に優れた透明性、表面硬度を与えることができる。
炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)は、一般式(1)で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類と、一般式(2)で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類及び一般式(3)で示されるアルキルシリケート類から選ばれるいずれか1種以上との加水分解・縮合物であることが好ましい。
Figure 2008038086
で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類において、式中、R1はフッ素原子を有する炭素数1〜20の有機基を表し、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を表し、aは1〜3のいずれかの整数を表す。R2は、加水分解・縮合反応の速度が速いことから、メチル基またはエチル基であることが好ましい。一般式(1)で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類としては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらの化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2008038086
で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類において、式中、R3はフッ素原子を有しない炭素数1〜10の有機基を表し、R4は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を表し、bは0〜3のいずれかの整数を表す。R3は、加水分解・縮合反応の速度が速いことから、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基であることが好ましく、R4は、メチル基またはエチル基であることが好ましい。一般式(2)で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシランなどを挙げることができる。これらのうち、特に、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが、加水分解・縮合反応の速度が速い点から好ましい。これらの化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2008038086
で示されるアルキルシリケート類において、式中、R5、R6、R7およびR8は独立して炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは2〜20のいずれかの整数を表す。R5〜R8は、加水分解・縮合反応の速度が速いことから、メチル基またはエチル基であることが好ましい。一般式(3)で示されるアルキルシリケート類としては、具体的には、R5〜R8がメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基であるシリケート等を挙げることができる。これらのうち、特に、R5〜R8の総てがメチル基であるシリケート、R5〜R8の総てがエチル基であるシリケートが、加水分解・縮合反応の速度が速い点から好ましい。これらの化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一般式(1)で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類と、一般式(2)で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類及び一般式(3)で示されるアルキルシリケート類から選ばれるいずれか1種以上との加水分解・縮合において、上記一般式(1)で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類と、一般式(2)で示されるアルコキシシラン類及び一般式(3)で示されるアルキルシリケート類との混合比としては、任意の割合によるものであってよいが、一般式(3)で示されるアルキルシリケート類の質量と、一般式(1)で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類の質量及び一般式(2)で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類の質量の合計の質量との比(3)/{(1)+(2)}が100/100〜100/1000であることが好ましい。前者のアルキルシリケート類100質量部に対して、後者が100質量部以上であれば、得えられる硬化被膜において、加水分解・縮合物は、ゲル化が抑制される。また、後者が1000質量部以下であれば、加水分解・縮合物は、硬化性が高く、硬化被膜の硬度を向上させることができる。より好ましくは、前者の100質量部に対して、後者が200〜500質量部である。
かかる加水分解・縮合は、既知の方法を用いて行うことができる。例えば、加水分解は、炭化フッ素基含有アルコキシシラン類と、フッ素原子を含有しないアルコキシシラン類及びアルキルシリケート類から選ばれるいずれか1種以上とをアルコール類に混合し、さらに水を、アルコキシシラン類とアルキルシリケート類との合計の100質量部に対して、例えば10〜1,000質量部の割合で加え、攪拌する方法を挙げることができる。その際、溶液のpHを調整(例えば、pH2〜5となるように塩酸や酢酸などの酸を加える)してもよい。また、溶液の温度を0〜100℃に制御してもよい。さらに、加水分解に際して発生するアルコールは、反応系外に留去してもよい。
上記加水分解に続く縮合は、加水分解状態にあるアルコキシシラン類、アルキルシリケート類を常温あるいは加温状態で放置あるいは攪拌することにより進行させることができる。その際、pHを、例えばpH6〜7に制御することにより、縮合の進行を速めることができる。縮合に際して発生する水は、反応系外に留去してもよい。
炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)中のフッ素原子の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)の固形分の100質量部中、5〜50質量部である。フッ素原子の含有量が5質量部以上であれば、得られる硬化被膜の撥水性を高めることができ、50質量部以下であれば、被膜の透明性をより高め、被膜硬度の低下を抑えることができる。フッ素原子の含有量は、特に好ましくは10〜40質量部である。
炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)の分子量は特に限定されるものではないが、ポリスチレン分子量換算で重量平均分子量1,000〜100,000が好ましい。重量平均分子量1,000以上であれば組成物の硬化性向上と、硬化被膜の透明性の向上を図ることができる。また、重量平均分子量100,000以下であれば、硬化被膜の硬度の低下と透明性の低下を抑えることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に含有される活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)は、可視光線、紫外線、熱線、電子線などの活性エネルギー線照射により酸を発生し、この酸により炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)の硬化を促進させることができる化合物である。可視光線、紫外線により酸を発生する光感応性酸発生剤、熱線により酸を発生する熱感応性酸発生剤が好ましい。中でも、活性が高く、プラスチック材料に熱劣化を与えないなどの点から、光感応性酸発生剤が特に好ましい。
かかる光感応性酸発生剤としては、ジフェニルヨードニウム系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、ジアゾジスルホン系化合物等を挙げることができる。具体的には、上市されているイルガキュア250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−170(以上、旭電化工業株式会社製)、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6950(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、DAICATII(ダイセル化学工業株式会社製)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー株式会社製)、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達株式会社製)、サイラキュアUVI−6992(ダウケミカル日本株式会社製)などの市販品を使用することができる。
活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)の組成物中の含有量は、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)の固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲であることが好ましい。活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)の含有量が0.1質量部以上であれば、活性エネルギー線の照射によって炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)を効率よく硬化することができ、良好な硬化被膜が得られる。また、10質量部以下であれば、着色が抑制され、表面硬度や耐擦傷性が良好な硬化被膜を得ることができる。さらに、好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に用いる表面修飾コロイダルシリカ(C)は、硬化被膜の表面硬度を高めるとともに、硬化被膜表面に微小な凹凸を付与し、撥水性をさらに高める成分である。コロイダルシルカは組成物や被膜中で凝集する傾向が強く、凝集により硬化被膜の表面硬度を低下させ、透明性を損なうなどの問題を誘発するため、表面修飾コロイダルシリカ(C)を用いると、このような問題の発生を抑制することができる。表面修飾コロイダルシリカ(C)は、コロイダルシリカをアルコキシシラン類及びアルキルシリケート類から選ばれる少なくとも1種によって表面修飾したものである。表面修飾により、コロイダルシリカの分散性を向上させるとともに、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)との結合を向上させることができ、得られる硬化被膜の透明性、表面硬度を向上させることができる。分散性の向上は本発明の活性エネルギー線硬化性組成物をコーティング剤とした場合において顕著に得られる。
表面修飾コロイダルシリカ(C)に用いるコロイダルシリカとしては、水あるいは有機溶剤分散型のコロイダルシリカを使用することができる。個数平均粒子径は5〜100nmが好ましい。個数平均粒子径が5nm以上であれば硬化被膜の撥水性と表面硬度を向上することができる。また個数平均粒子径が100nm以下であれば得られる硬化被膜の透明性の低下を抑えることができる。
上記コロイダルシリカの表面修飾に用いる化合物(表面修飾剤)としては、好ましくは一般式(1)で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類、一般式(2)で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類、一般式(3)で示されるアルキルシリケート類を挙げることができる。表面修飾剤の使用量は、コロイダルシリカの固形分100質量部に対して、表面修飾剤1〜100質量部であることが好ましい。より好ましくは5〜50質量部である。
表面修飾剤を用いたコロイダルシリカの表面修飾方法としては、アルコキシシラン類、アルキルシリケート類の加水分解・縮合と同様の方法で行うことができる。例えば、コロイダルシリカと、表面修飾剤とをアルコール類に混合し、さらに水を、表面修飾剤の合計量100質量部に対して、例えば10〜1,000質量部の割合で加え攪拌する方法を挙げることができる。その際、溶液のpHを調整(例えば、pH2〜5となるように塩酸や酢酸などの酸を加える)してもよい。さらに、溶液を30〜100℃に加熱してもよい。加水分解に伴い発生するアルコール、縮合に伴い発生する水を反応系外に留去してもよい。
表面修飾コロイダルシリカ(C)の組成物中の含有量としては、例えば、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)の固形分100質量部に対して、表面修飾コロイダルシリカ(C)の固形分10〜400質量部が好ましい。10質量部以上で、得られる被膜の撥水性を高めることができる。400質量部以下で、均質で透明な被膜を得ることができる。ここで言う、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)の固形分とは、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)を完全に加水分解・縮合して得られる化合物の質量を意味する。また、表面修飾コロイダルシリカ(C)の固形分とは、表面修飾コロイダルシリカ(C)を完全に加水分解・縮合して得られる化合物の質量を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化組成物には、上記炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)と活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)、必要に応じて表面修飾コロイダルシリカ(C)、さらに固形分濃度調整、分散安定性、被膜形成性、基材への硬化被膜密着性向上の観点から、有機溶媒を含有することが好ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類などを挙げることができる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記有機溶媒の含有量は、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)、活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)および表面修飾コロイダルシリカ(C)の固形分合計100質量部に対して10〜1,000質量部の範囲が好ましい。有機溶媒の含有量が、10質量部以上であれば、組成物の保存安定性が良好となり、液状の組成物が高粘度になるのを抑制することができ、作業性がよく、良好な硬化被膜を得ることができる。また、有機溶媒の含有量が1,000質量部以下であれば、外観良好な硬化被膜を得ることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)、活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)、必要に応じて表面修飾コロイダルシルカ(C)の他、これらの機能を阻害しない範囲で、さらに、酸によりカチオン重合可能なエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物や、分子内にラジカル重合性二重結合基を含有するビニル化合物と活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤などを含有していてもよい。
かかるエポキシ化合物は分子内にエポキシ基を含有するものであり、その具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルアミン、ジグリシジルベンジルアミン、フタル酸ジグリシジルエステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ブタジエンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンオールエポキシドグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とエチレンオキサイドとの付加物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
ビニルエーテル化合物としては、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリト−ルテトラビニルエーテル、などを挙げることができる。
上記分子内にラジカル重合性二重結合基を有するビニル化合物は、分子内に重合性二重結合基を1または2以上有するものであり、重合速度の速い点から、分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を含有する単官能または多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。このような単官能(メタ)アクリレート化合物としては、具体的に、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フォスフォエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、具体的に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−プロパン、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]−スルフィド、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン]、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。上記ビニル化合物は1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤としては、具体的に、3,3−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、その他、必要に応じて、ポリマー、ポリマー微粒子、無機微粒子、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などを含有してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて硬化被膜を成形するには、上記組成物を用いて塗工膜を形成し、これに活性エネルギー線を照射して硬化すればよい。塗工膜を形成する方法としては、例えば、バーコート、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、グラビアコート、フレキソコート、スクリーンコート、スピンコート、フローコート等の方法を挙げることができる。
上記塗工膜を硬化するために照射する活性エネルギー線としては、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線などを挙げることができる。中でも、紫外線、可視光線を、光感応性の酸発生剤と組み合わせて使用することが、縮合速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。上記活性エネルギー線として、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーレーザー、太陽などを光源とする光線を挙げることができる。これらの活性エネルギー線は、一種類を単独で使用してもよく、複数種を、同時にまたは順次に使用してもよい。活性エネルギー線としては、その照射強度、照射時間を適宜選択することができる。
上記活性エネルギー線照射により成形される硬化被膜は、水との接触角100°以上のものである。このような撥水性を有する硬化被膜は、防汚用途として有効である。硬化被膜における、水との接触角の値としては、接触角計(協和界面科学株式会社製、製品名DropMaster300型)にて、室温(25℃)、相対湿度30〜60%で測定した測定値を採用することができる。
本発明の積層体は、上記活性エネルギー線硬化性組成物を用いて基材上に塗工膜を形成し、これに活性エネルギー線を照射して硬化して得られる硬化被膜を有するものであれば、特に制限されるものではない。
本発明の積層体における被膜を形成する基材としては、いずれのものであってもよく、例えば、プラスチック、ガラス、金属、紙、木質材、無機質材、電着塗装板、ラミネート板などの各種基材を挙げることができる。これらの基材への活性エネルギー線硬化性組成物、これを用いて塗工膜を形成する方法、塗工膜を硬化するために使用する活性エネルギー線としては、具体的には上記と同様のものを挙げることができる。
本発明の積層体の硬化被膜の厚さとしては、例えば、0.05〜10μmを挙げることができる。
本発明の積層体は、いずれのものにも適用することができるが、眼鏡レンズ、機器レンズ等の各種光学レンズや、液晶ディスプレイ、プロジェクションディスプレイ等の各種ディスプレイの前面板などの光学部品に好適に用いることができる。
[合成例1〜5]
[合成例1:炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A1)の合成]
炭化フッ素基含有アルコキシシラン類(a1)としてトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン株式会社製、商品名TSL−8257、分子量468.1)20.0g、フッ素原子を含有しないアルコキシシラン類(a2)として、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量136)17.2g、アルキルシリケート類(a3)としてシリカ換算濃度53質量%のメチルシリケート(コルコート株式会社製、商品名メチルシリケート53A、平均約7量体、平均分子量約789)10.0g、イソプロピルアルコール17.0gを加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水10.5gを加え、攪拌しつつ80℃で6時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させた。さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.0g、γ−ブチロラクトン5.0gを加え混合し均一溶液とした。さらに、イソプロピルアルコールで希釈して炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A1)の固形分率20.0質量%溶液を得た。
ここで言う固形分率とは、シロキサンオリゴマー(A)を完全に加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物の、シロキサンオリゴマー溶液に対する質量分率を意味する。以下同様である。
得られたシロキサンオリゴマー(A1)の分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。その結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量2,950であった。
[合成例2:炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A2)の合成]
炭化フッ素基含有アルコキシシラン類(a1)としてトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン株式会社製、商品名TSL−8257、分子量468.1)20.0gに替えて10.0g、イソプロピルアルコール17.0gに替えて12.0gを使用した他は合成例1と同様にして、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A2)の固形分率20.0質量%溶液を得た。得られたシロキサンオリゴマー(A2)の分子量を合成例1と同様にして測定した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量7,350であった。
[合成例3:炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A3)の合成]
炭化フッ素基含有アルコキシシラン類(a1)としてトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン株式会社製、商品名TSL−8257、分子量468.1)20.0gに替えてトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM−7103、分子量218.2)20.0g、イソプロピルアルコール17.0gに替えて13.0gを使用した他は合成例1と同様にして、炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A3)の固形分率20.0質量%溶液を得た。得られたシロキサンオリゴマー(A3)の分子量を合成例1と同様にして測定した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量3,830であった。
[合成例4:シロキサンオリゴマー(A'1)の合成]
炭化フッ素基を含有しないアルコキシシラン類(a2)としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量136)17.2g、アルキルシリケート類(a3)としてシリカ換算濃度53質量%のメチルシリケート(コルコート株式会社製、商品名メチルシリケート53A、平均約7量体、平均分子量約789)10.0g、イソプロピルアルコール10.0gを攪拌して均一な溶液とした。さらに、水10.5gを加え、攪拌しつつ80℃で5時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.0g、γ−ブチロラクトン5.0gを加え混合し均一溶液とした。さらに、イソプロピルアルコールで希釈してシロキサン化合物(A'1)の固形分率20.0質量%溶液を得た。得られたシロキサノリゴマー(A'1)の分子量を合成例1と同様にして測定した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量4,190であった。
[合成例5:表面修飾コロイダルシリカ(C1)の合成]
攪拌子、コンデンサーを備えた500ml丸型フラスコに、イソプロパノール分散コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、個数平均粒子径44nm、固形分30質量%、商品名スノーテックスIPA−ST−L)150g(固形分45g)、表面修飾剤としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量136)10.2g、水8.1gを仕込み、ウォーターバスにて80℃で3時間加熱し、攪拌した。その後、イソプロピルアルコールを加え表面修飾コロイダルシリカ(C1)の固形分率20.0質量%溶液を得た。
[実施例1]
[活性エネルギー線硬化性組成物の調製]
炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)として、合成例1で得たA1溶液(固形分率20.0質量%)10.0g、活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)としてヨードニウム、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェート(1-)のプロピレンカ―ボネート75質量%溶液(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名IRGACURE250)0.04gを配合した。さらにシリコーン系レベリング剤0.002g(日本ユニカー株式会社製、商品名L−7001)を配合し、均一に攪拌して活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
[硬化被膜の成形]
得られた活性エネルギー線硬化性組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトEX)上に適量滴下し、バーコート法(バーコーターNo.30使用)にて塗布し、室温で約15分自然乾燥し、その後60℃で約15分乾燥した。
さらに、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、製品名ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化被膜を得た。
紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、製品名UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。
[硬化被膜の評価]
得られた硬化被膜は、以下の方法により評価した。評価の温度は指定がある場合を除き室温(約25℃)とした。結果を表1に示す。
1)膜厚
硬化被膜を形成したアクリル板の断面を走査型電子顕微鏡で観察し膜厚を測定した。
2)外観
硬化被膜を形成したアクリル板の透明性、クラック、白化の有無を目視にて観察し、以下の基準により評価した。
「○」:透明でクラック、白化の欠陥のないもの(良好)。
「×」:不透明な部分のあったもの、クラック、白化等の欠陥があったもの(不良)。
3)全光線透過率
硬化被膜を形成したアクリル板を、濁度計(日本電色工業株式会社製、製品名NDH2000)を用いて、JIS K 7361−1に準じて全光線透過率を測定した。
4)硬度
アクリル板上の硬化被膜の鉛筆硬度をJIS−K5600(鉛筆引っかき試験)に準じて評価した。
5)撥水性
アクリル板上の硬化被膜の水との接触角を、室温25℃、相対湿度30〜35%の条件で、接触角計(協和界面科学株式会社製、製品名DropMaster300型)にて測定した。水との接触角が大きい硬化被膜ほど、撥水性が高いと判断した。
結果からも分かるように、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いると、高撥水性で、透明性に優れ、高硬度な硬化被膜を生産性よく短時間で成形できる。
[実施例2]
炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)として、合成例1で得たA1溶液(固形分率20.0質量%)10.0gに替えて、合成例2で得たA2溶液(固形分率20.0質量%)10.0gを用い、表面修飾コロイダルシリカ(C)として合成例5で得たC1溶液(固形分率20.0質量%)10gを用いた他は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。これを用いて実施例1と同様にして硬化被膜を成形し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)として、合成例2で得たA2溶液(固形分率20.0質量%)10.0gに替えて、合成例3で得たA3溶液(固形分率20.0質量%)10.0gを用いた他は、実施例2と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。これを用いて実施例2と同様にして硬化被膜を成形し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
合成例1で得たA1溶液(固形分率20.0質量%)10.0gに替えて、合成例4で得た炭化フッ素基を含有しないシロキサンオリゴマー(A'1)溶液(固形分率20.0質量%)10.0gを用いた他は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。これを用いて実施例1と同様にして硬化被膜を成形し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
合成例2で得たA2溶液(固形分率20.0質量%)10.0gに替えて、合成例4で得た炭化フッ素基を含有しないシロキサンオリゴマー(A'1)溶液(固形分率20.0質量%)10.0gを用いた他は、実施例2と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。これを用いて実施例2と同様にして硬化被膜を成形し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
合成例5で得た表面修飾コロイダルシリカ(C1)溶液(固形分率20.0質量%)10.0gに替えて、合成例5で用いたコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、個数平均粒子径44nm、固形分30質量%、商品名スノーテックスIPA−ST−L)6.67gを用いた他は、実施例2と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。これを用いて実施例2と同様にして硬化被膜を成形し、同様に評価を行った。硬化被膜は白化し、充分な被膜硬度、撥水性は得られなかった。結果を表1に示す。
[比較例4]
合成例1に準じて、炭化フッ素基含有アルコキシシラン類(a1)としてトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン株式会社製、商品名TSL−8257、分子量468.1)20.0g、炭化フッ素基を含有しないアルコキシシラン類(a2)として、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量136)17.2g、アルキルシリケート類(a3)としてシリカ換算濃度53質量%のメチルシリケート(コルコート株式会社製、商品名メチルシリケート53A、平均約7量体、平均分子量約789)10.0g、イソプロピルアルコール17.0g、水10.5gを加え、攪拌して均一な溶液とした。合成例1で行った加熱操作(80℃、6時間加熱)、縮合の進行(25℃、24時間攪拌)は行わなかった。さらに、イソプロピルアルコールで希釈して固形分率20.0質量%溶液(A’2溶液)を得た。
さらに、A’2溶液(固形分率20.0質量%)10.0g、活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)としてヨードニウム、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)のプロピレンカ―ボネート75質量%溶液(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名IRGACURE250)0.04g、さらにシリコーン系レベリング剤0.002g(日本ユニカー株式会社製、商品名L−7001)を配合し、均一に攪拌して得た活性エネルギー線硬化性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化被膜の形成を試みた。その結果、得られた被膜は、基板であるアクリル板上でハジキ、ムラなどが発生し、均質な膜とすることができなかったため、評価を中止した。
Figure 2008038086
結果からも、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて得られる硬化被膜は、良好な外観、硬度、撥水性を有していることが明らかである。これに対し比較例においては、100°以上の水接触角を有する撥水性を得られるものではない。


Claims (5)

  1. 炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)、及び活性エネルギー線感応性酸発生剤(B)を含有し、水との接触角が100°以上の硬化被膜を与える活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. さらに、表面修飾コロイダルシリカ(C)を含有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 炭化フッ素基含有シロキサンオリゴマー(A)が、一般式(1)で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類と、一般式(2)で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類及び一般式(3)で示されるアルキルシリケート類から選ばれるいずれか1種以上との加水分解・縮合物である請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
    Figure 2008038086
    (式中、R1はフッ素原子を有する炭素数1〜20の有機基を表し、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を表し、aは1〜3のいずれかの整数を表す。)
    Figure 2008038086
    (式中、R3はフッ素原子を有しない炭素数1〜10の有機基を表し、R4は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を表し、bは0〜3のいずれかの整数を表す。)
    Figure 2008038086
    (式中、R5、R6、R7およびR8は独立して炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは2〜20のいずれかの整数を表す。)
  4. 表面修飾コロイダルシルカ(C)が、一般式(1)で示される炭化フッ素基含有アルコキシシラン類と、一般式(2)で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類、一般式(3)で示されるアルキルシリケート類の少なくとも1種で表面修飾されたコロイダルシリカである請求項2または3記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 基材上に請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜を有する積層体。
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