JP2011116975A - シロキサンオリゴマーの製造方法、成形体の製造方法及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】環状体構造を有するシロキサンオリゴマーの含有量が少なく、耐擦傷性に優れた硬化被膜を与えるシロキサンオリゴマーの製造方法を提供し、これを用いた硬化被膜の製造方法を提供する。
【解決手段】酸性の水を用いてオルガノシランを加水分解縮合させる際に、第一反応としてt1時間反応させた後、第二反応としてさらに水を追加してt2時間反応させるシロキサンオリゴマーの製造方法であって、t1が2分から12時間の範囲内にあり、t1とt2の比(t2/t1)が0.8未満である。
【選択図】なし
【解決手段】酸性の水を用いてオルガノシランを加水分解縮合させる際に、第一反応としてt1時間反応させた後、第二反応としてさらに水を追加してt2時間反応させるシロキサンオリゴマーの製造方法であって、t1が2分から12時間の範囲内にあり、t1とt2の比(t2/t1)が0.8未満である。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐擦傷性に優れる硬化被膜の形成に好適なシロキサンオリゴマーの製造方法、成形体の製造方法及び成形体に関する。
近年、透明ガラスの代替として、耐破砕性、軽量性に優れるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明プラスチック材料が広く使用されている。しかし、透明プラスチック材料はガラスに比較して硬度が低いので、その成形品の表面は傷付き易い。このため、成形品の表面にハードコート剤をコーティングすることが一般的に行われている。このハードコート剤にはメラミン系塗料、多官能アクリレート系塗料、シリコン系塗料等が広く用いられている。これらの中で、シリコン系塗料は、硬化被膜を形成したとき、ガラスと同じシロキサン結合を基本骨格とする。シロキサン結合の結合エネルギーは、有機物ポリマーの基本骨格である炭素−炭素間結合や炭素−酸素間結合のそれより高いため、より高い耐擦傷性と耐候性を有する硬化被膜を与え得るシリコン系塗料が期待されている。
シリコン系塗料は、一般的にオルガノシランをゲル化しない程度に重合させたシロキサンオリゴマーが原料に用いられ、原料のシロキサンオリゴマーの構造によって、製造されるハードコート膜の耐擦傷性や耐クラック性等の性質が大きく変わることが知られている。
シロキサンオリゴマーの製造方法として、酸性イオン交換樹脂の存在下で、規定量の水を投入し、加水分解縮合を進める第一段階目の反応を行った後、第二段階目の反応として、規定量の水を追加投入して、更に加水分解を進める手法が知られている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1の実施例の記載に従ってシロキサンオリゴマーを合成すると、環状体構造を有するシロキサンを多く含有するシロキサンオリゴマーが合成される。環状体構造を有するシロキサンを多く含有するシロキサンオリゴマーを用いて成形した硬化被膜は、耐擦傷性に劣る傾向を有する。
本発明の課題は、環状体構造を有するシロキサンオリゴマーの含有量が少なく、耐擦傷性に優れた硬化被膜を与えるシロキサンオリゴマーの製造方法、これを含む組成物を硬化させた硬化被膜を有する成形体の製造方法、及びその成形体を提供することにある。
即ち、本発明は、酸性の水を用いてオルガノシランを加水分解縮合させる際に、第一反応としてt1時間反応させた後、第二反応としてさらに水を追加してt2時間反応させるシロキサンオリゴマーの製造方法であって、t1が2分から12時間の範囲内にあり、t1とt2の比(t2/t1)が0.8未満であるシロキサンオリゴマーの製造方法に関する。
また、本発明は、上記シロキサンオリゴマーの製造方法によって得られたシロキサンオリゴマーを含む組成物を基材表面に塗工し、得られた塗工膜を、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化させる硬化被膜を有する成形体の製造方法に関する。
更に、本発明は、上記シロキサンオリゴマーの製造方法によって得られたシロキサンオリゴマーを含む組成物を基材表面に塗工し、得られた塗工膜を活性エネルギー線の照射または加熱により硬化させて製造された硬化被膜を有する成形体(以下、硬化被膜を有する成形体という。)に関する。
本発明のシロキサンオリゴマーの製造方法は、環状体構造を有するシロキサンオリゴマーの含有量が少ないシロキサンオリゴマーを製造することができ、これを含む組成物を硬化して得られる硬化被膜を有する成形体は、耐擦傷性に優れたものとなる。
本発明のシロキサンオリゴマーの製造方法は、酸性の水を用いてオルガノシランを加水分解縮合させる際に、第一反応としてt1時間反応させた後、第二反応としてさらに水を追加してt2時間反応させるシロキサンオリゴマーの製造方法であって、t1が2分から12時間の範囲内にあり、t1とt2の比(t2/t1)が0.8未満であることを特徴とする。
上記オルガノシランとして、具体的には、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−ビニルフェニレントリエトキシシラン、p−ビニルフェニレントリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、反応性、硬化被膜を製造したときの耐擦傷性と耐クラック性のバランスから、メチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランを好ましいものとして挙げることができる。
上記オルガノシランの加水分解縮合反応に用いる酸性の水は、pH1〜6.5に調整されたものが好ましく、より好ましくは、pH2〜4に調整されたものである。pHが1以上であれば、反応速度が急速になるのを抑制し反応を安定して進行させることができ、pHが6.5以下であれば、反応を適切に進行させ、効率よくシロキサンオリゴマーを製造することができる。
水を酸性に調整するpH調整剤としては、具体的には、酢酸、クエン酸、乳酸等のカルボン酸、炭酸、リン酸等の弱酸やそのアンモニウム塩等の塩、塩酸、又は酸性イオン交換樹脂等を使用することができる。
上記水のpHは、pH計(メトラー・トレド株式会社製、MP30)を用いた測定方法による測定値を採用することができる。
上記オルガノシランの加水分解縮合反応は、酸性の水を添加して第一段階反応を行い、その後、更に酸性の水を添加して第二段階反応を行なう。
第一反応は、反応容器中にオルガノシランと有機溶媒を仕込み、混合し、加熱し、混合液が所定の温度に達した後に、酸性の水を添加して行うことが好ましい。
上記有機溶媒としては、具体的には、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテルを用いることができる。有機溶媒の使用量は、使用するオルガノシラン100質量部に対して、30〜200質量部であることが好ましい。混合液の温度は加水分解縮合反応が好適に進行する温度に加熱することが好ましく、具体的には、40〜95℃を挙げることができる。
第一反応における酸性の水の添加は、一度に加えてもよいが、分割して、又は、滴下等連続添加してもよい。このときの水の添加量は、オルガノシランの加水分解の理論水量に対して、1/2倍量から3/2倍量であることが好ましく、2/3倍量から1倍量であることがより好ましい。水の添加量が1/2倍量以上であれば、反応速度の低下を抑制し、生産効率の低下を抑制することができる。また、水の添加量が3/2倍量以下であれば、環状体構造のシロキサンオリゴマー(環状体ともいう。)の生成が抑制され、これを含む組成物を用いて製造した硬化被膜を有する成形体の耐擦傷性を向上させることができる。
オルガノシランの加水分解縮合反応では、水が多く存在するとオルガノシラン中のアルコキシ基が過度に加水分解され、過度に加水分解されたオルガノシランは縮合反応により環状体を形成しやすいと考えられる。第一反応では後述する第二反応より反応容器中に存在する水の量が少ないので、環状体の生成が抑制されていると考えられる。
第一反応は、上記加水分解縮合反応の進行に好適な40℃以上で行い、40℃から95℃で行うことが好ましく、より好ましくは、60℃から90℃である。40℃以上であれば、反応の進行速度が遅延して生産性が低下するのを抑制することができ、また、95℃以下であれば、急激な反応の進行を抑制し、適切な制御を行うことができる。
第一反応の反応時間t1の開始時は、オルガノシランに酸性の水の添加が終了した直後の反応容器内の温度が40℃以上の場合はその水の添加終了直後の時点、反応容器内の温度が40℃未満の場合は加熱によりその温度が40℃に達した時点とする。また、反応時間t1の終了時は、後述する第二反応における水の添加開始時とする。
第一反応の反応時間t1は2分から12時間の範囲であり、好ましくは3分から8時間の範囲であり、より好ましくは4分から60分の範囲である。反応時間を上記範囲とすることにより、得られるシロキサンオリゴマーを含む組成物を用いて製造される硬化被膜を有する成形体は耐擦傷性に優れたものとなる。
第二反応は、第一反応後、更に水を添加して行なう。第二反応は、オリゴマーのアルコキシ基に対して加水分解反応を行うことで、水酸基の多いオリゴマーが形成される。水酸基の多いオリゴマーを含む組成物を用いて製造される硬化被膜を有する成形体は、シロキサン結合が充分に形成されるため、耐擦傷性に優れたものとなる。
第二反応において添加する水は、酸性であってもよいが、中性の水であってもよい。第二反応における水の添加も第一反応と同様に、一度に加えてもよいが、分割して、又は、滴下等連続添加してもよい。添加する水の量は、オルガノシランの加水分解の理論水量に対して、1/4倍量から2/3倍量であることが好ましく、1/3倍量から1/2倍量であることがより好ましい。水の添加量が1/4倍量以上であれば、シロキサンオリゴマーの加水分解が充分に行われ、これを含む組成物を用いて製造した硬化被膜の耐擦傷性を向上させることができる。また、水の添加量が2/3倍量以下であれば、環状体の生成量が抑制され、これを含む組成物を用いて製造した硬化被膜を有する成形体の耐擦傷性を向上させることができる。
第二反応の反応温度条件は第一反応と同様であるが、第一反応とは温度を変更して行なうこともできる。
第二反応の反応時間t2の開始時は、水の添加が終了した直後の反応容器内の温度が40℃以上の場合は、水の添加終了直後の時点とし、反応容器内の温度が40℃未満の場合は、加熱によりその温度が40℃に達した時点とする。また、反応時間t2の終了時は、反応容器内の温度を40℃未満に下げた時点とする。反応時間t2が上記範囲であれば、環状体の形成を抑制することができる。その後、反応容器内を更に常温以下、具体的には、1〜15℃に冷却することができる。
第一反応の反応時間t1と第二反応の反応時間t2の比(t2/t1)は0.8未満とする。t2/t1は、好ましくは0.03以上であり、より好ましくは0.05以上である。また、t2/t1は、好ましくは0.75以下であり、より好ましくは0.6以下である。t2/t1が0.8未満であれば、得られるシロキサンオリゴマーを含む組成物を用いて製造される硬化被膜の耐擦傷性を向上させることができる。第一反応の反応時間t1が長い程、シロキサンオリゴマーは高分子化しているため、第二反応において、環状体の形成は抑制されることから、第二反応の反応時間t2を長くすることができ、t2をt1との比で特定することができる。
得られるシロキサンオリゴマーの平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算による重量平均分子量が500〜2000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、800〜1700の範囲内である。重量平均分子量が500以上であれば、シロキサンオリゴマーは、常温においてその加水分解縮合反応の進行が抑制され、貯蔵安定性に優れ、2000以下であれば、これを含む組成物を用いて得られる硬化被膜を有する成形体が優れた耐擦傷性を有する。
シロキサンオリゴマー中に含まれる環状体の量は、赤外線吸収スペクトルから把握することができる。シロキサンオリゴマーの赤外吸収スペクトルは、基材にシロキサンオリゴマー液を塗布し、室温にて溶剤を乾燥させてから、FT−IR(Fourier Transform Infrared Spectrometer)による全反射法(ATR;Attenuated Total Reflectance)により測定を行うことができる。
シロキサン結合は960〜1240cm-1に吸収を持っており、そのうち1050cm-1よりも高波長側の吸収は環状体におけるシロキサン結合(環状シロキサン結合ともいう。)に由来し、低波長側の吸収は直鎖状のシロキサンオリゴマーにおけるシロキサン結合(直鎖状シロキサン結合ともいう。)に帰属される。
環状体を含有するシロキサンオリゴマーを用いて得られる硬化被膜に含まれる環状体の含有量は、シロキサンオリゴマー中に含まれる環状体の量と相関がある。
本発明の硬化被膜を有する成形体の製造方法は、上記シロキサンオリゴマーの製造方法によって得られたシロキサンオリゴマーを含む組成物を基材表面に塗工して、得られた塗工膜を、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化させることを特徴とする。
上記シロキサンオリゴマーを含む組成物の塗工膜を硬化する方法としては、塗工膜に、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱によることができるが、高い生産性を得るためには、可視光線、紫外線、熱線、電子線等の活性エネルギー線による硬化が好ましい。
また、活性エネルギー線の照射により硬化を行なう場合は、シロキサンオリゴマー組成物に活性エネルギー線の照射により酸を発生させる活性エネルギー線感応性酸発生剤を含有させることが好ましい。活性エネルギー線として、可視光線、紫外線を用いる場合は、光感応性酸発生剤を、熱線を用いる場合は、熱感応性酸発生剤を用いることが好ましく、活性が高い点、プラスチック材料に熱劣化を与えない点から、光感応性酸発生剤がより好ましい。
光感応性酸発生剤としては、ジフェニルヨードニウム系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、芳香族スルホニウム系化合物、ジアゾジスルホン系化合物等を用いることができる。具体的には、上市されているイルガキュア250(チバ・ジャパン(株)製、製品名)、アデカオプトマーSP−150や、SP−170(旭電化工業(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990や、サイラキュアUVI−6950、サイラキュアUVI−6992(ダウケミカル日本(株)製、製品名)、DAICATII(ダイセル化学工業(株)製、製品名)、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)製、製品名)、CI−2734、CI−2855、CI−2823や、CI−2758(日本曹達(株)製、製品名)、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−150Lや、SI−180L(三新化学工業(株)製、製品名)、CPI−100Pや、CPI−101A(サンアプロ(株)製、製品名)を挙げることができる。光感応性酸発生剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記活性エネルギー線感応性酸発生剤の配合量は特に限定されないが、シロキサンオリゴマー100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内が好ましい。0.01質量部以上であれば、活性エネルギー線の照射によってシロキサンオリゴマーを含む組成物の塗工膜を十分に硬化し、良好な硬化被膜が得られ、また、10質量部以下であれば、硬化被膜の着色が抑制され、表面硬度や耐擦傷性が良好になる。
上記シロキサンオリゴマー組成物には、その他、必要に応じて、有機物ポリマー、有機物ポリマー微粒子、コロイダルシリカ、コロイド状金属、充填剤、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ゲル粒子、微粒子粉等を含有させてもよい。
また、上記シロキサンオリゴマー組成物には、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、基材への密着性向上等を目的として、有機溶剤を含有することが好ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等を用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機溶剤の含有量は、固形分の合計100質量部に対して10〜1000質量部の範囲内が好ましい。上記有機溶剤の含有量が、固形分の合計100質量部に対して10質量部以上であれば、常温で保管時の組成物中でシロキサンオリゴマーの加水分解縮合反応の進行を抑制することができ、組成物が高粘度となり良好な塗工膜の形成が困難となることを抑制することができる。また、上記有機溶剤の含有量が、固形分の合計100質量部に対して1000質量部以下であれば、硬化被膜を充分な厚さに形成することができ、優れた耐擦傷性を有するものとなる。
上記シロキサンオリゴマー組成物を用いて基材表面に塗工膜を成形する方法としては、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソコート法、スクリーン、スピンコート法、フローコート法、静電塗装、浸漬法等が好ましい。
塗工膜の硬化は、活性エネルギー線を照射して、又は加熱により行う。塗工膜の硬化に用いる活性エネルギー線としては、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線等を挙げることができる。これらのうち、紫外線、可視光線を、光感応性の酸発生剤と組み合わせて使用することが、硬化速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマーレーザー、太陽等を光源とする活性エネルギー線を挙げることができる。これらの活性エネルギー線は、一種類を単独で使用してもよく、異なるものを複数種使用してもよい。異なる複数種の活性エネルギー線を使用する場合は、同時に照射しても、順番に照射することもできる。
塗工膜の硬化のための加熱には、加熱炉等の輻射熱を利用することができる。加熱温度としては、60〜170℃が好ましく、より好ましくは80〜130℃、加熱時間としては、30分〜5時間が好ましく、より好ましくは1〜3時間である。
硬化被膜の厚さとしては、例えば、0.5〜100μm等を挙げることができる。
このような硬化被膜を設ける基材としては、有機質、無機質を問わず、各種プラスチック、金属、紙、木質材、無機質材、電着塗装板、ラミネート板等を挙げることができる。特にプラスチック基材、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリルスチレン等が好適である。
上記基材には、被膜との接着性を向上させるため、プライマー層を形成することもできる。プライマー層としては、光ラジカル重合性ビニル系化合物と光ラジカル重合開始剤を含有する組成物を光硬化させて得られる層が好ましい。より具体的には、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートと活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤を含む組成物で形成したプライマー層等を例示することができる。
このようにして形成される硬化被膜は、耐擦傷性、耐クラック性に優れ、透明であり、耐熱性を有しているので、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、電子ペーパー等のエレクトロニクスデバイスのプラスチック基板、ヘッドランプカバー等の自動車部品、車両用プラスチック窓材等の各種基材のハードコート膜として好適である。
以下に本発明の実施例を示し、具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[シロキサンオリゴマーの調製]
オルガノシランとして、メチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)90g、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)10gに、溶剤として、イソプロピルアルコール77.2gをナス型フラスコに加え、ナス型フラスコの上部を還流しつつ、80℃熱浴中で攪拌しながら加温した。溶液が80℃に達した後、そのナス型フラスコに、0.5mol/Lの酢酸水溶液25.8gを加えて、第一反応を開始した。20分(t1=20分)経過後、更に、13gの脱イオン水を加えて、第二反応を開始した。脱イオン水の添加から5分(t2=5分)経過後、ナス型フラスコを熱浴から取り出し、直ちに0℃の氷浴中で室温以下まで冷却し、シロキサンオリゴマー(1)を得た。得られたシロキサンオリゴマーについて、FT−IRにより環状体の含有量を測定した。
[実施例1]
[シロキサンオリゴマーの調製]
オルガノシランとして、メチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)90g、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)10gに、溶剤として、イソプロピルアルコール77.2gをナス型フラスコに加え、ナス型フラスコの上部を還流しつつ、80℃熱浴中で攪拌しながら加温した。溶液が80℃に達した後、そのナス型フラスコに、0.5mol/Lの酢酸水溶液25.8gを加えて、第一反応を開始した。20分(t1=20分)経過後、更に、13gの脱イオン水を加えて、第二反応を開始した。脱イオン水の添加から5分(t2=5分)経過後、ナス型フラスコを熱浴から取り出し、直ちに0℃の氷浴中で室温以下まで冷却し、シロキサンオリゴマー(1)を得た。得られたシロキサンオリゴマーについて、FT−IRにより環状体の含有量を測定した。
[環状体の含有量]
得られたシロキサンオリゴマーについて、FT−IRによる全反射法(ATR;Attenuated Total Reflectance)により測定を行った。測定条件は、Geクリスタルを用い入射角45度、一回反射とした。FT−IR(NEXUS470:サーモニコレー(株)製)にATR測定用アクセサリー(FOUNDATION ThunderDome)を装着し測定した。分解能は4cm-1、積算回数は32回に設定し、赤外線吸収スペクトルから環状体の含有量を得た。得られた赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
得られたシロキサンオリゴマーについて、FT−IRによる全反射法(ATR;Attenuated Total Reflectance)により測定を行った。測定条件は、Geクリスタルを用い入射角45度、一回反射とした。FT−IR(NEXUS470:サーモニコレー(株)製)にATR測定用アクセサリー(FOUNDATION ThunderDome)を装着し測定した。分解能は4cm-1、積算回数は32回に設定し、赤外線吸収スペクトルから環状体の含有量を得た。得られた赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
[硬化被膜]
得られたシロキサンオリゴマー(1)100gに、1−メトキシ−2−プロパノール(以下「PGM」という)9.5g、γ−ブチロラクトン9.5g、光感応性酸発生剤(サンエイドSI−100L:三新化学工業(株)製)0.8g、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(L−7001:東レ・ダウコーニング(株)製)0.02gを混合し、コーティング用組成物を調製した。得られたコーティング用組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのアクリル板(アクリライトEX:三菱レイヨン株式会社製)上に適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて塗布し、乾燥機にて90℃で10分間乾燥した。
得られたシロキサンオリゴマー(1)100gに、1−メトキシ−2−プロパノール(以下「PGM」という)9.5g、γ−ブチロラクトン9.5g、光感応性酸発生剤(サンエイドSI−100L:三新化学工業(株)製)0.8g、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(L−7001:東レ・ダウコーニング(株)製)0.02gを混合し、コーティング用組成物を調製した。得られたコーティング用組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのアクリル板(アクリライトEX:三菱レイヨン株式会社製)上に適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて塗布し、乾燥機にて90℃で10分間乾燥した。
さらに、高圧水銀灯(ハンディーUV−1200、QRU−2161型:株式会社オーク製作所製)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射した後、乾燥機にて90℃で10分間乾燥し、膜厚約5μmの硬化被膜(1)を得た。紫外線照射量は、紫外線光量計(UV−351型:株式会社オーク製作所製)でピーク感度波長360nmにて測定した。
得られた硬化被膜は外観が良好であり、基材への密着性に優れ、クラックの発生も見られなかった。
得られた硬化被膜について、シロキサンオリゴマーと同様の条件で、FT−IRにより測定を行ない、得られた赤外線吸収スペクトルから環状体の含有量を測定し、以下のように耐擦傷性の評価を行った。結果を、それぞれ図2、表1に示す。
[硬化被膜の耐擦傷性]
硬化被膜を形成したアクリル板の表面を、#0000スチールウールで、9.8×104Paの圧力を加えて10往復擦り、1cm×3cmの範囲に発生した傷の程度を観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:ほとんど傷が付かない。
B:光沢面はあるが、1〜9本のキズがある。
C:光沢面はあるが、10〜49本のキズがある。
D:光沢面はあるが、50〜99本のキズがある。
E:光沢面がなくなる。
硬化被膜を形成したアクリル板の表面を、#0000スチールウールで、9.8×104Paの圧力を加えて10往復擦り、1cm×3cmの範囲に発生した傷の程度を観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:ほとんど傷が付かない。
B:光沢面はあるが、1〜9本のキズがある。
C:光沢面はあるが、10〜49本のキズがある。
D:光沢面はあるが、50〜99本のキズがある。
E:光沢面がなくなる。
[実施例2、3、比較例1〜5]
第一反応時間t1、第二反応時間t2を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてシロキサンオリゴマー(2)〜(8)を調製し、FT−IRにより赤外線吸収スペクトルを測定し、環状体の含有量を測定した。結果を、表1、図1に示す。また、シロキサノリゴマーを用いて、実施例1と同様に硬化被膜を形成し、FT−IRにより赤外線吸収スペクトルを測定し、環状体の含有量を測定し、環状体の耐擦傷性の評価を行った。結果を、図2、表1に示す。
第一反応時間t1、第二反応時間t2を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてシロキサンオリゴマー(2)〜(8)を調製し、FT−IRにより赤外線吸収スペクトルを測定し、環状体の含有量を測定した。結果を、表1、図1に示す。また、シロキサノリゴマーを用いて、実施例1と同様に硬化被膜を形成し、FT−IRにより赤外線吸収スペクトルを測定し、環状体の含有量を測定し、環状体の耐擦傷性の評価を行った。結果を、図2、表1に示す。
第一反応時間t1に対する第二反応時間t2の比(t2/t1)を小さくするほど、直鎖状シロキサン結合に対する環状シロキサン結合の割合が小さくなっている。このことから、t2/t1を小さくするほど、環状体構造を有するシロキサンオリゴマーの生成割合が小さくなっていることが分かる。
また、比較例の結果から、第一反応時間t1に対する第二反応時間t2の比(t2/t1)が0.8以上であると耐擦傷性が悪くなることが分かる。
1 実施例1により得られたシロシキンオリゴマー
2 実施例2により得られたシロシキンオリゴマー
3 実施例3により得られたシロシキンオリゴマー
4 比較例1により得られたシロシキンオリゴマー
5 比較例2により得られたシロシキンオリゴマー
6 比較例3により得られたシロシキンオリゴマー
7 比較例4により得られたシロシキンオリゴマー
8 比較例5により得られたシロシキンオリゴマー
9 実施例1により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
10 実施例2により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
11 実施例3により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
12 比較例1により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
13 比較例2により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
14 比較例3により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
15 比較例4により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
16 比較例5により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
2 実施例2により得られたシロシキンオリゴマー
3 実施例3により得られたシロシキンオリゴマー
4 比較例1により得られたシロシキンオリゴマー
5 比較例2により得られたシロシキンオリゴマー
6 比較例3により得られたシロシキンオリゴマー
7 比較例4により得られたシロシキンオリゴマー
8 比較例5により得られたシロシキンオリゴマー
9 実施例1により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
10 実施例2により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
11 実施例3により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
12 比較例1により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
13 比較例2により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
14 比較例3により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
15 比較例4により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
16 比較例5により得られたシロシキンオリゴマーの硬化被膜
Claims (3)
- 酸性の水を用いてオルガノシランを加水分解縮合させる際に、第一反応としてt1時間反応させた後、第二反応としてさらに水を追加してt2時間反応させるシロキサンオリゴマーの製造方法であって、
t1が2分から12時間の範囲内にあり、
t1とt2の比(t2/t1)が0.8未満であるシロキサンオリゴマーの製造方法。 - 請求項1記載のシロキサンオリゴマーの製造方法によって得られたシロキサンオリゴマーを含む組成物を基材表面に塗工して、得られた塗工膜を、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化させる硬化被膜を有する成形体の製造方法。
- 請求項1記載のシロキサンオリゴマーの製造方法によって得られたシロキサンオリゴマーを含む組成物を基材表面に塗工し、得られた塗工膜を活性エネルギー線の照射または加熱により硬化させて製造された硬化被膜を有する成形体。
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JP2010247781A JP2011116975A (ja) | 2009-11-04 | 2010-11-04 | シロキサンオリゴマーの製造方法、成形体の製造方法及び成形体 |
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-
2010
- 2010-11-04 JP JP2010247781A patent/JP2011116975A/ja active Pending
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