JP2014046240A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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JP2014046240A JP2012189783A JP2012189783A JP2014046240A JP 2014046240 A JP2014046240 A JP 2014046240A JP 2012189783 A JP2012189783 A JP 2012189783A JP 2012189783 A JP2012189783 A JP 2012189783A JP 2014046240 A JP2014046240 A JP 2014046240A
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Abstract

【課題】耐磨耗性、耐擦傷性、透明性、基材との密着性に優れた硬化被膜を有する積層体を形成できる製造方法、およびその方法によって製造された積層体の提供。
【解決手段】 一般式(1)で示されるアルキルシリケート類(a−1)および一般式(2)で示されるオルガノシラン類(a−2)、並びに活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を、基材に塗布して硬化した後、得られた硬化被膜に真空紫外光を照射する積層体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐磨耗性に優れた透明な硬化物を短時間に形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物およびこれを硬化して得られる被膜に好適な硬化物に関する。
近年、透明ガラスの代替として、耐破砕性、軽量性に優れるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明プラスチック材料が広く使用されるようになってきた。しかし、透明プラスチック材料はガラスに比較して表面硬度が低いので、表面に傷を受け易いという問題を有している。これらの欠点を改良するために、表面にハードコート剤をコーティングすることが一般的に行われている。このハードコート剤としてはシリコン系塗料、メラミン系塗料などの熱硬化型ハードコート剤や、多官能アクリレート系などの活性エネルギー線硬化型ハードコート剤がある。これらの中で、熱硬化型シリコン系ハードコート剤が、より高い耐磨耗性を付与することが知られている。熱硬化型シリコン系ハードコートの形成方法としては、アルコキシシラン化合物からなるシリコン系組成物をプラスチック表面に塗布し、熱により硬化被膜を形成させる方法が報告されている。(特許文献1、2参照)
また、特許文献3には、熱硬化により得られた被膜の表面に真空紫外光線を照射し、硬化被膜表面を改質する方法が開示されている。
しかしながら、このような方法では、硬化被膜を形成するために数十分から数時間もの加熱時間が必要となり、生産性の点で問題がある。また、ハードコート剤(硬化性組成物)の貯蔵安定性に問題がある。
この問題を解決するために、活性エネルギー線照射により硬化して無機系の保護被膜を形成する方法が提案されている(特許文献4参照)。しかし、このような無機系の被膜の形成においては、短時間の活性エネルギー線照射のみでは十分な架橋構造が形成されず、被膜物性が発現されにくいという問題がある。特に、耐磨耗性の点で、十分な性能が発現されにくい。
特開昭48−26822号公報 特開昭55−94971号公報 WO2009/110152号パンフレット WO2008/126902号パンフレット
本発明の課題は、ハードコート剤の貯蔵安定性に優れ、耐磨耗性、外観、密着性に優れ、短時間で得ることができる被膜の原料に好適な活性エネルギー線硬化性組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のシロキサン化合物と、活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を主成分とする組成物を硬化させた後、真空紫外光を照射すれば、ハードコート剤の貯蔵安定性に優れ、耐磨耗性、密着性に優れた透明保護被膜を短時間で与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、一般式(1)で示されるアルキルシリケート類(a−1)
Figure 2014046240
(式(1)中、R1、R2、R3、R4は独立して炭素数1〜5のアルキル基または、炭素数1〜4のアシル基を示し、nは3〜20のいずれかの整数を示す。)
および一般式(2)で示されるオルガノシラン類(a−2)
Figure 2014046240
(式(2)中、R5は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、またはイソシアネート基を含有する有機基を示し、R6は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)
から選ばれる少なくとも一種を加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物(A)、並びに
活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)
を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化した後、真空紫外光を照射する積層体の製造方法にある。
また、本発明の要旨は前述の真空紫外光の照射を、エキシマランプを用いて行うことにある。
本発明により、ハードコート剤の貯蔵安定性、耐磨耗性、外観、密着性等に優れ、短時間で得ることができる被膜の原料に好適な活性エネルギー線硬化性組成物およびその製造方法を提供することができる。
<シロキサン化合物(A)>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に用いるシロキサン化合物(A)は、一般式(1)で示されるアルキルシリケート類(a−1)および一般式(2)で示されるオルガノシラン類(a−2)から選択される少なくとも一種以上を加水分解・縮合して得られる加水分解・縮合物である。
Figure 2014046240

Figure 2014046240
かかるシロキサン化合物(A)は、アルキルシリケート類およびオルガノシラン類から選択される少なくとも一種以上を、予め加水分解・縮合することにより、アルキルシリケート分子間に架橋構造が形成された高分子量化されたオリゴマーであり、組成物における硬化性の向上と、得られる保護被膜に好適な硬化物の物性を向上させることができる。また、シロキサン化合物が高分子量化したオリゴマーであることにより、硬化時の重縮合による収縮とそれに伴い発生する応力を低減でき、その結果クラックの低減と、基材との被膜密着性を向上することができる。
上記シロキサン化合物(A)を形成する一般式(1)で表されるアルキルシリケート類(a−1)において、式(1)中、R1、R2、R3、R4は独立して炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。これらの基は、相互に同一でもよいし異なっていてもよい。nは、アルキルシリケート類の繰り返し単位の数を表し、3〜20のいずれかの整数である。nが3以上であれば、アルキルシリケート類の加水分解・縮合により得られるシロキサン化合物の分子量が大きく、得られる硬化性組成物の硬化性、成膜性の低下を抑制することができる。また、nが20以下であれば、加水分解・縮合の際にゲル化を抑制することができる。良好な硬化性、被膜物性が得られ、しかもゲル化の抑制し得ることの点から、nは4〜10(シリカ換算濃度:約51〜54質量%に相当)の整数であることが好ましい。ここで、シリカ換算濃度とは、アルキルシリケート質量とアルキルシリケート類を完全に加水分解し、縮合させた際に得られるSiO2の質量との比を意味する。
一般式(1)で示されるアルキルシリケート類(a−1)としては、具体的に、R1〜R4がメチル基であるメチルシリケート、R1〜R4がエチル基であるエチルシリケート、R1〜R4がイソプロピル基であるイソプロピルシリケート、R1〜R4がn−プロピル基であるn−プロピルシリケート、R1〜R4がn−ブチル基であるn−ブチルシリケート、R1〜R4がn−ペンチル基であるn−ペンチルシリケート、R1〜R4がアセチル基であるアセチルシリケート等を例示することができる。これらのうち、入手が容易な点、加水分解速度が速い点から、メチルシリケート、エチルシリケートが好ましい。
上記シロキサン化合物(A)を形成する一般式(2)で表されるオルガノシラン類(a−2)として、式(2)中、R5は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、またはイソシアネート基を含有する有機基を示し、R6は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3のいずれかの整数を示す。式中、R5、R6が複数存在する場合、それらは相互に同一であっても異なっていてもよい。R6は、中でも製造が容易な点、加水分解速度が速い点から、メチル基、エチル基が好ましい。
一般式(2)で示されるオルガノシラン類(a−2)としては、具体的に、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち、メチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランを好ましいものとして挙げることができる。本発明においては、これら1種または2種以上の混合物として使用できる。
上記一般式(1)で表されるアルキルシリケート類(a−1)と一般式(2)で表されるオルガノシラン類(a−2)の加水分解は、いずれの方法によるものであってもよく、例えば、上記アルキルシリケート類および上記オルガノシラン類をアルコール類と混合し、更に、水をアルコキシル基1モルに対して、例えば0.25〜250モル程度加え、これに塩酸や酢酸などの酸を加えて溶液を酸性(例えばpH2〜5)とし、攪拌する方法によることができる。
また、上記アルキルシリケート類および上記オルガノシラン類をアルコール類と混合し、さらに水をアルコキシル基1モルに対して、例えば0.25〜250モル程度加えて、例えば30〜100℃等に加熱する方法によることができる。加水分解に際して発生するアルコールは、系外に留去してもよい。加水分解に続く縮合は、加水分解状態にあるアルキリシリケート類やオルガノシラン類を放置することにより進行させることができる。その際、pHを中性付近(例えば、pH6〜7)に制御することにより、縮合の進行を速めることができる。縮合に際して発生する水は、系外に留去してもよい。
上記加水分解・縮合における一般式(1)で表されるアルキルシリケート類(a−1)と一般式(2)で表されるオルガノシラン類(a−2)とを併用する際の混合比率は、オルガノシラン類(a−2)1モルに対して、アルキルシリケート類(a−1)0.01〜1.0モルが好ましく、0.01〜0.1モルがより好ましい。
上記シロキサン化合物(A)の配合量は特に限定されない。
<活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)>
本発明において使用する活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)は、可視光線、紫外線、電子線などの活性エネルギー線によりカチオン重合反応を起こす開始剤である。これらのうち、活性が高い点、プラスチック材料に熱劣化を与えない点から、可視光線、紫外線により酸を発生する光感応性カチオン重合開始剤がより好ましい。
光感応性カチオン重合開始剤(B)としては、ジフェニルヨードニウム系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、芳香族スルホニウム系化合物、ジアゾジスルホン系化合物等が挙げられる。具体例としては、上市されているイルガキュア250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名)、アデカオプトマーSP−150およびSP−170(旭電化工業(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990およびサイラキュアUVI−6950(米国ユニオンカーバイド社製、製品名)、DAICATII(ダイセル化学工業(株)製、製品名)、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)製、製品名)、CI−2734、CI−2855、CI−2823およびCI−2758(日本曹達(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6992(ダウケミカル日本(株)製、製品名)、サンエイドSI−L85、SI−L110、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−H15、SI−H20、SI−H25、SI−H40、SI−H50、SI−60L、SI−80LおよびSI−100L(三新化学工業(株)製、製品名)、CPI−100PおよびCPI−101A(サンアプロ(株)製、製品名)が挙げられる。光感応性カチオン重合開始剤(C)は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
上記活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)の配合量は特に限定されないが、硬化性成分合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内が好ましい。0.01質量部以上であれば、活性エネルギー線の照射によって十分に硬化し、良好な保護被膜に好適な硬化物が得られる傾向にある。また、10質量部以下であれば、硬化物について、着色が抑制され、表面硬度や耐擦傷性が良好となる傾向にある。
<その他成分>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、その他、必要に応じて、シランモノマー、有機ポリマー、有機ポリマー微粒子、コロイダルシリカ、コロイド状金属、充填剤、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ゲル粒子、微粒子粉などを含有してもよい。
使用しうるコロイダルシリカとしては、分散媒に分散させた一次粒子径が1〜200nmのコロイダルシリカを挙げることができ、具体的には、メチルエチルケトンに分散したコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製MEK−ST)を挙げることができる。コロイダルシリカの分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの多価アルコール類およびその誘導体、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類およびその他一般溶剤類を挙げることができる。
このようなコロイダルシリカとしては市販されているものを使用することができ、また、コロダルシリカの表面をシランカップリング剤等で処理したものも適用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、基材への密着性向上等を目的として、有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類などを挙げることができる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル
アセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記有機溶剤の含有量は、固形分の合計100質量部に対して10〜1000質量部の範囲内が好ましい。上記有機溶剤の含有量が、固形分の合計100質量部に対して10質量部以上であれば、組成物の保存安定性が良好となり、組成物を含有する液が高粘度となり良好な塗工膜の形成が困難となることを抑制することができる。また、上記有機溶剤の含有量が、固形分の合計100質量部に対して1000質量部以下であれば、硬化物として被膜を形成した場合、充分な厚さを有する被膜を得ることができ、優れた耐擦傷性を得ることができる。
<硬化被膜>
上記塗工膜を成形するには、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソコート法、スクリーン、スピンコート法、フローコート法、静電塗装、浸漬法等を使用することができる。
上記塗工膜の硬化に用いる活性エネルギー線としては、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線などを挙げることができる。これらのうち、紫外線、可視光線を、光感応性の重合開始剤と組み合わせて使用することが、重合速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、太陽などを光源とする活性エネルギー線を挙げることができる。これらの活性エネルギー線は、一種類を単独で使用してもよく、異なるものを複数種使用してもよい。異なる複数種の活性エネルギー線を使用する場合は、同時に照射しても、順番に照射することもできる。
本発明の硬化物を被膜とする場合、被膜の厚さとして、例えば、0.5〜100μm等を挙げることができる。
<基材>
本発明において、基材の形状や材質、厚みは特に限定されず、例えば、従来より樹脂製の成形品に使用し得るものとして知られる各種のものを使用できる。具体的には、ポリメチルメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(ポリエステル)カーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレ−ト樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリアリルジグリコールカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。特にポリメチルメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂は、透明性に優れ、かつ耐摩耗性改良要求も強いため、本発明の被覆材組成物を適用するのが特に有効である。
また、本発明の保護被膜は、樹脂基材はもとより、金属、缶、紙、木質材、無機質材等の基材にも応用可能である。
<真空紫外光照射>
上記得られた硬化被膜に、真空紫外光を照射する。15〜200nmの波長域が真空紫外領域と呼ばれ、真空紫外光の照射には、この波長域の光線を発生するランプであればどのような光源も使用可能である。例えば、エキシマランプ、エキシマレーザー、重水素ランプ、水銀放電ランプ、メタルハライドランプ等の紫外線照射用ランプが使用される。特に、エキシマランプは、単位面積当たり数10〜数100mWの高出力が得られ、連続照射および瞬時の点灯点滅が可能である点から好ましい。特に、希ガスエキシマランプ、希ガスエキシマレーザーは希ガスによるエキシマ発光を利用するもので、Xe2エキシマ光(発振波長172nm)、Kr2エキシマ光(146nm)、Ar2エキシマ光(126nm)は、放射される波長域が1つの波長に集中しており高い効率が得られ、また真空紫外域で高出力が得られる光源である。また、真空紫外光としては、水銀放電ランプから放射される波長185nmの光も利用できる。
照射回数は真空紫外光による被膜劣化が生じない程度であれば、特に限定されない。
硬化被膜に真空紫外光を照射することで、耐磨耗性が良好な被膜を短時間で得ることができる。
次に、本発明について実施例を掲げて詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、下記の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
[合成例1]
シロキサン化合物(A−1)の合成
オルガノシラン類としてメチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)54.0g、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)6.0gに、イソプロピルアルコール45.0gを加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水45.0gを加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させ、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物の溶液150gを得た。
[合成例2]
シロキサン化合物(A−2)の合成
アルキルシリケート類としてシリカ換算濃度53質量%のメチルシリケート(コルコート株式会社製、平均約7量体、平均分子量約789、商品名メチルシリケート53A)10.0g、メチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)20.0gに、イソプロピルアルコール10.0gを加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水10.0gを加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解−縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させた。さらに、γ−ブチロラクトンを加えて全体を76.0gとし、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A)の溶液を得た。なお、ここでの固形分濃度とは、完全に加水分解・縮合させたと仮定した際に得られるシロキサン化合物の溶液全体に対する質量百分率を意味する。
[実施例1]
[硬化性組成物の調製]
(A)成分として合成例1で得たシロキサン化合物(A−1)の固形分濃度20質量%溶液500.0g(固形分100.0g)に、(B)成分として光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L):4.0g(固形分2.0g)溶剤としてPGM125.0gを配合し、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001):0.1gを混合し、硬化性組成物を得た。
[被膜の形成]
この硬化性組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトEX)上に適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて90℃で10分間乾燥した。
[被膜の硬化]
さらに、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化被膜を得た。なお、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。引き続いて、温風乾燥機にて90℃、10分硬化した。引き続いて、波長172nmの真空紫外光を放射するキセノンエキシマランプ((株)エム・ディ・エキシマ製)放射強度:50mW/cm)を用い、ランプ面から14mm隔たった位置に硬化被膜を有するポリカーボネート樹脂板を置き、室温、窒素環境下にて20回照射し、硬化被膜を得た。硬化時間は、25分であった。
[硬化性組成物の貯蔵安定性]
調製した硬化性組成物を1ヶ月常温にて保管した後、組成物の粘度を測定した。
○:粘度の増加が300cps未満
×:粘度の増加が300cps以上
[被膜の評価]
得られた硬化被膜(保護被膜)を、以下の方法により評価した。
・ 硬化時間
光硬化の場合、硬化時間には、プレキュア、ポストキュアも含んだ合計時間とする。
○:30分未満
×:30分以上
2)外観
目視にて硬化被膜を有するアクリル板の透明性、白化の有無を観察し、以下の基準により評価した。
○:透明で、白化の欠陥の無いもの(良好)。
×:不透明な部分のあったもの、白化等の欠陥があったもの(不良)。
3)膜厚
Metricon社製MODEL 2010 PRISM COUPLERにて測定。
4)被膜密着性
アクリル板表面の硬化被膜へ、カミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつの切れ目を入れて100個のマス目を作り、セロハンテープを良く密着させた後、45度手前方向に急激に剥がし、硬化被膜が剥離せずに残存したマス目数を計測して、以下の基準で評価した。
○:剥離したマス目がない(密着性良好)。
△:剥離したマス目が1〜5個(密着性中程度)。
×:剥離したマス目が6個以上(密着性不良)。
5)テーバー磨耗試験
テーバー磨耗試験機(商品名:ロータリーアブレージョンテスタ、(株)東洋精機製作所製)にて500回転磨耗した後のΔHを測定した。磨耗輪(商品名:CS10F(タイプIV)、回転速度:70rpm、荷重: 4.9N(500gf)、吸引口高さ:3mm。
○:10未満
×:10以上
その結果、本実施例の硬化被膜は、耐磨耗性、良好な外観、被膜密着性を有していた。結果を表1に示す。
Figure 2014046240
[実施例2]
真空紫外照射条件を5回とする以外は、実施例1と同様にして硬化被膜を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
基材を、厚さ3mmのポリカーボネート樹脂板(帝人化成社製、商品名パンライトに、プライマーとして、アクリキングPH−700(三菱レイヨン社製UV硬化型ハードコート剤、塗工膜厚8μ)を塗布したもの)とする以外は、実施例1と同様にして硬化被膜を得た。価結果を表1に示す。
[実施例4]
表1に記載のものを用いること以外は実施例1と同様にして硬化被膜を得た。価結果を表1に示す。
[実施例5]
基材を100μmのアクリルフィルムとする以外は、実施例1と同様にして硬化被膜を得た。価結果を表1に示す。
[実施例6]
基材を100μmのポリカーボネートフィルム(旭硝子製、商品名カーボグラス)とする以外は、実施例1と同様にして硬化被膜を得た。価結果を表1に示す。
[比較例1]
真空紫外照射をしないこと以外は、実施例1と同様にして硬化被膜を得た。評結結果を表に2示す。
[比較例2]
真空紫外照射をしないこと以外は、実施例4と同様にして硬化被膜を得た。評結結果を表に2示す。
[比較例3]
表2に記載のものを用いること以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。PMMA板の上に、適量滴下し、バーコーティング法(バーコーター#26)にて塗布した。引き続いて、温風乾燥機にて90℃、120分放置し、硬化被膜を形成した。硬化時間は、120分であった。また、1ヶ月常温保管した後の硬化性組成物はゲル化していた。評結結果を表に2示す。
[比較例4]
表2に記載のものを用いること以外は、比較例3と同様にして硬化被膜を得た。評結結果を表に2示す。
Figure 2014046240
表1、表2中の略号は、以下の通りである。
A−1:合成例1で得られたシロキサン化合物
A−2:合成例2で得られたシロキサン化合物
SI−100L:光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L、固形分50%)
PGM:1−メトキシ−2−プロパノール
L−7001:シリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)
以上の結果より、本発明の製造方法により得られた積層体(実施例1〜6)は、耐磨耗性、良好な外観、被膜密着性を有しており、また硬化時間も短く、硬化性租生物の貯蔵安定性も良好であり、生産性にも優れることが確認された。
一方、硬化被膜表面に真空紫外照射処理を行わなかった積層体(比較例1〜2)は、耐摩耗性に劣ることが確認された。また、熱硬化により得られた積層体(比較例3〜4)は、硬化時間の点で本発明と比べて劣るものであり、更に、硬化性組成物の貯蔵安定性にも劣ることが確認された。

Claims (2)

  1. 一般式(1)で示されるアルキルシリケート類(a−1)
    Figure 2014046240
    (式中R1、R2、R3、R4は独立して炭素数1〜5のアルキル基または、炭素数1〜4のアシル基を示し、nは3〜20のいずれかの整数を示す。)、および
    一般式(2)で示されるオルガノシラン類(a−2)
    Figure 2014046240
    (式中R5は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、またはイソシアネート基を含有する有機基を示し、R6は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)
    から選択される少なくとも一種以上を加水分解縮合して得られるシロキサン化合物(A)、並びに
    活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)
    を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を、基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化した後、得られた硬化被膜に真空紫外光を照射する積層体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の真空紫外光の照射を、エキシマランプを用いて行う請求項1に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111194344A (zh) * 2017-05-15 2020-05-22 沙特阿拉伯石油公司 用于地下地层中的水和气体封堵的组合物和方法

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