JP2014015560A - 耐擦傷性に優れたシロキサン系硬化被膜 - Google Patents

耐擦傷性に優れたシロキサン系硬化被膜 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐摩耗性を有するシロキサン系コーティング膜を提供する。
【解決手段】特定の形状を有したコロイド状シリカを複合化させた、活性エネルギー線の照射によって硬化するシロキサン系硬化被膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐擦傷性に優れた硬化物の形成に好適なコロイド状シリカを複合化したシロキサン系硬化被膜に関する。
透明プラスチック材料は、ガラスに比べて軽量であることや優れた成形性を有することなどから、近年使用が広まっている。しかしながら、一般に透明プラスチック材料は、表面硬度が低いため、表面に傷を受けやすいという問題を抱えている。この問題を改良するために、透明プラスチック材料の表面にハードコート剤をコーティングすることが一般に行われている。ハードコート剤としてはメラミン系塗料、多官能アクリレート系塗料、シリコン系塗料などが広く用いられている。これらの中で、シリコン系塗料は、ハードコート膜を形成した時の基本骨格がガラスと同じシロキサン結合を形成する。シロキサン結合の結合エネルギーは、有機物ポリマーの基本骨格である炭素−炭素間結合や炭素−酸素間結合のそれより高いため、シリコン系塗料を用いたハードコート膜はより高い耐擦傷性や耐摩耗性と耐候性を付与することが可能であると期待されている。
シリコン系ハードコートの形成方法の中でも、アルコキシシランの加水分解及び縮合という、いわゆるゾル−ゲル法を用いたものは、比較的低温下で硬化膜を得ることができるため、魅力的な技術として注目されている。しかしながら、一般に広く用いられているゾル−ゲル法においては、硬化のために数時間の熱処理が必要である。このため、生産性が低いことや、長時間の熱処理による基材へのダメージが懸念される点など、問題点も多く抱えている。
このような従来の熱硬化型のゾル−ゲル法が抱える問題点を克服する手法として、光酸発生剤を用いて、光の照射によって、ごく短時間でゾル−ゲル反応を進めて硬化被膜を得る、光ゾル−ゲル法と呼ばれる技術が近年開発されてきており、広く注目を集めている。
光ゾル−ゲル法で得られるシロキサン系硬化被膜において、有機官能基含有のシランにより表面を修飾したコロイド状シリカを複合化させることで、外観を損なうことなく、耐擦傷性を向上させる手法が特許文献1、特許文献2において公開されている。
しかしながら、特許文献1の手法で得られる硬化被膜の耐擦傷性や耐摩耗性は、自動車グレージング用途など、高い耐擦傷性が要求される用途においては、十分とは言えない。
また、特許文献2において、特定の形状を有したコロイド状シリカの表面をシランカップリング剤で修飾したものをアクリル系のハードコート剤と複合化することで、耐擦傷性を向上させる技術が公開されている。しかしながら、特許文献2における手法では、アクリル系を基本組成としているため、自動車グレージングを始めとした高い耐擦傷性、耐候性が要求される用途への使用においては、十分とはいえない。
このように、透明プラスチック基材に施すコーティング材においては、耐擦傷性のさらなる向上が望まれていた。
特開2008−120870 特開2000−103987
本発明の目的は、高い耐擦傷性を有する、シロキサン系の活性エネルギー線硬化型の組成物を提供することにある。また、この組成物を基材の表面に硬化させた積層体を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有したコロイド状シリカをシロキサンオリゴマーに複合化させることで、活性エネルギー線照射後の硬化膜において、環状構造体に帰属されるポリシロキサンの形成が抑制され、直鎖構造体に帰属されるポリシロキサンが多く形成し、その結果、耐擦傷性が向上することを見出し、本発明に至った。
本発明の第一の態様は、
(A)動的光散乱法による測定粒子径(X1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(X2)の比X1/X2が式(1):3<X1/X2<30を満たすシリカ微粒子の分散物であるコロイド状シリカ(a−1)と、アルコキシシラン(a−2)との加水分解・縮合物、
(B)シロキサンオリゴマー、及び
(C)活性エネルギー線酸発生剤、
を含有する活性エネルギー線硬化性組成物である。
本発明の第二の態様は、
上記コロイド状シリカ(a−1)と、アルコキシシラン(a−2)との(A)加水分解・縮合物が、その赤外線吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に由来した吸収のピーク強度(ア)とシラノール基に由来した吸収のピーク強度(イ)としたとき、(イ)/(ア)が0.07以上であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物、
である。
本発明の第三の態様は、上記の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜を有する積層体である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いると、活性エネルギー線の照射によって得られるシロキサン系硬化膜の耐擦傷性が優れたものとなる。
縮合物(A)の赤外線吸収スペクトルの一例を示すグラフである。 縮合物(A)−1の赤外線吸収スペクトルである。 縮合物(A)−2の赤外線吸収スペクトルである。 縮合物(A’)−3の赤外線吸収スペクトルである。 実施例及び比較例の赤外線吸収スペクトルである。 実施例及び比較例の赤外線吸収スペクトルである。
以下の説明において、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を「本発明の組成物」、(A)コロイド状シリカ(a−1)とアルコキシシラン(a−2)との加水分解・縮合物を「縮合物(A)」、(B)シロキサンオリゴマーを「オリゴマー(B)」、(C)活性エネルギー線酸発生剤を「酸発生剤(C)」という。
<コロイド状シリカ(a−1)>
本発明で用いるコロイド状シリカ(a−1)は、例えば、シリカ微粒子が水に均一分散したものや、シリカ微粒子が有機系の分散媒中に均一に分散したものをあげることができる。このときの分散媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテルがあげられる。このときの分散媒は1種でも2種以上混合して用いることもできる。
本発明においては、コロイド状シリカ(a−1)は、動的光散乱法による測定粒子径(X1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(X2)の比X1/X2が式(1):3<X1/X2<30を満たすシリカ微粒子の分散物である。
動的光散乱法による測定粒子径(X1)は、二次粒子径を意味する。また、窒素ガス吸着法による測定粒子径(X2)は、一次粒子径を意味し、その比X1/X2はコロイド状シリカ(a−1)の細長形状についての指標として使用しうる値である。
すなわち、コロイド状シリカ(a−1)中のシリカ微粒子は特定の形状のものを用いることになる。特定の構造とは、窒素ガス吸着法による測定粒子径(X2)(以下、一次粒子径ともいう)に対する動的光散乱法による測定粒子径(X1)(以下、二次粒子径ともいう)の比(二次粒子径/一次粒子径)(X1/X2)が3より大きく、3.2以上であることが更に好ましい。また、30より小さく、20より小さいことが好ましい。二次粒子径(X1)と一次粒子径(X2)の比(X1/X2)が3より大きいと、これを複合化して得られる硬化被膜の耐摩耗性が良好なものとなるため、好ましい。
本発明において、上記のような細長い形状を有したコロイド状シリカ(a−1)をシロキサンオリゴマーに混合したコーティング液を用いて、活性エネルギー線照射後に得られる硬化膜において、環状構造体に帰属されるシロキサンの形成が抑制され、直鎖構造体に帰属されるシロキサンが多く形成する。直鎖構造体は環状構造体に比べて、排除体積が小さいため、より緻密な硬化被膜を得ることができる。この緻密化のために、硬化被膜がより高硬度化する。また、細長い形状を有したコロイド状シリカを用いることで、環状構造体の形成が抑制され、直鎖構造体が多く形成するメカニズムについては、以下のように推測している。細長い形状を有したコロイド状シリカが含まれるコーティング液を用いた場合、基材にコーティング液を塗布し、溶剤を乾燥させた後、活性エネルギー線の照射により硬化を進める。この硬化の際、コロイド状シリカの間に存在するシロキサンオリゴマーは、コロイド状シリカに直行する方向よりも平行な方向に成長しやすくなる。このため、得られる硬化被膜は直鎖構造体をより多く含むものとなる。なお、本発明はこれらの推論により限定されるものではない。
硬化被膜において、環状構造体や直鎖構造体を有したシロキサンの量については、硬化被膜に対して、FT−IRによる全反射法(ATR;Attenuated Total Reflectance)を用いた測定により得られる赤外吸収スペクトルから確認する。具体的に述べると、シロキサン結合は960〜1240cm-1に吸収を持っており、そのうち1050cm-1よりも高波数側は環状シロキサン結合に、低波数側は直鎖状シロキサン結合に帰属される。このため、硬化被膜の赤外吸収スペクトルから、環状構造体や直鎖構造体を有したシロキサンの量が分かる。なお、環状シロキサン結合とは、シロキサン結合のうち環状構造を形成しているものであり、直鎖状シロキサン結合とは、環状構造を形成していないものとする。
コロイド状シリカ(a−1)の一次粒子径は、8〜50nmであることが好ましく、9〜40nmの範囲にあることが更に好ましい。一次粒子径が8nm以上であると、これを複合化して得られる硬化被膜の重合硬化時の収縮が抑制できるため、得られる硬化被膜の耐クラック性が良好なものとなるため、好ましい。また、一次粒子径が50nm以下であると、これを複合化して得られる硬化被膜の耐擦傷性が良好なものとなるため、好ましい。
コロイド状シリカ(a−1)の一次粒子径(X2)の測定は、窒素ガス吸着法による。例えばマックソーブHM−1200(マウンテック社製)を用いて、窒素吸着量を測定し、BET法を用いて比表面積を算出する。本発明においては、シリカが真球であると仮定して、得られた比表面積とシリカの比重の関係より算出した粒子径を一次粒子径とする。
コロイド状シリカ(a−1)の二次粒子径(X1)は動的光散乱法を用いて測定された粒子径を採用する。二次粒子径を測定するための装置としては、例えばFPAR−1000(大塚電子社製)を用いることができる。
一次粒子径の測定は、コロイド状シリカ(a−1)を50℃に設定した乾燥機で48時間程度かけて溶剤を乾燥させたものを、サンプル管に投入した後、さらに200℃で40分の乾燥処理を行った後に実施する。
また、二次粒子径の測定には、コロイド状シリカ(a−1)において、シリカの濃度が5〜10%となるように調整したものを用いて測定を実施する。
二次粒子径の測定時の分散媒としては、イソプロパノールを用いる。
本発明で使用するコロイド状シリカ(a−1)は硬化膜を高硬度化し、耐擦傷性を付与する成分である。
本発明のコロイド状シリカ(a−1)は、従来公知の方法によりシリカ微粒子を製造し、上述の方法で一次粒子径及び二次粒子径を測定して選択することにより得ることができる。本発明のコロイド状シリカ(a−1)として、例えば日産化学社のIPA−ST−UP、扶桑化学社のPL−1−IPA等が挙げられる。
<縮合物(A)>
本発明で用いる縮合物(A)は、コロイド状シリカ(a−1)とアルコキシシラン(a−2)とを加水分解・縮合して得られるものであり、硬化膜を高硬度化し、耐擦傷性を付与する成分である。コロイド状シリカ(a−1)とアルコキシシラン(a−2)とを加水分解・縮合することで、コロイド状シリカ(A)の表面がアルコキシシラン(a−2)により修飾され、シロキサンオリゴマー(B)との相溶性が良好となり、硬化膜中にコロイド状シリカ(A)が均一に分散することになる。均一に分散することで、硬化膜において、外観が良好となり、高硬度化し、耐摩耗性を高めることになる。
縮合物(A)の原料として用いるアルコキシシラン(a−2)の具体例としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−ビニルフェニレントリエトキシシラン、p−ビニルフェニレントリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランを用いることで、硬化被膜の耐擦傷性が良好となるため、好ましい。本発明においては、これら1種または2種以上の混合物として使用できる。
コロイド状シリカ(a−1)と上記アルコキシシラン(a−2)の少なくとも一つの加水分解・縮合物は、例えば以下のようにして得ることができる。コロイド状シリカの溶媒への分散液を任意に加温し、アルコキシシランを添加して、例えば室温〜溶媒の還流温度まで加熱しながら、1〜48時間程度、反応を行う。
縮合物(A)の構造は赤外吸収スペクトルにより把握することになる。縮合物(A)の赤外吸収スペクトルは、基材に縮合物(A)を含む溶液を塗布し、室温あるいは30℃以下の温度に設定した乾燥機にて2時間から6時間かけて溶剤を乾燥させてから、FT−IRによる全反射法(ATR;Attenuated Total Reflectance)により測定を行う。
縮合物(A)としては、含まれる水酸基の量を多くする方が、硬化被膜を形成した際に、オリゴマー(B)との化学結合が増えるため、得られる硬化被膜の耐候性、耐擦傷性が向上するために好ましい。また、縮合物(A)の水酸基量はコロイド状シリカ(a−1)の水酸基量が反映されるため、コロイド状シリカ(a−1)として、水酸基量の多いものを用いることで、得られる硬化被膜の耐候性、耐擦傷性は向上する。
縮合物(A)の水酸基量としては、赤外吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に由来した吸収のピーク強度(ア)とシラノール基に由来した吸収のピーク強度(イ)を用いて、(ア)に対する(イ)の比((イ)/(ア))が0.07以上であることが好ましく、0.075以上であることがさらに好ましい。
上述したシロキサン結合に由来した吸収のピーク強度(ア)とシラノール基に由来した吸収のピーク強度(イ)の比((イ)/(ア))は、より具体的には以下のように決定する。以下の説明については図1を参照されたい。前記赤外線吸収スペクトルにおいて、1000cm-1〜1300cm-1における吸光度のピーク値を示す点を点Cとし、1300cm-1での吸光度を示す点を点A、860cm-1での吸光度を示す点を点Bと、規定する。線分ABにおいて、点Cと同一の波数を示す点を点Dとする。また、860cm-1〜975cm-1における吸光度のピーク値を示す点を点Eと、規定する。線分ABにおいて、点Eと同一の波数を示す点を点Fとする。ピーク強度(ア)とは線分CDの長さであり、ピーク強度(イ)とは線分EFの長さである。
縮合物(A)の水酸基量は、コロイド状シリカ(a−1)の水酸基量に影響を受ける。(ア)に対する(イ)の比((イ)/(ア))が好ましい範囲にある縮合物(A)を製造するためには、コロイド状シリカ(a−1)において、水酸基量の多いものを用いればよい。
本発明においては、硬化被膜全質量に対する、硬化被膜に含まれるコロイド状シリカ(a−1)の質量分率を10%〜70%とすることが望ましく、15%〜60%とすることがさらに望ましい。コロイド状シリカ(a−1)の質量分率を10%以上とすることで、硬化被膜の耐擦傷性が良好なものとなり、また70%以下とすることで、硬化被膜の耐候性が向上する。
<オリゴマー(B)>
本発明に用いるオリゴマー(B)はアルコキシシランをゲル化しない程度に重合させることで作製する。シロキサンオリゴマーの分子量は、特に限定されないが、GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量で400〜5000の範囲内であることが望ましい。
オリゴマー(B)の原料として用いるアルコキシシランの具体例としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−ビニルフェニレントリエトキシシラン、p−ビニルフェニレントリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち、シロキサンオリゴマーの合成段階における反応性、硬化被膜を製造した時の耐擦傷性と耐クラック性のバランスから考えて、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランを好ましいものとして挙げることができる。本発明においては、これら1種または2種以上の混合物として使用できる。
オリゴマー(B)の添加量は、硬化膜の全質量に対し、オリゴマーに由来するものが、30〜90質量%であることが好ましく、40〜85質量%となるように混合することが望ましい。
<酸発生剤(C)>
本発明で使用する酸発生剤(C)としては、ジフェニルヨードニウム系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、芳香族スルホニウム系化合物、ジアゾジスルホン系化合物等を用いることができる。具体的には、上市されているイルガキュア250(チバ・ジャパン(株)製、製品名)、アデカオプトマーSP−150や、SP−170(旭電化工業(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990や、サイラキュアUVI−6950、サイラキュアUVI−6992(ダウケミカル日本(株)製、製品名)、DAICATII(ダイセル化学工業(株)製、製品名)、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)製、製品名)、CI−2734、CI−2855、CI−2823や、CI−2758(日本曹達(株)製、製品名)、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−150Lや、SI−180L(三新化学工業(株)製、製品名)、CPI−100Pや、CPI−101A(サンアプロ(株)製、製品名)を挙げることができる。光感応性酸発生剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、イルガキュア250、SI−60L、SI−80L、SI−100Lが作製される硬化被膜の耐摩耗性、耐候性が高くなるため望ましい。
前記酸発生剤(C)の配合量は特に限定されないが、シロキサンオリゴマー100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内が好ましい。0.01質量部以上であれば、活性エネルギー線の照射によってシロキサンオリゴマーが十分に硬化し、良好な硬化膜が得られ、また、10質量部以下であれば、硬化被膜の着色が抑制され、表面硬度や耐擦傷性が良好となる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて、有機物ポリマー、有機物ポリマー微粒子、コロイド状金属、充填剤、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ゲル粒子、微粒子粉等を含有させてもよい。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物には、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、基材への密着性向上等を目的として、有機溶剤を含有することが好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等を用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記有機溶剤の含有量は、固形分の合計100質量部に対して10〜1000質量部の範囲内が好ましい。前記有機溶剤の含有量が、固形分の合計100質量部に対して10質量部以上であれば、常温で保管時の組成物中でのシロキサンオリゴマーの加水分解・縮合反応の進行を抑制することができ、組成物が高粘度となり良好な塗工膜の形成が困難となることを抑制することができる。また、前記有機溶剤の含有量が、固形分の合計100質量部に対して1000質量部以下であれば、硬化膜を十分な厚さに形成することができ、優れた耐擦傷性を有するものとなる。
本発明において、「固形分」とは、アルコキシシランが完全に加水分解・縮合させたと仮定した際に得られるシロキサン化合物とコロイド状シリカとを合わせたものを意味する。
本発明により得られたシロキサン硬化被膜は、透明ハードコート膜として使用することができる。
本発明の硬化被膜の厚さとして、例えば、0.5〜100μm等を挙げることができる。
本発明の方法で得られる硬化性組成物は、フィルムやシートなどの平面形状を有する基材に塗布した後に、活性エネルギー線を照射して、硬化物を得ること、または立体形状を有した基材に塗布した後に、活性エネルギー線を照射して、硬化物を得ることも可能である。
前記の硬化膜の原料を塗工するには、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソコート法、スクリーン法、スピンコート法、フローコート法、静電塗装法、浸漬法等を使用することができる。
前記の塗工膜の硬化に用いる活性エネルギー線としては、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線などを挙げることができる。これらのうち、紫外線、可視光線を、光感応性の酸発生剤と組み合わせて使用することが、重合速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマランプ、エキシマレーザー、太陽などを光源とする活性エネルギー線を挙げることができる。これらの活性エネルギー線は、一種類を単独で使用してもよく、異なるものを複数種使用してもよい。異なる複数種の活性エネルギー線を使用する場合は、同時に照射しても、順番に照射することもできる。
本発明の被膜を設ける基材としては、有機質、無機質を問わず、各種プラスチック、金属、紙、木質材、無機質材、電着塗装板、ラミネート板等の様々な基材を挙げることができる。特にプラスチック基材、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等に好適である。
本発明における、活性エネルギー線の照射前の溶剤の乾燥方法としては、特に制限はされないが、例えば熱風炉、電気炉、蒸気乾燥炉、赤外線照射、誘導加熱などを用いて加熱を行う方法をあげることができる。
加熱の温度としては、生産性の観点から40℃以上が望ましい。またこの温度の上限値は、基材の耐熱性によって決められる。例えば、PMMA板を基材として用いた場合は、100℃が上限値となる。
また、活性エネルギー線照射後に、さらに硬化を進めるために加熱処理を施すことも可能である。この場合、活性エネルギー線照射前と同一の方法で加熱することも、別の方法で加熱することも可能である。活性エネルギー線照射後の加熱時の温度として好ましい範囲は、40℃以上であり、より好ましい範囲は50℃以上である。このときの温度が40℃以上であれば、得られる硬化膜の耐摩耗性が向上するために好ましい。このときの温度の上限値は使用する基材の耐熱性によって決められる。
また、前記基材には、被膜との接着性を向上させるため、プライマー層を形成することもできる。
このようにして形成される硬化膜は、耐擦傷性、耐クラック性に優れ、透明であり、耐熱性を有し、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、電子ペーパー等のエレクトロニクスデバイスのプラスチック基板、ヘッドランプカバー等の自動車部品、車両用プラスチック窓材等の各種用途に好適である。
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例および比較例に限定されるものではない。
<コロイド状シリカ(a−1)の粒子径測定>
コロイド状シリカ(a−1)の一次粒子径の測定は、マックソーブHM−1200(マウンテック社製)を用いて、窒素吸着量を測定し、BET法を用いて比表面積を算出した。シリカが真球であると仮定して、得られた比表面積とシリカの比重から算出した粒子径を一次粒子径(X2)とした。
一次粒子径の測定に用いるサンプルは、前処理として、50℃に設定した乾燥機にて48時間程度かけて溶剤を乾燥させたものを作製し、これをマックソーブHM−1200(マウンテック社製)のサンプル管に投入した後、さらに200℃で40分の乾燥処理を行った後に、本測定として、窒素の吸着量の測定を実施した。
また、二次粒子径(X1)はコロイド状シリカ(a−1)中のシリカの濃度が重量比で6%となるようにイソプロパノールを用いて調整したものを作製し、FPAR−1000(大塚電子社製)を用いて、測定を実施した。測定結果を表1に示す。
<オリゴマー(B)−1の合成>
メチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)90g、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)10gに、溶剤として、イソプロピルアルコール77.2gをナス型フラスコに加え、ナス型フラスコの上部を還流しつつ、80℃熱浴中で攪拌しながら加温した。溶液が80℃に達した後、そのナス型フラスコに脱イオン水77.0gを加えて反応を開始した。6時間経過後、ナス型フラスコを熱浴から取り出し、直ちに0℃の氷浴中で冷却して反応を終了し、オリゴマー(B)−1を得た。
[実施例1]
「縮合物(A)−1の製造」
コロイド状シリカIPA−ST−UP(日産化学工業製、固形分濃度15質量%)24g、脱イオン水0.54gをナス型フラスコに加え、ナス型フラスコの上部を還流しつつ、80℃熱浴中で攪拌しながら加温した。ナス型フラスコ内の溶液が80℃に達した後、そのナス型フラスコにメチルトリメトキシシラン(多摩化学工業製)0.68gを加えて反応を開始した。3時間経過後、ナス型フラスコを熱浴から取り出し、直ちに0℃の氷浴中で冷却して反応を終了し、縮合物(A)−1を得た。
「コーティング用組成物(1)の調製」
前記シロキサンオリゴマー(B)−1を40.6gに、縮合物(A)−1を14.23g、1−メトキシ−2−プロパノール0.76g、γ−ブチロラクトン4.79g、光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L)0.41g、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.012gを混合し、コーティング用組成物(1)を得た。
[実施例2]
「縮合物(A)−2の製造」
コロイド状シリカPL−1−IPA(扶桑化学工業製、固形分濃度12.7質量%)12g、脱イオン水0.446g、をナス型フラスコに加え、ナス型フラスコの上部を還流しつつ、80℃熱浴中で攪拌しながら加温した。ナス型フラスコ内の溶液が80℃に達した後、そのナス型フラスコにメチルトリメトキシシラン(多摩化学工業製)0.562gを加えて反応を開始した。3時間経過後、ナス型フラスコを熱浴から取り出し、直ちに0℃の氷浴中で冷却して反応を終了し、縮合物(A)−2を得た。
「コーティング用組成物(2)の調製」
前記シロキサンオリゴマー(B)−1を37.16gに、縮合物(A)−2を18.01g、1−メトキシ−2−プロパノール0.42g、γ−ブチロラクトン4.79g、光感応性酸発生剤(C)(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L)0.41g、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.012gを混合し、コーティング用組成物(2)を得た。
[比較例1]
「縮合物(A’)−3の製造」
コロイド状シリカIPA−ST(日産化学工業製、固形分濃度30質量%)12g、脱イオン水0.54g、イソプロパノール12gをナス型フラスコに加え、ナス型フラスコの上部を還流しつつ、80℃熱浴中で攪拌しながら加温した。ナス型フラスコ内の溶液が80℃に達した後、そのナス型フラスコにメチルトリメトキシシラン(多摩化学工業製)0.68gを加えて反応を開始した。3時間経過後、ナス型フラスコを熱浴から取り出し、直ちに0℃の氷浴中で冷却して反応を終了し、縮合物(A’)−3を得た。
<コーティング用組成物(3)の調製>
縮合物(A)−1の代わりに縮合物(A’)−3を使用した以外は、コーティング用組成物(1)の調製と同様にして、コーティング組成物(3)を得た。
[実施例3]
「コーティング用組成物(4)の調製」
前記シロキサンオリゴマー(B)−1を30.5gに、縮合物(A)−1を28.5g、1−メトキシ−2−プロパノール0.76g、γ−ブチロラクトン4.79g、光感応性酸発生剤(C)(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L)0.41g、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.012gを混合し、コーティング用組成物(4)を得た。
[実施例4]
「コーティング用組成物(5)の調製」
前記シロキサンオリゴマー(B)−1を27.9gに、縮合物(A)−2を36.1g、1−メトキシ−2−プロパノール0.42g、γ−ブチロラクトン4.79g、光感応性酸発生剤(C)(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L)0.41g、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.012gを混合し、コーティング用組成物(5)を得た。
[比較例2]
「コーティング用組成物(6)の調製」
縮合物(A)−1の代わりに縮合物(A’)−3を使用した以外は、コーティング用組成物(4)の調製と同様にして、コーティング組成物(6)を得た。
<縮合物(A)及び(A’)の赤外線吸収測定>
FT−IR(商品名:「NEXUS470」、サーモニコレー社製)による全反射法(ATR;Attenuated Total Reflectance)により、シロキサンオリゴマーの赤外吸収スペクトルの測定を行なった。縮合物(B)は、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)上に適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて塗布し、乾燥機にて30℃で4時間放置して、溶剤を乾燥させたサンプルのシロキサンオリゴマー層についての測定を実施した。測定条件としては、ATR測定用アクセサリー(商品名「FOUNDATION ThunderDome」、スペクトラック社製)を取り付け、分解能4cm-1、積算回数32回で測定した。また、ピーク面積の解析には、FT−IR解析ソフト(商品名「OMNIC」,サーモニコレー社製)の積分ツールを用いて求めた。得られた赤外線吸収スペクトルから、ピーク強度比(イ)/(ア)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2014015560
<硬化被膜の作製>
コーティング組成物(1)〜(6)のそれぞれを用いて、硬化被膜(1)〜(6)を得た。その製造の手順について以下に記す。
長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)上に適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて塗布し、乾燥機にて90℃で10分間乾燥した。
さらに、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化被膜を得た。なお、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。硬化被膜サンプルを、乾燥機にて90℃で10分間乾燥することで硬化被膜が得られた。
<硬化被膜の赤外線吸収測定>
FT−IR(商品名:「NEXUS470」、サーモニコレー社製)による全反射法(ATR;Attenuated Total Reflectance)により、シロキサンオリゴマーの赤外吸収スペクトルの測定を行なった。硬化被膜は、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)上に形成したものを使用した。測定条件としては、ATR測定用アクセサリー(商品名「FOUNDATION ThunderDome」、スペクトラック社製)を取り付け、分解能4cm−1、積算回数32回で測定した。図5、図6に得られた赤外吸収スペクトルを示した。
<耐摩耗性の評価>
硬化被膜の耐摩耗性の評価は、ロータリーアブレージョンテスタ((株)東洋精機製作所)を用いて、以下に記したとおりに実施した。磨耗輪として、CS−10Fを用いて、それぞれの磨耗輪に500gずつの加重をセットし、500回転させたときのヘーズ値(Hz)を測定する。ΔHz値として、(磨耗試験後のヘーズ値)−(磨耗試験前のヘーズ値)の値(%)により比較した。
実施例1〜4、比較例1〜2で得られた硬化膜の耐摩耗性評価の結果を表2に示す。
表2
Figure 2014015560
表2の「コロイド状シリカの濃度(質量%)」とは、コロイド状シリカ(a−1)とアルコキシシラン(a−2)の反応により得られる縮合物(A)中の固形分濃度(アルコキシシランのアルコキシ基が全てシロキサン結合へ変換したとの仮定に基づいて計算)、シロキサンオリゴマー(B)中の固形分濃度、及びその他の添加剤の固形分の濃度を合算した組成物中の全固形分濃度に対する、コロイド状シリカ(a−1)の固形分濃度を意味する。
上記に示すとおり、本願発明に係る縮合物(A)−1又は(A)−2を用いた組成物の硬化膜(実施例1〜4)は、縮合物(A’)−3を用いた組成物(比較例1〜2)と比べて、耐摩耗性に優れることが確認された。

Claims (3)

  1. (A)動的光散乱法による測定粒子径(X1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(X2)の比X1/X2が、式(1):3<X1/X2<30を満たすシリカ微粒子の分散物であるコロイド状シリカ(a−1)と、アルコキシシラン(a−2)との加水分解・縮合物、
    (B)シロキサンオリゴマー、及び
    (C)活性エネルギー線酸発生剤
    を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. コロイド状シリカ(a−1)とアルコキシシラン(a−2)との(A)加水分解・縮合物が、その赤外線吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に由来した吸収のピーク強度(ア)とシラノール基に由来した吸収のピーク強度(イ)としたとき、(イ)/(ア)が0.07以上である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜を有する積層体。
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