JP2013154324A - シロキサン系硬化膜の製造方法 - Google Patents

シロキサン系硬化膜の製造方法 Download PDF

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学 山谷
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Abstract

【課題】優れた耐擦傷性を有するシロキサン系コーティング膜の製造方法を提供する。
【解決手段】シロキサンオリゴマー、有機溶剤及び活性エネルギー線感応性酸発生剤を含有する、活性エネルギー線硬化性組成物Bを基材Cの表面Aに塗布して薄膜を形成し、前記薄膜中の溶剤を乾燥し、次いで、薄膜に活性エネルギー線を照射することにより、シロキサン硬化膜を得る方法であって、前記乾燥工程において、基材Cの表面及び内部温度を特定の条件を満たすようにコントロールして乾燥させることを特徴とする方法により、優れた耐擦傷性を有するシロキサン系コーティング膜を製造しうる。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐擦傷性に優れた硬化物の形成に好適なシロキサン系硬化膜の製造方法に関する。
近年、透明ガラスの代替として、耐破砕性、軽量性に優れるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明プラスチック材料が広く使用されるようになってきた。しかし、透明プラスチック材料はガラスに比較して表面硬度が低いため、表面に傷を受け易いという問題を有している。これらの欠点を改良するために、表面にハードコート剤をコーティングすることが一般的に行われている。このハードコート剤としてはメラミン系塗料、多官能アクリレート系塗料、シリコン系塗料などが広く用いられている。これらの中で、シリコン系塗料は、ハードコート膜を形成した時の基本骨格がガラスと同じシロキサン結合を形成する。シロキサン結合の結合エネルギーは、有機物ポリマーの基本骨格である炭素−炭素間結合や炭素−酸素間結合のそれより高いため、シリコン系塗料を用いたハードコート膜はより高い耐擦傷性と耐候性を付与することが可能であると期待されている。
シリコン系ハードコートの形成方法の中でも、アルコキシシランの加水分解及び縮合という、いわゆるゾル−ゲル法を用いたものは、比較的低温下で硬化膜を得ることができるため、魅力的な技術である。しかしながら、一般に広く用いられているゾル−ゲル法においては、硬化のために数時間の熱処理が必要である。このため、生産性が低いことや、長時間の熱処理による基材へのダメージが懸念される点など、問題点も多い。
これらの従来の熱硬化型のゾルゲル法が抱える問題点を解消できる手法として、光酸発生剤を用いて、活性エネルギー線の照射によって、ごく短時間でゾル−ゲル反応を進めて硬化膜を得る、光ゾル−ゲル法と呼ばれる技術が近年開発されてきており、注目を集めている。
光ゾル−ゲル法においては、溶剤を含むシロキサンオリゴマーと光酸発生剤などの混合物からなるコーティング液を基材に塗布して、溶剤を乾燥させた後、活性エネルギー線を照射することで得られる硬化膜の耐擦傷性が、溶剤の乾燥を行わない場合に比べて向上することが知られている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1の手法で得られる硬化膜の耐擦傷性は、自動車グレージング用途など、高い耐擦傷性が要求される用途においては、十分とは言えず、耐擦傷性のさらなる向上が望まれていた。
特開2005−279416号
本発明の課題は、硬化膜の原料を塗布し、活性エネルギー線照射前の溶剤乾燥の工程を改良することで、より高い耐擦傷性を発現する硬化膜を提供することにある。
本発明者らは前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、活性エネルギー線照射前の溶剤乾燥を特定の条件下で進めることで、活性エネルギー線照射後の硬化膜に含まれるシロキサン結合の量が増加し、耐擦傷性が向上することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、
(1)シロキサンオリゴマー、有機溶剤及び活性エネルギー線感応性酸発生剤を含有する、活性エネルギー線硬化性組成物Bを基材Cの表面Aに塗布して薄膜を形成する工程と、
(2)前記薄膜中の溶剤を乾燥させる処理工程と、
(3)次いで、薄膜に活性エネルギー線を照射することにより、硬化性組成物Bを硬化させてシロキサン硬化膜を得る工程
とを含む、シロキサン硬化膜の形成方法であって、
前記(2)工程において、25℃とした基材Cのみを乾燥炉に投入した場合において、表面Aの温度をt1、表面Aに対し垂直に基材Cの内部方向へ表面Aから10μm離れた地点の温度をt2として、t1が28℃に到達した後の時間が20〜150秒の範囲にわたって、下記式(i)を満たす条件にて、乾燥させる処理を行う、シロキサン硬化膜の形成方法である。
(t1−t2) > 5 (i)
本発明の方法を用いると、活性エネルギー線の照射によって得られるシロキサン硬化膜中のシロキサン結合の量が多くなり、その結果、硬化膜の耐摩耗性が優れたものとなる。
実施例1、実施例2、実施例5および実施例7において、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。 比較例1、比較例2および比較例5において、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。 実施例3おいて、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。 比較例4において、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。 実施例4において、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。 実施例6において、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。 比較例3において、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。 実施例8において、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。 比較例6において、t1が28℃に到達した後の時間が0〜160秒の範囲内の(t1−t2)を示したものである。
本発明に用いるシロキサンオリゴマーは、アルコキシシランをゲル化しない程度に重合させることで作製したものである。シロキサンオリゴマーの分子量は、特に限定されないが、GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量で400〜5000の範囲内であることが望ましく、600〜3000であることが更に好ましい。
アルコキシシランの具体例としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−ビニルフェニレントリエトキシシラン、p−ビニルフェニレントリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち、シロキサンオリゴマーの合成段階における反応性、重合硬化膜を製造した時の耐擦傷性と耐クラック性のバランスから考えて、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランを好ましいものとして挙げることができる。本発明においては、これら1種または2種以上の混合物として使用できる。
本発明で使用する活性エネルギー線感応性酸発生剤としては、活性エネルギー線の照射により酸を発生させる化合物であって、従来公知のいずれのものを使用してもよい。例えば、ジフェニルヨードニウム系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、芳香族スルホニウム系化合物、ジアゾジスルホン系化合物等を用いることができる。具体的には、上市されているイルガキュア250(チバ・ジャパン(株)製、製品名)、アデカオプトマーSP−150や、SP−170(旭電化工業(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990や、サイラキュアUVI−6950、サイラキュアUVI−6992(ダウケミカル日本(株)製、製品名)、DAICATII(ダイセル化学工業(株)製、製品名)、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)製、製品名)、CI−2734、CI−2855、CI−2823や、CI−2758(日本曹達(株)製、製品名)、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−150Lや、SI−180L(三新化学工業(株)製、製品名)、CPI−100Pや、CPI−101A(サンアプロ(株)製、製品名)を挙げることができる。光感応性酸発生剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
このうち、イルガキュア250、SI−60L,SI−80L,SI−100Lが作製される硬化膜の耐擦傷性、耐候性が高くなるため望ましい。
前記活性エネルギー線感応性酸発生剤の配合量は特に限定されないが、シロキサンオリゴマー100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内が好ましく、0.05〜5質量部であることが更に好ましい。0.01質量部以上であれば、活性エネルギー線の照射によってシロキサンオリゴマーが十分に硬化し、良好な硬化膜が得られ、また、10質量部以下であれば、硬化膜の着色が抑制され、表面硬度や耐擦傷性が良好となる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物Bには、その他、必要に応じて、有機物ポリマー、有機物ポリマー微粒子、コロイダルシリカ、コロイド状金属、充填剤、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ゲル粒子、微粒子粉等を含有させてもよい。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物Bには、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、基材への密着性向上等を目的として、有機溶剤を含有することが好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等を用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記有機溶剤の含有量は、固形分の合計100質量部に対して10〜5000質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは50〜1000質量部の範囲内である。前記有機溶剤の含有量が、固形分の合計100質量部に対して10質量部以上であれば、保管時の組成物中でのオルガノシロキサンオリゴマーの加水分解・縮合反応の進行を抑制することができ、組成物が高粘度となり良好な塗工膜の形成が困難となることを抑制することができる。また、前記有機溶剤の含有量が、固形分の合計100質量部に対して5000質量部以下であれば、硬化膜を十分な厚さに形成することができ、優れた耐擦傷性を有するものとなる。ここで、「固形分」とは、完全に加水分解・縮合させたと仮定した際に得られるシロキサン化合物を意味する。
本発明により得られたシロキサン硬化膜は、透明ハードコート膜として使用することができる。
本発明の硬化膜の厚さとして、例えば、0.5〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物Bは、フィルムやシートなどの平面形状を有する基材に塗布した後に、活性エネルギー線を照射して、硬化物を得ることも可能であり、または立体形状を有した基材に塗布した後に、活性エネルギー線を照射して、硬化物を得ることも可能である。
前記の硬化膜の原料を塗工する方法としては、例えば、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソコート法、スクリーン法、スピンコート法、フローコート法、静電塗装法、浸漬法等を使用することができる。
前記の塗工膜の硬化に用いる活性エネルギー線としては、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線などを挙げることができる。これらのうち、紫外線、可視光線を、光感応性の酸発生剤と組み合わせて使用することが、重合速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマランプ、エキシマレーザー、太陽などを光源とする活性エネルギー線を挙げることができる。これらの活性エネルギー線は、一種類を単独で使用してもよく、異なるものを複数種使用してもよい。異なる複数種の活性エネルギー線を使用する場合は、同時に照射しても、順番に照射してもよい。
本発明のシロキサン硬化膜を設ける基材としては、有機質、無機質を問わず、各種プラスチック、金属、紙、木質材、無機質材、電着塗装板、ラミネート板等の様々な基材を挙げることができる。特にプラスチック基材、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等に好適である。
本発明における、活性エネルギー線の照射前の、シロキサンオリゴマーを含む活性エネルギー線硬化性組成物Bを塗布して形成された薄膜中の溶剤の乾燥工程としては、特に制限はされないが、例えば熱風炉、電気炉、蒸気乾燥炉、赤外線照射、誘導加熱などを用いて加熱を行う方法を挙げることができる。
加熱の温度としては、生産性の観点から40℃以上が望ましい。またこの温度の上限値は、基材の耐熱性によって決められる。例えば、PMMA板を基材として用いた場合は、100℃が上限値となる。
活性エネルギー線照射前の加熱時の条件を、25℃とした基材Cを硬化性組成物を塗工することなく、乾燥炉に入れた場合において、その表面Aの温度t1と表面Aから基材Cの内部方向へ垂直に10μm離れた地点の温度t2について、t1の温度が28℃に到達してから20秒〜150秒の範囲にわたって、t1−t2の範囲が5℃より大きくなるような条件に調整する。本発明の方法では、更にt1−t2の範囲は6℃より大きくなるような条件とすることが好ましい。
t1−t2を5℃より大きくすることで、得られた硬化膜の耐擦傷性が高くなる。
なお、特に限定されないが、生産性の観点から、t1−t2の上限は、40℃以下が好ましく、30℃以下がさらに好ましい。
本発明の条件においては、活性エネルギー線照射前の加熱の段階において、硬化膜の原料を塗布した膜の表面が、その内部より高温である状態で、溶剤の乾燥を行うことになる。このような条件では、塗布膜の内部に溶剤が一部残存した状態で、表面がゲル化する。従って、溶剤が塗布膜の内部に一部残存した状態の塗布膜が形成される。これに活性エネルギー線を照射することで、内部に残存した溶剤の効果で塗布膜の硬化度合いがより高められると考えている。このため、より耐擦傷性の高い硬化膜を得ることが可能となる。
温度t1は、例えば、基材の表面に対し、径が200μmの細型の熱伝対をアルミ製のテープを用いて貼り付けて測定することができる。熱伝対としては、具体的には、耐熱ビニル被覆熱電対線TYPE−K(大晃電工社、K−G0.2×1P)を用いて、測定することができる。また、熱伝対によって測定した温度データの記録にはNR−1000(キーエンス社製)を用いることができる。
温度t2は直接の測定が困難であるため、伝熱方程式を用いた計算値を採用することができる。具体的な計算方法としては、基材の厚み方向の座標をx、x=0を基材の表面の座標とし、また時間をt、基材の絶対温度をTとして、基材の表面については、式(1)に示す伝熱に関する偏微分方程式を立て、また、基材の内部については、式(2)に示す伝熱に関する偏微分方程式を立てる。これら式(1)、式(2)について、差分法により展開し、数値計算により、解を求めることで、t2を算出できる。ここで、λは熱伝導度、Toは加熱時の雰囲気温度、ρは基材の密度、Cpは基材の熱容量、hは基材表面における境膜伝熱係数である。
式(1)
Figure 2013154324

式(2)
Figure 2013154324
活性エネルギー線照射前の加熱時の条件(25℃とした基材Cを硬化性組成物を塗工することなく、乾燥炉に入れた場合において、その表面Aの温度t1と表面Aから基材Cの内部方向へ垂直に10μm離れた地点の温度t2について、t1の温度が28℃に到達してから20秒〜150秒の範囲にわたって、t1−t2の範囲が5(℃)より大きくなるような条件)について例を挙げて説明する。
本発明における、活性エネルギー線の照射前の、シロキサンオリゴマーを含む活性エネルギー線硬化性組成物Bを塗布して形成された薄膜中の溶剤の乾燥工程において、所定条件にて加熱を行うためには、基材として厚いものを用いる方法があげられる。基材として厚いものを用いる程、(t1−t2)が大きくなる。
プラスチック基材を用いる場合、加熱の条件にもよるが、基材厚みとして、望ましい範囲は4〜15mmであり、より望ましい範囲は5〜12mmである。4mm以上であれば、得られた硬化膜の耐擦傷性が向上するために望ましく、15mm以下であれば、生産性が上がるために望ましい。
本発明における条件にて加熱を行うための他の方法としては、加熱の際、基材の硬化膜の原料を塗布した面とは反対側の面を、熱容量の大きな第二の物質と接触させ、基材表面から流入する熱量を第二の物質の側へと移動させる方法が考えられる。この場合、第二の物質として熱容量が大きな物質を用いる程、(t1−t2)が大きくなる。
第二の物質としては、基材と同質のものを使用することも可能である。また、第二の物質として、市販の断熱材を例示することができる。市販の断熱材としては、例えば、セルロースファイバー、木質繊維ボード、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、プラスチック発泡体、グラスウール、ロックウール、発泡ガラスを用いたものを使用することができる。この他には、プラスチック板、木材や布などを使用することもできる。
本発明における条件にて加熱を行うためのさらに他の方法としては、基材の硬化膜の原料を塗布した側に熱風をあてつつ、塗布した側と反対側の面を、塗布した側の面よりも低い温度の熱風をあてながら乾燥を行う方法があげられる。これらの温度差の好ましい範囲は、10〜100℃であり、さらに好ましい範囲は20〜80℃である。10℃以上であれば、得られる硬化膜の耐磨耗性が向上するために望ましく、100℃以下であれば、生産性が向上するために望ましい。
また、活性エネルギー線照射後に、さらに硬化を進めるために加熱処理を施すことも可能である。この場合、活性エネルギー線照射前と同一の方法で加熱することも、別の方法で加熱することも可能である。活性エネルギー線照射後の加熱時の温度として好ましい範囲は、40℃以上であり、より好ましい範囲は50℃以上である。このときの温度が40℃以上であれば、得られる硬化膜の耐摩耗性が向上するために好ましい。このときの温度の上限値は使用する基材の耐熱性によって決められる。
また、基材には、シロキサン硬化膜との接着性を向上させるため、プライマー層を形成することもできる。プライマー層としては、光ラジカル重合性ビニル系化合物と光ラジカル重合開始剤を含有する組成物を光硬化させて得られる層が好ましい。より具体的には、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートと活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤を含む組成物で形成したプライマー層などを例示することができる。また、プライマーを用いた場合、プライマーは通常薄膜として形成されるため、伝熱状態に大きな影響は無く、プライマーを用いない場合と同様の条件でUV照射前の加熱を施せばよい。
このようにして形成されるシロキサン硬化膜は、耐擦傷性、耐クラック性に優れ、透明であり、耐熱性を有し、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、電子ペーパー等のエレクトロニクスデバイスのプラスチック基板、ヘッドランプカバー等の自動車部品、車両用プラスチック窓材等の各種用途に好適である。
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例および比較例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における評価方法は以下の通りである。
<シロキサンオリゴマー(1)の合成>
メチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)90g、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)10gに、溶剤として、イソプロピルアルコール77.2gをナス型フラスコに加え、ナス型フラスコの上部を還流しつつ、80℃熱浴中で攪拌しながら加温した。溶液が80℃に達した後、そのナス型フラスコに脱イオン水77.0gを加えて反応を開始した。6時間経過後、ナス型フラスコを熱浴から取り出し、直ちに0℃の氷浴中で冷却して反応を終了し、シロキサンオリゴマー(1)を得た。GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は920であった。
<シロキサンオリゴマー(2)の合成>
メチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量136)100gに、溶剤として、イソプロピルアルコール85.78gをナス型フラスコに加え、ナス型フラスコの上部を還流しつつ、80℃熱浴中で攪拌しながら加温した。溶液が80℃に達した後、そのナス型フラスコに1.0mol/Lのマンデル酸水溶液13.23g加えて、反応を開始した。反応の開始から110分経過後、さらに26.45gの水を加えて、さらに反応を進めた。反応の開始から120分経過後、ナス型フラスコを熱浴から取り出し、直ちに0℃の氷浴中で冷却して反応を終了し、シロキサンオリゴマー(2)を得た。GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は1030であった。
<コーティング用組成物(1)の調整>
前記シロキサンオリゴマー(1)100gに、1−メトキシ−2−プロパノール(以下「PGM」という)9.4g、γ−ブチロラクトン9.4g、光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L):1.62g、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001):0.02gを混合し、コーティング用組成物(1)を得た。
<コーティング用組成物(2)の調整>
PGMの代わりに、テトラヒドロフランを用いたこと以外は同様にして、コーティング用組成物(2)を得た。
<コーティング用組成物(3)の調整>
前記シロキサンオリゴマー(2)100gに、イソプロピルアルコール11.3g、1−メトキシ−2−プロパノール(以下「PGM」という)9.4g、γ−ブチロラクトン9.4g、光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L):1.62g、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001):0.02gを混合し、コーティング用組成物(3)を得た。
<耐摩耗性の評価>
硬化被膜の耐摩耗性あるいは耐擦傷性の評価は、ロータリーアブレージョンテスタ((株)東洋精機製作所)を用いて、以下に記したとおりに実施した。磨耗輪として、CS−10Fを用いて、それぞれの磨耗輪に500gずつの加重をセットし、500回転させたときのヘーズ値(Hz)を測定する。ΔHz値として、(磨耗試験後のヘーズ値)−(磨耗試験前のヘーズ値)の値(%)により比較した。耐摩耗性あるいは耐擦傷性に優れているほど、試験後の摩耗による曇りが小さくなる。従ってΔHz値が小さいほど、耐摩耗性あるいは耐擦傷性が高いことを意味する。
<温度の比較>
温度t1は、径が200μmの耐熱ビニル被覆熱電対線TYPE−K(大晃電工社、K−G0.2×1P)の片方の端を基材の表面に対し、アルミ製のテープを用いて貼り付けて、もう片方の端をモバイル型温度レコーダNR−1000(キーエンス社製)に取り付けて、測定を行った。
温度t2は、伝熱方程式を用いた計算により求めた。具体的には、基材の厚み方向に座標xをとり、x=0を基材の表面の座標とする。また、時間をt、基材の表面の絶対温度をTとして、基材の表面については、式(1)に示す伝熱に関する偏微分方程式を立て、また、基材の内部については、式(2)に示す伝熱に関する偏微分方程式を立てる。これら式(1)、式(2)について、差分法により展開した数値計算により、解を求めることで、任意の時間におけるt2を算出した。なお、ここで、λは熱伝導度、Toは乾燥時の雰囲気温度、ρは基材の密度、Cpは熱容量、hは基材表面における境膜伝熱係数である。
上記の通り、実測したt1と、計算により求めたt2の差をt1−t2として用いた。
式(1)
Figure 2013154324

式(2)
Figure 2013154324
上記方法により算出した、温度t1が28℃以上に到達した後の経過時間が0〜160秒の範囲におけるt1−t2をグラフに示した。この結果を、図1〜9に示す。
[実施例1]
前記コーティング用組成物(1)を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのPMMA板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)に、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて片面に塗布したものを、厚さ6mmのPMMA板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)の上に載せた状態で、ステンレス製のざる(商品名:ざる角浅型SUS304(三商、商品コード92−1214−4))の上に載せた。このざるごと90℃に設定した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)の内部の棚板の上に載せて、10分間乾燥した。
次に、乾燥後のコーティングを施した厚さ3mmのPMMA板を、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化膜を得た。なお、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。硬化膜サンプルを、ステンレス製のざる(商品名:ざる角浅型SUS304(三商、商品コード92−1214−4))の上に載せ、ざるごと90℃に設定した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)の棚板の上に載せて、10分間の熱処理を施し、硬化膜サンプルAを得た。
[比較例1]
前記コーティング用組成物(1)を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのPMMA板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)に、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて片面に塗布したものを、ステンレス製のざる(商品名:ざる角浅型SUS304(三商、商品コード92−1214−4))の上に載せたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化膜サンプルBを得た。
[実施例2]
コーティング用組成物(1)の代わりに、前記コーティング用組成物(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化膜サンプルCを得た。
[比較例2]
コーティング用組成物(1)の代わりに、前記コーティング用組成物(2)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、硬化膜サンプルDを得た。
[実施例3]
厚さ6mmのPMMA板の代わりに、材質が高密度ポリエチレンの断熱保温スポンジ(ミスミ製、HPRI,厚さ20mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化膜サンプルEを得た。
[実施例4]
前記コーティング用組成物(1)を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのPMMA板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)に、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて片面に塗布したものに対して、熱風発生機(竹網製作所製、TSK−18)を用いて、塗布面側には90℃の熱風を風速約4m/sで吹きつけ、塗布していない側の面には、熱風発生機(株式会社竹網製作所製、TSK−18)を用いて25℃の風を風速約10m/sで吹きつけて、10分間保持した。
次に、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化被膜を得た。なお、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。
硬化膜サンプルを、ステンレス製のざる(商品名:ざる角浅型SUS304(三商、商品コード92−1214−4))の上に載せ、ざるごと90℃に設定した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)の棚板の上に載せて、10分間の熱処理を施し、硬化膜サンプルFを得た。
[比較例3]
紫外線照射前の処理において、塗布していない側の面への風の吹きつけを行わないこと以外は、実施例4と同様にして、硬化膜サンプルGを得た。
[実施例5]
前記コーティング用組成物(1)を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのPMMA板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)に、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて片面に塗布したものを、厚さ6mmのPMMA板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)の上に載せた状態で、ステンレス製のざる(商品名:ざる角浅型SUS304(三商、商品コード92−1214−4))の上に載せた。このざるごと90℃に設定した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)の内部の棚板の上に載せて、3分間加熱したのち、厚さ3mmのPMMA板を厚さ6mmのPMMA板の上から外して、ステンレス製のざる上に直接載せた状態にして、さらに7分間加熱した。
次に、このコーティングを施した厚さ3mmのPMMA板を、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化被膜を得た。なお、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。硬化膜サンプルを、ステンレス製のざる(商品名:ざる角浅型SUS304(三商、商品コード92−1214−4))の上に載せ、ざるごと90℃に設定した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)の棚板の上に載せて、10分間の熱処理を施し、硬化膜サンプルHを得た。
[実施例6]
基材として、厚さ6mmのPMMA板を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、硬化膜サンプルIを得た。
[比較例4]
前記コーティング用組成物(1)を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのPMMA板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)に、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて片面に塗布したものを、ステンレス製のざる(商品名:ざる角浅型SUS304(三商、商品コード92−1214−4))の上に載せた状態で、ざるごと50℃に設定した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)内の棚板の上に載せて、5分間放置した。その後、即座に、ざるごと90℃に設置した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)内の棚板の上に載せて、さらに5分間経過させた。
次に、コーティング膜に対して、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化膜を得た。なお、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。硬化膜サンプルを、90℃に設定した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)にて、さらに10分間の熱処理を施し、硬化膜サンプルJを得た。
[実施例7]
前記コーティング用組成物(3)を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして、硬化膜サンプルKを得た。
[比較例5]
コーティング用組成物(3)を用いたこと以外は、全て比較例1と同様にして、硬化膜サンプルLを得た。
[実施例8]
紫外線照射の前に行う乾燥の処理を、70℃に設定した高温恒温器(ETAC社製、商品名HISPEC−HT320S)を使用して、20分間実施したこと以外、実施例1と同様にして、硬化膜サンプルMを得た。
[比較例6]
前記コーティング用組成物(1)を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのPMMA板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトL)に、バーコーティング法(バーコーターNo.26使用)にて片面に塗布したものを、ステンレス製のざる(商品名:ざる角浅型SUS304(三商、商品コード92−1214−4))の上に載せたこと以外は、実施例8と同様にして、硬化膜サンプルOを得た。
実施例1〜8、比較例1〜6で得られた硬化膜の耐摩耗性評価の結果を表1および表2に示す。
Figure 2013154324
Figure 2013154324
上記結果より、20〜150秒の範囲内において、常にt1−t2>5という条件で乾燥させた実施例1〜8は、ΔHzが14%以下であり、優れた耐磨耗性を示した。
一方、20〜150秒の範囲内において、t1−t2<5となることがある条件で乾燥させた比較例1〜6は、ΔHzが17%より大きく、実施例1〜8と比較して、耐磨耗性が低下していた。
以上より、本発明の方法によれば、耐摩耗性に優れた硬化物の形成に好適なシロキサン系硬化膜を製造することができる。

Claims (4)

  1. (1)シロキサンオリゴマー、有機溶剤及び活性エネルギー線感応性酸発生剤を含有する、活性エネルギー線硬化性組成物Bを基材Cの表面Aに塗布して薄膜を形成する工程と、
    (2)前記薄膜中の溶剤を乾燥させる処理工程と、
    (3)次いで、薄膜に活性エネルギー線を照射することにより、硬化性組成物Bを硬化させてシロキサン硬化膜を得る工程
    とを含む、シロキサン硬化膜の形成方法であって、前記工程(2)において、25℃とした基材Cのみを乾燥炉に投入した場合において表面Aの温度をt1、表面Aから垂直に基材Cの内部方向へ10μm離れた地点の温度をt2として、t1が28℃に到達した後の時間が20秒〜150秒の範囲にわたって、下記式(i)を満たす条件にて、乾燥させる処理を行う、シロキサン硬化膜の形成方法。
    (t1−t2) > 5 (i)
  2. 式(i)を満たす条件が、基材Cを加熱することを含み、更に、(a)厚みが4〜15mmの基材Cを使用する、(b)基材C裏面を熱容量の大きな第二の物質と接触させて、基材C表面から流入する熱量を第二の物質の側へと移動させる、または(c)基材C表面と基材C裏面に10〜100℃の温度差が生じるようにそれぞれ風をあてることを含む、請求項1記載の形成方法。
  3. シロキサンオリゴマーがポリスチレン換算の重量平均分子量400〜5000のオリゴマーであることを特徴とする、請求項1または2記載の形成方法。
  4. 前記有機溶剤の含有量が、硬化性組成物Bの固形分の合計100質量部に対して10〜1000質量部の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の形成方法。
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