JP5337360B2 - コーティング組成物、硬化膜及び樹脂積層体 - Google Patents

コーティング組成物、硬化膜及び樹脂積層体 Download PDF

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Description

本発明は、透明硬化膜、コーティング組成物及びこの組成物により表面処理を施した樹脂積層体に関する。
熱可塑性プラスチック、特にポリカーボネート樹脂は、透明性に優れており、軽量で耐衝撃性にも優れていることから、ガラスに代わる構造材料として広く使用されている。しかしながら、耐擦傷性、耐候性及び耐薬品性等の表面特性に劣ることから、その用途は限定されており、ポリカーボネート樹脂基材の表面特性を改良することが切望されている。
表面特性の改良方法として、ポリカーボネート樹脂成形品の表面を表面処理剤で被覆する方法がある。例えば、多官能アクリル系の光硬化性樹脂や、メラミン系又はオルガノポリシロキサン系の熱硬化性樹脂からなる硬化層をポリカーボネート樹脂基材の表面に形成する方法が提案されている。
これらの中では、オルガノシロキサン系樹脂で被覆したものが、耐擦傷性、耐薬品性に優れるため、有用とされている。しかし、このオルガノシロキサン系樹脂による被覆は、ポリカーボネート樹脂に対する密着性に問題があり、特に屋外で長期間にわたって用いた場合に、コーティング層が剥がれ落ちるという問題があった。また、密着性や耐摩耗性向上のため、オルガノシロキサン系樹脂の膜厚を厚くしようとしても、硬化時に割れを生じ易い等の問題があり、改良が切望されている。
密着性の改良については、接着性の良好な各種ポリマーを塗料やハードコート材に配合する方法が、特許文献1に提案されているが、耐擦傷性が不十分である。また、ポリマーを溶解させるため、トルエンやテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶剤を用いると、ポリカーボネート基材等の表面を侵すため、透明な積層体を形成することが難しい。場合によっては塗料やハードコート材の耐候性を著しく低下させる。従って、耐擦傷性及び耐候性を要求する用途では、ポリカーボネート樹脂基材の上に、紫外線吸収剤を含有したアクリル系やウレタン系塗料をプライマーとして塗布し、さらにその上に、コーティング層を塗布する2コート方式が一般的である(特許文献2)。しかし、作業工程が長いため生産性に問題があり、1コート法の開発が切望されている。
特許文献3には、水性エマルジョンとコロイダルシリカからポリカーボネート樹脂上に1コートで熱硬化膜を形成する技術が提案されているが、有機微粒子の融着によって形成された有機膜内部にシリカ粒子が分散した膜を形成する。樹脂基材との密着性付与は可能だが、表層は有機微粒子で形成されるため、耐摩耗性付与は難しい。
特許文献4には、耐擦傷性と密着性を1コート法で実現させる方法が提案されている。この方法では、アルコキシシランと共に、シランカップリング剤として、エポキシ基含有シランカップリング剤及びアミノ基シランカップリング剤の少なくとも1種を使用してポリカーボネート樹脂基材上に硬化層を設けている。しかし、硬化層には、高分子紫外線吸収剤の配合がないため、耐候性が十分とはいえない。
特許文献5には、シリコーン含有高分子紫外線吸収剤とポリオルガノシロキサンを含む組成物が開示されている。しかしながら、高分子紫外線吸収剤とポリオルガノシロキサンとを混合しただけでは、分散を安定化させることはできない。
特許文献6には、紫外線吸収能を有する高分子ナノ粒子が、シリカ中に高分散した膜内構造を有する透明硬化膜が開示されている。この透明硬化膜は耐摩耗性、紫外線遮断性能及び初期密着性に優れるものの、耐久性(耐煮沸性)の面で改良の余地があった。
特開平11−043646号公報 特開2004−131549号公報 特開2003−82272号公報 特開2000−272071号公報 特開2004−1393号公報 WO2006/022347号パンフレット
本発明の目的は、プライマーを用いなくてもポリカーボネート等の樹脂基材と良好な密着性を有し、かつ優れた耐擦傷性、耐屈曲性、紫外線吸収能、及び耐久性の尺度となる耐煮沸性を有する硬化膜、コーティング組成物及び樹脂積層体を提供することである。
本発明の他の目的は、上記硬化膜、コーティング組成物及び樹脂積層体の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の硬化膜、コーティング組成物、樹脂積層体等が提供される。
1.紫外線吸収基を含有する平均粒径が1〜200nmの有機微粒子と、平均粒子径が1〜200nmの無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカとを、Si−O結合を有するマトリックス中に分散して含み、可視光線透過率が80%以上で、ヘイズ値が10%以下であり、耐煮沸性を有する硬化膜。
2.前記有機微粒子の硬化膜における体積分率が0.5〜70体積%である1に記載の硬化膜。
3.前記硬化膜中に含まれる無機成分の酸化物換算重量が、硬化膜の全重量の30〜80重量%である1又は2に記載の硬化膜。
4.下記成分(1)〜(8)を含むコーティング組成物。
(1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物
(2)アミノシラン化合物
(3)エポキシシラン化合物
(4)ブロック化イソシアネートシラン化合物
(5)高分子紫外線吸収剤
(6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ
(7)硬化触媒
(8)溶剤
5.前記成分(1)〜(8)の配合量が下記の範囲である4に記載のコーティング組成物。
(1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物:
10〜80重量%
(2)アミノシラン化合物:1〜60重量%
(3)エポキシシラン化合物:1〜60重量%
(4)ブロック化イソシアネートシラン化合物:1〜60重量%
(5)高分子紫外線吸収剤:0.1〜50重量%
(6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ
成分(6)が無機系紫外線吸収性粒子のみの場合は、0.1〜50重量%
成分(6)がコロイダルシリカのみの場合は、0.1〜80重量%
成分(6)が無機系紫外線吸収性粒子及びコロイダルシリカの場合は、無機系紫外線吸収性粒子が0.1〜50重量%であり、コロイダルシリカが0.1〜80重量%
(7)硬化触媒:0.1〜40重量%
(8)溶剤:成分(1)〜(7)の合計を100重量部としたとき、5〜1000重量部
6.前記硬化触媒が有機酸である4又は5に記載のコーティング組成物。
7.4〜6のいずれかに記載のコーティング組成物を硬化してなる硬化膜。
8.1〜3及び7のいずれかに記載の硬化膜を、樹脂基材上に形成してなる樹脂積層体。
9.下記成分(1)〜(8)を混合して調製するコーティング組成物の製造方法。
(1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物
(2)アミノシラン化合物
(3)エポキシシラン化合物
(4)ブロック化イソシアネートシラン化合物
(5)高分子紫外線吸収剤
(6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ
(7)硬化触媒
(8)溶剤
10.少なくとも成分(1)及び成分(4)を含む第一の混合液を作製し、
続いて、成分(2)を混合し、
最後に成分(6)を混合する9に記載のコーティング組成物の製造方法。
11.少なくとも成分(1)、成分(4)及び成分(6)を含む第一の混合液を作製し、
続いて成分(2)を混合する9に記載のコーティング組成物の製造方法。
12.4〜6のいずれかに記載のコーティング組成物を加熱し、硬化させる工程を含む硬化膜の製造方法。
本発明によれば、プライマーを用いなくてもポリカーボネート等の樹脂基材と良好な密着性を有し、かつ優れた耐擦傷性、耐屈曲性、紫外線吸収能、及び耐久性の尺度となる耐煮沸性を有する硬化膜、コーティング組成物及び樹脂積層体を提供することができる。
本発明の硬化膜は、紫外線吸収基を含有する、平均粒径が1〜200nmの有機微粒子と、平均粒子径が1〜200nmの無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカとを、Si−O結合を有するマトリックス中に分散したものであり、可視光透過率が80%以上でヘイズ値が10以下であり、耐煮沸性を有することを特徴とする。紫外線吸収基を含有する有機微粒子を膜中に微分散することで、耐紫外線性に優れ、透明性の高い硬化膜が得られる。また、無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカを膜中に微分散することで、耐擦傷性や紫外線カット性が高く、初期密着性、耐久性(耐煮沸性)を兼ね備えた多機能な硬化膜が得られる。
有機微粒子、無機系紫外線吸収性粒子及びコロイダルシリカの平均粒子径は200nm以下であり、好ましくは100nm以下である。平均粒径が200nmを超えると樹脂積層体の透明性が低下する恐れがある。
有機微粒子、無機系紫外線吸収性粒子及びコロイダルシリカの平均粒径は、TEM(透過電子顕微鏡)で樹脂基板上の熱硬化膜の断面観察を行い、画像処理ソフトにより求めた平均値を意味する。
本発明の有機微粒子としては、高分子紫外線吸収剤を好適に使用できる。高分子紫外線吸収剤については後述する。
粒子成分の同定は、HAADF(高角度管状暗視野:High−angle annular dark−field)による元素分析で実施できる。
上記可視光線透過率及びヘイズ値は、5μmの硬化膜についての値を意味する。
可視光線透過率とは、試験片を通った全光量/可視光線入射光量を百分率で示したものである。ヘイズ値とは、透明材料の内部又は表面の不明瞭なくもり様の外観の度合いのことである。散乱光線透過率/可視光線透過率を百分率で示したものである。
耐煮沸性は、硬化膜の耐久性の尺度となる性能である。本発明において、耐煮沸性とは、具体的には基材上に本発明の硬化膜を形成した積層体を、沸騰した水に1時間浸漬した場合に、上記硬化膜のひび割れ、外観変化及び密着性変化が生じないことを意味する。
本発明の硬化膜では、有機微粒子の硬化膜における体積分率が好ましくは0.5〜70体積%であり、より好ましくは1〜50体積%である。これにより高透明で、紫外線吸収能に優れた硬化膜となる。
尚、有機微粒子の体積分率は、TEM(透過電子顕微鏡)で樹脂基板上の熱硬化膜の断面観察を行い、画像処理ソフトを使用して面積%を求め、その値を「観察サンプルの厚み÷平均粒径」値で割って求めた値を意味する。
また、本発明の硬化膜では、硬化膜に含まれる無機成分由来の酸化物換算重量が、硬化膜の全重量の30〜80重量%であることが好ましく、35〜75重量%であることがより好ましい。この範囲とすることにより、造膜性(ひび割れ無し)良好で耐擦傷性に優れた硬化膜が得られる。
尚、無機成分の酸化物換算重量は、テフロン(登録商標)シャーレ上に形成した硬化膜サンプルを熱重量測定(窒素下、20℃/分昇温、室温〜800℃)し、その800℃での残渣量の値から求める。
本発明の硬化膜は、様々な樹脂基材に適用して、樹脂積層体を形成できる。ポリカーボネート樹脂及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)に対して好適であり、さらにはポリカーボネート樹脂に対してより好適である。
ポリカーボネート樹脂基材は、特に限定されないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジハロゲノフェニル)アルカンで代表されるビスフェノール化合物から周知の方法で製造された重合体が用いられ、その重合体骨格に脂肪酸ジオールに由来する構造単位が含まれていても、エステル結合を持つ構造単位が含まれていてもよい。分子量については特に限定されないが、押出成形性や機械的強度の観点から、粘度平均分子量で10,000〜50,000のものが好ましく、13,000〜40,000のものがより好ましい。基材の厚みについては、特に制限はないが、好ましくは0.1〜20mm程度の範囲である。ポリカーボネート樹脂基材は透明な基材が好ましい。
尚、樹脂基材中には必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、無機フィラー、帯電防止剤、及び熱線遮蔽剤等を適宜添加してもよい。
ポリカーボネート積層体の場合、耐候性をさらに向上させるために、ポリカーボネート樹脂基材の表面に、予めポリカーボネート樹脂100重量部に対して、紫外線吸収剤を1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部添加した5〜100μmのポリカーボネート樹脂層を設けたポリカーボネート樹脂基材を使用することが好ましい。使用する紫外線吸収剤としては、従来より公知のベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系、トリアジン系等が挙げられるが、一般的にはトリアゾール系が使用されている。
ポリカーボネート樹脂基材に紫外線吸収剤を含有したポリカーボネート樹脂層を設ける方法についても特に制限はないが、ポリカーボネート樹脂と紫外線吸収剤を含有したポリカーボネート樹脂とを同時に溶融押出してシート化する共押出法により設けることが好ましい。
尚、本発明の樹脂積層体は、樹脂基材とコーティング層の二層であるが、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の技術を用いて、適宜他の層をコーティング層の上に積層させても構わない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の化学蒸着法、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等の溶射法、並びに、ポリシラザン等の塗布法によりSiO膜(ガラスと同様のSiO構造でできた膜)を積層させたり、反射防止性能を付与できるSi,Al,Zr,Y,Ti,Ta等の酸化物を適宜組み合わせた多層膜や、電導性を付与できるIn,Sn等の酸化物を積層させる事が可能である。
本発明の硬化膜は、例えば、以下に説明する本発明のコーティング組成物を硬化させることにより作成できる。
本発明のコーティング組成物は、下記成分(1)〜(8)を含む。
(1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物
(2)アミノシラン化合物
(3)エポキシシラン化合物
(4)ブロック化イソシアネートシラン化合物
(5)高分子紫外線吸収剤
(6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ
(7)硬化触媒
(8)溶剤
(1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物
オルガノアルコキシシラン化合物(1)は、アミノ基、エポキシ基、及びイソシアネート基を含まないオルガノアルコキシシラン化合物である。好ましくは2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシランである。さらに、これらの化合物がシロキサン結合(Si−O結合)で結合された部分縮合物(即ち、ポリオルガノアルコキシシラン化合物)も使用可能である。尚、これらの化合物は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用しても良い。
3官能アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシシラン、メチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン、デシルトリブトキシシラン、置換基にフッ素原子を導入したトリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフッ素化アルキル(トリアルコキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。また2種類のアルコキシ基を有するメチルジメトキシ(エトキシ)シラン、エチルジエトキシ(メトキシ)シラン等も挙げられる。
2官能アルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
好適なオルガノアルコキシシラン化合物(1)を、以下の式(1)で表すことができる。
(RSi(OR4−m (1)
(式中、Rは同じでも異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基;フッ素化アルキル基;ビニル基;フェニル基;又はメタクリロキシ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基、もしくはエーテル基を有するアルキル基である。mは1又は2のいずれかの整数である。)
ポリオリガノアルコキシシラン化合物(1)の具体例としては、多摩化学工業株式会社製の「MTMS−A」、コルコート株式会社製の「SS−101」、東レ・ダウコーニング株式会社製の「AZ−6101」「SR2402」「AY42−163」等が挙げられる。
(2)アミノシラン化合物
アミノシラン化合物(アミノ基含有シラン化合物)(2)は、アミノ基を含むがエポキシ基とイソシアネート基は含まないアルコキシシラン化合物である。具体例としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N―(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
好適なアミノシラン化合物(2)を、以下の式(2)で表すことができる。
(R11Si(OR4−n (2)
(式中、R11は同じでも異なってもよく炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基;フェニル基;又はメタクリロキシ基、アミノ基(−NH基)、アミノアルキル基(−(CH−NH)、アルキルアミノ基(−NHR基)からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、R11の少なくとも1つは、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基のいずれかで置換された炭素数1〜3のアルキル基である。上記アミノアルキル基におけるxは、1〜3の整数であり、上記アルキルアミノ基におけるRは炭素数1〜3のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基である。nは1又は2の整数である。)
(3)エポキシシラン化合物
エポキシシラン化合物(エポキシ基含有シラン化合物)(3)は、エポキシ基を含むがアミノ基とイソシアネート基は含まないアルコキシシラン化合物である。具体例としては、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
好適なエポキシシラン化合物(3)を、以下の式(3)で表すことができる。
(R21Si(OR4−n (3)
(式中、R21は同じでも異なってもよく炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基;フェニル基;又はメタクリロキシ基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、R21の少なくとも1つは、グリシドキシ基又は3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基である。nは1又は2の整数である。)
(4)ブロック化イソシアネートシラン化合物
ブロック化イソシアネートシラン化合物(4)とは、イソシアネート基をオキシム等のブロック剤で保護して不活性としておき、加熱により脱ブロック化してイソシアネート基が活性化(再生)されるイソシアネートシラン化合物である。
イソシアネートシラン化合物(イソシアネート基含有シラン化合物)は、イソシアネート基は含むがアミノ基とエポキシ基は含まないアルコキシシラン化合物である。具体例としては、γ―イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ―イソシアネートプロピルトリエトキシシシラン、イソシアネートシラン化合物等が挙げられる。本発明においては、これらのイソシアネートシラン化合物のイソシアネート基がブロック化された化合物を使用する。ブロック化イソシアネートシラン化合物としては、好ましくは、ブロック化イソシアネートプロピルトリエトキシシランである。
イソシアネート基のブロック化剤としては、アセトオキシム、2−ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等のオキシム化合物、ε−カプロラクラム等のラクタム類、モノアルキルフェノール(クレゾール、ノニルフェノール等)等のアルキルフェノール類、3,5−キシレノール、ジ−t−ブチルフェノール等のジアルキルフェノール類、トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジエステル、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル等の活性メチレン化合物類、メタノール、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の水酸基含有エーテル類、乳酸エチル、乳酸アミル等の水酸基含有エステル類、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類、アセトアニリド、アクリルアマイド、タイマー酸アマイド等の酸アミド類、イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類、3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール類、1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、コハク酸イミド、フタル酸イミド等の酸イミド類等を使用できる。またブロック化剤解離温度を制御する為、ジブチル錫ジラウレート等の触媒を併用してもよい。
(5)高分子紫外線吸収剤
高分子紫外線吸収剤(5)は、紫外線吸収剤の機能を有する骨格を分子内に有する高分子化合物である。例えば、紫外線吸収剤として作用する骨格(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系)を側鎖に有するアクリル系モノマーと他のエチレン系不飽和化合物(アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体、スチレン、酢酸ビニル等)と共重合させたものが例示される。従来の紫外線吸収剤が一般に分子量200〜400の低分子であるのに対し、高分子紫外線吸収剤粒子の重量平均分子量は通常1万を超える。プラスチックとの相溶性や耐熱性等、従来からある低分子型紫外線吸収剤の欠点が改良され、長期にわたって耐候性能を付与できるものである。使用形態は粉末状、又は酢酸エチル等の有機溶剤に分散させた分散系や、水中に分散したエマルジョン系等が挙げられる、
高分子紫外線吸収剤の具体例としては、一方社油脂工業(株)製のコーティング用高分子紫外線吸収剤ULS−700、ULS−1700、ULS−383MA、ULS−1383MA、ULS−383MG、ULS−385MG、ULS−1383MG、ULS−1385MG、ULS−635MH、ULS−933LP、ULS−935LH、ULS−1935LH、HC−935UE、XL−504、XL−524、XL−547、XL−729、XL−730等が挙げられる。好ましくは、可溶化溶剤が水、メタノール、エタノール、プロパノール、1−メトキシ―2―プロパノール等の低級アルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類であるものが挙げられる。このような溶剤を用いることにより、高分子紫外線吸収剤の分散性が向上し、沈降を防ぐことができる。さらに好ましくは可溶化溶剤が水のものである。可溶化溶媒が水の場合、Si−O結合を有するマトリックスの形成の際に必要な、シラン化合物の加水分解、縮合反応にも使用できるので好都合である。
(6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ
無機系紫外線吸収性粒子(6)として、半導体を例示できる。半導体は、バンドギャップ以上のエネルギーがもつ光、即ち紫外線を吸収し、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生じる。エネルギー放出過程は、これらの再結合により熱等のエネルギーに変換されると考えられている。酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等が、一般的に知られた無機系紫外線吸収性粒子である。例えば、酸化チタンのバンドギャップエネルギーはルチル型で3eV、アナターゼ型で3.2eVであり、各々約410nm、390nmの波長の光エネルギーに相当する。これよりも短波長の光、即ち紫外線を吸収することができる。より長波長の紫外線がカットできることから、ルチル型が使用されることが多い。逆にこれよりも長波長の光、即ち可視光は本質的には吸収しない。
市販品としては、用途、製法によって使い分けることが可能であるが、酸化チタンとしては、石原産業株式会社製「中性チタニアゾルTSK−5」等、酸化セリウムは、多木化学製の酸化セリウム系紫外線吸収剤「ニードラール」、水分散タイプのアニオン型エマルションのニードラールP−10、水分散タイプのカチオン型エマルションのニードラールU−15や、粉末タイプ等、酸化亜鉛としては、住友大阪セメント社製「ZS−303」、石原産業株式会社製「超微粒子酸化亜鉛FZO」等が挙げられる。無機系紫外線吸収性粒子は、その電子の働きにより紫外線エネルギーを微弱なエネルギーに変換して放出する。この時、無機系紫外線吸収性粒子自体は物質変化を起こさないので、長期間、その効果を持続する。
コロイダルシリカ(6)は、コロイドシリカ、コロイド珪酸ともいう。水中では、水和によって表面にSi−OH基を有する酸化ケイ素のコロイド懸濁液をいう。珪酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えると生成する。最近は、新しい調製法が次々に開発され、非水溶液中に分散したものや、気相法で作った微粉末状のものがあり、粒子径も数nmから数μmのものまで多彩である。本発明で使用するのは、平均粒径が1〜200nmのものである。粒子の組成も不定で、シロキサン結合(―Si−O―、−Si―O−Si−)を形成して、高分子化しているものもある。粒子表面は多孔性で、水中では一般的に負に帯電している。
市販品としては、扶桑化学工業株式会社製「超高純度コロイダルシリカ」クォートロンPLシリーズ(品名:PL−1、PL−3、PL−7)、同社製「高純度オルガノゾル」や、日産化学工業株式会社製「水性シリカゾル(品名:スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスO、スノーテックスO−40、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックスN−40、スノーテックスAK、スノーテックスS、スノーテックス20L、スノーテックスOL、スノーテックスXL)等」や「オルガノシリカゾル(品名:メタノールシリカゾル、MA−ST−MS、MA−ST−L、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−MS、MIBK−ST、XBA−ST、PMA−ST、DMAC−ST)等」が挙げられる。
高分子紫外線吸収剤粒子だけでも耐紫外線性に優れるが、さらに耐久性を求められた場合、硬化膜中の高分子紫外線吸収剤粒子含量を増やす方法がある。しかし、耐擦傷性の低下が著しくなることが予想される。また、無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカのみで硬化膜を製造することは可能だが、硬化膜の可とう性が低下し、熱硬化時のクラック発生防止が困難になることから、硬化膜の厚みを増加させるのが困難になってくる。結果、十分な紫外線吸収能力が発揮できない。本発明では、有機系紫外線吸収剤と、無機系紫外線吸収剤及び/又はコロイダルシリカを共に使用することにより、他の特性を劣化させることなく優れた紫外線吸収性が得られる。
(7)硬化触媒
硬化触媒(7)は、シラン化合物(1)〜(4)の加水分解及び縮合(硬化)させる触媒であり、その例として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、グルタミン酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、n−ヘキシルアミン、ジメチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、酢酸エタノールアミン、ギ酸ジメチルアニリン、安息香酸テトラエチルアンモニウム塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸ベンゾイルトリメチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウムアセテート、オクチル酸スズ等の有機金属塩、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、SnCl、TiCl、ZnCl等のルイス酸等が挙げられる。
これら硬化触媒(7)のうち、高分子紫外線吸収剤(5)の配合量を増量しても高分散化でき、得られる膜の透明性を向上できることから、有機酸が好ましく使用できる。特に有機カルボン酸、なかでも酢酸が好ましく使用できる。
尚、硬化触媒は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
(8)溶剤
本発明のコーティング組成物は、水及び/又は有機溶剤に混合された状態で使用する。本発明で用いる溶剤(8)は、上記各成分を均一に混合し分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、水の他、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類等の有機溶剤を挙げることができる。これら有機溶剤のうち、アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等を挙げることができる。
その他の溶媒の具体例としては、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、キシレン、ジクロロエタン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等が挙げられる。
これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
各成分(1)〜(8)の配合量は、適宜設定できるが、例えば、以下の通りである。
(1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物:好ましくは10〜80重量%(より好ましくは15〜75重量%)
(2)アミノシラン化合物:1〜60重量%(より好ましくは3〜40重量%)
(3)エポキシシラン化合物:1〜60重量%(より好ましくは5〜50重量%)
(4)ブロック化イソシアネートシラン化合物:1〜60重量%(より好ましくは5〜60重量%)
(5)高分子紫外線吸収剤:0.1〜50重量%(より好ましくは5〜50重量%)
(6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ:
成分(6)が無機系紫外線吸収性粒子のみの場合:好ましくは0.1〜50重量%(より好ましくは0.1〜30重量%)
成分(6)がコロイダルシリカのみの場合:好ましくは0.1〜80重量%(より好ましくは0.1〜50重量%)
成分(6)が無機系紫外線吸収性粒子及びコロイダルシリカの場合:好ましくは無機系紫外線吸収性粒子が0.1〜50重量%(より好ましくは0.1〜30重量%),コロイダルシリカが0.1〜80重量%(より好ましくは0.1〜50重量%)
(7)硬化触媒:0.1〜40重量%(より好ましくは0.1〜30重量%)
(8)溶剤:成分(1)〜(7)の合計を100重量部としたとき、5〜1000重量部(より好ましくは20〜800重量部)
尚、上記の(1)〜(7)の配合量は(1)〜(7)の合計量に対する重量%である。
オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物(1)が
80重量%を超えて混合される場合は、密着性が低下する恐れがあり、10重量%未満の場合は、耐擦傷性や造膜性が低下(ひび割れ等)の恐れがある。
アミノシラン化合物(2)が60重量%を超えて混合される場合は、造膜性が低下し(ひび割れ)、1重量%未満の場合は、密着性、耐擦傷性が著しく低下する恐れがある。さらに配合量下限については、実施例で示すように、3重量%以上使用することが、耐擦傷性発現に好ましい。
エポキシシラン化合物(3)が60重量%を超えて混合される場合は、膜の透明性、密着性、耐擦傷性、コーティング液安定性が低下し、1重量%未満の場合は、造膜性が低下する(ひび割れ)恐れがある。さらに配合量下限については、実施例に示すように、5重量%以上使用することが、造膜性発現に好ましい。より好ましくは、10重量%以上である。
ブロック化イソシアネートシラン化合物(4)が60重量%を超えて混合される場合は造膜性が低下し、1重量%未満の場合は、コーティング液安定性が低下する恐れがある。さらに、配合量下限については、実施例に示すように、5重量%以上使用することが、耐久性(耐湿性)発現に好ましい。より好ましくは、10重量%以上である。
上記ブロック化イソシアネートシラン化合物(4)の配合量は、イソシアネートシラン化合物及びブロック化剤の合計量である。
イソシアネートシラン化合物及びブロック化剤の配合モル比は、通常、0.9〜1.1:0.9〜1.1であり、好ましくは0.95〜1.05:0.95〜1.05である。
高分子紫外線吸収剤(5)が50重量%を超えて混合される場合は、耐擦傷性が著しく低下し、0.1重量%未満の場合は、十分な耐候性を示さない恐れがある。
無機系紫外線吸収性粒子(6)が50重量%を超えて混合される場合は、造膜性が低下する恐れがあり、0.1重量%未満の場合は、十分な耐候性を示さない恐れがある。
コロイダルシリカ(6)が80重量%を超えて混合される場合は、造膜性が低下したり、均一分散が困難になる恐れがあり、0.1重量%未満の場合は、十分な耐擦傷性付与効果が得られない恐れがある。
硬化触媒(7)が40重量%を超えて混合される場合は、コーティング液の安定性が低下する恐れがあり、0.1重量%未満の場合は、硬化不良の原因となる恐れがある。
溶剤(8)の配合量は、成分(1)〜(7)の合計を100重量部としたとき、好ましくは5〜1000重量部、より好ましくは20〜800重量部、特に好ましくは50〜600重量部の範囲で使用される。
また、本発明のコーティング組成物は、この他、硬化被膜のレベリング剤、帯電防止剤、応力緩和剤、潤滑剤を添加することができ、それらの添加剤として、例えばポリオキシアルキレンとポリジメチルシロキサンの共重合体、ポリオキシアルキレンとフルオロカーボンとの共重合体等を用いることができる。
この他、必要に応じて、光安定化剤、耐候性付与剤、着色剤、微粒子の分散性や表面活性の改質剤も添加可能である。
尚、本発明のコーティング組成物は、好ましくは実質的に成分(1)〜(8)からなる。「実質的」とは、成分(1)〜(8)の他に上記添加剤を含みうることである。
コーティング組成物は、上記成分(1)〜(8)を混合して調製する。
好ましくは、少なくとも成分(1)及び成分(4)を含む第一の混合液を作製し、引き続き成分(2)を混合し、最後に成分(6)を混合する。さらに好ましくは、少なくとも成分(1)、(3)、(5)、(7)を含む第一の混合液を作製し、次に成分(4)を混合して第二の混合液、さらに引き続き成分(2)を混合し第三の混合液を作製する。最後に成分(6)を混合しコーティング組成物とする。
このように、各成分を分離して調製すると、コーティング組成物の液保存安定性(ゲル化しない等)が向上するため、好ましい。特に、成分(5)や成分(6)の添加量増により液中の水の量が増加した際に、この効果がより発揮される。
例えば、成分(1),(3),(5),(7)及び(8)を混合した後、成分(4)を加える。次に、成分(2)を混合し、最後に成分(6)を混合する。
成分(8)は、コーティング組成物を調製後、さらに加えることによりコーティング組成物を希釈することができる。
本発明のコーティング組成物のような混合材料の液保存安定性は、液pHに影響し易い事が知られている(例えば、「ゾルーゲル法のナノテクノロジーへの応用/監修:作花済夫」シーエムシー出版)。本発明のコーティング組成物の製造においては、成分(7)として酸性成分が、成分(2)、(7)として塩基性成分が混合されるため、混合順序によって液pHが変化する。
液pH値、例えば、校正用pH標準液で補正したポータブルpHメーター(ハンナ社製:商品名 チェッカー1)で評価した液pH値としては、上記の第一の混合液及び第二の混合液はpH≦6、第三の混合液及び最終の混合液はpH≦7とすることが好ましい。特に、第三の混合液、即ち成分(2)混合時に液pHが8を越えると、液安定性が低下する恐れがある。コーティング組成物の製造開始時から製造終了時まで、液は酸性状態に保つことが好ましい。即ち、このような条件が維持されるような手順で、コーティング組成物を製造することが好ましい。
また、上記の第一の混合液、第二の混合液、及び第三の混合液は、各成分の混合後、加熱処理する事が好ましい。温度は30℃〜130℃、より好ましくは、50℃〜90℃であり、加熱処理時間は、30分〜24時間、より好ましくは、1時間〜8時間である。混合、加熱手段については、均一に混合、加熱できる手段であれば特に制限はない。このように加熱する事で、液内の成分(1)、(2)、(3)、(4)の縮合反応が進み、耐煮沸性やその他耐久性が向上する。成分(1)、(2)、(3)、(4)の反応は、溶液Si−NMRで解析可能であり、それにより適した構造に設計できる。30℃未満や1時間未満では反応が極端に遅い場合が多く、また130℃以上や24時間以上の場合には、成分(1)、(2)、(3)、(4)の反応が進みすぎ、液がゲル化したり高粘性化し、塗布できなくなる恐れがある。
また成分(6)を混合した後の最終液(コーティング組成物)も、加熱処理することが好ましい。室温での混合の場合、攪拌効率の影響を受けやすく、これに起因して成分(6)の分散度が低い場合は、硬化膜の透明性(全光線透過率低下、ヘイズ上昇)が低下する恐れがある。温度は30℃〜130℃、より好ましくは、50℃〜90℃であり、時間は、5分〜10時間、より好ましくは、15分〜6時間である。混合、加熱手段については、均一に混合、加熱できる手段であれば特に制限はない。30℃未満や5分未満では加熱処理の効果が乏しい場合が多く、また130℃以上や10時間以上だと、液がゲル化したり高粘性化し、塗布できなくなる恐れがある。
後記する実施例では、1週間静置後製造した硬化膜の評価結果を記載しているが、硬化膜製造までの液静置期間に特に制限はない。
他のコーティング組成物の製造方法としては、好ましくは少なくとも成分(1)、成分(4)及び成分(6)を含む第一の混合液を作製し、次に成分(2)を混合する。さらに好ましくは、少なくとも成分(1)、(3)、(5)、(6)、(7)を含む第一の混合液を作製し、次に成分(4)を混合して第二の混合液とし、最後に成分(2)を混合してコーティング組成物(第三の混合液)とする。
このように、成分(2)混合前に成分(6)を混合すると、成分(1)(2)(3)(4)と成分(6)粒子表層の水酸基が反応しやすくなり、これら成分の縮合反応促進に適している。また、当該コーティング組成物から得られる硬化膜の耐煮沸性を向上させることができる。
例えば、成分(1),(3),(5),(7)及び(8)を混合した後、成分(6)を加え、次に成分(4)を加える。最後に成分(2)を混合する。
成分(8)は、コーティング組成物を調製後、さらに加えることによりコーティング組成物を希釈することができる。
液pH値、例えば、校正用pH標準液で補正したポータブルpHメーター(ハンナ社製:商品名 チェッカー1)で評価した液pH値としては、上記の第一の混合液及び第二の混合液はpH≦6、第三の混合液はpH≦7とすることが好ましい。特に、第三の混合液、即ち成分(2)混合時に液pHが8を越えると、液安定性が低下する恐れがある。コーティング組成物の製造開始時から製造終了時まで、液は酸性状態に保つことが好ましい。即ち、このような条件が維持されるような手順で、コーティング組成物を製造することが好ましい。
また、上記の第一の混合液、第二の混合液、及び第三の混合液は、各成分の混合後、加熱処理することが好ましい。温度は30℃〜130℃、より好ましくは、50℃〜90℃であり、加熱処理時間は、30分〜24時間、より好ましくは、1時間〜8時間である。混合、加熱手段については、均一に混合、加熱できる手段であれば特に制限はない。このように加熱することで、液内の成分(1)、(2)、(3)、(4)の縮合反応が進み、耐煮沸性やその他耐久性が向上する。成分(1)、(2)、(3)、(4)の反応は、溶液Si−NMRで解析可能であり、それにより適した構造に設計できる。30℃未満や1時間未満では反応が極端に遅い場合が多く、また130℃以上や24時間以上の場合には、成分(1)、(2)、(3)、(4)の反応が進みすぎ、液がゲル化したり高粘性化し、塗布できなくなる恐れがある。
後記する実施例では、1週間静置後製造した硬化膜の評価結果を記載しているが、硬化膜製造までの液静置期間に特に制限はない。
本発明のコーティング組成物は、常法により硬化することで硬化膜(硬化被膜)とすることができる。具体的には、硬化膜を形成する対象である樹脂成形品(射出成形品、フィルム又はシート等)の基材上に、コーティング組成物をスプレー、浸漬、カーテンフロー、バーコーター又は、ロールコーティング等の公知の方法により塗布し、塗膜を形成する。塗膜の厚みとしては、硬化膜の厚みが、好ましくは1〜50μm、より好ましくは、2〜20μmになるように調整する。
その後、適当な硬化条件、通常80〜190℃、好ましくは、100〜140℃にて、10分〜24時間、好ましくは、30分〜3時間加熱硬化することにより、硬化膜が得られる。
本発明のコーティング組成物から得られる硬化膜は、膜中に有機微粒子((5)成分)、無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ((6)成分)が分散している。本発明の硬化膜は、好ましくは可視光線透過率80%以上、より好ましくは85%以上である。また、好ましくはヘイズ値が10%以下、より好ましくは、5%以下である。このような硬化膜は、耐紫外線性に優れ、かつ透明性の高い硬化膜となる。
尚、有機微粒子((5)成分)、無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ((6)成分)が分散する、Si−O結合を有するマトリックスは、(1)、(2)、(3)及び(4)成分に由来する。
基材及び本発明のコーティング組成物から得られる硬化膜を積層して含む積層体は、優れた耐擦傷性、耐候性、耐屈曲性及び耐煮沸性を有する。
実施例及び比較例において商品名で記載した原料の詳細は、以下のとおりである。
成分(1):
MTMS−A(3官能ポリアルコキシシラン化合物)
(多摩化学工業(株)製)
成分(5):
ULS−1385MG(紫外線吸収骨格種:ベンゾトリアゾール系)
一方社油脂工業株式会社製(水分散/固形分濃度30重量%)
成分(6):
ニードラールU−15(無機系紫外線吸収性粒子)
多木化学(株)製(水分散、酸化セリウム濃度15重量%,粒子径8nm以下(メーカーカタログ値))
スノーテックスO(コロイダルシリカ)
日産化学工業(株)製(水分散、コロイダルシリカ濃度20重量%、粒子径10〜20nm(メーカー公表値))
スノーテックスN(コロイダルシリカ)
日産化学工業(株)製(水分散、コロイダルシリカ濃度20重量%、粒子径10〜20nm(メーカー公表値))
スノーテックO−40(コロイダルシリカ)
日産化学工業(株)製(水分散、コロイダルシリカ濃度40重量%、粒子径20〜30nm(メーカー公表値))
メタノールシリカゾル(コロイダルシリカ)
日産化学工業(株)製(メタノール分散、コロイダルシリカ濃度30重量%、粒子径10〜15nm(メーカー公表値))
IPA−ST(コロイダルシリカ)
日産化学工業(株)製(イソプロパノール分散、コロイダルシリカ濃度30重量%、粒子径10〜15nm(メーカー公表値))
IPA−ST―ZL(コロイダルシリカ)
日産化学工業(株)製(イソプロパノール分散、コロイダルシリカ濃度30重量%、粒子径70〜100nm(メーカー公表値))
ポリカーボネート基材:
出光興産株式会社製 IV2200R(耐候グレード)、3mm厚(可視光線透過率90%、ヘイズ値1%)
実施例1
表1の成分及び仕込みに従い調製した。
容積50gのサンプル管に、ULS―1385MG(成分(5))、1−メトキシ−2−プロパノール(成分(8))、イオン交換水(成分(8))を仕込み、700rpmで撹拌しながら、酢酸(成分(7))、メチルトリメトキシシラン(成分(1))、ジメトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン(成分(3))、20%p−トルエンスルホン酸メタノール液(成分(7))の順に、それぞれ1分間かけて滴下した。引き続き、室温で60分撹拌後、1日静置し、これをA液とした。
容積20gのサンプル管に、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、2−ブタノンオキシム(イソシアネート基のブロック化剤)を仕込み、500rpmで、10分間撹拌後、1日静置し、これをB液とした。イソシアネート基がブロック化されたことについては、13C−NMRでイソシアネート基のピークが消失することにより確認した。3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランと2−ブタノンオキシムの配合量の合計をブロック化イソシネートシラン化合物(4)の量とした。
冷却管を取り付けた200ml三口フラスコに、A液と撹拌子を入れ、窒素気流下、600rpmで、80℃で3時間加熱した。引き続き、B液を加え、同条件にて、80℃で4時間加熱した。
さらに、これに3−アミノプロピルトリメトキシシラン(成分(2))を、2分間かけて滴下した後、80℃で6時間加熱した。
引き続き、暗所25℃にて、1日静置した後、650rpmで撹拌しながら、スノーテックスO(成分(6))を2分間かけて滴下した。室温で30分撹拌後、さらに80℃で30分加熱した。
引き続き、1週間静置し、コーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物について、液安定性を評価した。評価結果を表1に示す。
上記で得られたコーティング組成物を、厚み3mmのポリカーボネート樹脂の表面に、硬化被膜が7μmになるように、バーコーターにて塗布し、窒素気流下のオーブンにて、130℃2時間硬化させ、硬化被膜を表面に有する透明な積層体を得た。得られた積層体について、その物性を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1で得られた硬化膜のTEM(透過電子顕微鏡)断面写真を図1に示す。
この写真において、黒丸はコロイダルシリカ、灰色丸は高分子微粒子、残りの灰色部分はSi−O結合を有するマトリックスである。
Si−O結合を有するマトリックスの存在は、硬化膜表面を全反射測定法(FTIRを用いたATR法)にて測定し、1000〜1200cm−1にSi−O伸縮振動ピークが観測される事、並びに、TEMによる断面構造解析時の元素分析より確認した。
得られたコーティング組成物及び積層体の評価方法は以下の通りである。
(1)液安定性
常温で14日間密栓保存して、ゲル化の有無を目視により判定した。ゲル化していないものについては、株式会社エー・アンド・デイ音叉型振動式粘度計 SV−10にて粘度測定を行い、初期からの変化率が3倍以内のものを良好とした。
(2)膜外観
目視にて硬化被膜の外観(異物やまだら模様の有無)、ひび割れの有無を確認した。
(3)可視光線透過率及びヘイズ
直読ヘイズコンピュータ(スガ試験機株式会社製、HGM−2DP)にて、ポリカーボネート基板との積層体の状態で測定した。
(4)硬化膜中のSi化合物と無機系紫外線吸収剤に由来する無機成分の酸化物換算重量
無機成分の酸化物換算重量は、テフロン(登録商標)シャーレ上で、コーティング液を熱硬化して得られたサンプルを、熱重量測定(窒素下、20℃/分昇温、室温〜800℃)し、サンプルの800℃での残渣量から求めた。
(5)硬化膜中の有機微粒子の体積分率
有機微粒子の体積分率は、TEM(透過電子顕微鏡)で樹脂基板上の熱硬化膜の断面観察を行い、その1.5μm中に存在する粒子の面積を、米国NIH製フリーソフトを使用して面積%を求め、その値を、「観察サンプルの厚み÷有機微粒子の平均粒径」値で割って求めた値を意味する。
尚、実施例1で作製した硬化膜の有機微粒子の体積分率は、22体積%であった。
(6)耐摩耗性
摩耗輪CS−10F及びテーバー摩耗試験機(ロータリーアブレージョンテスター)(株式会社東洋精機製、No.430)を用いて、荷重500gで100回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験前のヘイズとテーバー摩耗試験後のヘイズの差(ΔH)が5未満のものを◎、5以上〜10未満を○、10以上〜15未満を△、15以上のものを×とした(ヘイズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)。
尚、実施例及び比較例で使用したポリカーボネート樹脂基板のヘイズの差は、ΔH=30であった。
(7)密着性
JIS K5400に準拠し、サンプルをカミソリの刃で2mm間隔に縦横11本ずつ切れ目を入れて100個の碁盤目をつくり、市販のセロハンテープ(「CT−24(幅24mm)」、ニチバン(株)製)を指の腹でよく密着させた後、90°の角度で手前方向に急激に剥し、皮膜が剥離しないで残存したます目数(X)をX/100で表示した。
(8)耐煮沸性
ステンレス製ビーカー中の煮沸水に、ポリカーボネート樹脂上に硬化膜を形成したサンプルを、所定の時間浸漬し、外観、密着性、膜厚の変化を評価した。膜厚は大塚電子製光学膜厚計FE−3000で測定した。膜厚の減少率が10%未満のものを○、10%以上〜15%未満を△、15%以上のものを×とした。
(9)耐候性
キセノンウェザー試験(アトラス社Ci165、出力6.5kW、ブラックパネル温度63℃、湿度50%)を実施した。試験前後の密着性の変化で、耐候性を評価した。
(10)耐冷熱衝撃性
冷熱衝撃試験(ESPEC社製冷熱衝撃装置、TSA−200D−Wにて、−30℃で1時間、80℃で1時間を100サイクル)を実施した。試験前後での密着性の変化で、耐冷熱試験性を評価した。
(11)耐熱性
耐熱試験機(TABAI製、PS−222)にて、80℃、720時間の条件で実施した。試験前後での密着性の変化で、耐熱性を評価した。
(12)硬化膜中の有機微粒子の平均粒径
TEM(透過型電子顕微鏡)で熱硬化膜の断面観察を行ない、その1μm角中に存在する粒子を10個選び、米国NIH(National Institute of Health)製フリーソフト:NIH Image 1.63を使用して平均粒径を求めた。
平均粒径が200nm以下のものを○、平均粒径が200nmより大きいものを×、粒径が200nm以下のものも存在するが、粒子が融着し粒子径が200nmより大きいアメーバ状になったものが存在するものを△とした。
尚、実施例1−11における平均粒径は40〜60nmで、分散構造を形成していた。
(13)硬化膜中(固形分中)の無機系紫外線吸収性粒子及びコロイダルシリカの平均粒径
有機微粒子と同様の方法で測定した。共にTEM写真で黒点となる。尚、実施例6及び7における無機系紫外線吸収性粒子の平均粒径は5〜10nm、実施例1−5、8−10におけるコロイダルシリカの平均粒径は15〜25nm、実施例11におけるコロイダルシリカの平均粒径は80〜90nmであり、分散構造を形成していた。
(14)耐屈曲性
100mm×幅50mm×厚み1mmの筒中プラスチック社製ポリカーボネート標準板(商品名:ECK100)を基板として用いた以外は実施例1と同じ方法で樹脂積層体を製造した。
この積層体の両端を指で持ち、半径50mmカーブの強制曲げを10回行い積層面にクラックが入らなかったものを○、入ったものを×とした。
実施例2〜8、比較例1〜3
実施例1と同様に、表1又は表2の成分及び仕込み量に従い調製し、得られた組成物及び積層体について評価した。評価結果を表3又は表4に示す。
実施例9
表5の成分及び仕込みに従い調製した。
容積50gのサンプル管に、ULS―1385MG(成分(5))、1−メトキシ−2−プロパノール(成分(8))、イオン交換水(成分(8))を仕込み、700rpmで撹拌しながら、酢酸(成分(7))、メチルトリメトキシシラン(成分(1))、ジメトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン(成分(3))、20%p−トルエンスルホン酸メタノール液(成分(7))の順に、それぞれ1分間かけて滴下した。引き続き、室温で60分撹拌後、1日静置し、これをA液とした。
容積20gのサンプル管に、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを仕込み、ウォーターバスで10℃に冷却した。引き続き、2−ブタノンオキシム(イソシアネート基のブロック化剤)を1分間かけて滴下した後、500rpmで、30分間撹拌後、内容物を室温に戻し、1日静置し、これをB液とした。
イソシアネート基がブロック化されたことについては、13C−NMRでイソシアネート基のピークが消失することにより確認した。3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランと2−ブタノンオキシムの配合量の合計をブロック化イソシネートシラン化合物(4)の量とした。
冷却管を取り付けた200ml三口フラスコに、A液と攪拌子を入れ、ウォーターバスで10℃に冷却した。引き続き、窒素気流下、600rpmで攪拌しながら、メタノールシリカゾル(成分(6))を10分間かけて添加した後、室温に戻し1時間攪拌した。引き続き、80℃で3時間加熱した。
室温まで液温度を下げた後、B液を2分間かけて滴下した後、80℃で4時間加熱した。
さらに、室温まで液温度を下げた後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(成分(2))を、2分間かけて滴下した後、80℃で6時間加熱した。
引き続き、1週間静置し、コーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物について、液安定性を評価した。評価結果を表6に示す。
実施例10及び11
実施例9と同様に、表5の成分及び仕込み量に従い調製し、得られた組成物及び積層体について評価した。評価結果を表6に示す。
本発明は、メーターカバー等の自動車内部部品、二輪車や三輪車のウインドシールド、樹脂製自動車窓(各種車両窓)、樹脂性建材窓、建機用のルーフ、道路透光板(遮音板)、矯正用の他、サングラス、スポーツ用、安全メガネ等の眼鏡レンズ、光ディスク、ディスプレイ、携帯電話部品、街路灯等の照明部品、風防板、防護盾用の種々の樹脂製材料、特にポリカーボネート製材料への展開が可能であり、ガラス代替部材として好適に使用できる。
実施例1で作製した硬化膜の断面拡大写真である。

Claims (17)

  1. 下記成分(1)〜(8)を含むコーティング組成物。
    (1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物
    (2)アミノシラン化合物
    (3)エポキシシラン化合物
    (4)ブロック化イソシアネートシラン化合物
    (5)高分子紫外線吸収剤
    (6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ
    (7)硬化触媒
    (8)溶剤
  2. 前記成分(1)〜(8)の配合量が下記の範囲である請求項に記載のコーティング組成物。
    (1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物:10〜80重量%
    (2)アミノシラン化合物:1〜60重量%
    (3)エポキシシラン化合物:1〜60重量%
    (4)ブロック化イソシアネートシラン化合物:1〜60重量%
    (5)高分子紫外線吸収剤:0.1〜50重量%
    (6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ
    成分(6)が無機系紫外線吸収性粒子のみの場合は、0.1〜50重量%
    成分(6)がコロイダルシリカのみの場合は、0.1〜80重量%
    成分(6)が無機系紫外線吸収性粒子及びコロイダルシリカの場合は、無機系紫外線吸収性粒子が0.1〜50重量%であり、コロイダルシリカが0.1〜80重量%
    (7)硬化触媒:0.1〜40重量%
    (8)溶剤:成分(1)〜(7)の合計を100重量部としたとき、5〜1000重量部
  3. 前記オルガノアルコキシシラン化合物が下記式(1)で表わされる化合物である請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
    (R Si(OR 4−m (1)
    (式中、R は同じでも異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基;フッ素化アルキル基;ビニル基;フェニル基;又はメタクリロキシ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。
    は炭素数1〜4のアルキル基、もしくはエーテル基を有するアルキル基である。
    mは1又は2のいずれかの整数である。)
  4. 前記アミノシラン化合物が、下記式(2)で表わされる化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング組成物。
    (R 11 Si(OR 4−n (2)
    (式中、R 11 は同じでも異なってもよく炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基;フェニル基;又はメタクリロキシ基、アミノ基(−NH 基)、アミノアルキル基(−(CH −NH )、アルキルアミノ基(−NHR基)からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、R 11 の少なくとも1つは、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基のいずれかで置換された炭素数1〜3のアルキル基である。上記アミノアルキル基におけるxは、1〜3の整数であり、上記アルキルアミノ基におけるRは炭素数1〜3のアルキル基である。
    は炭素数1〜4のアルキル基である。
    nは1又は2の整数である。)
  5. 前記エポキシシラン化合物が、下記式(3)で表わされる化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング組成物。
    (R 21 Si(OR 4−n (3)
    (式中、R 21 は同じでも異なってもよく炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基;フェニル基;又はメタクリロキシ基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、R 21 の少なくとも1つは、グリシドキシ基又は3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。
    は炭素数1〜4のアルキル基である。
    nは1又は2の整数である。)
  6. 前記ブロック化イソシアネートシラン化合物が、γ―イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、及びγ―イソシアネートプロピルトリエトキシシシランから選択されるイソシアネートシラン化合物のイソシアネート基がオキシム化合物でブロック化された化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物。
  7. 前記高分子紫外線吸収剤の平均粒径が1〜200nmである請求項1〜6のいずれかに記載のコーティング組成物。
  8. 前記高分子紫外線吸収剤の重量平均分子量が1万超である請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング組成物。
  9. 前記無機系紫外線吸収粒子及び/又はコロイダルシリカの平均粒径が、それぞれ1〜200nmである請求項1〜8のいずれかに記載のコーティング組成物。
  10. 前記硬化触媒が有機酸である請求項1〜9のいずれかに記載のコーティング組成物。
  11. 前記有機酸が酢酸である請求項10に記載のコーティング組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のコーティング組成物を硬化してなる硬化膜。
  13. 請求項12に記載の硬化膜を、樹脂基材上に形成してなる樹脂積層体。
  14. 下記成分(1)〜(8)を混合して調製するコーティング組成物の製造方法。
    (1)オルガノアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物
    (2)アミノシラン化合物
    (3)エポキシシラン化合物
    (4)ブロック化イソシアネートシラン化合物
    (5)高分子紫外線吸収剤
    (6)無機系紫外線吸収性粒子及び/又はコロイダルシリカ
    (7)硬化触媒
    (8)溶剤
  15. 少なくとも成分(1)及び成分(4)を含む第一の混合液を作製し、
    続いて、成分(2)を混合し、
    最後に成分(6)を混合する請求項14に記載のコーティング組成物の製造方法。
  16. 少なくとも成分(1)、成分(4)及び成分(6)を含む第一の混合液を作製し、
    続いて成分(2)を混合する請求項15に記載のコーティング組成物の製造方法。
  17. 請求項1〜11のいずれかに記載のコーティング組成物を加熱し、硬化させる工程を含む硬化膜の製造方法。
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