JP5540803B2 - ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、主に電子デバイス等のパッケージ、又は有機光電変換素子(有機太陽電池)や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)、液晶等のプラスチック基板といったディスプレイ材料に用いられるガスバリア性フィルム(以下、ガスバリアフィルムともいう)の製造方法に関する。
従来から、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリアフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品および医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
また、包装用途以外にも液晶表示素子、光電変換素子(太陽電池)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)基板等で使用されている。
この様な分野での包装材料としてアルミ箔等が広く用いられているが、使用後の廃棄処理が問題となっているほか、基本的には不透明であり、外から内容物を確認することができないという課題を抱えており、更に、太陽電池用材料では透明性が求められており、適用することができない。
特に、液晶表示素子、有機EL素子、光電変換素子などへの応用が進んでいる透明基板には、近年、軽量化、大型化という要求に加え、ロール・トゥ・ロールでの生産が可能であること、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルム基板が採用され始めている。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基板はガラスに対しガスバリア性が劣るという問題がある。例えば、有機光電変換素子用の材料として用いた場合、ガスバリア性が劣る基板を用いると、水蒸気や空気が浸透して有機膜が劣化し、光電変換効率あるいは耐久性等を損なう要因となる。
また、電子デバイス用基板として高分子基板を用いた場合には、酸素や水分子が高分子基板を透過して電子デバイス内に浸透、拡散し、デバイスを劣化させてしまうことや、電子デバイス内で求められる真空度を維持できないといった問題を引き起こす。
この様な問題を解決するためにフィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成してガスバリアフィルム基板とすることが知られている。最近では有機EL素子等の水分に弱い有機物のバリア性フィルムとしては、水蒸気透過率が1×10−3g/m・dayを下回るようなバリア性能が求められている。
このような問題を解決するために、ポリシラザンを樹脂基板に塗布し、紫外線照射でガスバリア膜を積層する技術が開示されているが(例えば、特許文献1参照)、バリア層を積層して使用されている二酸化珪素では紫外線を吸収できず、有機物を劣化させる紫外線は、フィルム基板の劣化を起こす。また、フィルム基板を通過した紫外線は、液晶表示素子、有機EL素子、光電変換素子の劣化をも引き起こし、大変問題となっている。
フィルム基板上に紫外線吸収層及びハードコート層を順に設けてなる光学フィルムの技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、紫外線をカットできるが、ハードコート層のため水蒸気透過率が5〜150g/m・dayと最近の有機EL素子等の水分に弱い有機物のバリア性フィルムとはとてもいえない。
また、フィルム基板上に紫外線吸収層及びガスバリア層を積層させる技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この方法によれば、紫外線をカットし、ガスバリア性もあるが、ガスバリア層が片面のため5ml/m・dayと最近の有機EL素子等の水分に弱い有機物のバリア性フィルムとはとてもいえない。
特開2009−255040号公報 特開2008−233882号公報 特開2005−153167号公報
本発明の課題は、極めて高いバリア性能、UVカット性、密着性に優れるガスバリア性フィルムの製造方法を提供することある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.脂基板の両面上にガスバリア層として、それぞれ、紫外線カット層と、酸化珪素層および酸化窒化珪素層から選ばれる少なくとも1種の層とをこの順に設けるガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記酸化珪素層又は酸化窒化珪素層を、ポリシラザン骨格を有する珪素化合物の溶液を塗布し、次いで、波長200nm以下の真空紫外光を、前記樹脂基板の表裏両面から照射して形成することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法
2.前記紫外線カット層に紫外線吸収剤として、微粒子金属酸化物を含有することを特徴とする前記1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法
本発明によれば、極めて高いバリア性能、UVカット性、密着性に優れるガスバリア性フィルムの製造方法を提供することが可能になる。
本発明の有機電子デバイスの例の概略断面図である。
本発明は、樹脂基板の両面に紫外線カット層、ガスバリア層の順に設けてなるフィルム構成である。両面にバリア層を有することで水蒸気透過率を低くすることが可能になる。バリア層形成に際して、紫外線照射を両面にあてる場合、基板樹脂をその紫外線で劣化させてしまい、問題となるが、本発明では基板樹脂とバリア層の間に紫外線カット層を挟むことで、問題を解決した。さらに驚くべきことにバリア層の表面側からのみ紫外線を照射した場合、バリア層の下部が改質されにくく下の層との密着性に問題があったが、両面照射により裏面からも反対側のバリア層に紫外線が当たることによりバリア層内が均一に改質され密着性と水蒸気透過率が大幅に向上した。
以下、本発明とその構成要素、および本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<ガスバリ性アフィルム>
本発明のガスバリア性フィルムは、樹脂基板の両面に紫外線吸収剤を含有する液、その上に珪素化合物を含有する液を塗布することで、両面にガスバリア層を形成することで得られる。
本発明のガスバリア性フィルムのガスバリア性としては、JIS K 7129B法に従って測定した水蒸気透過率(水蒸気透過度:25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、10−3g/(m・24h)以下であることが好ましく、更に好ましくは10−4g/(m・24h)以下であり、特に好ましくは10−5g/(m・24h)以下である。
また、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過率(酸素透過度)が0.01ml/(m・0.1MPa/day)以下であることが好ましく、より好ましくは0.001ml/(m・0.1MPa/day)以下である。
(ガスバリア性フィルムの層構成)
本発明は、樹脂基板上の両面に紫外線カット層、ガスバリア層の順に設けてなるフィルム構成となる。ガスバリア層としては1層でもよく2層、3層積層してもよい。またガスバリア層の間に応力緩和層を挟んでもよい。
単層の場合でも積層した場合でも1つのガスバリア層の膜厚は、30nm〜1000nmが好ましく、更に好ましくは30nm〜500nm、特には90nm〜500nmである。30nm以上とすると膜厚均一性が良好となり、ガスバリア性能に優れる。1000nm以下にすると、屈曲によるクラックが急激に入ることが極めて少なくなり、成膜時の内部応力が増大をとどめて、欠陥の生成を防止可能とする。
<紫外線カット層>
本発明に用いる紫外線カット層は、200〜340nmの領域で光を吸収する物質を入れることで紫外線による劣化を防止する。また可視光領域の透過率は高いことが好ましい。
本発明に用いる紫外線吸収剤は、紫外線カット層と脂環式構造を有する樹脂基材との密着性及び、紫外線カット層とガスバリア層の密着性の観点から、金属酸化物、有機紫外線吸収化合物が好ましい。特に好ましくは、金属酸化物である。紫外線カット層のバインダーとしては、樹脂バインダーが好ましい。
(紫外線カット層の製造方法)
紫外線カット層の形成方法は、紫外線吸収剤を樹脂バインダーに溶解または分散させた塗布液を作製する。また樹脂バインダーが溶液でない場合、紫外線吸収剤を溶媒に溶解または分散させた液に樹脂バインダーを溶解させ塗布液を作製する。それら塗布液を、樹脂基材に、塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。塗布する方法には特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、スライド塗布法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は樹脂基材の片面塗布について述べたが、両面塗布に際しても同様である。
尚、本発明において、塗布膜の厚さは、目的に応じ適量を選ぶことが好ましいが、乾燥後の膜厚で0.01μm以上1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは、0.03μm以上100μm以下が好ましい。
なお、上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
前記紫外線カット層は、樹脂基材に塗布、乾燥することで固定化でき、本発明の効果を確認できるが、必要に応じて樹脂基材へ固定化させる方法として、紫外線及び電子線硬化方法及び熱硬化方法が用いられる。前記、紫外線カット層塗布液に、必要に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤を添加し、樹脂基板上に塗布した後、熱、紫外線及び電子線を照射して樹脂基材へ固定化させればよい。
ここで用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の光ラジカル開始剤等が挙げられる。一方、樹脂基材へ熱硬化方法で固定化する場合は、必要に応じて前記、紫外線カット層塗布液に熱ラジカル発生剤等の熱重合開始剤を添加すればよい。ここで用いられる熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1′−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物等が挙げられる。
また、開始剤なしの場合でも前記、紫外線カット層塗布液を塗布する樹脂基材上にコロナ放電処理、プラズマ放電処理等でポリマー表面を活性化させておけば固定化することができる。
(微粒子金属酸化物)
本発明で用いる紫外線吸収剤は微粒子金属酸化物が好ましい。微粒子金属酸化物とは、平均一次粒子径が1〜100nmの範囲にあり紫外線防御効果を有するものを指し、例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化鉄が挙げられる。これらの微粒子金属酸化物の1種以上、好ましくは2種以上を組み合わせてもよい。また、微粒子金属酸化物の形状としては、球状、針状、棒状、紡錘状、不定形状、板状など特に限定されず、さらに結晶形についてもアモルファス、ルチル型、アナターゼ型など特に限定されない。
さらに、これらの微粒子金属酸化物は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理などによって事前に表面処理されていることが好ましく、特にシリコーン、シラン、フッ素化合物、アミノ酸系化合物、金属石鹸から選ばれる一種以上の表面処理剤により撥水化処理されていることが好ましい。
シリコーン処理の例としては、メチルヒドロゲンポリシロキサンの被覆・加熱処理が挙げられ、シランとしてはアルキルシラン処理が挙げられ、フッ素化合物としてはペルフルオロアルキルリン酸エステル、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルキルシリコーン、ペルフルオロアルキル・ポリエーテル共変性シリコーン、ペルフルオロアルキルシランなどが挙げられ、アミノ酸系化合物としては、N−ラウロイル−L−リジンなどが挙げられ、さらに金属石鹸としてはステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
微粒子酸化物の市販品としては、例えば、微粒子酸化亜鉛としては、“FINEX−25”、“FINEX−50”、“FINEX−75”{以上、堺化学工業(株)};“MZ500”シリーズ、“MZ700”シリーズ{以上、テイカ(株)}“ZnO−350”{以上、住友大阪セメント(株)}、“TYN”シリーズ{以上、東洋インキ(株)}等が挙げられる。
微粒子酸化チタンとしては、“TTO−55、51、S、M、D”シリーズ{以上、石原産業(株)};“JR”シリーズ、“JA”シリーズ{以上、テイカ(株)}、“TYN”シリーズ{以上、東洋インキ(株)}等が挙げられる。また、微粒子酸化セリウムとしては、(株)ニッキ又はセイミケミカル(株)から販売されている高純度酸化セリウムが含まれる。このうち特に酸化チタン、酸化亜鉛であることが好ましい。
本発明で用いられる酸化チタンの平均一次粒子径又は平均一次短軸粒子径は1〜45nmであることが好ましく、より好ましくは3〜40nm、さらに好ましくは5〜30nmである。ここで、「平均一次粒子径」とは、一次粒子形状が球状又はほぼ球状である場合の球相当径の平均値であり、「平均一次短軸粒子径」とは、一次粒子形状が円柱形又は紡錘形である場合の短軸粒子径の平均値である。紡錘型又は円柱形形状(好ましくは紡錘型)の粒子の場合には、長軸径は、好ましくは3〜200nm、より好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nmである。さらに長軸径/短軸径比(以下アスペクト比という)は好ましくは2〜10、より好ましくは2.5〜8、さらに好ましくは3〜6である。
本発明の紫外線吸収剤は、目的に応じて塗設量を選択できるが、0.01〜20g/mとなるように使用するのが好ましい。使用量が多いと紫外線の吸収は大きくなり、該上限値以下であれば透明性の低下が抑制できる。より好ましい量は0.02〜10g/m、さらに好ましくは0.05〜2g/mである。
(有機紫外線防止化合物)
また本発明は、紫外線吸収剤として有機紫外線防止化合物を使用してもよい、有機紫外線防止化合物としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系等が使用できる。ベンゾトリアゾール系としては、例えば2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール等を挙げることができる。トリアジン系としては、例えば2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等を挙げることができる。
市販品としては、チバ・ジャパンのTINUVINシリーズ、ADEKAのアデカスタブシリーズなどがあげられる。
また紫外線防止剤と同等の劣化防止機能のあるHALS剤を紫外線吸収剤として使用してもよく、HALS剤としては、ヒンダードアミン系等が使用できる。ヒンダードアミン系としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物等を挙げることができる。金属不活性剤としては、例えば2,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド等を挙げることができる。
市販品としては、チバ・ジャパンのTINUVINシリーズ、ADEKAのアデカスタブシリーズなどがあげられる。
有機紫外線防止化合物は、それ自身が有機物のため、紫外線による劣化をうける、このため無機物である微粒子金属酸化物の方が紫外線吸収剤としてより好ましい。
(樹脂バインダー)
本発明で用いられる紫外線カット層の樹脂バインダーとして用いられるものは、重合型熱可塑性樹脂あるいは縮合型熱可塑性樹脂が挙げられる。
重合型熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアルキレン樹脂などが挙げられる。
縮合型熱可塑性樹脂としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸の如き芳香族カルボン酸、又はそのエステルとエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の如き脂肪族グリコールとを縮重合させて得ることのできる従来公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
代表的なものとしてポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が挙げられる。
(紫外線吸収剤と樹脂バインダーの混合方法)
本発明で用いられる紫外線吸収剤は、樹脂バインダーに公知の技術で混合される。通常は、樹脂バインダーを溶液とし、この溶液に攪拌機を用いて攪拌しながら、紫外線吸収剤は混合される。攪拌時に添加されてもよい分散剤、その他の添加剤は、必要に応じて、紫外線吸収剤の投入の前後または同時に添加されて攪拌される。樹脂バインダーの粘度が高い場合や固体状の場合などは、適宜、溶媒を添加してもよい。
また分散が容易でない場合は、紫外線吸収剤と樹脂バインダーと溶媒を加え、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの高剪断力混合機を用いて均一に混合する。
溶媒としては特に限定されるものではなく、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類などを例示することができる。特にトルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、ジクロロメタン、四塩化炭素などの塩素系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒等の樹脂バインダーを溶解、膨潤する溶媒を用いる。
紫外線カット層塗布液中の紫外線吸収剤の濃度は、目的とする紫外線カット層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、対樹脂バインダーの0.2〜50質量%程度である。好ましくは、5〜50質量%である。
(ガスバリア層の製造方法)
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、紫外線カット層の上に、ポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布乾燥後、酸素及び水蒸気を含む窒素雰囲気下で紫外線照射により酸化処理し、ガスバリア層を製造する。
ポリシラザン化合物の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。これらの方法で両面同時に塗布してもよく、片面ずつ塗布してもよい。
本発明で用いられる「ポリシラザン」とは、珪素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Siおよび両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
フィルム基材を損なわないようにするには、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温でセラミック化してシリカに変性するものがよく、下記一般式(1)で表されるものを好ましく用いることができる。
Figure 0005540803
式中、R、R、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。パーヒドロポリシラザンは、R、R、Rの全てが水素原子であり、オルガノポリシラザンは、R、R、Rのいずれかがアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基である。本発明では得られるバリア膜としての緻密性から、R、R、Rの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
一方、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地基板との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは直鎖構造と6および8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)であり、液体または固体の物質であり、分子量により異なる。これらは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。
低温でセラミック化するポリシラザンの別の例としては、上記化1のポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等が挙げられる。
ポリシラザンを含有する液体を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリコロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度、等目的にあわせて選択し、複数の溶剤を混合しても良い。
ポリシラザン含有塗布液中のポリシラザン濃度は目的とするシリカ膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度である。
有機ポリシラザンは、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換された誘導体であってもよい。アルキル基、特にもっとも分子量の少ないメチル基を有することにより下地基板との接着性が改善され、かつ硬くてもろいシリカ膜に靭性を持たせることができ、より膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる。
酸化珪素化合物への転化を促進するために、アミンや金属の触媒を添加することもできる。具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140などが挙げられる。なかでも、触媒を含有しないパーヒドロポリシラザンからなる、NN120、NN110を用いることが、さらに緻密でバリア性の高いバリア層を形成する上で最も好ましい。
また、塗布された膜は溶媒が除去された均一な乾燥膜を得る上で、アニールする態様が好ましい。アニール温度は、好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは70℃〜160℃である。アニール時間は、好ましくは5秒〜24時間程度、更に好ましくは10秒〜2時間程度である。
このように、次工程に続く転化処理前に、前述した範囲でアニールを行うことにより、均一な塗布膜を安定に得ることができる。
尚、アニールは、一定温度で行ってもよく、段階的に温度を変化させてもよく、連続的に温度を変化(昇温および/または降温)させてもよい。アニールの際には、反応を安定化するために湿度を調節することが好ましく、通常30%RHから90%RH、より好ましくは40%RHから80%RHである。
<改質処理>
ポリシラザンの酸化処理としては、水蒸気酸化および/または加熱処理(乾燥処理を含む)、紫外線照射による処理等が知られている。
本発明で好ましく用いられるのは紫外線照射処理である。酸素の存在下で紫外光を照射することで活性酸素やオゾンが発生し、酸化反応をより進行させることができる。
この活性酸素やオゾンは非常に反応性が高く、例えば、珪素化合物としてポリシラザンを選択した場合、珪素酸化物の前駆体であるポリシラザン塗布膜は、シラノールを経由することなく直接酸化されることで、より高密度で欠陥の少ない珪素酸化物膜が形成される。
更に反応性オゾンの不足分を光照射部とは異なる部分で、放電法などの公知の方法により酸素からオゾンを生成し、紫外線照射部に導入しても良い。
このときに照射する紫外線の波長は特に限定されるところではないが、紫外光の波長は100nm〜450nmが好ましく、150nm〜300nm程度の紫外光を照射することがより好ましい。
光源は、低圧水銀灯、重水素ランプ、Xeエキシマーランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザーなどを用いることができる。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては100mW/cm〜100kW/cm、照射エネルギーとしては10mJ/cm〜5000mJ/cmが好ましく、100mJ/cm〜2000mJ/cmがより好ましい。また、紫外線照射の際の照度は1mW/cm〜10W/cmが好ましい。ポリシラザン塗布膜に酸化性ガス雰囲気下で紫外線を照射することにより、ポリシラザンが高密度の珪素酸化物膜、すなわち高密度シリカ膜に転化するが、該シリカ膜の膜厚や密度は紫外線の強度、照射時間、波長(光のエネルギー密度)により制御が可能であり、所望の膜構造を得るためにランプの種類を使い分ける等、適宜選択することが可能である。また、連続的に照射するだけでなく複数回の照射を行ってもよく、複数回の照射が短時間ないわゆるパルス照射で有っても良い。
また、紫外線照射と同時に該塗膜を加熱することも、反応(酸化反応、転化処理ともいう)を促進するために好ましく用いられる。加熱の方法は、ヒートブロック等の発熱体に基板を接触させ熱伝導により塗膜を加熱する方法、抵抗線等による外部ヒーターにより雰囲気を加熱する方法、IRヒーターの様な赤外領域の光を用いた方法等が挙げられるが、特に限定はされない。塗膜の平滑性を維持できる方法を適宜選択してよい。
加熱する温度としては、50℃〜200℃の範囲が好ましく、更に好ましくは80℃〜150℃の範囲であり、加熱時間としては1秒〜10時間の範囲が好ましく、更に好ましくは10秒〜1時間の範囲で加熱することである。
その中でもよりフォトンエネルギーが大きい200nm以下の波長成分を有する真空紫外線照射によって処理することが好ましい。エネルギーが小さいとポリシラザンの効果が不十分となりバリア性が低くなる為である。
<200nm以下の波長成分を有する真空紫外線照射による処理>
本発明において、好ましい方法として、真空紫外線照射による改質処理が挙げられる。真空紫外線照射による処理は、化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温で、膜の形成を行う方法である。
特に、本発明の好ましい方法であるポリシラザン膜の処理において、単層を塗布してから、雰囲気を一定に保ってエキシマ照射処理を行うとポリシラザン層の膜厚方向に組成の異なる2層の改質膜が形成される。機構は明確にはなっていないが、表面に近い改質層の密度が高いこと、処理時間によって表面に近い改質層の膜厚が変化する等のこと実から、本発明者らは光エネルギーによるシラザン化合物の直接切断と、気相で生成する活性酸素やオゾンによる表面酸化反応が同時に進行し、改質処理の表面側と内側で改質速度差が生じ、その結果連続する2層の改質層が形成されるものと推定している。
これに必要な真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
1.エキシマ発光とは、Xe、Kr、Ar、Neなどの希ガスの原子は化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には
e+Xe→e+Xe
Xe+Xe+Xe→Xe +Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。加えて発光効率が他の希ガスよりも高いことや大面積へ照射するためのランプを石英ガラスで作製できることからXeエキシマランプを好ましく使用することが出来る。
エネルギーの観点だけからだとArエキシマ光(波長126nm)が最も高く、高いポリシラザン層の改質効果が期待される。しかし、Arエキシマ光は石英ガラスでの吸収が無視できないほど大きくなるため、二酸化珪素ガラスではなく炭酸カルシウムガラスを用いる必要がある。しかし、炭酸カルシウムガラスは非常に割れやすく大面積を照射するランプとしては製造が困難でるのが実情である。
Xeエキシマランプは波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン膜の改質を実現できる。したがって、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板などへの照射を可能としている。
本発明者らの検討によれば、エキシマ照射処理時の環境としては酸素濃度が0.001〜5%であると好ましい。さらには0.01〜3%であると性能が安定して好ましい。酸素濃度が5%を超えると結合の切断よりも活性酸素等を発生させる方にエネルギーを使用してしまい、0.001%以下に下げてもエキシマ光の照射効率は殆ど変化せず、改質効率および膜の組成制御性も変化しないため、雰囲気の置換時間を余計に要するため生産性の向上が見込みにくい。また、ステージ温度については熱をかけるとより反応が進み好ましい。その場合の温度は50℃以上、基板のTg+80℃以下の温度が好ましく、基板Tg+30℃以下が基板を痛めずに反応性が良好になるために更に好ましい。
また、エキシマ照射を使用すると1ユニットの3層構成を同時に作製することが可能となる。前述したようにエキシマ照射では表面近くのみ、より改質することが可能でありその性質を利用することで低酸素濃度雰囲気下(好ましくは窒素雰囲気下)において反応時間を調整することにより、Nの含有率を多くすることが可能である。更に低酸素条件下で処理した後、連続処理内に於いて酸素を前述の範囲内で導入し、処理時間を調整することにより表面部分に酸素比率の高い層を形成することが出来ることを本発明者らは見出した。
原理的には、比較的厚膜に塗布した膜にエキシマ照射しながら雰囲気と時間を制御することで、1回の塗布で形成した塗膜に4層以上の組成の異なる層を形成することは可能であるが、前述した範囲を超えた厚膜は欠陥を発生しやすいためガスバリア機能は発現しにくく、更に各層を、例えば5nmで形成して6層以上の積層構造を形成しても、各層膜厚が薄すぎてそれぞれの層が目的とする機能が効果的に作用しなくなってしまう。この様な観点から、バリア層の膜厚は5nm〜100nmの範囲が好ましく、更に好ましくは10nm〜60nm程度である。
各層の膜厚は透過型電子顕微鏡による断面観察により、各層が画像濃度の違いとして検出することが可能であるため、この画像から計測する。また、各層内の酸素原子と窒素原子の比率は、Arスパッタにより膜面から深さ方向へガスバリア性膜を削りながらX線光電子分光法(XPS)により深さ方向の組成比プロファイルのデータから算出が可能である。
<高照射強度処理と最大照射強度>
照射強度が高ければ、光子とポリシラザン内の化学結合が衝突する確率が増え、改質反応を短時間化することができる。また、内部まで侵入する光子の数も増加するため改質膜厚も増加および/または膜質の良化(高密度化)が可能である。但し、照射時間を長くしすぎると平面性の劣化やバリア性フィルムの他の材料にダメージを与える場合がある。一般的には、照射強度と照射時間の積で表される積算光量で反応進行具合を考えるが、酸化シリコンの様に組成は同一でも、様々な構造形態をとること材料に於いては、照射強度の絶対値が重要になる場合もある。
従って、本発明では真空紫外線照射工程において、少なくとも1回は100〜200mW/cmの最大照射強度を与える改質処理を行うことが好ましい。100mW/cm以上とすることにより、急激な改質効率が劣化することなく、処理に時間を短期間とでき、200mW/cm以下とすることにより、ガスバリア性能の効率よく持たせることができ(200mW/cmを超えて照射してもガスバリア性の上昇は鈍化する)、基板へのダメージばかりでなく、ランプやランプユニットのその他の部材へのダメージも抑えることができ、ランプ自体の寿命も長期化できる。
<真空紫外線の照射時間>
照射時間は、任意に設定可能であるが、基板ダメージや膜欠陥生成の観点およびガスバリア性能のバラつき低減の観点から高照度工程での照射時間は0.1秒〜3分間が好ましい。より好ましくは0.5秒〜1分である。
<真空紫外光照射時の酸素濃度>
本発明における、真空紫外光照射時の酸素濃度は10ppm〜50000ppm(5%)とすることが好ましい。より好ましくは、1000ppm〜30000ppm(3%)である。前記の濃度範囲より酸素濃度が高いと、酸素過多のガスバリア膜となり、ガスバリア性が劣化する。また前記範囲より低い酸素濃度の場合、大気との置換時間が長くなり生産性を落とすのと同時に、ロール・トゥ・ロールの様な連続生産を行う場合はウエッブ搬送によって真空紫外光照射庫内に巻き込む空気量(酸素を含む)が多くなり、多大な流量のガスを流さないと酸素濃度を調整できなくなってくる。
発明者らの検討によると、ポリシラザン含有塗膜中には、塗布時に酸素および微量の水分が混入し、更には塗膜以外の支持体にも吸着酸素や吸着水があり、照射庫内に敢えて酸素を導入しなくとも改質反応に要する酸素を供給する酸素源は十分にあることが分かった。むしろ、酸素ガスが多く(5〜10%レベル)含まれる雰囲気で真空紫外光を照射した場合、改質後のガスバリア膜が酸素過多の構造となり、ガスバリア性が劣化する。また、前述した様に172nmの真空紫外光が酸素により吸収され膜面に到達する172nmの光量が減少してしまい、光による処理の効率を低下することになる。すなわち、真空紫外光照射時には、できるだけ酸素濃度の低い状態で、真空紫外光が効率良く塗膜まで到達する状態で改質処理することが好ましい。
真空紫外光照射時にこれら酸素以外のガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
<両面への照射方法>
上記紫外線の照射条件により樹脂基材両面に塗布されたガスバリア層を両面同時に改質してもよく、片面ずつ改質してもよい。
(樹脂基板)
樹脂基板は、バリア層、紫外線カット層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。
例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セロースアセテートプロピオネート(CAP)等の各樹脂基板、またはフッ素系樹脂、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、更には前記プラスチックを2層以上積層して成る樹脂基板等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)などが好ましく用いられ、また、光学的透明性、耐熱性、無機層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。基板の厚みは5〜500μm程度が好ましく、更に好ましくは25〜250μmである。本発明のバリア性フィルムは発光素子として使用する場合も鑑みて、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることが好ましい。また、熱収縮率も低いことが好ましい。
さらに、本発明に係る樹脂基板は透明であることが好ましい。基板が透明であり、基板上に形成する層も透明であることにより、透明なバリアフィルムとすることが可能となるため、太陽電池や有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げたプラスチック等を用いた樹脂基板は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に用いられる樹脂基板は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となるプラスチックを押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基板を製造することができる。また、未延伸の基板を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基板の流れ(縦軸)方向、または基板の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基板を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基板の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に係る樹脂基板においては、コロナ処理を施してもよい。
(応力緩和層)
本発明では、バリアフィルムの曲げに対する応力を緩和する目的のためにバリア層間に、応力緩和層を設けてもよい。このような応力緩和層は、たとえば感光性樹脂を含有する組成物を塗布乾燥後、硬化させて形成されることが好ましい態様である。
応力緩和層を構成する成分の基本骨格は、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄等からなるものであり、珪素やチタン、アルミニウム、ジルコニウム等の無機原子を基本骨格にした場合は上述のような効果が得られにくい。
応力緩和層の感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
感光性樹脂の組成物は光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
応力緩和層の形成方法は特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法により形成することが好ましい。
また、応力緩和層の積層位置に関係なく、いずれの応力緩和層においても、製膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗布液を用いて応力緩和層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
応力緩和層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、30nm以下であることが好ましい。この範囲よりも大きい場合には、無機化合物を塗布した後の、凹凸を平滑化することが難しくなる場合がある。
本発明における応力緩和層の厚みとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、応力緩和層を有するフィルムとしての平滑性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなる。
また、応力緩和層、ガスバリア層は交互に複数層積層してもよく、熱、湿度、経時で、クラックや層界面での局所的な密着不良等が発生しないような材料構成、あるいは層構成を選択することが好ましい。
<ガスバリア性フィルムの用途>
本発明のガスバリア性フィルムは、種々の封止用材料、フィルムとして用いることができる。
本発明のガスバリア性フィルムは、光電変換素子、EL素子に特に有用に用いることができる。本発明のガスバリア性フィルムは透明であるため、このガスバリアフィルムを支持体として用いて光電変換素子に用いた場合この側から太陽光の受光を行うように構成でき、EL素子に用いた場合、素子からの発光を妨げないため発光効率を劣化させない。
(有機電子デバイスの構成)
本発明の有機電子デバイスの基本的構成の例を図1に示す。
有機電子デバイス1は、基材6の上に第二電極5を有し第二電極5の上に有機機能層4を有し、有機機能層4の上に第一電極3を有し、第一電極3の上に本発明のガスバリア性フィルム2を有する。
有機機能層4としては、有機発光層、有機光電変換層、液晶ポリマー層など特に限定無く挙げることができるが、本発明は、機能層が薄膜でかつ電流駆動系のデバイスである有機発光層、有機光電変換層を含む層である場合において、特に有効である。
即ち、本発明のバリア性フィルムは、電子デバイスの中でも最もバリア性が必要である有機EL素子、または、有機光電変換素子に適用することが好ましい。
(封止)
本発明のバリア性フィルムを、有機電子デバイスとして適用する場合について説明する。
まず、例えば、有機EL素子の場合、陽極層/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極層等、各種の有機化合物からなる機能層を作製する。
得られた有機EL素子の全体若しくは上部を封止する。
封止部材としては、本発明のバリア性フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、フッ素系樹脂等のプラスチック、およびこれらの複合物、ガラス等が挙げられ、必要に応じて、特に樹脂フィルムの場合には、樹脂基板と同様、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素等のガスバリア層を積層したものを用いることができる。ガスバリア層は、封止部材成形前に封止部材の両面若しくは片面にスパッタリング、蒸着等により形成することもできるし、封止後に封止部材の両面若しくは片面に同様な方法で形成してもよい。これについても、酸素透過度が1×10−3cm/(m・24h・atm)(1atmは、1.01325×10Paである)以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
<包装形態>
本発明のガスバリア性フィルムは、連続生産しロール形態に巻き取ることが出来る(いわゆるロール・トゥ・ロール生産)。その際、ガスバリア層を形成した面に保護シートを貼合して巻き取ることが好ましい。特に有機薄膜デバイスの封止材として用いる場合、表面に付着したゴミ(パーティクル)が原因で欠陥となる場合が多く、クリーン度の高い場所で保護シートを貼合してゴミの付着を防止することは非常に有効である。併せて、巻取り時に入るガスバリア層表面への傷の防止に有効である。
保護シートとしては、特に限定するものではないが、膜厚100μm以下程度の樹脂基板に弱粘着性の接着層を付与した構成の一般的な「保護シート」、「剥離シート」を用いることが出来る。
上記の各測定方法および下述の実施例で用いた測定方法などを以下に記す。
<測定方法>
<各層の膜厚>
透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により、画像の濃淡および電子線ダメージの度合いから各層の膜厚を測定した。
(膜厚方向の断面のTEM画像)
断面TEM観察
観察試料を以下のFIB加工装置により薄片作製後、TEM観察を行う。このとき試料に電子線を照射し続けると電子線ダメージを受ける部分とそうでない部分にコントラスト差が現れるため、その領域を測定することで算出できる。改質処理側で密度が高い領域は電子線ダメージを受けにくいが、そうでない部分は電子線ダメージを受け変質が確認される。
(FIB加工)
装置:SII製SMI2050
加工イオン:(Ga 30kV)
試料厚み:100nm〜200nm
(TEM観察)
装置:日本電子製JEM2000FX(加速電圧:200kV)
電子線照射時間:5秒から60秒
<水蒸気透過率(WVTR)の測定>
前述のJIS K 7129B法に従って水蒸気透過率を測定には種々の方法が提案されている。例えば、カップ法、乾湿センサー法(Lassy法)、赤外線センサー法(mocon法)が代表として上げられるが、ガスバリア性が向上するに伴って、これらの方法では測定限界に達してしまう場合があり、以下に示方法も提案されている。水蒸気透過率の測定方法は特に限定するところではないが、本発明に於いてはCa法による評価を行った。
(前記以外の水蒸気透過率測定法)
Ca法
ガスバリア性フィルムに金属Caを蒸着し、該フィルムを透過した水分で金属Caが腐食される現象を利用する方法。腐食面積とそこに到達する時間から水蒸気透過率を算出する。
(株)MORESCOの提案する方法(平成21年12月8日NewsRelease)
大気圧下の試料空間と超高真空中の質量分析計の間で水蒸気の冷却トラップを介して受け渡す方法。
HTO法(米General Atomics社)
三重水素を用いて水蒸気透過率を算出する方法。
A−Star(シンガポール)の提案する方法(WO05/95924)
水蒸気または酸素により電気抵抗が変化する材料(例えばCa、Mg)をセンサーに用いて電気抵抗変化とそれに内在する1/f揺らぎ成分から水蒸気透過率を算出する方法。
<本発明評価に用いたCa法>
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
水蒸気バリア性評価用セルの作製
バリアフィルム試料のガスバリア層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置JEE−400)を用い、透明導電膜を付ける前のバリアフィルム試料の蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。また、屈曲前後のガスバリア性の変化を確認するために、上記屈曲の処理を行わなかったバリアフィルムについても同様に、水蒸気バリア性評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で100時間保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を計算した。
なお、バリアフィルム面から以外の水蒸気の透過が無いことを確認するために、比較試料としてバリアフィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐食が発生しないことを確認した。
(フィルムの光線透過率測定)
分光光度計ASTM D−1003に従って可視光線の入射光量に対する全透過光量を測定した。その550nm、380nm、360nmの測定結果を下記表1に示す。
<引張強度と伸び率の保持率>
温度可変式引張試験機(「島津オートグラフAGS−100D」;島津製作所製)を用い、幅10mmに切り取ったバリアフィルム試験片を、23℃、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件で引っ張って、破断に至るまでの引張強度と伸び率を求めた。未塗工のPETフィルムについても同様に引張強度と伸び率を求めた結果、引張強度(3GPa)および伸び率(150%)に相違がないことを確認した。
<密着性>
碁盤目密着性の評価は、JIS K 5600の5.6(2004年度版)の記載に準じ、積層体の片側からカッターナイフで、紫外線吸収カット層を貫通し基材に達する1mm角の100個の碁盤目状の切り傷を1mm間隔のカッターガイドを用いて付け、セロハン粘着テープ(ニチバン社製「CT405AP−18」;18mm幅)を切り傷面に貼り付け、消しゴムで上からこすって完全にテープを付着させた後、垂直方向に引き剥がして、紫外線吸収層が基材表面にどのくらい残存しているかを目視で確認して行った。
100個中の剥離数を調べ、下記の基準で評価した。
○:碁盤目試験にて剥離数が10個以下
△:碁盤目試験にて剥離数が11〜20個
×:碁盤目試験にて剥離数が21個以上
<屈曲処理>
作製したガスバリア性フィルムを、曲率50mmφとなるようにガスバリア層の片方の側の面を内側になるように1回、外側となるように1回屈曲させる変形を1往復とし、100往復繰り返す屈曲処理を施した。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1:ガスバリア性フィルムでの比較
<試料1−1の作製>
(樹脂基板)
樹脂基板として、両面に易接着加工された50μmの厚さのポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製、A4300)の基板を用いた。
(UVカット層の形成)
上記樹脂基板の片面上に、東洋インキ株式会社製 UV硬化型ハードコート剤 リオジュラスTYT65−01(TiO)を塗布、乾燥後の(平均)膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件;80℃、1分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;200mJ/cm硬化を行い、UVカット層を形成した。
このときの最大断面高さRt(p)は16nmであった。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さである。
(バリア層の形成)
SAMCO社製UVオゾンクリーナー Model UV−1を用いて照射時の雰囲気を窒素置換しながら、オゾン濃度を300ppmとなるように調整して、80℃5分間の表面処理を行った。
前記、樹脂基板表面に、ケイ素化合物含有液としてパーヒドロポリシラザンの10質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNN120−10、無触媒タイプ)を用い、スピンコート(5000rpm、60秒)にて塗布後、80℃にて10分間乾燥し、ケイ素化合物を含有する膜を形成した。
その後、MDエキシマ社製のステージ可動型キセノンエキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200を用いて、照射庫内の雰囲気を窒素と酸素を用いて下記の様に制御しながら、ステージの移動速度を5mm/秒の速さで試料を往復搬送させて、合計5往復照射したのち、試料を取り出し試料1−1とした。本装置は有効照射幅10mmのXeエキシマランプが1本装着されており、ステージ搬送速度10mm/secで搬送した場合、1秒処理/パスに相当する。尚、改質処理後のバリア層の膜厚は150nmであった。
(条件)
エキシマ光強度:60mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:100℃
(試料1−1の雰囲気条件)
1〜3往復目:酸素濃度0.05%
4〜5往復目:酸素濃度1.5%
<試料1−2の作製>
試料1−1の作製中にUVカット層を除いて、樹脂基材の両面上に直接、試料1−1同様の方法でバリア層を形成した試料1−2(バリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−3の作製>
試料1−1のバリア層形成面と反対側の面に樹脂基材に直接、試料1−1同様の方法でバリア層のみ(紫外線カット層なし)を形成した試料1−3(バリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−4の作製>
試料1−1のバリア層形成面と反対側の面に試料1−1同様の方法でUVカット層、バリア層を形成した試料1−4(バリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−5の作製>
試料1−4のUVカット層の使用したUV硬化型ハードコート剤 リオジュラスTYT65−01(TiO)をリオジュラスTYN64−01(ZnO)に置き換えた以外は、試料1−4同様の方法で試料1−5(バリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−6の作製>
試料1−4のUVカット層の使用したUV硬化型ハードコート剤 リオジュラスTYT65−01(TiO)の代わりに株式会社ADEKA製 アデカスタブLA−32(紫外線吸収剤)を中国塗料株式会社製 オーレックスNo.349(アクリル系樹脂バインダー)に20質量%になるように溶解した液を使用した以外は、試料1−4同様の方法で試料1−6(バリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−7の作製>
試料1−4のUVカット層の使用したUV硬化型ハードコート剤 リオジュラスTYT65−01(TiO)の代わりにチバ・ジャパン株式会社製 TINUVIN−123(HALS剤)を中国塗料株式会社製 オーレックスNo.349に20質量%になるように溶解した液を使用した以外は、試料1−4同様の方法で試料1−7(バリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−8〜1−14の作製>
試料1−4のUVカット層、バリア層の膜厚を表1記載の膜厚になるように塗布液の濃度を調整し、試料1−8〜1−14を作製した。
<試料1−15の作製>
試料1−4の片面側のバリア層の上に試料1−1同様の方法でバリア層を積層した試料1−15(2層目のバリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−16の作製>
試料1−4の両面のバリア層の上に試料1−1同様の方法でバリア層を積層した試料1−16(2層目のバリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−17の作製>
試料1−4の両面のバリア層の上に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を塗布、乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプを使用して500mJ/cmで硬化し、応力緩和層を形成した。さらに両面の応力緩和層の上に試料1−1同様の方法でバリア層を積層した試料1−17(2層目のバリア層膜厚が150nm)を作製した。
<試料1−18の作製>
試料1−1の作製の際、UVカット層を除き、最初のバリア層は、ケイ素化合物を含有する膜を形成するのみで、エキシマ照射をせず、バリア層膜の形成面と反対側の面に樹脂基材に直接バリア層膜を形成した(紫外線カット層なし)。両面にバリア層膜を形成した後、試料1−1と同様な方法でエキシマ照射を最初のバリア層側のみから行い試料1−18(バリア層膜厚は、それぞれが150nm)を作製した。
(評価)
上記したような測定方法で、水蒸気透過率、フィルムの光線透過率、引張強度と伸び率、密着性を評価した。
試料1−1〜1−18の評価結果を表1に示す。
Figure 0005540803
表1から明らかなように本発明の両面、UVカット層付きのガスバリア性フィルムはガスバリア性、密着性が高く、UV光のカット率が高く、引張強度と伸び率が紫外線で劣化しないことがわかる。
また両面照射に比較して、片面側からの紫外線照射では、密着性が非常に劣化していることがわかる。
実施例2:有機薄膜デバイスの評価
実施例1で作製した試料1−1〜1−18のガスバリア性フィルムそれぞれを準備し、有機光電変換素子と有機EL素子を作製して、有機薄膜素子の性能劣化具合を評価した。
<有機薄膜デバイスの作製方法>
<有機光電変換素子の作製方法>
ガスバリア性フィルムに、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(シート抵抗10Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と湿式エッチングとを用いて2mm幅にパターニングし第1の電極を作製した。
パターン形成した第1の電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を膜厚が30nmになるように塗布乾燥した後、150℃で30分間熱処理させ正孔輸送層を製膜した。
これ以降は、基板を窒素チャンバー中に持ち込み、窒素雰囲気下で作製した。
まず、窒素雰囲気下で上記基板を150℃で10分間加熱処理した。次に、クロロベンゼンにP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン)とPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を3.0質量%になるように1:0.8で混合した液を調製し、フィルタでろ過しながら膜厚が100nmになるように塗布を行い、室温で放置して乾燥させた。続けて、150℃で15分間加熱処理を行い、光電変換層を製膜した。
次に、上記一連の機能層を製膜した基板を真空蒸着装置チャンバー内に移動し、1×10−4Pa以下まで真空蒸着装置内を減圧した後、蒸着速度0.01nm/秒でフッ化リチウムを0.6nm積層し、更に続けて、2mm幅のシャドウマスクを通して(受光部が2×2mmに成るように直行させて蒸着)、蒸着速度0.2nm/秒でAlメタルを100nm積層することで第2の電極を形成した。
得られた各々の有機光電変換素子を窒素チャンバーに移動し、封止用キャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行って、受光部が2×2mmサイズの有機光電変換素子を作製した。
(封止用のガスバリアフィルム試料の作製および有機光電変換素子の封止)
窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、ガスバリア性フィルム二枚を用い、ガスバリア層を設けた面に、シール材としてエポキシ系光硬化型接着剤を塗布したものを、封止用フィルムとして作製した。
次いで、上記の有機光電変換素子を、上記接着剤を塗布した二枚のガスバリアフィルム試料の接着剤塗布面の間に挟み込んで密着させた後、片側の基板側からUV光を照射して硬化させ、有機光電変換素子の封止処理を行い、有機光電変換素子1−1〜1−18を作製した。
<評価>
評価は以下の基準で各素子をランク付けした。実用可能範囲は○以上である。
ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、IV特性を評価することで、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)およびフィルファクターFF(%)を、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、下記式1に従って求めたエネルギー変換効率PCE(%)の4点平均値を見積もった。
(式1) PCE(%)=〔Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF(%)〕/100mW/cm
ガスバリア性フィルムの屈曲処理無しに対して、屈曲処理有りのフィルムを用いた場合の変換効率維持率を算出し以下の様にランク付けを行った。
変換効率維持率=屈曲処理済みフィルムを用いた素子の変換効率/屈曲処理無しのフィルムを用いた素子の変換効率×100(%)
◎:90%以上
○:60%以上、90%未満
△:20%以上、60%未満
×:20%未満
有機光電変換素子の評価結果を表2に示す。
<有機EL素子の作製方法>
ガスバリア性フィルムの無機層の上に厚さ150nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
〈正孔輸送層の形成〉
第1電極層が形成されたバリア性フィルムの第1電極層の上に、以下に示す正孔輸送層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し正孔輸送層を形成した。正孔輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが50nmになるように塗布した。
正孔輸送層形成用塗布液を塗布する前に、バリア性フィルムの洗浄表面改質処理を、波長184.9nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm、距離10mmで実施した。帯電除去処理は、微弱X線による除電器を使用し行った。
(塗布条件)
塗布工程は大気中、25℃相対湿度50%の環境で行った。
(正孔輸送層形成用塗布液の準備)
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノール5%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。
(乾燥および加熱処理条件)
正孔輸送層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置を用い温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。
〈発光層の形成〉
引き続き、正孔輸送層迄を形成したバリア性フィルム1の正孔輸送層の上に、以下に示す白色発光層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し発光層を形成した。白色発光層形成用塗布液は乾燥後の厚みが40nmになるように塗布した。
(白色発光層形成用塗布液)
ホスト材のH−Aを1.0gと、ドーパント材D−Aを100mg、ドーパント材D−Bを0.2mg、ドーパント材D−Cを0.2mg、100gのトルエンに溶解し白色発光層形成用塗布液として準備した。
Figure 0005540803
(塗布条件)
塗布工程を窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
(乾燥および加熱処理条件)
白色発光層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、温度130℃で加熱処理を行い、発光層を形成した。
〈電子輸送層の形成〉
引き続き、発光層迄を形成したのち、以下に示す電子輸送層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し電子輸送層を形成した。電子輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが30nmになるように塗布した。
(塗布条件)
塗布工程は窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、電子輸送層形成用塗布液の塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
(電子輸送層形成用塗布液)
電子輸送層はE−Aを2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に溶解し0.5質量%溶液とし電子輸送層形成用塗布液とした。
Figure 0005540803
(乾燥および加熱処理条件)
電子輸送層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理部で温度200℃で加熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
(電子注入層の形成)
引き続き、形成された電子輸送層の上に電子注入層を形成した。まず、基板を減圧チャンバーに投入し、5×10−4Paまで減圧した。あらかじめ、真空チャンバーにタンタル製蒸着ボートに用意しておいたフッ化セシウムを加熱し、厚さ3nmの電子注入層を形成した。
(第2電極の形成)
引き続き、形成された電子注入層の上に第1電極の上に取り出し電極になる部分を除き、形成された電子注入層の上に5×10−4Paの真空下にて第2電極形成材料としてアルミニウムを使用し、取り出し電極を有するように蒸着法にて、発光面積が50mm平方になるようにマスクパターン成膜し、厚さ100nmの第2電極を積層した。
(裁断)
第2電極まで形成したバリア性フィルム1を、再び窒素雰囲気に移動し、規定の大きさに裁断し、有機EL素子を作製した。
(断裁の方法)
断裁の方法として、特に限定するところではないが、紫外線レーザー(例えば、波長266nm)、赤外線レーザー、炭酸ガスレーザー等の高エネルギーレーザーによるアブレーション加工で行うことが好ましい。ガスバリア性フィルムは割れやすい無機の薄膜を有しているため、通常のカッターで断裁すると断細部で亀裂が発生することがある。素子の断裁だけでなく、ガスバリア性フィルム単体での断裁も同様である。更には無機層表面に有機成分を含む保護層を設置することでも断裁時のヒビ割れを抑制することが可能である。
(電極リード接続)
作製した有機EL素子に、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製異方性導電フィルムDP3232S9を用いて、フレキシブルプリント基板(ベースフィルム:ポリイミド12.5μm、圧延銅箔18μm、カバーレイ:ポリイミド12.5μm、表面処理NiAuメッキ)を接続した。
圧着条件:温度170℃(別途熱伝対を用いて測定したACF温度140℃)、圧力2MPa、10秒で圧着を行った。
(封止)
電極リード(フレキシブルプリント基板)を接続した有機EL素子を、市販のロールラミネート装置を用いて封止部材を接着し、有機EL素子101を製作した。
なお、封止部材として、30μm厚のアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm厚)をドライラミネーション用の接着剤(2液反応型のウレタン系接着剤)を用いラミネートした(接着剤層の厚み1.5μm)ものを用いた。
アルミニウム面に熱硬化性接着剤を、ディスペンサを使用してアルミ箔の接着面(つや面)に沿って厚み20μmで均一に塗布した。
熱硬化接着剤としては以下のエポキシ系接着剤を用いた。
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)
ジシアンジアミド(DICY)
エポキシアダクト系硬化促進剤
しかる後、封止基板を、取り出し電極および電極リードの接合部を覆うようにして密着・配置して、圧着ロールを用いて圧着条件、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minで密着封止し、有機EL素子1−1〜1−18を作製した。
<評価>
評価は以下の基準で各素子をランク付けした。実用可能範囲は○以上である。
(黒点の評価)
試料に1mA/cmの電流を印加し、300時間連続発光させた後、100倍のマイクロスコープ(株式会社モリテックス製MS−804、レンズMP−ZE25−200)でパネルの一部分を拡大し、撮影を行った。撮影画像を2mm四方に切り抜き、目視で観察を行い、黒点の状況を調べ、ガスバリア性フィルムの屈曲無しに対して、屈曲有りのフィルムを用いた場合の性能維持率を算出して以下のランク付けを行った。
300時間寿命維持率=屈曲処理済みフィルムを用いた素子で発生した黒点の面積/屈曲処理無しのフィルムを用いた素子で発生した黒点の面積×100(%)
◎:90%以上
○:60%以上、90%未満
△:20%以上、60%未満
×:20%未満
黒点の評価結果を表2に示す。
Figure 0005540803
表2から明らかなように、本発明のガスバリア性フィルムを用いた有機光電変換素子の変換効率維持率は高く、有機EL素子の黒点も殆ど変化しないことが判る。すなわち、高いガスバリア性と高いフレキシビリティを両立していることが分かる。
1 有機電子デバイス
2 ガスバリア性フィルム
3 第一電極
4 有機機能層
5 第二電極
6 基材

Claims (2)

  1. 脂基板の両面上にガスバリア層として、それぞれ、紫外線カット層と、酸化珪素層および酸化窒化珪素層から選ばれる少なくとも1種の層とをこの順に設けるガスバリア性フィルムの製造方法であって、前記酸化珪素層又は酸化窒化珪素層を、ポリシラザン骨格を有する珪素化合物の溶液を塗布し、次いで、波長200nm以下の真空紫外光を、前記樹脂基板の表裏両面から照射して形成することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法
  2. 前記紫外線カット層に紫外線吸収剤として、微粒子金属酸化物を含有することを特徴と
    する請求項1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法
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