JP2013147451A - 新規シラン化合物、シルセスキオキサン化合物とその製造方法、硬化性組成物、硬化物、透明フィルムおよび積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)で表されるシラン化合物(A)、および該シラン化合物(A)および一般式(2)で表されるシラン化合物(B)の加水分解・共縮合により得られるシルセスキオキサン化合物。
R1、R2,R3は水素、又は有機基、m:1または2、A:m=1の場合はNH基、m=2の場合は窒素原子
R4、R5はそれぞれ有機基。
【選択図】なし
Description
シルセスキオキサン化合物の中でも、かご構造を有するものは、その硬直なポリシロキサン骨格と、サブナノレベルの分子サイズから、高い透明性、耐熱性、表面硬度・耐擦傷性、機械強度、有機材料との複合化による高機能化などが期待され、様々な有機置換基を有するものが市販されている。一般的に、アルキル基、フェニル基を有するものは、特定の有機溶剤に溶解させることは可能であるが、硬化性組成物の成分である(メタ)アクリレート化合物、シリカゾル、エポキシ樹脂などの樹脂類への溶解は困難であり、機能性付与成分としての使用が困難であった。
一方、特許文献1には3−アミノプロピルトリエトキシシランとグリシドールとの付加物から誘導されたシルセスキオキサン化合物が開示されている。また、非特許文献1には、3−アミノプロピルトリエトキシシランとヒドロキシエチルアクリレートとの付加物から誘導されたシルセスキオキサン化合物が開示されている。これらの化合物は、前述の硬化性組成物に溶解できることが本発明者の追試で確認できた。しかし、これらの化合物を含む硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、表面硬度・耐擦傷性、機械強度などの機能面で課題があった。
R2:水素原子またはメチル基
R3:炭素数1〜4のアルキル基
m:1または2
A:m=1の場合はNH基、m=2の場合は窒素原子
R2:水素原子またはメチル基
R3:炭素数1〜4のアルキル基
m:1または2
A:m=1の場合はNH基、m=2の場合は窒素原子
R5:炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基
第4の発明は、前記加加水分解・共縮合の触媒がフッ化アンモニウムである。
第5の発明は、前記シルセスキオキサン化合物のうち重合性官能基を有するシルセスキオキサン化合物を含有する硬化性組成物である。
第6の発明は、前記の硬化性組成物を、硬化させることで得られる硬化物である。
第7の発明は、硬化物からなる透明フィルムである。
第8の発明は、基材上に前記の硬化物からなる層が形成された積層体である。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」は「アクリ」又は「メタクリ」を示す。
R2:水素原子またはメチル基
R3:炭素数1〜4のアルキル基
m:1または2
A:m=1の場合はNH基、m=2の場合は窒素原子
また、本発明のシルセスキオキサン化合物は、一般式(1)で示されるシラン化合物(A)および一般式(2)で示されるシラン化合物(2)の加水分解・共縮合により得られる化合物である。
R5:炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基
R3:炭素数1〜4のアルキル基
m:1または2
A:m=1の場合はNH基、m=2の場合は窒素原子
R4は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ラジカル重合性官能基またはカチオン重合性官能基を含有する有機基である。ラジカル重合性官能基としては、ビニル基、アリル基および(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。カチオン重合性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
シルセスキオキサン化合物の加水分解・共縮合成分の1つであるシラン化合物(A)は、例えば、アミノ基を含有するシランカップリング剤(a1)(以下、化合物(a1))と単官能(メタ)アクリレート化合物(a2)(以下、化合物(a2))とのマイケル付加反応により製造することができる。ここで、化合物(a1)としては、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、特に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好適である。
また、化合物(a2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びフォスフォエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中で、特に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好適である。化合物(a1)と化合物(a2)とのマイケル付加反応により、化合物(a1)1モルに化合物(a2)2モルが付加したシラン化合物(A)を製造することができる。化合物(a1)と化合物(a2)との反応モル比は、未反応物を少なくできることから、化合物(a1)1モルに対して化合物(a2)2〜4モルが好ましく、2〜2.5モルがより好ましい。化合物(a1)と化合物(a2)の付加反応は、無溶媒で行うことができる。付加反応の反応温度は、十分に反応が進行し、副反応を抑える点から、0〜100℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
また、本マイケル付加反応は有機溶媒中で行うこともできる。有機溶媒としては、化合物(a1)や化合物(a2)を溶解できるものであれば特に限定はないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でも、2種類以上を混合して使用してもよい。
更に、本マイケル付加反応は、触媒を用いることができる。触媒としては、マイケル付加反応に使用されるアミン類、アルカリ金属アルコキシドなどの公知のものを用いることができる。
シルセスキオキサン化合物の加水分解・共縮合成分の1つであるシラン化合物(B)は、分子内に1つの有機基を有する3官能アルコキシシラン化合物である。シラン化合物(B)としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中で、特に、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好適である。
本発明のシルセスキオキサン化合物は、シラン化合物(A)およびシラン化合物(B)を加水分解・共縮合させることにより製造することができる。
前述のように、重合性官能基を有するシルセスキオキサン化合物は、一般式(2)におけるR4が、炭素数1〜10のラジカル重合性官能基を含有する有機基またはカチオン重合性官能基を含有する有機基であるシラン化合物(B)を用いて製造することができる。
また、前述のように、製造されるシルセスキオキサン化合物は、通常、かご構造を有するものと有さないものの混合物である。この混合物はそのまま利用することもできるが、構造のことなるシルセスキオキサン化合物を分離して利用してもよい。構造の異なるシルセスキオキサン化合物を単離する方法としては、例えば、分子量差を利用したGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法、特定の溶媒に対する溶解度差を利用した再結晶法等が利用できる。
シラン化合物(A)、(B)の加水分解・共縮合の触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸およびフッ化水素酸などの無機酸、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩などが好適である。
これらの中でも、フッ化水素酸、アンモニウムフルオリドは、かご構造を高率で生成するため、特に好ましい。但し、フッ化水素酸は毒性、腐食性が強く、工業生産で用いる場合には、取り扱い上、法規上大きな制約を受ける。一方、アンモニウムフルオリドは、触媒能はフッ化水素酸とほぼ同等であるが、安全性は遥かに高い。従って、加水分解・共縮合の触媒として、特に好適である。
加水分解・共縮合の反応温度は、0〜100℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。0℃以上ならば十分に反応が進行する。100℃以下ならば副反応の誘発やゲル化の可能性が少ない。
本発明の硬化性組成物は、前述のシルセスキオキサン化合物を含む。シルセスキオキサン化合物が重合性官能基を有していない場合は、重合性官能基を有する他の化合物を含む必要がある。シルセスキオキサン化合物が重合性官能基を有する場合には、重合性官能基を有する他の化合物は必ずしも必要ないが、シルセスキオキサン化合物のハンドリング性向上、硬化物の物性調節の目的で含むことができる。重合性官能基を有する他の化合物に含まれる重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのラジカル重合基もしくはイオン重合基、エポキシ基、オキセタニル基などのカチオン重合基、アルコキシシリル基、シラノール基などの重縮合基などが挙げられる。特に限定されないが、耐侯性向上の観点から、重合性官能基を有する他の化合物を併用することが好ましい。
ヨードニウム塩の具体例としては、(トリクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
有機溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエチルアルコール、2−エトキシエチルアルコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で又は2種以上を併用して使用できる。
また、本発明の硬化性組成物は、その他、必要に応じて、無機微粒子、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を含有できる。
本発明の硬化性組成物を重合により硬化させることで硬化物を得ることができる。硬化方法としては、熱ラジカル重合、光ラジカル重合、熱カチオン重合、光カチオン重合、熱重縮合、光重縮合などが好適である。これらの硬化方法において、活性エネルギー線を使用することがより好適である。即ち、本発明の硬化性組成物に、活性エネルギー線を照射することにより、硬化物を製造することができる。ここでいう活性エネルギー線とは、電子線、紫外線、可視光線、赤外線を示す。光源(線源)としては、電子銃、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、白熱電球、太陽光線、IRヒーターなどが挙げられる。また、加熱炉などの輻射熱を利用することもできる。
本発明の硬化性組成物を、押出成形法、キャスティング法など、フィルム製造に広く利用されている方法で所望の膜厚に成膜した後、活性エネルギー線を照射すると、透明フィルムを作製することができる。この透明フィルムは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、電子ペーパーなどのエレクトロニクスデバイスのプラスチック基板などに利用できる。
本発明は、基材上に本発明の硬化物からなる層が形成された積層体である。この積層体は、例えば、本発明の硬化性組成物を基材に塗布し、重合硬化させることで作製することができる。積層体に使用される基材としては、例えば、プラスチック、金属、缶、紙、木質材、無機質材、及びこれらの基材にプライマー層を形成したものが挙げられる。これらの中で、プラスチック基材が好適であり、中でも、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの透明プラスチック基材が特に好適である。
本発明のシルセスキオキサン化合物は、合成樹脂類にブレンドすることにより、合成樹脂類の改質が期待される。
合成樹脂類の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
[合成例1]シラン化合物(A1)の合成
撹拌子、温度制御装置、空気導入管を備えた50ml3口フラスコに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン5.00g(22.6mmmol)を仕込み、撹拌しながら、4−メトキシフェノール0.01gを溶解したメチルアクリレート19.4g(226mmol)を滴下した。滴下終了後、空気をバブリングしながら80℃で48時間反応させた。溶媒を減圧留去し、シラン化合物(A1)(上記一般式(1)で表されるシラン化合物(A)に該当)を得た。
ナスフラスコに、合成例1で得られたシラン化合物(A1)0.44g(1.1mmol)と3−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン(上記一般式(2)で表されるシラン化合物(B)に該当)2.24g(7.7mmol)を加え、窒素置換した後に撹拌しながらメタノール14.4mlを加え溶解し、3.2%フッ化アンモニウム水溶液を0.492ml滴下した。滴下終了後、混合物を室温で2時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。生成物を40℃、800Paで4時間乾燥し、透明粘性液体のSQ1を定量的に得た。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、溶媒としてメチルエチルケトン50部を入れ、80℃に昇温した。次いで、フラスコ内を窒素雰囲気下とし、メチルメタクリレート80部、グリシジルメタクリレート20部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部の単量体混合物(イ)を3時間かけて滴下した。
この後、メチルエチルケトン80部とアゾビスイソブチロニトリル0.2部の混合物を加え、重合を実施した。
重合開始から4時間経過した後、メチルエチルケトン50部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部、トリフェニルホスフィン2.5部及びアクリル酸10.1部の単量体混合物(ロ)を加え、空気を吹き込みながら80℃で30時間攪拌した。
次いで、フラスコ内を冷却した後、反応物をフラスコより取り出し、重合性官能基を有するアクリル樹脂(B−1)の溶液を得た。
アクリル樹脂(B−1)における単量体の重合率は99.5%以上であり、アクリル樹脂(A−1)の固形分は約40質量%、Mn(数平均分子量)は約6万、二重結合(重合性官能基)当量は約614g/モル及びTgは約88℃であった。
合成例2で得られた化合物(SQ1)50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD DPCA−20)25部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルA−HD−N)25部、メチルエチルケトン400部、イルガキュア500(BASF製、)7.5部を混合し、硬化性組成物C1を調製した。
<積層体の作製>
硬化性組成物C1を、基材である長さ10cm、幅5cm、厚み3mmのアクリル樹脂板(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリライトEX)上に、バーコートで厚さ10μmになるように塗布した後、コンベアを備えた120W/cmの高圧水銀ランプ((株)オーク製作所製、紫外線照射装置、商品名:ハンディーUV−1200、QRU-2161型)を用いて、積算光量3000mJ/cm2の紫外線を照射し、基材上に硬化性組成物の硬化物層が形成された積層体L1を形成した。
なお、紫外線照射量は紫外線光量計((株)オーク製作所製、商品名:UV−351型、ピーク感度波長360nm)で測定した。
得られた積層体L1の硬化物層について、次の評価を行った。
(1)外観
目視にて硬化物層の透明性並びにクラック及び白化の有無を観察し、以下の基準で外観を評価した。
「○」:透明で、クラック及び白化などの欠陥の無いもの。
「×」:不透明な部分があるもの又はクラック若しくは白化などの欠陥があるもの。
(2)鉛筆硬度
鉛筆引っかき試験(JIS−K−5600)に準じて硬化物層の鉛筆硬度を評価した。
(3)耐擦傷性
ラビングテスター((株)井元製作所製、商品名:A1566改)を使用し、硬化物層の表面を#0000スチールウールで、1cm2当たり9.8×104Paの荷重を加えて10往復擦った。次いで、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、商品名:NDH2000)で、傷が発生した部分をヘイズメーターでヘイズ値を測定し、試験前のヘイズ値を差し引いた値(ΔHz(%))で以下のように評価した。
A:ΔHzが5%未満
B:ΔHzが5%以上〜10%未満
C:ΔHzが10%以上
実施例1において、硬化性組成物の組成比を表1のように変更した以外は、同様の手順で硬化性組成物C2を調製した。次いで、実施例1と同様にして積層体L2を作製して、積層体の硬化物層の評価を実施した。
実施例1において、硬化性組成物の組成比を表1のように変更した以外は、同様の手順で硬化性組成物C3〜C4を調製した。次いで、実施例1と同様にして積層体L3〜L4を作製して、積層体の硬化物層の評価を実施した。
組成物C1〜C4の組成を表1に、積層体L1〜L4の評価結果を表2に示す。
DPCA−20:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPCA−20)
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルA−HD−N)
MEK:メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)
IRG500:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンおよびベンゾフェノン
の共融混合物(BASF SE製、商品名:IRGACURE500)
一方、本発明のシルセスキオキサン化合物を含まない硬化性組成物を硬化させて得られた積層体(比較例1)は、外観、鉛筆硬度は良好であったが、耐擦傷性に劣ることが確認された。
Claims (8)
- 一般式(1)で表されるシラン化合物(A)。
R1:炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基
R2:水素原子またはメチル基
R3:炭素数1〜4のアルキル基
m:1または2
A:m=1の場合はNH基、m=2の場合は窒素原子 - 一般式(1)で表されるシラン化合物(A)および一般式(2)で表されるシラン化合物(B)の加水分解・共縮合により得られるシルセスキオキサン化合物。
R1:炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基
R2:水素原子またはメチル基
R3:炭素数1〜4のアルキル基
m:1または2
A:m=1の場合はNH基、m=2の場合は窒素原子
R5:炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基 - 無機酸および/または第4級アンモニウム塩の少なくとも一種の化合物を触媒として、一般式(1)で表されるシラン化合物(A)および一般式(2)で表されるシラン化合物(B)を、加水分解・共縮合する、シルセスキオキサン化合物の製造方法。
R1:炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基
R2:水素原子またはメチル基
R3:炭素数1〜4のアルキル基
m:1または2
A:m=1の場合はNH基、m=2の場合は窒素原子
R5:炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基 - 前記触媒が、フッ化アンモニウムである、請求項3記載の製造方法。
- 請求項2記載のシルセスキオキサン化合物を含む硬化性組成物。
- 請求項5記載の硬化性組成物を硬化させることで得られる硬化物。
- 請求項6記載の硬化物からなる透明フィルム。
- 基材上に請求項6記載の硬化物からなる層が形成された積層体。
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