JP6990033B2 - 光素子用接着剤及びその製造方法 - Google Patents

光素子用接着剤及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6990033B2
JP6990033B2 JP2017066753A JP2017066753A JP6990033B2 JP 6990033 B2 JP6990033 B2 JP 6990033B2 JP 2017066753 A JP2017066753 A JP 2017066753A JP 2017066753 A JP2017066753 A JP 2017066753A JP 6990033 B2 JP6990033 B2 JP 6990033B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solvent
organic solvent
adhesive
substituent
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017066753A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018168286A (ja
Inventor
迪 三浦
弘憲 賤機
秀一 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lintec Corp filed Critical Lintec Corp
Priority to JP2017066753A priority Critical patent/JP6990033B2/ja
Publication of JP2018168286A publication Critical patent/JP2018168286A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6990033B2 publication Critical patent/JP6990033B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、長時間放置された後であっても、光素子を良好にマウントすることができ、接着性に優れる光素子用接着剤、及びその製造方法に関する。
光素子には、半導体レーザー(LD)等の各種レーザーや発光ダイオード(LED)等の発光素子、受光素子、複合光素子、光集積回路等がある。
近年においては、発光のピーク波長がより短波長である青色光や白色光の光素子が開発され広く使用されてきている。このような発光のピーク波長の短い発光素子の高輝度化が飛躍的に進み、これに伴い、光素子の発熱量がさらに大きくなっていく傾向にある。
ところが、近年における光素子の高輝度化に伴い、光素子固定用に用いられる接着剤が、より高いエネルギーの光や光素子から発生するより高温の熱に長時間さらされ、接着力が低下したり、劣化して剥離するという問題が生じた。
この問題を解決するべく、特許文献1~3には、ポリシルセスキオキサン化合物を主成分とする光素子固定材用組成物が提案されている。また、特許文献4には、シラン化合物の加水分解・重縮合物を用いる半導体発光デバイス用部材等が提案されている。
ところで、光素子を固定する光素子用接着剤は、通常、特許文献5に記載されるような、吐出管(ニードル)を有する塗布装置を使用して被塗布物、例えばリードフレーム等の基板に塗布される。
このような吐出管を有する塗布装置においては、例えば、吐出管が垂直に下降して被塗布物に近づき、その先端部から所定量の接着剤を吐出した後、吐出管が上昇して被塗布物から離れるとともに、被塗布物が横に移動する。そして、この操作を繰り返すことで、連続的に光素子用接着剤が被塗布物に塗布される。その後、塗布された接着剤上に、光素子がマウント(搭載)され、被塗布物に接着される。
通常、被塗布物に接着剤に塗布された後においては、速やかに塗布された接着剤上に光素子がマウント(搭載)され、被塗布物に接着される。
しかしながら、生産ライン等においては、何らかの理由により、光素子がマウントされることなく、塗布された接着剤がそのまま長時間放置される場合がある。
このような場合、従来の接着剤を用いた場合には、塗布された接着剤が長時間放置されると、接着剤中の粘度が変化し、光素子が好ましい状態でマウントされないことがあった。
従って、接着剤が塗布された後長時間放置された場合であっても、塗布された直後と同様に、光素子を接着剤上に良好にマウントすることが可能で、接着性にも優れる光素子用接着剤が要望されている。
特開2004-359933号公報 特開2005-263869号公報 特開2006-328231号公報 特開2007-112975号公報 特開2002-009232号公報
本発明は、上記した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、被塗布物に塗布された後長時間経過後であっても、光素子を良好にマウントすることが可能で、接着性に優れる光素子用接着剤、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、特定のポリシルセスキオキサン化合物を、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒を含む溶媒に溶解して得られる接着剤は、基板上に塗布された後20分以上経過後においても、塗布直後と同様に、光素子を良好にマウントすることが可能であり、接着性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕~〔7〕の光素子用接着剤、及び〔8〕の光素子用接着剤の製造方法が提供される。
〔1〕下記式(a-1)
Figure 0006990033000001
(式中、Rは、置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。)
で示される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物を、溶媒(S)に溶解してなる光素子用接着剤であって、
前記溶媒(S)が、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒(SH)を含むことを特徴とする光素子用接着剤。
〔2〕前記有機溶媒(SH)が溶媒(S)全体の20質量%以上を占めることを特徴とする〔1〕に記載の光素子用接着剤。
〔3〕前記溶媒(S)が1種又は2種以上の有機溶媒からなり、各有機溶媒の沸点(℃)と、溶媒(S)全体を1としたときの各有機溶媒の質量分率との積の総和で表される値を沸点の平均値としたとき、沸点の平均値が254℃以上280℃以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の光素子用接着剤。
〔4〕前記溶媒(S)が、沸点が200℃以上254℃未満の有機溶媒(SL)を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の光素子用接着剤。
〔5〕前記溶媒(S)における有機溶媒(SH)と有機溶媒(SL)の含有割合〔有機溶媒(SH):有機溶媒(SL)〕(質量比)が、20:80~85:15である、〔4〕に記載の光素子用接着剤。
〔6〕前記有機溶媒(SL)が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔4〕又は〔5〕に記載の光素子用接着剤。
〔7〕前記有機溶媒(SH)が、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の光素子用接着剤。
〔8〕下記工程(I)及び工程(II)を有する、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の光
素子用接着剤の製造方法。
工程(I):下記式(a-2)
Figure 0006990033000002
(式中、Rは置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0~3の整数を表す。複数のR及び複数のXはそれぞれ、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。)
で示される化合物の少なくとも1種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物を得る工程
工程(II):工程(I)で得られたポリシルセスキオキサン化合物を、沸点254℃~300℃の有機溶媒(SH)を含む溶媒(S)に溶解させる工程
本発明の光素子用接着剤(以下、単に「接着剤」ということがある。)は、塗布された後長時間経過した後であっても、塗布直後と同様に、光素子を良好にマウントすることが可能である。また、本発明の接着剤は接着性に優れる。
本発明の製造方法によれば、本発明の接着剤を効率よく製造することができる。
以下、本発明を、1)接着剤、及び、2)接着剤の製造方法、に項分けして詳細に説明する。
1)接着剤
本発明の接着剤は、前記式(a-1)で示される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物(以下、「ポリシルセスキオキサン化合物(A)」ということがある。)を、溶媒(S)に溶解してなる光素子用接着剤であって、前記溶媒(S)が、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒(SH)を含むことを特徴とする。
(1)ポリシルセスキオキサン化合物(A)
ポリシルセスキオキサン化合物(A)は、前記式(a-1)で示される繰り返し単位を有する化合物である。
前記式(a-1)中、Rは、置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。
の、炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
の、置換基を有する炭素数1~10のアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;又は式:OGで表される基;が挙げられる。
ここで、Gは水酸基の保護基を表す。水酸基の保護基としては、特に制約はなく、水酸基の保護基として知られている公知の保護基が挙げられる。例えば、アシル系の保護基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等のシリル系の保護基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基等のアセタール系の保護基;t-ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル系の保護基;メチル基、エチル基、t-ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、トリチル基、ベンズヒドリル基等のエーテル系の保護基;等が挙げられる。これらの中でも、Gとしては、アシル系の保護基が好ましい。
アシル系の保護基は、具体的には、式:-C(=O)Rで表される基である。式中、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等の炭素数1~6のアルキル基;又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないフェニル基を表す。
Rで表される置換基を有するフェニル基の置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
のアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
の、置換基を有するアリール基の置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、耐熱性及び接着性により優れる接着剤が得られ易いことから、置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましく、炭素数1~3のアルキル基がさらに好ましい。
前記式(a-1)で示される繰り返し単位は、下記式で示されるものである。本明細書において、O1/2とは、酸素原子が隣接する繰り返し単位と共有されていることを表す。
Figure 0006990033000003
ポリシルセスキオキサン化合物(A)は、一般にTサイトと総称される、ケイ素原子に酸素原子が3つ結合し、それ以外の基(R-)が1つ結合してなる部分構造を有する。
Tサイトとしては、具体的には、下記式(a-3)~(a-5)で示されるものが挙げられる。
Figure 0006990033000004
式(a-3)~(a-5)中、Rは、前記と同じ意味を表す。Rは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。Rの炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。複数のR同士は、すべて同一であっても相異なっていてもよい。また、上記式(a-3)~(a-5)中、*には、Si原子が結合している。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)は、アセトン等のケトン系溶媒;ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;クロロホルム等の含ハロゲン系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等の各種有機溶媒に可溶であるため、これらの溶媒を用いて、ポリシルセスキオキサン化合物(A)の溶液状態での29Si-NMRを測定することができる。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)の溶液状態での29Si-NMRを測定すると、例えばRがメチル基の場合、前記式(a-3)で示される構造中のケイ素原子に由来するピーク(T3)は、-70ppm以上、-61ppm未満の領域に観測され、式(a-4)で示される構造中のケイ素原子に由来するピーク(T2)は、-60ppm以上-54ppm未満の領域に観測され、前記式(a-5)で示される構造中のケイ素原子に由来するピーク(T1)は、-53ppm以上-45ppm未満の領域に観測される。
また、Rがフェニル基の場合、T3は、-82ppm以上、-73ppm未満の領域に観測され、T2は、-73ppm以上、-65ppm未満の領域に観測され、T1は、-65ppm以上-55ppm未満の領域に観測される。
本願発明のより優れた効果を得る観点から、ポリシルセスキオキサン化合物(A)は、T3の積分値が、T1、T2、およびT3の積分値の合計値に対して、60~90%のものが好ましい。
29Si-NMRスペクトルは、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)中の、前記式(a-1)で示される繰り返し単位の含有割合は、全繰り返し単位に対して、40質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)中の、前記式(a-1)で示される繰り返し単位の含有割合は、例えば、ポリシルセスキオキサン化合物(A)の29Si-NMRを測定することにより求めることができる。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)は、1種のRを有するもの(単独重合体)であってもよく、2種以上のRを有するもの(共重合体)であってもよい。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)が共重合体である場合、ポリシルセスキオキサン化合物(A)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体等のいずれであってもよいが、製造容易性等の観点からは、ランダム共重合体が好ましい。
また、ポリシルセスキオキサン化合物(A)の構造は、ラダー型構造、ダブルデッカー型構造、籠型構造、部分開裂籠型構造、環状型構造、ランダム型構造のいずれの構造であってもよい。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)の質量平均分子量(Mw)は、通常、800以上30,000以下、好ましくは1,000以上20,000以下、より好ましくは1,200以上15,000以下、特に好ましくは3,000以上10,000以下である。質量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあるポリシルセスキオキサン化合物(A)を用いることで、接着性に優れ、かつ、光素子を良好にマウントすることができる接着剤が得られ易くなる。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限されないが、通常1.0以上10.0以下、好ましくは1.1以上6.0以下である。分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあるポリシルセスキオキサン化合物(A)を用いることで、接着性、耐熱性により優れる接着剤が得られ易くなる。
質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
本発明において、ポリシルセスキオキサン化合物(A)は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の接着剤に含まれるポリシルセスキオキサン化合物(A)の量は、ポリシルセスキオキサン化合物(A)が完全に溶解する量であれば、特に限定されない。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)の製造方法は特に限定されない。例えば、下記式(a-2)
Figure 0006990033000005
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0~3の整数を表す。複数のR、及び複数のXは、それぞれ、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。)
で示されるシラン化合物(1)の少なくとも1種を重縮合させることにより、ポリシルセスキオキサン化合物(A)を製造することができる。
の炭素数1~10のアルキル基としては、Rの炭素数1~10のアルキル基として示したものと同様のものが挙げられる。
のハロゲン原子としては、塩素原子、及び臭素原子等が挙げられる。
シラン化合物(1)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリプロポキシシラン、n-プロピルトリブトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n-ペンチルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン化合物類;
メチルクロロジメトキシシラン、メチルクロロジエトキシシラン、メチルジクロロメトキシシラン、メチルブロモジメトキシシラン、エチルクロロジメトキシシラン、エチルクロロジエトキシシラン、エチルジクロロメトキシシラン、エチルブロモジメトキシシラン、n-プロピルクロロジメトキシシラン、n-プロピルジクロロメトキシシラン、n-ブチルクロロジメトキシシラン、n-ブチルジクロロメトキシシラン等のアルキルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリブロモシラン、n-プロピルトリクロロシラン、n-プロピルトリブロモシラン、n-ブチルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、n-ペンチルトリクロロシラン、n-ヘキシルトリクロロシラン、イソオクチルトリクロロシラン等のアルキルトリハロゲノシラン化合物類;等が挙げられる。
これらの中でも、シラン化合物(1)としては、接着性により優れる接着剤が得られることから、アルキルトリアルコキシシラン化合物類が好ましい。
シラン化合物(1)を1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記シラン化合物(1)を重縮合させる方法としては、特に限定されない。例えば、溶媒中、又は無溶媒で、シラン化合物(1)に、所定量の重縮合触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法が挙げられる。より具体的には、(a)シラン化合物(1)に、所定量の酸触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法、(b)シラン化合物(1)に、所定量の塩基触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法、(c)シラン化合物(1)に、所定量の酸触媒を添加し、所定温度で撹拌した後、過剰量の塩基触媒を添加して、反応系を塩基性とし、所定温度で撹拌する方法等が挙げられる。これらの中でも、効率よく目的とするポリシルセスキオキサン化合物(A)を得ることができることから、(a)又は(c)の方法が好ましい。
用いる重縮合触媒は、酸触媒及び塩基触媒のいずれであってもよい。また、2以上の重縮合触媒を組み合わせて用いてもよいが、少なくとも酸触媒を用いることが好ましい。
酸触媒としては、リン酸、塩酸、ホウ酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。これらの中でも、リン酸、塩酸、ホウ酸、硫酸、クエン酸、酢酸、及びメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
塩基触媒としては、アンモニア水;トリメチルアミン、トリエチルアミン、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、アニリン、ピコリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール等の有機塩基;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の有機塩水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩;等が挙げられる。
重縮合触媒の使用量は、シラン化合物(1)の総モル量に対して、通常、0.05~10mol%、好ましくは0.1~5mol%の範囲である。
重縮合時に溶媒を用いる場合、用いる溶媒は、シラン化合物(1)の種類等に応じて、適宜選択することができる。例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記(c)の方法を採用する場合、酸触媒の存在下、水系で重縮合反応を行った後、反応液に、有機溶媒と過剰量の塩基触媒(アンモニア水など)を添加し、塩基性条件下で、更に重縮合反応を行うようにしてもよい。
溶媒の使用量は、シラン化合物(1)の総モル量1モル当たり、0.1リットル以上10リットル以下、好ましくは0.1リットル以上2リットル以下である。
シラン化合物(1)を重縮合させるときの温度は、通常0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは20℃以上100℃以下の範囲である。反応温度があまりに低いと重縮合反応の進行が不十分となる場合がある。一方、反応温度が高くなりすぎるとゲル化抑制が困難となる。反応は、通常30分から20時間で完結する。
反応終了後は、酸触媒を用いた場合は、反応溶液に炭酸水素ナトリウム等のアルカリ水溶液を添加することにより、塩基触媒を用いた場合は、反応溶液に塩酸等の酸を添加することにより中和を行い、その際に生じる塩をろ別又は水洗等により除去し、目的とするポリシルセスキオキサン化合物(A)を得ることができる。
上記方法により、ポリシルセスキオキサン化合物(A)を製造する際、シラン化合物(1)のOR又はXのうち、脱アルコール等が起こらなかった部分は、ポリシルセスキオキサン化合物(A)中に残存する。このため、ポリシルセスキオキサン化合物(A)中に、前記式(a-3)で示される繰り返し単位以外に、前記式(a-4)、式(a-5)で示される繰り返し単位が含まれることがある。
(2)溶媒(S)
本発明の接着剤は、前記ポリシルセスキオキサン化合物(A)を、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒(SH)を含む溶媒(S)に溶解してなる。
ここで、沸点は、1013hPaにおける沸点をいう(本明細書において同じ。)
有機溶媒(SH)としては、沸点が254℃以上300℃以下であり、かつ、前記ポリシルセスキオキサン化合物(A)を溶解可能な溶媒であれば特に制限されない。
このような高沸点の有機溶媒(SH)を含む溶媒(S)は、揮発速度が比較的遅いため、溶媒(S)を用いた本発明の接着剤は、塗布後に長時間放置されても、粘度変化が小さく、塗布直後と同様に、光素子を良好にマウントすることが可能となる。
有機溶媒(SH)としては、具体的には、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点274℃)、1,6-へキサンジオールジアクリレート(沸点260℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点264~294℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点290~310℃)等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶媒(SH)としては、本発明の効果がより得られやすい観点から、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
有機溶媒(SH)は1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒(S)中の有機溶媒(SH)の含有量は、用いる有機溶媒(SH)の種類等にもよるが、本発明の効果がより得られやすい観点から、溶媒(S)に対し、通常10~100質量%、好ましくは20~100質量%、より好ましくは20~90質量%である。
本発明において用いる溶媒(S)は、本発明の効果がより得られやすい観点から、1種又は2種以上の有機溶媒からなり、「沸点の平均値」が、254℃以上280℃以下であるのが好ましい。
ここで「沸点の平均値」とは、溶媒(S)を構成する各有機溶媒の沸点(℃)と、溶媒(S)全体を1としたときの各有機溶媒の質量分率との積の総和で表される値である。
より具体的には、「沸点の平均値」は、下記式で表される値である。
Figure 0006990033000006
式中、nは溶媒(S)に含有される有機溶媒の数を表す。例えば、2種の有機溶媒を使用する場合はn=2となり、3種の有機溶媒を使用する場合はn=3となる。なお、nの上限は特に制限されないが、コストなどの観点より、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。Σは合計を表す。
Riは、溶媒(S)に含まれるi番目の有機溶媒の、溶媒(S)全量に対する質量分率(i番目の有機溶媒の質量/溶媒(S)の質量)を表す。Tiは、溶媒(S)に含まれるi番目の有機溶媒の沸点(℃)を表す。iは1からnの整数を表す。
例えば、溶媒(S)が、三種類の有機溶媒Sx、Sy、Szからなる溶媒(S-1)である場合(有機溶媒Sxの沸点:T、有機溶媒Syの沸点:T、有機溶媒Szの沸点:T)、溶媒(S-1)の沸点の平均値は、下記式で求められる。
Figure 0006990033000007
また、溶媒(S)が、1種の有機溶媒(SH)のみからなる溶媒(S-2)である場合、n=1となり、溶媒(S-2)の沸点値が、溶媒(S-2)の「沸点の平均値」となる。
溶媒(S)が2種以上の有機溶媒を含有する場合、2種以上の有機溶媒(SH)からなるものであってもよいし、有機溶媒(SH)と有機溶媒(SH)以外の有機溶媒からなるものであってもよい。
有機溶媒(SH)以外の有機溶媒としては、有機溶媒(SH)以外の有機溶媒を含む溶媒(S)が、前記ポリシルセスキオキサン化合物(A)を溶解可能なものであれば特に制限されないが、後述する有機溶媒(SL)であるのが好ましい。
なかでも、本発明に用いる溶媒(S)は、前記有機溶媒(SH)の他、沸点が200℃以上254℃未満の有機溶媒(SL)を含むものが好ましく、有機溶媒(SH)と有機溶媒(SL)のみを含むものがより好ましい。
有機溶媒(SL)としては、沸点が200℃以上254℃未満であり、かつ、前記ポリシルセスキオキサン化合物(A)を溶解可能な溶媒であれば特に制限されない。
溶媒(S)に、有機溶媒(SH)より沸点の低い有機溶媒(SL)を含有させることで、硬化不良による接着力低下を抑えることができる。
有機溶媒(SL)の具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃)、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点229℃)、ベンジルアルコール(沸点204.9℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点209℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃)、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル(沸点212℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点215℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点216℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点217.4℃)、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点230℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点245℃)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸点242℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(沸点243℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶媒(SL)としては、本発明の効果が得られやすい観点から、グリコール系溶媒が好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートがより好ましい。
溶媒(S)が、有機溶媒(SL)を含有する場合、有機溶媒(SH)と有機溶媒(SL)の含有割合〔有機溶媒(SH):有機溶媒(SL)〕(質量比)は、本発明の効果がより得られやすい観点から、20:80~85:15であるのが好ましく、30:70~85:15であるのがより好ましく、50:50~80:20であるのがさらに好ましい。このような割合で有機溶媒(SH)と有機溶媒(SL)を含有する溶媒(S)を用いることにより、接着性、及び、濡れ広がり性(後述)が適度にバランスされた接着剤を得ることができる。
また、有機溶媒(SH)が極性を有する有機溶媒である場合、併用する有機溶媒は、極性の低い有機溶媒であるのが好ましい。極性の高い有機溶媒と極性の低い有機溶媒を併用することで、適度なチキソ性を有する接着剤を得ることができる。
ここでチキソ性とは、力を加えると粘度が下がって容易に変形し、放置しておく(静止する)と再び粘度が上がる性質をいう。
接着剤は、適度なチキソ性を有することで、塗工性に優れたものとなる。
チキソ性は、公知のレオメーターにて、例えば、コーン半径:50mm、コーン角度0.5°のコーンプレートを用い、25℃で、回転数2s-1及び200s-1での粘度を測定し、回転数2s-1で測定された粘度を、回転数200s-1で測定された粘度で除して得られる値を、チキソ指数として評価することができる。
本発明の接着剤は、チキソ指数が2以上であるのが好ましく、3以上であるのがより好ましい。チキソ指数の上限は、特に制約はないが、通常20以下であるのが好ましく、15以下であるのがより好ましく、12以下であるのが特に好ましい。
溶媒(S)として、有機溶媒(SH)と有機溶媒(SL)を用いる場合、具体的には、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(有機溶媒(SH))とジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(有機溶媒(SL))の組み合わせ、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(有機溶媒(SH))と、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(有機溶媒(SL))の組み合わせ、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(有機溶媒(SH))とジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(有機溶媒(SL))の組み合わせ、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(有機溶媒(SH))とジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(有機溶媒(SL))の組み合わせが好ましい。
溶媒(S)の使用量は、本発明の接着剤の固形分濃度が、50質量%以上80質量%以下になる量が好ましく、60質量%以上80質量%以下になる量がより好ましい。
このような量の溶媒(S)を用いることにより、本発明の効果が得られやすくなる。
(3)その他の成分
本発明の接着剤は、前記ポリシルセスキオキサン化合物(A)(以下、「(A)成分」ということがある。)を溶媒(S)に溶解してなるものであるが、以下に示す成分を含有していてもよい。
本発明の接着剤は、前記(A)成分及び溶媒(S)の他、平均一次粒子径が5~40nmの微粒子(以下、「(B)成分)ということがある。」を含有していてもよい。本発明の接着剤に(B)成分を含有させることにより、塗布工程における作業性の向上を図ることができる。
ここで、塗布工程における作業性に優れるとは、塗布工程において、接着剤を吐出管から吐出し、次いで吐出管を引き上げる際、糸引き量が少ないか、又はすぐに途切れて、樹脂飛びしたり、塗布後に液滴が広がることにより、周囲を汚染したりすることがないことをいう。
微粒子の平均一次粒子径は、好ましくは5nm以上30nm以下、より好ましくは5nm以上20nm以下である。
(B)成分の微粒子の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて微粒子の形状を観察することにより求められる。
(B)成分の微粒子の比表面積は、好ましくは10m/g以上500m/g以下、より好ましくは20m/g以上300m/g以下である。比表面積が上記範囲内であることで、塗布工程における作業性により優れる接着剤が得られ易くなる。
比表面積は、BET多点法により求めることができる。
微粒子の形状は、球状、鎖状、針状、板状、片状、棒状、繊維状等のいずれであってもよいが、球状であるのが好ましい。ここで、球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形、金平糖状、まゆ状等球体に近似できる多面体形状を含む略球状を意味する。
微粒子の構成成分としては、特に制限はなく、金属、金属酸化物、鉱物、シリコーン、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属水酸化物、金属珪酸塩、無機成分、有機成分等が挙げられる。用いる微粒子は表面が修飾されたものであってもよい。
金属とは、周期表における、1族(Hを除く)、2~11族、12族(Hgを除く)、13族(Bを除く)、14族(C及びSiを除く)、15族(N、P、As及びSbを除く)、又は16族(O、S、Se、Te及びPoを除く)に属する元素をいう。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、及びこれらの複合酸化物等が挙げられる。金属酸化物の微粒子には、これらの金属酸化物からなるゾル粒子も含まれる。
鉱物としては、スメクタイト、ベントナイト等が挙げられる。
スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ノントロナイト、ソーコナイト等が挙げられる。
これらの微粒子は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
シリコーンとは、シロキサン結合による主骨格を持つ、人工高分子化合物を意味する。例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が、金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム等が、金属珪酸塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等が挙げられる。
また、無機成分としては、シリカ等が挙げられる。シリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、表面修飾シリカ(表面が修飾されたシリカ)等が挙げられる。
有機成分としては、アクリル系重合体等が挙げられる。
これらの中でも、本発明においては、透明性に優れる接着剤が得られ易いことから、シリカ、金属酸化物、鉱物が好ましく、シリカがより好ましい。
シリカの中でも、表面修飾シリカが好ましく、疎水性の表面修飾シリカがより好ましい。
疎水性の表面修飾シリカとしては、表面に、トリメチルシリル基等のトリ炭素数1~20のトリアルキルシリル基;ジメチルシリル基等のジ炭素数1~20のアルキルシリル基;オクチルシリル基等の炭素数1~20のアルキルシリル基;を結合させたシリカ;シリコーンオイルで表面を処理したシリカ;等が挙げられる。
疎水性の表面修飾シリカは、例えば、シリカ粒子に、トリ炭素数1~20のトリアルキルシリル基、ジ炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20のアルキルシリル基等を有するシランカップリング剤を用いて表面修飾することにより、あるいは、シリカ粒子をシリコーンオイルで処理することにより得ることができる。また、表面修飾シリカとして市販されているものをそのまま用いることもできる。
(B)成分を使用する場合、その使用量は、(A)成分と(B)成分の使用割合が、(A)成分と(B)成分の質量比〔(A)成分:(B)成分〕で、好ましくは100:0.1~100:90、より好ましくは100:0.2~100:60、より好ましくは100:0.3~100:50、より好ましくは100:0.5~100:40、より好ましくは100:0.8~100:30となる量である。(B)成分を上記範囲で用いることにより、(B)成分を加える効果をより発現することができる。
本発明の接着剤は、平均一次粒子径が0.04μm超、8μm以下の微粒子(以下、「(C)成分」ということがある。)を含有していてもよい。
(C)成分を用いることにより、より優れた耐剥離性及び接着力を得ることができる。微粒子としては、特に制限はなく、無機物からなる微粒子であっても、有機物からなる微粒子であってもよい。
微粒子の構成成分としては、金属;金属酸化物;鉱物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等の金属珪酸塩;シリカ;シリコーン;シリコーンで表面が被覆された金属酸化物;等の無機物;ポリシルセスキオキサン;アクリルビーズ等の有機物;が挙げられる。
金属、金属酸化物、鉱物、シリカ、シリコーンとしては、前記(B)成分として例示したものと同様のものが挙げられる。
これらの微粒子は2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、(C)成分としては、シリコーンで表面が被覆された金属酸化物、シリカ及びシリコーンからなる群から選ばれる少なくとも一種の微粒子が好ましく、シリカ、シリコーンがより好ましい。
微粒子の形状は、球状、鎖状、針状、板状、片状、棒状、繊維状等のいずれであってもよいが、(B)成分と同様に、球状であるのが好ましい。
微粒子の平均一次粒子径は、0.04μm超、8μm以下である。0.04μmより大きいと微粒子の添加の効果が得られる。8μm以下であると得られる接着剤の分散性が良好なものとなる。
平均一次粒子径としては、耐剥離性と分散性を両立させる観点から、0.06~7μmがより好ましく、0.3~6μmがさらに好ましく、1~4μmが特に好ましい。
(C)成分の平均一次粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、製品名「LA-920」)等を用いて、レーザー散乱法による粒度分布の測定を行うことにより求められる。
(C)成分の使用量は、前記(A)成分と(C)成分の使用割合が、(A)成分と(C)成分の質量比〔(A)成分:(C)成分〕で、好ましくは100:0.1~100:40、より好ましくは100:0.2~100:30、より好ましくは100:0.3~100:20、さらに好ましくは100:0.5~100:15、特に好ましくは100:0.8~100:12となる量である。(C)成分を上記範囲で用いることにより、(C)成分を加える効果をより発現することができる。
なお、(B)成分と(C)成分とは、材料が同一物質であってもよいし、同一物質でなくてもよい。
本発明の接着剤は、(D)成分として、分子内に窒素原子を有するシランカップリング剤(以下、「シランカップリング剤(D)」ということがある。)を含有してもよい。
(D)成分を含有する接着剤は、塗布工程における作業性により優れ、かつ、接着性、耐剥離性、及び耐熱性により優れる接着剤を与える。
シランカップリング剤(D)としては、分子内に窒素原子を有するシランカップリング剤であれば特に制限はない。例えば、下記式(d-1)で表されるトリアルコキシシラン化合物、式(d-2)で表されるジアルコキシアルキルシラン化合物又はジアルコキシアリールシラン化合物等が挙げられる。
Figure 0006990033000008
上記式中、Rは、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。複数のR同士は同一であっても相異なっていてもよい。
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基等の炭素数1~6のアルキル基;又は、フェニル基、4-クロロフェニル基、4-メチルフェニル基、1-ナフチル基等の、置換基を有する、又は置換基を有さないアリール基;を表す。
は、窒素原子を有する、炭素数1~10の有機基を表す。また、Rは、さらに他のケイ素原子を含む基と結合していてもよい。
の炭素数1~10の有機基の具体例としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル基、3-アミノプロピル基、N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)アミノプロピル基、3-ウレイドプロピル基、N-フェニル-アミノプロピル基等が挙げられる。
前記式(d-1)又は(d-2)で表される化合物のうち、Rが、他のケイ素原子を含む基と結合した有機基である場合の化合物としては、イソシアヌレート骨格を介して他のケイ素原子と結合してイソシアヌレート系シランカップリング剤を構成するものや、ウレア骨格を介して他のケイ素原子と結合してウレア系シランカップリング剤を構成するものが挙げられる。
これらの中でも、シランカップリング剤(D)としては、より高い接着力を有する接着剤が得られ易いことから、イソシアヌレート系シランカップリング剤、及びウレア系シランカップリング剤が好ましく、さらに、分子内に、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するものが好ましい。
ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するとは、同一のケイ素原子に結合したアルコキシ基と、異なるケイ素原子に結合したアルコキシ基との総合計数が4以上という意味である。
ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するイソシアヌレート系シランカップリング剤としては、下記式(d-3)で表される化合物が、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するウレア系シランカップリング剤としては、下記式(d-4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006990033000009
式中、Rは前記と同じ意味を表す。t1~t5はそれぞれ独立して、1~10の整数を表し、1~6の整数であるのが好ましく、3であるのが特に好ましい。
式(d-3)で表される化合物の具体例としては、1,3,5-N-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-トリイソプロポキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-トリブトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等の1,3,5-N-トリス〔(トリ(炭素数1~6)アルコキシ)シリル(炭素数1~10)アルキル〕イソシアヌレート;
1,3,5,-N-トリス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジメトキシイソプロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジメトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジメトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジエトキシイソプロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジエトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジエトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジイソプロポキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジイソプロポキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジイソプロポキシイソプロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジイソプロポキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジイソプロポキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジブトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジブトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジブトキシイソプロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジブトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5,-N-トリス(3-ジブトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート等の1,3,5-N-トリス〔(ジ(炭素数1~6)アルコキシ)アルキル(又はアリール)シリル(炭素数1~10)アルキル〕イソシアヌレート;等が挙げられる。
式(d-4)で表される化合物の具体例としては、N,N’-ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリブトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ウレア等のN,N’-ビス〔(トリ(炭素数1~6)アルコキシシリル)(炭素数1~10)アルキル〕ウレア;
N,N’-ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)ウレア等のN,N’-ビス〔(ジ(炭素数1~6)アルコキシ(炭素数1~6)アルキルシリル(炭素数1~10)アルキル)ウレア;
N,N’-ビス(3-ジメトキシフェニルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジエトキシフェニルシリルプロピル)ウレア等のN,N’-ビス〔(ジ(炭素数1~6)アルコキシ(炭素数6~20)アリールシリル(炭素数1~10)アルキル)ウレア;等が挙げられる。
シランカップリング剤(D)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、シランカップリング剤(D)としては、1,3,5-N-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(以下、「イソシアヌレート化合物」という。)、N,N’-ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア(以下、「ウレア化合物」という。)、及び、前記イソシアヌレート化合物とウレア化合物との組み合わせを用いるのが好ましい。
前記イソシアヌレート化合物とウレア化合物とを組み合わせて用いる場合、両者の使用割合は、(イソシアヌレート化合物)と(ウレア化合物)の質量比で、100:1~100:200であるのが好ましく、100:10~100:110がより好ましい。このような割合で、イソシアヌレート化合物とウレア化合物とを組み合わせて用いることにより、耐熱性及び接着性により優れる接着剤を得ることができる。
本発明の接着剤が(D)成分を含有する場合、(D)成分の含有量は、特に限定されないが、前記(A)成分と(D)成分の質量比〔(A)成分:(D)成分〕で、好ましくは100:0.1~100:90、より好ましくは100:0.5~100:70、より好ましくは100:1~100:55、より好ましくは100:3~100:45、さらに好ましくは100:5~100:35となる量である。(D)成分を上記範囲で用いることにより、(D)成分を加える効果をより発現することができる。
本発明の接着剤は、(E)成分として、分子内に酸無水物構造を有するシランカップリング剤(以下、「シランカップリング剤(E)」ということがある。)を含有してもよい。
シランカップリング剤(E)は、一つの分子中に、酸無水物構造を有する基(Q)と、加水分解性基(R)の両者を併せ持つ有機ケイ素化合物である。具体的には下記式(e
-1)で表される化合物である。
(E)成分を含有する接着剤は、塗布工程における作業性により優れ、かつ、接着性、耐剥離性、及び耐熱性により優れる。
Figure 0006990033000010
式中、Qは酸無水物構造を表し、Rは炭素数1~6のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないフェニル基を表し、Rは炭素数1~6のアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、i、kは1~3の整数を表し、jは0~2の整数を表し、i+j+k=4である。jが2であるとき、R同士は同一であっても相異なっていてもよい。kが2又は3のとき、複数のR同士は同一であっても相異なっていてもよい。iが2又は3のとき、複数のQ同士は同一であっても相異なっていてもよい。
Qとしては、下記式
Figure 0006990033000011
(式中、hは0~10の整数を表す。)で表される基等が挙げられ、(Q1)で表される基が特に好ましい。
式(e-1)中、Rの炭素数1~6のアルキル基としては、前記Rで表される炭素数1~6のアルキル基として例示したのと同様の基が挙げられ、置換基を有する、又は置換基を有さないフェニル基としては、前記Rで例示したのと同様の基が挙げられる。
の炭素数1~6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。
のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
これらの中でも、式(e-1)で表される化合物としては、下記式(e-2)
Figure 0006990033000012
(式中、R、h、i、j、kは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物が好ましい。式中、hは2~8であるのが好ましく、2又は3であるのがより好ましく、3であるのが特に好ましい。
前記式(e-2)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、2-(トリメトキシシリル)エチル無水コハク酸、2-(トリエトキシシリル)エチル無水コハク酸、3-(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸、3-(トリエトキシシリル)プロピル無水コハク酸等の、トリ(炭素数1~6)アルコキシシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(ジメトキシメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ジ(炭素数1~6)アルコキシメチルシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(メトキシジメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、(炭素数1~6)アルコキシジメチルシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(トリクロロシリル)エチル無水コハク酸、2-(トリブロモシリル)エチル無水コハク酸等の、トリハロゲノシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(ジクロロメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ジハロゲノメチルシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(クロロジメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ハロゲノジメチルシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;等が挙げられる。
シランカップリング剤(E)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、シランカップリング剤(E)としては、トリ(炭素数1~6)アルコキシシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸が好ましく、3-(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸、3-(トリエトキシシリル)プロピル無水コハク酸が特に好ましい。
本発明の接着剤が(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、特に限定されないが、前記(A)成分と(E)成分の質量比〔(A)成分:(E)成分〕で、好ましくは100:0.01~100:40、より好ましくは100:0.01~100:30、より好ましくは100:0.1~100:10である。(E)成分を上記範囲で用いることにより、(E)成分を加える効果をより発現することができる。
本発明の接着剤には、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記成分に、さらに他の成分を含有させてもよい。
他の成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。
酸化防止剤は、加熱時の酸化劣化を防止するために添加される。酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ホスファイト類、オキサホスファフェナントレンオキサイド類等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、モノフェノール類、ビスフェノール類、高分子型フェノール類等が挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の使用量は、(A)成分に対して、通常、10質量%以下である。
紫外線吸収剤は、得られる接着剤の耐光性を向上させる目的で添加される。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等が挙げられる。
紫外線吸収剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤の使用量は、(A)成分に対して、通常、10質量%以下である。
光安定剤は、得られる接着剤の耐光性を向上させる目的で添加される。
光安定剤としては、例えば、ポリ[{6-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)イミノ}]等のヒンダードアミン類等が挙げられる。
これらの光安定剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの他の成分の総使用量は、(A)成分に対して、通常、20質量%以下である。
(4)接着剤
本発明の接着剤は、前記(A)成分を溶媒(S)に溶解してなるものである。本発明の接着剤には、所望により、さらに前記(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、及び前記他の成分が所定量含まれていてもよい。
本発明の接着剤は、具体的には、後述する、本発明の「接着剤の製造方法」により、効率よく製造することができる。
本発明の接着剤は、塗布後長時間経過後であっても、塗布直後と同様に、光素子を良好にマウントすることができる。塗布後の経過時間は、通常20分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは60分以上である。
また、本発明の接着剤は接着性に優れる。
本発明の接着剤が、塗布後長時間経過後も、塗布直後と同様に、光素子を良好にマウントすることができることは、例えば、濡れ広がり性が優れることから確認することができる。
濡れ広がり性評価は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、接着剤を、基板(ステンレス板、SUS304、表面600番研磨)上に、直径0.5mmとなるように滴下(塗布)し、標準環境下に静置する。一定時間経過後、塗布された接着剤を半分に切るように上から針で掻いて、接着剤の液滴に針の掻き跡を付ける。針で掻いた後10秒以内に、針の掻き跡が消えて見えなくなるか否かを観察する。
10秒以内に、針の掻き跡が消えた場合はさらに静置を続け、10秒以内に針の掻き跡が消えなくなる状態になるまで、一定時間経過ごとに、同じ観察を繰り返す。最終的に、10秒以内に針の掻き跡が消えなくなる状態になるまでの静置時間N(分)を評価する。
静置時間Nが長いほど、濡れ広がり性に優れる。
本発明の接着剤においては、静置時間Nは、20分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは60分以上であり、濡れ広がり性に優れる。
本発明の接着剤は、接着性に優れる。
本発明の接着剤が、接着性に優れることは、例えば、次のようにして確認することができる。すなわち、一辺の長さが2mmの正方形(面積が4mm)のシリコンチップのミラー面に、本発明の接着剤を厚さが約2μmになるよう塗布し、塗布面を銀メッキ銅板の上に載せ圧着し、170℃で2時間加熱処理して硬化させる。これをボンドテスターの測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から100μmの高さの位置より、スピード200μm/sで接着面に対し水平方向(せん断方向)に応力をかけ、試験片と被着体との接着力(N/4mm)を測定する。
本発明の接着剤の接着力は、23℃において、70N/4mm以上であることが好ましく、75N/4mm以上であることがより好ましく、100N/4mm以上であることが特に好ましい。
本発明の接着剤は、光素子の固定用の接着剤である。本発明において固定する光素子としては、LED、LD等の発光素子、受光素子、複合光素子、光集積回路等が挙げられる。
本発明の接着剤は、接着の対象とする材料(光素子とその基板等)の一方又は両方の接着面に塗布され、圧着され、加熱硬化されることにより、接着の対象とする材料同士を強固に接着させることができる。
本発明の接着剤の塗布量は、特に限定されず、硬化させることにより、接着の対象とする材料同士を強固に接着することができる量であればよい。通常、接着剤の塗膜の厚みが0.5μm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下となる量である。
光素子を接着するための基板材料としては、ソーダライムガラス、耐熱性硬質ガラス等のガラス類;セラミックス;サファイア;鉄、銅、アルミニウム、金、銀、白金、クロム、チタン及びこれらの金属の合金、ステンレス(SUS302、SUS304、SUS304L、SUS309等)等の金属類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂;等が挙げられる。
加熱硬化させる際の加熱温度は、通常100℃以上200℃以下である。加熱時間は、通常10分から20時間、好ましくは30分から10時間である。
本発明の接着剤を用いて得られる光デバイスは、光素子が高い接着力で固定された、耐久性に優れたものとなる。
2)接着剤の製造方法
本発明の接着剤の製造方法は、下記工程(I)及び工程(II)を有することを特徴とする。
工程(I):下記式(a-2)
Figure 0006990033000013
で示される化合物の少なくとも1種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物(A)を得る工程
工程(II):工程(I)で得られたポリシルセスキオキサン化合物(A)を、沸点254℃~300℃の有機溶媒(SH)を含む溶媒(S)に溶解させる工程
前記式中、R、R、X、pは前記と同じ意味を表す。
工程(I)の前記式(a-2)で示される化合物の少なくとも1種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物(A)を得る方法としては、1)接着剤の項で例示したのと同様の方法が挙げられる。また、工程(II)で用いる有機溶媒(SH)、溶媒(S)は、1)接着剤の項で有機溶媒(SH)、溶媒(S)として例示したのと同様のものが挙げられる。
工程(II)において、ポリシルセスキオキサン化合物(A)を有機溶媒(SH)を含む溶媒(S)に溶解する方法としては、例えば、ポリシルセスキオキサン化合物(A)、所望により前記(B)成分~(E)成分、及び、他の成分を、溶媒(S)と混合、脱泡し、溶解する方法が挙げられる。
混合方法、脱泡方法は特に限定されず、公知の方法を利用することができる。
混合する順番は特に限定されない。
本発明の製造方法によれば、本発明の接着剤を、効率よく簡便に製造することができる。
次に実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」、「部」は質量基準である。
(平均分子量測定)
製造例で得たポリシルセスキオキサン化合物の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、標準ポリスチレン換算値とし、以下の装置及び条件にて測定した。
装置名:HLC-8220GPC、東ソー株式会社製
カラム:TSKgelGMHXL、TSKgelGMHXL、及び、TSKgel2000HXLを順次連結したもの
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:80μl
測定温度:40℃
流速:1ml/分
検出器:示差屈折計
(IRスペクトルの測定)
製造例で得たポリシルセスキオキサン化合物のIRスペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(パーキンエルマー社製、Spectrum100)を使用して測定した。
29Si-NMR測定)
装置:ブルカー・バイオスピン社製 AV-500
29Si-NMR共鳴周波数:99.352MHz
プローブ:5mmφ溶液プローブ
測定温度:室温(25℃)
試料回転数:20kHz
測定法:インバースゲートデカップリング法
29Si フリップ角:90°
29Si 90°パルス幅:8.0μs
繰り返し時間:5s
積算回数:9200回
観測幅:30kHz
29Si-NMR試料作製方法〉
緩和時間短縮のため、緩和試薬としてFe(acac)を添加し測定した。
ポリシルセスキオキサン濃度:15%
Fe(acac)濃度:0.6%
測定溶媒:DMSO
内部標準:TMS
〈波形処理解析〉
フーリエ変換後のスペクトルの各ピークについて、ピークトップの位置によりケミカルシフトを求め、積分を行った。
(製造例1)
300mlのナス型フラスコに、メチルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBE-13」)71.37g(400mmol)を仕込んだ後、蒸留水21.6mlに35%塩酸0.10g(シラン化合物の合計量に対して0.25mol%)を溶解した水溶液を撹拌しながら加え、全容を30℃にて2時間、次いで70℃に昇温して5時間撹拌したのち、反応液を室温(23℃)まで戻し、酢酸プロピルを140g加えた。ここに、28%アンモニア水0.12g(シラン化合物の合計量に対して0.5mol%)を、全容を撹拌しながら加え、70℃に昇温して3時間さらに撹拌した。反応液に精製水を加え、分液し、水層のpHが7.0になるまでこの操作を繰り返した。有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮物を真空乾燥することにより、ポリシルセスキオキサン化合物(A1)を55.7g得た。このものの質量平均分子量(Mw)は7800、分子量分布(Mw/Mn)は4.52であった。
ポリシルセスキオキサン化合物(A1)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si-CH:1272cm-1,1409cm-1,Si-O:1132cm-1
また、29Si-NMRスペクトル測定を行った結果、T1、T2、T3のピーク積分値比は、0:24.3:75.7であった。
(製造例2)
300mlのナス型フラスコに、フェニルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)20.2g(102mmol)と、2-シアノエチルトリメトキシシラン(アヅマックス社製)3.15g(18mmol)、並びに、溶媒として、アセトン96ml及び蒸留水24mlを仕込んだ後、内容物を攪拌しながら、触媒としてリン酸(関東化学社製)0.15g(1.5mmol)を加え、25℃でさらに16時間攪拌した。
反応終了後、反応液をエバポレーターで50mlまで濃縮し、濃縮物に酢酸エチル100mlを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和した。しばらく静置した後、有機層を分取した。次いで、有機層を蒸留水にて2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別後、ろ液をエバポレーターにて50mlまで濃縮し、得られた濃縮物を多量のn-ヘキサン中に滴下して沈殿させ、沈殿物をデカンテーションにより分離した。得られた沈殿物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解させて回収し、エバポレーターで溶媒を減圧留去した。残留物を真空乾燥することにより、ポリシルセスキオキサン化合物(A2)を13.5g得た。このものの質量平均分子量(Mw)は1,870、分子量分布(Mw/Mn)は1.42であった。
ポリシルセスキオキサン化合物(A2)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si-Ph:698cm-1,740cm-1,Si-O:1132cm-1,-CN:2259cm-1
また、ポリシルセスキオキサン化合物(A2)の29Si-NMRスペクトル測定を行った結果、T1、T2、T3のピーク積分値比は、0:33.4:66.6であった。
(実施例1)
製造例1で得たポリシルセスキオキサン化合物(A1)100質量部に、平均一次粒子径が7nmのシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製:AEROSIL RX300、下記表中、「微粒子(B1)」という。)25質量部、平均一次粒子径が0.8μmのシリコーン微粒子(日興リカ株式会社製:MSP-SN08、下記表中、「微粒子(C1)」という。)10質量部を加えた。更に、有機溶媒(SL)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC、沸点247℃)と、有機溶媒(SH)としてのトリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(TPnB、沸点274℃)との混合溶媒(BDGAC:TPnB=30:70(質量比))を、60質量部加え、全容を攪拌した。三本ロールミルによる分散処理後、シランカップリング剤としての1,3,5-N-トリス〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕イソシアヌレート(信越化学工業株式会社製:KBM-9659、下記表中「シランカップリング剤(D1)」という。)30質量部、3-(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(信越化学工業株式会社製:X-12-967C、下記表中「シランカップリング剤(E1)」という。)3質量部を加え、全容を十分に混合、脱泡することにより、接着剤1を得た。
(実施例2~16、比較例1、2)
実施例1において、ポリシルセスキオキサン化合物(PSQ化合物)、有機溶媒(SL)、有機溶媒(SH)、微粒子、シランカップリング剤の種類及び使用割合を、下記表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤2~16及び接着剤1r、2rを得た。
下記表中、有機溶媒(SH)のHDDAは、1,6-へキサンジオールジアクリレート(沸点260℃)を表し、有機溶媒(SL)のDPnBは、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点229℃)を表す。
実施例及び比較例で得られた接着剤1~16及び1r、2rを用いて、それぞれ以下の試験を行った。結果を表1に示す。
表1中、「沸点の平均値〔℃〕」は、各有機溶媒の沸点(℃)と、溶媒(S)全体を1としたときの各有機溶媒の質量分率との積の総和で表される値である。
[接着力評価]
一辺の長さが2mmの正方形(面積が4mm)のシリコンチップのミラー面に、実施例及び比較例で得た接着剤を、それぞれ、厚さが約2μmになるように塗布し、塗布面を被着体(銀メッキ銅板)の上に載せ圧着した。その後、170℃で2時間加熱処理して硬化させて試験片付被着体を得た。この試験片付被着体を、ボンドテスター(デイジ社製、シリーズ4000)の測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から100μmの高さの位置より、スピード200μm/sで接着面に対し水平方向(せん断方向)に応力をかけ、23℃における、試験片と被着体との接着力(N/4mm)を測定した。
[粘度評価(チキソ指数)]
レオメーター(Anton Paar社製、MCR301)にて、コーン半径:50mm、コーン角度0.5°のコーンプレートを用い、25℃で、回転数2s-1及び200s-1での粘度を測定した。回転数2s-1で測定された粘度を、回転数200s-1で測定された粘度で除して得られる値を、チキソ指数とした。
[濡れ広がり性評価]
実施例及び比較例で得た接着剤を、基板(ステンレス板、SUS304、表面600番研磨)上に、直径0.5mmとなるように滴下(塗布)し、標準環境下に静置した。一定時間経過後、塗布された接着剤を半分に切るように針で掻き、10秒以内に、針の掻き跡が消えて見えなくなるか否かを観察した。
10秒以内に、針の掻き跡が消えた場合は静置を続け、10秒以内に針の掻き跡が消えなくなる状態になるまで、一定時間経過ごとに、同じ観察を繰り返した。最終的に、10秒以内に針の掻き跡が消えなくなる状態になるまでの静置時間N(分)を測定した。
下記表中、静置時間Nが60分超えの場合は、「>60」と記載する。
Figure 0006990033000014
表1から以下のことが分かる。
実施例1~16の接着剤1~16は、チキソ指数が2以上であり、濡れ広がり性評価が20分以上であり、接着力も70(N/4mm)以上と高いものであった。特に、実施例1~8及び実施例12、16では、濡れ広がり性に優れ(静置時間Nが50分以上)、接着剤塗布後に放置されても粘度上昇が少なく、チップマウントが長時間可能な接着剤が得られた。
一方、比較例1、2の接着剤1r、2rは、濡れ広がり性に劣り(静置時間Nが15分以下)、接着剤塗布後に放置されると、実施例の接着剤に比して、短時間でチップマウントに不利になることが分かる。

Claims (12)

  1. 下記式(a-1)
    Figure 0006990033000015
    (式中、Rは、置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。)
    で示される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物を溶媒(S)に溶解してなる光素子用接着剤であって、
    前記溶媒(S)が、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒(SH)を含み、かつ、前記溶媒(S)が1種又は2種以上の有機溶媒からなり、各有機溶媒の沸点(℃)と、溶媒(S)全体を1としたときの各有機溶媒の質量分率との積の総和で表される値を沸点の平均値としたとき、沸点の平均値が254℃以上280℃以下であることを特徴とする光素子用接着剤。
  2. 下記式(a-1)
    Figure 0006990033000016
    (式中、Rは、置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。)
    で示される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物を溶媒(S)に溶解してなる光素子用接着剤であって、
    前記溶媒(S)が、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒(SH)、及び、沸点が247℃以上254℃未満の有機溶媒(SLα)のみからなるものであり、
    前記溶媒(S)中における、有機溶媒(SH)と有機溶媒(SLα)の含有割合〔有機溶媒(SH):有機溶媒(SLα)〕(質量比)が、50:50~85:15であることを特徴とする光素子用接着剤。
  3. 下記式(a-1)
    Figure 0006990033000017
    (式中、Rは、置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。)
    で示される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物を溶媒(S)に溶解してなる光素子用接着剤であって、
    前記溶媒(S)が、1種又は2種以上の、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒(SH)のみからなる溶媒であることを特徴とする光素子用接着剤。
  4. 前記有機溶媒(SH)が溶媒(S)全体の20質量%以上を占めることを特徴とする請求項1に記載の光素子用接着剤。
  5. 前記溶媒(S)が、沸点が200℃以上254℃未満の有機溶媒(SL)を含む、請求項1に記載の光素子用接着剤。
  6. 前記溶媒(S)中における、有機溶媒(SH)と有機溶媒(SL)の含有割合〔有機溶媒(SH):有機溶媒(SL)〕(質量比)が、20:80~85:15である、請求項5に記載の光素子用接着剤。
  7. 前記溶媒(S)が1種又は2種以上の有機溶媒からなり、各有機溶媒の沸点(℃)と、溶媒(S)全体を1としたときの各有機溶媒の質量分率との積の総和で表される値を沸点の平均値としたとき、沸点の平均値が254℃以上280℃以下である、請求項2又は3に記載の光素子用接着剤。
  8. 前記有機溶媒(SH)が、沸点が274℃以上300℃以下の有機溶媒である、請求項1~7のいずれか1項に記載の光素子用接着剤。
  9. 前記有機溶媒(SH)が、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の光素子用接着剤。
  10. 下記工程(I)及び工程(II)を有する、請求項1に記載の光素子用接着剤の製造方法。
    工程(I):下記式(a-2)
    Figure 0006990033000018
    (式中、Rは置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0~3の整数を表す。複数のR及び複数のXはそれぞれ、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。)
    で示される化合物の少なくとも1種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物を得る工程
    工程(II):工程(I)で得られたポリシルセスキオキサン化合物を、沸点が254℃~300℃の有機溶媒(SH)を含む1種又は2種以上の有機溶媒からなり、かつ、各有機溶媒の沸点(℃)と、溶媒(S)全体を1としたときの各有機溶媒の質量分率との積の総和で表される値を沸点の平均値としたとき、沸点の平均値が254℃以上280℃以下である溶媒(S)に溶解させる工程
  11. 下記工程(I)及び工程(II)を有する、請求項2に記載の光素子用接着剤の製造方法。
    工程(I):下記式(a-2)
    Figure 0006990033000019
    (式中、Rは置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0~3の整数を表す。複数のR及び複数のXはそれぞれ、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。)
    で示される化合物の少なくとも1種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物を得る工程
    工程(II):工程(I)で得られたポリシルセスキオキサン化合物を、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒(SH)、及び、沸点が247℃以上254℃未満の有機溶媒(SLα)のみからなる溶媒(S)であって、溶媒(S)中における、有機溶媒(SH)と有機溶媒(SLα)の含有割合〔有機溶媒(SH):有機溶媒(SLα)〕(質量比)が、50:50~85:15である溶媒(S)に溶解させる工程
  12. 下記工程(I)及び工程(II)を有する、請求項3に記載の光素子用接着剤の製造方法。
    工程(I):下記式(a-2)
    Figure 0006990033000020
    (式中、Rは置換基を有する、若しくは置換基を有さない炭素数1~10のアルキル基、又は、置換基を有する、若しくは置換基を有さないアリール基を表す。Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0~3の整数を表す。複数のR及び複数のXはそれぞれ、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。)
    で示される化合物の少なくとも1種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物を得る工程
    工程(II):工程(I)で得られたポリシルセスキオキサン化合物を、1種又は2種以上の、沸点が254℃以上300℃以下である有機溶媒(SH)のみからなる有機溶媒(S)に溶解させる工程
JP2017066753A 2017-03-30 2017-03-30 光素子用接着剤及びその製造方法 Active JP6990033B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017066753A JP6990033B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 光素子用接着剤及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017066753A JP6990033B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 光素子用接着剤及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018168286A JP2018168286A (ja) 2018-11-01
JP6990033B2 true JP6990033B2 (ja) 2022-02-15

Family

ID=64018466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017066753A Active JP6990033B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 光素子用接着剤及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6990033B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114402037A (zh) * 2019-09-27 2022-04-26 琳得科株式会社 固化性组合物、固化物和固化性组合物的使用方法
JP7420610B2 (ja) * 2020-03-23 2024-01-23 リンテック株式会社 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
JPWO2022202846A1 (ja) * 2021-03-26 2022-09-29
JP2022151346A (ja) 2021-03-26 2022-10-07 リンテック株式会社 接着ペースト、接着ペーストの使用方法及び半導体装置の製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009102603A (ja) 2007-10-05 2009-05-14 Hitachi Chem Co Ltd 接着剤組成物及び半導体装置
JP2013147451A (ja) 2012-01-18 2013-08-01 Mitsubishi Rayon Co Ltd 新規シラン化合物、シルセスキオキサン化合物とその製造方法、硬化性組成物、硬化物、透明フィルムおよび積層体
WO2016031728A1 (ja) 2014-08-26 2016-03-03 リンテック株式会社 硬化性組成物、硬化性組成物の製造方法、硬化物、硬化性組成物の使用方法、及び光デバイス

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009102603A (ja) 2007-10-05 2009-05-14 Hitachi Chem Co Ltd 接着剤組成物及び半導体装置
JP2013147451A (ja) 2012-01-18 2013-08-01 Mitsubishi Rayon Co Ltd 新規シラン化合物、シルセスキオキサン化合物とその製造方法、硬化性組成物、硬化物、透明フィルムおよび積層体
WO2016031728A1 (ja) 2014-08-26 2016-03-03 リンテック株式会社 硬化性組成物、硬化性組成物の製造方法、硬化物、硬化性組成物の使用方法、及び光デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018168286A (ja) 2018-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6990033B2 (ja) 光素子用接着剤及びその製造方法
KR102338448B1 (ko) 경화성 조성물, 경화성 조성물의 제조 방법, 경화물, 경화성 조성물의 사용 방법, 및 광 디바이스
KR102399638B1 (ko) 경화성 조성물, 경화성 조성물의 제조 방법, 경화물, 경화성 조성물의 사용 방법, 및 광 디바이스
JP6821600B2 (ja) 硬化性組成物、硬化性組成物の製造方法、硬化物、及び硬化性組成物の使用方法
JP6840901B2 (ja) 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
JP6830565B1 (ja) 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
JP6840900B2 (ja) 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
JP6830563B2 (ja) 硬化性ポリシルセスキオキサン化合物、硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
JP2020158609A (ja) 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
JP7569794B2 (ja) 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
JP7569793B2 (ja) 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
WO2020196704A1 (ja) 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法
WO2022202846A1 (ja) 接着ペースト、接着ペーストの使用方法及び半導体装置の製造方法
JP2024092134A (ja) 接着ペースト、および半導体装置の製造方法
WO2022202844A1 (ja) 接着ペースト、接着ペーストの使用方法及び半導体装置の製造方法
JP2023139659A (ja) 接着ペースト、接着ペーストの使用方法及び半導体装置の製造方法
KR20220134436A (ko) 접착 페이스트, 접착 페이스트의 사용 방법 및 반도체 장치의 제조 방법
JP2024136510A (ja) シラン化合物重合体、熱硬化性組成物、半導体素子固定用組成物、及び硬化物
JP2024136511A (ja) シラン化合物重合体、熱硬化性組成物、半導体素子固定用組成物、及び硬化物
JP2021147562A (ja) 硬化性組成物、硬化物、及び、硬化性組成物の使用方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6990033

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150