JP2011088942A - 活性エネルギー線硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents

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三季 秋本
Hideaki Kuwano
英昭 桑野
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Abstract

【課題】耐擦傷性を下げることなく、耐クラック性を発現する硬化物を短時間で得ることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)と、(B)及び(C)の加水分解物との縮合物であるシロキサン化合物(X)、並びに(Y)活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物:(A)無機微粒子;(B)ウレタン又はチオウレタン結合を含むシロキサン化合物;(C)アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐擦傷性、耐クラック性に優れた透明な硬化物を短時間に形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物及びこれを硬化して得られる被膜に好適な硬化物に関する。
近年、透明ガラスの代替として、耐破砕性、軽量性に優れるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明プラスチック材料が広く使用されるようになってきた。しかし、透明プラスチック材料はガラスに比較して表面硬度が低いので、表面に傷を受け易いという問題を有している。これらの欠点を改良するために、表面にハードコート剤をコーティングすることが一般的に行われている。このハードコート剤としてはシリコン系塗料、メラミン系塗料などの熱硬化型ハードコート剤や、多官能アクリレート系などの活性エネルギー線硬化型ハードコート剤がある。これらの中で、熱硬化型シリコン系ハードコート剤が、より高い耐擦傷性を付与することが知られている。熱硬化型シリコン系ハードコートの形成方法としては、アルコキシシラン化合物からなるシリコン系組成物をプラスチック表面に塗布し、熱により硬化被膜を形成させる方法が報告されている。
しかしながら、このような方法では、硬化被膜を形成するために数十分から数時間もの加熱時間が必要となり、生産性の点で問題がある。
この問題を解決するために、シロキサン骨格を有する直鎖型無機系オリゴマーとカチオン重合開始剤を必須成分とする組成物を、活性エネルギー線照射により硬化して無機系の保護被膜を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、このような無機系の被膜の形成においては、直鎖型の無機系オリゴマー(アルキルシリケート類)とカチオン重合開始剤からなる組成物が基板上にコーティングされ、さらに活性エネルギー線が照射されることで初めて架橋構造が形成されて硬化被膜となるので、短時間の活性エネルギー線照射のみでは十分な架橋構造が形成されず、被膜物性が発現されにくいという問題がある。特に、耐擦傷性の点で、十分な性能が発現されにくい。
また、カチオン重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型シロキサン系コーティング材料は、硬化に際して短時間に急激な重縮合反応が起こり、その後も被膜中に残存する酸の触媒効果で、長期に亘り硬化収縮が起こる。それに伴って発生する応力で硬化被膜にクラックが発生しやすいという問題がある。
このようなクラックの発生しにくい組成として、カチオン重合性エポキシ基含有アルキルシリケート類と活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を必須とする被覆用組成物(特許文献2、3)、多官能アクリレートにウレタン又はチオウレタンで表面修飾した無機微粒子を添加した被覆用組成物(特許文献4)が報告されている。しかしながら、これらの組成物では耐クラック性は改善されるものの、特許文献2、3においてはエポキシ基の含有量、特許文献4においては併用する多官能アクリレートの配合量によっては、無機系保護被膜の特徴である高硬度、高耐擦傷性が低下し易いという問題がある。
特開2001−348515号公報 特開2005−15581号公報 特開平11−35886号公報 特開2009−42647号公報
本発明の課題は、耐擦傷性を下げることなく、耐クラック性を発現し、短時間で得ることができる被膜の原料に好適な活性エネルギ−線硬化性組成物及びその硬化物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、無機微粒子とウレタン又はチオウレタン結合を含むシロキサン化合物と、特定構造の(メタ)アクリル系重合体、活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を主成分とする組成物が、活性エネルギー線硬化性が良好で、耐擦傷性に優れ、且つ耐クラック性良好な透明保護被膜を短時間で与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、下記(A)と、(B)及び(C)の加水分解物との縮合物であるシロキサン化合物(X)
(A)無機微粒子
(B)ウレタン又はチオウレタン結合を含むシロキサン化合物
(C)アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体
並びに
(Y)活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤
を含む活性エネルギー線硬化性組成物にある。
また、本発明の要旨は前述の活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して得られた表面の動摩擦係数が0.3以下である硬化物にある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、耐擦傷性を下げることなく、耐クラック性を発現する硬化物を短時間で得ることができる。
<シロキサン化合物(X)>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を構成するシロキサン化合物(X)(以下「X成分」という)は、(A)無機微粒子と、(B)ウレタン又はチオウレタン結合を含むシロキサン化合物及び(C)アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体の加水分解物との縮合物である。
<(A)無機微粒子>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を構成するX成分の原料となる(A)無機微粒子(以下「(A)成分」という)は、(B)ウレタン又はチオウレタン結合を含むシロキサン化合物(以下「(B)成分」という)及び(C)アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体(以下「(C)成分」という)のシラノール基および/またはアルコキシル基と反応する化合物である。(B)、(C)成分と化学結合することにより、得られる硬化物において、耐擦傷性を付与することができ、また、硬化収縮を低減することが可能であるため、耐クラック性を発現することができる。
(A)成分の具体例として、シリカ、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物微粒子などが挙げられる。これらの中でも、硬度が高い点から、シリカ、酸化アルミニウムが好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(A)成分の個数平均粒子径は5〜200nmであることが好ましい。個数平均粒子径が5nm以上の無機微粒子を使用することで、硬化被膜に耐擦傷性と硬度を付与することができる。また、個数平均粒子径が200nm以下の無機微粒子を使用することで、硬化被膜の透明性の低下を抑制することができる。無機微粒子の個数平均粒子径はより好ましくは10〜100nmである。
(A)成分の配合量は特に限定されないが、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量(以下これらの合計量を「硬化性成分合計量」という)100質量%を基準として5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましい。
5質量%以上であれば、充分な耐擦傷性が発現する傾向にある。また、60質量%以下であれば、耐クラック性を付与できる傾向にある。
<(B)ウレタン又はチオウレタン結合を含むシロキサン化合物>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を構成するX成分の原料となる(B)成分は、(A)成分及び(C)成分と化学結合することにより、得られる硬化物において、表面潤滑性を付与することができ、また、応力緩和することが可能であるため、耐クラック性を発現することができる。
(B)成分の具体例として式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2011088942
式(1)に示す[−Q1−C(=Q2 )−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]のいずれかであることが好ましい。
これらの基は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]及び[−S−C(=O)−NH−]のいずれかであることがより好ましい。前記化学式(1)に示す基[−Q1 −C(=Q2 )−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度を付与することが可能になると考えられる。
化学式(1)中、R、Rは同一でも異なっていてもよいが、水素原子又はC1 からC8 のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここでmは1、2又は3である。[(RO) 3−mSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。これらは、加水分解によってシラノール基を生成し、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、(A)、(C)成分と結合することができる。
、RはC1 からC12 の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
本発明で用いられる(B)成分の合成は、例えば特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。すなわち、メルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物又は分子中にアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有する化合物を反応させることにより得られる。例えば、メルカプトアルコキシシランとしては、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を好適に用いることができる。また、イソシアネート化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、2,4−トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネアート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を好適に用いることができる。
(B)成分の配合量は特に限定されないが、硬化性成分合計量100質量%を基準として35質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上80質量%以下がより好ましい。
35質量%以上であれば、被膜に充分な表面潤滑性を付与できる傾向にある。また、90質量%以下であれば、被膜の透明性を維持できる傾向にある。
<(C)アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を構成するX成分の原料となる(C)成分は、(A)成分のシラノール基、(B)成分のシラノール基および/またはアルコキシル基と反応する化合物である。(A)、(B)成分と化学結合して硬化物を形成することにより、得られる硬化物において、耐擦傷性を低下させることなく、耐クラック性を発現することができる。
このようなアルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体(C)としては、具体的に、アルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーとアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等で構成される。
アルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーは、1分子中にアルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合をおのおの1個以上有する化合物であれば、特に限定されない。また、アルコキシシリル基を加水分解した後に使用してもよい。アルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシランなどのビニルアルコキシシラン類;
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、アリルトリブトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシランなどのアリルアルコキシシラン類;ブテニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、ブテニルトリプロポキシシラン、ブテニルトリブトキシシラン、ブテニルメチルジメトキシシラン、ブテニルメチルジエトキシシラン、ブテニルジメチルメトキシシラン、ブテニルジメチルエトキシシランなどのブテニルアルコキシシラン類;
(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリプロポキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリブトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの(3−アクリロイルオキシプロピル)アルコキシシラン類;(メタクリロイルオキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリプロポキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリブトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)メチルジエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)ジメチルメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)ジメチルエトキシシランなどの(メタクリロイルオキシメチル)アルコキシシラン類;
(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリエトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリプロポキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリブトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)メチルジメトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)メチルジエトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)ジメチルメトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)ジメチルエトキシシランなどの(2−メタクリロイルオキシエチル)アルコキシシラン類;(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリプロポキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリブトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの(3−メタクリロイルオキシプロピル)アルコキシシラン類;
(スチリルエチル)トリメトキシシラン、(スチリルエチル)トリエトキシシラン、(スチリルエチル)トリプロポキシシラン、(スチリルエチル)トリブトキシシラン、(スチリルエチル)メチルジメトキシシラン、(スチリルエチル)メチルジエトキシシラン、(スチリルエチル)ジメチルメトキシシラン、(スチリルエチル)ジメチルエトキシシランなどの(スチリルエチル)アルコキシシラン類;などが挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
これらの中で、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリエトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(スチリルエチル)トリメトキシシラン、(スチリルエチル)トリエトキシシラン、が特に好ましい。
アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、ter−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−メトキシプロピルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、2−エトキシプロピルアクリレート、エトキシジプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、n−ビニルピロリドン、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、グリシジルアクリレートなどのモノアクリレート類;
エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジアクリレート類;トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート類;ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのテトラアクリレート類;などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
メタクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、ter−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、2−メトキシプロピルメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、2−エトキシプロピルメタクリレート、エトキシジプロピレングリコールメタクリレート、エトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルカルビトールメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ノニルフェニルカルビトールメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどのモノメタクリレート類;
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジメタクリレート類;トリメチロールエタントリエタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリレート類;などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
本発明において、アルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーは、(メタ)アクリル系重合体を構成する全モノマーに対して30〜60モル%含まれることが好ましく、35〜45モル%がより好ましい。アルコキシシリル基を有するモノマーが30モル%以上であれば、得られる硬化物において耐擦傷性を付与することができ、60モル%以下であれば、重合が安定しゲル化が起こりにくい。
本発明において、(C)成分のポリスチレン換算数平均分子量は、1,000以上200,000以下が好ましく、1,000〜50,000がより好ましい。分子量が1,000以上であれば、得られる硬化物において耐クラック性を有し、200,000以下であれば、被膜として形成したとき相分離に起因する外観不良などの発生を抑制することができる。
(C)成分の配合量は特に限定されないが、硬化性成分合計量100質量%を基準として5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましい。5質量%以上であれば、硬化物において十分な耐クラック性が得られ、60質量%以下であれば、充分な耐擦傷性を得ることができる。
(C)成分の合成方法は特に限定されるものではなく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの重合方法が利用できる。
<(A)、(B)、(C)の加水分解縮合の方法>
(B)、(C)成分が含有するオルガノシラン類の加水分解は、いずれの方法によるものであってもよく、例えば、(B)、(C)成分をアルコール類と混合し、更に、水をアルコキシル基1モルに対して、例えば1〜1000モル程度加え、これに塩酸や酢酸などの酸を加えて溶液を酸性(例えばpH2〜5)とし、攪拌する方法によることができる。
また、(B)、(C)成分をアルコール類と混合し、更に水をアルキルシリケート類1モルに対して、例えば1〜1000モル程度加えて、例えば30〜100℃等に加熱する方法によることができる。加水分解に際して発生するアルコールは、系外に留去してもよい。加水分解に続く縮合は、(A)成分存在下、加水分解状態にあるオルガノシラン類を放置する又は加熱することにより進行させることができる。その際、pHを中性付近(例えば、pH6〜7)に制御することにより、縮合の進行を速めることができる。縮合に際して発生する水は、系外に留去してもよい。
<(Y)活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤>
本発明の硬化性組成物を構成する(Y)活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(以下「Y成分」という)としては、ジフェニルヨードニウム系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、芳香族スルホニウム系化合物、ジアゾジスルホン系化合物等が挙げられる。具体例としては、上市されているイルガキュア250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名)、アデカオプトマーSP−150およびSP−170(旭電化工業(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990およびサイラキュアUVI−6950(米国ユニオンカーバイド社製、製品名)、DAICATII(ダイセル化学工業(株)製、製品名)、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)製、製品名)、CI−2734、CI−2855、CI−2823およびCI−2758(日本曹達(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6992(ダウケミカル日本(株)製、製品名)、サンエイドSI−L85、SI−L110、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−H15、SI−H20、SI−H25、SI−H40、SI−H50、SI−60L、SI−80LおよびSI−100L(三新化学工業(株)製、製品名)、CPI−100PおよびCPI−101A(サンアプロ(株)製、製品名)が挙げられる。Y成分は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
上記Y成分の配合量は特に限定されないが、硬化性成分合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内が好ましい。0.01質量部以上であれば、活性エネルギー線の照射によって十分に硬化し、良好な保護被膜に好適な硬化物が得られる傾向にある。また、10質量部以下であれば、硬化物について、着色が抑制され、表面硬度や耐擦傷性が良好となる傾向にある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、その他、必要に応じて、シロキサン化合物、(C)成分以外のポリマー、(C)成分以外のポリマー微粒子、充填剤、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ゲル粒子、微粒子粉などを含有してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、一次成形体を成形し、活性エネルギー線を照射して硬化物を得ることができる。一次成形体としては、フィルム状等各種形状を有するものであってもよいが、上記のように有機溶媒を含有した液状の組成物とし、基材、例えば、プラスチック基材の表面に、これを用いて成形した塗工膜を好ましいものとして挙げることができる。
本発明の被膜に好適な硬化物は、上記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られるものであり、上記活性エネルギー線硬化性組成物を用い、基材表面に塗工膜を形成し硬化して得ることができる。
上記塗工膜を成形するには、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソコート法、スクリーン、スピンコート法、フローコート法、静電塗装、浸漬法等を使用することができる。
上記塗工膜の硬化に用いる活性エネルギー線としては、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線などを挙げることができる。これらのうち、紫外線、可視光線を、光感応性の重合開始剤と組み合わせて使用することが、重合速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマーレーザー、太陽などを光源とする活性エネルギー線を挙げることができる。これらの活性エネルギー線は、一種類を単独で使用してもよく、異なるものを複数種使用してもよい。異なる複数種の活性エネルギー線を使用する場合は、同時に照射しても、順番に照射することもできる。
本発明の硬化物を被膜とする場合、被膜の厚さとして、例えば、0.5〜100μm等を挙げることができる。
本発明の被膜を設ける基材としては、有機質、無機質を問わず、各種プラスチック、金属、紙、木質材、無機質材、電着塗装板、ラミネート板等の様々な基材を挙げることができる。特にプラスチック基材、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリルスチレン等に好適である。
また、上記基材には、被膜との接着性を向上させるため、プライマー層を形成することもできる。プライマー層としては、光ラジカル重合性ビニル系化合物と光ラジカル重合開始剤を含有する組成物を光硬化させて得られる層が好ましい。より具体的には、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートと活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤を含む組成物で形成したプライマー層などを例示す
ることができる。
<動摩擦係数>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物の表面における動摩擦係数は、0.3以下となる。接触子3φ鋼球、測定速度0.2mm/s、荷重50gfの条件において、0.3以下が好ましく、0.25以下であることがより好ましい。本発明の硬化物の表面において、動摩擦係数は、0.3以下であるので、表面潤滑性に優れ、耐摩耗性が良好となる。動摩擦係数が0.3を超えると、摩擦抵抗が大きいため、摩耗されやすくなる。
以下、本発明について実施例を用いて詳述する。
[合成例1]チオウレタン結合を含むシロキサン化合物(B1)の合成
メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量約196.4、商品名KBM803)49g(0.25モル)、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量247.4、商品名KBE9007)49.5g(0.2モル)に、ジブチル錫ラウリレート0.03gを加え、60℃で3時間加熱攪拌することで(B1)を得た。
[合成例2]チオウレタン結合を含むシロキサン化合物(B2)の合成
メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量約196.4、商品名KBM803)88.4g(0.45モル)、イソフォロンジイソシアネート(保土ヶ谷化学工業株式会社製、分子量222.3、商品名デスモジュールI)44.5g(0.2モル)に、ジブチル錫ラウリレート0.04gを加え、60℃で3時間加熱攪拌することで(B2)を得た。
[合成例3]メタクリル系重合体(C1)の合成
110℃に加熱した1−メトキシ−2−プロパノール(以下「PGM」という)55.3gに、ブチルアクリレート 7.6g、メチルメタクリレート26.6g、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 65.9g、PGM28.8g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」という)1.0gからなる混合液を5時間かけて滴下ロートより連続的に滴下した。滴下終了後、AIBN0.5gを15.8gに溶かした溶液を1時間かけて添加し、添加後さらに2時間かけて重合反応を進めた。この時の重合転化率は97%であった。これをさらにトルエンで希釈し、固形分濃度50質量%の加水分解性シリル基含有メタクリル系共重合体(C1)を得た。得られた共重合体(C1)の数平均分子量は15,000であった(GPC法による)。
[合成例4](A)、(B)、(C)を加水分解縮合して得られるシロキサン化合物(X)
温度計を取り付けた300mlの4口フラスコに、(B1)を80.0g、(C1)を20.0g、154.8gのイソプロピルアルコールを仕込み、均一に攪拌した。別に、IPA−ST(日産化学工業(株)製、固形分30質量%)33.3g、1mol/L(1N)酢酸水溶液3.6g、蒸留水58.3gを秤量し、均一になるまで混合した。これを上記4口フラスコに1時間かけて滴下ロートにて滴下した。この時、フラスコ内の温度は35℃に保った。滴下終了後35℃に30分間保ち、その後30分かけて60℃に昇温し、3時間反応させ目的物を得た。
表1の実施例2、3、比較例1、2のシロキサン化合物も同様に合成した。
[実施例1]
[硬化性組成物の調製]
合成例4の目的物に、光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L)4.0g(固形分2.0g)を配合し、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.01g、PGM4.8gを混合し、硬化性組成物を得た。
[被膜の形成]
この硬化性成物を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトEX)上に適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて60℃で10分間乾燥した。
[被膜の硬化]
さらに、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化被膜を得た。なお、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。
[被膜の評価]
得られた硬化被膜(保護被膜)を、以下の方法により評価した。
1)外観
目視にて硬化被膜を有するアクリル板の透明性、白化の有無を観察し、以下の基準により評価した。
○:透明で、白化の欠陥の無いもの(良好)。
×:不透明な部分のあったもの、白化等の欠陥があったもの(不良)。
2)膜厚
Metricon社製MODEL 2010 PRISM COUPLERにて測定。
3)耐摩耗性
摩耗輪(Calibrase社製:CS−10F)を用い、荷重500gで500回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘイズ値と試験前のヘイズ値の差△H(%)で評価した。
○:10%以下
×:10%を超える
4)耐クラック性
アクリル板に塗工した硬化被膜を温度90℃の熱水に2時間放置して、クラックの発生状況を目視で確認した。
○:クラックの発生なし。
×:クラックの発生あり。
その結果、本実施例の硬化被膜は、耐摩耗性、耐クラック性、良好な外観を有していた。
5)動摩擦係数
自動摩擦摩耗試験機TS501(協和界面科学(株)社製)を用い、接触子3φ鋼球、測定速度0.2mm/s、荷重50gfで測定した。
○:0.3以下
×:0.3を超える
結果を表1に示す。
Figure 2011088942
[実施例2、3及び比較例1、2]
硬化性組成物として表1に記載のものを用いること以外は実施例1と同様にして硬化被膜を得た。評価結果を表1に示す。
表1中の略号は、以下の通りである。
IPA−ST:日産化学工業(株)製イソプロピルアルコール分散コロイダルシリカ
B1:合成例1で得られたシロキサン化合物
B2:合成例2で得られたシロキサン化合物
C1:合成例3で得られたメタクリル系重合体
SI−100L:光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L)
L−7001:シリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)
PGM:1−メトキシ−2−プロパノール

Claims (2)

  1. 下記(A)と、(B)及び(C)の加水分解物との縮合物であるシロキサン化合物(X)
    (A)無機微粒子
    (B)ウレタン又はチオウレタン結合を含むシロキサン化合物
    (C)アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体
    並びに
    (Y)活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤
    を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して得られた表面の動摩擦係数が0.3以下である硬化物。
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