JP4913627B2 - 反射防止フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、反射防止フィルムおよびその製造方法に関するものであり、詳しくは高屈折率層と低屈折率層との密着性が良く、耐擦傷性を十分に満足する反射防止フィルムおよびその製造方法に関するものである。
パーソナルコンピュータ、テレビジョン、カーナビゲータ、携帯電話などのディスプレイは、人間が画像を見て情報を読み取るものであり、見やすさが重要な機能として求められる。しかし、現実には背景の映りこみによるコントラストが低下し、画面が見づらくなるという状況が多々発生する。これを防ぐために、視認性低下の原因になっている画面の表面反射の抑制する工夫がなされ、ディスプレイの表面には防眩処理又は反射防止処理が施される。
防眩処理は、ディスプレイの表面に微細な凹凸を形成し、光の散乱により反射像を散らして輪郭をぼかせる処理である。基板がプラスチックの場合には、シリカなどの無機微粒子や、ポリスチレンなどの有機微粒子などが表面にコーティングされるが、画像の解像度が低下する。反射防止処理は、表面に光の波長程度の厚さからなる薄膜を形成し、光の干渉効果により反射率を低減するものである。入射媒質の屈折率をn1、膜の屈折率をn2、反射率をRとすると、
R=〔(n2−n1)/(n2+n1)〕2
であり、膜厚をd、光の波長をλとすると
d=λ/(4n2
のとき、光の干渉効果は最大になる。
薄膜の形成方法として、乾式法、湿式法がある。乾式法においては、二酸化チタンなどの高屈折率層と、フッ化マグネシウムやシリカなどの低屈折率層を、真空蒸着やスパッタリングなどにより形成するが、基材の大きさに制限があり、処理に時間を要し、連続化が困難である。
湿式法については、例えば、(A)導電性金属酸化物粉末100質量部、(B)水酸基含有重合体5〜50重量部、(C)分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物5〜50質量部、(D)光重合開始剤0.1〜10質量部、(E)有機溶剤2,000〜10,000質量部の上記(A)〜(E)成分からなることを特徴とする反射防止膜用硬化性組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、上記反射防止膜硬化性組成物を高屈折率層に使用した反射防止フィルムは、低屈折率層との密着性が十分ではなく、耐擦傷性に劣るという問題がある。
また、透明な支持体の一面に、導電性無水アンチモン酸亜鉛の微粒子を含有する樹脂の硬化膜からなる導電性透明第一層を、その上に該第一層の屈折率より低屈折率の透明第二層を有する透明シート又はフィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、上記反射防止フィルムも、高屈折率層と低屈折率層の密着性が十分満足するものではなく、耐擦傷性に劣るという問題がある。
従来技術において、特に透明基材フィルムにトリアセチルセルロースフィルムを使用した場合、高屈折率層と低屈折率層の密着性が良く、耐擦傷性を十分満足するものは得られていない。
特開2002−311208号公報 特開2000−233467号公報
本発明の目的は、透明基材フィルムの表面にハードコート層、高屈折率層および低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、高屈折率層と低屈折率層との密着性が良く、耐擦傷性を十分に満足する反射防止フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、以下のとおりである。
1.透明基材フィルムの表面にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に、高屈折率層および低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、
前記高屈折率層が、下記高屈折率層形成用組成物を硬化して形成されたものであることを特徴とする反射防止フィルム。
高屈折率層形成用組成物:(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、アンチモン酸亜鉛を100〜600質量部、分子内にラジカル重合性二重結合と前記低屈折率層を形成する成分に対し反応性を有する官能基とを有する特定モノマーを5〜30質量部および光重合開始剤を15〜25質量部含有し、前記特定モノマーが、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである。
.前記(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
.前記光重合開始剤が、α−ヒドロキシアセトフェノン系であることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
.前記低屈折率層が、下記低屈折率層形成用組成物を硬化して形成されたものであることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
低屈折率層形成用組成物:フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とするマトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子20〜120質量部を含有する。
.前記低屈折率層形成用組成物が、前記マトリックス成分100質量部に対し、さらに光重合開始剤3〜15質量部を含有することを特徴とする前記に記載の反射防止フィルム。
.前記ジシラン化合物が、下記式(1)
m1 3-mSi−Y−SiR1 3-mm(1)
(式中、R1は、炭素数1〜6の1価炭化水素基、Yはフッ素原子を1個以上含有する2価有機基、Xは加水分解性基、mは1、2又は3である。)
で示されることを特徴とする前記に記載の反射防止フィルム。
.前記中空シリカ粒子の平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする前記に記載の反射防止フィルム。
.前記ハードコート層の厚さが、0.5〜10μmであり、前記ハードコート層が、下記ハードコート層形成用組成物を硬化して形成されたものであることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
ハードコート層形成用組成物:(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、シリカ微粒子を10〜200質量部および光重合開始剤3〜15質量部を含有する。
.前記ハードコート層形成用組成物が、前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、さらに前記特定モノマーを5〜30質量部を含有することを特徴とする前記に記載の反射防止フィルム。
10.前記シリカ微粒子の一次粒径が、1〜200nmであることを特徴とする前記に記載の反射防止フィルム。
11.前記シリカ微粒子の一次粒径が、20〜50nmであることを特徴とする前記10に記載の反射防止フィルム。
12.前記シリカ微粒子が、重合性不飽和基を有することを特徴とする前記に記載の反射防止フィルム。
13.前記シリカ微粒子が、シリカ微粒子と重合性不飽和基を有するアルコキシシラン化合物との反応により形成されるものであることを特徴とする前記に記載の反射防止フィルム。
14.前記透明基材フィルムがトリアセチルセルロースフィルムまたは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
15.前記透明基材フィルムがトリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする前記14に記載の反射防止フィルム。
16.透明基材フィルムの表面にハードコート層を形成する工程と、前記ハードコート層上に高屈折率層を形成する工程と、前記高屈折率層上に低屈折率層を形成する工程とを有する反射防止フィルムの製造方法であって、
前記高屈折率層を形成する工程が、前記ハードコート層上に下記高屈折率層形成用組成物を塗布し、紫外線照射する工程であり、
前記低屈折率層を形成する工程が、前記高屈折率層上に低屈折率層形成用組成物を塗布し、加熱乾燥後、再度紫外線照射する工程であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
高屈折率層形成用組成物:(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、アンチモン酸亜鉛を100〜600質量部、分子内にラジカル重合性二重結合と前記低屈折率層を形成する成分に対し反応性を有する官能基とを有する特定モノマーを5〜30質量部および光重合開始剤を15〜25質量部含有し、前記特定モノマーが、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである。
17.前記低屈折率層形成用組成物が、フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とするマトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子20〜120質量部および光重合開始剤3〜15質量部を含有することを特徴とする前記16に記載の反射防止フィルムの製造方法。
本発明の反射防止フィルムは、高屈折率層形成用組成物に、分子内にラジカル重合性二重結合と低屈折率層を形成する成分に対し反応性を有する官能基とを有する特定モノマーを配合している。これにより、高屈折率層と低屈折率層との密着性および耐擦傷性を改善することができる。例えば、高屈折率層形成用組成物に、分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアネート基を有する特定モノマーを使用し、かつ低屈折率層形成用組成物に上記ジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を使用する形態では、該(メタ)アクリロイル基が電離放射線硬化性を有しているので高屈折率層のマトリックスに取り込まれるとともに、イソシアネート基が低屈折率層中のシラノール基と反応して結合する。このように特定モノマーは低屈折率層と高屈折率層とを強固に密着させる成分として機能し、両層の密着性が向上し、耐擦傷性も優れたものになる。なお、塗布された高屈折率層形成用組成物に電離放射線を照射した場合、通常は高屈折率層形成用組成物全体が瞬時に硬化するのではなく、照射直後は一部が硬化した状態、すなわちハーフキュア状態となる。この状態で高屈折率層上に低屈折率層形成用組成物を塗布すると、両層の界面の一部が混和した状態となる。したがって、特定モノマーは低屈折率層形成用組成物中の成分と結合が可能となる。
また本発明の製造方法によれば、ハードコート層上に高屈折率層形成用組成物を塗布し、紫外線照射した後、その上に低屈折率層形成用組成物を塗布し、加熱乾燥後、再度紫外線照射している。従来、大気中に存在する酸素はラジカル重合を阻害することが知られているが、本発明では形成された低屈折率層が高屈折率層に対する酸素遮断層として作用し、再度紫外線を照射したときに、ハーフキュア状態の高屈折率層に残存している電離放射線硬化型樹脂のラジカル重合が阻害されない。また、低屈折率層形成用組成物に光重合開始剤を配合する本発明の好ましい形態によれば、再度の紫外線照射により光重合開始剤からラジカルが発生し、ハーフキュア状態の高屈折率層に残存している電離放射線硬化型樹脂の硬化がさらに進行する。
したがって本発明によれば、高屈折率層と低屈折率層との密着性が良く、耐擦傷性を十分に満足する反射防止フィルムおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(透明基材フィルム)
本発明に用いる透明基材フィルムは、透明性を有するプラスチックフィルムであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリトリメチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステル系フィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルムなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリメタクリル酸メチルフィルムなどのアクリル系フィルム、スチレン−アクリロニトリル共重合体フィルムなどのスチレン系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ環状オレフィンフィルムなどのポリオレフィン系フィルムなどを挙げることができる。これらの中で、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度と寸法安定性が良好なので好適に用いることができ、トリアセチルセルロースフィルムは、等方性と透明性が良好なので好適に用いることができる。
透明基材フィルムの厚さは、例えば20〜250μmである。
(ハードコート層)
ハードコート層は、厚さが0.5〜10μmであることが好ましい。
厚さが0.5μm未満では、鉛筆硬度が低下し、耐スチールウール性も低下する。厚さが10μmを超えると、カールが強く発生しハードコート層形成用組成物を均一に塗布することができず、結果として高屈折率層への密着性が悪化し、十分な耐擦傷性が望めない。好ましい厚さは、0.8〜4.0μmであり、さらに好ましい厚さは、1.2〜3.0μmである。
本発明の好ましい形態において、ハードコート層は、(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂に、シリカ微粒子および光重合開始剤を含有するハードコート層形成用組成物を用いて形成されるのがよい。
(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。好ましい具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられ、中でもジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがとくに好ましい。これらの多官能(メタ)アクリレートは単独で用いても又は2種以上混合して用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリオールに、ジイソシアネート化合物を反応させて末端イソシアネート基を有する化合物とし、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーなどを挙げることができる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造に用いるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミンなどのトリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトールなどのテトラオール、ソルビトールなどのヘキサオールなどのポリオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどを付加して得られるポリエーテルポリオール、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどのポリエステルポリオールなどを挙げることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを使用することにより、硬化収縮が小さく、弾性に優れ、耐カール性が向上することにより、高屈折率層への密着性も向上するという効果が奏される。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの質量平均分子量は1,000〜20,000が好ましく、かつ、アクリロイル基またはメタクリロイル基の数が1〜15であるのが好ましい。さらに好ましい質量平均分子量は、1,000〜10,000であり、さらに好ましいアクリロイル基またはメタクリロイル基の数は、3〜10である。これらの質量平均分子量の範囲およびアクリロイル基またはメタクリロイル基の数を満たすことにより、耐カール性および密着性が一層向上するという効果が奏される。
ハードコート層形成用組成物には、耐カール性及び耐擦傷性を付与するために、シリカ微粒子を配合するのが好ましい。中でも下記のシリカ微粒子がさらに好ましい。
シリカ微粒子は、粉体状シリカまたはコロイダルシリカであり、一次粒径が一般に1〜200nm(mμ)の範囲、好ましくは1〜100nmの範囲、さらに好ましくは20〜50nmの範囲である。シリカ微粒子の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、もしくは不定形状であり、好ましくは球状である。シリカ微粒子の比表面積は0.1〜3000m2/gであり、好ましくは10〜1500m2/gである。これらのシリカ微粒子の使用形態は乾燥状態の粉末、もしくは水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができ、コロイダルシリカとして知られている微粒子状のシリカ微粒子の分散液を直接用いることができる。特に透明性を得るためにはコロイダルシリカの利用が好ましい。コロイダルシリカの分散溶媒が水の場合、その水素イオン濃度はpH値として2〜10の範囲であり、好ましくはpH3〜7の酸性コロイダルシリカが用いられる。また、コロイダルシリカの分散溶媒が有機溶剤の場合、有機溶剤としてメタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、ブタノ−ル、エチレングリコ−ルモノプロピルエ−テル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等の溶剤もしくはこれらと相溶する有機溶剤もしくは水との混合物として用いても良い。好ましい分散溶剤はメタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、メチルエチルケトン、キシレンである。シリカ微粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとしては日産化学工業(株)製のメタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−STおよびST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等をあげることができる。また粉体状シリカとしては、日本アエロジル(株)製のアエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600及びアエロジルOX50、旭硝子(株)製のシルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製のE220A、E220 富士シリシア(株)製のサイリシア470、日本板硝子(株)製のSGフレ−ク等を挙げることができる。
本発明に使用されるシリカ微粒子としては、シリカ微粒子と重合性不飽和基(及び好ましくはウレタン結合)を有するアルコキシシラン化合物との反応により形成されるもの(以下「変性シリカ微粒子」と言う)が好ましく、これは下記の構成を有するものが好ましい。
本発明の上記変性シリカ微粒子は、重合性不飽和基とウレタン結合基、式(I)−X−C(=Y)−NH−で表される有機基とを有するアルコキシシラン化合物とシリカ微粒子を反応させて得られる反応生成物であることが好ましい(上記式(I)中、Xは−NH−、−O−または−S−であり、Yは酸素原子またはイオウ原子である、但しXが−O−のときYはイオウ原子である)。
上記変性シリカ微粒子は、アルコキシシラン化合物とシリカ微粒子とを少なくとも混合する操作を含む方法により製造される。シリカ微粒子に固定されたアルコキシシラン化合物残渣の含有量は0.01質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは1質量%以上のものが用いられる。シリカ微粒子中に固定されたアルコキシシラン化合物残渣の含有量が0.01質量%未満の場合、組成物中のシリカ微粒子或いはコロイダルシリカの分散性、透明性、耐擦傷性が十分でない場合がある。
アルコキシシラン化合物は分子中に重合性不飽和基、ウレタン結合基、前記式(I)で表される有機基およびアルコキシシリル基を構成成分として少なくともそれぞれ1個含んでいる。アルコキシシリル基は加水分解、縮合反応によりシリカ微粒子の表面に存在するシラノ−ル基と結合する成分であり、また、重合性不飽和基とは、活性ラジカル種により付加重合を経て分子間で化学架橋する成分である。また、前記式(I)で表される2価の有機基である−X(C=Y)NH−基およびウレタン結合基はこれらアルコキシシリル基を有する分子片と重合性不飽和基を有する分子片とを直接もしくは他の分子片を介して結合する構成単位であると同時に分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、本発明のハードコート層に優れた力学的強度、密着性、耐熱性等の性能を発生させると考えられる。−X(C=Y)NH−基としては、−S(C=O)NH−基が好ましい。
アルコキシシラン化合物の構造としては例えば、一般式(II)
Figure 0004913627
で表されるアルコキシシラン化合物をあげることができる。
上記一般式(II)において、R1は水素原子またはC1〜C8の1価の有機基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、オクチル基等である。R2は水素原子またはC1〜C3の1価のアルキル基である。mは1、2もしくは3であり、(R1O)m2Si3-mで示されるアルコキシシリル基としては例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等をあげることができ、好ましくは、トリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基である。
また、式中、−[(C=O)NH−R4−NH(C=O)O−X−O]p−として示される構造単位は前記式(II)に示す構造において分子鎖を延長することを目的として導入される。R3はC1〜C3の2価の有機基である。R4は2価の有機基であり、R3と同一でも異なっていてもよく、通常、分子量14〜1万、好ましくは、分子量78〜1000の2価の有機基の中から選ばれ、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式または多環式の2価の有機基;ビニレン、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;等をあげることができ、また、これらのアルキル基置換体、アリ−ル基置換体も用いることができる。これら2価有機の構造中には炭素、水素原子以外の元素から構成される原子団を含んでいてもよい。式中、pは0もしくは1であり、Xは2価の有機基であり、さらにイソシアネ−ト基と付加反応できる活性水素原子を分子内に2個以上有する化合物から誘導される2価の有機基であり、例えば、ポリアルキレングリコ−ル類、ポリアルキレンチオグリコ−ル類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリカ−ボネ−ト類、ポリアルキレンジアミン類、ポリアルキレンジカルボン酸類、ポリアルキレンジオ−ル類、ポリアルキレンジメルカプタン類から活性水素原子を2個除くことで誘導される2価の有機基をあげることができる。また、R5は(n+1)価の有機基である。このような有機基は、好ましくは鎖状、分岐状または環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、脂環式基の中から選ばれる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは3〜5である。前記式中Yは活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を表し、例えば、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレエ−ト基、アクリルアミド基等があげられる。これらの中でアクリロキシ基が好ましい。
アルコキシシラン化合物の分子構造の形成には、通常、メルカプト基を有するアルコキシシラン、すなわちメルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネ−ト化合物およびイソシアネ−ト基と付加反応を起こす活性水素を有する活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。
アルコキシシラン化合物の製造方法としては例えば、(A)法:まずメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネ−ト化合物との付加体を反応させることにより分子中にアルコキシシリル基、−S(C=O)NH−結合基、及びイソシアネ−ト基を含む中間体を製造し、次に中間体中に残存するイソシアネ−トに対して活性水素基含有重合性不飽和化合物を反応させウレタン基を介して結合させる方法。(B)法:まずポリイソシアネ−ト化合物と活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加体を反応させることにより分子中に重合性不飽和基、ウレタン結合基、およびイソシアネ−ト基を含む中間体を形成し、これにメルカプトアルコキシシランを反応させ−S(C=O)NH−基を介して結合させる方法等をあげることができる。さらに、前記(A)または(B)法において、鎖延長単位としてさらに、イソシアネ−トと付加反応を起こす活性水素を分子内に2個以上有する鎖状、環状または分岐状の化合物をポリイソシアネ−ト化合物とのウレタン結合を介して延長することもできる。
前記式(II)に示した化合物を製造において、直接、ポリイソシアネ−ト化合物との反応により−S(C=O)NH−結合を形成することができるアルコキシシランの例としては、反応生成物としてアルコキシシリル基とメルカプト基を分子中にそれぞれ1個以上有する化合物の中から選ぶことができる。例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、メルカプイトプロピルメトキシジメチルシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリフェノキシシラン、メルカプトプロピルトリブトキシシラン等のメルカプトアルコキシシランをあげることができ、好ましくはメルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランである。市販されているメルカプトアルコキシシランとしては、例えば東レ・ダウ・コ−ニング(株)製のSH6062をあげることができる。これらメルカプトアルコキシシランは単独または2種以上を混合して用いてもよく、さらに、メルカプトアルコキシシランの例としては、アミノ置換アルコキシシランとエポキシ基置換メルカプタンとの付加生成物、エポキシシランとα,ω−ジメルカプト化合物との付加生成物を利用することができる。アルコキシシラン化合物を製造する際に利用する、ポリイソシアネ−ト化合物としては鎖状飽和炭化水素、環状飽和炭化水素、芳香族炭化水素で構成されるポリイソシアネ−ト化合物の中から選ぶことができ、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。1分子中のイソシアネ−ト基の個数は、通常2以上、30未満であり、好ましくは2以上10未満である。30を超えると生成物の粘度が高くなり作業性が低下する場合がある。
このようなポリイソシアネ−ト化合物の例としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト等の鎖状炭化水素ポリイソシアネ−ト化合物;イソフォロンジイソシアネ−ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、水添ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、水添キシレンジイソシアネ−ト、水添トルエンジイソシアネ−ト、1,3−ビス(イソシアナ−トメチル)シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素ポリイソシアネ−ト化合物;2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、パラフェニレンジイソシアネ−ト、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネ−ト、4,4'−ビフェニレンジイソシアネ−ト、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネ−ト、4−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、ポリジフェニ−ルメタンのポリイソシアネ−ト等の芳香族炭化水素ポリイソシアネ−ト化合物を挙げることができる。
これらの中で好ましい例としては、環状飽和炭化水素ポリイソシアネ−ト化合物および芳香族炭化水素ポリイソシアネ−ト化合物であり、さらに好ましくは環状飽和炭化水素のポリイソシアネ−ト化合物をあげることができる。好ましい具体例としては、イソホロンジイソシアネ−ト、水添キシレンジイソシアネ−ト、水添トルエンジイソシアネ−トである。また市販されているポリイソシアネ−ト化合物を例示すると、三井日曹ウレタン(株)製のTDI−80/20、TDI−100、MDI−CR100、MDI−CR300、MDI−PH、NDIや日本ポリウレタン工業(株)製のコロネ−トT、ミリオネ−トMT、ミリオネ−トMR、HDI、武田薬品工業(株)製 のタケネ−ト600をあげることができる。
これらポリイソシアネ−ト化合物の使用量は、前記(A)法に示す製造法においては、メルカプトアルコキシシランのメルカプト基1当量に対してのイソシアネ−ト基当量としては、通常0.1〜100の範囲内で、好ましくは0.5から10の範囲で、さらに好ましくは0.9〜1.2の範囲で添加される。ポリイソシアネ−ト化合物基当量の添加量が0.1当量未満の場合、未反応メルカプトシランが0.9当量以上存在することになり、塗膜の磨耗性が十分でない場合がある。また、100当量を超えたポリイソシアネ−ト化合物の使用は、未反応イソシアネ−ト基が過剰に存在することになり耐候性が低下する場合がある。
一方、前記(B)法に示す製造法においては、活性水素基含有重合性不飽和化合物中の活性水素基1当量に対し、ポリイソシアネート化合物はイソシアネート基当量として通常0.1〜100の範囲であり、好ましくは0.5〜10当量の範囲で、さらに好ましくは0.9〜1.2の範囲で添加される。
前記(A)または(B)法いずれの方法においても、反応時間の短縮を目的として触媒を添加してもよい。このような触媒としては、塩基性触媒および酸性触媒のいずれかが用いられる。塩基性触媒の例としては、ピリジン、ピロ−ル、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、アンモニアなどのアミン類;トリブチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン等のフォスフィン類を挙げることができる。これらの中でピリジン、トリエチルアミン等の第3級アミンが好ましい。また酸性触媒としては、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、メチルDABCO、トリブトキシアルミニウム、トリチタニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシド等の金属アルコキシド類;3フッ化硼素ジエチルエ−テラ−ト、塩化アルミニウムなどのルイス酸類;2−エチルヘキサン酸錫、オクチル錫トリラウレ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル錫ジアセテ−ト等の錫化合物をあげる。これら触媒の中で好ましいものは酸性触媒であり、特に好ましくは錫化合物であり、さらに好ましくはオクチル錫トリラウレ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル錫ジアセテ−ト等である。これら触媒の添加量はポリイソシアネ−ト化合物100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.1〜1質量部である。0.01質量部未満では触媒添加による反応時間の短縮効果はわずかであり、一方、5質量部を超えると生成物の保存安定性が低下する場合がある。
アルコキシシリル化合物の製造において、前記ポリイソシアネ−ト化合物と付加反応によりウレタン結合を介し結合できる重合性不飽和化合物の例としては、分子内にイソシアネ−ト基との付加反応によりウレタン結合を形成できる活性水素原子を分子中に1個以上有し、重合性不飽和基を分子中に1個以上含む化合物の中から単独もしくは2種以上の混合物として用いることができる。
そのような化合物としては、カルボン酸含有重合性不飽和化合物、水酸基含有重合性不飽和化合物がある。例えば、カルボン酸を含有する重合性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ケイヒ酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロキシプロピルヘキサヒドロゲンフタレ−ト、2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロゲンフタレ−ト等の不飽和脂肪族カルボン酸類;2−(メタ)アクリロキシプロピルフタレ−ト、2−(メタ)アクリロキシプロピルエチルフタレ−ト等の不飽和芳香族カルボン酸類;をあげることができる。また、水酸基含有重合性不飽和化合物として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、1,4ブタンジオ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェ−ト、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ポリ(ペンタメチレンオキシカルボキシレ−ト)エトキシ(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシアルファメチルスチレン、ヒドロキシエチルスチレン、ヒドロキシ末端ポリエチレングリコ−ルスチリルエ−テル、ヒドロキシ末端ポリプロピレングリコ−ルスチリルエ−テル、ヒドロキシ末端ポリテトラメチレングリコ−ルスチリルエ−テル、末端ヒドロキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、末端ヒドロキシポリプロピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、末端ヒドロキシポリテトラエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパンモノ(メタ)アクリレ−ト、EO変性トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、PO変性トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスルト−ルペンタ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、等の水酸基含有アクリレ−ト類、水酸基含有メタクリレ−ト類、水酸基含有スチレン類をあげることができる。
これらの中で好ましいのは、不飽和脂肪族カルボン酸類、水酸基含有アクリレ−ト化合物であり、さらに好ましくは、水酸基含有アクリレ−ト化合物であり、例えば、2−ヒドロキシルエチルアクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、ジペンタエリスルト−ルペンタアクリレ−トをあげることができる。
これら重合性不飽和化合物の使用量はその活性水素基の当量として、メルカプトアルコキシシランとポリイソシアネ−ト化合物との付加反応により得られる中間体中の残存イソシアネ−ト基1当量に対し、通常、1当量以上である。1当量未満ではアルコキシシリル化合物中に活性イソシアネ−ト基が残存する為、水分との反応による発泡、増粘、着色などの好ましくない性能が発現する場合がある。
アルコキシシリル化合物の製造においては、塗膜の柔軟性や基材に対する密着性向上を目的として、ポリイソシアネ−ト化合物との付加反応によりアルコキシシリル基と重合性不飽和基との間に2価の有機基を導入してもよく、そのような2価の有機化合物単位の前駆体としてはイソシアネ−ト基と付加反応を起こす活性水素を分子内に2個以上有する鎖状、環状、分岐状の有機化合物を利用できる。ここで活性水素を有する基の例としては、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、シラノ−ル基等をあげることができる。これらの有機化合物は、活性水素を2個以上、好ましくは2個以上10個未満、さらに好ましくは2個を有する。そのような活性水素を有する化合物の分子量は通常、50〜10万であり、好ましくは100〜5万、さらに好ましくは500〜1万である。そのような2価の有機化合物としては、例えば、ポリアルキレングリコ−ル類、ポリアルキレンチオグリコ−ル類、ポリエステルジオ−ル類、ポリアミド類、ポリカ−ボネ−トジオ−ル類、ポリアルキレンジアミン類、ポリアルキレンジカルボン酸類、ポリアルキレンジオ−ル類、ポリアルキレンジメルカプタン類を挙げることができる。これらの中でポリアルキレングリコ−ルが好ましい。市販されているポリアルキレングリコ−ル類としては例えば、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラエチレングリコ−ル、ポリヘキサメチレングリコ−ルや、これらの2種以上のポリアルキレングリコ−ルとの共重合体の中から選ぶことができ、日本油脂(株)製のユニセ−フDC1100、ユニセ−フDC1800、ユニセ−フDCB1100、ユニセ−フDCB1800、保土谷化学(株)製のPPTG4000,PPTG2000、PPTG1000、PTG2000、PTG3000、PTG650、PTGL2000、PTGL1000、旭硝子(株)製のEXENOL1020、第一工業製薬(株)製のPBG3000、PBG2000、PBG1000、Z3001等を挙げることができる。
上記の2価の有機基を構成成分として含む重合性不飽和基含有アルコキシシランを製造する場合を、ポリアルキレングリコ−ルを例にとって製造法(C)法および(D)法として示す。
製造法(C)法:末端に活性イソシアネ−ト基を有する、メルカプトアルコキシシランとポリシソシアネ−ト化合物との付加体に対し、ポリアルキレングリコ−ルを加え、片末端ヒドロキシのアルコキシシランとしたのち、これに対し別途合成した、末端に水酸基を有する重合性不飽和化合物とポリイソシアネ−ト化合物との付加体を反応させウレタン結合で両者をつなぐ方法。
製造法(D)法:末端に活性イソシアネ−ト基を有する、メルカプトアルコキシシランとポリイソシアネ−ト化合物との付加体に対し、別途合成した、末端に活性水酸基を有する、ポリアルキレングリコ−ルポリイソシアネ−ト化合物、水酸基含有重合性不飽和化合物との付加体を反応させウレタン結合で両者をつなぐ方法を挙げることができる。前記(C)法または(D)法におけるウレタン結合の形成条件は前記(A)または(B)法と同様であり、結合に関与する、末端に活性イソシアネ−ト基を有する化合物に対する末端に水酸基を有する化合物の当量比は通常、1.0〜1.2の範囲である。1.0未満の場合は未反応のイソシアネ−ト基による着色、増粘が起こりやすい。
また、アルコキシシラン化合物の製造において重合性不飽和基修飾アルコキシシランの加水分解物として他の有機アルコキシシランとの加水分解生成物を用いてもよく、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシランとの縮合物を用いても良い。加水分解生成物を製造する場合、加水分解に用いる水の量は全アルコキシ基に対して通常0.5〜1.5当量であり、溶剤の存在下もしくは非存在下で、0℃から成分の沸点以下の温度で5分〜24時間加熱攪拌することで加水分解、縮重合物を得ることができる。その際、反応時間の短縮を目的に酸性触媒もしくは塩基触媒を併用することもできる。
変性シリカ微粒子の製造において用いられるシリカ微粒子は前述のものを同様に使用することができる。
変性シリカ微粒子に固定されたアルコキシシラン化合物は通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、例えば、空気中で室温から通常800℃までの熱質量分析により求めることが出来る。
変性シリカ微粒子の製造においてアルコキシシラン化合物の加水分解で消費される水の量は、1分子中のケイ素上のアルコキシ基の少なくとも1個が加水分解される量あればよい。好ましくは加水分解の際に添加、もしくは存在する水の量は、ケイ素上の全アルコキシ基のモル数に対し3分の1以上であり、さらに好ましくは全アルコキシ基のモル数の2分の1以上3倍未満である。完全に水分の存在しない条件下で前記式(II)に示すアルコキシシラン化合物とシリカ微粒子とを混合して得られる生成物は、シリカ微粒子表面にアルコキシシラン化合物が物理吸着した生成物であり、そのような成分から構成される組成物においては本発明の組成物の一つの目的である耐磨耗性の発現の効果は低い。
本発明の変性シリカ微粒子の製造においては前記式(II)に表されるアルコキシシラン化合物を別途加水分解操作を行った後、これと粉体シリカ微粒子もしくはコロイダルシリカを混合し、加熱、攪拌操作を行う方法;もしくは、前記式(II)で表されるアルコキシシラン化合物の加水分解をシリカ微粒子の存在下で行う方法;また、他の成分、例えば、多官能不飽和有機化合物、単価不飽和有機化合物、光重合開始剤等の存在下、シリカ微粒子の表面処理を行う方法等を選ぶことができるが、前記式(II)で表されるアルコキシシラン化合物の加水分解をシリカ微粒子の存在下で行う方法が好ましい。製造時の温度は通常、20℃〜150℃であり、また処理時間は5分〜24時間の範囲である。
シリカ微粒子は、通常の保管状態として粒子表面に吸着水として水分を含むことが知られている。例えば、有機溶剤分散コロイダルシリカ中においても通常製品として0.5%相当の水分を含有する。したがって、変性シリカ微粒子の製造においては、アルコキシシラン化合物とシリカ微粒子とを混合し、加熱、攪拌処理することにより原料中に含まれる水分を利用して製造することも可能である。
本発明の変性シリカ微粒子の製造において、粉体状のシリカを用いる場合、アルコキシシラン化合物との反応を円滑にかつ、均一に行わせるこために、水と相溶する有機溶媒を添加してもよい。このような有機溶媒の好ましい種類は、アルコ−ル類、ケトン類、エ−テル類、アミド類であり、アルコ−ル類としてはメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル等、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アミド類としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ガンマブチロラクトン等をあげることができる。これらの溶剤の添加量は反応を円滑、均一に行わせる目的に合致する限り特に制限はない。
また、変性シリカ微粒子の製造において、反応を促進するため、触媒として酸もしくは塩基を添加してもよく、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、等の無機酸、もしくはメタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、フタル酸、マロン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸や、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の不飽和有機酸やテトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩をあげることがでる。また、塩基としては、アンモニア水、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第1級、2級または3級脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウムヒドロキシド類を挙げることができる。これらの中で好ましい例を挙げると酸としては、有機酸、不飽和有機酸、塩基としては第3級アミンもしくは第4級アンモニウムヒドロキシドを挙げられる。これら、酸もしくは塩基の添加量は、アルコキシシラン化合物100質量部に対して0.001質量部〜1.0質量部、好ましくは0.01質量部〜0.1質量部である。
ハードコート形成用組成物における光重合開始剤としては特に制限はなく、例えばイルガキュアー127,184,907,651,1700,1800,819,369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、エザキュアーKIP150、TZT(日本シイベルヘグナー社製)ールシリンTPO(BASF社製)、カヤキュアBMS(日本化薬製)等が挙げられる。
中でも、α−ヒドロキシアセトフェノン系の光重合開始剤が、反応性が高く、耐カール性を改善できることから好ましく、とくに、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュアー127)が好ましい。
また本発明におけるハードコート形成用組成物は、下記で説明する特定モノマーを含有するのが好ましい。これによりハードコート層および高屈折率層のマトリックス成分が類似したものとなり、両マトリックス成分が絡み合う現象が生じ、両者の密着性が向上すると考えられる。好ましい特定モノマーの種類は、下記で例示する。
さらに、ハードコート層形成用組成物には、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体を配合することが好ましい。
これにより、高屈折率層との密着性が高まり、その結果耐アルカリ性および耐擦傷性に優れるという効果が発揮される。
末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体としては、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリメタクリレート、末端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端メタクリレートスチレン−メチルメタクリレート共重合体等を挙げることができ、その質量平均分子量は5000〜10000が好ましい。末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体の市販品としては、マクロモノマーAA−6、AS−6S、AN−6S、AW−6S(東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
ハードコート形成用組成物において、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、シリカ微粒子を10〜200質量部および光重合開始剤を3〜15質量部配合するのが好ましい。シリカ微粒子が10質量部未満では、耐カール性が悪く、さらに耐擦傷性が不足であり、200質量部を超えると、耐カール性が悪く、さらに塗膜強度の低下があり好ましくない。さらに好ましいシリカ微粒子の配合割合は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し20〜100質量部であり、さらに好ましい光重合開始剤の配合割合は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、5〜12質量部である。
また、特定モノマーの配合割合は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部である。
また、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体の配合割合は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、5〜20質量部、好ましくは5〜15質量部である。
またハードコート形成用組成物は、必要に応じて各種添加剤を併用できることは勿論である。
本発明におけるハードコート層は、透明基材フィルム上に上記ハードコート層形成用組成物を塗料として塗布、乾燥し、電離放射線照射により硬化させることにより形成することができる。電離放射線に特に制限はなく、例えば、電子線、放射線、紫外線などを挙げることができる。電離放射線の中で、紫外線は装置が簡単であり、取り扱いが容易であることから、特に好適に用いることができる。
ハードコート層の屈折率は、例えば1.45〜1.55、好ましくは1.47〜1.53である。
(易接着剤層)
本発明の反射防止フィルムは、透明基材フィルムとハードコート層との間に、両者の密着性を向上させる目的で易接着剤層を設けてもよい。易接着剤層は、透明基材フィルムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを採用したときに、とくに有効である。
易接着剤層の材質は、透明であって、透明基材フィルムとハードコート層の密着性を向上させるものであれば、とくに制限されないが、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびそれらの共重合体等が挙げられる。易接着剤層の厚さは特に限定されないが、0.03〜0.30μmが好ましく、0.05〜0.20μmがさらに好ましい。易接着剤層は、透明基材フィルム上に公知のコーティング技術により設けることができる。
(高屈折率層)
本発明の反射防止フィルムは、前記ハードコート層上に高屈折率層を設けてなる。本発明における高屈折率層は、(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、アンチモン酸亜鉛を100〜600質量部、分子内にラジカル重合性二重結合と前記低屈折率層を形成する成分に対し反応性を有する官能基とを有する特定モノマーを5〜30質量部および光重合開始剤を15〜25質量部配合し、高屈折率層形成用組成物を得、これを硬化して形成されたものである。
(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、ハードコート層形成用組成物に配合されるものと同様であるが、中でもジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)が好ましい。
アンチモン酸亜鉛は公知であり、例えば特開平6−219743号公報、特開平9−211221号公報等に開示されている。該公報には、ZnO/Sb2 5 のモル比が0.8〜1.2であって、5〜200nmの1次粒子径を有する導電性無水アンチモン酸亜鉛の粉末が開示され、本発明に使用することができる。また、上記アンチモン酸亜鉛は、ZnO/Sb2 5 のモル比が0.8〜1.2となる割合で、焼成により酸化亜鉛を生成する亜鉛化合物と、焼成により酸化アンチモンを生成するアンチモン化合物との混合物を焼成することにより、製造することができる。焼成温度は、例えば500〜680℃である。
またアンチモン酸亜鉛は、その一次粒子径が0.5ミクロン以下の無水アンチモン酸亜鉛ゾルとして入手することができる。例えば、メタノール(セルナックスCX−Z400、セルナックスCX−Z603M−F2、日産化学(株)製)あるいはメタノール/イソプロパノール(セルナックス CX−Z300IM、日産化学(株)製)のオルガノゾルとして入手できる。
上記無水アンチモン酸亜鉛ゾルは、メタノール中では安定で凝集して粒子径が大きくなるようなことはないが、電離放射線硬化型樹脂中で不安定で凝集して粒子径が大きくなったり、分散が破壊されて分離、沈降してしまう。したがって、高屈折率層のマトリックスとして電離放射線硬化型樹脂を使用する場合、分散剤を使用してアンチモン酸亜鉛をマトリックス中に均一に分散することが好ましい。この場合の分散剤としては、カチオン系、弱カチオン系、ノニオン系あるいは両性界面活性剤が有効であり、特にアルキルアミンEO・PO付加体(例えばソルスパース20000、日本ルーブリゾール社製)、アルキルアミンEO付加体(例えばTAMNO−15、TAMNS−10及びTAMNO−5、日光ケミカル(株)製)及びエチレンジアミンPO−EO縮合物(例えばプルロニックTR−701、TR−702及びTR−704、旭電化工業(株)製)などが好ましい。その添加量はアンチモン酸亜鉛100質量部に対し、0.1〜5質量部が有効である。なお、アルキルアミンのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ラウリル基、ステアリル基等をあげることができる。また、EO(エチレンオキサイド)やPO(プロピレンオキサイド)の付加モル数としては、アミン1モルに対し数モル〜100モルぐらいまでが適しているが、これに限定されるものではない。
前述のように、アンチモン酸亜鉛は、(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、100〜600質量部を配合するのが好ましく、200〜500質量部を配合するのがさらに好ましい。
また本発明における特定モノマーの種類は、分子内にラジカル重合性二重結合と低屈折率層を形成する成分に対し反応性を有する官能基(反応性官能基)とを有していればとくに制限するものではないが、ラジカル重合性二重結合が(メタ)アクリロイル基であり、かつ反応性官能基がイソシアネート基であるのが好ましい。例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製商品名カレンズAOI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製商品名カレンズMOI)、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工社製商品名カレンズBEI)などが好適なものとして挙げられる。
分子内にラジカル重合性二重結合と反応性官能基とを有するモノマーの配合割合は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部である。5質量部未満であると塗膜密着性、スチールウール性が悪く、30質量部を超えると、添加する効果が飽和する。
高屈折率層形成用組成物における光重合開始剤としては特に制限はなく、例えばイルガキュアー127,184,907,651,1700,1800,819,369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、エザキュアーKIP150、TZT(日本シイベルヘグナー社製)ールシリンTPO(BASF社製)、カヤキュアBMS(日本化薬製)等が挙げられる。
中でも、α−ヒドロキシアセトフェノン系の光重合開始剤が、反応性が高く、耐カール性を改善できることから耐擦傷性の向上が図れ好ましく、とくに、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュアー127)が好ましい。
光重合開始剤の配合割合は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、15〜25質量部、好ましくは17〜23質量部である。15質量部未満であると塗膜密着性、スチールウール性が悪く、25質量部を超えると、添加する効果が飽和する。
高屈折率層の屈折率は、1.60以上が好ましい。さらに好ましい屈折率は、1.70〜1.80である。また、高屈折率の厚さは、30〜500nmが好ましく、50〜250nmがさらに好ましい。
(低屈折率層)
本発明における低屈折率層は、フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とするマトリックス成分;および中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成用組成物から形成されるのが好ましい。
なお本発明において、(部分)加水分解物とは、部分加水分解物であっても、完全加水分解物であってもよいことを示す。またマトリックス成分における主成分とは、溶剤を除く有効成分中50質量%以上、特に70質量%以上の割合で含まれていることを意味する。
マトリックス成分は、フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とする。
上記ジシラン化合物は、下記式(1)
m1 3-mSi−Y−SiR1 3-mm (1)
(式中、R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基、Yはフッ素原子を1個以上含有する2価有機基、Xは加水分解性基、mは1、2又は3である。)
で示されるジシラン化合物又はその(部分)加水分解物(以下(i)成分ともいう)であるのが好ましい。
ここで、Yは、フッ素原子を1個以上、好ましくは4〜50個、特に好ましくは8〜24個含有する2価有機基を示し、具体的には下記のものを例示することができるが、これに限定されるものではない。
−C24−(CF2n−C24
−C24−CF(CF3)−(CF2n−CF(CF3)−C24
−C24−CF(C25)−(CF2n−CF(C25)−C24
−C24−CF(CF3)CF2−O(CF2nO−CF2CF(CF3)−C24
(但し、nは2〜20である。)
−C24−C610−C24
−C24−C64−C24
反射防止性に加え、防汚性、撥水性等の諸機能を良好な基準で発現させるためには、フッ素原子を多量に含有していることが好ましい。また、パーフルオロアルキレン基は剛直なため、高硬度で耐擦傷性に富む被膜を得る目的のためは、フッ素原子をできるだけ多量に含有していることが好ましい。フッ素原子を多量に含有していれば、耐アルカリ性もよくなる。従って、Yとしては下記の構造
−CH2CH2(CF2nCH2CH2
−C24−CF(CF3)−(CF2n−CF(CF3)−C24
(但し、nは2〜20である。)
が好ましく、特に
−CH2CH2(CF2nCH2CH2−(n=2〜20)
が好ましい。
nとしては2〜20の値を満たす必要があるが、より好ましくは4〜12、特に好ましくは4〜10の範囲を満たすのがよい。これより少ないと、反射防止性、耐アルカリ性、耐汚染性、撥水性等の諸機能を十分に得ることができない場合があり、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。
1は、炭素数1〜6の1価炭化水素基を表す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。
mとしては1、2又は3、好ましくは2又は3であり、特に高硬度な被膜にするには、m=3とするのがよい。
Xは、加水分解性基を表す。具体例としては、Clなどのハロゲン原子、OR2(R2は炭素数1〜6の1価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基、メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基などを挙げることができる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。
以上を満たすジシラン化合物の具体例としては、下記のものが例示される。
(CH3O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF28−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF210−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF216−C24−Si(OCH33
(C25O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OC253
(C25O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OC253
(CH3O)2(CH3)Si−C24−(CF24−C24−Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)Si−C24−(CF26−C24−Si(CH3)(OCH32
(CH3O)(CH32Si−C24−(CF24−C24−Si(CH32(OCH3
(C25O)(CH32Si−C24−(CF26−C24−Si(CH32(OC25
(CH3O)3Si−C24−CF(CF3)−(CF24−CF(CF3)−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−CF(CF3)−(CF28−CF(CF3)−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−CF(CF3)−(CF212−CF(CF3)−C24−Si(OCH33
これらの中でも、好ましくは、
(CH3O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF28−C24−Si(OCH33
(C25O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OC253
(C25O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OC253
の各ジシラン化合物を使用するのがよい。
前記の式(1)のジシラン化合物は、下記式(2)で示されるフッ素原子置換有機基を含有する有機珪素化合物又はその(部分)加水分解物((ii)成分)と併用することができる。
Rf−SiX3 (2)
(式中、Rfはフッ素原子を1個以上含有する1価有機基、Xは加水分解性基である。)
ここで、Rfはフッ素原子を1個以上、好ましくは3〜25個、特に好ましくは3〜17個含有する1価有機基を示し、具体的には下記のものを例示することができる。
CF324
CF3(CF2324
CF3(CF2524
CF3(CF2724
CF3(CF2924
CF3(CF21124
CF3(CF27CONHC36
CF3(CF27CONHC24NHC36
CF3(CF2724OCOC24SC36
CF3(CF2724OCONHC36
CF3(CF27SO2NHC36
37O(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)CONHC36
(但し、pはp≧1、特に1〜3である。)
これらの中でも、
CF324
CF3(CF2324
CF3(CF2724
が極性部分を含んでいないため好ましい。Xは、前述の通りである。
以上を満たすフッ素原子置換有機基を含有する有機珪素化合物の具体例としては、下記のものが例示される。
CF324−Si(OCH33
CF324−Si(OC253
CF3(CF2324−Si(OCH33
CF3(CF2324−Si(OC253
CF3(CF2524−Si(OCH33
CF3(CF2724−Si(OCH33
CF3(CF2724−Si(OC253
CF3(CF2924−Si(OCH33
CF3(CF21124−Si(OCH33
CF3(CF27CONHC36−Si(OCH33
CF3(CF27CONHC24NHC36−Si(OCH33
CF3(CF2724OCOC24SC36−Si(OCH33
CF3(CF2724OCONHC36−Si(OCH33
CF3(CF27SO2NHC36−Si(OCH33
37O(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)CONHC36−Si(OCH33
(但し、pはp≧1である。)
これらの中でも、下記のものが好ましい。
CF324−Si(OCH33
CF3(CF2324−Si(OCH33
CF3(CF2724−Si(OCH33
本発明においては、(i)成分を(ii)成分と併用せず、単独で用いることができるが、(i)成分と(ii)成分とを混合して使用する場合、(i)成分の含有率を60質量%以上100質量%未満とすることが必要である。(i)成分の含有率が60質量%未満であると、架橋密度が低下し、良好な耐擦傷性が得られないため、保護被膜としての機能が不十分となり、好ましくない。より好ましくは(i)成分の含有率が95質量%以上であるのがよい。また、(ii)成分の添加効果の点から、(i)成分の含有率は、99.5質量%以下であることが好ましい。
また、本発明においては、上記(i)成分と(ii)成分との混合物を共加水分解したものを使用してもよい。
本発明における低屈折率層形成用組成物は、(i)成分単独又は(i)成分と(ii)成分との混合物もしくはその共加水分解物を主成分とするが、求める諸特性に影響を与えない範囲で、下記有機珪素化合物又はその(部分)加水分解物を使用することができる。
(i)、(ii)成分と併用することが可能な有機珪素化合物としては、テトラエトキシシラン等のシリケート類、メチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類、フェニルトリメトキシシラン等のフェニルシラン類、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類等の各種化合物を挙げることができる。特に、テトラアルコキシシランは、架橋密度を上げる効果があるため、耐擦傷性を向上させる目的で併用する場合には有効であるが、被膜を親水性化する傾向があり、耐アルカリ性、耐汚染性、撥水性等の諸機能を低下させることがあるため、多量に使用するのは避けた方がよく、(i)成分又は(i)、(ii)成分の合計量100質量部に対して5質量部以下、特に2質量部以下、とりわけ1質量部以下であることが好ましい。
上述した式(1)、(2)の化合物、或いは上記(i)、(ii)成分と併用可能な有機珪素化合物は、このままで使用してもよいし、(部分)加水分解した形、或いは下記溶剤中で加水分解した形で使用してもよい。コーティング後の硬化速度を高める観点からは、(部分)加水分解した形で使用する方が好ましい。加水分解に使用する水の量は、(H2O/Si−X)のモル比が0.1〜10の量比で使用するのがよい。
加水分解は、従来公知の方法を適用することができ、この加水分解用触媒或いは加水分解・縮合硬化用触媒として、塩酸、酢酸、マレイン酸等の酸類、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア、トリエチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン等のアミン化合物、及びアミン化合物の塩類、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩等の塩基類、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムのようなフッ化塩、固体酸性触媒或いは固体塩基性触媒(例えばイオン交換樹脂触媒など)、鉄−2−エチルヘキソエート、チタンナフテート、亜鉛ステアレート、ジブチル錫ジアセテートなどの有機カルボン酸の金属塩、テトラブトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、ジブトキシ−(ビス−2,4−ペンタンジオネート)チタン、ジ−i−プロポキシ(ビス−2,4−ペンタンジオネート)チタンなどの有機チタンエステル、テトラブトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、ジブトキシ−(ビス−2,4−ペンタンジオネート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ(ビス−2,4−ペンタンジオネート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウムエステル、アルミニウムトリイソプロポキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、アルミニウムアセチルアセトナート錯体等のアルミニウムキレート化合物等の有機金属化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノアルキル置換アルコキシシランが例示され、これらを単独で又は混合して使用してもよい。
この触媒の添加量は、(部分)加水分解されるべき化合物100質量部に対し、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。この量が0.01質量部よりも少ないと、反応完結までに時間がかかりすぎたり、反応が進行しない場合がある。また、10質量部を超えると、コスト的に不利であり、得られる組成物或いは硬化物が着色してしまったり、副反応が多くなる場合がある。
中空シリカ粒子は、シリカを主成分とする外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている粒子である。中空シリカ粒子の平均粒子径は5〜100nmが好ましく、10〜80nmがさらに好ましい。なお、上記平均粒子径は動的光散乱法によって求めた。
本発明における低屈折率層形成用組成物に用いられる光重合開始剤としては特に制限はなく、例えばイルガキュアー127,184,907,651,1700,1800,819,369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、エザキュアーKIP150、TZT(日本シイベルヘグナー社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、カヤキュアBMS(日本化薬製)等が挙げられる。前述のように、低屈折率層形成用組成物に光重合開始剤を配合する本発明の好ましい形態によれば、紫外線照射により光重合開始剤が分解してラジカルが発生し、ハーフキュア状態の高屈折率層に残存している電離放射線硬化型樹脂の硬化をさらに進行させることができる。
本発明における低屈折率層形成用組成物は、前記マトリックス成分100質量部に対し、前記中空シリカ粒子を20〜120質量部を配合してなるのが好ましい。さらに好ましい配合割合は、マトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子40〜100質量部である。また本発明の好ましい形態において、低屈折率層形成用組成物は、前記マトリックス成分100質量部に対し、さらに光重合開始剤3〜15質量部、好ましくは5〜12質量部配合したものである。
更に、本発明における低屈折率層形成用組成物には、被膜の硬度、耐擦傷性、導電性等の物性を調整することを目的として各種添加剤を配合することもできる。
低屈折率層の屈折率は、1.28〜1.50が好ましく、1.30〜1.45がさらに好ましい。また低屈折率層の厚さは、40〜300nmであることが好ましく、60〜150nmであることがより好ましい。
高屈折率層および低屈折率層を形成するための塗料に用いるに好適な有機溶剤としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等のβ−ジケトン、β−ケトエステルを挙げることができる。
本発明における高屈折率層形成用組成物および低屈折率層形成用組成物をその下地にコーティングする方法としては、ディッピング法、スピンコート法、フローコート法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられ、特に限定されるものではないが、膜厚の制御を容易に行うことができることから、ディッピング法、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法で所定の膜厚になるように行うのが好ましい。
本発明における高屈折率層は、ハードコート層上に上記高屈折率層形成用組成物を塗料として塗布、乾燥し、電離放射線照射により硬化させることにより形成することができる。電離放射線に特に制限はなく、例えば、電子線、放射線、紫外線などを挙げることができる。電離放射線の中で、紫外線は装置が簡単であり、取り扱いが容易であることから、特に好適に用いることができる。
本発明における低屈折率層は、高屈折率層上に上記低屈折率層形成用組成物を塗料として塗布し、加熱乾燥により硬化被膜を形成させ、得られるものであるが、本発明では、高屈折率層上に低屈折率形成用組成物を塗布した後、加熱乾燥し、続いて紫外線照射するのがとくに好ましい。
これにより、形成された低屈折率層が高屈折率層に対する酸素遮断層として作用し、ハーフキュア状態の高屈折率層に残存している電離放射線硬化型樹脂のラジカル重合が良好に進行し、耐擦傷性が向上するという効果が奏される。
なお、加熱乾燥温度は、例えば120〜140℃である。
本発明の反射防止フィルムは、全光線透過率が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、JIS K 7361−1にしたがって測定することができる。全光線透過率が90%未満であると、透明性がやや劣り、ディスプレイの反射防止フィルムなどとして使用したとき、画像の鮮映性が低下するおそれがある。
また、本発明の反射防止フィルムは表面抵抗率が1.0×1012Ω/sq.以下であることが好ましく、1.0×1010Ω/sq.以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
透明基材フィルムとして、厚さ80μmのTAC(富士フイルム(株)製トリアセチルセルロースフィルム、フジタックTF−80UL)上に、下記組成のハードコート層形成用塗料Bを乾燥膜厚2.5μmとなるように塗布し、乾燥した。続いて、高圧水銀灯により紫外線を照射して塗料を硬化させ、ハードコート層を形成した(屈折率1.50)。
次に、ハードコート層上に、下記組成の高屈折率層形成用塗料を膜厚80nmとなるように塗布し、乾燥した。続いて、高圧水銀灯により紫外線を照射して塗料を硬化させ、高屈折率層を形成した(屈折率1.70)。
続いて、高屈折率層上に下記組成の低屈折率層形成用塗料Aを乾燥膜厚100nmとなるように塗布し、130℃で乾燥し(低屈折率層の屈折率1.39)、本発明の反射防止フィルムを作製した。
(ハードコート層形成用塗料B)
・電離放射線硬化型樹脂 70質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
(日本化薬社製6官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%、屈折率1.48)
・ウレタンアクリレート 30質量部
(根上工業(株)製UM−901M、質量平均分子量3,600、官能基数9)
・変性シリカ分散液(1) 229質量部
(固形分80質量部)
・光重合開始剤 10質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)127)
・溶剤 120質量部
(メチルエチルケトン(MEK)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM))
上記の変性シリカ分散液(1)は次のようにして調製した。
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8質量部、ジブチル錫ジラウレート0.2質量部からなる溶液に対し、イソフォロンジイソシアネート20.6質量部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間攪拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4質量部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することでアルコキシシラン化合物であるシラン化合物を得た。これをシラン化合物Aという。生成物中の残存イソシアネート量を分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。
続いて、上記のシラン化合物A8.1質量部、メタノールシリカゾルMEK−ST(日産化学(株)製、メチルエチルケトン分散液コロイダルシリカ(平均粒径10〜20nm、シリカ濃度30%)90.5質量部、イオン交換水0.1質量部の混合液を、60℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.3質量部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで無色透明の分散液を得た。これを変性シリカ分散液(1)とする。
(高屈折率層形成用塗料)
・マトリックス成分 100質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
(日本化薬社製6官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%、屈折率1.48)
・アンチモン酸亜鉛 400質量部
(固形分240質量部)
(日産化学製、セルナックスCX−Z603M−F2、固形分60%、
屈折率1.7)
・分散剤 4質量部
(固形分0.8質量部)
(日本ルーブリゾール社製、ソルスパース20000、
アルキルアミンEO・PO付加体、固形分20%)
・特定モノマー 15質量部
(2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、昭和電工社製カレンズAOI)
・光重合開始剤 20質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)127)
・溶剤 120質量部
(メチルエチルケトン(MEK)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM))
(低屈折率層形成用塗料Aの組成)
・下記マトリックス成分A 100質量部
(固形分3質量部)
・中空シリカ分散液ゾル 7質量部
(固形分1.4質量部)
(触媒化成工業社製、ELCOM RK−1018SIV、固形分20%、溶剤はメチルイソブチルケトン(MIBK)、中空シリカの平均粒子径は、40nm)
・溶剤 42質量部
(メチルイソブチルケトン(MIBK))
(マトリックス成分Aの調製)
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1リットルフラスコに、下記のジシラン化合物(1)29.9g(0.05モル)、及びt−ブタノール125gを仕込み、25℃で攪拌しているところに、0.1N酢酸水10gを10分かけて滴下。更に25℃で20時間攪拌し、加水分解を終了し、ここに縮合触媒としてアルミニウムアセチルアセトナート2g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーン1gを加え、更に30分間攪拌し、得た溶液に、エタノール670g、プロピレングリコールモノメチルエーテル40g、ジアセトンアルコール40gを加えて希釈し調整した塗料。(固形分3%)
(CH3O)3Si−C24−C612−C24−Si(OCH33 (1)
得られた反射防止フィルムについて、下記の評価を行った。
(1)最低反射率
分光光度計[日本分光(株)、U−best V−570]を用いて、波長380〜780nmの反射率を測定し、その最低値を記録する。波形が波打つ場合には、スムージング処理を行い最低値を求める。
(2)全光線透過率
JIS K 7361−1にしたがい、ヘーズコンピューター[日本電色工業(株) NDH2000]を用いて測定する。
(3)ヘーズ
JIS K 7136にしたがい、ヘーズコンピューター[日本電色工業(株) NDH2000]を用いて測定する。
(4)鉛筆硬度
JIS K 5400 8.4.1に準拠し、荷重500gで、鉛筆[三菱鉛筆(株)、ユニ]を用いて塗膜のすり傷で評価する。
(5)耐スチールウール性
スチールウール[日本スチールウール(株)、#0000]を丸めて200gの荷重をかけて10往復させて擦り、傷の状態を観察し、下記の基準により耐擦傷性を判定する。
◎:傷がまったくつかない。
○:傷が1〜2本認められる。
△:傷が3〜9本認められる。
×:傷が10本以上認められる。
(6)表面抵抗率
抵抗率計〔三菱化学(株)、ハイレスターMCP−HT450〕を用いて測定した。
(7)カール性
10cm×10cmのサイズにサンプルを作成し、サンプルを水平面に置いた際の4隅のカール高さを測定し、下記の基準により判定する。
○:カール高さが20mm未満
△:カール高さが20mm以上50mm未満
×:カール高さが50mm以上
(8)塗膜密着性
JIS K 5400に準拠し、ロータリーカッターにて1mm角の碁盤目100マスを付け、セロテープ〔ニチバン製、登録商標〕を圧着させたのち、90度の剥離試験を実施した。100マスのうちの残存膜数を数えることにより塗膜密着性を評価した。1回目の試験で100/100を維持した場合、同箇所についてさらに5回同様の剥離試験を実施し、下記の基準により判定する。
◎:100/100(同箇所を5回の試験後で100/100を維持できる)
○:100/100(同箇所を5回未満の試験後で100/100を維持できる)
△:99〜80/100
×:80未満/100
(9)耐アルカリ性
1%NaOH水溶液をフィルム表面に滴下し、30分放置後に拭取り、汚染状況を目視にて、下記の基準により判定する。
○:汚染が見られない。
△:僅かに汚染される。
×:著しく汚染される。
結果を下記表1に示す。
実施例2
実施例1において、高屈折率層形成用塗料における特定モノマーの使用量を7質量部に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例3
実施例1において、高屈折率層形成用塗料における特定モノマーの使用量を25質量部に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例4
実施例1において、高屈折率層形成用塗料におけるDPHAをジペンタエリスリトールトリアクリレートPETA(東亞合成社製)に変更し、かつ高屈折率層形成用塗料における特定モノマーを、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例5
実施例1において、高屈折率層形成用塗料における特定モノマーを、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズBEI)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
結果を下記表1に示す。
Figure 0004913627
実施例6
実施例1において、高屈折率層形成用塗料におけるアンチモン酸亜鉛の使用量を200質量部(固形分120質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例7
実施例1において、高屈折率層形成用塗料におけるアンチモン酸亜鉛の使用量を833質量部(固形分500質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例8
実施例1において、高屈折率層形成用塗料における光重合開始剤を2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)907)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例9
実施例1において、透明基材フィルムとして、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(屈折率1.65)を用いたこと以外は実施例1を繰り返した。
実施例10
実施例9において、高屈折率層形成用塗料におけるDPHAをジペンタエリスリトールトリアクリレートPETA(東亞合成社製)に変更し、かつ高屈折率層形成用塗料における特定モノマーを2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)に変更したこと以外は、実施例9を繰り返した。
結果を下記表2に示す。
Figure 0004913627
実施例11
実施例1において、ハードコート層の厚さを4.0μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例12
実施例1において、ハードコート層の厚さを11.0μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例13
実施例1において、ハードコート層形成用塗料Bに特定モノマー(2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、昭和電工社製カレンズAOI)10質量部を加えハードコート層形成用塗料Cを調製し、この塗料Cを用いてハードコート層を形成したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例14
実施例1で使用した低屈折率層形成用塗料Aに光重合開始剤(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)907))0.24質量部を加えて低屈折率層形成用塗料Dを調製した。続いて、厚さ80μmのTAC(富士フイルム(株)製トリアセチルセルロースフィルム、フジタックTF−80UL)上に、実施例1で使用したハードコート層形成用塗料Bを乾燥膜厚2.5μmとなるように塗布し、乾燥し、高圧水銀灯により紫外線を照射して塗料を硬化させ、ハードコート層を形成した。
次に、ハードコート層上に、実施例1で使用した高屈折率層形成用塗料を膜厚80nmとなるように塗布し、乾燥した。続いて、高圧水銀灯により紫外線を照射して塗料を硬化させ、高屈折率層を形成した。
続いて、高屈折率層上に上記低屈折率層形成用塗料Dを乾燥膜厚100nmとなるように塗布し、130℃で乾燥し(低屈折率層の屈折率1.39)、高圧水銀灯により紫外線を再度照射し、本発明の反射防止フィルムを作製した。
なお、上記光重合開始剤の使用量は、マトリックス成分の固形分100質量部に対して8質量部に相当する。
実施例15
実施例14において、高屈折率層形成用塗料における特定モノマーの使用量を7質量部に変更したこと以外は、実施例14を繰り返した。
結果を下記表3に示す。
Figure 0004913627
実施例16
実施例14において、低屈折率層形成用塗料Dの替わりに実施例1で使用した低屈折率層形成用塗料Aを用いたこと以外は、実施例14を繰り返した。
実施例17
実施例15において、低屈折率層形成用塗料Dの替わりに実施例1で使用した低屈折率層形成用塗料Aを用いたこと以外は、実施例15を繰り返した。
結果を下記表4に示す。
Figure 0004913627
比較例1
実施例1において、高屈折率層形成用塗料における特定モノマーの使用量を3質量部に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例2
実施例1において、高屈折率層形成用塗料における特定モノマーの使用量を0質量部に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例3
実施例1において、高屈折率層形成用塗料におけるアンチモン酸亜鉛の使用量を133質量部(固形分80質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例4
実施例1において、高屈折率層形成用塗料におけるアンチモン酸亜鉛の使用量を1167質量部(固形分700質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例5
実施例1において、高屈折率層形成用塗料における光重合開始剤の使用量を12質量部に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
結果を下記表5に示す。
Figure 0004913627
比較例6
比較例1において、透明基材フィルムとして、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(屈折率1.65)を用いたこと以外は比較例1を繰り返した。
比較例7
比較例2において、透明基材フィルムとして、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(屈折率1.65)を用いたこと以外は比較例2を繰り返した。
結果を下記表6に示す。
Figure 0004913627
上記表から次の各事項が導き出される。
・実施例1は、高屈折率層形成用組成物に、特定モノマーの特定量と、アンチモン酸亜鉛および光重合開始剤の特定量を使用しているので、耐スチールウール性、塗膜密着性に優れた反射防止フィルムを提供することができた。さらに、最低反射率、全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、表面抵抗率、カール性、耐アルカリ性が良好となった。
・実施例2は、特定モノマーの使用量が7質量部とやや低めであるので、耐スチールウール性、塗膜密着性が△評価になった。
・実施例3は、特定モノマーの使用量が25質量部である例であり、実施例1と同様の効果が認められた。
・実施例4は、電離放射線硬化型樹脂としてPETAを使用し、特定モノマーの種類を変更した例であり、実施例1と同様の効果が認められた。
・実施例5は、特定モノマーの種類を変更した例であり、実施例1と同様の効果が認められた。
・実施例6は、アンチモン酸亜鉛の使用量を固形分として120質量部に変更した例であり、最低反射率がやや悪化した。
・実施例7は、アンチモン酸亜鉛の使用量を固形分として500質量部に変更した例であり、使用量がやや高めであるので、耐スチールウール性および塗膜密着性が△評価になった。また、ヘーズもやや悪化した。
・実施例8は、光重合開始剤としてα−ヒドロキシアセトフェノン系以外の化合物を使用した例であり、耐スチールウール性および塗膜密着性が△評価になった。
・実施例9は、透明基材フィルムを二軸PETにした例であり、実施例1と同様の効果が認められた。
・実施例10は、透明基材フィルムを二軸PETにし、電離放射線硬化型樹脂としてPETAを使用し、特定モノマーの種類を変更した例であり、実施例1と同様の効果が認められた。
・実施例11は、ハードコート層の厚さを4μmにした例であり、実施例1と同様の効果が認められた。
・実施例12は、ハードコート層の厚みを11μmにした例であり、鉛筆硬度は4Hに向上したが、カール性は△評価になり、ハードコート層形成用組成物を均一に塗布することができず、結果として耐スチールウール性、塗膜密着性が△評価になった。
・実施例13は、ハードコート層形成用組成物に、特定モノマーを添加した例であり、耐スチールウール性、塗膜密着性が◎評価になった。
・実施例14は、実施例1の低屈折率層形成用組成物に光重合開始剤を使用し、これを塗布し、加熱乾燥した後、再度紫外線照射を行った例であり、耐スチールウール性、塗膜密着性が◎評価になった。
・実施例15は、実施例2の低屈折率層形成用組成物に光重合開始剤を使用し、これを塗布し、加熱乾燥した後、再度紫外線照射を行った例であり、耐スチールウール性、塗膜密着性が◎評価になった。
・実施例16は、実施例1の低屈折率層形成用組成物を塗布し(光重合開始剤は含まない)、加熱乾燥した後、再度紫外線照射を行った例であり、実施例1と同様の効果が認められた。
・実施例17は、実施例2の低屈折率層形成用組成物を塗布し(光重合開始剤は含まない)、加熱乾燥した後、再度紫外線照射を行った例であり、実施例1と同様の効果が認められた。
・比較例1は、特定モノマーの使用量が3質量部であり、本発明の範囲外であるため、耐スチールウール性、塗膜密着性が×評価になった。
・比較例2は、特定モノマーを添加しない例であり、本発明の範囲外であるため、耐スチールウール性、塗膜密着性が×評価になった。
・比較例3は、アンチモン酸亜鉛の使用量が80質量部であり、本発明の範囲外であるため、表面抵抗率が悪化した。また最低反射率もやや悪化した。
・比較例4は、アンチモン酸亜鉛の使用量が700質量部であり、本発明の範囲外であるため、耐スチールウール性、塗膜密着性が×評価になった。またヘーズ値も悪化した。
・比較例5は、光重合開始剤の使用量が12質量部であり、本発明の範囲外であるため、耐スチールウール性、塗膜密着性が×評価になった。
・比較例6は、透明基材フィルムとして二軸PETを使用した例であるが、特定モノマーの使用量が3質量部であり、本発明の範囲外であるため、耐スチールウール性、塗膜密着性が×評価になった。
・比較例7は、透明基材フィルムとして二軸PETを使用した例であるが、特定モノマーを使用しておらず、本発明の範囲外であるため、耐スチールウール性、塗膜密着性が×評価になった。
本発明の反射防止フィルムは、とくに高屈折率層と低屈折率層との密着性が良く、耐擦傷性を十分に満足し、かつ最低反射率が小さく、透明性、鉛筆硬度、表面抵抗率、カール性、耐アルカリ性に優れているので、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、カーナビゲータ、携帯電話などのディスプレイ表面の反射防止に有用である。

Claims (17)

  1. 透明基材フィルムの表面にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に、高屈折率層および低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、
    前記高屈折率層が、下記高屈折率層形成用組成物を硬化して形成されたものであることを特徴とする反射防止フィルム。
    高屈折率層形成用組成物:(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、アンチモン酸亜鉛を100〜600質量部、分子内にラジカル重合性二重結合と前記低屈折率層を形成する成分に対し反応性を有する官能基とを有する特定モノマーを5〜30質量部および光重合開始剤を15〜25質量部含有し、前記特定モノマーが、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである。
  2. 前記(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記光重合開始剤が、α−ヒドロキシアセトフェノン系であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記低屈折率層が、下記低屈折率層形成用組成物を硬化して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
    低屈折率層形成用組成物:フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とするマトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子20〜120質量部を含有する。
  5. 前記低屈折率層形成用組成物が、前記マトリックス成分100質量部に対し、さらに光重合開始剤3〜15質量部を含有することを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルム。
  6. 前記ジシラン化合物が、下記式(1)
    m1 3-mSi−Y−SiR1 3-mm(1)
    (式中、R1は、炭素数1〜6の1価炭化水素基、Yはフッ素原子を1個以上含有する2価有機基、Xは加水分解性基、mは1、2又は3である。)
    で示されることを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルム。
  7. 前記中空シリカ粒子の平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルム。
  8. 前記ハードコート層の厚さが、0.5〜10μmであり、前記ハードコート層が、下記ハードコート層形成用組成物を硬化して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
    ハードコート層形成用組成物:(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、シリカ微粒子を10〜200質量部および光重合開始剤3〜15質量部を含有する。
  9. 前記ハードコート層形成用組成物が、前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、さらに前記特定モノマーを5〜30質量部を含有することを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルム。
  10. 前記シリカ微粒子の一次粒径が、1〜200nmであることを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルム。
  11. 前記シリカ微粒子の一次粒径が、20〜50nmであることを特徴とする請求項10に記載の反射防止フィルム。
  12. 前記シリカ微粒子が、重合性不飽和基を有することを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルム。
  13. 前記シリカ微粒子が、シリカ微粒子と重合性不飽和基を有するアルコキシシラン化合物との反応により形成されるものであることを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルム。
  14. 前記透明基材フィルムがトリアセチルセルロースフィルムまたは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  15. 前記透明基材フィルムがトリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項14に記載の反射防止フィルム。
  16. 透明基材フィルムの表面にハードコート層を形成する工程と、前記ハードコート層上に高屈折率層を形成する工程と、前記高屈折率層上に低屈折率層を形成する工程とを有する反射防止フィルムの製造方法であって、
    前記高屈折率層を形成する工程が、前記ハードコート層上に下記高屈折率層形成用組成物を塗布し、紫外線照射する工程であり、
    前記低屈折率層を形成する工程が、前記高屈折率層上に低屈折率層形成用組成物を塗布し、加熱乾燥後、再度紫外線照射する工程であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
    高屈折率層形成用組成物:(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、アンチモン酸亜鉛を100〜600質量部、分子内にラジカル重合性二重結合と前記低屈折率層を形成する成分に対し反応性を有する官能基とを有する特定モノマーを5〜30質量部および光重合開始剤を15〜25質量部含有し、前記特定モノマーが、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである。
  17. 前記低屈折率層形成用組成物が、フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とするマトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子20〜120質量部および光重合開始剤3〜15質量部を含有することを特徴とする請求項16に記載の反射防止フィルムの製造方法。
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