JP5206294B2 - ハードコートフィルムの製造方法及び光学機能部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ディスプレイ等の表面を保護する目的等で使用される、透明基材フィルム上にハードコート層を設けてなるハードコートフィルムの製造方法及び当該ハードコートフィルムを用いた光学機能部材の製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。これに対して、基材フィルムにハードコート(HC)層を設けたハードコートフィルムや、更に反射防止性や防眩性等光学機能を付与したハードコートフィルム(光学積層体)を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。
特許文献1では、基材フィルム上に、アクリル系及び/又はメタクリル系樹脂を含むハードコート層用塗工組成物を硬化させたハードコート層を設け、基材フィルムとハードコート層の間に、基材フィルムを形成する樹脂と、ハードコート層を形成する樹脂とが混合した境界層を設け、硬度及び密着性の向上、並びに干渉縞の発生の防止を図っている。
しかし、特許文献1の実施例では厚さが3〜5μmの境界層が形成されており、このように光硬化性基を有するバインダー成分が浸透した境界層では密着性は得られるが、基材の成分とハードコート層の樹脂成分は架橋反応しないため、樹脂成分の架橋が不十分な領域が増し、硬度が不十分となってしまっていた。
また、上記境界層を形成しないように、ハードコート層用組成物にトルエン等の非浸透性の溶剤を用いると、境界層が形成されないため硬度は得られるが、基材フィルムとハードコート層の密着性が低下したり、干渉縞が発生してしまう問題があった。
特開2008−012675号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、優れた硬度及び密着性を得ながら、且つ干渉縞の発生も防止できるハードコートフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討を重ねた結果、1分子中に熱硬化性基及び光硬化性基を有する表面処理用化合物を用いて、トリアセチルセルロース基材の成分であるセルロースポリマーに存在する水酸基と前記表面処理用化合物の熱硬化性基とを架橋反応させ、さらに、セルロースポリマーと架橋反応している前記表面処理用化合物の光硬化性基と、バインダー成分である多官能光硬化性化合物の光硬化性基とを架橋反応させることで、優れた密着性及び硬度が得られ、且つ干渉縞の発生も防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記問題点を解決する本発明の特徴は、以下の点である。
本発明に係る第一のハードコートフィルムの製造方法は、分子中に水酸基との硬化反応性を有する熱硬化性基及び光硬化性基を有する表面処理用化合物、並びに酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン及びシクロヘキサノンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であるトリアセチルセルロース基材に対する浸透性を有する浸透性溶剤からなる溶剤を含む表面処理組成物を準備する工程、
分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側に、前記表面処理組成物を塗布して、乾燥させ、前記トリアセチルセルロース基材の前記塗膜との界面近傍に前記表面処理用化合物が浸透した浸透層を形成する工程、
前記浸透層を熱処理して熱硬化させる工程、
前記熱硬化させた浸透層上に、分子中に光硬化性基を2つ以上有する多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布して、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、及び、
前記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜に光照射して光硬化させてハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る第二のハードコートフィルムの製造方法は、分子中に水酸基との硬化反応性を有する熱硬化性基及び光硬化性基を有する表面処理用化合物、並びに前記トリアセチルセルロース基材に対する浸透性を有する浸透性溶剤を含む表面処理組成物を準備する工程、
分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側に、前記表面処理組成物を塗布して、乾燥させ、前記トリアセチルセルロース基材の前記塗膜との界面近傍に前記表面処理用化合物が浸透した浸透層を形成する工程、
前記浸透層を熱処理して熱硬化させる工程、
前記浸透層に光照射して浸透層を半硬化させる工程、
前記半硬化させた浸透層上に、分子中に光硬化性基を2つ以上有する多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布して、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、及び、
前記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜及び半硬化させた浸透層に光照射して光硬化させてハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする。
表面処理用化合物は、1分子中に、トリアセチルセルロース基材の水酸基と架橋反応可能な熱硬化性基と、多官能光硬化性化合物の光硬化性基と架橋反応可能な光硬化性基とを有し、熱硬化性基がトリアセチルセルロース基材の水酸基と、光硬化性基がハードコート層用硬化性樹脂組成物に含まれる多官能光硬化性化合物の光硬化性基とそれぞれ、架橋反応することにより、トリアセチルセルロース基材とハードコート層との密着性及びハードコートフィルムの硬度を向上させる。
さらに、表面処理化合物は、トリアセチルセルロース基材の界面近傍に浸透層を形成することにより干渉縞の発生も防止する働きを有する。
従来の、表面処理用化合物を用いず、ハードコート層のバインダー成分を浸透させて境界層を形成するような場合では、バインダー成分は光硬化性基しか有さず、熱硬化性基を有していなかったため、トリアセチルセルロース基材の水酸基と架橋反応できず、バインダー成分同士の架橋によりトリアセチルセルロース基材とハードコート層との密着性は得られるが、架橋が不十分となりハードコートフィルムの硬度が向上できなかった。
これに対して本発明の表面処理化合物は、1分子内にトリアセチルセルロース基材の水酸基と反応可能な熱硬化性基及び、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の多官能光硬化性化合物の光硬化性基と反応可能な光硬化性基を有しているため、上記問題を解決し、密着性及び硬度が向上できる。
浸透性溶剤は、前記表面処理用化合物をトリアセチルセルロース基材の浸透させ、トリアセチルセルロース基材の界面近傍に浸透層を形成させる。
なお、本発明において、浸透とは、トリアセチルセルロース基材を溶解又は膨潤させることを意味する。また、界面近傍とは、界面から0.01〜5μmの領域を意味する。
多官能光硬化性化合物は、ハードコート層のマトリクスとなる成分であり、分子中に2つ以上の光硬化性基を有し、前記表面処理用化合物と光硬化性基により架橋反応し、ハードコート層に密着性及び硬度を付与する。
前記第一及び第二のハードコートフィルムの製造方法のように、浸透層を熱硬化させた後、当該熱硬化した浸透層を光照射により半硬化し又は半硬化させずに、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜とし、当該塗膜を光照射により完全に光硬化させ、ハードコート層を形成することにより、トリアセチルセルロース基材にハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化収縮による皺などの不良が起こらず、良好なハードコートフィルムを得ることができる。
本発明において、半硬化とは、一部の表面処理化合物の光硬化性基を反応させ、硬化させることを意味し、完全硬化とは、半硬化した状態の残りの表面処理化合物の光硬化性基を硬化させることを意味する。また、本発明において、完全硬化を単に光硬化と表すこともある。
本発明において、微粒子の平均粒径とは、溶液中の当該微粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
上記微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であれば良い。
本発明において、「ハードコート層」とは、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で、「H」以上の硬度を示すものをいう。
本発明は、分子中に水酸基との硬化反応性を有する熱硬化性及び光硬化性基を有する表面処理化合物を用いて、トリアセチルセルロース基材の水酸基とハードコート層のマトリクス成分となる多官能光硬化性化合物の光硬化性基とを架橋反応させることにより、トリアセチルセルロース基材とハードコート層の密着性及びハードコートフィルムの硬度を向上させ、さらに、表面処理用化合物が浸透層を形成することにより干渉縞の発生も防止できるハードコートフィルムの製造方法を提供する。また、当該ハードコートフィルムを有する光学機能部材の製造方法を提供する。
以下、まず本発明に係るハードコートフィルムの製造方法について説明し、次いで当該
ハードコートフィルムを有する光学機能部材の製造方法について説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において、「ハードコート層」とは、一般にJIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を示すものである。
また、本発明の光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明において、膜厚とは乾燥時の膜厚(乾燥膜厚)を意味する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
本発明において、微粒子の平均粒径とは、溶液中の当該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
上記微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であれば良い。
本発明において、光硬化性基とは、光照射により重合反応又は架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基を意味し、例えば、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合のような重合反応、光二量化を経て進行する付加重合又は縮重合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。
また、本発明の熱硬化性基とは、加熱によって同じ官能基同士若しくは他の官能基との間で重合反応又は架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基を意味し、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、アルコキシル基等を例示することができる。
1.ハードコートフィルムの製造方法
本発明に係る第一のハードコートフィルムの製造方法は、分子中に水酸基との硬化反応性を有する熱硬化性基及び光硬化性基を有する表面処理用化合物、並びに前記トリアセチルセルロース基材に対する浸透性を有する浸透性溶剤を含む表面処理組成物を準備する工程、
分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側に、前記表面処理組成物を塗布して、乾燥させ、前記トリアセチルセルロース基材の前記塗膜との界面近傍に前記表面処理用化合物が浸透した浸透層を形成する工程、
前記浸透層を熱処理して熱硬化させる工程、
前記熱硬化させた浸透層上に、分子中に光硬化性基を2つ以上有する多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布して、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、及び、
前記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜に光照射して光硬化させてハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る第二のハードコートフィルムの製造方法は、分子中に水酸基との硬化反応性を有する熱硬化性基及び光硬化性基を有する表面処理用化合物、並びに前記トリアセチルセルロース基材に対する浸透性を有する浸透性溶剤を含む表面処理組成物を準備する工程、
分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側に、前記表面処理組成物を塗布して、乾燥させ、前記トリアセチルセルロース基材の前記塗膜との界面近傍に前記表面処理用化合物が浸透した浸透層を形成する工程、
前記浸透層を熱処理して熱硬化させる工程、
前記浸透層に光照射して浸透層を半硬化させる工程、
前記半硬化させた浸透層上に、分子中に光硬化性基を2つ以上有する多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布して、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、及び、
前記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜に光照射して光硬化させてハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする。
図1は、本発明に係る第一のハードコートフィルムの製造方法の一例を模式的に示した図である。
表面処理用化合物及び浸透性溶剤を含む表面処理組成物を準備し、図1(a)に示すように、当該表面処理組成物を分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材10の一面側に塗布し、乾燥させ、トリアセチルセルロース基材の界面近傍に表面処理用化合物が浸透した浸透層20を形成する。
次いで、図1(b)に示すように、浸透層20を熱硬化させ、トリアセチルセルロース基材の水酸基の一部と浸透層の表面処理化合物の一部又は全部を熱硬化により架橋させ、熱硬化した層21とする。
次いで、図1(c)に示すように、熱硬化した浸透層21の上に多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜30を形成する。
次いで、図1(d)に示すように、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜30に光照射40し、熱硬化した層の表面処理化合物の光硬化性基と塗膜30の多官能光硬化性化合物の光硬化性基を光照射により架橋させ、光硬化した浸透層22及びハードコート層50を形成し、ハードコートフィルム1を得る。
図2は、本発明に係る第二のハードコートフィルムの製造方法の一例を模式的に示した図である。
表面処理用化合物及び浸透性溶剤を含む表面処理組成物を準備し、図2(a)に示すように、当該表面処理組成物を分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材10の一面側に塗布し、乾燥させ、トリアセチルセルロース基材の界面近傍に表面処理用化合物が浸透した浸透層20を形成する。
次いで、図2(b)に示すように、浸透層20を熱硬化させ、トリアセチルセルロース基材の水酸基の一部と浸透層の表面処理化合物の一部又は全部を熱硬化により架橋させ、熱硬化した層21とする。
次いで、図2(c)に示すように、熱硬化した浸透層21を光照射40し、一部の光硬化性基を半硬化させ、半硬化した層23とする。
次いで、図2(d)に示すように、半硬化した浸透層23の上に多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜30を形成する。
次いで、図2(e)に示すように、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜30に光照射40し、半硬化した浸透層23の表面処理化合物の残りの光硬化性基と塗膜30の多官能光硬化性化合物の光硬化性基を光照射により架橋させ、光硬化した浸透層22及びハードコート層50を形成し、ハードコートフィルム1を得る。
また、上記第一及び第二のハードコートフィルムの製造方法以外に、第一又は第二の方法と同様に浸透層を形成した後、
浸透層を熱硬化せずにハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜とし、当該塗膜及び浸透層を熱硬化し、次いで光硬化する第三の方法、
浸透層を熱硬化せずにハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜とし、当該塗膜及び浸透層を光硬化し、次いで熱硬化する第四の方法、
浸透層を熱硬化せずに当該浸透層を光照射し、半硬化し、次いでハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜とし、当該塗膜及び半硬化した浸透層を光照射で完全硬化し、次いで熱硬化する第五の方法、
浸透層を熱硬化せずに当該浸透層を光照射し、半硬化し、次いでハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜とし、当該塗膜及び半硬化した浸透層を熱硬化し、次いで光照射で完全硬化する第六の方法、及び、
浸透層を熱硬化せずに当該浸透層を光照射し、半硬化し、次いで、半硬化した浸透層を熱硬化し、次いでハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜とし、次いで当該塗膜及び前記熱硬化した浸透層を光照射で完全硬化する第七の方法でもハードコートフィルムを得ることが可能である。
本発明に係る第一及び第二のハードコートフィルムの製造方法の好適な実施形態では、前記トリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側をけん化処理した後、当該けん化処理した表面に、前記表面処理組成物を塗布して表面処理を行う一連の工程とハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布してハードコート層を形成する一連の工程を行い、ハードコートフィルムを製造することも可能である。
すなわち、前記第一及び第二のハードコートフィルムの製造方法において、トリアセチルセルロース基材の代わりに、少なくとも一面側をけん化処理したトリアセチルセルロース基材を用いて、ハードコートフィルムを製造する。
トリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側をけん化処理することにより、表面処理化合物の熱硬化性基と反応可能な水酸基が増加し、トリアセチルセルロース基材とハードコート層の密着性及びハードコートフィルムの硬度が向上しやすくなる。
以下、本発明に係る第一及び第二のハードコートフィルムの製造方法において用いる表面処理組成物及びハードコート層用硬化性樹脂組成物、並びに形成される浸透層について説明する。ハードコートフィルムのその他の必須構成要素であるトリアセチルセルロース基材及びハードコート層については後述する「ハードコートフィルム」において、説明する。
1−1.表面処理組成物
本発明の表面処理組成物は、表面処理化合物及び浸透性溶剤を含む。
表面処理組成物を分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側に塗布することにより、表面処理化合物と浸透性溶剤がトリアセチルセルロース基材の界面近傍に浸透し、浸透層を形成する。
(表面処理化合物)
表面処理化合物は、分子中に水酸基との硬化反応性を有する熱硬化性基及び光硬化性基を有し、当該熱硬化性基は、トリアセチルセルロース基材の水酸基と硬化反応し、架橋結合を形成し得る。また、前記光硬化性基はハードコート層用硬化性樹脂組成物に含まれる少なくとも一部の多官能光硬化性化合物の光硬化性基や他の表面処理化合物分子の光硬化性基と硬化反応し、架橋結合を形成し得る。
この2種類の硬化性基により表面処理化合物は、トリアセチルセルロース基材の水酸基及び他官能光硬化性化合物の光硬化性基と架橋反応が可能となり、トリアセチルセルロース基材とハードコート層との密着性及びハードコートフィルムの硬度向上に寄与する。
表面処理化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理化合物の分子量は特に限定されないが、トリアセチルセルロース基材への浸透性の点から分子量1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。表面処理化合物の分子量が1000以下であればトリアセチルセルロース基材への十分な浸透性が得られる。
熱硬化性基とは、加熱によって同じ官能基同士又は他の官能基との間で重合反応若しくは架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基を意味し、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基(−N=C=O)、アルコキシル基等を例示することができる。
また、熱硬化性基は、例えば、下記式に示すように、熱処理等により脱保護して熱硬化性基を生じる基であってもよい。
Figure 0005206294
光硬化性基は、光照射により重合反応又は架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基であれば特に限定されず、好ましくは電離放射線硬化性不飽和基を用いる。当該電離放射線硬化性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基(−CH=CH)及びエポキシ基等が挙げられ、好ましくは、エチレン性不飽和結合基である。ラジカル反応するエチレン性不飽和結合基は硬度の点から好ましい。
表面処理用化合物は、上記熱硬化性基及び光硬化性基を、それぞれ、2つ以上有していてもよい。2つ以上有することにより、架橋点が増え、トリアセチルセルロース基材とハードコート層の密着性及びハードコートフィルムの硬度が向上しやすい。
表面処理用化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有するシランカップリング剤(アルコキシシラン)も用いることができる。
表面処理用化合物の市販品としては、例えば、昭和電工(株)製、カレンズMOI(分子量:155、光硬化性基数:1、熱硬化性基数:1)、カレンズMOI−EG(分子量:199、光硬化性基数:1、熱硬化性基数:1)、カレンズAOI(分子量:141、光硬化性基数:1、熱硬化性基数:1)、カレンズMOI−BM(分子量:240、光硬化性基数:1、熱硬化性基数:1)、カレンズBEI(分子量:239、光硬化性基数:2、熱硬化性基数:1)、カレンズMOI−BP(分子量:251、光硬化性基数:1、熱硬化性基数:1)等が挙げられる。
(表面処理組成物の浸透性溶剤)
浸透性溶剤は、前記表面処理用化合物をトリアセチルセルロース基材に浸透させ、トリアセチルセルロース基材の界面近傍に浸透層を形成させる。
浸透性溶剤としては、トリアセチルセルロース基材に対する浸透性を有するものであれば特に限定されない。浸透性溶剤として好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン及びシクロヘキサノンが挙げられる。
上記6種類の溶剤は、トリアセチルセルロース基材への浸透性に優れているため好ましい。
浸透性溶剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
(表面処理組成物のその他の成分)
表面処理組成物には、トリアセチルセルロース基材とハードコート層の密着性及びハードコートフィルムの硬度向上のために、2官能以上の光硬化性モノマー等のバインダー成分、及び帯電防止性向上のための帯電防止剤等、その他の成分が含まれていてもよい。当該その他の成分は後述するハードコート層用硬化性樹脂組成物の成分を用いることができる。
1−2.ハードコート層用硬化性樹脂組成物
本発明のハードコート層用硬化性組成物について説明する。
本発明のハードコート層用硬化性組成物は、多官能光硬化性化合物を含み、その他、硬度付与を目的として微粒子を、機能性付与を目的として防眩剤、防汚剤、及び帯電防止剤を、コーティング適性の制御を目的としてレベリング剤、及び溶剤を、並びにブロッキング防止を目的として易滑剤等を含有していても良い。
(多官能光硬化性化合物)
ハードコート層用硬化性樹脂組成物に用いられる多官能光硬化性化合物は、前記表面処理用化合物の光硬化性基と架橋反応性を有する光硬化性基を2つ以上有する。前記表面処理用化合物の光硬化性基と多官能光硬化性化合物の光硬化性基が架橋結合し、網目構造が形成され、トリアセチルセルロース基材とハードコート層の密着性及びハードコートフィルムの硬度を更に高める。
多官能光硬化性化合物は、十分な架橋性を得るために、当該光硬化性基を1分子あたり3つ以上有することが好ましい。
当該光硬化性基としては、好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基及びエポキシ基等が挙げられ、さらに好ましくはエチレン性不飽和結合基(−CH=CH)である。
光硬化性基は、前記表面処理用化合物の光硬化性基と同じであっても異なっていても良い。
多官能光硬化性化合物としては、硬化性有機樹脂が好ましく、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましく、紫外線又は電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。
多官能光硬化性化合物として、1種又は2種以上の多官能光硬化性化合物を用いることができる。
多官能光硬化性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンヘキサアクリレート、及びこれらの変性体が挙げられる。
尚、変性体としては、EO(エチレンオキサイド)変性体、PO(プロピレンオキサイド)変性体、CL(カプロラクトン)変性体、及びイソシアヌル酸変性体等が挙げられる。
また、後述する2つ以上の光硬化性基を有する分子量が10,000未満の化合物(B)と類似の骨格で分子量が10,000以上の化合物も用いることができる。この様な化合物としては、例えば、商品名ビームセット371(荒川化学工業(株)製)が挙げられる。
多官能光硬化性化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び/又はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく用いられ、ペンタエリスリトールトリアクリレートが特に好ましく用いられる。
このほか、ハードコートフィルムの硬度を向上させる点から、多官能光硬化性化合物として、下記化学式(1)で表されるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(A)と2つ以上の光硬化性基を有する分子量が10,000未満の化合物(B)とを組み合わせて用いることが好ましい。
Figure 0005206294
化学式(1)において、Xは直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖が単独又は組み合わされてなり、当該炭化水素鎖は置換基を有していても良く、また当該炭化水素鎖間には異種原子が含まれていても良い、前記置換基を除いた炭素数が3〜10の3価以上の有機基である。kは3〜10の整数を表す。L〜Lはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基、又は、直接結合である。R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜4の直鎖又は分岐の炭化水素基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ独立の数である。Y〜Yはそれぞれ独立に、1つ以上の光硬化性基を有する化合物残基を示す。
前記ポリマー(A)、後述する化合物(B)及び前記表面処理用化合物が互いに反応可能であり、当該ポリマー(A)が、当該化合物(B)及び当該表面処理用化合物の両方と架橋結合を形成するため、ハードコートフィルムに十分な硬度及び耐擦傷性を付与することができると推定される。
また、前記ポリマー(A)及び後述する化合物(B)は、ハードコート層用硬化性樹脂組成物に反応性無機微粒子が含まれる場合、当該反応性無機微粒子の反応性官能基とも光硬化反応が可能であり、ハードコートフィルムの硬度を向上させることができる。
(化学式(1)で表されるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(A))
前記ポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(A)は、下記化学式(1)で表され、末端に3つ以上の光硬化性基を有する分子量が1000以上のポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマーである。
Figure 0005206294
化学式(1)において、Xは直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖が単独又は組み合わされてなり、当該炭化水素鎖は置換基を有していても良く、また当該炭化水素鎖間には異種原子が含まれていても良い、前記置換基を除いた炭素数が3〜10の3価以上の有機基である。kは3〜10の整数を表す。L〜Lはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基、又は、直接結合である。R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜4の直鎖又は分岐の炭化水素基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ独立の数である。Y〜Yはそれぞれ独立に、1つ以上の光硬化性基を有する化合物残基を示す。
化学式(1)において、Xは直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖が単独又は組み合わされてなり、当該炭化水素鎖は置換基を有していても良く、また当該炭化水素鎖間には異種原子が含まれていても良く、前記置換基を除いた炭素数が3〜10の3価以上の有機基である。化学式(1)で表されるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(A)において、Xは、線状側鎖であるポリアルキレンオキシド鎖(O−Rnk部分が出ている分岐点をk個有する短い主鎖に該当する。
上記炭化水素鎖は、−CH−のような飽和炭化水素又は−CH=CH−のような不飽和炭化水素を含むものである。環状の炭化水素鎖は、脂環式化合物からなるものであっても良いし、芳香族化合物からなるものであっても良い。また、炭化水素鎖間にはO、S等の異種原子が含まれていても良く、炭化水素鎖間にエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合等を含んでいても良い。なお、直鎖や環状の炭化水素鎖に対して異種原子を介して分岐している炭化水素鎖は、後述する置換基の炭素数として数えられる。
上記炭化水素鎖に有していても良い置換基としては、具体的にはハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等が挙げられるが特に限定されない。上記炭化水素鎖に有していても良い置換基には、上述のように直鎖や環状の炭化水素鎖に対して異種原子を介して分岐している炭化水素鎖も含まれ、例えば、アルコキシ基(RO−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)、アルキルチオエーテル基(RS−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)、アルキルエステル基(RCOO−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)等が挙げられる。
Xは、前記置換基を除いた炭素数が3〜10の3価以上の有機基である。Xの前記置換基を除いた炭素数が3未満であると、線状側鎖であるポリアルキレンオキシド鎖(O−Rnk部分を3個以上有することが困難となる。一方、Xの前記置換基を除いた炭素数が10を超えると、柔軟な部分が増え硬化膜の硬度が低下し、好ましくない。上記置換基を除いた炭素数の炭素数は、好ましくは3〜7であり、更に好ましくは3〜5である。
Xとしては、上記条件を満たせば特に限定されない。例えば、下記構造を有するものが挙げられる。
Figure 0005206294
中でも、好適な構造としては、上記構造(x−1)、(x−2)、(x−3)、(x−7)等が挙げられる。
Xの原料としては、中でも、1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等、水酸基を分子中に3個以上有する炭素数が3〜10の多価アルコール類や、カルボキシル基を分子中に3個以上有する炭素数が3〜10の多価カルボン酸類や、アミノ基を分子中に3個以上有する炭素数が3〜10の多価アミン酸類等が好適に用いられる。
化学式(1)において、上記kは、分子中に有するポリアルキレンオキシド鎖(O−Rnkの数を表し、3〜10の整数を表す。kが3未満、すなわちポリアルキレンオキシド鎖が2つでは、十分な硬度が得られにくい。またkが10を超えると、柔軟な部分が増え硬化膜の硬度が低下し好ましくない。上記kは、好ましくは3〜7であり、更に好ましくは3〜5である。
化学式(1)において、上記L〜Lはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基、又は、直接結合である。エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基とは、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、ウレタン結合(−NHCOO−)そのものであっても良い。これらの結合は分子鎖が広がりやすく自由度が高いため、他の樹脂成分との相溶性を実現しやすい。
エーテル結合、エステル結合、及びウレタン結合よりなる群から選択される1種以上を含む2価の基としては、例えば、−O−R−O−、−O(C=O)−R−O−、−O(C=O)−R−(C=O)O−、−(C=O)O−R−O−、−(C=O)O−R−(C=O)O−、−(C=O)O−R−O(C=O)−、−NHCOO−R−O−、−NHCOO−R−O(C=O)NH−、−O(C=O)NH−R−O−、−O(C=O)NH−R−O(C=O)NH−、−NHCOO−R−O(C=O)NH−、−NHCOO−R−(C=O)O−、−O(C=O)NH−R−(C=O)O−、−NHCOO−R−O(C=O)−、−O(C=O)NH−R−O(C=O)−等が挙げられる。ここでRは、飽和又は不飽和の、直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖を示す。
上記2価の基の具体例としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等のジオールや、フマル酸、マレイン酸、コハク酸等のジカルボン酸、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート等のジイソシアネート等の活性水素を除いた残基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
化学式(1)において、(O−Rnkは、アルキレンオキシドが繰り返し単位の線状側鎖であるポリアルキレンオキシド鎖である。ここでR〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜4の直鎖又は分岐の炭化水素基である。アルキレンオキシドとしては、メチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド等が挙げられるが、炭素数2〜3の直鎖又は分岐の炭化水素基であるエチレンオキシド、プロピレンオキシドが好適に用いられる。
アルキレンオキシドR−Oの繰り返し単位数であるn1、n2・・・nkはそれぞれ独立の数である。n1、n2・・・nkは、分子全体として重量平均分子量が1000以上であることを満たせば特に限定されない。n1、n2・・・nkは、それぞれ異なっていても良いが、鎖長がほぼ同程度であることがハードコート層を形成した際の硬度を維持しつつクラックを抑制する点から好ましい。従って、n1、n2・・・nkの差はそれぞれ0〜100程度、更に0〜50程度、特に0〜10程度であることが好ましい。
ハードコート層を形成した際の硬度を維持しつつクラックを抑制する点から、n1、n2・・・nkはそれぞれ2〜500の数であることが好ましく、更に2〜300の数であることが好ましい。
〜Yはそれぞれ独立に、光硬化性基、又は、1つ以上の光硬化性基を有する化合物残基を示す。これにより、当該ポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマーの末端に3つ以上の光硬化性基がもたらされる。
〜Yが光硬化性基そのものである場合、Y〜Yとしては例えば、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
また、Y〜Yが1つ以上の光硬化性基を有する化合物残基の場合の光硬化性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基(CH=CH−)、CH=CR−(ここでRは炭化水素基)等が挙げられる。前記表面処理用化合物、後述する化合物(B)及び必要に応じて含まれていても良い反応性無機微粒子と反応可能なように、適宜光硬化性基を選択すれば、化合物残基としては特に限定されない。Y〜Yが化合物残基の場合、当該Y〜Yが有する光硬化性基の数は、1つでも良いが、2つ以上であることが更に架橋密度を上げることができ、ハードコート層とした際の硬度の点から好ましい。
〜Yが1つ以上の光硬化性基を有する化合物残基である場合、当該化合物残基は、少なくとも1つ以上の光硬化性基と当該光硬化性基とは別に更に反応性置換基を有する化合物から、当該反応性置換基又は当該反応性置換基の一部(水素等)を除いた残基である。
例えば、エチレン性不飽和基を有する化合物残基としては、具体的には例えば、以下の化合物のエチレン性不飽和基以外の反応性置換基又は反応性置換基の一部(水素等)を除いた残基が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、本発明に用いられるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(A)の分子量は、硬化膜に柔軟性を与え、クラックを防止する点から、1000以上であり、更に好ましくは5000以上、特に好ましくは10000以上である。
上記化学式(1)で表されるポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(A)を含有する市販品としては、例えば、商品名ダイヤビームUK−4153(三菱レイヨン製;化学式(1)において、Xが(x−7)、kは3、L〜Lはそれぞれ直接結合、R〜Rはそれぞれエチレンであり、n1、n2、n3の合計が20、Y〜Yはそれぞれアクリロイルオキシ基である。)等が挙げられる。
前記ポリマー(A)の含有量は、後述する化合物(B)100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、10〜50重量部であることが更に好ましい。前記ポリマー(A)の含有量は、後述する化合物(B)100重量部に対して5重量部以上であれば、硬化膜に柔軟性と復元性を付与でき、100重量部以下であれば、硬化膜の硬さを維持できる。
(2つ以上の光硬化性基を有する分子量が10,000未満の化合物(B))
2つ以上の光硬化性基を有する分子量が10,000未満の化合物(B)は、ハードコート層の硬度を向上させ、十分な耐擦傷性を付与するものである。なお、上記ポリマー(A)の構造を有するものは、2つ以上の光硬化性基を有する分子量が10,000未満の化合物(B)から除かれる。
本発明において当該化合物(B)は、上記ポリマー(A)と前記表面処理用化合物や後述する必要に応じて含まれる反応性無機微粒子との組み合わせにおいて、互いに反応可能な光硬化性基を有し、十分な耐擦傷性を有する広範な化合物から適宜選択して用いることができる。当該化合物(B)としては、1種単独で用いても良いし、2種以上を適宜混合して用いても良い。
2つ以上の光硬化性基を有する分子量が10000未満の化合物(B)は、1分子中に含まれる光硬化性基が3個以上であることが、硬化膜の架橋密度をあげて、硬度を付与する点から好ましい。ここで化合物(B)が分子量分布を有するオリゴマーの場合、光硬化性基数は、平均の個数で表される。
また、化合物(B)の分子量は、硬度向上の点から、5,000未満であることが好ましい。
以下に具体例を挙げるが、本発明に用いられる化合物(B)は、これらに限定されるものではない。
光硬化性基を有する具体例として、光硬化性基を1分子内に2つ以上有する多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、イソシアヌール酸EO変性トリ(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製アロニックスM−315等)、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、フタル酸水素−(2,2,2−トリ−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品等の3官能(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品等の5官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品等の6官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
3官能以上のアクリレート樹脂としては、市販品を使用することができ、具体的には、日本化薬(株)製のKAYARAD、KAYAMERシリーズ(例えば、DPHA、PET30、GPO303、TMPTA、THE330、TPA330、D310、D330、PM2、PM21、DPCA20、DPCA30、DPCA60、DPCA120);東亞合成(株)製のアロニックスシリーズ(例えば、M305、M309、M310、M315、M320、M327、M350、M360、M402、M408、M450、M7100、M7300K、M8030、M8060、M8100、M8530、M8560、M9050);新中村化学工業(株)製のNKエステルシリーズ(例えば、TMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM3L、A−TMMT、A−TMPT−6EO、A−TMPT−3CL、A−GLY−3E、A−GLY−6E、A−GLY−9E、A−GLY−11E、A−GLY−18E、A−GLY−20E、A−9300、AD−TMP−4CL、AD−TMP);新中村化学工業(株)製のNKエコノマーシリーズ(例えば、ADP51、ADP33、ADP42、ADP26、ADP15);第一工業製薬(株)製のニューフロンティアシリーズ(例えば、TMPT、TMP3、TMP15、TMP2P、TMP3P、PET3、TEICA);ダイセル・ユーシービー(株)製のEbecrylシリーズ、(例えば、TMPTA、TMPTAN、160、TMPEOTA、OTA480、53、PETIA、2047、40、140、1140、PETAK、DPHA);サーマー社製のCD501、CD9021、CD9052、SR351、SR351HP、SR351LV、SR368、SR368D、SR415、SR444、SR454、SR454HP、SR492、SR499、SR502、SR9008、SR9012、SR9020、SR9020HP、SR9035、CD9051、SR350、SR9009、SE9011、SR295、SR355、SR399、SR399LV、SR494、SR9041等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系オリゴマー(乃至プレポリマー)としては、例えば、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸若しくはカルボン酸塩基を持つモノマーとの付加反応によって得られるエポキシ(メタ)アクリレート類;ポリオールとポリイソシアネートとの反応物と水酸基を含有する(メタ)アクリレートとの付加反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート類;ポリオールと多塩基酸から成るポリエステルポリオールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化によって得られるポリエステルアクリレート類;ポリブタジエン又は水添ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリル化合物であるポリブタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもウレタン(メタ)アクリレートは、硬化膜に硬度と柔軟性を与える点から、好適に用いられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレート類に用いられるグリシジルエーテルとしては、例えば、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、カルドエポキシ樹脂、グリセロールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられるポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンポリオール、ポリエステルジオール等が挙げられる。上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメレチンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられる水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記ポリエステルアクリレート類に用いられるポリエステルポリオールを形成するためのポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、多塩基酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
また、本発明に用いられる化合物(B)としては、分子量が100,000未満である下記化学式(2)で表される重合体も用いることができる。
Figure 0005206294
化学式(2)中、Dは炭素数1〜10の連結基を表し、qは0又は1を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Eは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。o、pは各重合単位のモル%である。pは0であっても良い。
化学式(2)中のDは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
化学式(2)中の連結基Dの好ましい例としては、*−(CH−O−**,*−(CH−NH−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−(CH)−O−**、*−CONH−(CH−O−**、*−CHCH(OH)CH−O−**、*−CHCHOCONH(CH−O−**等が挙げられる。ここで、*は、ポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は、(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。
化学式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表すが、硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
化学式(2)においてoは100モル%、すなわち単独の重合体であっても良い。また、oが100モル%であっても、oモル%で表された(メタ)アクリロイル基を含有する重合単位が2種以上混合して用いられた共重合体であってもよい。oとpの比は、特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができる。
化学式(2)中、Eは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその誘導体等を挙げることができる。
また、重量平均分子量が10,000未満である、末端や側鎖にエチレン性不飽和結合を有する反応性オリゴマーも用いることができる。当該反応性オリゴマーとしては、骨格成分がポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(アクリロニトリル/スチレン)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル/(メタ)アクリル酸メチル)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル/(メタ)アクリル酸ブチル)、及び、これらの樹脂とシリコーン樹脂との共重合体等が挙げられる。
以上の化合物については市販品を用いることができる。重量平均分子量が10,000未満であり、且つ、2以上の光硬化性基を有するウレタンアクリレートとしては、共栄社化学(株)製 商品名AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I等が挙げられる。本発明の前記ポリマー(A)との組み合わせにおいて好適に用いられるウレタン(メタ)アクリレートとしては、イソホロンジイソシアネートの単量体又は多量体とペンタエリスリトール多官能アクリレートとジペンタエリスリトール多官能アクリレートとを反応して得られるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。当該ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、商品名UV−1700B(日本合成化学工業(株)製)が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は市販品を使用することができ、具体的には、日本合成化学工業(株)製の紫光シリーズ、例えば、UV1700B、UV6300B、UV765B、UV7640B、UV7600B等が挙げられ;根上工業(株)製のアートレジンシリーズ、例えば、アートレジンHDP、アートレジンUN9000H、アートレジンUN3320HA、アートレジンUN3320HB、アートレジンUN3320HC、アートレジンUN3320HS、アートレジンUN901M、アートレジンUN902MS、アートレジンUN903等が挙げられ;新中村化学工業(株)製のUA100H、U4H、U6H、U15HA、UA32P、U6LPA、U324A、U9HAMI等が挙げられ;ダイセル・ユーシービー(株)製のEbecrylシリーズ、例えば、1290、5129、254、264、265、1259、1264、 4866、9260、8210、204、205、6602、220、4450等が挙げられ;荒川化学工業(株)製のビームセットシリーズ、例えば、371、371MLV、371S、577、577BV、577AK等が挙げられ;三菱レイヨン(株)製のRQシリーズが挙げられ;DIC(株)製のユニディックシリーズ等が挙げられ;DPHA40H(日本化薬(株)製)、CN9006、CN968(サーマー社製)等が挙げられる。この中でも、好ましくは、UV1700B(日本合成化学工業(株)製)、DPHA40H(日本化薬(株)製)、アートレジンHDP(根上工業(株)製)、ビームセット371、ビームセット577(荒川化学工業(株)製)、U15HA(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、重量平均分子量が10,000未満であり、且つ、2以上の光硬化性基を有するエポキシアクリレートとしては、昭和高分子(株)製 商品名SPシリーズ(SP−4060、1450等)、VRシリーズ(VR−60、1950;VR−90、1100等)等;日本合成化学工業(株)製 商品名UV−9100B、UV−9170B等;新中村化学工業(株)製 商品名EA−6320/PGMAc、EA−6340/PGMAc等が挙げられる。
また、重量平均分子量が10,000未満であり、且つ、2以上の光硬化性基を有する反応性オリゴマーとしては、東亞合成(株)製 商品名マクロモノマーシリーズ AA−6、AS−6、AB−6、AA−714SK等が挙げられる。
(その他の成分)
ハードコート層用硬化性樹脂組成物には、上記成分のほかに、更に微粒子、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等を適宜添加することもできる。更に、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等の各種添加剤が混合されていても良い。帯電防止剤及び/又は防眩剤を含む場合には、ハードコート層に、更に帯電防止性及び/又は防眩性を付与できる。
(微粒子)
微粒子は、ハードコート層に硬度を付与するための成分であり、硬度に加えて、帯電防止性等の機能を付与するものであっても良い。
微粒子は平均粒径が10〜100nmであることが好ましく、12〜50nmであることがより好ましい。微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であることが好ましい。微粒子の平均粒径が10nm未満ではハードコート層に十分な硬度を付与することが難しく、平均粒径が100nmを超えると、ハードコート層の透明性が低下する恐れがある。
また、微粒子は、透明性を損なうことなく、前記多官能光硬化性化合物のみを用いた場合の復元率を維持しつつ、硬度を向上させる点から、粒径分布が狭く、単分散であることが好ましい。
微粒子は、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対して30〜70重量%含まれることが好ましく、40〜60重量%がより好ましい。30重量%未満ではハードコート層に十分な硬度を付与することが難しい。70重量%を超えると、充填率が上がり過ぎ、かえってハードコート層の硬度を低下させてしまう恐れがある。
微粒子は単一の材質や単一の平均粒径のものだけでなく、材質や平均粒径の異なるものを2種類以上組み合わせて用いても良い。2種類以上組み合わせて用いる場合は、各粒子の平均粒径が10〜100nm以内で且つ各粒子の合計重量%が30〜70重量%となることが好ましい。
微粒子は無機微粒子でも有機微粒子でも良いが、硬度付与の観点から無機微粒子であることが好ましい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ(SiO)、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物微粒子などが挙げられる。金属微粒子、金属硫化物微粒子、金属窒化物微粒子等を用いても良い。
硬度が高い点からは、シリカ、酸化アルミニウムが好ましい。また、後述するその他の層に対してハードコート層を相体的に高屈折率層とするためには、ジルコニア、チタニア、酸化アンチモン等の膜形成時に屈折率が高くなる微粒子を適宜選択して用いることができる。同様に、相対的に低屈折率層とするためには、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等のフッ化物微粒子などの膜形成時に屈折率が低くなる微粒子を適宜選択して用いることができる。更に、帯電防止性、導電性を付与したい場合には、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ等を適宜選択して用いることができる。これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
無機微粒子の表面には通常、無機微粒子内ではこの形態で存在できない基を有する。これら表面の基は通常、相対的に反応しやすい官能基である。例えば、金属酸化物の場合には、例えば、水酸基及びオキシ基、例えば、金属硫化物の場合には、チオール基及びチオ基、又は例えば、窒化物の場合には、アミノ基、アミド基及びイミド基を有する。
有機微粒子としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、スチレンビーズを挙げることができる。
無機微粒子は、当該無機微粒子表面に当該無機微粒子同士又は前記多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物との間で架橋反応し、共有結合が形成可能な光反応性を有する反応性官能基を少なくとも粒子表面の一部に有する反応性無機微粒子であることが好ましい。反応性無機微粒子同士又は反応性無機微粒子と多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物の間で架橋反応することにより、ハードコートフィルムの硬度を更に向上させることができる。
反応性無機微粒子には、1粒子あたりコアとなる無機微粒子の数が2つ以上のものも含まれる。また、反応性無機微粒子は、粒径を小さくすることにより含有量に対して、ハードコート層のマトリクス内での架橋点を高めることができる。
反応性無機微粒子は、ハードコート層に更に機能を付与するものであっても良く、目的に合わせて適宜選択して用いる。
本発明の反応性無機微粒子は、中空粒子のような粒子内部に空孔や多孔質組織を有する粒子よりも、粒子内部に空孔や多孔質組織を有しない中実粒子を用いることが硬度向上の点から好ましい。
反応性無機微粒子は、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する。ここで、有機成分とは、炭素を含有する成分である。また、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆されている態様としては、例えば、無機微粒子の表面に存在する水酸基にシランカップリング剤等の有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様、または、無機微粒子の表面に存在する水酸基にイソシアネート基を有する有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様、のほか、例えば、無機微粒子の表面に存在する水酸基に水素結合等の相互作用により有機成分を付着させた態様や、ポリマー粒子中に1個又は2個以上の無機微粒子を含有する態様、などが含まれる。
当該被覆している有機成分は、無機微粒子同士の凝集を抑制し、且つ無機微粒子表面へ反応性官能基を多く導入して膜(ハードコート層)の硬度を向上させる点から、粒子表面のほぼ全体を被覆していることが好ましい。このような観点から、無機微粒子を被覆している前記有機成分は、反応性無機微粒子中に1.00×10−3g/m以上含まれることが好ましい。無機微粒子表面に有機成分を付着乃至結合させた態様においては、無機微粒子を被覆している前記有機成分が、反応性無機微粒子中に2.00×10−3g/m以上含まれることが更に好ましく、反応性無機微粒子中に3.50×10−3g/m以上含まれることが特に好ましい。ポリマー粒子中に無機微粒子を含有する態様においては、無機微粒子を被覆している前記有機成分が、反応性無機微粒子中に3.50×10−3g/m以上含まれることが更に好ましく、反応性無機微粒子中に5.50×10−3g/m以上含まれることが特に好ましい。
当該被覆している有機成分の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少の恒量値として、例えば、空気中で室温から通常800℃までの熱重量分析により求めることができる。
なお、単位面積当りの有機成分量は、以下の方法により求めることができる。まず、示差熱重量分析(DTG)により、有機成分重量を無機成分重量で割った値(有機成分重量/無機成分重量)を測定する。次に、無機成分重量と用いた無機微粒子の比重から無機成分全体の体積を計算する。また、被覆前の無機微粒子が真球状であると仮定し、被覆前の無機微粒子の平均粒径から被覆前の無機微粒子1個当りの体積、及び表面積を計算する。次に、無機成分全体の体積を被覆前の無機微粒子1個当たりの体積で割ることにより、反応性無機微粒子の個数を求める。更に、有機成分重量を反応性無機微粒子の個数で割ることにより、反応性無機微粒子1個当たりの有機成分量を求める。最後に、反応性無機微粒子1個当りの有機成分重量を、被覆前の無機微粒子1個当りの表面積で割ることにより、単位面積当たりの有機成分量を求めることができる。
少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する反応性無機微粒子を調製する方法としては、当該無機微粒子に導入したい反応性官能基により、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。
中でも、本発明においては、被覆している有機成分が反応性無機微粒子中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれることが可能で、無機微粒子同士の凝集を抑制し、膜の硬度を向上させる点から、以下の(i)(ii)の無機微粒子のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
(ii)被覆前の無機微粒子に導入する反応性官能基、下記化学式(3)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
化学式(3)
−Q−C(=Q)−Q
化学式(3)中、Qは、NH、O(酸素原子)、又はS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示し、Qは、NH又は2価以上の有機基を示す。
以下、好適に用いられる反応性無機微粒子を順に説明する。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
上記(i)の反応性無機微粒子を用いる場合には、有機成分含量が少なくても膜強度を向上できるというメリットがある。
上記(i)の反応性無機微粒子に用いられる上記表面修飾化合物は、カルボキシル基、酸無水物基、酸塩化物基、酸アミド基、エステル基、イミノ基、ニトリル基、イソニトリル基、水酸基、チオール基、エポキシ基、第一級、第二級及び第三級アミノ基、Si−OH基、シランの加水分解性残基、又はβ−ジカルボニル化合物のようなC−H酸基等の、分散条件下において上記無機微粒子の表面に存在する基と化学結合可能な官能基を有する。ここでの化学結合は、好ましくは、共有結合、イオン結合又は配位結合が含まれるが、水素結合も含まれる。配位結合は錯体形成であると考えられる。例えば、ブレンステッド又はルイスに従う酸性/塩基反応、錯体形成又はエステル化が、上記表面修飾化合物の官能基と無機微粒子表面の基の間で生じる。上記(i)の反応性無機微粒子に用いられる上記表面修飾化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記表面修飾化合物は通常、無機微粒子の表面の基との化学結合に関与できる少なくとも1つの官能基(以下、第1の官能基という)に加えて、当該官能基を介して上記表面修飾化合物に結びついた後に、無機微粒子に新たな特性を付与する分子残基を有する。分子残基又はその一部は疎水性又は親水性であり、例えば、無機微粒子を安定化、融和化、又は活性化させる。
例えば、疎水性分子残基としては、不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキル又はフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基等が挙げられる。
反応性無機微粒子が前記多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物と反応できるように表面に導入される反応性官能基は、当該多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物に応じて、適宜選択される。当該反応性官能基としては、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基及びエポキシ基等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和結合基(−CH=CH)である。
上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、前記多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物と反応できる反応性官能基が含まれる場合には、上記表面修飾化合物中に含まれる第1の官能基を無機微粒子表面に反応させることによって、上記(i)の反応性無機微粒子の表面に多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物と反応できる反応性官能基を導入することが可能である。例えば、第1の官能基のほかに、更に光硬化性基を有する表面修飾化合物が、好適なものとして挙げられる。
一方で、上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、第2の反応性官能基を含有させ、当該第2の反応性官能基を足掛かりにして、上記(i)の反応性無機微粒子の表面に多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物と反応できる反応性官能基が導入されても良い。例えば、第2の反応性官能基として水酸基及びオキシ基のような水素結合が可能な基(水素結合形成基)を導入し、当該微粒子表面上に導入された水素結合形成基に、更に別の表面修飾化合物の水素結合形成基が反応することにより、多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物と反応できる反応性官能基を導入することが好ましい。すなわち、表面修飾化合物として、水素結合形成基を有する化合物と、光硬化性基などの多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物と反応できる反応性官能基と水素結合形成基を有する化合物とを併用して用いることが好適な例として挙げられる。水素結合形成基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、といった官能基、もしくはアミド結合を示すものである。ここで、アミド結合とは、−NHC(O)や>NC(O)−を結合単位に含むものを示す旨である。本発明の表面修飾化合物に用いられる水素結合形成基としては、中でもカルボキシル基、水酸基、アミド基が好ましい。
上記(i)の反応性無機微粒子に用いられる上記表面修飾化合物は500以下、より好ましくは400、特に200を超えない分子量を有する。このような低分子量を有するため、無機微粒子表面を急速に占有し、無機微粒子同士の凝集を妨げることが可能であると推定される。
上記(i)の反応性無機微粒子に用いられる上記表面修飾化合物は、表面修飾のための反応条件下で好ましくは液体であり、分散媒中で溶解性又は少なくとも乳化可能であるのが好ましい。中でも分散媒中で溶解し、分散媒中で離散した分子又は分子イオンとして一様に分布して存在することが好ましい。
飽和又は不飽和カルボン酸としては、1〜24の炭素原子を有しており、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、琥珀酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びステアリン酸、並びに対応する酸無水物、塩化物、エステル及びアミド、例えばカプロラクタム等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸を用いると、光硬化性基を導入することができる。
好ましいアミンの例は、化学式Q3−nNH(n=0,1又は2)を有するものであり、残基Qは独立して、1〜12、特に1〜6、特別好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びブチル)、並びに6〜24の炭素原子を有するアリール、アルカリル又はアラルキル(例えば、フェニル、ナフチル、トリル及びベンジル)を表す。また、好ましいアミンの例としては、ポリアルキレンアミンが挙げられ、具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トルイジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンである。
好ましいβ−ジカルボニル化合物は4〜12、特に5〜8の炭素原子を有するものであり、例えば、ジケトン(アセチルアセトンなど)、2,3−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸、アセト酢酸−C−C−アルキルエステル(アセト酢酸エチルエステルなど)、ジアセチル及びアセトニルアセトンが挙げられる。
アミノ酸の例としては、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
好ましいシランは、少なくとも1つの加水分解性基又はヒドロキシ基と、少なくとも1つの非加水分解性残基を有する加水分解性オルガノシランである。ここで加水分解性基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基及びアシルオキシ基が挙げられる。非加水分解性残基としては、反応性官能基を有する及び/又は反応性官能基を有しない非加水分解性残基が用いられる。また、フッ素で置換されている有機残基を少なくとも部分的に有するシランを使用しても良い。
用いられるシランとしては特に限定されないが、例えば、CH=CHSi(OOCCH、CH=CHSiCl、CH=CHSi(OC、CH=CH−Si(OCOCH、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OOCCH、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N’−(2’−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン及び3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
上記シランカップリング剤としては、特に限定されず、公知のものを挙げることができ、例えば、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503(商品名、いずれも、信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
官能基を有する金属化合物としては、元素周期表の第1群III〜V及び/又は第2群II〜IVからの金属Mの金属化合物が挙げられる。ジルコニウム及びチタニウムのアルコキシド、M(OR)(M=Ti、Zr)、(式中、OR基の一部はβ−ジカルボニル化合物又はモノカルボン酸などの錯生成剤により置換される。)が挙げられる。光硬化性基を有する化合物(メタクリル酸など)が錯生成剤として使用される場合には、光硬化性基を導入することができる。
分散媒として、水及び/又は有機溶媒が好適に使用される。特に好ましい分散媒は、蒸留された(純粋な)水である。有機溶媒として、極性及び非極性及び非プロトン性溶媒が好ましい。それらの例として、炭素数1〜6の脂肪族アルコール(特にメタノール、エタノール、n(ノルマル)−及びi(イソ)−プロパノール及びブタノール)等のアルコール、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン及びブタノン等のケトン類、酢酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピランなどのエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類;スルホラン及びジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類及びスルホン類;及びペンタン、ヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族(任意にハロゲン化された)炭化水素類が挙げられる。これらの分散媒は混合物として使用することができる。
分散媒は、蒸留(任意に減圧下)により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
(i)の反応性無機微粒子の調製に際し、分散媒の濃度は、通常40〜90、好ましくは50〜80、特に55〜75重量%である。分散液の残りは、未処理の無機微粒子及び上記表面修飾化合物から構成される。ここで、無機微粒子/表面修飾化合物の重量比は、100:1〜4:1とすることが好ましく、更に50:1〜8:1、より更に25:1〜10:1とすることが好ましい。
(i)の反応性無機微粒子の調製は、好ましくは室温(約20℃)〜分散媒の沸点で行われる。特に好ましくは、分散温度は50〜100℃である。分散時間は、特に使用される材料のタイプに依存するが、一般に数分から数時間、例えば、1〜24時間である。
(ii)被覆前の無機微粒子に導入する反応性官能基、下記化学式(3)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、コアとなる無機微粒子としての金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
化学式(3)
−Q−C(=Q)−Q
化学式(3)中、Qは、NH、O(酸素原子)、又はS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示し、Qは、NH又は2価以上の有機基を示す。
上記(ii)の反応性無機微粒子を用いる場合には、有機成分量が高まり、分散性、及び膜強度がより高まるという利点がある。
まず、被覆前の無機微粒子に導入したい反応性官能基、上記化学式(3)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物(以下、反応性官能基修飾加水分解性シランという場合がある。)について説明する。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、当該無機微粒子に導入したい反応性官能基は、前記多官能光硬化性化合物及び表面処理用化合物と反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような光硬化性基を導入するのに適している。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、上記化学式(3)に示す基の[−Q−C(=Q)−]部分は、具体的には、[−O−C(=O)−]、[−O−C(=S)−]、[−S−C(=O)−]、[−NH−C(=O)−]、[−NH−C(=S)−]、及び[−S−C(=S)−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−]基と、[−O−C(=S)−]基及び[−S−C(=O)−]基の少なくとも1種を併用することが好ましい。前記化学式(3)に示す基[−Q−C(=Q)−Q−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与することが可能になると考えられる。
また、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する基を挙げることができ、アルコキシシリル基又はアリールオキシシリル基が好ましい。シラノール基又は、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、金属酸化物微粒子と結合することができる。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランの好ましい具体例としては、例えば、下記化学式(4)及び(5)に示す化合物を挙げることができ、化学式(5)に示す化合物が硬度の点からより好ましく用いられる。
Figure 0005206294
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化学式(4)及び(5)中、R、Rは同一でも異なっていてもよいが、水素原子又はCからCのアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここでmは1、2又は3である。
[(RO) 3ーmSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
化学式(4)及び(5)中、RはCからC12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
化学式(4)中、Rは2価の有機基であり、通常、分子量14から10,000、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記化学式(4)に示す基を含むこともできる。
化学式(4)及び(5)中、Rは(n+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
化学式(4)及び(5)中、Y’は反応性官能基を有する1価の有機基を示す。上述のような反応性官能基そのものであっても良い。例えば、反応性官能基を光硬化性基から選択する場合、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、(メタ)アクリルアミド基等を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
(ii)の反応性無機微粒子の製造においては、反応性官能基修飾加水分解性シランを別途加水分解操作を行った後、これと無機微粒子を混合し、加熱、攪拌操作を行う方法、もしくは反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解を無機微粒子の存在下に行う方法、また、他の成分、例えば、多価不飽和有機化合物、単価不飽和有機化合物、放射線重合開始剤等の存在下、無機微粒子の表面処理を行う方法を選ぶことができるが、反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解を無機微粒子の存在下行う方法が好ましい。(ii)の反応性無機微粒子を製造する際、その温度は、通常20℃以上150℃以下であり、また処理時間は5分〜24時間の範囲である。
加水分解反応を促進するため、触媒として酸、塩もしくは塩基を添加してもよい。酸としては有機酸及び不飽和有機酸;塩基としては3級アミン又は4級アンモニウムヒドロキシドが好適な物として挙げられる。これら酸もしくは塩基触媒の添加量は反応性官能基修飾加水分解性シランに対して0.001〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。
反応性無機微粒子としては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子を用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点から微粒子を溶剤分散ゾルとしたものを用いることが好ましい。
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物の溶剤)
溶剤としては、要求されるハードコートフィルムの性能に応じて従来公知の溶剤を適宜選択して用いることができ、浸透性及び非浸透性の溶剤を用いることができる。
ハードコートフィルムの硬度向上の点から非浸透性の溶剤を用いることが好ましい。
非浸透性の溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、及びtert−ブタノールを挙げることができる。これらを1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(重合開始剤)
上記ラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基の開始又は促進させるために、必要に応じてラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いても良い。これらの重合開始剤は、光照射及び/又は加熱により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
ラジカル重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・ジャパン(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・ジャパン(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・ジャパン(株)製)、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)(商品名イルガキュア784、チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記以外にも、市販品が使用でき、具体的には、チバ・ジャパン(株)製のイルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCUR TPO、DAROCUR1173、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、Esacure ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
また、カチオン重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示され、さらに具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ラジカル重合開始剤としても、カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示され、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(帯電防止剤)
帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有する且つ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
帯電防止剤としては、導電性ポリマーも挙げることができる。導電性ポリマーとしては特に限定されず、例えば、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、脂肪族共役系のポリアセチレン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、前述の共役高分子鎖を飽和高分子にグラフト又はブロック共重した高分子である導電性複合体等を挙げることができる。
また、前記帯電防止剤の他の例としては、導電性微粒子が挙げられる。当該導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。前記導電性微粒子の平均粒径は、0.1nm〜0.1μmであることが好ましい。かかる範囲内であることにより、前記導電性微粒子をバインダーに分散した際、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成可能な組成物が得られる。
(防眩剤)
防眩剤としては微粒子が挙げられ、微粒子の形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられるが、好ましくは有機系材料により形成されてなるものが好ましい。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは、透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、樹脂組成物100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。
1−3.浸透層
浸透層は、トリアセチルセルロース基材の表面処理組成物を塗布した側の界面近傍(界面から0.01〜5μmの領域)に形成される層であり、前記表面処理組成物に含まれる表面処理用化合物及び浸透性溶剤をトリアセチルセルロース基材に浸透させ、溶剤を乾燥させることにより形成される。
トリアセチルセルロース基材の界面近傍に形成される浸透層では、トリアセチルセルロース基材の分子中に1個以上の水酸基を有するセルロースポリマー及び表面処理化合物が存在する。
浸透層を熱処理して熱硬化させることにより、セルロースポリマーの水酸基と表面処理化合物の熱硬化性基が硬化反応し、架橋結合が形成される。
本発明に係る第一のハードコートフィルムの製造方法では、熱硬化した浸透層上に、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成し、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を光照射して硬化させることにより、前記セルロースポリマーと架橋結合を形成した表面処理化合物の光硬化性基と、ハードコート層用硬化性樹脂組成物に含まれる多官能光硬化性化合物の光硬化性基とが反応し、架橋結合を形成する。
また、本発明に係る第二のハードコートフィルムの製造方法のように、熱硬化した浸透層を光照射し、半硬化することで、表面処理化合物同士の一部が架橋し、その上にハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成し、当該塗膜を光照射して完全硬化させることでも、前記セルロースポリマーと架橋結合を形成した表面処理化合物の光硬化性基と、ハードコート層用硬化性樹脂組成物に含まれる多官能光硬化性化合物の光硬化性基とが反応し、架橋結合を形成する。
このように、表面処理用化合物が、セルロースポリマーと多官能光硬化性化合物を結び付けることにより、トリアセチルセルロース基材とハードコート層の密着性及びハードコートフィルムの硬度が向上する。
浸透層の厚さはハードコートフィルムの性能に応じて適宜調節して良く、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは、0.05〜5μmである。0.01〜5μmであれば、十分なトリアセチルセルロース基材とハードコート層の密着性及びハードコートフィルムの硬度が得られ、干渉縞も防止することができる。
(浸透層の形成方法)
表面処理組成物をトリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側に塗布し、浸透性溶剤を乾燥させることで、表面処理用化合物が浸透した浸透層が形成される。
表面処理組成物の塗布方法は、トリアセチルセルロース基材表面に表面処理組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
また、トリアセチルセルロース基材上への表面処理組成物の塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、塗工量が1g/m〜30g/mの範囲内、特に5g/m〜25g/mの範囲内であることが好ましい。
浸透性溶剤を乾燥させるには、当該浸透性溶剤に応じて、適宜浸透性溶剤を乾燥させればよい。例えば、常圧、30〜110℃、20〜120秒乾燥させることで浸透層を形成できる。
熱硬化させる方法としては、表面処理化合物の熱硬化性基に応じて、適宜加熱すればよい。例えば、常圧、40〜120℃、30秒〜30分加熱することで浸透層を熱硬化させることができる。
(ハードコート層の形成方法)
ハードコート層は、第一のハードコートフィルムの製造方法では、上記熱硬化した浸透層上に、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を形成し、当該塗膜に光照射して光硬化させて形成する。第二のハードコートフィルムの製造方法では、上記熱硬化した浸透層を光照射し、半硬化させ、当該半硬化した浸透層上に、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を形成し、当該塗膜に光照射して完全硬化させて形成する。
塗布方法は、トリアセチルセルロース基材表面にハードコート層用硬化性樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
また、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の塗工量が1g/m〜30g/mの範囲内、特に5g/m〜25g/mの範囲内であることが好ましい。
乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥又は加熱乾燥、更にはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。例えば、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の溶剤としてケトン系溶剤を用いる場合は、通常室温〜80℃、好ましくは40℃〜70℃の範囲内の温度で、20秒〜3分、好ましくは30秒〜1分程度の時間で乾燥工程が行われる。
次に、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させた塗膜に対し、当該硬化性樹脂組成物に含まれる多官能光硬化性化合物の光硬化性基や必要に応じて含まれる反応性無機微粒子の反応性官能基に応じて、光照射して塗膜を硬化させることにより、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が形成される。
光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、半硬化させるには、5〜50mJ/cm程度、完全硬化させるには50〜5000mJ/cm程度である。
2.ハードコートフィルム
本発明のハードコートフィルムは、上記第一及び第二のハードコートフィルムの製造方法により製造されるハードコートフィルムであって、トリアセチルセルロース基材の一面側にハードコート層を有し、且つ、トリアセチルセルロース基材のハードコート層との界面近傍に、表面処理化合物の熱硬化性基とトリアセチルセルロース基材の水酸基との架橋結合、及び表面処理化合物の光硬化性基とハードコート層用硬化性樹脂組成物の多官能光硬化性化合物の光硬化性基との架橋結合を含有する領域を有する。当該2種類の架橋結合により、トリアセチルセルロース基材とハードコート層の密着性及びハードコートフィルムの硬度が向上する。
また、本発明のハードコートフィルムは、ハードコートフィルムとしての機能又は用途を加味して、前記ハードコート層のトリアセチルセルロース基材とは反対側の面に、その他の層、例えば、帯電防止層、防眩層、低屈折率層、防汚層、及び前記ハードコート層と同一又は異なる第2のハードコート層よりなる群から選択される1種又は2種以上の層を形成しても良い。
また、本発明のハードコートフィルムは、前記ハードコート層が帯電防止剤や防眩剤等を含んでなることにより、帯電防止機能や防眩機能が付与されるものであっても良い。
本発明のハードコートフィルムは、前記鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で更に4H以上であることが好ましい。
図3は、本発明のハードコートフィルム1の層構成の一例を模式的に示した断面図である。トリアセチルセルロース基材10の一面側にハードコート層50が設けられており、トリアセチルセルロース基材10のハードコート層50側の界面近傍には光硬化した浸透層22がある。
図4は、本発明のハードコートフィルム1の層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。トリアセチルセルロース基材10の一面側にハードコート層50及び帯電防止層60が設けられており、トリアセチルセルロース基材10のハードコート層50側の界面近傍には光硬化した浸透層22がある。
図5は、本発明のハードコートフィルム1の層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。トリアセチルセルロース基材10の一面側にハードコート層50、帯電防止層60及び低屈折率層70が設けられており、トリアセチルセルロース基材10のハードコート層50側の界面近傍には光硬化した浸透層22がある。
以下、本発明のハードコートフィルムの必須の構成要素であるトリアセチルセルロース基材、及びハードコート層、並びに必要に応じて適宜設けることができる帯電防止層、防眩層、低屈折率層、防汚層、及び前記ハードコート層と同一又は異なる第2のハードコート層よりなる群から選択される1種又は2種以上のその他の層について順に説明する。
2−1.トリアセチルセルロース基材
本発明に用いられるトリアセチルセルロース基材は、透明性(光透過性)の高いプラスチックフィルム又はシートである。
光学積層体の透明基材として用い得る物性を満たし、水酸基を1つ以上有するものであれば特に限定されることはなく、適宜選んで用いることができる。
通常、光学積層体に用いられる基材には、透明、半透明、無色又は有色を問わないが、光透過性が要求される。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
トリアセチルセルロース基材は、光学的等方性を有するため、液晶ディスプレイ用途の場合においても好ましく用いることができる。
尚、本発明に於けるトリアセチルセルロースとしては、分子中に水酸基を1つ以上有すれば、トリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であっても良い。又、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸收剤等の各種添加剤が添加されていても良い。
本発明においては、トリアセチルセルロース基材の厚さは適宜選択して用いることができる。20〜120μmのトリアセチルセルロース基材を用いることが好ましく、20〜80μmであることがより好ましい。
2−2.ハードコート層
本発明のハードコート層は、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
本発明のハードコートフィルムは、前記鉛筆硬度試験で更に4H以上であることが好ましい。
ハードコート層の膜厚は、上記基材の強度や要求性能に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、好ましくは1〜100μm、更に5〜30μmの範囲にあることが好ましい。
2−3.その他の層
ハードコートフィルムは、上記したようにトリアセチルセルロース基材及びハードコート層により基本的には構成されてなる。しかしながら、ハードコートフィルムとしての機能又は用途を加味して、上記ハードコート層のトリアセチルセルロース基材とは反対側の面に、更に下記のような一又は二以上の層を設けてもよい。
(帯電防止層)
帯電防止層は、帯電防止剤と硬化性樹脂を含む帯電防止層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。帯電防止層の厚さは、30nm〜3μm程度であることが好ましい。
(帯電防止剤)
帯電防止剤としては、上記ハードコート層の帯電防止剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
帯電防止層用硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
(防眩層)
防眩層は、防眩剤と硬化性樹脂を含む防眩層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該硬化性樹脂は、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
(防眩剤)
防眩剤としては、上記ハードコート層の防眩剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
(防汚層)
本発明の好ましい態様によれば、ハードコートフィルム最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよい。防汚層は、ハードコートフィルムに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。防汚層は、防汚剤と硬化性樹脂組成物を含む防汚層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
防汚層用硬化性樹脂組成物に含まれる防汚剤や硬化性樹脂は、公知の防汚剤及び硬化性樹脂から適宜選択して1種又は2種以上を用いることができる。
(低屈折率層)
低屈折率層は、当該層の基材フィルム側に隣接する層よりも屈折率が低い層であり、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該低屈折率層用硬化性樹脂組成物には、前記隣接する層よりも屈折率が低くなるように、適宜公知の低屈折率硬化性樹脂や微粒子を用いることができる。
(第2のハードコート層)
ハードコートフィルムの硬度を更に向上させる点から、前記ハードコート層のトリアセチルセルロース基材とは反対側の面に第2のハードコート層を設けても良い。
第2のハードコート層は前記ハードコート層と同様のものを用いることができ、当該二つのハードコート層の組成は同一であっても良く、異なっていても良い。
3.光学機能部材の製造方法
本発明に係る光学機能部材の製造方法は、前記トリアセチルセルロース基材の両面をけん化処理した後、その一面側に、前記表面処理組成物を塗布して表面処理を行う一連の工程とハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布してハードコート層を形成する一連の工程を行ってハードコートフィルムを作成し、作成した当該ハードコートフィルムのハードコート層とは反対側の面を光学機能を有する部材の表面に貼り付けることを特徴とする。
トリアセチルセルロース基材のけん化処理方法としては、従来公知の方法を適宜選択して用いればよい。例えば、トリアセチルセルロース基材の一面又は両面を、40〜70℃、2規定のNaOH水溶液に、30秒〜3分間浸漬し、その後当該NaOH水溶液から前記トリアセチルセルロース基材を取り出し、純水で当該トリアセチルセルロース基材の両面を洗浄し、70〜100℃で乾燥させることでけん化処理できる。
光学機能を有する部材としては、偏光板、液晶ディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等が挙げられる。
本発明に係る光学機能部材の製造方法により製造される光学機能部材は、上記硬度及び密着性に優れ、干渉縞の発生を防止できるハードコートフィルムを有するため、表面保護され、且つ視認性に優れる。
ハードコートフィルムを得る工程は上記ハードコートフィルムの製造方法と同様のため、ここでは記載を省略する。
ハードコートフィルムは上述したように、トリアセチルセルロース基材及びハードコート層の他に帯電防止層や低屈折率層等のその他の層が積層されたものでもよい。
前記ハードコートフィルムを製造する工程において、トリアセチルセルロース基材の両面をけん化処理することにより、トリアセチルセルロース基材のハードコート層を設ける側と、光学機能を有する部材に貼り付ける側とを一度にけん化処理可能となる。
図6は、本発明に係る光学機能部材の製造方法の一例を模式的に示した図である。
図6(a)に示すように、トリアセチルセルロース基材の両面をけん化処理し、両面をけん化したトリアセチルセルロース基材11とする。
その後、図6(b)に示すように、当該トリアセチルセルロース基材11の一面側に、表面処理組成物を塗布し、トリアセチルセルロース基材の界面近傍に表面処理用化合物が浸透した浸透層20を形成する。
次いで、図6(c)に示すように、浸透層20を熱硬化させ、熱硬化した浸透層21とする。
次いで、図6(d)に示すように、熱硬化した浸透層21の上に多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜30を形成する。
次いで、図6(e)に示すように、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜30に光照射40し、塗膜30を光硬化させてハードコート層50を形成し、ハードコートフィルム1を得る。
次いで、図6(f)に示すように、ハードコートフィルム1のハードコート層とは反対側の面、すなわちトリアセチルセルロース基材のハードコート層50とは反対側の面を光学機能を有する部材80の表面に貼り付け、光学機能部材90を得る。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
シリカ微粒子として、日産化学工業(株)製、商品名:IPA−STL、平均粒径44nm、コロイダルシリカ、固形分30%液を用いた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとして、日本化薬(株)製、商品名:DPHAを用いた。
ペンタエリスリトールトリアクリレートとして、日本化薬(株)製、商品名:PET30を用いた。
多官能ウレタンアクリレートとして、日本合成化学工業(株)製、商品名:UV1700Bを用いた。
多官能ポリマーアクリレートとして、荒川化学工業(株)製、商品名:BS371、固形分65%、分子量3〜4万を用いた。
シランカップリング剤として、信越化学工業(株)製、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−503を用いた。
重合開始剤として、チバ・ジャパン(株)製、商品名:イルガキュア184を用いた。
表面処理用化合物(1)として、下記化学式(6)に示す昭和電工(株)製、商品名:カレンズMOI[分子量:155、熱硬化性基:イソシアネート基×1、光硬化性基:メタクリル基(CH=C(CH)−)×1]を用いた。
表面処理用化合物(2)として、下記化学式(7)に示す昭和電工(株)製、商品名:カレンズAOI[分子量:141、熱硬化性基:イソシアネート基×1、光硬化性基:アクリル基(CH=CH−)×1]を用いた。
表面処理用化合物(3)として、下記化学式(8)に示す昭和電工(株)製、商品名:カレンズBEI[分子量:239、熱硬化性基:イソシアネート基×1、光硬化性基:アクリル基(CH=CH−)×2]を用いた。
表面処理用化合物(4)として、旭化成(株)製、商品名:HDI デュラネート 24A100[熱硬化性基:イソシアネート基×2、光硬化性基:なし]を用いた。
表面処理用化合物(5)として、第一工業製薬(株)製、商品名:ME3[熱硬化性基:なし、光硬化性基×1]を用いた。
透明基材フィルム(1)として、TACフィルム(1)(厚み40μm、トリアセチルセルロース樹脂フィルム、商品名:KC4UY、コニカ(株)製)を用いた。
透明基材フィルム(2)として、TACフィルム(2)(厚み80μm、トリアセチルセルロース樹脂フィルム、商品名:TF80UL、富士フィルム(株)製)を用いた。
透明基材フィルム(3)として、透明基材フィルム(1)の両面をけん化処理したものを用いた。
透明基材フィルム(4)として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み125μm、商品名:A4300、東洋紡績(株)製)を用いた。
各化合物の略語はそれぞれ、以下の通りである。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
MEK:メチルエチルケトン
IPA:イソプロパノール
MIBK:メチルイソブチルケトン
TAC:トリアセチルセルロース
PET:ポリエチレンテレフタレート
Figure 0005206294
Figure 0005206294
Figure 0005206294
(反応性シリカ微粒子の調製)
シリカ微粒子をロータリーエバポレーターを用いてIPAからMIBKに溶剤置換を行い、シリカ粒子30重量%のMIBK分散液を得た。このMIBK分散液100重量部に3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを5重量部添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された平均粒径44nmの反応性シリカ微粒子の固形分30重量%MIBK分散液を得た。
(硬化性樹脂組成物の調製)
下記に示す組成の成分を配合して表面処理組成物1〜6、及びハードコート層用硬化性樹脂組成物1〜5をそれぞれ、調製した。
(表面処理組成物1)
カレンズMOI:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(表面処理組成物2)
カレンズAOI:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(表面処理組成物3)
カレンズBEI:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(表面処理組成物4)
カレンズMOI:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
酢酸メチル:15重量部
(表面処理組成物5)
HDI:10重量部
MEK:15重量部
(表面処理組成物6)
カレンズMOI:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
トルエン:15重量部
(表面処理組成物7)
ME3:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(表面処理組成物8)
ME3:5重量部
HDI:5重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物1)
DPHA:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物2)
UV1700B:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物3)
PETA:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物4)
BS371:10重量部
イルガキュア184:0.4重量部
MEK:15重量部
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物5)
DPHA:5重量部
反応性シリカ微粒子:16.6重量部(固形5重量部)
イルガキュア184:0.4重量部
MIBK:3.4重量部
(実施例1)
TACフィルム(1)の片面に、上記表面処理組成物1を塗布し、50℃、60秒で塗膜中の溶剤を蒸発させ、3g/m(乾燥時)の浸透層を形成し、温度90℃の熱オーブン中で120秒間加熱し、浸透層を熱硬化させた。次いで、当該熱硬化させた浸透層上にハードコート層用硬化性樹脂組成物1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、13g/m(乾燥時)(膜厚10μm)のハードコート層を形成し、ハードコートフィルムを作製した。
(実施例2〜8)
実施例1において、表面処理組成物及びハードコート層用硬化性樹脂組成物を表1に示すものに代えた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8のハードコートフィルムを作製した。
(実施例9)
実施例1において、TACフィルム(1)をTACフィルム(2)に代えた以外は実施例1と同様にして、実施例9のハードコートフィルムを作製した。
(実施例10)
実施例1において、TACフィルム(1)をTACフィルム(3)に代えた以外は実施例1と同様にして、実施例9のハードコートフィルムを作製した。
(比較例1〜4)
実施例1において、表面処理組成物及びハードコート層用硬化性樹脂組成物を表1に示すものに代えた以外は実施例1と同様にして、比較例1〜4のハードコートフィルムを作製した。
(比較例5)
実施例1において、TACフィルム(1)をポリエチレンテレフタレートフィルムに代えた以外は実施例1と同様にして、比較例5のハードコートフィルムを作製した。
(比較例6)
実施例1において、浸透層を形成した後、温度90℃の熱オーブンによる120秒間の加熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして、比較例6のハードコートフィルムを作製した。
(比較例7)
実施例1において、表面処理組成物及びハードコート層用硬化性樹脂組成物を表1に示すものに代えた以外は実施例1と同様にして、比較例7のハードコートフィルムを作製した。
Figure 0005206294
(ハードコートフィルムの評価)
作製した実施例1〜10及び比較例1〜7のハードコートフィルムについて、以下の様に鉛筆硬度、密着性及び干渉縞を評価した。その結果を表2に示す。
(評価:鉛筆硬度)
鉛筆硬度試験;鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製したハードコートフィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)を行い、以下の基準で評価した。
評価○:鉛筆硬度が4H以上
評価×:鉛筆硬度が3H以下
(評価:密着性)
塗布密着性(JIS K 5600):1mm角で合計100目の碁盤目を入れ、ニチバン(株)製工業用24mmセロテープ(登録商標)を用いて5回連続剥離試験を行い、残っているマス目の数量を計測し、下記基準に基づいて密着度を測定することにより密着性を評価した。
密着度(%)=(剥がれなかったマス目の数/合計のマス目数100)×100
評価基準
○:90%以上
×:90%未満
(評価:干渉縞)
ハードコートフィルムのTACフィルム側の全面に(株)寺岡製作所製の黒テープを貼った後、干渉縞検査ランプ(フナテック(株)製、FNA18型)で干渉縞の発生の有無を下記基準によって評価した。
評価○:全方位での目視観察にて干渉縞が発生した。
評価×:全方位での目視観察にて干渉縞が確認された。
表2より、実施例1〜10はいずれも、表面処理用化合物に熱硬化性基及び光硬化性基を有する化合物を、溶剤にトリアセチルセルロース基材に対する浸透性を有するメチルエチルケトンを用いて、浸透層形成後に加熱処理も行っている鉛筆硬度、密着性及び干渉縞の評価が良好だった。
しかし、表面処理用化合物として光硬化性基をもたず、熱硬化性基しか有さないHDIを用いている比較例1は、浸透層のHDIとハードコート層のバインダー成分が光照射により架橋結合を形成しないため、鉛筆硬度及び密着性の評価が低くなってしまった。
比較例2は、表面処理組成物の溶剤に非浸透性のトルエンを用いており、表面処理組成物の表面処理用化合物がトリアセチルセルロース基材に浸透できず、表面処理用化合物を介したトリアセチルセルロース基材とハードコート層の結合が不十分となり、鉛筆硬度及び密着性の評価が低かった。また、浸透層が形成されないため、干渉縞も発生してしまった。
表面処理用化合物として熱硬化性基をもたず、光硬化性基しか有さないME3を用いている比較例3は、浸透層のME3とハードコート層のバインダー成分が光照射により架橋結合を形成しないため、鉛筆硬度及び密着性の評価が低くなってしまった。
比較例4は、熱硬化性基しか有さないHDI及び光硬化性基しか有さないME3を組み合わせて表面処理用化合物として用いたが、HDI及びME3ともに、トリアセチルセルロース基材とハードコート層のバインダー成分の両方と架橋できないため、鉛筆硬度及び密着性の評価が低くなってしまった。
比較例5は、メチルエチルケトンが浸透性を有さないポリエチレンテレフタレート基材を用いており、表面処理用化合物の浸透が不十分となり干渉縞が発生してしまった。また、ポリエチレンテレフタレート基材はトリアセチルセルロース基材と異なり水酸基を有さないため、表面処理用化合物が熱硬化性により架橋結合を形成出来ず、鉛筆硬度及び密着性の評価が低くなってしまった。
比較例6は、浸透層を形成した後、熱処理を行っていないため、トリアセチルセルロース基材と熱硬化性基による架橋結合を形成できず、鉛筆硬度及び密着性の評価が低くなってしまった。
比較例7は、ハードコート層用硬化性樹脂組成物のバインダー成分として、光硬化性基を1つしかもたないME3を用いているため、ハードコート層における架橋が不十分となり、鉛筆硬度の評価が低くなってしまった。
Figure 0005206294
図1は、本発明に係る第一のハードコートフィルムの製造方法の一例を模式的に示した図である。 図2は、本発明に係る第二のハードコートフィルムの製造方法の一例を模式的に示した図である。 図3は、本発明のハードコートフィルムの層構成の一例を模式的に示した断面図である。 図4は、本発明のハードコートフィルムの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図5は、本発明のハードコートフィルムの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図6は、本発明に係る光学機能部材の製造方法の一例を模式的に示した図である。
符号の説明
1 ハードコートフィルム
10 トリアセチルセルロース基材
11 両面をけん化処理したトリアセチルセルロース基材
20 浸透層
21 熱硬化した浸透層
22 光硬化した浸透層
23 半硬化した浸透層
30 ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜
40 光照射
50 ハードコート層
60 帯電防止層
70 低屈折率層
80 光学機能を有する部材
90 光学機能部材

Claims (2)

  1. 分子中に水酸基との硬化反応性を有する熱硬化性基及び光硬化性基を有する表面処理用化合物、並びに酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン及びシクロヘキサノンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であるトリアセチルセルロース基材に対する浸透性を有する浸透性溶剤からなる溶剤を含む表面処理組成物を準備する工程、
    分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側に、前記表面処理組成物を塗布して、乾燥させ、前記トリアセチルセルロース基材の前記塗膜との界面近傍に前記表面処理用化合物が浸透した浸透層を形成する工程、
    前記浸透層を熱処理して熱硬化させる工程、
    前記熱硬化させた浸透層上に、分子中に光硬化性基を2つ以上有する多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布して、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、及び、
    前記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜に光照射して光硬化させてハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする、ハードコートフィルムの製造方法。
  2. 分子中に水酸基との硬化反応性を有する熱硬化性基及び光硬化性基を有する表面処理用化合物、並びに前記トリアセチルセルロース基材に対する浸透性を有する浸透性溶剤を含む表面処理組成物を準備する工程、
    分子中に1個以上の水酸基を有するトリアセチルセルロース基材の少なくとも一面側に、前記表面処理組成物を塗布して、乾燥させ、前記トリアセチルセルロース基材の前記塗膜との界面近傍に前記表面処理用化合物が浸透した浸透層を形成する工程、
    前記浸透層を熱処理して熱硬化させる工程、
    前記浸透層に光照射して浸透層を半硬化させる工程、
    前記半硬化させた浸透層上に、分子中に光硬化性基を2つ以上有する多官能光硬化性化合物を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布して、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、及び、
    前記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜及び半硬化させた浸透層に光照射して光硬化させてハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする、ハードコートフィルムの製造方法。
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