JP3944633B2 - ハードコート用フィルム及びハードコートフィルム被着体 - Google Patents

ハードコート用フィルム及びハードコートフィルム被着体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、鉄道車両、ビル、ショーケース等のガラスに、耐衝撃性、耐擦傷性、耐貫通性、防犯性等を付与するために貼り合わせる強化フィルムとして好適なハードコート用フィルムと、このハードコート用フィルムによりハードコート層が形成されたハードコートフィルム被着体に係り、特に、活性エネルギー線の照射で半硬化し、その後の加熱により完全硬化する2段硬化型のハードコート層が形成されたハードコート用フィルムと、このハードコート用フィルムが貼着されたハードコートフィルム被着体に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐衝撃性、耐貫通性、防犯性に優れ、厚さが薄く、しかも製造も容易なフィルム強化ガラスとして、1枚のガラス板の表面に接着剤層を介して有機ポリマーフィルムを貼着したフィルム強化ガラスが用いられることがある。また、表面の耐擦傷性を高めるために、この有機ポリマーフィルムの表面にハードコート層を形成したフィルム強化ガラスも提供されている。
【0003】
このようなフィルム強化ガラスを製造する一手法として、予め有機ポリマーフィルムの表面に、高硬度樹脂組成物を塗工して硬化させることによりハードコート層を形成したハードコートフィルムを用い、このハードコートフィルムを接着剤によりガラス板の表面に貼着する方法がある。
【0004】
しかし、有機ポリマーフィルムの表面にハードコート層を形成したハードコートフィルムは、そのハードコート層の硬度が極めて高い場合(4H以上)、ロール状に回巻するとハードコート層にクラックが入るため、ロール状に回巻することができず、このため、ハードコートフィルムの製造工程からフィルム強化ガラスの製造工程への移送時等の取り扱いが困難であるという欠点があった。このハードコートフィルムをロール状に回巻可能とするためには、ハードコート層の硬度を下げる必要があるが、このようなハードコートフィルムでは、耐擦傷性に優れたフィルム強化ガラスを得ることができない。ハードコート層を構成する樹脂が硬化前の状態であれば、ロール状に回巻することが可能であるが、硬化前の樹脂は、ベタ付き(タック性)、傷付きの問題があり、取り扱い難い。
【0005】
なお、特開平9−176348号公報には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物と熱硬化型樹脂組成物とが配合された表面処理剤を、成形用基材の表面に塗布して積層体を得、この積層体に活性エネルギー線を照射して表面処理剤を半硬化させ、その半硬化状態で積層体を所定の形状に成形し、次いで、その成形された積層体を加熱して表面処理剤を全硬化させることにより被覆成形品を作製することが記載されている。この表面処理剤であれば、タック性がなく、低硬度の半硬化の状態でロール状に回巻することができ、また、この状態でガラスに貼着した後全硬化(完全硬化)させることにより、高硬度のハードコート層を形成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物と熱硬化型樹脂組成物との2種類の樹脂を混合したものでは、2種類の樹脂の相溶性が悪いと最終製品の硬度が十分発揮できない;2種類の樹脂が全く同硬度であることは少なく、通常は硬度が異なるが、この場合、2種類の樹脂を混合することにより、軟らかい方の樹脂の影響を受けてしまい、硬度を最大限に発揮することができない;2種類の樹脂の購入、貯蔵管理等の手間などが2倍になり、コストが高くつく;といった問題がある。
【0007】
本発明は上記従来の問題点を解決し、活性エネルギー線の照射で半硬化し、その後の加熱により完全硬化する2段硬化型のハードコート層を形成することができるハードコート用フィルムであって、樹脂本来の硬度を十分に発揮させることができ、しかも安価なハードコート用フィルムと、このハードコート用フィルムを貼着してハードコート層を形成したハードコートフィルム被着体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のハードコート用フィルムは、有機ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に、活性エネルギー線により硬化する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗膜が設けられたハードコート用フィルムであって、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が熱重合開始剤を含有し、該塗膜は、活性エネルギー線の照射で半硬化膜となっており、該塗膜が半硬化膜の状態でロール状に回巻されることを特徴とする。
【0009】
本発明のハードコート用フィルムでは、ハードコート層を形成するための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に熱重合開始剤が配合されているため、この活性エネルギー線硬化型樹脂組成物により形成される塗膜を活性エネルギー線の照射で半硬化膜とし、その後の加熱で完全硬化させてハードコート層を形成することができる。即ち、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に熱重合開始剤を配合するだけで、活性エネルギー線及び加熱による2段階硬化が可能となり、樹脂組成物中の配合成分(樹脂、熱重合開始剤、レベリング剤等)が少なく、特に、2種類の樹脂を用いる必要がないため、形成されるハードコート層の硬度の調整が容易であり、樹脂の硬度を最大限に発揮させて所望の硬度のハードコート層を形成することができると共に、配合成分数が少ないことにより、製造コストを大幅に低減することができる。
【0010】
本発明において、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の熱重合開始剤の含有量は、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の重合性オリゴマー100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましく、この熱重合開始剤としては有機過酸化物が好ましい。
【0011】
また、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物はシリカ微粒子を含有することが、形成されるハードコート層の耐擦傷性の向上の点で好ましく、特に、1次粒子径1〜200nmのシリカ微粒子を、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中に10〜90重量%含有することが好ましい。この場合、シリカ微粒子としては、重合性不飽和基を有するもの、特に、シリカ微粒子と重合性不飽和基を有するアルコキシシラン化合物との反応により製造されたものが好適である。
【0012】
本発明では、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物にシリコーン系又はフッ素系の撥水・撥油剤を含有させて、半硬化膜の水滴接触角が80度以上となるようにしても良く、また、半硬化膜の表面に、反射防止層が形成されていても良い。なお、基材としての有機ポリマーフィルムの有機ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート又はポリエーテルスルフォンが挙げられる。
【0013】
本発明のハードコート用フィルムは、有機ポリマーフィルムの一方の面に半硬化膜が設けられており、他方の面に透明接着剤層が設けられていることが好ましい。
【0014】
なお、半硬化膜は、樹脂の半硬化によりタック性を有さないことが好ましい。
【0015】
本発明のハードコートフィルム被着体は、このような本発明のハードコート用フィルムが貼着され、加熱により半硬化膜が完全硬化膜とされたものであり、高硬度のハードコート層により、優れた耐擦傷性を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のハードコート用フィルム及びハードコートフィルム被着体の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、可視光線、紫外線等の光、またはX線、γ線、電子線等の放射線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化する樹脂組成物であり、一般に重合性オリゴマー及び光重合開始剤と、更に必要に応じて多官能性モノマーや単官能性モノマー等の反応性希釈剤等で構成される。
【0018】
重合性オリゴマーとしては、光重合開始剤の存在下で、活性エネルギー線の照射により高分子化あるいは架橋する重合性化合物(光重合性樹脂)が好ましく、中でも多官能(メタ)アクリル化合物のような樹脂が好ましい。
【0019】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性オリゴマー100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.5〜7重量部、とりわけ1〜5重量部とすることが好ましい。
【0020】
また、多官能性モノマー、単官能性モノマー等の反応性希釈剤の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の含有量は、重合性モノマー100重量部に対して5〜100重量部、特に10〜60重量部とすることが好ましい。
【0021】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には更に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、顔料・染料等の着色剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、ブルーイング剤等を添加しても良い。特に形成されるハードコート層の表面硬度及び耐摩耗性を向上させるために、無機微粒子や導電性微粒子を添加するのは好ましく、中でも以下に示すようなシリカ微粒子を添加するのが好ましい。また、導電性や帯電防止性を持たせるため、ITO、SnO、ATO等の導電性微粒子を添加しても良い。
【0022】
形成されるハードコート層の表面硬度や耐摩耗性の向上のために配合するシリカ微粒子は、1次粒子径が1〜200nmの範囲にあることが好ましい。またシリカ微粒子が、重合性不飽和基(好ましくは重合性二重結合基)を有するものであり、特にシリカ微粒子と重合性不飽和基(及び好ましくはウレタン結合)を有するアルコキシシラン化合物との反応により形成されるものが好ましい。
【0023】
上記シリカ微粒子は、粉体状シリカ又はコロイダルシリカであり、1次粒子径が好ましくは1〜200nmの範囲、より好ましくは10〜50nmの範囲である。シリカ微粒子の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、もしくは不定形状であり、好ましくは球状である。シリカ微粒子の比表面積は好ましくは0.1〜3000m/gであり、より好ましくは10〜1500m/gである。これらのシリカ微粒子の使用形態は乾燥状態の粉末、もしくは水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができ、コロイダルシリカとして知られている微粒子状のシリカ微粒子の分散液を直接用いることができる。特に透明性を得るためにはコロイダルシリカの利用が好ましい。コロイダルシリカの分散溶媒が水の場合、その水素イオン濃度はpH値として2〜10の範囲であり、好ましくはpH3〜7の酸性コロイダルシリカが用いられる。また、コロイダルシリカの分散溶媒が有機溶剤の場合、有機溶剤としてメタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等の溶剤もしくはこれらと相溶する有機溶剤もしくは水との混合物として用いても良い。好ましい分散溶剤はメタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、キシレンである。シリカ微粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとしては日産化学工業(株)製のメタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST及びST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また、粉体状シリカとしては、日本アエロジル(株)製のアエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600及びアエロジルOX50、旭硝子(株)製のシルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製のE200A、E220、富士シリシア(株)製のサイリシア470、日本板硝子(株)製のSGフレーク等を挙げることができる。
【0024】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に含まれるシリカ微粒子としては、シリカ微粒子と重合性不飽和基(及び好ましくはウレタン結合)を有するアルコキシシラン化合物との反応により形成されるもの(以下「変性シリカ微粒子」と称す。)が好ましく、特に、次のような構成を有するものが好ましい。
【0025】
この変性シリカ微粒子は、重合性不飽和基とウレタン結合基、式(I):−X−C(=Y)−NH− で表される有機基とを有するアルコキシシラン化合物とシリカ微粒子を反応させて得られる反応生成物であることが好ましい(上記式(I)中、Xは−NH−、−O−又は−S−であり、Yは酸素原子又はイオウ原子である、但しXが−O−のときYはイオウ原子である)。
【0026】
上記変性シリカ微粒子は、アルコキシシラン化合物とシリカ微粒子とを混合することにより製造される。変性シリカ微粒子のシリカ微粒子に固定されたアルコキシシラン化合物残基の含有量は0.01重量%以上、特に0.1重量%以上、とりわけ1重量%以上のものが好ましい。シリカ微粒子中に固定されたアルコキシシラン化合物残基の含有量が0.01重量%未満の場合、組成物中のシリカ微粒子或いはコロイダルシリカの分散性、透明性、耐摩耗性が十分でない場合がある。また、変性シリカ微粒子の製造時の原料組成物中におけるアルコキシシラン化合物の割合は好ましくは10重量%以上であり、特に好ましくは30重量%以上である。アルコキシシラン化合物の割合が10重量%未満の場合、紫外線硬化性樹脂の成膜性が悪い場合がある。
【0027】
変性シリカ微粒子の製造に使用されるアルコキシシラン化合物は分子中に重合性不飽和基、ウレタン結合基、前記式(I)で表される有機基及びアルコキシシリル基を構成成分として少なくともそれぞれ1個含んでいる。アルコキシシリル基は加水分解、縮合反応によりシリカ微粒子の表面に存在するシラノール基と結合する成分であり、また、重合性不飽和基とは、活性ラジカル種により付加重合を経て分子間で化学架橋する成分である。また、前記式(I)で表される2価の有機基である−X−(C=Y)−NH−基及びウレタン結合基はこれらアルコキシシリル基を有する分子片と重合性不飽和基を有する分子片とを直接もしくは他の分子片を介して結合する構成単位であると同時に分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、形成されるハードコート層に優れた力学的強度、基材との密着性、耐熱性等の性能を発現させると考えられる。−X−(C=Y)−NH−基としては、−S−(C=O)−NH−基が好ましい。
【0028】
アルコキシシラン化合物の構造としては例えば、下記一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物を挙げることができる。
【0029】
【化1】
Figure 0003944633
【0030】
上記一般式(II)において、Rは水素原子、及び炭素数1〜8の1価の有機基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、オクチル基等である。Rは水素原子、及び炭素数1〜3の1価のアルキル基である。mは1、2もしくは3であり、(RO)Si3−mで示されるアルコキシシリル基としては例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができ、好ましくはトリメトキシシリル基及びトリエトキシシリル基である。
【0031】
また、式中、−[(C=O)NH−R−NH(C=O)O−X−O]−として示される構造単位は前記式(II)に示す構造において分子鎖を延長することを目的として導入される。Rは炭素数1〜3の2価の有機基である。Rは2価の有機基であり、Rと同一でも異なっていてもよく、通常分子量14〜1万、好ましくは分子量78〜1000の2価の有機基の中から選ばれ、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;ビニレン、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基等を挙げることができ、また、これらのアルキル基置換体、アリール基置換体も用いることができる。これら2価の有機基の構造中には炭素、水素原子以外の元素から構成される原子団を含んでいてもよい。式中、pは0もしくは1であり、Xは2価の有機基であり、さらにイソシアネート基と付加反応できる活性水素原子を分子内に2個以上有する化合物から誘導される2価の有機基であり、例えば、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレンチオグリコール類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリアルキレンジアミン類、ポリアルキレンジカルボン酸類、ポリアルキレンジオール類、ポリアルキレンジメルカプタン類から活性水素原子を2個除くことで誘導される2価の有機基を挙げることができる。また、Rは(n+1)価の有機基である。このような有機基は、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、脂環式基の中から選ばれる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは3〜5である。前記式中Yは活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を表し、例えば、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基等が挙げられる。これらの中でアクリロキシ基が好ましい。
【0032】
アルコキシシラン化合物の分子構造の形成には、通常、メルカプト基を有するアルコキシシラン、すなわちメルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物及びイソシアネート基と付加反応を起こす活性水素を有する活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。
【0033】
このようなシリカ微粒子の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の含有量は、シリカ微粒子、重合性オリゴマー、光重合開始剤、反応性希釈剤、後述の熱重合開始剤、及びその他の添加剤等の固形成分(溶剤を除く、塗膜形成成分)の合計重量に対して10〜90重量%、特に30〜80重量%であることが好ましい。この割合が10重量%未満ではシリカ微粒子を配合したことによる十分な改善効果を得ることができず、90重量%を超えると塗膜形成性が損なわれ、また得られるハードコート層の耐摩耗性や透明性が低下する恐れがある。
【0034】
本発明においては、このような活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が更に熱重合開始剤を含有する。
【0035】
熱重合開始剤とは、加熱により重合を開始させる官能基を含む化合物を言い、熱反応性カチオン重合開始剤や有機過酸化物が挙げられる。中でも有機過酸化物が好ましく、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサ3Mの化学名)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMHの化学名)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Bの化学名)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート(パーブチルOの化学名)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(パーブチルZの化学名)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(パーヘキシルIの化学名)などが良い。特に好ましくは、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサ3Mの化学名)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Bの化学名)である。
【0036】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中に占める熱重合開始剤の割合は、重合性オリゴマー100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.5〜7重量部、とりわけ1〜5重量部とするのが好ましい。活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の熱重合開始剤の割合が上記範囲よりも少ないと2段階目の硬化において、十分な硬化を得ることができず、上記範囲よりも多くても硬化性能に差異はない。
【0037】
本発明のハードコート用フィルムを製造するには、まず、上述の重合性オリゴマー、反応性希釈剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、及び必要に応じて添加されるシリカ微粒子やその他の添加剤を所定の割合で混合して活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製し、これを有機溶剤で希釈して所定の粘度に調整した後、有機ポリマーフィルムの表面に塗工して塗膜を形成する。
【0038】
有機ポリマーフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート(PC)、又はポリエーテルスルフォン等のフィルムを用いることができ、機械的特性の面からはPET、PC、特にPETフィルムが好ましく用いられる。この有機ポリマーフィルムの厚さは取り扱い上の強度、及び薄膜化の面から0.1〜2mm、特に0.1〜1mm程度であることが好ましい。
【0039】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物はこのような有機ポリマーフィルムの一方の面又は両面にマイクログラビア塗工、コンマ塗工、バーコーター塗工、エアナイフ塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの方法により塗工することができる。
【0040】
本発明のハードコート用フィルムにより形成されるハードコート層の厚さは、その用途によっても異なるが、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗膜の完全硬化により形成されるハードコート層の厚さが5〜50μm特に10〜30μm程度であることが好ましく、従って、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物はこのような厚さのハードコート層が得られるような厚さで塗工される。
【0041】
このようにして、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗膜を形成した後は溶剤を蒸発させて除去した後、紫外線等の活性エネルギー線の所定量、例えば50〜1000mJ/cmを照射して塗膜を半硬化状態とする。なお、この半硬化状態とは、適度な硬度を有し、しかもべた付き(タック性)がなく、傷が発生し難く、一方でその後の成形加工等を支障なく行える状態を指す。
【0042】
本発明のハードコート用フィルムは、このような状態としてハードコート層を形成する対象物に貼着するなどの成形加工を施した後、所定温度で所定時間、例えば100〜200℃で5〜90分程度加熱することにより、有機ポリマーフィルム上の半硬化膜が完全硬化膜となることでハードコート層が形成される。
【0043】
本発明のハードコート用フィルムをハードコート層を形成する対象物に貼着して使用する場合、本発明のハードコート用フィルムは有機ポリマーフィルムの一方の面に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗膜の半硬化膜が形成され、他方の面に透明接着剤層が形成されていることが好ましい。
【0044】
この場合、透明接着剤層を形成する透明樹脂としては、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、又はエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂が好ましい。
【0045】
PVB樹脂としては、ポリビニルアセタール単位が70〜95重量%、ポリ酢酸ビニル単位が1〜15重量%で、平均重合度が200〜3000、特に300〜2500であるものが好ましく、PVB樹脂は可塑剤を含む樹脂組成物として使用される。
【0046】
PVB樹脂組成物の可塑剤としては、一塩基酸エステル、多塩基酸エステル等の有機系可塑剤や燐酸系可塑剤が挙げられる。
【0047】
一塩基酸エステルとしては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の有機酸とトリエチレングリコールとの反応によって得られるエステルが好ましく、より好ましくは、トリエチレン−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−カプロネート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエート等である。なお、上記有機酸とテトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコールとのエステルも使用可能である。
【0048】
多塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸と炭素数4〜8の直鎖状又は分岐状アルコールとのエステルが好ましく、より好ましくは、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート等が挙げられる。
【0049】
燐酸系可塑剤としては、トリブトキシエチルフォスフェート、イソデシルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフォスフェート等が挙げられる。
【0050】
PVB樹脂組成物において、可塑剤の量が少ないと成膜性が低下し、多いと耐熱時の耐久性等が損なわれるため、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して可塑剤を5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部とする。
【0051】
PVB樹脂組成物には、更に劣化防止のために、安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の添加剤が添加されていても良い。
【0052】
EVA樹脂は、酢酸ビニル含有率が10〜50重量%、特に15〜40重量%であることが好ましい。この酢酸ビニル含有率が10重量%未満であると、高温で架橋硬化させる場合に得られる樹脂の透明度が十分でなく、逆に50重量%を超えると耐衝撃性、耐貫通性が劣る傾向となる。
【0053】
EVA樹脂組成物には、可塑剤、架橋剤としての有機過酸化物、接着向上剤等の種々の添加剤を含有させることができる。
【0054】
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、一般に多塩基酸のエステル、多価アルコールのエステルが使用される、その例としては、ジオクチルフタレート、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−2−エチルブチレート、ブチルセバケート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジペラルゴネートを挙げることができる。これらの可塑剤は1種を用いても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。可塑剤の含有量は、EVA樹脂100重量部に対して5重量部以下の範囲が好ましい。
【0055】
有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
【0056】
この有機過酸化物の例としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロロヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、コハク酸パーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルバーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート及び2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドを挙げることができる。これらの有機過酸化物は1種を使用しても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。有機過酸化物の含有量は、EVA樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
【0057】
このような有機過酸化物を含有させることにより、加熱による硬化性が向上し得られるEVA層の膜強度を向上させることができる。
【0058】
接着向上剤としては、シランカップリング剤を添加することができる。このシランカップリング剤の例として、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、1種を使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。またシランカップリング剤の含有量は、EVA樹脂100重量部に対して5重量部以下であることが好ましい。
【0059】
更に、EVA樹脂組成物は、種々の物性(機械的強度、接着性、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良或いは調整、特に機械的強度の改良のために、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物を含んでいることが好ましい。
【0060】
使用するアクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物としては、一般にアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体であり、例えばアクリル酸或いはメタクリル酸のエステルやアミドを挙げることができる。エステル残基の例としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基を挙げることができる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとアクリル酸或いはメタクリル酸のエステルも挙げることができる。
【0061】
アミドの例としては、ジアセトンアクリルアミドを挙げることができる。
【0062】
多官能化合物としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等に複数のアクリル酸或いはメタクリル酸をエステル化したエステルもを挙げることができる。
【0063】
エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(エチレンオキシ)グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテルを挙げることができる。
【0064】
アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物の含有量はEVA樹脂100重量部に対して5重量部以下とするのが好ましい。
【0065】
このような樹脂よりなる透明接着剤層の厚さは、接着強度、透明性等の面から20〜1000μm特に100〜500μmとするのが好ましい。
【0066】
なお、透明接着剤層は有機ポリマーフィルム上のEVA樹脂層と、このEVA樹脂層上のPVB樹脂層との2層積層膜であっても良い。
【0067】
本発明においては、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物にシリコーン系又はフッ素系の撥水・撥油剤を含有させることにより、形成される半硬化膜ないしハードコート層の水滴接触角が80度以上となるように撥水・撥油性を付与しても良い。
【0068】
また、半硬化膜の上に反射防止層を形成して反射防止性能を付与しても良い。この場合、反射防止層としては、例えば下記の構成のものを使用することができる。
(a) 高屈折率透明薄膜を1層のみ設けたもの
(b) 中屈折率透明薄膜/高屈折率透明薄膜の順で各1層ずつ、合計2層に積層したもの
(c) 中屈折率透明薄膜/低屈折率透明薄膜/高屈折率透明薄膜の順で各1層ずつ、合計3層に積層したもの
(d) 高屈折率透明薄膜/低屈折率透明薄膜/高屈折率透明薄膜/低屈折率透明薄膜の順で各1層ずつ、合計4層に積層したもの
(e) 高屈折率透明薄膜/低屈折率透明薄膜/高屈折率透明薄膜/低屈折率透明薄膜/高屈折率透明薄膜の順で各1層ずつ、合計5層に積層したもの
【0069】
ここで、高屈折ないし中屈折率透明薄膜としては、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、AlをドープしたZnO、TiO、SnO、ZrO等の屈折率1.8以上の薄膜を採用することができる。
【0070】
また低屈折ないし中屈折率透明薄膜としては、SiO、MgF、Al、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の屈折率が1.6以上の薄膜を用いることができる。
【0071】
これら高屈折率透明薄膜、中屈折率透明薄膜及び低屈折率透明薄膜の膜厚は、光の干渉で可視光領域での反射率を下げることができるように、膜構成、膜種、中心波長等により適宜決定される。
【0072】
このような透明薄膜は、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、マイクログラビアコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、スロットダイコーティング法等により形成することができる。
【0073】
或いは、反射防止層が、半硬化膜上に形成された高屈折率導電層と該高屈折率導電層上に形成された低屈折率層とからなり、該高屈折率導電層は厚さが100〜600ÅのITOであり、該低屈折率層は厚さが900〜1500ÅのSiO膜であることも好ましい。
【0074】
このような反射防止層は、高屈折率導電層と低屈折率層の2層構造であるため、単層構造の反射防止層を設けたものに比べて反射防止性能が良好であり、しかも、多層構造の反射防止層を設けたものに比べて構成が簡易で低コストにて形成することができる。また、高屈折率導電層を有するため、反射防止性能に加えて帯電防止性能も兼備する。
【0075】
上記のように、反射防止層として、厚さが100〜600ÅのITO膜よりなる高屈折率導電層と、厚さが900〜1500ÅのSiO膜よりなる低屈折率層5との2層構造の反射防止層を形成する場合、ITO膜の厚さが100Å未満では十分な帯電防止機能が得られず、600Åを超えると膜形成コストが高騰する。また、このITO膜の厚さが100〜600Åの範囲外であると、厚さ900〜1500ÅのSiOとの積層構造で良好な反射防止性能を得ることができなくなる。
【0076】
また、SiO膜の厚さが900〜1500Åの範囲外では、100〜600Åの厚さのITO膜との積層構造で良好な反射防止性能を得ることができなくなる。
【0077】
ITO膜及びSiO膜は、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD法等により形成することができる。
【0078】
このような本発明のハードコート用フィルムは、自動車、鉄道車両、ビル、ショーケース等のガラスに、耐衝撃性、耐擦傷性、耐貫通性、防犯性等を付与するために貼り合わせる強化フィルムとして好適に適用されるが、本発明のハードコート用フィルムは何らこのような用途に限定されるものではない。
【0079】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、以下において「部」は「重量部」を示す。
【0080】
実施例1
光硬化性樹脂ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を10.9部、光重合開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを1.1部、有機過酸化物1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.22部、希釈剤MEK(メチルエチルケトン)を8.1部混合し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗布液を作製した。
【0081】
PETフィルム(帝人デュポン(株)製「テトロンHS」125μm厚)の表面に上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物塗布液を、ワイヤーバーコーターNo.40により塗布し、60℃で5分間溶剤を蒸発させた後、空気雰囲気下、高圧水銀灯で紫外線を照射し(80mW/cm、100mJ/cm)20μm厚の半硬化膜とした。その後、140℃で、50分間加熱処理することにより完全硬化膜とした。
【0082】
このときの半硬化膜及び完全硬化膜(ハードコート層)について、以下の方法で特性の評価を行い、結果を表1に示した。
【0083】
<半硬化膜の評価>
タック性:半硬化膜のべと付きの有無を調べ、べと付きの無いものを○、有るものを×とした。
クラック性:半硬化膜が形成されたフィルムを3インチロールに、フィルムの反り方向と逆向きになるように巻き付け、その際クラックが発生しないものは○、クラックが発生したものは×とした。
【0084】
<完全硬化膜の評価>
耐摩耗性:JIS R3221に従い、テーパー摩耗試験機(摩耗輪:CS10F:荷重500g,1000回の条件)を用いて行い、試験後のヘイズを測定した。ヘイズ値10%未満を○(特に低いものは◎)、10%以上30%未満を△、30%以上を×とした。
耐擦傷性:スチールウール#0000の上に200g/cmの荷重を載せ、60往復させ傷が付かないものを◎、傷が若干付くものを○、傷が付くものを△、傷が目立って付くものを×とした。
密着性:JIS K5400に従った。完全硬化試験片の表面に1mm間隔で縦、横11本ずつの切れ目を入れて100個の碁盤目を作り、市販のセロファンテープをその表面に密着させた後、急激にはがした時に剥離せずに残存したマス目の数(X)をX/100で表示した。
鉛筆硬度:JIS K5400に従い、鉛筆引っかき試験機を用いて、試験片の鉛筆硬度を測定した。
【0085】
実施例2,3
実施例1において、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に通常市販されているコロイダルシリカ分散液(日産化学(株)製「MEK−ST」メチルエチルケトン分散タイプ,シリカ分30重量%)を配合し、表1に示す組成としたこと以外は同様にしてフィルムを作製し、同様に光硬化及び熱硬化させて評価を行い、結果を表1に示した。
【0086】
比較例1
実施例1において、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に熱重合開始剤を配合せず、表1に示す組成としたものを実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、60℃で5分間溶剤を蒸発させた後、2段階硬化ができないため、空気雰囲気下、高圧水銀灯で紫外線を照射し(300mW/cm、100mJ/cm)、最初から完全硬化させ20μm厚のハードコート層を形成したフィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様にして完全硬化膜の評価を行って結果を表1に示した。
【0087】
比較例2
熱硬化性樹脂1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド及び熱重合開始剤4−クロロフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート及び希釈剤MEKを用い、表1に示す組成の熱硬化樹脂組成物の塗布液を調製し、この塗布液を実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、180℃で20分間加熱して完全硬化させ20μm厚のハードコート層を形成したフィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様にして完全硬化膜の評価を行って結果を表1に示した。
【0088】
比較例3〜5
表1に示す組成の光硬化性樹脂組成物と熱硬化性樹脂組成物とを混合した塗布液を調製し、この塗布液を用いたこと以外は同様にしてフィルムを作製し、同様に評価を行って結果を表1に示した。
【0089】
【表1】
Figure 0003944633
【0090】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、活性エネルギー線の照射で半硬化し、その後の加熱により完全硬化する2段硬化型のハードコート層を形成することができるハードコート用フィルムであって、樹脂本来の硬度を十分に発揮させることができるハードコート用フィルムを安価に提供することができる。
このハードコート用フィルムは、樹脂塗膜がタック性のない半硬化膜となっており、また、半硬化膜であって完全硬化膜ではないために、ロール状に回巻したりすることもでき、取り扱い性に優れる。しかして、このハードコート用フィルムを、ガラス等に貼着した後、加熱して半硬化膜を完全硬化させることにより、高硬度で耐擦傷性に優れたハードコート層を形成することができる。

Claims (13)

  1. 有機ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に、活性エネルギー線により硬化する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗膜が設けられたハードコート用フィルムであって、
    該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が熱重合開始剤を含有し、
    該塗膜は、活性エネルギー線の照射で半硬化膜となっており、該塗膜が半硬化膜の状態でロール状に回巻されることを特徴とするハードコート用フィルム。
  2. 請求項1において、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の熱重合開始剤の含有量が、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の重合性オリゴマー100重量部に対して0.01〜10重量部であることを特徴とするハードコート用フィルム。
  3. 請求項1又は2において、該熱重合開始剤が有機過酸化物であることを特徴とするハードコート用フィルム。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物がシリカ微粒子を含有することを特徴とするハードコート用フィルム。
  5. 請求項4において、1次粒子径1〜200nmのシリカ微粒子を、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中に10〜90重量%含有することを特徴とするハードコート用フィルム。
  6. 請求項4又は5において、該シリカ微粒子が重合性不飽和基を有するものであることを特徴とするハードコート用フィルム。
  7. 請求項6において、該シリカ微粒子が、シリカ微粒子と重合性不飽和基を有するアルコキシシラン化合物との反応により製造されたものであることを特徴とするハードコート用フィルム。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物がシリコーン系又はフッ素系の撥水・撥油剤を含有し、該半硬化膜の水滴接触角が80度以上であることを特徴とするハードコート用フィルム。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項において、該半硬化膜の表面に、反射防止層が形成されていることを特徴とするハードコート用フィルム。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、該有機ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート又はポリエーテルスルフォンであることを特徴とするハードコート用フィルム。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項において、該有機ポリマーフィルムの一方の面に前記半硬化膜が設けられており、他方の面に透明接着剤層が設けられていることを特徴とするハードコート用フィルム。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項において、該半硬化膜がタック性を有さないことを特徴とするハードコート用フィルム。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項のハードコート用フィルムが貼着され、加熱により前記半硬化膜が完全硬化膜となっていることを特徴とするハードコートフィルム被着体。
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