JP4169737B2 - ハードコート剤およびそれを使用したハードコートフィルム - Google Patents
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Description
本発明は、光透過率が高く、しかも乱反射を起こさない、表面硬度や耐擦傷性、払拭性、リコート性に優れたハードコート剤とそれを使用したハードコートフィルムを提供するものである。
請求項5および6のハードコートフィルムは、前記のようにイソシアネート基とコロイダルシリカとが反応させられ、重合成分としての重合性不飽和基が重合、あるいはイソシアネート基とコロイダルシリカとを反応させられたコロイダルシリカ含有単量体と重合性化合物とが混合・重合したハードコート層を形成し、シリカ量として固形分比で少なくとも20重量%以上含むハードコート層からなるために、後述するように鉛筆硬度で3H以上の表面硬度を有し、耐擦傷性に優れながら光透過率にも優れていることを要旨とするものである。さらに、前記ハードコート層は、濡れ指数が35mN/m以上を有し、リコート性に優れているばかりか、水接触角が90度以上であり、払拭性にも優れたものとなる。
また、このハードコートフィルムに、反射防止、帯電防止、電磁波シールド、導電性、粘着加工、偏光機能などの機能を付与する為、これらの機能材料の樹脂への添加、塗工、蒸着、スパッタ、フィルムラミネート加工等も可能である。
本発明に用いられるシリカとしては、特に限定はされないが、平均粒子径が100nm以下で、有機溶剤を分散媒とした市販品各種を使用することができる。粒子径のより大きいシリカを用いた場合は、貯蔵安定性が悪くなるばかりか、本発明で目的とする良好な弾性、硬度、耐熱性を同時に発現することができず、得られた硬化物が濁るなどの問題がある。好ましくは平均粒子径が5〜50nmのものがより好適である。シリカとしてはコロイダル状態である必要はなく、シリケートを有する化合物で良いが、シリカ表面上に存在する水酸基の一部が化学修飾されており、有機溶媒に分散可能な疎水基を持つコロイダルシリカを使用することが望ましい。さらに好ましくは、コロイダルシリカ表面上の水酸基の一部をジシロキサン化合物および/またはモノアルコキシシラン化合物のようなシリル化剤等で修飾し、0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒にコロイダル分散していることが望ましい。
また、これらのポリイソシアネートは、単独或いは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、水酸基以外のイソシアネート基と反応する重合性不飽和基を持つ化合物としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ケイヒ酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロキシプロピルヘキサヒドロゲンフタレ−ト、2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロゲンフタレ−ト等の不飽和脂肪族カルボン酸類、2−(メタ)アクリロキシプロピルフタレ−ト、2−(メタ)アクリロキシプロピルエチルフタレ−ト等のカルボキシル基を有する不飽和芳香族カルボン酸、ビニルオキシエチルアミン、ビニルオキシドデシルアミン、アリルオキシプロピルアミン、2−メチルアリルオキシへキシルアミン、ビニルオキシ−(2−ヒドロキシ)ブチルアミン等のアミノ基含有モノマーなども使用することができる。
これらの重合性不飽和基を有する化合物は、単独或いは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルの例としてメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられる。
不飽和ニトリルモノマーの例としてアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の例としてアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコネート等がある。
これら反応性二重結合をもつ化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他、配合材料として、老化防止を向上させる目的で酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物が配合される。
帯電防止剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸グリセリンエステル、アルキルポリエチレンイミン等を挙げることができる。カチオン系としてアルキルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン誘導体等を挙げることができる。またエチレンオキサイドを骨格に持つアクリレート化合物なども使用することができる。
導電性高分子としてポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体を使用することができる。
金属酸化物としてアンチモンドープ型酸化錫(ATO)、錫ドープ型酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ型酸化亜鉛、アンチモン副酸化物などを使用することができる。
またその他にリチウムイオンなどの金属イオンを混合するイオン伝導型の帯電防止剤も用いることができる。
コロイダルシリカと樹脂成分との組成比は、ハードコート層である樹脂硬化物中の固形分比で20重量%以上、好ましくは30〜70重量%である。20重量%未満では、硬度が劣り、70重量%を超えると透明性に劣るものとなり、適性範囲を超えると全光線透過率が90%以上で、鉛筆硬度として3H以上の硬度を有する樹脂硬化物が得られず、耐擦傷性や耐スクラッチ性に劣るものとなる。
また上記樹脂基材は用途に応じてシート状、板状を用いることも可能である。
また、前記コロイダルシリカ含有単量体、または前記コロイダルシリカ含有単量体と重合性化合物との密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、電子線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
実施例
次いで、上記のコロイダルシリカ含有単量体100部に対し、開始剤としてIrgacure907を3重量部加えた混合溶液を188μmのPET(ポリエチレンテレフタレート:東レ(株)製ルミラー(商品名))フィルムに硬化後の膜厚が10μmとなるように塗布して、80W/cmの水銀灯で、300mJの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
次いで、上記のコロイダルシリカ含有単量体80重量部にメチルメタアクリレート(MMA)を20重量部と、開始剤としてIrgacure907を3重量部加えた混合溶液を188μmのPET(ポリエチレンテレフタレート:東レ(株)製ルミラー(商品名))フィルムに硬化後の膜厚が10μmとなるように塗布して、80W/cmの水銀灯で、300mJの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
次いで、上記のコロイダルシリカ含有単量体100部に対し、開始剤としてIrgacure907を3重量部加えた混合溶液を188μmのPET(ポリエチレンテレフタレート:東レ(株)製ルミラー(商品名))フィルムに硬化後の膜厚が10μmとなるように塗布して、80W/cmの水銀灯で、300mJの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
得られた上記コロイダルシリカ含有単量体80重量部にMMA20重量部と開始剤としてIrgacure907を3重量部加えた混合溶液を188μmのPET(ポリエチレンテレフタレート:東レ(株)製ルミラー(商品名))フィルムに硬化後の膜厚が10μmとなるように塗布して、80W/cmの水銀灯で、300mJの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)(分子量155/昭和電工(株)製)100重量部と等モル以上のイソプロパノール、触媒としてDBTDLを0.04重量部加えて反応させ、イソシアネート基を不活性化したのち、エバポレーターで未反応イソプロパノールを除去した。これに、開始剤としてIrgacure907を3重量部加えた混合溶液を188μmのPET(ポリエチレンテレフタレート:東レ(株)製ルミラー(商品名))フィルムに硬化後の膜厚が10μmとなるように塗布して、80W/cmの水銀灯で、300mJの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)(分子量155/昭和電工(株)製)30重量部とイソプロパノールを反応させ、イソシアネート基を不活性化する。その後、メチルイソブチルケトン(MIBK)溶媒分散コロイダルシリカ(SiO2成分30%、平均粒子径20nm/日産化学(株)製)30重量部を混合した後、エバポレーターで未反応のイソプロパノールと溶剤を除去した。この混合液80重量部に対し、MMA20重量部、開始剤としてIrgacure907を3重量部加えた混合溶液を188μmのPET(ポリエチレンテレフタレート:東レ(株)製ルミラー(商品名))フィルムに硬化後の膜厚が10μmとなるように塗布して、80W/cmの水銀灯で、300mJの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
コロイダルシリカとの反応を行わず、分散させた以外は実施例2と同様に実施した。
コロイダルシリカを含まないこと以外は比較例2と同様に実施した。
1)全光線透過率:JIS K 7361−1(2000年版)3.2の規定に基づきヘイズメータ(スガ試験機製)により測定
2)ヘイズ度:JIS K 7136(2000年版)の規定に基づきヘイズメータ(スガ試験機製)により測定
3)密着性:JIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験による。塗工面に10×10にマス目を作成し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認する。剥がれなかったマス目を数える。「残存ます目数/全ます目数(100)」
4)鉛筆硬度:JIS K 5600に準じ、斜め45度に固定した鉛筆の真上から荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷の付かない鉛筆硬度を表示。
5)耐擦傷性:スチールウール#0000(日本スチールウール株式会社製)により荷重2kg重で10往復 摩擦して傷がつくかどうかにより評価する。キズの付き方で5段階に分け、下記の様にする。
評価5:全くキズが付かない。
評価4:1から3本相当のキズが入る。
評価3:4から7本相当のキズが入る。
評価2:8から15本相当のキズが入る。
評価1:無数にキズが入る。
6)払拭性:表面上に手垢を付着させ140デニールのナイロン布で拭き取り性を評価する。
○:3回往復以内で拭き取り可能、△:10回往復以内で拭き取り可能、
×:完全に除去不可能
7)濡れ性:濡れ性試験法 JISK6768(1999年版)による。
濡れ性標準試薬(和光純薬)を綿棒に浸し、それを被験体の表面に塗布した際に撥水することなしに、ベッタリ濡れる試薬番号の最小値を濡れ指数とする。
8)接触角測定:接触角計(協和界面化学製)を用い液滴法により水の接触角を測定する。
9)リコート性:ハードコートフィルム上に蒸着により100nmの酸化珪素/酸化錫薄膜を形成した。蒸着膜との密着性をJIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験により評価する。塗工面に10×10にマス目を作成し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認する。剥がれなかったマス目を数える。「残存ます目数/全ます目数(100)」
Claims (7)
- 有機溶媒に分散させたコロイダルシリカと、イソシアネート基と重合性不飽和基とを持つイソシアネート化合物とが反応させられ、コロイダルシリカの水酸基とイソシアネート基とをウレタン結合を介して結合させられた、シリカの含有量が固形分比で40重量%以上であるコロイダルシリカ含有単量体からなることを特徴とするフィルム用紫外線硬化性ハードコート剤。
- 請求項1記載のコロイダルシリカ含有単量体と重合性化合物とからなり、シリカ量が固形分比で20重量%以上であることを特徴とするフィルム用紫外線硬化性ハードコート剤。
- 有機溶媒に分散させたコロイダルシリカと、分子中に2つ以上のイソシアネート基を有しその少なくとも1つのイソシアネート基に重合性不飽和基が導入されているイソシアネート基と重合性不飽和基とを持つイソシアネート化合物とが反応させられ、コロイダルシリカの水酸基とイソシアネート基とをウレタン結合を介して結合させられた、シリカの含有量が固形分比で40重量%以上であるコロイダルシリカ含有単量体からなることを特徴とするフィルム用紫外線硬化性ハードコート剤。
- 請求項3記載のコロイダルシリカ含有単量体と重合性化合物とからなり、シリカ量が固形分比で20重量%以上であることを特徴とするフィルム用紫外線硬化性ハードコート剤。
- 請求項1或いは3のいずれかの記載のフィルム用紫外線硬化性ハードコート剤をフィルムに塗布され紫外線照射により硬化させられ、全光線透過率が90%以上であり、表面の濡れ指数が35mN/m以上、水接触角が90度以上であることを特徴とするハードコートフィルム。
- 請求項2或いは4のいずれか記載のフィルム用紫外線硬化性ハードコート剤をフィルムに塗布され紫外線照射により硬化させられ、全光線透過率が90%以上であり、表面の濡れ指数が35mN/m以上、水接触角が90度以上であることを特徴とするハードコートフィルム。
- 請求項1〜4いずれか記載のフィルム用紫外線硬化性ハードコート剤をフィルムに塗布され紫外線照射により硬化させられたハードコートフィルム。
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