JP2011099038A - 近赤外線吸収剤及びその製造方法、並びに光学材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学材料として用いる場合に優れた透明性が得られるとともに、高い耐熱性を得ることもできる近赤外線吸収剤を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるホスホン酸化合物と、モノポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物類及びジポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物類の少なくとも一方と、銅イオンとを含有する近赤外線吸収剤。
Figure 2011099038

[式中、Rは、−CHCH−R11で表される1価の基であり、R11はH、C1〜20のアルキル基、又はC1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線吸収剤及びその製造方法、並びに光学材料に関する。
金属イオンは、特定波長光に対する吸収特性を示すなど、特有な分光特性を有することが知られており、その特性を利用して光学材料に応用されている。金属イオンに特有な分光特性を十分に発現できる光学材料として、本出願人により、所定のホスホン酸モノエステル化合物、所定のホスフィン酸化合物、所定のリン酸ジエステル化合物、所定のリン酸モノエステル化合物のうちの少なくとも一種の化合物と、所定のホスホン酸化合物と、金属イオンとを含有して成るものが開示されている(特許文献1参照)。
特開2002−069305号公報
金属イオンのなかでも、銅イオンは、熱的作用の大きい近赤外領域の光(以下、「近赤外線」という)に対する良好な吸収特性を有している。具体的には、銅イオンのd軌道の電子遷移によって近赤外線が選択的に吸収され、優れた近赤外線吸収特性が発現される。そこで、銅イオンを用いた光学材料を例えば窓材に適用することで、近赤外線の室内への侵入を防いで室内の温度の上昇を抑制することが可能となる。
銅イオンを用いた光学材料を窓材等に適用する場合は、室内の十分な明るさを確保するために、近赤外線を十分に吸収しながらも、可視光線に対する透過性(透明性)は高いことが好ましい。ところが、従来の銅イオンを用いた光学材料の場合、十分な近赤外線吸収特性は得られても、透明性については十分に得られない場合も少なくなかった。
また、銅イオンを用いた光学材料としては、樹脂に銅錯体等を分散させたものが知られているが、このような光学材料は、例えばシート状に加工する際、押し出し成形等によって高温に晒された場合に樹脂が変色してしまうなど、熱に対する安定性(耐熱性)が低い傾向にもあった。
そこで、本発明はこのような従来技術の有する事情に鑑みてなされたものであり、光学材料として用いる場合に優れた透明性が得られるとともに、高い耐熱性を得ることもできる近赤外線吸収剤を提供することを目的とする。本発明はまた、このような近赤外線吸収剤を用いた光学材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の近赤外線吸収剤は、下記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物と、下記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び下記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の少なくとも一方と、銅イオンとを含有することを特徴とする。
Figure 2011099038

Figure 2011099038

[式中、Rは、−CHCH−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。R21、R22及びR23は、−(CHCHO)で表される1価の基であり、nは4〜25の整数であり、Rは、炭素数6〜25のアルキル基又は炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。ただし、R21、R22及びR23は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
上記本発明の近赤外線吸収剤では、主に、上述した特定のホスホン酸化合物と銅イオンとによってホスホン酸銅塩が形成され、このホスホン酸銅塩によって高い近赤外線吸収特性が発現することができると考えられる。この場合、近赤外線吸収剤は、ホスホン酸銅塩を粒子の状態で含むと考えられるが、上記特定のリン酸エステル化合物を同時に含むことによって、ホスホン酸銅塩の粒子は、極めて微細な状態で維持される。そのため、例えば本発明の近赤外線吸収剤を樹脂と混合して光学材料とした場合、ホスホン酸銅塩の粒子が微細であるため可視光線の透過が妨げられることが少なくなるほか、高温下でホスホン酸銅塩が樹脂に作用して変色が生じることも抑制される。したがって、例えば本発明の近赤外線吸収剤は、優れた近赤外線吸収特性を有するとともに、優れた透明性及び耐熱性をも有する光学材料を提供することができる。ただし、作用は必ずしもこれらに限定されない。
上記本発明の近赤外線吸収剤は、ノニオン系界面活性剤を更に含有することが好ましい。このノニオン系界面活性剤は、下記一般式(3)で表される化合物であるとより好ましい。近赤外線吸収剤がこのようなノニオン系界面活性剤を含むことで、よりホスホン酸銅塩が微粒子状に維持され易くなり、さらに優れた透明性が得られ易くなる。
Figure 2011099038

[式中、Rは、炭素数6〜25のアルキル基又は炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示し、mは4〜25の整数である。]
また、本発明の近赤外線吸収剤がノニオン系界面活性剤を含む場合、このノニオン系界面活性剤の含有量は、一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の合計の含有量に対して10〜200質量%であることが好ましい。これにより、ノニオン系界面活性剤による透明性の向上効果が一層得られ易くなる。
さらに、近赤外線吸収剤においては、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物の含有量が、一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の合計の含有量に対してモル比で2.5倍以上であると好ましい。ホスホン酸化合物とリン酸エステル化合物とがこのような割合で含まれることによって、優れた近赤外線吸収特性と、透明性及び耐熱性とを更に両立させ易くなる。
また、近赤外線吸収剤において、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物の含有量は、銅イオンの含有量に対してモル比で0.4倍以上であると好ましい。これにより、近赤外線吸収剤においてホスホン酸銅塩が微細な粒子の状態で更に形成され易くなり、透明性及び耐熱性を一層向上させることが可能となる。
また、本発明は、樹脂と、この樹脂中に分散した上記本発明の近赤外線吸収剤とを含有する光学材料を提供する。このような光学材料は、本発明の近赤外線吸収剤を含むものであるため、上述の如く、高い近赤外線吸収特性を有するとともに、優れた透明性及び耐熱性を発揮し得るものとなる。
さらに、本発明は、下記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物、並びに下記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び下記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の少なくとも一方を含む混合物と、銅塩とを第1の溶媒中で反応させて反応混合物を得る反応工程と、反応混合物から少なくとも第1の溶媒を除去する溶媒除去工程と、第1の溶媒が除去された反応混合物を第2の溶媒と混合する混合工程とを有する近赤外線吸収剤の製造方法を提供する。
上記本発明の近赤外線吸収剤の製造方法によれば、まず、反応工程において、上記特定のリン酸エステル化合物の存在下でホスホン酸化合物と銅イオンとを反応させることができ、これによって微細な粒子状のホスホン酸銅塩を生成させることが可能となる。また、この反応工程に続いて、溶媒除去工程において反応混合物から溶媒をいったん除去した後、混合工程においてこれを溶媒(第2の溶媒)に更に分散させることで、ホスホン酸銅塩の粒子の凝集等を防いで微細な粒子の状態を維持し易くなる。その結果、上述したような、優れた特性を有する本発明の近赤外線吸収剤が良好に得られるようになる。
本発明の近赤外線吸収剤の製造方法では、混合工程において、超音波処理を行うことがより好ましい。これにより、反応工程で生じたホスホン酸銅塩の粒子を第2の溶媒中に良好に分散させることが可能となり、その結果、ホスホン酸銅塩が更に微粒子化されて上記の効果が一層良好に得られるようになる。
本発明によれば、光学材料として用いる場合に優れた透明性が得られるとともに、高い耐熱性を得ることもできる近赤外線吸収剤を提供することが可能となる。また、このような近赤外線吸収剤を含み、優れた近赤外線吸収特性、透明性及び耐熱性を有する光学材料を提供することが可能となる。
合わせガラスの断面構成を模式的に示す図である。 反射層を有する合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。 透光性基板間に設けられた複数の層間に反射層を有する合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
(近赤外線吸収剤)
本実施形態の近赤外線吸収剤は、下記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物、下記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び下記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物のうちの少なくとも一方、並びに、銅イオンを含む。
Figure 2011099038

Figure 2011099038

[式中、Rは、−CHCH−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。R21、R22及びR23は、−(CHCHO)で表される1価の基であり、nは4〜25の整数であり、Rは、炭素数6〜25のアルキル基又は炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。ただし、R21、R22及びR23は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
以下、このような近赤外線吸収剤に含まれる各成分について説明する。
まず、上記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物において、Rで表される1価の基におけるR11は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。フッ素化アルキル基は、対応するアルキル基における水素原子の一部又は全部がフッ素原子によって置換されたものである。このようなホスホン酸化合物を含むことで、近赤外線吸収材料による透明性及び耐熱性が良好に得られる傾向にある。
ホスホン酸化合物としては、RにおけるR11が水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基であるものが好ましい。このようなホスホン酸化合物としては、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、トリデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ペンタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸が挙げられる。なお、ホスホン酸化合物としては、これらのものを単独で用いてもよく、複数種類組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(2a)及び上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物は、R21、R22及びR23として、−(CHCHO)で表されるポリオキシアルキル基を有するものである。このポリオキシアルキル基において、より優れた透明性及び耐熱性を得る観点から、nは、4〜25の整数であると好ましく、6〜15の整数であるとより好ましい。nが4未満であると、透明性が不十分となる。一方、nが25を超えると、十分な透明性を得るためにリン酸エステル化合物の添加量を多くする必要があるため、コスト的に望ましくない。また、Rは、炭素数6〜25のアルキル基であると好ましく、炭素数12〜20のアルキル基であるとより好ましい。Rで表される基の炭素数が6未満であると、透明性が不十分となる。一方、Rで表される基の炭素数が25を超えると、十分な透明性を得るためにリン酸エステル化合物の添加量を多くする必要があるため、コスト的に望ましくない。
なお、近赤外線吸収剤は、上記一般式(2a)及び上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物のうちの少なくとも一方を含むが、これらの両方を含むとより好ましい。これにより、近赤外線吸収剤による透明性及び耐熱性の向上効果が更に良好に得られる傾向にある。また、赤外線吸収剤にはリン酸トリエステルを含んでいても良い。
銅イオンは、2価の銅イオンであり、例えば、銅塩の状態で近赤外線吸収剤に添加される。2価の銅イオンを供給する銅塩としては、酢酸銅、蟻酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅等の有機酸の銅塩無水物、水和物若しくは水化物、或いは、酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩の無水物、水和物若しくは水化物、又は、水酸化銅が挙げられる。これらのなかでは、酢酸銅、酢酸銅一水和物、安息香酸銅、水酸化銅、塩基性炭酸銅が好ましく用いられる。なお、銅イオン源であるこれらの銅塩は、単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。
近赤外線吸収剤は上述した各成分を含むものであるが、これらの成分同士が反応して生じた成分を含むものであってもよい。具体的には、本実施形態の近赤外線吸収剤においては、上記特定のホスホン酸化合物と銅イオンとは、互いに反応して主にホスホン酸銅塩を形成している。すなわち、本実施形態の近赤外線吸収剤は、ホスホン酸化合物と銅イオンとが反応してなるホスホン酸銅塩と、上述したリン酸エステル化合物とを含むものであってもよい。ただし、近赤外線吸収剤の組成は必ずしもこれに限定されず、ホスホン酸化合物や銅イオンの一部又は全部がそのまま含まれていてもよく、また、リン酸エステル化合物と銅イオンとが反応したリン酸エステル銅塩が含まれていてもよい。
近赤外線吸収剤がホスホン酸銅塩を含む場合、このホスホン酸銅塩は、主に粒子の状態で含まれる。近赤外線吸収剤において、このホスホン酸銅塩の粒子は、リン酸エステル化合物とともに含まれることから微細な粒子となっている。ホスホン酸銅塩の平均粒径は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは10〜90nmである。このように微細なホスホン酸銅塩の粒子が含まれることにより、本実施形態の近赤外線吸収剤によれば、優れた透明性及び耐熱性が得られるようになる。
本実施形態の近赤外線吸収剤は、上述した各成分に加えて、ノニオン系界面活性剤を更に含むと好ましい。ノニオン系界面活性剤を更に含むことで、近赤外線吸収剤による透明性及び耐熱性の向上効果が更に得られ易くなる。ノニオン系界面活性剤としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011099038

[式中、Rは、炭素数6〜25のアルキル基又は炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示し、mは4〜25の整数である。]
ノニオン系界面活性剤としては、なかでも、Rが炭素数12〜20のアルキル基であるものが好ましく、またmが6〜15の整数であるものが好ましい。好適なノニオン系界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレングリコール−4−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールラウリルエーテル等が挙げられる。
本実施形態の近赤外線吸収剤において、各成分の好適な含有量は次の通りである。すなわち、まず、上記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物の含有量は、上記一般式(2a)及び上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の合計の含有量に対して、モル比で2.5倍以上であると好ましく、3〜50倍であるとより好ましく、3.5〜35倍であると更に好ましい。ホスホン酸化合物の含有量が、リン酸エステル化合物に対してモル比で2.5倍未満であると、近赤外線吸収剤による透明性は得られるものの、近赤外線吸収特性が低くなるほか、耐熱性も低下する傾向にある。
また、上記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物の含有量は、銅イオンの含有量に対してモル比で0.4倍以上であると好ましく、0.5〜1.5倍であるとより好ましく、0.5〜1.2倍であると更に好ましい。これにより、近赤外線吸収剤による透明性及び耐熱性が更に良好に得られ易くなる。
さらに、近赤外線吸収剤がノニオン系界面活性剤を含む場合、その含有量は、上記一般式(2a)及び上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の合計の含有量の10〜200質量%であると好ましい。これにより、上述したノニオン系界面活性剤の添加による効果が得られ易くなる傾向にある。
(近赤外線吸収剤の製造方法)
次に、上述したような近赤外線吸収剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
近赤外線吸収剤の製造においては、まず、上記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物、上記一般式(2a)及び上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の少なくとも一方、並びに銅イオンの原料である銅塩をそれぞれ準備し、これらを例えば溶媒中で混合する(反応工程)。このような混合により、主に、ホスホン酸化合物と銅イオンとが反応し、これによって生じたホスホン酸銅塩を含む反応混合物が得られる。
この反応工程では、主に、リン酸エステル化合物の存在下で、ホスホン酸化合物と銅イオンとの反応が生じ、これによって反応溶媒に溶解しない粒子状のホスホン酸銅塩が生成する。この際、リン酸エステル化合物は、反応時に良好な分散剤として機能することができるため、このリン酸エステル化合物によって、反応中又は反応後のホスホン酸化合物と銅イオンとの分散性が高く保たれる。その結果、反応によって生じるホスホン酸銅塩の凝集等が生じ難くなり、微細な粒子状のホスホン酸銅塩が得られるようになる。
なお、反応工程では、必ずしも上述したホスホン酸化合物と銅イオンとの反応のみが生じるのではなく、例えばリン酸エステル化合物と銅イオンとの反応が生じていてもよく、またこれらの反応が生じずに、ホスホン酸化合物、リン酸エステル化合物及び銅イオンが残存していてもよい。これらの各成分を、上述した近赤外線吸収剤における好適な含有量となるように配合することによって、微細なホスホン酸銅塩の粒子の生成が有利となる傾向にある。
反応工程で用いる溶媒(第1の溶媒)としては、メタノール、エタノール等のアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、水等が挙げられ、良好に反応を生じさせる観点からは、エタノール、THF又はDMFが好ましい。また、反応工程は、好ましくは室温〜60℃、より好ましくは20〜40℃の温度条件で、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜3時間行うことができる。
近赤外線吸収剤は、上述した反応工程を行うことのみでも得ることができるが、近赤外線吸収剤を用いた光学材料の特性を更に向上させる観点からは、反応工程後、得られた反応混合物から第1の溶媒をいったん除去した後(溶媒除去工程)、この反応混合物を更に溶媒(第2の溶媒)に分散させる(混合工程)ことが好ましい。これによって、反応工程で生じたホスホン酸銅塩が微細な粒子状で維持され易くなり、優れた透明性及び耐熱性が更に得られ易くなる。
反応工程後の反応混合物中には、反応工程における反応で生じたホスホン酸銅塩やそれによる副生成物、リン酸エステル化合物、反応しなかったホスホン酸化合物、銅イオンの原料である銅塩、反応工程で用いた溶媒等が含まれる。溶媒除去工程では、反応混合物を加熱することにより、このような反応混合物中の液体成分である溶媒のほか、副生成物を主に除去する。溶媒除去工程では、液体成分の少なくとも一部を除去すればよいか、微細なホスホン酸銅塩の粒子を得る観点からは、液体成分を全て除去して反応混合物を乾固させることが好ましい。溶媒除去工程での加熱条件は、用いた材料の種類によって異なるが、例えば、室温〜70℃とすることが好ましく、40〜60℃とすることがより好ましい。また、加熱に加えて、又は加熱に代えて減圧を行ってもよい。
次いで、混合工程では、このようにして液体成分が除去された反応混合物を、溶媒(第2の溶媒)と混合して攪拌すること等によって、この溶媒中に分散させ、これによって近赤外線吸収剤を得る。第2の溶媒は、固体の粉末状の反応混合物を良好に分散できるものであれば特に制限はなく、上述した第1の溶媒と同じであってもよく、異なるものであってもよい。反応混合物の分散性を良好にして、微細なホスホン酸銅塩の粒子を得る観点からは、第2の溶媒としては、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、クロロホルム等が好ましい。
このようにして得られた近赤外線吸収剤は、例えば、反応工程で生じたホスホン酸銅塩のほか、リン酸エステル化合物や、場合によっては原料として用いたホスホン酸化合物、銅イオンの原料である銅塩等が含まれ、これらが上述した第2の溶媒中に分散されたものである。近赤外線吸収剤は、この第2の溶媒を含むままであってもよく、また第2の溶媒を除去したものであってもよいが、ホスホン酸銅塩を微細な粒子状に維持する観点からは、第2の溶媒を含む状態で保管し、光学材料に適用する際には、そのまま用いるか、または第2の溶媒を除去してから用いることが好ましい。
(光学材料)
上述した近赤外線吸収剤は、そのまま又は樹脂と混合されて、後述するような光学部材として適用できる光学材料とすることができる。近赤外線吸収剤と組み合わせる樹脂としては、上述した近赤外線吸収剤に含まれるホスホン酸銅塩等を良好に分散でき、しかも、可視光を透過する性質に優れているものが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂のなかでも、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、特にポリビニルブチラール(PVB)が好ましい。これらは、後述する積層体(合わせガラス)における透光性基板に対する接着性に優れるほか、柔軟であり、しかも温度に依存して変形し難いという特性を有している。このため、ポリビニルアセタール樹脂を用いることにより、積層体を製造する際の成形加工が容易となる。また、光学材料を用いて得られる中間膜の透明性、耐侯性、ガラスに対する接着性等が優れるようになる。さらに、ポリビニルアセタール樹脂は、上述した近赤外線吸収剤を分散等し易いという特性も有している。このため、近赤外線吸収剤とポリビニルアセタール樹脂との組み合わせによれば、優れた透明性及び耐熱性を有する合わせガラスが得られるようになる。
ポリビニルアセタール樹脂は、必要な物性に応じて、適当な組み合わせにてブレンドされたものであってもよく、アセタール化時にアルデヒドを組み合わせてアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂であってもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂の分子量、分子量分布及びアセタール化度は特に限定されないが、アセタール化度は、一般に40〜85%であり、その好ましい下限は60%、上限は75%である。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂をアルデヒドによりアセタール化することにより得ることができる。上記ポリビニルアルコール樹脂は、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られるものであり、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコール樹脂が一般的に用いられる。上記ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度は好ましい下限は200、上限は3000である。200未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下する。3000を超えると、樹脂膜の成形性が悪くなり、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなる。より好ましい下限は500、上限は2000である。なお、ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度、及び鹸化度は、例えば、JISK6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、炭素数が1〜10のアルデヒド等が挙げられ、より具体的には、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルテヒド、n−へキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒド等が好ましい。より好ましくは、炭素数が4のブチルアルデヒドである。
近赤外線吸収剤及び樹脂を含む光学材料は、上記の樹脂中に、上述した近赤外線吸収剤を添加して攪拌すること等によって得ることができる。このような光学材料における各成分の好適な含有量は、次の通りである。すなわち、光学材料は、樹脂100質量部に対して、近赤外線吸収剤中のホスホン酸銅塩が0.05〜30質量部となる量であると好ましく、0.1〜20質量部となる量であるとより好ましい。この割合が上記よりも小さすぎると、ホスホン酸銅塩の割合が少なくなり、十分な近赤外線吸収特性が得られ難くなるおそれがある。一方、大きすぎても、ホスホン酸銅塩の粒子が多くなり過ぎ、耐熱性が低下するおそれがある。
なお、光学材料は、樹脂及び近赤外線吸収剤に加え、必要となる特性に応じて、近赤外線吸収特性、透明性及び耐熱性を過度に低下させない範囲でその他の成分を更に含んでいてもよい。
例えば、光学材料には、可塑剤が含まれていてもよい。可塑剤としては、樹脂の物性を調整するために用いられる公知の可塑剤を特に制限なく適用できる。可塑剤を含むことで、例えば、樹脂の柔軟性が向上し、合わせガラスの中間膜等に適用した場合に、衝撃吸収性や耐貫通性が良好となる。このような可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸系可塑剤、脂肪酸系可塑剤、グリコール系可塑剤等の公知の可塑剤が例示できる。より具体的には、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機系可塑剤;有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が好適に用いられる。これらの可塑剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、後述する樹脂組成物に含有させる樹脂の種類に応じて相溶性等を考慮して使い分けられる。
一塩基性有機酸エステルとしては、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)又はデシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられる。より具体的には、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2エチルブチレート(3GH)、ジヘキシルアジペート(DHA)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート(4G7)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジヘプタノエート(3G7)等が例示できる。なかでも、3GO、3GH、3G7等が好ましい。
多塩基性有機酸エステルとしては特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸又はアゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖状又は分枝状アルコールとの反応によって得られるエステル等が挙げられる。例えば、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適である。
有機リン酸系可塑剤としては、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
また、光学材料には、接着力調整剤が含有されていてもよい。なお、接着力調整剤は、後述する中間膜(赤外線吸収層)の表面に塗布されてもよい。接着力調整剤としては、例えば、有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等が挙げられる。上記有機酸としては特に限定されず、例えば、オクタン酸、ヘキサン酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸等が挙げられる。上記無機酸としては特に限定されず、例えば、塩酸、硝酸等が挙げられる。上記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。
上記有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のなかでも、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましく、より好ましくは、炭素数2〜16のカルボン酸のカリウム塩及びマグネシウム塩である。
上記炭素数2〜16のカルボン酸のカリウム塩及びマグネシウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルへキサン酸マグネシウム、2−エチルへキサン酸カリウム等が好適である。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が供用されてもよい。
上記有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の配合量の好ましい下限は、樹脂100重量部に対して0.001重量部、上限は0.5重量部である。0.001重量部未満であると、高湿度雰囲気下で周辺部の接着力が低下することがある。0.5重量部を超えると、膜の透明性が失われることがある。より好ましい下限は0.01重量部、上限は0.2重量部である。
光学材料は、可塑剤や接着力調整剤のほか、他の添加剤を更に含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、色調を調整するための成分、物性を調整するための成分、光学材料を安定化するための成分、後述する積層体を形成させる際に透光性基板との密着性を向上するための成分等が挙げられる。その他、必要に応じて、押出機中での熱による変質を防止するための酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、耐湿剤等の添加剤が添加されていてもよい。
例えば、色調を調整するための成分としては、染料、顔料、金属化合物等が挙げられる。また、物性を調整するための成分としては、スチレン、ブタジエン、酢酸ビニル等のα,β−不飽和結合を有する(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリル系の樹脂と相溶性に優れるオリゴマーやポリマー等が挙げられる。
さらに、安定化するための成分としては、光安定剤、熱安定剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。またさらに、透光性基板との密着性を向上するための成分としては、例えば、透光性基板としてガラス基板を用いる場合、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤等のカップリング剤が例示できる。
紫外光吸収剤としては、ベンゾエート系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
より具体的には、ベンゾエート系化合物としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。サリシレート系化合物としては、フェニルサリシレートやp−t−ブチルフェニルサリシレートが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−ジスルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−5−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシエチルベンゾフェノン、4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタリミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメトキシベンゾイル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物等が挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートやオクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートが挙げられ、シュウ酸アニリド系化合物としては、2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリドや2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリドが挙げられる。また、トリアジン系化合物としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールが挙げられる。
また、光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)や、Ni系化合物を適用可能である。特に、上述した紫外光吸収剤とこれらの光安定剤を併用すると、光に対する安定性が極めて良好となる傾向にある。
より具体的には、HALSとしては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケード、1−[2−[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、Mixed {1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、Mixed {2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]、ジメチルサシネートポリマ−with−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等が挙げられる。
また、Ni系の光安定剤としては、[2,2’−チオ−ビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケル(II)、ニッケルジブチルジチオカーボネート、[2,2’−チオ−ビス(4−t−オクチルフェノレート)]−ブチルアミン−ニッケル(II)等が挙げられる。
(光学部材)
上述した光学材料を用いることにより、近赤外線を遮断する特性に優れる光学部材を得ることができる。このような光学部材としては、以下に示す第1及び第2の形態が挙げられる。
第1の形態:樹脂組成物を加工して得られるシート状成形物。
第2の形態:透光性基板と、この透光性基板の少なくとも一側に設けられた光学材料からなる赤外線吸収膜により構成される赤外線吸収層とを有する積層体。
まず、第1の形態について説明する。第1の形態の光学部材は、上述した光学材料からなるシート状の成形物であり、具体的には、シートやフィルムが挙げられる。このシート状成形物は、高い赤外線吸収特性を示し、赤外線吸収膜として種々の用途に適用される。ここで、シートとは、250μmを超える厚さを有する薄板状のものである。また、フィルムとは、厚さ5〜250μmの薄い膜状のものである。これらのシート又はフィルムは、公知のシート又はフィルム形成方法を用いて作製可能である。かかるシート又はフィルム形成方法としては、溶融押出成形法、延伸成形法、カレンダー成形法、プレス成形法、溶液キャスト法等が挙げられる。
次に、第2の形態について説明する。第2の形態の光学部材は、透光性基板と、この透光性基板に隣接して設けられた光学材料からなる赤外線吸収膜により構成される赤外線吸収層とを有する積層体である。
透光性基板は、可視光に対する透過性を有する基板であり、例えば、波長550nmの光を50%以上透過できる基板である。この透光性基板を構成する材料は、可視光透過性を有する材料であれば特に限定されず、光学部材の用途に応じて適宜選択可能である。良好な硬度、耐熱性、耐薬品性、耐久性等を得る観点からは、ガラスやプラスチックが好適に使用される。ガラスとしては、無機ガラス、有機ガラス等が挙げられる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ノルボルネン樹脂等が例示できる。なお、透光性基板が複数存在する場合には、各基板は、同じ種類の材料で構成されたものであってもよく、異なる材料で構成されたものであってもよい。
このような積層体は、例えば、上述した第1の形態の光学部材と同様のシートやフィルム(赤外線吸収膜)を形成した後、これらのシート等と透光性基板とを貼り合わせることによって製造することができる。これらを貼り合わせる方法としては、プレス法、マルチロール法、減圧法等の加圧又は減圧により接着する手段、オートクレーブ等を用いて加熱することにより接着する手段、又は、これらを組み合わせた手段を用いることができる。
また、積層体の製造方法としては、予め形成したシートを張り合わせる方法以外に、透光性基材上に、赤外線吸収層を直接形成する方法も適用できる。かかる方法としては、例えば、上述した光学材料を適宜の溶媒に分散等させてコーティング剤とし、このコーティング剤を透光性基板に塗布した後、溶媒を蒸発させることによって、透光性基材上に、光学材料からなる薄膜、被覆物又は薄層を形成する方法が例示できる。なお、コーティング剤としては、上述したような溶媒(第2の溶媒等)を含む状態の近赤外線吸収剤をそのまま用いることもできる。こうして形成された薄膜等は、コーティングと呼ばれるものである。このような方法を用いて赤外線吸収層を形成する場合には、当該層の平坦性を高める目的で、レベリング剤、消泡剤といった各種の界面活性剤等の溶解補助剤を、上述したコーティング剤中に添加してもよい。
第2の形態の光学部材、すなわち積層体は、上述したような透光性基板と赤外線吸収層とを一層ずつ備えるものに限定されず、これらの層を複数備えるものであってもよい。具体的には、一対の透光性基板と、この透光性基板間に配置された上記赤外線吸収膜からなる中間膜(赤外線吸収層)とを備えるものが挙げられる。このような積層体は、いわゆる合わせガラスと呼ばれるものである。
ここで、図1を参照して、好適な実施形態の合わせガラスについて説明する。
図1は、合わせガラスの断面構成を模式的に示す図である。図1に示される合わせガラス10は、一対の透光性基板1と、この一対の透光性基板1に挟持された中間膜2(赤外線吸収層)とを備えるものである。中間膜2は、上記光学材料からなる赤外線吸収膜であり、透光性基板1としては、上述したものと同様のものが適用できる。
かかる構造の合わせガラス10は、例えば、一組の透光性基板の間に、上述した光学材料からなるシート状成形物(赤外線吸収膜)を挟み、これを予備圧着して各層間に残存した空気を除去した後、本圧着してこれらを密着させる方法によって製造することができる。
なお、このような製造方法により合わせガラス10を製造する場合、中間膜2に、その保管時においてシート同士が合着して塊状となる、いわゆるブロッキング現象が生じていないことや、予備圧着における脱気性が良好であることが要求される。これらの要求を満たしている場合、透光性基材1とシートとを重ね合わせる際の作業性が良好となるほか、例えば脱気が不十分であるために生じた気泡等による透明性の低下を防ぐことができる。
合わせガラス10には、近赤外線を遮断する特性のほか、可視光領域の光を透過する特性(透明性)に優れることが求められる。このように優れた透明性を得るためには、上述したように、透光性基板1と中間膜2との間に極力気泡を有していないことが好ましい。
このように気泡を低減する手段の一つとして、表面にエンボスと呼ばれる多数の微小な凹凸を有している中間膜2を用いる方法が知られている。このようなエンボスが施された中間膜2によれば、上述した予備圧着工程等における脱気性が極めて良好となる。その結果、合わせガラス10は、気泡による可視光透過性の低下が少ないものとなる。
このようなエンボスの形態としては、例えば、多数の凸部とこれらの凸部に対する多数の凹部とからなる各種凸凹模様、多数の凸条とこれらの凸条に対する多数の凹溝とからなる各種の凸凹模様、粗さ、配置、大きさ等の種々の形状因子に関し多様な値を有するエンボス形状がある。
これらのエンボスとしては、例えば、特開平6−198809号公報に記載された、凸部の大きさを変え、その大きさ、配置を規定したもの、特開平9−40444号公報に記載された、表面の粗さを20〜50μmとしたもの、特開平9−295839号公報に記載された、凸条が交差するように配置されたもの、或いは、特開2003−48762号公報に記載された、主凸部の上に更に小さな凸部を形成されたものが挙げられる。また、エンボス形状を施す方法として、特表2003−528749には、樹脂成形時に発生するメルトフラクチャーを利用する方法、特表2002−505211、特表平9−502755には架橋PVB粒子や造核剤を用いる方法等が提案されている。
また、近年、合わせガラス10に求められる他の特性として、遮音性がある。遮音性が優れる合わせガラスによれば、例えば、窓材に用いた場合に、周囲の騒音等の影響を低減できるようになり、更に室内環境を向上させ得る。一般に、遮音性能は、周波数の変化に応じた透過損失量として示され、その透過損失量は、JISA4708では、500Hz以上において遮音等級に応じてそれぞれ一定値で規定されている。
ところが、合わせガラスの透光性基板として一般的に用いられるガラス板の遮音性能は、2000Hzを中心とする周波数領域ではコインシデンス効果により著しく低下する傾向にある。ここで、コインシデンス効果とは、ガラス板に音波が入射した時、ガラス板の剛性と慣性によって、ガラス板状を横波が伝播してこの横波と入射音とが共鳴し、その結果、音の透過が起こる現象をいう。よって、一般的な合わせガラスでは、2000Hzを中心とする周波数領域において、かかるコインシデンス効果による遮音性能の低下を避け難く、この点の改善が求められている。
これに関し、人間の聴覚は、等ラウドネス曲線から、1000〜6000Hzの範囲では他の周波数領域に比べ非常に良い感度を示すことが知られている。従って、コインシデンス効果による上記遮音性能の落ち込みを解消することは、防音性能を高める上で重要となる。このような観点から、合わせガラス10の遮音性能を高めるには、上記コインシデンス効果による遮音性能の低下を緩和し、コインシデンス効果によって生じる透過損失の極小部の低下を防ぐ必要がある。
合わせガラス10に遮音性を付与する方法としては、合わせガラス10の質量を増大させる方法、透光性基板1となるべきガラスを複合化する方法、このガラス面積を細分化する方法、ガラス板支持手段を改善する方法などがある。また、遮音性能は、中間膜2の動的粘弾性により左右され、特に貯蔵弾性率と損失弾性率との比である損失正接に影響されることがあることから、この値を制御することによっても合わせガラス10の遮音性能を高めることができる。
後者のように損失正接の値を制御する手段としては、例えば、特定の重合度を有する樹脂膜を用いる方法、特開平4−2317443号公報に記載されるような樹脂の構造を規定する方法、特開2001−220183号公報に記載されるような樹脂中の可塑剤量を規定する方法等が挙げられる。また、異なる2種以上の樹脂を組み合わせて中間膜を形成することによっても、広い温度範囲にわたって合わせガラス10の遮音性能を高め得ることが知られている。例えば、特開2001−206742号公報に記載された、複数種の樹脂をブレンドする方法、特開2001−206741号公報、特開2001−226152号公報に記載された、複数種の樹脂を積層する方法、特開2001−192243号公報に記載された、中間膜中の可塑剤量に偏向を持たせる方法等が挙げられる。これらの技術を採用し、樹脂構造の改質、可塑剤の添加、2種以上の樹脂の組み合わせ等といった手段を適宜組み合わせて実施することで、中間膜2を形成すべき樹脂材料の損失正接の値、すなわち遮音性を制御することが可能となる。
さらに、合わせガラス10は、上述したような近赤外線を吸収すること以外によっても遮熱性を発揮し得る特性を更に有していると好ましい。このように合わせガラス10の遮熱性を高める方法としては、中間膜2中に、遮熱機能を有する金属、酸化物微粒子、金属ホウ素化物等を更に含有させるか、またはこれらを含む層を合わせガラスの積層構造中に導入する方法が挙げられる。このような方法としては、例えば、特開2001−206743号公報、特開2001−261383号公報、特開2001−302289号公報、特開2004−244613号公報、国際公開第02/060988号パンフレット等に記載された方法を適用できる。
遮熱性を高め得る酸化物微粒子としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等が挙げられる。また、ホウ化物微粒子としてはYB、LaB、CeB、PrB、NdB、SmB、EuB、GdB、TbB、DyB、HoB、ErB、TmB、YbB、LuB、ZrB、BaB、SrB、CaB等の6ホウ化物微粒子が挙げられる。なお、上述した酸化物微粒子が含有された中間膜2は、可視光透過性が低下しやすい傾向にあることから、酸化物微粒子の粒径を規定したり(特許第271589号公報、特開2002−293583号公報)、分散性を高めたりして、透光性を良好に維持するための方法を適用してもよい。後者のように酸化物微粒子の分散性を高めるための方法としては、当該微粒子を機械的に分散させることや、分散剤を用いること等の公知の微粒子分散技術が適用できる。
なお、合わせガラスの遮熱性を高める方法としては、上述した酸化物微粒子等を含有させる方法以外に、例えば、有機系の遮熱機能を有する染料・顔料を含有させる方法や、遮熱性能を有する透光性基板を用いる方法も挙げられる。前者の有機系の遮熱機能を有する染料・顔料を含有させる方法としては、特開平7−157344号公報、特許第319271号公報に記載された方法が挙げられる。このような染料・顔料としては、具体的には、フタロシアニン系、アントラキノン系、ナフトキノン系、シアニン系、ナフタロシアニン系、ピロール系、イモニウム系、ジチオール系、メルカプトナフトール系等の染料・顔料が挙げられる。
また、後者のような遮熱性能を有する透光性基板としては、例えば、特開2001−151539号公報に記載されているようなFe含有ガラス(例えば、グリーンガラス等)、特開2001−261384号公報、特開2001−226148号公報に記載されているような金属、金属酸化物を積層したガラス板が挙げられる。
このように、上述した実施形態の合わせガラスは、中間膜に含まれる近赤外線吸収剤が近赤外領域の光線を吸収することによって、熱線である近赤外線を遮断する特性を発揮するものであるが、本発明の合わせガラス(積層体)は、更なる近赤外線遮断特性の向上を目的として、赤外線吸収層に加えて、近赤外線を反射する特性を有する層(反射層)を更に有していてもよい。
図2は、反射層を有する合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。合わせガラス20は、透光性基板21、赤外線吸収層22、反射層23及び透光性基板21をこの順に備える構造を有している。透光性基板21及び赤外線吸収層22は、上述した合わせガラス10におけるものと同様のものが適用できる。
反射層23としては、金属や金属酸化物から構成される層が挙げられ、具体的には、例えば、金、銀、銅、錫、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、ケイ素、クロム、チタン、インジウム、アンチモン等の金属単体、合金、混合物又は酸化物が例示できる。
このような反射層23を有する合わせガラス20は、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、まず、透光性基板21の一面に反射層23を設けたものを準備する。ここで、透光性基板21上に反射層23を形成する方法としては、金属や金属酸化物を透光性基板21上に蒸着する方法等が挙げられる。次に、赤外線吸収層22となるべきシートの一方の面側に、反射層23が形成された透光性基板21をその反射層23が接するように配置するとともに、他方の面側に透光性基板21のみを配置する。そして、これらを圧着することによって、合わせガラス20を得ることができる。
ところで、このように透光性基板21と赤外線吸収層22との間に反射層23を形成すると、反射層23と赤外線吸収層22との接着性が低下してしまう場合がある。こうなると、例えば合わせガラス20が破損した場合に透光性基板21が剥離・飛散し易くなるおそれがある。かかる問題を避ける観点からは、例えば、赤外線吸収層22と反射層23との間に、両者の接着力を向上させ得る層を更に設けることが好ましい。こうすることで、反射層23と赤外線吸収層22との接着性を改善することが可能となる。
このように接着力を向上させる手段としては、例えば、赤外線吸収層22に含まれる樹脂成分がポリビニルアセタールである場合、赤外線吸収層22よりも高いアセタール度を有するポリビニルアセタールからなる層(特開平7−187726号公報、特開平8−337446号公報)、所定の割合のアセトキシ基を有するPVBからなる層(特開平8−337445号公報)、所定のシリコーンオイルからなる層(特開平7−314609号広報)等を形成する方法が採用できる。
また、反射層23としては、上述したような金属や金属酸化物を含む層以外に、特表平09−506837、特表2000−506082、特表2000−506084、特表2004−525403、特表2003−515754、特開2002−231038、特表2004−503402等で示されるような、光の干渉を利用して特定波長を反射する高分子多層フィルムを用いることも出来る。
なお、反射層は、合わせガラスにおいて、必ずしも上述したように透光性基板と赤外線吸収層との間に設けられている必要はなく、例えば、透光性基板の間に複数の樹脂からなる層が形成されている場合は、これらの層の間に設けられた形態であってもよい。
図3は、透光性基板間に設けられた複数の層間に反射層を有する合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。合わせガラス30は、透光性基板31、赤外線吸収層32、反射層33、樹脂層34、赤外線吸収層32、透光性基板31をこの順に備える構造を有している。かかる合わせガラス30において、透光性基板31、赤外線吸収層32及び反射層33としては、上述したのと同様のものが適用できる。また、樹脂層34としては、公知の樹脂材料からなるものが適用でき、このような樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等が挙げられる。なお、このような構造の合わせガラス30においては、赤外線吸収層32は少なくとも一層設けられていればよいため、例えば、上述した赤外線吸収層32のうちの一層は、近赤外線を吸収する特性を有しない樹脂材料からなる層であってもよい。
このように、赤外線吸収層(中間膜)に加えて更に反射層を設けることで、両層の効果により、合わせガラスに対して更に優れた近赤外線を遮断する特性を付与することができる。また、上述したような、反射層と赤外線吸収層との接着性を改善する方法を採用すれば、このような近赤外線の遮断特性に加え、優れた強度を有する合わせガラスを得ることも可能となる。
上述した構成を有する合わせガラス等の積層体においては、太陽光等の熱線成分を含む光が入射すると、中間膜である赤外線吸収層が発現する近赤外線の吸収特性によって、近赤外領域(波長700〜1200nm程度)の熱線が遮断される。一般に、この波長領域の光線は、肌が焼きつくようなジリジリとした刺激的な暑さを感じさせる傾向にあるが、上述した積層体を透過する光線は、このような熱線が遮断されているため主として可視光線となる。よって、かかる積層体を窓材等に用いれば、可視光を効率良く取り込みつつ、室内や屋内の温度上昇を抑えることができる。
また、特に。上記構成の合わせガラスは、上述した近赤外線吸収剤を含む光学材料を用いて得られた中間膜を備えるものである。そして、この中間膜においては、近赤外線吸収剤中のホスホン酸銅塩の粒子が極めて小さい状態で維持されるため、優れた近赤外線吸収特性が得られるとともに、高い透明性及び耐熱性が発揮される。したがって、かかる中間膜を備える合わせガラスは、窓材等として用いられて高温に長期間さらされた場合であっても、赤外線吸収特性や透明性を長期にわたって維持可能であり、また、長期使用による着色等も生じ難いものとなる。
なお、可視光の取り込みを十分に行う観点から、合わせガラスは、そのヘーズが50%以下であると好ましく、40%以下であるとより好ましく、35%以下であると更に好ましい、このヘーズが50%を超えると、合わせガラスの透光性が低下し、可視光の取り込みが不十分となる傾向にある。
このように、上述した実施形態の積層体(合わせガラス)は、優れた近赤外線の遮断性能を有していることから、太陽光等の自然光その他の外光を取り入れるための建材(建築物の部材に限定されない)、例えば、自動車、船舶、航空機又は電車(鉄道)車両の窓材、アーケード等の通路の天蓋材、カーテン、カーポートやガレージの天蓋、サンルームの窓又は壁材、ショーウィンドウやショーケースの窓材、テント又はその窓材、ブラインド、定置住宅や仮設住宅等の屋根材や天窓その他窓材、道路標識等の塗装面の被覆材、パラソル等の日除け具材、その他熱線の遮断が必要とされる種々の部材に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[近赤外線吸収剤の調製]
(実施例1)
まず、酢酸銅1水和物0.149g(7.46×10−4mol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)25gに溶解させた溶液(a)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのエチルホスホン酸(0.0821g)及びリン酸エステル化合物であるDDP−6(日光ケミカルズ社製)0.13g(1.67×10−4mol)を、DMF25gに溶解させた溶液(b)をそれぞれ準備した。なお、DDP−6は、上記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物と上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物との混合物であり、これらの式中におけるnが6であり、Rが炭素数12〜15のアルキル基であるものである。また、DDP−6のモル数は、分子量として、一般式(2a)又は(2b)におけるRの炭素数を12〜15の平均である13.5とした場合の値を用い、且つ上記一般式(2a)と(2b)との存在比を1:1とした場合に算出される値とした。
次いで、上記で得られた溶液(a)と溶液(b)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた。反応後、得られた反応混合物から副生成物及び溶媒を、減圧下、60℃で留去した。そして、この溶液にトルエンを5g添加し超音波照射して再分散処理を行い、近赤外線吸収剤を得た。
(実施例2)
リン酸エステル化合物として、DDP−8(日光ケミカルズ社製)を0.13g(1.43×10−4モル)用いたこと以外は、実施例1と同様にして近赤外線吸収剤を得た。なお、DDP−8は、上記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物と上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物との混合物であり、これらの式中におけるnが8であり、Rが炭素数12〜15のアルキル基であるものである。また、DDP−8のモル数は、DDP−6の場合と同様にして算出した。
(実施例3)
リン酸エステル化合物として、DDP−10(日光ケミカルズ社製)を0.13g(1.25×10−4モル)用いたこと以外は、実施例1と同様にして近赤外線吸収剤を得た。なお、DDP−10は、上記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物と上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物との混合物であり、これらの式中におけるnが10であり、Rが炭素数12〜15のアルキル基であるものである。また、DDP−10のモル数は、DDP−6の場合と同様にして算出した。
(実施例4)
まず、酢酸銅1水和物0.149g(7.46×10−4mol)をDMF25gに溶解させた溶液(a)、酢酸銅1水和物に対して等モルのエチルホスホン酸(0.0821g)及びリン酸エステル化合物であるプライサーフA219B(第1工業製薬社製)0.0325g(2.37×10−5mol)をDMF25gに溶解させた溶液(b)をそれぞれ準備した。なお、プライサーフA219Bは、上記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物と上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物との1:2.5(モル比)の混合物であり、これらの式中におけるnがほぼ15であり、Rが炭素数12のアルキル基であるものである。また、プライサーフA219Bのモル数は、分子量として、一般式(2a)又は(2b)におけるRが炭素数12である場合の値を用い、且つ上記一般式(2a)と(2b)との存在比を1:1とした場合に算出される値とした。
次いで、上記で得られた溶液(a)と溶液(b)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた。反応後、得られた反応混合物から副生成物及び溶媒を、減圧下、60℃で留去した。そして、この溶液にトルエンを5g添加し超音波照射して再分散処理を行い、近赤外線吸収剤を得た。
(実施例5)
リン酸エステル化合物として、プライサーフA219B(第1工業製薬社製)のナトリウム中和品を0.065g(4.73×10−5モル)用いたこと以外は、実施例4と同様にして近赤外線吸収剤を得た。
(実施例6)
リン酸エステル化合物として、プライサーフA219B(第1工業製薬社製)のナトリウム中和品を0.13g(9.46×10−5モル)用いたこと以外は、実施例4と同様にして近赤外線吸収剤を得た。
(実施例7)
リン酸エステル化合物として、プライサーフA219B(第1工業製薬社製)のナトリウム中和品を0.26g(1.89×10−4モル)用いたこと以外は、実施例4と同様にして近赤外線吸収剤を得た。
(実施例8)
リン酸エステル化合物として、プライサーフA219B(第1工業製薬社製)のナトリウム中和品を0.39g(2.84×10−4モル)用いたこと以外は、実施例4と同様にして近赤外線吸収剤を得た。
(実施例9)
まず、酢酸銅1水和物0.440g(2.20×10−3mol)を、エタノール22gに溶解させた溶液(a)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのヘキシルホスホン酸(0.365g)及びリン酸エステル化合物であるTDP−10(日光ケミカルズ社製)0.5g(3.68×10−4mol)を、エタノール5gに溶解させた溶液(b)をそれぞれ準備した。なお、TDP−10は、上記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物(モノエステル)と、上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物(ジエステル)と、上記一般式(2b)中のヒドロキシル基の水素原子が同様の基でさらに置換されたトリエステルと、の混合物であり、これらの式中におけるnが10であり、Rが炭素数13〜15のアルキル基であるものである。また、DDP−10のモル数は、分子量として、モノエステル、ジエステル及びトリエステルにおけるRで表されるアルキル基の炭素数を、13〜15の平均である14とした場合の値を用い、且つ、モノエステルとジエステルとトリエステルとの存在比を1:1:1とした場合に算出される値とした。
次いで、上記で得られた溶液(a)と溶液(b)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた。反応後、得られた反応混合物から副生成物及び溶媒を、減圧下、60℃で留去した。そして、この溶液にトルエンを10g添加し超音波照射して再分散処理を行い、近赤外線吸収剤を得た。
(実施例10)
まず、酢酸銅1水和物0.351g(1.76×10−3mol)を、エタノール20gに溶解させた溶液(a)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのデシルホスホン酸(0.391g)及びリン酸エステル化合物であるプライサーフA219B(第1工業製薬社製)0.28g(2.04×10−4mol)を、エタノール5gに溶解させた溶液(b)をそれぞれ準備した。
次いで、上記で得られた溶液(a)と溶液(b)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた。反応後、得られた反応混合物から副生成物及び溶媒を減圧下、60℃で留去した。そして、この溶液にトルエンを10g添加し超音波照射して再分散処理を行い、近赤外線吸収剤を得た。
(比較例1)
まず、酢酸銅1水和物0.149g(7.46×10−4mol)をDMF25gに溶解させた溶液(a)、及び、酢酸銅1水和物に対して等モルのエチルホスホン酸(0.0821g)をDMF25gに溶解させた溶液(b)をそれぞれ準備した。
次いで、上記で得られた溶液(a)と溶液(b)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた。反応後、得られた反応混合物から副生成物及び溶媒を留去して、近赤外線吸収剤を得た。
(比較例2)
まず、酢酸銅1水和物0.149g(7.46×10−4mol)をDMF25gに溶解させた溶液(a)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのエチルホスホン酸(0.0821g)及びポリエステル酸のアマイドアミン塩分散剤(商品名ディスパロン)0.13gを含むDMF溶液(b)をそれぞれ準備した。
次いで、上記で得られた溶液(a)と溶液(b)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた。反応後、反応混合物に可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を2.43g添加した後、これらの混合物から反応の副生成物及び溶媒を留去して、近赤外線吸収特性を有する銅化合物を含有する3GO溶液(近赤外線吸収剤)を作成した。
(比較例3)
まず、酢酸銅1水和物0.149g(7.46×10−4mol)をDMF25gに溶解させた溶液(a)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのエチルホスホン酸0.0821g及びリン酸エステル化合物であるDDP−2(日光ケミカルズ社製)0.13g(2.53×10−4mol)をDMF25gに溶解させた溶液(b)をそれぞれ準備した。なお、DDP−2は、上記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物と上記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物との混合物であり、これらの式中におけるnが2であり、Rが炭素数12〜15のアルキル基であるものである。また、DDP−2のモル数は、DDP−6の場合と同様にして算出した。
次いで、上記で得られた溶液(a)と溶液(b)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた。反応後、得られた反応混合物から副生成物及び溶媒を留去した。そして、この溶液にトルエンを5g添加し超音波照射して再分散処理を行い、近赤外線吸収剤を得た。
上述した各実施例及び比較例の近赤外線吸収剤の調製に用いた化合物の種類及び添加量を、下記表1にまとめて示す。
Figure 2011099038
[特性評価]
上記で得られた各近赤外線吸収剤をそれぞれ用いて、合わせガラスを作製した。すなわち、近赤外線吸収剤を、ポリビニルブチラール10.0g及び可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)3.8gを塩化メチレン300gに溶解した溶液と混合し、これを用いて溶剤キャスト法により厚さ0.75mmの中間膜を作製し、これを一対の透明ガラス板の間に挟むことにより、合わせガラスを得た。なお、近赤外線吸収剤は、銅イオン濃度が0.53重量%となるように混合した。
そして、各赤外線吸収剤におけるホスホン酸銅塩粒子の平均粒径、並びに、各赤外線吸収剤を用いて得られた合わせガラスにおける中間膜の120℃及び200℃でのイエローインデックス(YI)やこれらの差(ΔYI)を、それぞれ以下のようにして測定した。得られた結果を表2に示す。
(ホスホン酸銅塩の粒径の測定)
近赤外線吸収剤中に含まれるホスホン酸銅塩の粒子の平均粒径を、ベックマンコールター社製N4PLUSを用いた動的散乱法により測定した。
(YI及びΔYIの測定)
合わせガラスにおける中間膜のイエローインデックス(YI)の値を、120℃で求めた後、200℃で求めた。そして、200℃でのYIの値と120℃でのYIの値の差を求め、これをΔYIとした。なお、YIの値は、分光光度計を用いた測定により、JISZ8701に準拠した方法で求められるXYZ表色系の三刺激値(X,Y,Z)に基づいて、下記式(A)に従って算出することができる。
YI=(128X−106Z)/Y …(A)
Figure 2011099038
表2に示すように、実施例1〜10の近赤外線吸収剤は、ホスホン酸銅塩の粒子の粒径が小さく、且つΔYIの値も十分に小さいことが確認された。これと比較して、比較例1〜4の近赤外線吸収剤は、ホスホン酸銅塩の粒子の粒径が大きい、及び/又はΔYIの値が大きいものであった。
特に、上記一般式(2a)においてそれぞれn=6、8及び10であったリン酸エステル化合物を用いた実施例1、2及び3の近赤外線吸収剤は、上記一般式(2a)においてn=2であったリン酸エステル化合物を用いた比較例3の近赤外線吸収剤に比べて、ホスホン酸銅塩の粒径が大幅に小さく、またΔYIの値も小さいという結果となった。
これらの結果から、特定のホスホン酸化合物、特定のリン酸エステル化合物及び銅イオンを組み合わせて用いた本発明の近赤外線吸収剤によれば、ホスホン酸銅塩を含むことによって優れた近赤外線吸収特性を有するとともに、ホスホン酸銅塩の粒径が小さいことから透明性に優れ、しかも耐熱性に優れる光学材料を提供することが可能となることが確認された。
1…透光性基板、2…中間膜、10…合わせガラス、20…合わせガラス、21…透光性基板、22…赤外吸収層、23…反射層、30…合わせガラス、31…透光性基板、32…赤外吸収層、33…反射層、34…樹脂層。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物と、
    下記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び下記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の少なくとも一方と、
    銅イオンと、
    を含有することを特徴とする近赤外線吸収剤。
    Figure 2011099038

    Figure 2011099038

    [式中、Rは、−CHCH−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。R21、R22及びR23は、−(CHCHO)で表される1価の基であり、nは4〜25の整数であり、Rは、炭素数6〜25のアルキル基又は炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。ただし、R21、R22及びR23は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  2. ノニオン系界面活性剤を更に含有する、ことを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収剤。
  3. 前記ノニオン系界面活性剤が、下記一般式(3)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項2記載の近赤外線吸収剤。
    Figure 2011099038

    [式中、Rは、炭素数6〜25のアルキル基又は炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示し、mは4〜25の整数である。]
  4. 前記ノニオン系界面活性剤の含有量が、前記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び前記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の合計の含有量に対して10〜200質量%である、ことを特徴とする請求項2又は3記載の近赤外線吸収剤。
  5. 前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物の含有量が、前記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び前記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の合計の含有量に対してモル比で2.5倍以上である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の近赤外線吸収剤。
  6. 前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物の含有量が、前記銅イオンの含有量に対してモル比で0.4倍以上である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の近赤外線吸収剤。
  7. 樹脂と、該樹脂中に分散した請求項1〜6のいずれか一項に記載の近赤外線吸収剤と、を含有する、ことを特徴とする光学材料。
  8. 下記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物、並びに下記一般式(2a)で表されるリン酸エステル化合物及び下記一般式(2b)で表されるリン酸エステル化合物の少なくとも一方を含む混合物と、銅塩と、を第1の溶媒中で混合して反応混合物を得る反応工程と、
    前記反応混合物から少なくとも前記第1の溶媒を除去する溶媒除去工程と、
    前記第1の溶媒が除去された前記反応混合物を、第2の溶媒と混合する混合工程と、
    を有することを特徴とする近赤外線吸収剤の製造方法。
  9. 前記混合工程において、超音波処理を行うことを特徴とする請求項8記載の近赤外線吸収剤の製造方法。
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