JP2010160321A - 定着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速化に対応可能な幅の広いニップ幅を確保でき、薄い記録材から厚い記録材まで対応して、定着性維持(トナー層剥がれ防止)と高い画像濃度を達成でき、像ずれや光沢ムラの異常画像の発生を抑えるようにする。
【解決手段】加圧部材4のローラ1との対向面を前記ローラの外周面に沿った湾曲面に形成するとともに前記湾曲面の曲率を前記ローラの曲率よりも大きくし、ニップ部Nは、前記加圧部材によるバックアップがないエンドレスベルト2の領域を前記エンドレスベルトの弾性力のみで前記ローラに接触させることによって形成されているプレニップ部N1と、前記加圧部材によるバックアップがある前記エンドレスベルトの領域を前記ローラに当接させている加圧ニップ部N2とによって形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像形成装置に搭載する定着装置(定着器)に関する。
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に搭載する定着装置として、ベルト方式のものがある。ベルト方式の定着装置は、トナー画像を担持する記録紙やOHPシート等の記録材を挟持搬送しつつ加熱するためのニップ部を可撓性エンドレスベルトを用いて形成するため、記録材搬送方向の幅(ニップ幅)を広く取ることが可能となる。そのため、記録材の搬送速度を速くしてもトナーを十分な時間加熱でき、プリント速度を速めることが可能になる。
特許文献1及び特許文献2には、エンドレスベルトとローラを組み合わせた定着装置が開示されている。
図13は特許文献1の従来の定着装置の構成を表わす横断面模式図である。
特許文献1に示す定着装置は、外周部にゴムからなる弾性層1bを有する回転可能な定着ローラ1と、加圧パッド4と、この加圧パッド4に巻き掛けられたエンドレスの加圧ベルト2と、を備えている。加圧パッド4は、熱伝導度が低く、かつ定着ローラ1の弾性層1bよりも硬い材料で形成されており、例えば耐熱樹脂またはセラミックから構成されている。
特許文献1の定着装置では、定着ローラ1と加圧ベルト2との接触部が定着ニップ部Nになっている。その加圧ベルト2は定着ローラ1により加圧パッド4に対して圧接されている。そして定着ローラ1が矢印A方向に回転駆動されることにより、加圧ベルト2は矢印B方向に回転するようになっている。また、定着ローラ1は、内部に配置された熱源であるハロゲンヒータ5によって加熱されることにより所定の定着温度に昇温する。そしてこの定着装置では、定着ローラ1が所定温度まで昇温した後に、未定着トナー画像Tが形成された記録材Pが定着ニップNに矢印Cにて示す通紙方向(記録材搬送方向)に導入される。そして記録材Pが定着ニップ部Nを通過する際にトナー画像Tが記録材P上に加熱定着される。このように回転不能に固定配置された加圧パッド4を用いることにより、幅広の定着ニップ部Nを形成してトナーを十分に加熱できる記録材のニップ時間を確保している。またこの定着装置の特徴として、定着ニップ部N内の加圧パッド4は、ほぼ定着ローラ1の外周面に沿った湾曲面とすることにより、定着ニップ部Nの幅を広く確保することができる。
図17は特許文献2の従来の他の定着装置の構成を表わす横断面模式図である。
特許文献2に示す定着装置は、外周部にゴムからなる弾性層を有する回転可能な定着ローラ1に加圧ベルト2を巻きつけて、定着ニップ部Nを形成する構成である。
加圧ベルト2は、分離ローラ21、入口ローラ23、テンションローラ22の3本のローラに巻き掛けられている。そして分離ローラ11及び加圧パッド4を定着ローラ1に向けて加圧することにより、幅の広い定着ニップ部Nを確保している。
特許文献2の定着装置の特徴は、加圧パッド4のベースプレート4bが、ステンレス鋼製の部材であり、ベースプレートの後端部が、弾性パッド4pをバックアップするように定着ローラ1と分離ローラ11の圧接部に向かって楔形形状を有していることである。
特開2001−356625号公報 特開2006−091501号公報
特許文献1の定着装置は、記録材として厚いコート紙等を用いた場合、トナー画像の「像ずれ」や「光沢ムラ」が発生する可能性がある。その理由を図14〜図16を用いて説明する。
図14は定着ニップ部に薄いコート紙(例えば坪量80g/m)を通紙(導入)した状態を表わす説明図である。
図14に示すように、記録材の厚みが小さい(薄い)場合、記録材の厚みによる定着ニップ部Nの加圧力(ニップ圧)の増加はほとんどなく、定着ローラ1の定着ニップ部N内の弾性層1bは、定着ニップ部Nの全域に渡って均等に変形する。そのため、定着ニップ部Nの圧力は途中で相対的な圧力の低下しない。
図15は定着ニップ部に厚いコート紙(例えば坪量300g/m)を通紙した状態を表わす説明図である。
図15に示すように、定着ニップ部Nに厚いコート紙を通紙する場合、定着ニップ部N内にコート紙のある状態では、定着ニップ部Nの加圧パッド4の形状は、ほぼ定着ローラ1の外周面に沿った湾曲面である。しかし、そのコート紙の厚みの影響により、定着ニップ部Nの定着ローラ1の弾性層1bは、定着ニップ部Nの幅方向両端部で幅方向中央部と比べて大きく変形する。そのため、定着ニップ部Nの圧力分布は通紙方向Cの両端部で増加し、定着ニップ部Nの途中で相対的な圧力の低下が発生してしまう。
図16は特許文献1の定着装置における定着ニップ部Nの圧力分布の様子を示したものである。
定着ニップ部N内における圧力分布は、ニッタ(株)製の圧力分布測定システムPINCHを用いて測定を行った。図16に示すように、3つの状態の圧力分布を示しており、圧力センサーのみを挟んだ状態、圧力センサーと薄いコート紙(坪量80g/m)を挟んだ状態、圧力センサーと厚いコート紙(坪量300g/m)を挟んだ状態とを比較している。
薄いコート紙を挟んだ状態での定着ニップ部Nの圧力分布は、圧力センサーのみを挟んだ状態と比べて、記録材の厚みにより、定着ニップ部Nの加圧力が全体的に大きくなっているが、定着ニップ部Nの通紙方向Cで相対的な圧力の低下が発生しない。
一方、厚いコート紙を挟んだ状態での定着ニップ部Nの圧力分布は、記録材の厚みによる影響が大きくなる。すなわち、定着ニップ部Nの通紙方向Cの両端部で加圧力が大きく増加するが、定着ニップ部Nの通紙方向Cの中央部で減少し、定着ニップ部Nの途中で相対的な圧力が低下してしまう。このような、定着ニップ部Nの始めの領域(ニップ入口)で加圧力が高い領域を通過したあとに、引き続きこれよりも加圧力の弱い領域が続く状態は、一般的に「圧抜け」と呼ばれる。
透気性が低いコート紙上のトナー画像を定着する場合、このような「圧抜け」が発生する。すると、定着ニップ部N内の空気や水蒸気が、この「圧抜け」部分に滞留し、部分的にコート紙と定着ローラの接触状態に隙間を生じさせるとともに、定着が完了していないトナー像を乱してしまう。それにより、トナー像がずれた状態で定着される「像ずれ」や定着ローラとコート紙の当接状態が不安定になることによって「光沢ムラ」を生じるなど、異常画像の原因となりやすい。
普通紙の場合は、透気性が大きいため、定着ニップ部N内の空気や水蒸気は通過して逃げてしまうので、「像ずれ」や「光沢ムラ」の発生は少ないと考えられる。
特許文献2の定着装置は、上記「圧抜け」の発生を抑えるようにしたものである。
図18は特許文献2の定着装置における定着ニップ部Nの圧力分布の様子を示したものである。
特許文献2の定着装置では、ベースプレート4bで弾性パッド4pをバックアップすることによって、定着ニップ部Nにおいて、分離ローラ11と加圧パッド4間の圧力分布の途中で相対的な圧力の低下がなく、「圧抜け」が防止されている。それにより、図18の加圧力分布に示すように、特許文献2の定着装置は、分離ローラ21と加圧パッド4の2つの部材を用いている。これにより、幅広の定着ニップ部Nを形成するとともに、定着ニップ部Nの入口から出口にかけて、「圧抜け」のない加圧力分布を構成している。
特許文献2の定着装置では、薄い記録材Pから厚い記録材Pまでの対応方法として、図17に示すように、加圧パッド4の定着ローラ1に対する圧接角度を可変させ、加圧力分布を可変させている。具体的には、薄紙モード時は、加圧力と定着ニップ部Nの幅を減らして、ホットオフセット対策をしている。厚紙モード時は、定着性維持(トナー層剥がれ防止)のため、加圧パッド4のニップ入口側を上げて、加圧力を増加させている。その各モードにおける定着ニップ部Nにおける加圧力分布を図18に示す。
図14の加圧力分布から、この特許文献2の定着装置の構成では、厚いコート紙を通紙した場合でも、定着ニップ部Nに「圧抜け」が生じず、「像ずれ」や「光沢ムラ」が発生しない。
これは、加圧パッド4の弾性部分が記録材Pの厚みにより変形し、定着ニップ部N内の定着ローラ1の弾性層1bが、定着ニップ部Nの全域に渡って均等に変形するからである。
一方、特許文献2の定着装置の構成で、厚い普通紙を使用した場合、厚紙モードで加圧力を増加させることで、定着性維持(トナー層剥がれ防止)が確保されているものの、紙の繊維の凹凸(地合い)の影響により、高い画像濃度を達成することが難しい。これは、厚紙モード時では、凹凸のある厚い普通紙を通紙すると、加圧パッド4による加圧力と加圧幅が大きいため、紙表面の繊維上に担持されたトナー画像が、紙の繊維に浸透しやすくなっているからである。つまり、紙表面の繊維上をトナー画像で均一に覆うことができなくなり、高い画像濃度を達成することが難しくなっている。
本発明の目的は、高速化に対応可能な幅の広いニップ幅を確保でき、薄い記録材から厚い記録材まで対応して、定着性維持(トナー層剥がれ防止)と高い画像濃度を達成でき、像ずれや光沢ムラの異常画像の発生を抑えるようにした定着装置を提供することにある。
上記目的を達成するための構成は、回転可能なローラと、エンドレスベルトと、前記ローラとともに前記エンドレスベルトを挟むことにより前記ローラと前記エンドレスベルトの外周面同士を互いに接触させてニップ部を形成する加圧部材と、前記ローラと前記エンドレスベルトのうちの1つを加熱する加熱手段と、を備え、前記ニップ部でトナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつトナー画像を記録材に加熱定着する定着装置において、前記加圧部材の前記ローラとの対向面を前記ローラの外周面に沿った湾曲面に形成するとともに前記湾曲面の曲率を前記ローラの曲率よりも大きくし、前記ニップ部は、前記加圧部材によるバックアップがない前記エンドレスベルトの領域を前記エンドレスベルトの弾性力のみで前記ローラに接触させることによって形成されているプレニップ部と、前記加圧部材によるバックアップがある前記エンドレスベルトの領域を前記ローラに当接させている加圧ニップ部とによって形成され、前記ニップ部は、前記プレニップ部から始まり、記録材搬送方向下流側に連続して前記加圧ニップ部が形成され、前記加圧部材は、前記加圧ニップ部が形成されている前記記録材搬送方向下流側を中心に回動自在であることを特徴とする。
本発明によれば、高速化に対応可能な幅の広いニップ幅を確保でき、薄い記録材から厚い記録材まで対応して、定着性維持(トナー層剥がれ防止)と高い画像濃度を達成でき、像ずれや光沢ムラの異常画像の発生を抑えるようにした定着装置の提供を実現できる。
本発明を図面に基づいて説明する。
[実施例1]
(1−1)画像形成装置例
図12は本発明に係る定着装置を搭載する画像形成装置の一例の構成模型図である。この画像形成装置は、電子写真画像形成方式を用いて記録材(例えば、記録材、OHPシート等)に画像を形成するレーザビームプリンタである。
本実施例1に示す画像形成装置100は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)101を有する。この感光ドラム101は、画像形成装置100の筐体を構成する画像形成装置本体100Aに回転自在に支持され、駆動手段(不図示)によって矢印方向へ所定のプロセススピードで回転駆動される。その感光ドラム101の周囲には、回転方向に沿って、帯電ローラ(帯電手段)102、レーザ露光装置(露光手段)103、現像装置(現像手段)105、転写ローラ(転写手段)106、クリーニング装置(クリーニング手段)107がその順に配設してある。
感光ドラム101の回転動作中において、感光ドラム101の外周面(表面)は帯電ローラ102により所定の電位及び極性に一様に帯電される。そしてその感光ドラム101表面に対しレーザ露光装置103から目的の画像情報に基づいたレーザLがミラー104等を介して走査露光される。これによりその露光部分の電荷が除去され、感光ドラム101表面に画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。その静電潜像は現像ローラ105aを有する現像装置105によりトナー(現像剤)を用いて現像される。即ち、現像装置105は現像ローラ105aに現像バイアスを印加し、感光ドラム101表面の静電潜像にトナーを付着させる。これによって静電潜像はトナー画像(現像像)として可視化(顕像化)される。
一方、所定のタイミングで給送ローラ109により給送カセット108から記録材Pが給送され、その記録材Pは搬送ローラ110によって感光ドラム101と転写ローラ106との間の転写ニップ部Tnへと搬送される。そしてその記録材Pは転写ニップ部Tnで挟持搬送され、その搬送過程において転写ローラ106に転写バイアスを印加する。これにより感光ドラム101表面のトナー画像が順次記録材Pの上に転写される。
転写ニップ部Tnでトナー画像を担持した記録材Pは感光ドラム101表面から分離し搬送ガイド111に沿って定着装置(定着器)112へ搬送される。定着装置112は記録材P上のトナー画像に熱と圧力を付与してトナー画像を記録材P上に加熱定着する。定着装置112を出た記録材Pは、搬送ローラ113により排出ローラ114に搬送され、その排出ローラ114により装置本体B上の排出トレイ115に排出される。
トナー画像転写後の感光ドラム101表面は、クリーニング装置107の有するクリーニングブレード107aにより転写残トナー等の付着物が除去され、次の画像形成に供される。
(1−2)定着装置
以下の説明において、定着装置又はその定着装置を構成している部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。
図1は本実施例1の定着装置112の一例の横断面模式図である。図2は本実施例1の定着装置112の加圧ベルト2の層構成を表わす説明図である。図3は本実施例1の定着装置112のプレニップ部N1と加圧ニップ部N2における定着ローラ1と加圧ベルト2の当接状態を表わす図である。
本実施例1に示す定着装置112は、回転可能なローラとしての定着ローラ1と、エンドレスベルトとしての加圧ベルト2と、加圧部材としての加圧パッド4と、加熱手段(加熱部材)としてのハロゲンヒータ5と、ベルト走行ガイド7などを備えている。定着ローラ1と、加圧ベルト2と、加圧パッド4と、ヒータ5と、ベルト走行ガイド7は、それぞれ、長手方向に細長い部材である。
(1−2−1)定着ローラの説明
定着ローラ1は、内径φ37.5mm、外径φ38.5mm、肉厚0.5mmの鉄からなる中空円筒体である芯金1aの長手方向両端部を除く外周面上に、弾性体層1bとしてシリコンゴムを肉厚0.5mmで形成している。そしてその弾性体層1bの外周面上に離型層1cを厚さ10〜50μm程度のPFA、PTFEなどのフッ素系樹脂層により被覆した構成の円筒状の部材である。この定着ローラ1の外径φは40mmである。定着ローラ1の芯金1aの内面は黒色に塗装がなされ、芯金1aの内部に配置されているヒータ5の輻射熱を吸収しやすくなっている。そしてこの定着ローラ1は芯金1aの長手方向両端部が定着装置112の装置フレーム(不図示)に軸受を介して回転自在に保持されている。
(1−2−2)加圧ベルトの説明
加圧ベルト2は、エンドレスベルト状の基層2aと、この基層2aの外周面上に離型層2bを設けた構成である。この加圧ベルト2は、基層2aの外周面において定着ローラ1の外周面(表面)と接する面に、離型層2bが形成されている。基層2aは、ニッケル、SUS等の金属製の電鋳ベルト或いはポリイミドなどの耐熱性樹脂から形成されている。基層2aの厚さは、金属製の電鋳ベルトの場合には厚さが50〜150μm程度、耐熱樹脂の場合には50〜300μm程度として、基層2aからなるベルト自体が適度な剛性を有する。離型層2bは、厚さ10〜50μm程度のPFA、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂層であり、チューブの被覆或いはコーティング等によって基層2aの外周面上に形成されている。そして加圧ベルト2は、加圧パッド4とベルト走行ガイド7に緩く外嵌されている。この加圧ベルト2の外径はφ45mmである。そして加圧ベルト2の長さは定着ローラ1とほぼ同じである。
(1−2−3)加圧パッド及びベルト走行ガイドの説明
加圧パッド4は、加圧ベルト2とほぼ同じ長さに形成され、加圧ベルト2を挟んで定着ローラ1に圧力を与えるように配置されている。この加圧パッド4は、加圧パッド4の紙搬送方向Cの出口側(記録材搬送方向下流側)に加圧パッド軸(回動中心軸)3を有する。そしてこの加圧パッド軸3を支点(中心)として回動自在である。加圧パッド軸3の長手方向両端部は装置フレームに軸受を介して回転自在に保持されている。加圧パッド4の材料として、熱伝導度が低く、かつ、定着ローラ1の弾性体層1bよりも硬い材料が用いられている。本実施例1では、加圧パッド4の材料として、耐熱性樹脂またはセラミックを用いている。
加圧パッド4の加圧ベルト2の内周面(内面)と接触する面(表面)には、10〜50μm程度のPFA、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂層が形成されている。これにより加圧パッド4表面と加圧ベルト2内面との摩擦抵抗を低減している。また、加圧パッド4表面と加圧ベルト2内面との摩擦抵抗を低減するために、加圧ベルト2内面に耐熱性を有するフッ素系グリース等の潤滑材を塗布してもよい。
加圧パッド4の定着ローラ1との対向面は、定着ローラ1の外周面に沿った湾曲面としてある。具体的には、加圧パッド4の湾曲面の曲率半径は、定着ローラ1の外周面の半径(20mm)よりも大きい35mmとしてある。
ベルト走行ガイド7は、加圧パッド4の下方で加圧パッド4と対向して配置されている。このベルト走行ガイド7の長手方向両端部は装置フレームに保持されている。そしてベルト走行ガイド7の加圧ベルト2内面と接触する面(表面)は、加圧ベルト2内面に沿った円弧状の面に形成してある。
加圧パッド4の紙搬送方向Cの入口側(記録材搬送方向上流側)は、加圧パッド4とベルト走行ガイド7との間に設けられているバネ8によって図1の矢印P2にて示す方向(紙搬送方向Cと直交する方向)に弱い力で加圧されている。これにより、後述の定着ニップ部(ニップ部)Nに通紙(導入)される記録材Pの厚み応じて、加圧パッド4の紙搬送方向Cの入口側の端部4aが加圧パッド軸3を支点として回動する。また、この加圧パッド軸3に対して定着ローラ1が、定着ローラ1の軸受と装置フレームとの間に設けられているバネ9によって図1の矢印P1にて示す方向(定着ローラ1及び加圧パッド軸3の回転中心線と直交する方向)に強い力で加圧されている。本実施例1においては、矢印P1方向の加圧力を約392N(40kgf)、矢印P2方向の加圧力を約49N(5kgf)となるように設定している。
(1−2−4)加圧ニップ部及びプレニップ部の説明
図1に示すように、加圧パッド4が矢印P2方向に加圧されるとともに定着ローラ1が矢印P1方向に加圧され、加圧ベルト2と定着ローラ1との接触(当接)により加圧ニップ部N2が形成される。すると、その加圧ニップ部N2の紙搬送方向Cの入口側端部から、加圧ベルト2は定着ローラ1表面と所定の範囲で接触する。これにより、加圧ベルト2は周方向に平衡を保つように適度に変形する。これによって、その加圧ベルト2の定着ローラ1表面と接触する領域にプレニップ部N1が形成される。従って、このプレニップ部N1内におけるニップ圧は、加圧ベルト2が加圧ベルト2の剛性に抗して定着ローラ1表面と接触する、加圧ベルト2の弾性の力(弾性力)によるものである。つまり、プレニップ部N1内におけるニップ圧は、加圧ベルト2の基層2aの有する剛性及び可撓性に依存して定着ローラ1表面と接触しようとする加圧ベルト2自身の復元力によるものである。従って、加圧ニップ部N2は、加圧パッド4によるバックアップがある加圧ベルト2の領域を定着ローラ1表面に接触(当接)させることによって形成されている。これに対してプレニップ部N1は、加圧パッド4によるバックアップがない加圧ベルト2の領域を加圧ベルト2の弾性力のみで定着ローラ1表面に接触させることによって形成されている。本実施例1では、プレニップ部N1の幅は約9mmに、加圧ニップ部N2の幅は約7mmに、それぞれ設定している。
このようにして形成されるプレニップ部N1は、可撓性を有し変形する加圧ベルト2と円筒状の定着ローラ1の接触によって形成される。そのため、プレニップ部N1の範囲内においてその圧力分布はほぼ均一であり、安定した接触状態を維持することが可能になっている。さらにこのプレニップ部N1は、加圧パッド4によるバックアップがある加圧ベルト2の領域を定着ローラ1表面に接触させることによって形成される加圧ニップ部N2と連続して形成される。そのため、記録材Pを挟持搬送する際に、記録材Pと定着ローラ1及び加圧ベルト2との密着性が、プレニップ部N1と加圧ニップ部N2を含めたトータルニップ内すなわち定着ニップ部N内において維持されている。つまり、定着ニップ部Nは、プレニップ部N1から始まり、紙搬送方向Cの出口側に連続して加圧ニップ部N2が形成されている。そしてその定着ニップ部Nは、加圧パッド4によって定着ローラ1と加圧ベルト2の外周面同士を接触させることにより形成されている。
(1−2−5)定着装置の加熱定着動作の説明
定着ローラ1の芯金1aの長手方向一端部に設けられている駆動ギア(図示せず)が定着モータ(図示せず)により回転駆動されることによって、定着ローラ1は所定の周速度にて矢印A方向に回転される(図1)。定着ローラ1が回転すると、加圧ニップ部N2においてその定着ローラ1の回転が加圧ベルト2に伝達され、加圧ベルト2は定着ローラ1の回転に追従して矢印B方向に回転する。本実施例1のように加圧ベルト2は、加圧ベルト2の基層1aが剛性及び可撓性を有する。従って、加圧ベルト2は、定着ローラ1表面とプレニップ部N1を形成した状態を維持しながら回転する。
ヒータ5には、定着ローラ1の回転と前後して、或いはこれと同時に、通電制御手段としての通電制御部120(図1)により通電を行う。これによりヒータ5が発熱し、そのヒータ5によって回転動作中の定着ローラ1を加熱する。その定着ローラ1の熱は加圧ニップ部N2及びプレニップ部N1を通じて回転動作中の加圧ベルト2に伝わり、加圧ベルト2が加熱される。定着ローラ1の熱は定着ローラ1の表面側に設けられている温度検知部材としての温度検知素子6(図1)により検知され、その温度検知素子6からの出力信号に基づいて通電制御部120がヒータ5に通電する電力を制御して、ヒータ5の温度制御を行う。即ち、通電制御部120は、定着ローラ1表面が所定の定着温度(目標温度)180℃を維持するように温度検知素子6からの出力信号に基づいてヒータ5への通電を制御する。
上記のように定着ローラ1及び加圧ベルト2の回転とヒータ5への通電を行わせた状態において、トナー画像Tを担持する記録材Pがプレニップ部N1にトナー画像担持面を上向きにして通紙される。
その記録材Pは、プレニップ部N1において、定着ローラ1と加圧ベルト2とにより、定着ローラ1と加圧ベルト2の弾性(復元力)によって弱く均一に挟持されその状態に搬送される。
同時に、予熱されている定着ローラ1及び加圧ベルト2によって、記録材Pは定着ローラ1側のトナー画像担持面と加圧ベルト2側のトナー画像非担持面の両面から予熱される。このプレニップ部N1は、図3に示されるように定着ローラ1と加圧ベルト2の接触のみで形成されているため、定着ローラ1及び加圧ベルト2が保持している熱を記録材Pに対して効率よく伝達できるという利点がある。
このように記録材Pは定着ローラ1と加圧ベルト2の弾性により定着ローラ1表面と加圧ベルト2表面とによって挟持されることから、記録材P面は全域に渡って均一に加圧され、且つ均一に予熱される。
記録材Pに担持されたトナー画像Tは、プレニップ部N1において所定の定着温度に十分加熱され、引き続き加圧ニップ部N2で定着ローラ1表面と加圧ベルト2表面とにより挟持搬送されながら加圧される。これにより、記録材Pに担持されたトナー画像Tは、十分な定着性、光沢度(グロス)を有する定着画像として記録材P面に加熱定着される。つまり、プレニップ部N1でトナー画像Tが十分に溶融する時間を確保してから加圧ニップ部N2でトナー画像Tを加圧定着する温度分布と圧力分布をプレニップ部N1と加圧ニップ部N2とにより得ることができる。これにより、トナー画像Tの定着不良、ブリスター、オフセット等の発生を大幅に低減できる。
そしてその記録材Pは加圧ニップ部N2から排出される。
(1−2−6)記録材通紙時のプレニップ部と加圧ニップ部の説明
図4は本実施例1の定着装置112の定着ニップ部Nに薄い記録材(例えば坪量75g/mの普通紙)Pを通紙したときの定着ローラ1と加圧ベルト2と加圧パッド4を表わす模式図である。図5は本実施例1の定着装置112の定着ニップ部Nに厚い記録材(例えば坪量220g/mの普通紙)Pを通紙したときの定着ローラ1と加圧ベルト2と加圧パッド4を表わす模式図である。
薄い記録材Pが定着ニップ部Nに通紙された際は、加圧パッド4は加圧ニップ部N2が形成されている紙搬送方向Cの出口側に設けられている加圧パッド軸3を支点として、加圧パッド4の紙搬送方向の入口側の端部4aが、下方向に所定量回動する(図4)。即ち、トナー画像Tを担持する薄い記録材Pを定着ニップ部Nに通紙する場合、その薄い記録材Pの紙搬送方向の先端がプレニップ部N1の紙搬送方向の入口側で定着ローラ1と加圧ベルト2により挟持される。そしてその薄い記録材Pは定着ローラ1と加圧ベルト2の回転によってプレニップ部N1から加圧ニップ部N2に向けて挟持搬送され、その搬送過程で薄い記録材Pの厚みに応じた量だけ加圧ベルト2を加圧パッド4表面側に押し出す。加圧ベルト2内面と加圧パッド4表面はプレニップ部N1で非接触であり、加圧パッド4表面は湾曲面に形成されている。そのため、その薄い記録材Pの先端が加圧ニップ部N2に近づくに従って加圧ベルト2の加圧パッド4表面側への押出し量が徐々に大きくなり、加圧ベルト2内面が加圧パッド4表面と接触する。すると、加圧ベルト2は、加圧パッド軸3を支点として加圧パッド4の紙搬送方向の入口側の端部4aをバネ8の加圧力P2に抗して下方向に加圧ベルト2の押出し量に応じた所定の量だけ回動させる。従って、加圧パッド4は、定着ニップ部Nで薄い記録材Pを挟持搬送するとき、加圧パッド軸3を支点として紙搬送方向の入口側の端部4aが、その記録材Pの厚みによって回動する。それにより、定着ニップ部Nへの記録材Pの通紙時(導入時)と非通紙時(非導入時)で定着ニップ部Nにおけるプレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅は一定に保たれる。
一方、図5に示すように、厚い記録材が定着ニップ部に通紙された際は、定着ニップ部に通紙される記録材の厚みが大きいので、加圧パッド4の紙搬送方向の入口側が、薄い記録材と比べて下方向に大きく回動する。即ち、トナー画像Tを担持する厚い記録材Pを定着ニップ部Nに通紙する場合、その厚い記録材Pの紙搬送方向の先端がプレニップ部N1の紙搬送方向の入口側で定着ローラ1と加圧ベルト2により挟持される。そしてその厚い記録材Pは定着ローラ1と加圧ベルト2の回転によってプレニップ部N1から加圧ニップ部N2に向けて挟持搬送され、その搬送過程で厚い記録材Pの厚みに応じた量だけ加圧ベルト2を加圧パッド4表面側に押し出す。上述の通り、加圧ベルト2内面と加圧パッド4表面はプレニップ部N1で非接触であり、加圧パッド4表面は湾曲面に形成されている。そのため、その厚い記録材Pの先端が加圧ニップ部N2に近づくに従って加圧ベルト2の加圧パッド4表面側への押出し量が徐々に大きくなり、加圧ベルト2内面が加圧パッド4表面と接触する。すると、加圧ベルト2は、加圧パッド軸3を支点として加圧パッド4の紙搬送方向の入口側をバネ8の加圧力P2に抗して下方向に加圧ベルト2の押出し量に応じた所定の量だけ回動させる。従って、加圧パッド4は、定着ニップ部Nで厚い記録材Pを挟持搬送するとき、加圧パッド軸3を支点として紙搬送方向の入口側の端部4aが、その記録材Pの厚みによって回動する。それにより、厚い記録材Pでも、定着ニップ部Nに通紙される記録材Pの厚みによる定着ニップ部Nの加圧力と加圧幅の増加が低減され、定着ニップ部Nにおけるプレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅は、薄い記録材Pとほぼ同じになる。
(1−2−7)定着ニップ部の圧力分布の説明
図6は本実施例1の定着装置112の定着ニップ部Nの圧力分布を表わす説明図である。
定着ニップ部Nにおける圧力分布についてニッタ(株)製の圧力分布測定システムPINCHを用いて測定を行った。図6に示すように、3つの状態の圧力分布を示しており、圧力センサーのみを挟んだ状態、圧力センサーと薄い記録材(坪量75g/mの普通紙)を挟んだ状態、圧力センサーと厚い記録材(坪量220g/mの普通紙)を挟んだ状態とを比較している。
本実施例1の定着装置112は、加圧ニップ部N2において見られる定着ローラ1と加圧パッド4との圧接による加圧力ピークに対して、プレニップ部N1での圧力分布は加圧ニップ部N2の加圧力に比べて非常に低いのが特徴である。プレニップ部N1での圧力分布が低い理由は、加圧ベルト2の弾性(復元力)の力のみで加圧ベルト2が定着ローラ1に当接していることによる。それにより、定着ニップ部N全域に渡って定着ニップ部Nの途中で、相対的な圧力低下が発生しない構成になっている。
薄い記録材Pを挟んだ状態での定着ニップ部Nの圧力分布は、圧力センサーのみを挟んだ状態と比べて、その薄い記録材Pの厚みにより、加圧ニップ部N2の加圧力が大きくなっている。薄い記録材Pが定着ニップ部Nに通紙された場合、加圧パッド4の紙搬送方向の入口側が下方向に所定量回動して加圧パッド4の位置が調節されるため、定着ニップ部Nにおけるプレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅はほぼ等しくなる。それにより、通紙時と非通紙時で定着ニップ部Nにおけるプレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅はほぼ一定に保たれる。
また、厚い記録材Pを挟んだ状態での定着ニップ部の圧力分布は、薄い記録材を挟んだ状態と比べて、その厚い記録材Pの厚みにより、加圧力が増加し、加圧ニップ部N2の加圧力が大きくなっている。厚い記録材Pが定着ニップ部Nに通紙された場合も、加圧パッド4の紙搬送方向の入口側が下方向に所定量回動して加圧パッド4の位置が調節される。そのため、定着ニップ部Nにおけるプレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅は、薄い記録材Pを挟んだ状態とほぼ等しくなる。
[実施例2]
定着装置の他の例を説明する。
本実施例2では、実施例1の定着装置112と共通する部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。実施例3についても同様とする。
図7は本実施例2の定着装置112の横断面模式図である。
本実施例2に示す定着装置112は、前述のバネ8に代えて、定着ニップ部Nで挟持搬送される記録材Pの種類と坪量に応じて、加圧パッド4の回動を行うための駆動機構(駆動手段)Mを用いた点を除いて、実施例1の定着装置112と同じ構成としてある。
本実施例2の定着装置112によれば、記録材Pの種類と坪量によらず、プレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅がほぼ一定に保たれるようになる。
(2−1)駆動機構の説明
駆動機構Mは、被駆動ギア10と、駆動ギア11と、駆動源としての加圧パッドモータ12などを有する。被駆動ギア10は、加圧パッド軸3の長手方向端部に設けられている。この被駆動ギア10には、加圧パッドモータ12の出力軸に設けられている駆動ギア11が噛み合っている。加圧パッドモータ12は、装置フレームに固定されている。この加圧パッドモータ12は、画像形成装置全体の制御を行う制御手段としてのMPU(マイクロプロセッサユニット)130によって駆動制御される。
MPU130は、定着ニップ部Nに通紙する記録材Pの種類を、画像形成装置に設けられているユーザー操作部からの記録材指定情報或いはメディアセンサーの記録材検知情報や、パーソナルコンピュータからの外部入力により得る。そしてその記録材Pの種類に基づいて、その指定された記録材Pの種類と対応する記録材Pの坪量を所定のテーブル等を用いて求める。そしてMPU130は、その坪量に基づいて、その指定された記録材Pに画像形成を行うためのモードを実行する。例えば、記録材Pとして、坪量75g/mの普通紙が指定された場合には、普通紙の坪量のテーブルに基づいて、中心設定時を実行する。記録材Pとして、坪量220g/mの普通紙が指定された場合には、普通紙の坪量のテーブルに基づいて、厚紙モードを実行する。本実施例2では、記録材Pとして普通紙及びコート紙が使用された場合、中心設定時は、坪量150g/m以下の時に適用され、厚紙モードは、坪量150g/mよりも大きい時に適用される。
図8は中心設定時において薄い記録材(例えば坪量75g/mの普通紙)Pを定着ニップ部Nに通紙したときの定着ローラ1と加圧ベルト2と加圧パッド4を表わす模式図である。図9は厚紙モードにおいて厚い記録材(例えば坪量220g/mの普通紙)Pを定着ニップ部Nに通紙したときの定着ローラ1と加圧ベルト2と加圧パッド4を表わす模式図である。
本実施例2の定着装置112では、MPU130が中心設定時時を実行したときの加圧パッド4の位置をホームポジションに設定している(図8参照)。MPU130が厚紙モードを実行する場合、MPU130は加圧パッドモータ12を駆動して加圧パッドモータ12の出力軸を所定量回転させた後に加圧パッドモータ12の駆動を停止する。加圧パッドモータ12の出力軸の回転は駆動ギア11及び被駆動ギア10を介して加圧パッド軸3に伝達され、その加圧パッド軸3の回転により加圧パッド4の紙搬送方向Cの入口側の端部4aが、加圧パッド4のホームポジションから下方向に約4°回動される。これにより、定着ニップ部Nにおけるプレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅は、薄い記録材Pを挟んだ状態とほぼ等しくなる。それにより、記録材Pの厚みによらず、定着ニップ部Nにおけるプレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅は、ほぼ一定に保たれる。
また、本実施例2の定着装置112においても、定着ニップ部Nにおける圧力分布についてニッタ(株)製の圧力分布測定システムPINCHを用いて測定を行った。
中心設定時において圧力センサーと薄い記録材(坪量75g/mの普通紙)Pを挟んだ状態の定着ニップ部Nの加圧力分布は、実施例1の定着装置において圧力センサーと薄い記録材を挟んだ状態の定着ニップ部の加圧力分布(図6参照)と同じであった。厚紙モードにおいて圧力センサーと厚い記録材(坪量220g/mの普通紙)Pを挟んだ状態の定着ニップ部Nの加圧力分布は、実施例1の定着装置において圧力センサーと厚い記録材を挟んだ状態の定着ニップ部Nの加圧力分布(図6参照)と同じであった。
[実施例3]
定着装置の他の例を説明する。
本実施例に示す定着装置112は、電磁誘導加熱方式の定着装置である。
図10は本実施例3の定着装置112の横断面模式図である。図11は本実施例3の定着装置112の定着ベルト13の層構成を表わす説明図である。
本実施例3の定着装置112は、エンドレスベルトとしての定着ベルト13と、ローラとしての加圧ローラ14と、加圧部材としての加圧パッド4と、加熱する手段としての磁束発生手段15と、ベルト走行ガイド7などを備えている。定着ベルト13と、加圧ローラ14と、コイルユニット15と、加圧パッド4と、ベルト走行ガイド7は、それぞれ、長手方向に細長い部材である。
(3−1)定着ベルトの説明
定着ベルト13は、電磁誘導発熱層としての磁性金属材料からなるエンドレスベルト状の金属層(基層)13aと、金属層13aの外周面上に積層されたシリコンゴムの弾性体層13bと、弾性体層13bの外周面上に積層された離型層13cなどを備えている。この定着ベルト13の外径はφ45mmである。そしてその定着ベルト13は、加圧パッド4とベルト走行ガイド7に緩く外嵌されていて、金属層13a自体が適度な剛性を有する。
金属層13aは、厚み50μmのエンドレスベルト状のニッケル層により形成された電気良導電性材料からなり、磁束発生手段15の後述するコイル15cからの発生磁束によって生じる渦電流損により発熱する。弾性体層13bは、未定着のカラー画像を定着するときに良好な定着画像を得ることを考慮して、300μmの厚みのシリコンゴム層を用いている。離型層13cは、厚さ10〜50μm程度のPFA、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂層であり、チューブの被覆或いはコーティング等によって弾性体層13bの外周面上に形成されている。
本実施例3では、加圧パッド4表面及びベルト走行ガイド7表面と接触する定着ベルト13の金属層13aの内周面(内面)に加圧パッド4表面及びベルト走行ガイド7表面との摺動性を向上させるためのコート層13dを設けている。このコート層13dとして、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等に代表される耐熱性の高い樹脂を金属層13a内面にコートしている。この定着ベルト13の外径はφ45mmである。そして定着ベルト13の長さは加圧ローラ14とほぼ同じである。
(3−2)磁束発生手段の説明
磁束発生手段15は、誘導加熱部筐体15aと、磁性体コア(以下、コアと略記する)15bと、誘導加熱コイル(以下、コイルと略記する)10cと、を備えている。コア15bは、例えば、フェライトコアや積層コアから形成されている。コア15bの長さは定着ベルト13の長さとほぼ等しい。コイル15cは、例えば、表面に融着層と絶縁層とを持つ銅線が複数回巻かれて横長・扁平のシート状で、かつ渦巻き状に形成されている。そしてコイル15cは、コア15bを覆うようにコア15bの長手方向に配設されている。
誘導加熱部筐体15aは、電気絶縁性の樹脂により形成されており、コイル15cとコア15bを収納した横長・薄板状の部材である。誘導加熱部筐体15a内において、コア15bは、定着ベルト13の外周面(表面)の対向領域面以外に磁束が漏れることのないように配置されている。この誘導加熱部筐体15aは、定着ベルト13表面に沿った横断面円弧状に形成され、定着ベルト13表面に対して所定の距離だけ離した状態で近接配置されている。そしてこの誘導加熱部筐体15aの長手方向両端部が装置フレームに保持されている。
(3−3)加圧ローラの説明
加圧ローラ14は、φ30のSUS製の芯金14aの外周面上に厚さ5mmのシリコンゴム層からなる弾性体層14bを設け、その弾性体層14bの外周面に離型層14cとして厚さ10〜50μm程度のフッ素系樹脂層を被覆してなる弾性ローラである。フッ素系樹脂層の材料としてPFA、PTFEなどを用いている。この加圧ローラ14の外径はφ40mmである。
(3−4)加圧パッド及びベルト走行ガイドの説明
加圧パッド4は、定着ベルト13とほぼ同じ長さに形成され、定着ベルト13を挟んで加圧ローラ14に圧力を与えるように配置されている。この加圧パッド4は、加圧パッド4の紙搬送方向Cの出口側(記録材搬送方向下流側)に加圧パッド軸(回動中心軸)3を有する。そしてこの加圧パッド軸3を支点として回動するようになっている。
加圧パッド4の定着ベルト13の内周面(内面)と接触する面(表面)には、10〜50μm程度のPFA、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂層が形成されている。これにより加圧パッド4表面と定着ベルト13内面との摩擦抵抗を低減している。また、加圧パッド4表面と定着ベルト13内面との摩擦抵抗を低減するために、加圧ベルト2内面に耐熱性を有するフッ素系グリース等の潤滑材を塗布してもよい。
加圧パッド4の定着ベルト13との対向面は、定着ベルト13の外周面に沿った湾曲面としてある。具体的には、加圧パッド4の湾曲面の曲率半径は、定着ローラ1の外周面の半径(20mm)よりも大きい35mmとしてある。
ベルト走行ガイド7は、加圧パッド4の上方で加圧パッド4と対向して配置されている。そしてベルト走行ガイド7の定着ベルト13内面と接触する面(表面)は、定着ベルト13内面に沿った円弧状の面に形成してある。
加圧パッド4の紙搬送方向Cの入口側(記録材搬送方向上流側)は、加圧パッド4とベルト走行ガイド7との間に設けられているバネ8によって図10の矢印P2にて示す方向(紙搬送方向Cと直交する方向)に弱い力で加圧されている。これにより、後述の定着ニップ部(ニップ部)Nに通紙(導入)される記録材Pの厚み応じて、加圧パッド4の紙搬送方向Cの入口側の端部4aが加圧パッド軸3を支点として回動する。また、この加圧パッド軸3に対して加圧ローラ14が、加圧ローラ14の軸受と装置フレームとの間に設けられているバネ9によって図10の矢印P1にて示す方向(加圧ローラ14及び加圧パッド軸3の回転中心線と直交する方向)に強い力で加圧されている。本実施例3においては、矢印P1方向の加圧力を約392N(40kgf)、矢印P2方向の加圧力を約49N(5kgf)となるように設定している。
(3−5)加圧ニップ部及びプレニップ部の説明
図10に示すように、加圧パッド4が矢印P2方向に加圧されるとともに加圧ローラ14が矢印P1方向に加圧され、定着ベルト13と加圧ローラ14との接触(当接)により加圧ニップ部N2が形成される。すると、その加圧ニップ部N2の紙搬送方向Cの入口側端部から、定着ベルト13は加圧ローラ14表面と所定の範囲で接触する。これにより、定着ベルト13は周方向に平衡を保つように適度に変形する。これによって、その定着ベルト13の加圧ローラ14表面と接触する領域にプレニップ部N1が形成される。従って、このプレニップ部N1内におけるニップ圧は、定着ベルト13が加圧ローラ14の剛性に抗して加圧ローラ14表面と接触する、定着ベルト13の弾性の力(弾性力)によるものである。つまり、プレニップ部N1内におけるニップ圧は、定着ベルト13の金属層13aの有する剛性及び可撓性に依存して加圧ローラ14表面と接触しようとする定着ベルト13自身の復元力によるものである。従って、加圧ニップ部N2は、加圧パッド4によるバックアップがある定着ベルト13の領域を加圧ローラ14表面に接触(当接)させることによって形成されている。これに対してプレニップ部N1は、加圧パッド4によるバックアップがない定着ベルト13の領域を定着ベルト13の弾性力のみで加圧ローラ14表面に接触させることによって形成されている。
このようにして形成されるプレニップ部N1は、可撓性を有し変形する定着ベルト13と円筒状の加圧ローラ14の接触によって形成される。そのため、プレニップ部N1の範囲内においてその圧力分布はほぼ均一であり、安定した接触状態を維持することが可能になっている。さらにこのプレニップ部N1は、加圧パッド4によるバックアップがある定着ベルト13の領域を加圧ローラ14表面に接触させることによって形成される加圧ニップ部N2と連続して形成される。そのため、記録材Pを挟持搬送する際に、記録材Pと加圧ローラ14及び定着ベルト13との密着性が、プレニップ部N1と加圧ニップ部N2を含めたトータルニップ内すなわち定着ニップ部N内において維持されている。つまり、定着ニップ部Nは、プレニップ部N1から始まり、紙搬送方向Cの出口側に連続して加圧ニップ部N2が形成されている。
(3−6)定着装置の加熱定着動作の説明
加圧ローラ14の芯金14aの長手方向一端部に設けられている駆動ギア(図示せず)が定着モータ(図示せず)により回転駆動されることによって、加圧ローラ14は所定の周速度にて矢印B方向に回転される(図10)。加圧ローラ14が回転すると、加圧ニップ部N2においてその加圧ローラ14の回転が定着ベルト13に伝達され、定着ベルト13は加圧ローラ14の回転に追従して矢印A方向に回転する。本実施例3のように定着ベルト13は、定着ベルト13の金属層13aが剛性及び可撓性を有する。従って、定着ベルト13は、加圧ローラ14表面とプレニップ部N1を形成した状態を維持しながら回転する。
定着ローラ1の回転と前後して、或いはこれと同時に、通電制御部120によって制御される不図示の励磁回路からコイル15cに10k〜1MHzの交番電流を流すことによって金属製の定着ベルト13の金属層13aを誘導加熱している。すなわち、コイル15cに対する通電により、定着ベルト13に供給される磁束が発生する。この磁束は、誘導加熱部筐体15aと定着ベルト13との対向領域部において、定着ベルト13の金属層13aに吸収され、渦状の誘導電流が発生し、該金属層13aがその固有抵抗により発熱する。金属層13aの発熱は定着ベルト13表面及び内面に伝わる。そして定着ベルト13の熱は加圧ニップ部N2及びプレニップ部N1を通じて回転動作中の加圧ローラ14に伝わり、加圧ローラ14が加熱される。定着ベルト13の熱は定着ベルト13の表面側に設けられている温度検知素子6(図10)により検知され、その温度検知素子6からの出力信号に基づいて通電制御部120が励磁回路を制御することにより、定着ベルト13の温度制御を行う。即ち、通電制御部120は、定着ベルト13表面が所定の定着温度(目標温度)180℃を維持するように温度検知素子6からの出力信号に基づいて励磁回路からコイル15cへの交番電流の通電を制御する。
上記のように定着ベルト13及び加圧ローラ14の回転とコイル15cへの通電を行わせた状態において、トナー画像Tを担持する記録材Pがプレニップ部N1にトナー画像担持面を上向きにして通紙される。
その記録材Pは、プレニップ部N1において、定着ベルト13と加圧ローラ14とにより、加圧ローラ14と定着ベルト13の弾性(復元力)によって弱く均一に挟持されその状態に搬送される。
同時に、予熱されている定着ベルト13及び加圧ローラ14によって、記録材Pは定着ベルト13側のトナー画像担持面と加圧ローラ14側のトナー画像非担持面の両面から予熱される。このプレニップ部N1は、図10に示されるように定着ベルト13と加圧ローラ14の接触のみで形成されているため、定着ベルト13及び加圧ローラ14が保持している熱を記録材Pに対して効率よく伝達できるという利点がある。
このように記録材Pは加圧ローラ14と定着ベルト13の弾性により定着ベルト13表面と加圧ローラ14表面とによって挟持されることから、記録材P面は全域に渡って均一に加圧され、且つ均一に予熱される。
記録材Pに担持されたトナー画像Tは、プレニップ部N1において所定の定着温度に十分加熱され、引き続き加圧ニップ部N2で定着ベルト13表面と加圧ローラ14表面とにより挟持搬送されながら加圧される。これにより、記録材Pに担持されたトナー画像Tは、十分な定着性、光沢度(グロス)を有する定着画像として記録材P面に加熱定着される。つまり、プレニップ部N1でトナー画像Tが十分に溶融する時間を確保してから加圧ニップ部N2でトナー画像Tを加圧定着する温度分布と圧力分布をプレニップ部N1と加圧ニップ部N2とにより得ることができる。これにより、トナー画像Tの定着不良、ブリスター、オフセット等の発生を大幅に低減できる。
そしてその記録材Pは加圧ニップ部N2から排出される。
本実施例3の定着装置112のように誘導加熱方式によって定着ベルト13を直接加熱させる方式は、被加熱体が定着ベルト13のみであるので、ウォームアップ時間を大幅に短縮することが可能になった。
本実施例3の定着装置112においても、定着ニップ部Nにおける圧力分布についてニッタ(株)製の圧力分布測定システムPINCHを用いて測定を行った。
圧力センサーと薄い記録材(坪量75g/mの普通紙)Pを挟んだ状態の定着ニップ部Nの加圧力分布は、実施例1の定着装置において圧力センサーと薄い記録材を挟んだ状態の定着ニップ部の加圧力分布(図6参照)と同じであった。圧力センサーと厚い記録材(坪量220g/mの普通紙)Pを挟んだ状態の定着ニップ部Nの加圧力分布は、実施例1の定着装置において圧力センサーと厚い記録材を挟んだ状態の定着ニップ部Nの加圧力分布(図6参照)と同じであった。
[実験例]
実施例1〜3及び比較例1〜2の各定着装置で、以下のトナー画像サンプルを出力し、光沢ムラ評価及び濃度評価を行なった。
記録材Pの上にブラックトナーを、のり量が0.45±0.01mg/cm
になるように、未定着のトナー画像サンプルを作成した。そして、定着ローラ1または定着ベルト13の表面温度が180℃になるように温調後、その未定着のトナー画像サンプルをプロセススピード300mm/secで、上記の各定着装置の定着ニップ部Nに通紙させて、トナー画像を記録材上に加熱定着させた。
図13に示す比較例1の従来の定着装置は、各実施例1〜3の定着装置112と定着ニップ部Nの幅が同じになるように構成したものである。
図17に示す比較例2の従来の他の定着装置は、記録材Pの種類と記録紙Pの坪量に応じて、薄紙モードと中心設定時と厚紙モードの何れかを実行するとともに、その薄紙モードと中心設定時と厚紙モードの加圧力分布を可変するように構成したものである。図17に示すように、厚紙モードは、加圧パッド4を反時計回りに回転させて定着ニップ部Nの紙搬送方向Cの入口側の加圧力をより高くしているが、厚紙モードの時の定着ニップ部Nの幅は中心設定時の定着ニップ部Nの幅とほぼ同じである(図18)。記録材Pとして普通紙またはコート紙が使用された場合、薄紙モードは、坪量70g/mよりも小さい時に適用される。中心設定時は、坪量70g/m以上でかつ坪量150g/m以下の時に適用される。厚紙モードは、坪量150g/mよりも大きい時に適用される。
比較例2の定着装置における厚紙モードの時の加圧パッド4の動作は、実施例2の定着装置112における加圧パッド4の動作と逆である。比較例2の定着装置においても、中心設定時および厚紙モードの時の定着ニップ部Nの幅は、各実施例1〜3の定着装置112と同じになるようにしている。
〔トナー画像の光沢ムラ評価〕
上記の定着条件で以下のトナー画像の光沢ムラ評価を行なった。光沢ムラ評価には、記録材Pとして、坪量80g/m、148g/mと300g/mのA4サイズのコート紙を用いて、加熱定着後のトナー画像の光沢ムラを目視で評価した。光沢ムラの発生状況は表1のような結果になった。
〔評価基準〕
〇:光沢ムラが発生しない。
×:光沢ムラが発生する。
表1の結果より、実施例1〜3と比較例2の定着装置では、上記の3種のコート紙において光沢ムラは発生していないが、比較例1の定着装置では、300g/mの厚いコート紙で、光沢ムラが発生している。
これは、比較例1の定着装置では、300g/mの厚いコート紙を通紙した場合、「圧抜け」が発生しているためである。比較例1以外の定着装置の構成では、上記の3種のコート紙で光沢ムラは発生しなかった。
〔トナー画像の濃度評価〕
上記の定着条件で以下のトナー画像の濃度評価を行なった。
濃度評価には、記録材Pとして、坪量75g/m、150g/m、220g/m、300g/mのA4サイズの普通紙を用いて、未定着のトナー画像サンプルを10枚連続で、定着装置の定着ニップ部Nに通紙した。そしてその10枚の普通紙に加熱定着されたトナー画像の反射濃度を測定し、それらの平均を求めて評価したものである。画像濃度の評価には、X−Rite(X−Rite社製)を使用した。
下記基準により画像濃度を評価したところ、表2のような結果になった。○以上が実用上問題ない。
〔評価基準〕
◎:反射濃度が、1.5以上である。
〇:反射濃度が、1.4以上1.5未満である。
△:反射濃度が、1.2以上1.4未満である。
×:反射濃度が、1.2未満である。
表2の結果より、比較例1の定着装置では、75g/mと150g/mの普通紙で、やや反射濃度が低く、220g/mと300g/mの普通紙では、反射濃度が大きく低下している。これは、比較例1の従来の定着装置では、定着ニップ部N内でトナー画像が、加圧されている時間が長く、過剰に加圧されている。そのため、紙表面の繊維上のトナーが繊維に浸透して、繊維の表面が現れることで、濃度低下が発生している。
また、比較例2の定着装置では、220g/mと300g/mの普通紙で、実用上問題ないレベルではあるが、実施例1〜3の定着装置112と比べて、やや反射濃度が低い。これは、比較例2の定着装置では、厚い普通紙を使用した場合、厚紙モードで加圧力を増加させているため、実施例1〜3の定着装置112と比べて、定着ニップ部N内でトナー画像にやや大きな加圧力がかかる。そのため部分的にトナーが繊維に浸透し、繊維の表面が現れて、やや画像濃度が低下している。
実施例1〜3の定着装置112では、トナー画像の紙の繊維への浸透が改善され、反射濃度が高くなっている。これは、実施例1〜3の定着装置112では、厚い記録材Pが定着ニップ部Nに通紙された時と薄い記録材Pが定着ニップ部Nに通紙された時とで、定着ニップ部Nにおけるプレニップ部N1の幅と加圧ニップ部N2の幅が一定に保たれている(図6)。そのため、定着ニップ部N内で、記録材Pの厚みが変っても、各記録材上のトナー画像に最適な熱量と加圧力を与えているからである。
従って、実施例1〜3の定着装置によれば、高速化に対応可能な幅の広いニップ幅を確保でき、薄い記録材から厚い記録材まで対応して、定着性維持(トナー層剥がれ防止)と高い画像濃度を達成でき、像ずれや光沢ムラの異常画像の発生を抑えることができる。
実施例1の定着装置の一例の横断面模式図である。 実施例1の定着装置の加圧ベルトの層構成を表わす説明図である。 実施例1の定着装置のプレニップ部と加圧ニップ部における定着ローラと加圧ベルトの当接状態を表わす図である。 実施例1の定着装置の定着ニップ部に薄い記録材を通紙したときの定着ローラと加圧ベルトと加圧パッドを表わす模式図である。 実施例1の定着装置の定着ニップ部に厚い記録材を通紙したときの定着ローラと加圧ベルトと加圧パッドを表わす模式図である。 実施例1の定着装置の定着ニップ部の圧力分布を表わす説明図である。 実施例2の定着装置の横断面模式図である。 実施例2の定着装置の中心設定時において薄い記録材を定着ニップ部に通紙したときの定着ローラと加圧ベルトと加圧パッドを表わす模式図である。 実施例2の定着装置の厚紙モードにおいて厚い記録材を定着ニップ部に通紙したときの定着ローラと加圧ベルトと加圧パッドを表わす模式図である。 実施例3の定着装置の横断面模式図である。 実施例3の定着装置の定着ベルトの層構成を表わす説明図である。 画像形成装置の一例の構成模型図である。 従来の定着装置(比較例1)の構成を表わす横断面模式図である。 従来の定着装置(比較例1)の定着ニップ部に薄いコート紙を通紙した状態を表わす説明図である。 従来の定着装置(比較例1)の定着ニップ部に厚いコート紙を通紙した状態を表わす説明図である。 従来の定着装置(比較例1)における定着ニップ部の圧力分布の様子を表わす説明図である。 従来の他の定着装置(比較例2)の構成を表わす横断面模式図である。 従来の他の定着装置(比較例2)における定着ニップ部の圧力分布の様子を表わす説明図である。
1 定着ローラ、2 加圧ベルト、3 加圧パッド軸、4 加圧パッド、5 ハロゲンヒータ、13 定着ベルト、14 加圧ローラ、15 磁束発生手段、N 定着ニップ部、N1 プレニップ部、N2 加圧ニップ部、M 駆動機構、
P 記録材、T トナー画像

Claims (3)

  1. 回転可能なローラと、エンドレスベルトと、前記ローラとともに前記エンドレスベルトを挟むことにより前記ローラと前記エンドレスベルトの外周面同士を互いに接触させてニップ部を形成する加圧部材と、前記ローラと前記エンドレスベルトのうちの1つを加熱する加熱手段と、を備え、前記ニップ部でトナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつトナー画像を記録材に加熱定着する定着装置において、
    前記加圧部材の前記ローラとの対向面を前記ローラの外周面に沿った湾曲面に形成するとともに前記湾曲面の曲率を前記ローラの曲率よりも大きくし、前記ニップ部は、前記加圧部材によるバックアップがない前記エンドレスベルトの領域を前記エンドレスベルトの弾性力のみで前記ローラに接触させることによって形成されているプレニップ部と、前記加圧部材によるバックアップがある前記エンドレスベルトの領域を前記ローラに当接させている加圧ニップ部とによって形成され、前記ニップ部は、前記プレニップ部から始まり、記録材搬送方向下流側に連続して前記加圧ニップ部が形成され、前記加圧部材は、前記加圧ニップ部が形成されている前記記録材搬送方向下流側を中心に回動自在であることを特徴とする定着装置。
  2. 前記加圧部材は、前記ニップ部で前記記録材を挟持搬送するときの前記記録材の厚みによって回動することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記ニップ部で挟持搬送される前記記録材の種類と坪量に応じて、前記加圧部材の回動を行うための駆動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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