JP2007292949A - 画像加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録材上の画像をニップ部にて加熱するベルトと、このベルトとの間でニップ部を形成するニップ形成部材と、このベルトをニップ部にて加圧する弾性パッドと、を有する画像加熱装置において、記録材にしわが発生するのを抑制する。
【解決手段】前記ニップ部の入口側での前記ベルトの幅方向における圧分布は中央部よりも両端側が大きいこと。
【選択図】図2
【解決手段】前記ニップ部の入口側での前記ベルトの幅方向における圧分布は中央部よりも両端側が大きいこと。
【選択図】図2
Description
本発明は、記録材上の画像を加熱する画像加熱装置に関する。
この画像加熱装置としては、例えば、記録材上の未定着画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢を増大させる光沢増大化装置等を挙げることができる。
電子写真装置、静電記録装置などの画像形成装置においては、記録材(シート)上にトナー画像を形成し、これを加熱、加圧して定着させることにより画像を形成している。定着装置としては、内部にヒータを有する定着ローラに加圧ローラを圧接して定着ニップを形成し、定着を行うローラ定着方式が従来より採用されている。
ところで、画像の高光沢化や画像形成の高速化を図るためには、記録材の定着ニップ通過時間を長くし、トナーを充分に溶融するのが好ましい。ローラ定着方式の場合、これを達成するためにはローラ径を大きくしなければならず、定着装置が大型化してしまう。
そこで、ローラ定着方式に比して、装置の小型化、高速化対応を達成しつつ、充分なニップ幅(シート搬送方向の長さ)を得ることができるベルト定着方式が提案されている(特許文献1)。この提案においては、互いに対向する定着ベルトと加圧ベルトを設け、これら両ベルト間でシートを挟持搬送しながら定着を行う構成とされている。これにより、従来に比して充分なニップ幅を得ている。
ベルト定着方式においては、定着ニップ部で充分な圧力を得るために圧力付与部材が必要となる。装置を大型化することなく幅の広い定着ニップを得ようとする場合には、パッド状の圧力付与部材が効果的である。
特開2004−341346号公報
しかしながら、上記従来技術の場合には次のような問題点を有している。
即ち、装置を高速化した際にも十分な定着性を得るために、パッド状の圧力付与部材に作用する荷重を大きくしていくと、ベルトが回転体ではない圧力付与部材に強く押さえつけられる。そのため、荷重がベルト走行に対して負荷となってしまう。そのために、ベルトの走行が不安定となる。
特に、ベルトの走行が不安定になるためニップ内での記録材搬送が非常に不安定になり、特に薄紙や再生紙など剛度の小さい記録材においてはしわが発生する場合があった。
そこで、本発明の目的は、記録材にしわが発生するのを抑制することができる画像加熱装置を提供することである。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、記録材上の画像をニップ部にて加熱するベルトと、このベルトとの間でニップ部を形成するニップ形成部材と、このベルトをニップ部にて加圧する弾性パッドと、を有する画像加熱装置において、前記ニップ部の入口側での前記ベルトの幅方向における圧分布は中央部よりも両端側が大きいことを特徴とする。
本発明によれば、記録材にしわが発生するのを抑制することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。実施例は本発明を適用できる実施形態の一例ではあるものの、本発明は実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において種々の変形が可能である。
(第1実施例)
(1)画像形成部
図3は、本発明に従う画像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真プロセセスを用いた、両面プリント機能を有するフルカラーレーザプリンタである。
(1)画像形成部
図3は、本発明に従う画像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真プロセセスを用いた、両面プリント機能を有するフルカラーレーザプリンタである。
Y・C・M・Kはそれぞれイエロー・シアン・マゼンタ・ブラックの色トナー画像を形成する4つの画像形成部であり、下から上に順に配列してある。各画像形成部Y・C・M・Kは、それぞれ、像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)1、帯電器2、現像器3、クリーニング器4等を有する。
画像形成部Yの現像器3にはイエロートナーを、画像形成部Cの現像器3にはシアントナーを、画像形成部Mの現像器3にはマゼンタトナーを、画像形成部Kの現像器3にはブラックトナーを、それぞれ充填してある。
ドラム1に露光を行うことにより静電潜像を形成する光学系5が上記4色の画像形成部Y・C・M・Kに対応して設けられている。光学系5としてはレーザー走査露光光学系を用いている。
各画像形成部Y・C・M・Kにおいて、光学系5より、画像データに基づいた走査露光が、帯電器2により一様に帯電されたドラム1上になされることにより、ドラム表面に走査露光画像に対応する静電潜像が形成される。そして、その静電潜像が現像器3によりトナー画像として現像される。すなわち、画像形成部Yのドラム1にはイエロートナー画像が、画像形成部Cのドラム1にはシアントナー画像が、画像形成部Mのドラム1にはマゼンタトナー画像が、画像形成部Kのドラム1にはブラックトナー画像が、それぞれ形成される。
各画像形成部Y・C・M・Kのドラム1上に現像形成された上記の単色トナー画像は各ドラム1の回転と同期して、略等速で回転する中間転写体6上へ所定の位置合わせ状態で順に重畳されて一次転写される。これにより、中間転写体6上に未定着のフルカラートナー画像が合成形成される。
本実施例においては、中間転写体6として、エンドレスの中間転写ベルトを用いており、駆動ローラ7、二次転写ローラ対向ローラ14、テンションローラ8の3本のローラに懸回して張架してあり、駆動ローラ7によって駆動される。
各画像形成部Y・C・M・Kのドラム1上から中間転写ベルト6上へのトナー画像の一次転写手段としては、一次転写ローラ9を用いている。一次転写ローラ9に対して、不図示のバイアス電源より、トナーと逆極性の一次転写バイアスを印加する。これにより、各画像形成部Y・C・M・Kのドラム1上から中間転写ベルト6に対して、トナー画像が一次転写される。各画像形成部Y・C・M・Kにおいてドラム1上から中間転写ベルト6への一次転写後、ドラム1上に転写残として残ったトナーは、クリーニング器4により除去される。
上記工程を中間転写ベルト6の回転に同調して、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の画像形成部Y・C・M・Kにおいて行なわせて、中間転写ベルト6上に、各色の一次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。なお、単色のみの画像形成(単色モード)時には、上記工程は、目的の色についてのみ行われる。
一方、給紙カセット10にセットされた記録材Sは、給送ローラ11により一枚分離給送されて、搬送路10aを通ってレジストローラ対12に至る。記録材Sは中央基準にて給紙・搬送される。そして、記録材Sは、レジストローラ対12により所定の制御タイミングで、二次転写ローラ対向ローラ14に懸回されている中間転写ベルト6部分と二次転写手段としての二次転写ローラ13とのニップ部に搬送される。
中間転写ベルト6上に形成された一次転写トナー画像は、二次転写手段たる二次転写ローラ13に不図示のバイアス印加手段より印加されるトナーと逆極性のバイアスにより、記録材S上に一括転写される。二次転写後に中間転写ベルト6上に残った二次転写残トナーは中間転写ベルトクリーニング器15により除去される。
トナー画像の二次転写を受けた記録材Sは中間転写ベルト6の面から分離されて搬送路10bを通って画像加熱装置としての定着装置Fに導入される。この定着装置Fにより、トナー画像が記録材S上に溶融定着される。
定着装置Fを出た記録材Sは搬送路10cを通って、フルカラープリント、もしくはモノカラープリントとして、排紙トレイ16に排紙される。
両面通紙モード(両面プリントモード)が選択されているときは、定着装置Fを出て搬送路10cにより排紙搬送されている、一面目プリント済の記録材Sが搬送路10cを反転搬送され、フラグ17でガイドされて、両面搬送路10dに導入される。そして、その記録材Sが、再び、搬送路10a・レジストローラ対12により二次転写部に対して表裏反転状態で給送され、記録材Sの二面目に対してトナー画像が二次転写形成される。この記録材Sが中間転写ベルト6の面から分離されて、搬送路10bを通って定着装置Fに再導入され、二面目に対するトナー画像が記録材S上に溶融定着される。
定着装置Fを出た記録材Sは、搬送路10cを通って、フルカラーもしくはモノカラーの両面プリントとして、排紙トレイ16に排紙される。
(2)定着装置F
図1は本実施例に係わる定着装置Fの要部の断面模式図である。ここで、定着装置Fまたはこれを構成している部材について長手または長手方向とは記録材搬送路面内において、記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。定着装置について正面とは記録材導入側の面である。左右とは装置を正面から見て左または右である。ベルトの幅とは記録材搬送方向に直交する方向のベルト寸法(=ベルト長手方向の寸法)である。また記録材の幅とは記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。また上流または下流とは記録材の搬送方向に関して上流または下流である。
図1は本実施例に係わる定着装置Fの要部の断面模式図である。ここで、定着装置Fまたはこれを構成している部材について長手または長手方向とは記録材搬送路面内において、記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。定着装置について正面とは記録材導入側の面である。左右とは装置を正面から見て左または右である。ベルトの幅とは記録材搬送方向に直交する方向のベルト寸法(=ベルト長手方向の寸法)である。また記録材の幅とは記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。また上流または下流とは記録材の搬送方向に関して上流または下流である。
この定着装置Fは、第1のエンドレスベルト(ニップ形成部材)としての、誘導加熱される定着ベルト20と、第2のエンドレスベルトとしての加圧ベルト21とを備えている。
本実施例の定着ベルト20の基層は、誘導加熱させるために、SUS合金、ニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金等の金属層で形成されている。本実施例においては、基層として、内径40mm、厚さ250μmの薄い円筒フィルム状のニッケル金属層を含んでいる。基層の厚みは好ましくは1〜300μmがよい。基層の厚みが1μmよりも小さいと剛性が低く、多数枚耐久に耐えることが困難となる。また、基層が300μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなり、可撓性回転体として使用するには現実的ではない。基層の外周にはシリコーンゴムの弾性層が750μmの厚みで設けられている。弾性層の外周には、表面離型層としてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられている。
弾性層の材料としては、公知の弾性材料を使用することができ、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。本実施例では、シリコーンゴムを用い、硬度はJIS−A20度、熱伝導率は0.8W/mKである。弾性層の厚さは、画像を印刷する場合に記録材の凹凸或いはトナー層の凹凸に加熱面が追従できないことによる光沢ムラを予防するために、100μm以上が好ましい。弾性層の厚さが100μm未満では、弾性部材としての機能が発揮されず、定着時の圧力分布が不均一となることによって、特にフルカラー画像定着時に二次色の未定着トナーを十分に加熱定着することができずに定着画像のグロスにおいてムラを生じる。また、溶融不十分なことによってトナーの混色性が悪化し、高精細なフルカラー画像が得られず好ましくない。
この弾性層の変形によって、定着ベルト20へのシートの巻きつきを防止し、ベルトからの良好な分離性能を得ることができる。更に弾性層の外周には、表面離型層としてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられている。
定着ベルト20は、ベルト懸架部材としてのテンションローラ22並びに定着ローラ23によって張架されている。テンションローラ22と定着ローラ23はそれぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受させて支持させてある。
テンションローラ22は、外径が20mmで、内径が18mmである厚さ1mmの鉄製の中空ローラである。
定着ローラ23は、外径が20mmで、径が18mmである鉄合金製の芯金に、弾性層としてのシリコーンゴム層が設けられた高摺動性の弾性ローラである。この定着ローラ23は駆動ローラとして駆動源(モータ)Mから不図示の駆動ギア列を介して駆動力が入力されて、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。この定着ローラ13に上記のように弾性層を設けることで、定着ローラ13に入力された駆動力を定着ベルト20へ良好に伝達することができるとともに、定着ベルト20からの記録材の分離性を確保するための定着ニップを形成できる。シリコーンゴムの硬度はJIS−A15度、熱伝導率は0.8W/mKである。シリコーンゴム層によって、内部への熱伝導も少なくなるためウォーミングアップタイムの短縮にも効果がある。
定着ベルト20は、定着ローラ23が回転駆動されると、定着ローラ23のシリコーンゴム表面と定着ベルト20の内面との摩擦によって定着ローラ23と共に回転する。
加圧ベルト21は、ベルト懸架部材としてのテンションローラ25と加圧ローラ26によって張架されている。テンションローラ25と加圧ローラ26はそれぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受させて支持させてある。
テンションローラ25は、外径が20mmで、径が16mmである鉄合金製の芯金に、熱伝導率を小さくして加圧ベルト21からの熱伝導を少なくするためにシリコーンスポンジ層を設けてある。
加圧ローラ26は、外径が20mmで、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製とされた低摺動性の剛性ローラである。
ここで、定着ベルト20と加圧ベルト21との間に画像加熱ニップとしての定着ニップNを形成するために、加圧ローラ26は、回転軸の左右両端側が不図示の加圧機構により矢印Fの方向に所定の加圧力にて定着ローラ23に向けて加圧されている。
また、装置を大型化することなく幅広い定着ニップNを得るために、第1と第2の加圧パッドを採用している。すなわち、定着ベルト20を加圧ベルト21に向けて加圧する第1の加圧パッドとしての定着パッド32と、加圧ベルト21を定着ベルト20に向けて加圧する第2の加圧パッドとしての加圧パッド33である。定着パッド32及び加圧パッド33は装置の不図示の左右の側板間に支持させて配設してある。加圧パッド32は、不図示に加圧機構により矢印Gの方向に所定の加圧力にて定着パッド32に向けて加圧されている。
制御回路部100は、少なくとも画像形成実行時にはモータMを駆動する。これにより定着ローラ23が回転駆動され、定着ベルト20が同じ方向に回転駆動される。定着ベルト20の周速度は、記録材にループを形成するため画像形成部側から搬送されてくるシートSの搬送速度に比して僅かに遅い周速とされている。
加圧ベルト21は、定着ベルト20に従動して回転する。ここで、定着ニップ最下流の部分をローラ対23・26により定着ベルト20と加圧ベルト21を挟んで搬送する構成としたことで、ベルトのスリップを防止することができる。本実施例の場合、定着ベルト20の周速は300mm/secとされ、A4サイズのフルカラー画像を1分間に70枚定着することが可能である。
本実施例においては、定着ベルト20の加熱手段として、定着ベルト20の外面に対して所定の僅少な隙間を存して対向させて配設した、エネルギー効率の高い電磁誘導加熱方式の誘導加熱部材(励磁コイル)28を採用している。誘導加熱部材28は、誘導コイル28aと、励磁コア28bと、それらを保持するコイルホルダー28cと、から構成される。誘導コイル28aは、長円状に扁平巻きされたリッツ線を用い、誘導コイルの中心と両脇に突起した横E型の励磁コア28bの中に配置されている。励磁コア28bはフェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁速密度の低いものを用いるので、誘導コイル28aや励磁コア28bでの損失を抑えられ、効率的に定着ベルト20を加熱する事ができる。
定着ベルト20が回転駆動された状態において、励磁回路102から誘導加熱部材28の誘導コイル28aに高周波電流が流されると、定着ベルト20の金属層が誘導発熱して定着ベルト20が加熱される。定着ベルト20の表面温度がサーミスタ等の温度検知素子THにより検知される。この温度検知素子THで検知される定着ベルト20の温度に関する信号が制御回路部100に入力する。制御回路部100は温度検知素子THから入力する温度情報が所定の定着温度に維持されるように、励磁回路102から誘導コイル28aに対する供給電力を制御して、定着ベルト20の温度を所定の定着温度に温調する。
定着ベルト20が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、定着ベルト20と加圧ベルト21間の定着ニップ部Nに、未定着トナー画像Tを有する記録材Sが搬送される。記録材Sは、未定着トナー画像を担持した面を、定着ベルト20側に向けて導入される。そして、記録材Sの未定着トナー画像Tが定着ベルト20の外周面に密着したまま挟持搬送されていくことにより、定着ベルト20から熱が付与され、また加圧力を受けて記録材Sの表面に定着される。
また、定着ベルト20内の定着ローラ23がゴム層を有する弾性ローラであり、加圧ベルト21内の加圧ローラ26は鉄合金製の剛性ローラであるため、定着ベルト20と加圧ベルト21との定着ニップ部出口では定着ローラ23の変形が大きくなっている。その結果、定着ベルト20も大きく変形し、トナー画像を担持した記録材Sは定着ベルト20から自らのこしにより曲率分離される。
定着パッド32と加圧パッド33は少なくとも一方は弾性部材で形成してある。本実施例においては、定着パッド32を鉄合金製の剛体で形成されている。また、加圧パッド33を、厚さ3mm、幅12mmの弾性体としての耐熱性シリコーンゴムから構成されていて、鉄合金製の剛体で形成されている加圧パッドホルダ34上に配置されている。
回転体ではないパッド32・33でニップを形成すると、ベルト20・21の内周面はパッドに摺擦され、ベルト内周面とパッドとの摩擦係数が大きいと、摺動抵抗が大きくなる。その結果として、画ズレ、ギア破損、駆動モータの消費電力アップ等の問題が発生する場合がある。
本実施例においては、摺動抵抗低減のために、定着パッド32には定着摺動シート29を、加圧パッド33には加圧摺動シート30を備えている。
定着摺動シート29は、厚みが50μmのポリイミドを基層に、表面離型層としてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が25μmの厚みで設けられている。基層の材料としては耐熱性、耐磨耗性を有する物であれば良く、例えばポリイミド・ポリエーテルイミド・PES・PFA(4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)等を用いることができる。
加圧摺動シート30は、厚みが50μmのポリイミドを基層に表面離型層としてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が25μmの厚みで設けられている。また加圧摺動シート30は少なくとも加圧ベルト内周面との接触面は高さが150μm程度のエンボス加工がなされている。これにより加圧ベルト21と加圧パッド33の接触面積を小さくなり、摺動抵抗を低減できる。加圧摺動シート30に大きな凹凸をつけると、ニップ内に圧力の差ができてしまうが、画像面とは記録材を介しているため、画像にその影響は出にくい。
図2の(a)は、本実施例における定着パッド32と加圧パッド33で形成されるニップ部Nの平面内での圧力分布を示したものである。斜線領域a、同b、同cは、それぞれ、荷重値が0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、の領域を示している。Aは記録材進行方向を示している。
圧力分布は、ニッタ(株)製タクタイルセンサを用いて測定している。圧力を交差する電極間に設けられた特殊インキ(感圧抵抗性物質)の抵抗値変化として検出するタイプのもので、商品名I−SCANを使用した。
(b)は、(a)のA領域の荷重分布グラフ(単位:N(ニュートン))を示している。すなわち、(b)は、ニップ部Nの記録材進行方向Aの上流側における記録材進行方向Aに直交する方向(以下、ニップ部長手方向と記す)に関する荷重分布グラフを示している。
(c)は、(a)のB領域の荷重分布グラフを示している。すなわち、(c)は、ニップ部Nの記録材進行方向Aの下流側におけるニップ部長手方向に関する荷重分布グラフを示している。
(a)、(b)、(c)から分かるように、ニップ部長手方向に関する荷重分布が、ニップ部Nの記録材進行方向上流側では、中央部より両端部に作用する荷重が大きくなる荷重分布としてある。また、ニップ部Nの記録材進行方向下流側では、両端部より中央部に作用する荷重が大きくなる荷重分布としてある。
図2のようなニップ部内荷重分布は、例えば、弾性部材である加圧パッド33と加圧パッドホルダ34の間に高い圧力が必要な場所には、厚いスペーサを、低い圧が必要な場所には薄いスペーサを入れることで所望の圧に調整することができる。また所望の圧が出るようにを凹凸の付いたスペーサを入れても良い。
1)ニップ部Nの記録材進行方向上流側(ニップ部の入口側)のニップ部長手方向に関しては、加圧パッド33は弾性体で構成されているため、荷重の大きい端部ほどニップ幅(記録材進行方向に関して)は広くなる。したがって、記録材先端は記録材幅方向両端からニップ部Nに突入することになる。定着装置Fに突入前の記録材はストレスの少ない状態であるため、ほぼ幅方向に伸びた状態であり、その状態の記録材先端の幅方向両端部を先に強く保持することで、記録材が幅方向中央に寄っていき、紙しわ(記録材しわ)が発生することを防止することができる。
2)また、ニップ部Nの記録材進行方向下流側(ニップ部の出口側)のニップ部長手方向に関しては、両端部より中央部に作用する荷重が大きくなり、駆動時にベルトは中央部に大きな負荷がかかり、端部には小さな負荷しかかからない。そのため、ニップ部N内の記録材進行方向下流側ではベルトの速度が中央部に対して端部が速くなる。この結果として、記録材の搬送速度も、幅方向端部の搬送速度が中央部に比べて速く、記録材は幅方向両端部側に引き伸ばされるために、紙しわの発生を防止することができる。
上記において、加圧パッド33を剛体で形成し、定着パッド32を弾性部材で形成して、あるいは、定着パッド32と加圧パッド33の両方を弾性部材で形成して、上記のようなニップ部内荷重分布を形成することもできる。
また、ニップ部内荷重分布の調整は加圧パッド33或いは定着パッドの少なくとも一方を弾性体で構成し、弾性体の厚みを場所により変化させることで、所望の圧に調整しても良い。また、一方を弾性体、一方を剛体で形成し、剛体の方の形状により、所望の圧に調整しても構わない。
以上説明したように、定着パッド32と加圧パッド33の少なくとも一方のパッドを弾性体で形成する。そして、ニップ部Nの記録材進行方向Aに直交する方向に関する荷重分布を、ニップ部Nの記録材進行方向上流側では、中央部より両端部に作用する荷重が大きくなる荷重分布にする。また、ニップ部Nの記録材進行方向下流側では、両端部より中央部に作用する荷重が大きくなる荷重分布にする。この構成により、装置を高速化した際にも十分な定着性を得るためにパッド部にかかる荷重を大きくした場合でも、薄紙や再生紙など剛性の小さい記録材での紙しわの発生を防止することができる。
(第2実施例)
本実施例の場合も、図4の(a)、(b)、(c)のように、ニップ部Nの記録材進行方向Aに直交する方向に関する荷重分布が、ニップ部Nの記録材進行方向上流側では、中央部より両端部に作用する荷重が大きくなる荷重分布としてある。また、ニップ部Nの記録材進行方向下流側では、両端部より中央部に作用する荷重が大きくなる荷重分布としてある。(a)の圧力分布において、斜線領域a、同b、同c、同d、同e、は、それぞれ、荷重値が0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPa、0.5MPa、の領域を示している。
本実施例の場合も、図4の(a)、(b)、(c)のように、ニップ部Nの記録材進行方向Aに直交する方向に関する荷重分布が、ニップ部Nの記録材進行方向上流側では、中央部より両端部に作用する荷重が大きくなる荷重分布としてある。また、ニップ部Nの記録材進行方向下流側では、両端部より中央部に作用する荷重が大きくなる荷重分布としてある。(a)の圧力分布において、斜線領域a、同b、同c、同d、同e、は、それぞれ、荷重値が0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPa、0.5MPa、の領域を示している。
したがって、第1実施例の場合と同様に、ニップ部Nの記録材進行方向上流側では記録材先端の幅方向両端部を先に強く保持する。これにより、記録材が中央に寄っていき、しわが発生することを防止できる。また、記録材進行方向下流側では記録材幅方向両端部の搬送速度が中央部に比べて速くなり、記録材は記録材幅方向両端部に引き伸ばされるために、紙しわの発生を防止することができる。
また、本実施例においては、ニップ部Nの記録材進行方向上流側の長手両端部の荷重に対して、記録材進行方向下流側の長手中央部の荷重が大きくなるように構成されている。この結果、パッド32・33で形成されるニップ部全体での荷重分布は図5に示されるように、ニップ部長手両端部より中央部に作用する荷重が大きくなっている。この構成により、記録材が長尺紙や両面通紙の場合でも紙しわ発生を防止することができる。
なお、図5の荷重分布は、圧力×面積の和で出している。例えば、中央では、0.1MPa×17mm×1mm+0.1MPa×1mm×1mm+0.2MPa×4mm×1mm+0.3MPa×4mm×1mm+0.4MPa×3mm×1mm+0.5MPa×9mm×1mm=9.5、と計算している。
すなわち、ニップ部Nの記録材進行方向上流側での紙しわを防止する効果は、記録材の先端部付近では効果が大きいが、記録材の後端に近づくほど効果は小さくなってしまう。したがって、長尺紙では、充分な効果が得られない場合がある。また両面通紙では、1面目で記録材が波打ってしまう場合が有り、この場合も充分な効果が得られないことがある。
本実施例においては、上記のように、パッド32・33で形成されるニップ部全体での荷重分布が両端部より中央部に作用する荷重が大きくなっているため、記録材幅方向両端部の搬送速度が中央部に比べて速くなる。これにより、記録材を端部に引き伸ばす効果がより顕著になる。したがって、記録材が長尺紙や両面通紙でも紙しわの発生を防止することができる。
(第3実施例)
定着ベルト20は熱ローラを用いて加熱する定着装置構成にすることもできる。図6は、図1の定着装置において、定着ベルト20の加熱手段として誘導加熱部材(励磁コイル)28をなしにし、定着ベルト20のテンションローラ22の内部にハロゲンヒータ22aを配設してテンションローラ22を加熱ローラに兼用させている。
定着ベルト20は熱ローラを用いて加熱する定着装置構成にすることもできる。図6は、図1の定着装置において、定着ベルト20の加熱手段として誘導加熱部材(励磁コイル)28をなしにし、定着ベルト20のテンションローラ22の内部にハロゲンヒータ22aを配設してテンションローラ22を加熱ローラに兼用させている。
定着ベルト20は、内径が40mmで、厚みが75μmのポリイミドを基層とし、基層の外周には弾性層が750μmの厚みで設けられている。弾性層の材料としては、公知の弾性材料を使用することができ、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。本実施例では、シリコーンゴムを用い、硬度はJIS−A20度、熱伝導率は0.8W/mKである。弾性層の厚さは、画像を印刷する場合に記録材の凹凸或いはトナー層の凹凸に加熱面が追従できないことによる光沢ムラを予防するために、100μm以上が好ましい。弾性層の厚さが100μm未満では、弾性部材としての機能が発揮されず、定着時の圧力分布が不均一となることによって、特にフルカラー画像定着時に二次色の未定着トナーを十分に加熱定着することができずに定着画像のグロスにおいてムラを生じる。また、溶融不十分なことによってトナーの混色性が悪化し、高精細なフルカラー画像が得られず好ましくない。
この弾性層の変形によって、定着ベルト20へのシートの巻きつきを防止し、ベルトからの良好な分離性能を得ることができる。更に弾性層の外周には、表面離型層としてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられている。
制御回路部100は、電源回路101からハロゲンヒータ22aへ電力を供給する。これにより加熱ローラ22が加熱される。そして、この加熱ローラ22によって、回動する定着ベルト20が加熱される。定着ベルト20の表面温度がサーミスタ等の温度検知素子THにより検知される。この温度検知素子THで検知される定着ベルト20の温度に関する信号が制御回路部100に入力する。制御回路部100は温度検知素子THから入力する温度情報が所定の定着温度に維持されるように、電源回路101からハロゲンヒータ22aに対する供給電力を制御して、定着ベルト20の温度を所定の定着温度に温調する。
上記以外の定着装置構成は、第1実施例または第2実施例の定着装置構成と同様であるから再度の説明は省略する。
本実施例の定着装置においても第1実施例または第2実施例の定着装置と同様の効果が得られる。
(第4実施例)
本例は、ニップ部の圧分布に関しては上記実施例と同様の構成とされているが、加圧パッド33の形状(ニップ部の入口側の形状)を後述のように改良したことにより、記録材にシワが発生するのを高レベルで抑制している。以下、具体的に説明する。
本例は、ニップ部の圧分布に関しては上記実施例と同様の構成とされているが、加圧パッド33の形状(ニップ部の入口側の形状)を後述のように改良したことにより、記録材にシワが発生するのを高レベルで抑制している。以下、具体的に説明する。
図7の(a)は、加圧パッド33の平面模型図である。本実施例の加圧パッド33は、加圧面の平面形状に関して、記録材搬送方向Aに関する幅Wを、長手方向中央部から端部に向かうにつれて記録材搬送方向上流側に広くし、かつ記録材搬送方向下流側の辺33cが長手方向に略直線である。より具体的には、長手方向中央部の幅W1を7mm、端部の幅W2を8mmに設定し、中央部から端部にかけて線形的(直線的)に幅が広くなる構成となっている。
図7の(b)はこの加圧パッド33を用いて形成される定着ニップ部Nの平面模型図である。定着ニップ部Nの平面形状は、加圧ベルト21が可撓性を有し、肉薄であることから、加圧パッド33の上記(a)の加圧面の平面形状に略倣った形状になる。即ち、定着ニップ部Nの平面形状は、記録材搬送方向Aに関する幅が、長手方向中央部から端部に向かうにつれて記録材搬送方向上流側に広く、かつ記録材搬送方向下流側の辺が長手方向に略直線である。なお、加圧パッド33で形成される定着ニップ部Nの長手方向の寸法は、記録材Sの最大通紙幅寸法よりも大きく設定してある。
このような定着ニップ部Nの平面形状により、画像形成部から定着装置Aの定着ニップ部Nに導入された記録材Sは、その先端部が定着ニップ部Nへ突入するとき、必ず記録材幅方向の端部から定着ニップ部Nに入ることとなる。
そのため、定着ニップ部Nの上流側(例えばB位置)では、記録材Sの幅方向端部が定着ニップ部Nに入っている領域Dにはシート搬送力Vが発生している。一方、記録材Sの幅方向中央部が定着ニップ部Nに入っていない領域Eではほとんどシート搬送力は無い。つまり、定着ニップ部Nの上流側すなわち記録材入口側では、記録材先端部のニップ進入部である記録剤端部が、ニップ未進入部である記録材中央部に対して相対的に搬送速度が大きくなる。
このとき、記録材Sの上記のニップ進入部と未進入部の相対速度差により、定着ニップ部Nの上流側近傍の記録材部分には未進入部端を中心に外方への回転モーメントが生じる。これにより、記録材Sは中部から端部方向へ伸ばされて、その結果、定着ニップ部Nで搬送される記録材Sにはシワが発生することなく、安定した記録材搬送が可能となる。すなわち、定着ニップ部における記録材搬送スピードを記録材幅方向両端部で速く、中央部で遅くして、図7の(c)に示すように、記録材Sを両側に引っ張る力Mを生じさせ、これにより記録材シワの発生を防ぐのである。
以上説明したように、本実施例においては、定着ニップ部Nを形成する加圧パッド33の加圧面の平面形状に関して、記録材搬送方向Aに関する幅Wを、長手方向中央部から端部に向かうにつれて記録材搬送方向上流側に広く構成している。
従って、本例においても、ニップ部の圧分布を工夫するとともに加圧パッドの形状を工夫したことにより、記録材にシワが発生するのを高レベルに抑制することが可能となる。
本発明の画像加熱装置は、上述した定着装置としてばかりではなく、例えば、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面製を改質する装置や、定着前に仮定着を行う装置などにも適用することができる。
また、以上の実施例1〜4においては定着側と加圧側の双方にエンドレスベルトを使用する例について説明したが、次のような構成のものにも本発明を適用することができる。例えば、定着側は周知の熱ローラを使用し加圧側は上述したベルトを使用する構成である。また、この逆の構成であっても良く、定着側と加圧側の少なくとも一方にベルトを使用した構成であれば本発明を適用することが可能である。
F・・定着装置、S・・記録材(シート)、1・・感光体ドラム、2・・帯電器、3・・現像器、4・・クリーニング器、5・・光学装置、6・・中間転写ベルト、9・・一次転写ローラ、10・・給紙カセット、11・・給紙ローラ、12・・レジストローラ対、16・・排出トレイ、20・・定着ベルト、21・・加圧ベルト、22・・テンションローラ、23・・定着ローラ、32・・定着パッド、25・・テンションローラ、26・・加圧ローラ、33・・加圧パッド、28・・誘導加熱部材、29・・定着摺動シート、30加圧摺動シート
Claims (4)
- 記録材上の画像をニップ部にて加熱するベルトと、このベルトとの間でニップ部を形成するニップ形成部材と、このベルトをニップ部にて加圧する弾性パッドと、を有する画像加熱装置において、
前記ニップ部の入口側での前記ベルトの幅方向における圧分布は中央部よりも両端側が大きいことを特徴とする画像加熱装置。 - 前記ニップ部の出口側での前記ベルトの幅方向における圧分布は両端側よりも中央部が大きいことを特徴とする請求項1の画像加熱装置。
- 前記ニップ部全体の前記ベルトの幅方向における圧分布は両端側よりも中央部が大きいことを特徴とする請求項1又は2の画像加熱装置。
- 前記ニップ形成部材はベルトを有し、このベルトを前記ニップ部にて加圧する、前記弾性パッドに対向配置された加圧パッドと、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの画像加熱装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006119555A JP2007292949A (ja) | 2006-04-24 | 2006-04-24 | 画像加熱装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010113206A (ja) * | 2008-11-07 | 2010-05-20 | Canon Inc | 像加熱装置 |
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-
2006
- 2006-04-24 JP JP2006119555A patent/JP2007292949A/ja active Pending
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