JP3824476B2 - 加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、乾式電子写真機器における定着装置、湿式電子写真機器における乾燥装置、インクジェットプリンタ等における乾燥装置、あるいは、リライタブルメディア用消去装置等に好適に用いられる加熱装置、並びにこのような加熱装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、加熱装置の一種である定着装置においては、加圧ローラが圧接するアルミニウム等の円筒状中空芯金からなる加熱ローラ(定着ローラ)の内部に、ハロゲンランプを配置し、このハロゲンランプを発熱させることにより、加熱ローラを所定の加熱温度に設定するものが多用されている。しかしながら、このようなハロゲンランプによる中空芯金の内部からの加熱方式では、中空芯金の熱容量が大きいため、加熱ローラの加熱開始時の立上りが遅くなり、ウォームアップ時間が長い。
【0003】
そこで、従来では、中空芯金を薄肉化して低熱容量化を図ることにより、加熱ローラのウォームアップ時間を短縮することが考えられている。ところが、中空芯金を薄肉化すると、中空芯金自体が変形し易く、剛性及び耐久性が低下し、加熱ローラの撓みが大きくなり過ぎることから、加圧ローラを弾性的に圧接させると長手方向(軸方向)の中央部における圧力が小さくなる。これは、定着不良を招くこととなり、低熱容量化には限界がある。
【0004】
また従来、中空芯金の薄肉化による低熱容量化を図るために、例えば、特開平8−129313号公報(以下、先行技術という)に開示されているような構成を有する加熱装置がある。この先行技術によれば、厚さ10〜150μmの薄肉の金属スリーブ(中空芯金)の内周部に弾性体層を設けた加熱ローラにおいて、金属スリーブを外部から加熱する加熱方式が記載されている。この外部加熱方式による特徴は、以下に列記する通りである。
1)加熱ローラが、薄肉の金属スリーブで形成されているため、熱容量を小さくすることができる。これにより、ウォームアップ時間を短縮できる。
2)金属スリーブは、適度な剛性を有しており、芯金の上に固定された弾性体層の上に更に固定されているので、耐久性に優れる。
3)加熱ローラは、金属スリーブ内に設けた弾性体層と、加圧ローラ自体の弾性とにより、互いの圧接面間(ニップ部)のニップ幅を選択する自由度を高めることができ、画像形成装置としての高速化が可能になる。
4)加熱ローラを形成する金属スリーブに設けた弾性体層により、加圧ローラの軸方向の撓みを緩和することができ、軸方向のニップ幅を均一に保つことができる。これにより、転写紙等の被加熱部材に対する負荷を均一にすることができるため、波打ち等による定着不良を解消することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行技術に記載の加熱装置にあっては、金属スリーブの薄肉化による低熱容量化が図られているため、加熱ローラの表面温度の立上り時間(ウォームアップ時間)が短くて、待機時間も少ないという利点を有する反面、金属スリーブの薄肉化に伴って、下記に列挙するような不具合が新たに生じる。
1)加熱ローラと加圧ローラとのニップ部の圧力が低くなるため、加圧ローラがスリップし易く、転写紙等の被加熱部材の送りが不安定になる。
2)加圧ローラのエッジ部(軸方向の両端部)が当接する加熱ローラの部分に応力が集中し、使用を繰り返すと、前記加熱ローラのこの部分が破損し易い。
3)加熱ローラをしわ発生防止のための逆クラウン形状に形成することができないため、被加熱部材にしわが発生し易い。
4)加熱ローラが保有する熱容量が少なく、加圧力も低いため、厚紙等の熱容量の大きい被加熱部材の場合、定着不良を招き易い。
5)加熱ローラの、加圧ローラとのニップ部近傍のみを変形させて、ニップを形成しているので、長時間同じ位置で圧接されていると、その部位に永久歪が発生し易い。また、加熱ローラの芯金が金属スリーブからなるため、その部分の回復が困難になる。
6)金属スリーブの熱膨張が短時間に発生するため、弾性部材に強度がない場合、ローラの真円度が維持できず、軸振れが発生する恐れがある。
【0006】
図10に概略的に示すように、従来の定着装置50においては、加圧ローラ51が実線矢印方向に圧接される加熱ローラ52を構成する金属スリーブ53が薄肉に形成した場合、金属スリーブ53の熱容量が少ない。これにより、加熱時、加熱ローラ52の温度が短時間で急速に上昇し、金属スリーブ53が熱膨脹するため、弾性体層の強度が低いと、加圧ローラ51と加熱ローラ52とのニップ部Nにおける曲率変更点a,bで曲率変化が急になる。このために、変形領域(図10に斜線で示す領域)での変形量が大きくなり、永久歪が発生し易いばかりでなく、回復しにくいため、金属スリーブ53の真円度を維持することができず、軸振れを発生させる恐れがある。しかも、弾性体層は、金属スリーブ53の熱の逃げを防ぐ効果を有し、その強度を上げると、弾性体層の気泡の含有率が減少して、断熱効果を低下させるため、強度を上げるにも限界がある。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、加圧ローラ、あるいは、加熱ローラの形態に工夫を施すことにより、装置の安定化を図り、また、装置停止後の再駆動時に、加熱ローラの変形を速やかに除去し得るようにした加熱装置、並びにこのような加熱装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、薄肉の円筒状の導電体の中空部に弾性体層を有する加熱回転部材と、該加熱回転部材を外部から加熱する加熱手段と、前記加熱回転部材に圧接する加圧部材とを備え、前記加熱回転部材と加圧部材との圧接面間にシート状の被加熱部材を挟圧搬送して、該被加熱部材を加熱する加熱装置において、
前記加熱回転部材は、前記導電体の軸方向の長さが前記弾性体層及び加圧部材のそれぞれの軸方向の長さよりも短く構成されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成にすることにより、弾性体層の端部に加圧部材の端部が直に圧接するような当接部を形成するので、加圧部材と加熱回転部材との摩擦抵抗が大きくなり、加圧部材が加熱回転部材に連れ回りし易くなるため、加圧部材の従動駆動が円滑になり、スリップを防止できる。また、導電体の端部に応力が集中することがない。
【0010】
本発明は、薄肉の円筒状の導電体の中空部に弾性体層を有する加熱回転部材と、該加熱回転部材を外部から加熱する加熱手段と、前記加熱回転部材に圧接する加圧部材とを備え、前記加熱回転部材と加圧部材との圧接面間にシート状の被加熱部材を挟圧搬送して、該被加熱部材を加熱してなる加熱装置において、
前記加熱回転部材は、前記導電体の軸方向の長さ及び前記弾性体層の軸方向の長さが、前記加圧部材の軸方向の長さよりも長く構成されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成にすることにより、導電体のエッジ部で加圧部材表面を傷つけるおそれがなくなり、加圧部材の端部が当接する導電体の部分の応力集中を緩和できる。
【0012】
本発明の加熱装置は、前記被加熱部材の種類を検出する検出手段と、該検出手段にて検出される特定の被加熱部材の種類に応じて、予め設定された所定の加熱プロセス速度より遅くする制御手段とを有することが好ましい
【0013】
このような構成にすることにより、厚紙や封筒、あるいはハガキ等の定着温度に達するまで時間を要する特定の種類の被加熱部材を通紙する場合、加熱回転部材を通常の回転速度よりも遅くし、被加熱部材が加圧部材とのニップ部間を通過するのに要する時間を長くして、被加熱部材に充分なエネルギー(圧力)を付与する。
【0014】
本発明の加熱装置は、前記加熱回転部材を所定時間以上、駆動停止した状態から再駆動を開始する場合、前記加熱回転部材を所定時間空転させる制御手段を有することが好ましい
【0015】
このような構成にすることにより、加熱回転部材の空回転を行って、加熱回転部材を構成する導電体内の弾性体層の弾性復元力を利用して、導電体の歪を速やかに回復させることができる。
【0016】
本発明は、薄肉の円筒状の導電体の中空部に弾性体層を有する加熱回転部材と、該加熱回転部材を外部から加熱する加熱手段と、前記加熱回転部材に圧接する加圧部材とを備え、前記加熱回転部材と加圧部材との圧接面間にシート状の被加熱部材を挟圧搬送して、該被加熱部材を加熱してなる加熱装置において、
前記加熱回転部材を所定時間以上、駆動停止した状態から再駆動を開始する場合、前記加圧部材に対する前記加熱回転部材の圧接部分が前記加熱手段に対向位置するまで、前記加熱回転部材を所定量回転させた後、前記加熱手段にて前記加熱回転部材の加熱制御を開始する制御手段を有することを特徴とする。
【0017】
このような構成にすることにより、加熱手段にて加熱回転部材の加熱制御を開始し、加熱回転部材を構成する導電体の歪部分から先に集中的に加熱するので、導電体内の弾性体層内の空気を膨脹させ、導電体の歪変形を速やかに回復させることができる。
【0018】
本発明は、薄肉の円筒状の導電体の中空部に弾性体層を有する加熱回転部材と、該加熱回転部材を外部から加熱する加熱手段と、前記加熱回転部材に圧接する加圧部材とを備え、前記加熱回転部材と加圧部材との圧接面間にシート状の被加熱部材を挟圧搬送して、該被加熱部材を加熱してなる加熱装置において、
前記弾性体層は、第1の弾性層と、該第1の弾性層と前記導電体との間に介在される第2の弾性層とを有し、該第2の弾性層は、前記第1の弾性層の硬度よりも高いことを特徴とする。
【0019】
このような構成にすることにより、加圧部材と加熱回転部材とのニップ部における曲率変更点近傍にバルジ(張出し)部分が形成されるため、導電体が急な曲率変化を持つことがなく、永久歪が発生しにくく、導電体の折れ曲がりも防止することができる。また、第1の弾性層でクッション性と断熱性を持たせ、第2の弾性層で機械的強度を持たせるように機能を分離しているため、断熱効果を低下させることなく、強度を上げることができる。加熱時には、導電体と弾性体層の熱膨脹差が吸収されるため、導電体の真円度を維持し易くなり、導電体の芯金に対する同心度、同円度、ローラ振れ等の幾何公差の調整を容易に行うことができる。
【0020】
本発明の加熱装置は、前記第2の弾性層の厚さが、軸方向の端部よりも中央部の方が厚いものが好ましい。
このような構成にすることにより、加熱回転部材の端部における変形量を小さくすることができ、被加熱部材の搬送性を高めることができる。
【0021】
本発明の加熱装置は、前記加圧部材の径が、軸方向中央部で大きく、その端部側に向かうにつれて小さいものが好ましい。
このような構成にすることにより、加熱回転部材に加圧部材が圧接すると、加熱回転部材の径が軸方向の中央部で小さく、その端部側で大きくなるような逆クラウン形状に変形するため、加圧部材と加熱回転部材とのニップ部の圧力を軸方向に均一にすることができる。こうして、加圧部材と加熱回転部材とのニップ部の端部側を通過する被加熱部材の搬送速度が、その中央部よりも速くなるために、被加熱部材にシワが発生するのを防止できる。
【0022】
本発明の加熱装置は、前記加熱手段が、前記導電体に交番磁界を印加して誘導電流を発生させ、前記導電体を交番磁界中で発熱させるものが好ましい。
このような構成にすることにより、誘導加熱方式では、加熱回転部材の外周部を誘導コイルで少なくとも半周程度の範囲で取り囲むように配置することができるため、加熱回転部材を短時間で均一に加熱することができる。
なお、本発明は、可視像形成ユニットと、この可視像形成ユニットの下流に設置される加熱装置とを備え、記録媒体に多重転写された各色トナーを加熱装置により定着させてフルカラー画像を形成する画像形成装置であって、加熱装置を、上記いずれかに記載の加熱装置としたことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1から図9に示す図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
本発明が適用される乾式電子写真器であるカラー画像形成装置は、図1に示すように、4色の可視像形成ユニット3を記録媒体搬送路に沿って配列した所謂タンデム式のプリンタである。具体的には、記録紙P(被加熱部材)の給紙カセット1と定着装置10とを繋ぐ記録紙の搬送路に沿って4組の可視像形成ユニット3Y・3M・3C・3Bを配設し、無端状ベルトの記録紙搬送手段2によって搬送される記録紙Pに各色トナーを多重転写した後、定着装置10によってこれを定着してフルカラー画像を形成するものである。
【0025】
上記記録紙搬送手段2は、一対の駆動ローラ2A及びアイドリングローラ2Bによって架張され、所定の周速度(本実施例では134mm/s)に制御されて回動する無端状の搬送ベルト2Cを有し、このベルト2C上に記録紙(被加熱部材)Pを静電吸着させて搬送する。
【0026】
各可視像形成ユニット3は、感光体ドラム4の周囲に帯電ローラ5・レーザ光照射手段6・現像器7・転写ローラ8・クリーナー9を配置しており、各ユニットの現像器7にはイエロー(Y)・マゼンタ(M)・シアン(C)・ブラック(B)の各トナーが収容されている。そして各可視像形成ユニット3は、以下の工程によりトナー画像を記録紙P上に形成する。
【0027】
すなわち感光体ドラム4の表面を帯電ローラ5で一様に帯電した後、レーザ光照射手段6により、感光体ドラム4の表面を画像情報に応じてレーザ露光し、静電潜像を形成する。その後、現像器7により感光体ドラム4上の静電潜像に対しトナー像を現像し、この顕像化されたトナー画像をトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された転写ローラ8により、記録紙搬送手段2によって搬送される記録紙Pに順次転写するようになっている。
【0028】
その後、記録紙Pは、駆動ローラ2Aの曲率により搬送ベルト2Cから剥離された後、定着装置10に搬送される。そこで、所定の温度に保たれた定着ローラ(加熱ローラ)により適度な温度と圧力が与えられる。そして、トナーは溶解し記録紙Pに固定され堅牢な画像となる。
【0029】
図2は、上記した定着装置10の全体構成を概略的に示す。この定着装置10は、図示しないバネ等の弾性部材により付勢された加圧ローラ11と加熱ローラ12とを有し、この加熱ローラ12に加圧ローラ11を圧接させて、それらの圧接面間に、記録紙Pを挟圧する幅3.5mm程度の接触ニップ部Nが形成されるようになっている。
【0030】
加圧ローラ11は、例えば鉄、ステンレスまたはアルミニウム等の芯金11A上にシリコンゴムなどの耐熱弾性体層11Bを設けており、その表面には、例えばPFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の材料からなる離型層(図示せず)が必要に応じて形成されている。
【0031】
加熱ローラ12は、その外部に配置された後述する加熱手段としての磁界発生手段20による誘導加熱で発熱される導電体としての円筒状の金属スリーブ13を有する。この金属スリーブ13内の中心軸部には、例えば鉄またはステンレス等の中空もしくは中実の芯金14が配置され、この芯金14の外周面と金属スリーブ13の内周面との間に弾性体層としての断熱性の耐熱スポンジ15が設けられているとともに、その表面に離型層16を設けている。
【0032】
加熱ローラ12を構成する金属スリーブ13の材質は、例えば鉄やステンレス材(SUS430)等の誘導加熱により発熱可能な磁性を有する導電性部材からなり、特に、比透磁率が高ければよく、例えば珪素鋼板や電磁鋼板、ニッケル鋼も好適に用いられる。また、非磁性体であっても、誘導加熱が可能なSUS304のステンレス材等のように抵抗値の高い材料も好適に用いられる。さらに、例えばセラミック等の非磁性のベース部材であっても、比透磁率の高い材料が導電性を有するように配置してなる構成であれば、その使用も可能である。また、金属スリーブ13は、表面温度の立上り時間を短縮するために、その肉厚が50〜200μmに薄肉化されている。
【0033】
本発明においては、金属スリーブ13として厚さが100μmのステンレス材(SUS430)を使用し、その端部(エッジ部)13aにて加圧ローラ11の端部(エッジ部)が傷付けられないようにテーパ処理を施している。また、この場合、発熱量を増大させるために、金属スリーブ13を複数の導電体層にて形成することも可能である。
【0034】
また、耐熱スポンジ15は、金属スリーブ13からの熱逃げ防止と、薄肉ローラの変形抑制のために設けられる。その材料としては、例えばシリコーンゴムが用いられ、厚さを10mmとする。
【0035】
さらに、金属スリーブ13の表面の離型層16は、加圧ローラ11との間のニップ部Nで加熱されて粘度が低下した記録紙P上のトナーが、金属スリーブ13の表面、すなわち、加熱ローラ12の表面に付着するのを防止するための役割を有する。その材料としては、PFAやPTFEが用いられ、本実施形態では、PTFEが用いられる。
【0036】
加熱ローラ12を加熱する誘導加熱手段としての磁界発生手段20は、図3に示すような誘導コイル21にて構成され、この誘導コイル21を加熱ローラ12の外周部を取り囲むように巻回させて配置する。このように加熱ローラ12の外周部を取り囲むように配置すると曲率が存在するため、誘導コイル21の中心部側に磁束が集中し、渦電流の発生量が多くなる。これにより、加熱ローラ12の表面温度を素速く立ち上げることが可能になる。
【0037】
また、誘導コイル21の材質として、本発明では、耐熱性を考慮して、表面に絶縁層(例えば酸化膜)を形成したアルミニウム単線を用いているが、銅線もしくは銅ベースの複合部材線、あるいは、エナメル線等を撚り線にしたリッツ線であっても良い。この場合、いずれの線材を選択しても、コイルでのジュール損を抑えるためには、誘導コイル21の全抵抗値は、0.5Ω以下、好ましくは、0.1Ω以下である方が良い。さらに、誘導コイル21は、記録紙Pのサイズに応じて複数に分列して配置することも可能である。
【0038】
この場合、誘導コイル21は、加熱ローラ12の外周部を少なくとも半周程度の範囲で取り囲むように配置され、これにより、加熱ローラ12を短時間で均一に加熱することが可能になる。
【0039】
そして、誘導コイル21は、中央演算装置(CPU)等にて構成される制御手段22にて制御される励磁回路23より高周波電流を流すことにより、交番磁界を発生し、この交番磁界により加熱ローラ12の金属スリーブ13を発熱させる。励磁回路23には、加熱ローラ12のニップ部Nの入口側近傍に配置された温度検知手段としてのサーミスタ24が接続されている。このサーミスタ24は、その検知信号に応じて、制御手段22を介して励磁回路23を制御し、これにより、加熱ローラ12の温度は、所定の設定温度(例えば、180℃)に制御される。このように、一定温度に制御された加熱ローラ12は、駆動手段25により回転駆動され、加圧ローラ11とのニップ部Nに、未定着のトナー画像が転写された記録紙Pを通紙させるとともに、熱と圧力により、記録紙P上に画像定着する。
【0040】
図4は、本発明に係る定着装置10の第1実施形態を示す。この第1実施形態は、図4(a)に示すように、加熱ローラ12を構成する金属スリーブ13の軸方向の長さL1を、耐熱スポンジ15の軸方向の長さL2及び加圧ローラ11の軸方向の長さL0よりも短くし(L1<L2,L0)、加熱ローラ12の端部(エッジ部)12a側において、耐熱スポンジ15の端部15aを露出させるとともに、図4(b)に示すように、耐熱スポンジ15の端部15aに加圧ローラ11の端部(エッジ部)11aが直に圧接するような当接部Aを形成している。
【0041】
すなわち、従来構造の加熱ローラ12においては、金属スリーブ13の表面に形成した離型層16に加圧ローラ11を直に接触させた場合、金属スリーブ13が撓み易いため、加圧ローラ11がスリップし易くなり、記録紙Pの搬送性に劣る。また、例えば金属スリーブ13の長さL1が加圧ローラ11の長さL0よりも長い場合(L1>L0)には、加圧ローラ11のエッジ部11aが当接する金属スリーブ13の部分に応力が集中し、このような状態で加熱を繰り返すと、金属スリーブ13の応力集中部分に破損を生じる。第1実施形態では、加熱ローラ12を構成する金属スリーブ13の長さL1を、耐熱スポンジ15の長さL2及び加圧ローラ11の長さL0よりも短くすることにより、耐熱スポンジ15の端部15aに加圧ローラ11のエッジ部11aが直に圧接するような当接部Aを形成しているため、加圧ローラ11と加熱ローラ12との摩擦抵抗が大きくなり、加圧ローラ11が加熱ローラ12に連れ回りし易くなる。これにより、加圧ローラ11の従動駆動が円滑になり、従来のような加圧ローラ11のスリップが確実に防止され、挟圧搬送される記録紙Pの搬送性を向上させることが可能になる。しかも、金属スリーブ13の端部に応力が集中することがないため、破損することがない。
【0042】
この場合に、加圧ローラ11のエッジ部11aが接触する加熱ローラ12を構成する耐熱スポンジ15の端部15a側の表面(接触部表面)に、ゴムやそれ以外の材質によるコートが施された別の層を形成したり別の部材を設けて、加圧ローラ11との摩擦抵抗を大きくすることにより、加圧ローラ11の連回り性を高めるように構成しても良い。
【0043】
ところで、上述したように金属スリーブ13は、加熱ローラ12の表面温度を短時間で立ち上げる必要性から薄肉化が図られている。そのために、加圧ローラ11との間に形成されるニップ部Nでは、金属スリーブ13が変形し易く、この状態を長時間に亘って放置すると、金属スリーブ13の変形が回復せず、永久歪の発生を招く。このような金属スリーブ13の変形状態から加熱を行うと、金属スリーブ13の歪部分を均一に加熱することができず、その部分での定着不良を起こし易い。
【0044】
そこで、本発明に係る定着装置10では、ウォームアップ時や待機時からの定着動作時に、加熱ローラ12を加熱する直前に、加熱ローラ12の空回転を行う。これにより、加熱ローラ12を構成する耐熱スポンジ15の弾性復元力を利用して、金属スリーブ13の歪を速やかに回復させ、除去している。そして、このような金属スリーブ13の歪の除去後に、加熱ローラ12を加熱することにより、上記したような定着不良の問題点の解消を図っている。
【0045】
この場合、加熱ローラ12を空回転させる時間は、例えば、定着装置10の停止時間や、その時の加熱ローラ12の温度と必要な空回転の時間を事前に求めておき、定着装置10が停止している時間は、制御手段22を構成するCPUにて算出し、加熱ローラ12の温度は、サーミスタ24にて検知することによりモニタし、その停止時間に応じて決定される。
【0046】
すなわち、ウォームアップ時には、まず、定着装置10の停止時間が制御手段22により算出される。そして、その算出された停止時間と、サーミスタ24により検知された加熱ローラ12の温度とを基に、制御手段21は、駆動手段25を駆動して、加熱ローラ12を所定時間空回転させる。この加熱ローラ12の空回転の間に金属スリーブ13の歪変形が回復される。次いで、制御手段22は、磁界発性手段20の誘導コイル21に接続された励磁回路23をONにする。これにより、誘導コイル21が通電されて励磁され、加熱ローラ12の金属スリーブ13に交流渦電流が誘起されて、金属スリーブ13は、ジュール熱により発熱する。このときの金属スリーブ13の発熱量は、約800Wである。
【0047】
また、励磁回路23による誘導コイル21への通電が開始されると同時に、加熱ローラ12が回転駆動し、加圧ローラ11が従動回転する。このとき、加熱ローラ12の表面温度は、温度検知手段であるサーミスタ24によって常時検知される。そして、加熱ローラ12の表面温度が、所定の設定温度(180℃)に達すると、ウォームアップが完了し、励磁回路23による誘導コイル21への通電が、ONからOFFに切り替わり、加熱ローラ12の表面温度が所定の設定温度に維持される。
【0048】
この状態で、加圧ローラ11と加熱ローラ12との間の接触ニップ部Nに、未定着のトナー画像が転写された記録紙Pが搬送され、加圧ローラ11による圧力と加熱ローラ12による熱により、トナー像は溶融され定着されて、記録紙P上に固定され、堅牢な画像を形成する。
【0049】
さらに、加熱ローラ12の歪を除去する他の手段としては、加熱ローラ12を加熱する直前に、加熱ローラ12を回転させて、金属スリーブ13の歪部分が誘導コイル21による加熱範囲内に対向位置するように停止させ、加熱ローラ12の加熱時、金属スリーブ13の歪部分から先に加熱し、金属スリーブ13の歪を速やかに回復させる方法が挙げられる。
【0050】
この場合も、定着装置10の停止時間や加熱ローラ12の温度に応じて、加熱ローラ12を誘導コイル21による加熱範囲内に停止させるに必要な時間が決定される。
すなわち、ウォームアップ時に、まず、制御手段22は、定着装置10の停止時間と、サーミスタ24により検知された加熱ローラ12の温度とを基に、加熱ローラ12を誘導コイル21による加熱範囲内に停止させるに必要な時間を算出する。そして、加熱ローラ12の停止時間が求まると、駆動手段25を駆動させて、停止時に加圧ローラ11に圧接されていた加熱ローラ12のニップ部Nが磁界発性手段20と対向する位置に来るように制御手段22を制御して、加熱ローラ12を所定量回転させて停止する。次いで、励磁回路23をONにし、予め算出された加熱ローラ12の停止時間の経過後、加熱ローラ12の回転を開始する。
【0051】
このように、加熱ローラ12が所定時間以上停止した後、再び駆動を開始する場合、加圧ローラ11に圧接されていた加熱ローラ12のニップ部Nが磁界発生手段20の加熱範囲内に対向するように、加熱ローラ12を所定量回転させることにより、金属スリーブ13の歪部分から先に集中的に加熱し、耐熱スポンジ15内の空気を膨脹させ、金属スリーブ13の歪を速やかに回復させることができる。また、加熱ローラ12にロータリーエンコーダなどの回転角検出素子を設け、この検出信号により回転を制御しても良い。
【0052】
一方、上記した定着装置10にあっては、加熱ローラ12が温度検知手段であるサーミスタ24の検知信号に応じて所定の設定温度に制御されている。ところが、このような加熱ローラ12は、きわめて低熱容量化されているため、撓み易く、ニップ部の単位面積当たりの圧力が低くなるので、厚紙等の熱容量の大きな記録紙Pを通紙する場合、充分な加圧が行えず、圧力不足により定着性が悪く、定着不良を起こす恐れがある。
【0053】
そこで、本発明に係る定着装置10では、厚紙や封筒、あるいはハガキ等の特定の種類の記録紙Pを通紙する場合、低いニップ圧力でも充分な定着性が維持されるように、制御手段22にて駆動手段25を、予め設定された所定の加熱プロセス速度より遅延制御して、加熱ローラ12の回転速度(プロセス速度)を低下させるようになっている。
【0054】
このとき、記録紙Pの種類を検出する検出手段としては、ハガキや封筒の場合、給紙路上に設置した給紙センサ(図示せず)のON時間や、記録紙Pの給紙カセット1のガイド位置で判別する方法を用いることができる。また、厚紙の場合には、厚紙モードが別途指定できるように、画像形成装置の操作パネルにモード設定ボタンを設ければ良い。そして、これらの検知信号を基に、該当する記録紙Pが判別された場合に、プロセス速度が遅くなるように設定される。
【0055】
このように、厚紙や封筒、あるいはハガキ等の特定の種類の記録紙Pを通紙する場合、加熱ローラ12を通常の回転速度よりも遅くし、記録紙Pが加圧ローラ11とのニップ部N間を通過するのに要する時間を長くして、充分なエネルギー(圧力)を記録紙Pに付与することにより、定着性の劣化を防止している。
【0056】
また、従来では、加圧ローラ11と加熱ローラ12とのニップ部Nを通過する記録紙Pに発生するシワの防止対策として、加熱ローラ12の形状を軸方向の中央部で径が小さく、その端部側で大きくなるような逆クラウン状に形成することが行われている。ところが、本実施形態のように、加熱ローラ12として、肉厚が薄い円筒状の金属スリーブ13を用いてなる形態を有するため、金属スリーブ13を逆クラウン状に加工することが困難である。
【0057】
図5は、本発明に係る定着装置10の第2実施形態を示す。この第2実施形態では、加熱ローラ12が上記第1実施形態と同様な形態を有する。その相違点は、上述したような加圧ローラ11と加熱ローラ12とのニップ部Nを通過する記録紙Pに発生するシワの防止対策として、図5(a)に示すように、加圧ローラ11の形状を軸方向の中央部付近で径が大きく、その端部11a側に向かうにしたがって小さくなるような、所謂、クラウン状に形成してなる形態を有する。
【0058】
すなわち、第2実施形態のように、加圧ローラ11の形状をクラウン状に形成することにより、加圧ローラ11が加熱ローラ12に圧接されると、図5(b)に示すように、加熱ローラ12はたわみやすいので、径が軸方向の中央部で小さく、その端部側で大きくなるような逆クラウン形状に変形する。これにより、加圧ローラ11と加熱ローラ12とのニップ部Nの圧力を軸方向に均一にすることが可能になるとともに、加圧ローラ11と加熱ローラ12の端部12a側を通過する記録紙Pの搬送速度が、その中央部よりも速くなるために、記録紙Pにシワが発生することはない。
【0059】
図6は、本発明に係る定着装置10の第3実施形態を示す。この第3実施形態においては、図6(a)に示すように、加熱ローラ12を構成する金属スリーブ13の軸方向の長さL1及び耐熱スポンジ15の軸方向の長さL2を加圧ローラ11の軸方向の長さL0よりも長く(L1,L2>L0)してなる形態を有する。
【0060】
すなわち、上記第1実施形態のように、加熱ローラ12を構成する金属スリーブ13の長さL1を加圧ローラ11の長さL0よりも短くすると、(L1<L0)、金属スリーブ13のエッジ部13aで加圧ローラ11の表面を傷付ける恐れがある。そこで、金属スリーブ13の長さL1を加圧ローラ11の長さL0よりも長くすることが考えられるが(L1>L0)、逆に、加圧ローラ11のエッジ部11aが当接する金属スリーブ13の部分に応力が集中し、加熱ローラ12の加熱時、金属スリーブ13の表面を破損し易くなる。そのため、第3実施形態では、耐熱スポンジ15の長さL2を加圧ローラ11の長さL0より長くすることにより(L0<L2)、加圧ローラ11のエッジ部11aが当接する金属スリーブ13の部分の応力集中を緩和している。これにより、金属スリーブ13の破損を防止し、加熱ローラ12の耐久性を高めている。
【0061】
この場合、耐熱スポンジ15の長さL2は、金属スリーブ13の長さL1と同じにする必要はなく、金属スリーブ13の長さL1より長くても、あるいは短くても良い。また、金属スリーブ13上に備えられている離型層16は、軸方向の長さL3が加圧ローラ11の長さL0より短くなるように形成されている。このように構成することで、図6(b)に示すように、加圧ローラ11のエッジ部11a近傍と金属スリーブ13とが直接接触するようになり、加圧ローラ11がスリップすることなく円滑に駆動される。
【0062】
図7は、本発明に係る定着装置10の第4実施形態を示す。この第4実施形態においては、上記した第1実施形態と基本的に同一な構成を有する。その相違点は、加熱ローラ12の内部構造にある。すなわち、金属スリーブ13の内部に設けた耐熱スポンジ15を第1の弾性層15Aと、この第1の弾性層15Aと金属スリーブ13との間に介在される第2の弾性層15Bとで形成し、第2の弾性層15Bの硬度を第1の弾性層15Aの硬度よりも高くしている。
【0063】
この場合、耐熱スポンジ15を形成する第1の弾性層15Aは、上記の各実施形態と同様なシリコーンゴム等の耐熱性のスポンジ部材から構成されている。一方、第2の弾性層15Bの材料としては、第1の弾性層15Aよりも強度のある部材が望ましく、第1の弾性層15Aがシリコーンゴム等の耐熱性のスポンジ部材であれば、シリコーンやフッ素の中実ゴム、あるいは、PFA等の中実弾性部材が好適に用いられる。また、第2の弾性層15Bは、PFA等の離型性を有する材料である必要はなく、耐熱性と弾性を有する部材なら何でも良い。さらに、第2の弾性層15Bに導電性を有する部材を配置することにより、金属スリーブ13の温度ムラを改善することが可能になる。例えば、第2の弾性層15Bにカーボンブラックやイオン系の導電剤を添加したり、銅やアルミニウムの薄膜を蒸着またはスパッタで形成することにより、金属スリーブ13の温度ムラの改善が行われる。
【0064】
すなわち、上記した本発明の第4実施形態では、耐熱スポンジ15を第1の弾性層15Aと第2の弾性層15Bとで形成し、第2の弾性層15Bの硬度を第1の弾性層15Aの硬度よりも高くして、第1の弾性層15Aと金属スリーブ13との間に介在している。これにより、金属スリーブ13の機械的強度が増加し、図8に概略的に示すように、加圧ローラ11と加熱ローラ12とのニップ部Nにおける曲率変更点a,b近傍にバルジ(張出し)部分13bが形成される。そのため、金属スリーブ13が急な曲率変化を持つことがなく、永久歪が発生しにくい。しかも、金属スリーブ13の折れ曲がりも防止することが可能になる。そして、加熱ローラ12の回転開始時には、金属スリーブ13のバルジ(張出し)部分13bがニップ部Nに押し込まれるため、永久歪が回復し易く、その変形量も少ない。また、耐熱スポンジ15を第1の弾性層15Aと第2の弾性層15Bとで2分割して、第1の弾性層15Aでクッション性と断熱性を持たせ、第2の弾性層15Bで機械的強度を持たせるように機能を分離するため、断熱効果を低下させることなく、強度を上げることが可能になる。さらに、加熱時には、金属スリーブ13と耐熱スポンジ15の熱膨脹差が吸収されるため、金属スリーブ13の真円度を維持し易くなり、金属スリーブ13の芯金14に対する同心度、同円度、ローラ振れ等の幾何公差の調整が容易になる。
【0065】
図9は、本発明に係る定着装置10の第5実施形態を示す。この第5実施形態においては、上記した第4実施形態と基本的に同一な構成を有する。その相違点は、第2の弾性層15Bの軸方向の厚さを異ならせてなることである。特に、第2の弾性層15Bの軸方向の端部側の厚さを、その中央部よりも厚くしてなる形態を有する。
【0066】
すなわち、加熱ローラ12に加圧ローラ11が圧接されると、加熱ローラ12の軸方向端部12aに掛かる負荷が、その中央部と比較して大きく、加熱ローラ12の端部12aでの変形量が大きくなる。このため、加圧ローラ11と加熱ローラ12とのニップ部Nに挟圧搬送される記録紙Pの搬送性が低下する。そこで、本発明の第5実施形態では、上記したように、第2の弾性層15Bの軸方向の端部側の厚さを、その中央部よりも厚くすることにより、加熱ローラ12の端部12aにおける変形量を小さくすることが可能になる。これにより、記録紙Pの搬送性を高めることが可能になる。
【0067】
なお、上記した各実施形態において、加熱手段として、誘導コイルを用いた誘導加熱方式である磁界発生手段20を例に説明したが、それ以外に、例えばハロゲンランプ等を用いたランプ加熱方式や、セラミックヒータを用いてなる方式も使用可能である。しかしながら、このような誘導加熱方式以外の加熱方式では、単に、加熱ローラ12の一部分に加熱手段を配置しただけでは、加熱ローラ12の回転速度(プロセス速度)を遅くする以外、加熱ローラ12を短時間で均一に加熱することが困難である。しかも、加熱ローラ12のプロセス速度を遅くすることは、非現実的である。したがって、加熱ローラ12を短時間で均一に加熱するためには、加熱ローラ12の外周部を少なくとも半周程度の範囲で取り囲むように配置する必要がある。そこで、本発明の各実施形態のように、誘導コイルを用いた誘導加熱方式を採用すれば、容易に実現可能になる。
【0068】
また、このような誘導コイルによる誘導加熱装置は、定着装置に限らず、湿式電子写真機器における乾燥装置、インクジェットプリンタ等における乾燥装置、あるいは、リライタブルメディア用消去装置等の加熱装置としても用いることが可能である。その他、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更実施可能なことは云うまでもない。
【0069】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、加熱回転部材を構成する薄肉の円筒状の導電体の軸方向の長さを、導電体内の弾性体層及び加熱回転部材に圧接する加圧部材のそれぞれの軸方向の長さよりも短くし、弾性体層の端部に加圧部材の端部が直に圧接するような当接部を形成することから、加圧部材と加熱回転部材との摩擦抵抗が大きくなる。これにより、加圧部材が加熱回転部材に連れ回りし易くなるため、加圧部材の従動駆動が円滑になり、従来のような加圧部材のスリップを確実に防止することができ、挟圧搬送されるシート状の被加熱部材の搬送性を向上させることができる。しかも、導電体の端部に応力が集中することがないため、破損することがない。
【0070】
本発明によれば、加熱回転部材を構成する薄肉の円筒状の導電体の軸方向の長さ及び導電体内の弾性体層の軸方向の長さを加熱回転部材に圧接する加圧部材の軸方向の長さよりも長くしているので、導電体のエッジ部で加圧部材表面を傷つけるおそれがなくなり、加圧部材の端部が当接する導電体の部分の応力集中を緩和して、導電体の破損を防止することができ、加熱回転部材の耐久性を高めることができる。
【0071】
本発明によれば、被加熱部材の種類を検出する検出手段と、検出手段にて検出される特定の被加熱部材の種類に応じて予め設定された所定の加熱プロセス速度値より遅延制御する制御手段とを有することから、例えば、厚紙や封筒、あるいはハガキ等の特定の種類の被加熱部材を通紙する場合、加熱回転部材を通常の回転速度よりも遅くし、被加熱部材が加圧部材とのニップ部間を通過するのに要する時間を長くして、被加熱部材に充分なエネルギー(圧力)を付与し、定着性の劣化を防止することができる。
【0072】
本発明によれば、前記加熱回転部材を所定時間以上、駆動停止した状態から再駆動を開始する場合、前記加熱回転部材を所定時間空転させる制御手段を有し、ウォームアップ時や、待機時から定着動作への移行時のような加熱回転部材を加熱する直前に、加熱回転部材の空回転を行うことから、加熱回転部材を構成する導電体内の弾性体層の弾性復元力を利用して、導電体の歪を速やかに回復させて除去することができるので、従来のような定着不良の発生を防止することができる。
【0073】
本発明によれば、加熱回転部材を所定時間以上、駆動停止した状態から再駆動を開始する場合、加圧部材に対する加熱回転部材の圧接部分が加熱手段に対向位置するまで、加熱回転部材を所定量回転させた後、加熱手段にて加熱回転部材の加熱制御を開始することから、加熱回転部材を構成する導電体の歪部分から先に集中的に加熱し、導電体内の弾性体層内の空気を膨脹させ、導電体の歪変形を速やかに回復させることができる。
【0074】
本発明によれば、加熱回転部材を構成する導電体内の弾性体層が、第1の弾性層と、第1の弾性層と導電体との間に介在される第2の弾性層とを有し、第2の弾性層を第1の弾性層の硬度よりも高くしているので、導電体の機械的強度の向上を図ることができる。しかも、加圧部材と加熱回転部材とのニップ部における曲率変更点近傍にバルジ(張出し)部分が形成されるため、導電体が急な曲率変化を持つことがなく、永久歪が発生しにくく、導電体の折れ曲がりも防止することができる。また、第1の弾性層でクッション性と断熱性を持たせ、第2の弾性層で機械的強度を持たせるように機能を分離しているため、断熱効果を低下させることなく、強度を上げることができる。さらに加熱時には、導電体と弾性体層の熱膨脹差が吸収されるため、導電体の真円度を維持し易くなり、導電体の芯金に対する同心度、同円度、ローラ振れ等の幾何公差の調整を容易に行うことができる。
【0075】
本発明によれば、第2の弾性層の厚さは、軸方向の端部よりも中央部の方が厚いことから、加熱回転部材の端部における変形量を小さくすることができ、これにより、被加熱部材の搬送性を高めることができる。
【0076】
本発明によれば、加圧部材の径は、軸方向の中央部で大きく、その端部側に向かうにしたがって小さくなるようなクラウン状の形態を有することから、加熱回転部材に加圧部材が圧接すると、加熱回転部材の径が軸方向の中央部で小さく、その端部側で大きくなるような逆クラウン形状に変形するため、加圧部材と加熱回転部材とのニップ部の圧力を軸方向に均一にすることができる。これにより、加圧部材と加熱回転部材とのニップ部の端部側を通過する被加熱部材の搬送速度が、その中央部よりも速くなるために、被加熱部材にシワが発生することはない。
【0077】
本発明によれば、加熱手段として、導電体に交番磁界を印加して誘導電流を発生させる誘導加熱方式を用い、導電体を交番磁界中で発熱させている。誘導加熱方式では、加熱回転部材の外周部を誘導コイルで少なくとも半周程度の範囲で取り囲むように配置することができるため、加熱回転部材を短時間で均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加熱装置としての定着装置を備えたカラー画像形成装置の全体構成図である。
【図2】定着装置の全体構成を拡大して示す縦断側面図である。
【図3】定着装置に適用される加熱手段としての磁界発生手段である誘導コイルの構成状態を示す図である。
【図4】定着装置の第1の実施形態を示し、(a)は全体構成の概略的断面図、(b)は要部を拡大して示す圧接状態の説明図である。
【図5】定着装置の第2の実施形態を示し、(a)は全体構成の概略的断面図、(b)は圧接状態の説明図である。
【図6】定着装置の第3の実施形態を示し、(a)は全体構成の概略的断面図、(b)は要部を拡大して示す圧接状態の説明図である。
【図7】定着装置の第4の実施形態を示す加熱回転部材の断面図である。
【図8】定着装置の第4の実施形態における加圧部材と加熱回転部材との圧接状態を概略的に示す説明図である。
【図9】定着装置の第5の実施形態を示す加熱回転部材の概略的断面図である。
【図10】従来の定着装置における加圧部材と加熱回転部材との圧接状態を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 給紙カセット
2 記録紙搬送手段
2A 駆動ローラ
2B アイドリングローラ
2C 搬送ベルト
3 可視像形成ユニット
3Y 可視像形成ユニット(イエロー)
3M 可視像形成ユニット(マゼンダ)
3C 可視像形成ユニット(シアン)
3B 可視像形成ユニット(ブラック)
4 感光体ドラム
5 帯電ローラ
6 レーザ光照射手段
7 現像器
8 転写ローラ
9 クリーナ
10 加熱装置(定着装置)
11 加圧ローラ
11a 端部
11A 芯金
11B 耐熱弾性体層
12 加熱ローラ(加熱回転部材)
12a 端部
13 金属スリーブ(導電体)
13a 端部
13b バルジ(張出し)部分
14 芯金
15 耐熱スポンジ(弾性体層)
15a 端部
15A 第1の弾性層
15B 第2の弾性層
16 離型層
20 磁界発生手段(加熱手段)
21 誘導コイル
22 制御手段
23 励磁回路
24 温度検知手段
25 駆動手段
a 曲率変更点
b 曲率変更点
A 当接部
L0 加圧ローラの長さ
L1 金属スリーブの長さ
L2 耐熱スポンジの長さ
N ニップ部
P 記録紙(被加熱部材)
T トナー
X 用紙搬送方向

Claims (10)

  1. 薄肉の円筒状の導電体の中空部に弾性体層を有する加熱回転部材と、
    該加熱回転部材を外部から加熱する加熱手段と、前記加熱回転部材に圧接する加圧部材とを備え、前記加熱回転部材と加圧部材との圧接面間にシート状の被加熱部材を挟圧搬送して、該被加熱部材を加熱する加熱装置において、
    前記加熱回転部材は、前記導電体の軸方向の長さが前記弾性体層及び加圧部材のそれぞれの軸方向の長さよりも短く構成されていることを特徴とする加熱装置。
  2. 薄肉の円筒状の導電体の中空部に弾性体層を有する加熱回転部材と、
    該加熱回転部材を外部から加熱する加熱手段と、前記加熱回転部材に圧接する加圧部材とを備え、前記加熱回転部材と加圧部材との圧接面間にシート状の被加熱部材を挟圧搬送して、該被加熱部材を加熱してなる加熱装置において、
    前記加熱回転部材は、前記導電体の軸方向の長さ及び前記弾性体層の軸方向の長さが、
    前記加圧部材の軸方向の長さよりも長く構成されていることを特徴とする加熱装置。
  3. 前記被加熱部材の種類を検出する検出手段と、該検出手段にて検出される特定の被加熱部材の種類に応じて、予め設定された所定の加熱プロセス速度より遅くする制御手段とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置。
  4. 前記加熱回転部材を所定時間以上、駆動停止した状態から再駆動を開始する場合、前記加熱回転部材を所定時間空転させる制御手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置。
  5. 薄肉の円筒状の導電体の中空部に弾性体層を有する加熱回転部材と、
    該加熱回転部材を外部から加熱する加熱手段と、前記加熱回転部材に圧接する加圧部材とを備え、前記加熱回転部材と加圧部材との圧接面間にシート状の被加熱部材を挟圧搬送して、該被加熱部材を加熱してなる加熱装置において、
    前記加熱回転部材を所定時間以上、駆動停止した状態から再駆動を開始する場合、前記加圧部材に対する前記加熱回転部材の圧接部分が前記加熱手段に対向位置するまで、前記加熱回転部材を所定量回転させた後、前記加熱手段にて前記加熱回転部材の加熱制御を開始する制御手段を有することを特徴とする加熱装置。
  6. 薄肉の円筒状の導電体の中空部に弾性体層を有する加熱回転部材と、
    該加熱回転部材を外部から加熱する加熱手段と、前記加熱回転部材に圧接する加圧部材とを備え、前記加熱回転部材と加圧部材との圧接面間にシート状の被加熱部材を挟圧搬送して、該被加熱部材を加熱してなる加熱装置において、
    前記弾性体層は、第1の弾性層と、該第1の弾性層と前記導電体との間に介在される第2の弾性層とを有し、該第2の弾性層は、前記第1の弾性層の硬度よりも高いことを特徴とする加熱装置。
  7. 前記第2の弾性層の厚さは、軸方向の端部よりも中央部の方が厚いことを特徴とする請求項6に記載の加熱装置。
  8. 前記加圧部材の径が、軸方向中央部で大きく、その端部側に向かうにつれて小さいことを特徴とする請求項1、2、5〜7のいずれかに記載の加熱装置。
  9. 前記加熱手段は、前記導電体に交番磁界を印加して誘導電流を発生させ、前記導電体を交番磁界中で発熱させることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の加熱装置。
  10. 可視像形成ユニットと、この可視像形成ユニットの下流に設置される加熱装置とを備え、記録媒体に多重転写された各色トナーを加熱装置により定着させてフルカラー画像を形成する画像形成装置であって、
    加熱装置を、請求項1〜9のいずれかに記載の加熱装置としたことを特徴とする画像形成装置。
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