JP2010123300A - リチウム二次電池及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウム二次電池10は、集電体11に正極活物質12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極活物質17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たす非水電解液20と、を備えたものである。この正極活物質12は、オリビン構造を有するリン酸鉄リチウム化合物(LiFePO4)含んでいる。また、負極活物質17には、リチウムを吸蔵・放出する、炭素質材料(黒鉛)及び酸化物(Li4Ti5O12)が含まれている。この負極活物質は、酸化物の重量割合が1重量%以上30重量%以下であり、炭素質材料の重量割合が99重量%以下70重量%以上である。
【選択図】図1
Description
Electrochemistry Communications7(2005)669−673
リチウムを吸蔵・放出可能な鉄リン酸リチウム化合物を含む正極活物質を有する正極と、
リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料とリチウムを吸蔵・放出可能な酸化物とを含み前記炭素質材料と前記酸化物との全体に対する前記酸化物の重量割合が1重量%以上30重量%以下である負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
前記負極が前記酸化物としてチタン酸リチウムを含む負極活物質を有する上述のリチウム二次電池を、放電終止電圧が2V以上となるように使用するものである。あるいは、上述したリチウム二次電池を充電終止電圧が3.4V以上となるように使用するものである。
6C+Li++e- → C6Li …式(2)
2C6Li+Fe2+ → 12C+Fe+2Li+ …式(3)
Li7Ti5O12 → Li4Ti5O12+3Li++3e- …式(5)
3FePO4+Li7Ti5O12 → 3LiFePO4+Li4Ti5O12 …式(6)
テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、電解液の導電性を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。また、液状のイオン伝導媒体の代わりに、固体のイオン伝導性ポリマー、無機固体電解質、あるいは有機ポリマー電解質と無機固体電解質の混合材料、若しくは有機バインダーによって結着された無機固体粉末などを利用することができる。
正極活物質としてLiFePO4のオリビン構造リン酸鉄リチウム化合物を用いた。この正極活物質を78.5重量%、導電材としてカーボンブラックを13.8重量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを7.7重量%混合し、分散剤としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加し、スラリー状の正極用合材とした。この正極用合材スラリーを20μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥して正極塗布シートを作製した。その後、この塗布シートをロールプレスで高密度化を図り、幅54mm×長さ450mmの矩形状に切り出し、シート状の正極電極とした。なお、正極活物質の付着量は、片面あたり約7mg/cm2であった。次に、負極活物質として黒鉛とチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)とを重量比で99:1となるように混合し、この負極活物質を95重量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、正極と同様に負極用合材スラリーを作製し、これを10μm厚の銅箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥して負極塗布シートを作製した。その後、この塗布シートをロールプレスで高密度化を図り、幅56mm×長さ500mmの矩形状に切り出し、シート状の負極電極とした。なお、負極活物質の付着量は、片面あたり約4.5mg/cm2であった。これらの正極電極と負極電極とを幅58mmで25μm厚の微多孔性ポリエチレン製フィルムからなるセパレータ(東燃タピルス製)を挟んで捲回し、ロール状の電極体とし、このロール状の電極体を18650型円筒ケースに挿入し、ケース内に保持させた。その後、エチルカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で3:7となるように混合した混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解した非水電解液(イオン伝導媒体)をケース内に注入し、密閉して実験例1の円筒型リチウム二次電池とした(図1参照)。
負極活物質として、黒鉛とチタン酸リチウムとを重量比で95:5となるように混合した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実験例2とした。また、負極活物質として、黒鉛とチタン酸リチウムとを重量比で90:10となるように混合した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実験例3とした。また、負極活物質として、黒鉛とチタン酸リチウムとを重量比で70:30となるように混合した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実験例4とした。また、負極活物質として、黒鉛とチタン酸リチウムとを重量比で60:40となるように混合した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実験例5とした。また、負極活物質として、黒鉛とチタン酸リチウムとを重量比で100:0となるように混合した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実験例6とした。また、負極活物質として、黒鉛とチタン酸リチウムとを重量比で0:100となるように混合した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実験例7とした。
実験例1〜7のリチウム二次電池を雰囲気温度60℃の恒温槽に入れ、2Cレート(約1A)で4.1Vまでの定電流充電し、2Cレートで2.0Vまでの定電流放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計500サイクル行う高温サイクル特性試験を行った。1サイクル目の放電容量をC1とし、500サイクル目の放電容量をC500として、次式(7)により容量維持率Ck(%)を求めた。
容量維持率Ck(%)=C500/C1×100 …式(7)
高温サイクル特性試験を行ったあとの実験例1〜7のリチウム二次電池を20℃の温度条件下で、電池容量の50%(SOC=50%)まで充電したあとに、−30℃の温度下で0.5A,1.0A,2.0A,3.0A,5.0Aの電流を流し、10秒後の電池電圧を測定した。流した電流値と電圧とを直線近似し、10秒後の電圧が2.0Vになるであろう電流値を求めた。
黒鉛及びチタン酸リチウムの重量割合、60℃、500サイクル後の容量維持率、高温サイクル特性後の−30℃で出力可能な電流値を表1に示す。実験例7のように、負極活物質にチタン酸リチウムを用いた場合は、初期サイクルから放電容量を得ることができなかった。これは、放電終止電圧を2.0Vとするとチタン酸リチウムは、電池反応に関与していないためと考えられる。負極活物質の構成を、黒鉛とチタン酸リチウムの混合物とすると、チタン酸リチウムを含まない実験例6に比して60℃、500サイクルの容量維持率を向上することができた。また、−30℃での出力特性も向上させることができることがわかった。この混合割合は、黒鉛とチタン酸リチウムとの全体に対するチタン酸リチウムの重量割合が1重量%以上40重量%以下の範囲で高温での容量維持率が向上し、1重量%以上30重量%以下の範囲で−30℃での出力特性が少なくとも低下しないことがわかった。LiFePO4を正極活物質とし黒鉛を負極活物質としたリチウム二次電池の高温サイクル特性が悪い理由は、例えば繰り返し充放電する際に正極中のFeが溶出し、極の炭素側に移動し、炭素上に抵抗層を形成することが考えられる。本発明のように、チタン酸リチウムのようなリチウムを吸蔵放出する酸化物が負極中に存在することで、負極の炭素質材料での抵抗層形成を抑制する効果があることが示唆された。
Claims (5)
- リチウムを吸蔵・放出可能な鉄リン酸リチウム化合物を含む正極活物質を有する正極と、
リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料とリチウムを吸蔵・放出可能な酸化物とを含み前記炭素質材料と前記酸化物との全体に対する前記酸化物の重量割合が1重量%以上30重量%以下である負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたリチウム二次電池。 - 前記負極は、チタン酸リチウム、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化スズのうち1以上の前記酸化物を含んでいる、請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記負極は、前記酸化物がLi金属基準において2.5V以下0.2V以上の電位でリチウムを吸蔵・放出する、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
- 前記負極が前記酸化物としてチタン酸リチウムを含む負極活物質を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池を、放電終止電圧が2V以上となるように使用する、リチウム二次電池の使用方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池を充電終止電圧が3.4V以上となるように使用する、リチウム二次電池の使用方法。
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