JPH11312518A - リチウム二次電池用負極及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
リチウム二次電池用負極及びそれを用いたリチウム二次電池Info
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Abstract
電池の放電容量、サイクル特性を改善する。 【解決手段】 リチウム二次電池の負極として、ケイ素
(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)の酸化物の少
なくとも一つと炭素材料との混合物を使用する。
Description
負極及びそれを用いたリチウム二次電池に係わり、詳し
くは炭素材料を主材とする負極とを備えるリチウム二次
電池の放電特性の向上を目的とした負極材料の改良に関
する。
て黒鉛、コークスなどの炭素材料が提案されており、そ
れらは既に実用化されている。なかでも黒鉛はリチウム
金属電位近傍で非常に卑な放電電位を示し、高エネルギ
ー密度のリチウム二次電池を得られることから、汎用さ
れているものの一つである。
ると、電解液との副反応によりサイクルが経過するにつ
れ放電容量が減少するという問題があった。
面に存在している炭素材料を用いる等の手段(例えば特
開平8-273660号公報を参照)がとられていたが、放電容
量が小さくなるという欠点があり、サイクル特性も充分
とはいえなかった。
術の欠点を解消しようとするものであり、その目的とす
るところは、放電容量が大きくサイクル特性に優れるリ
チウム二次電池用負極材料及びそれを用いたリチウム二
次電池を提供することにある。
の本発明に係わるリチウム二次電池用負極は、ケイ素
(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)の酸化物の少
なくとも一つと炭素材料とを含むことを特徴とする。
しくはスズの酸化物を用いる理由は、これらの一つを負
極の主材料である炭素材料と混合することによって、大
きな放電容量が得られ、サイクル特性が向上することを
発見したからである。この理由については定かではない
が、4B属の元素であるケイ素、ゲルマニウム、スズの
酸化物はリチウムの吸蔵、放出が可能であり、その際の
吸蔵可能量が多いためであると考えられる。
法による(002)面の格子面間隔d0 02が3.39Å以下で、
C軸方向の結晶子の大きさLcが300Å以上であるもの
が、負極の主材料として好ましい。また、その平均粒径
の使用好適な範囲は、1〜50μmとするのがよい。
を含有したケイ素酸化物(以下、リチウム含有ケイ素酸
化物と称することがある)、リチウムを含有したゲルマ
ニウム酸化物(以下、リチウム含有ゲルマニウム酸化物
と称することがある)、リチウムを含有したスズ酸化物
(以下、リチウム含有スズ酸化物と称することがある)
を例示した理由は、特に大きな放電容量を有し、サイク
ル特性を一層向上させることを発見したからである。
1〜10μmの粒径を有するものが放電容量、サイクル特
性に優れるので好ましい。
負極材料に対して1重量%から10重量%の範囲で混合し
たものが好ましい。
い、これらをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポ
リフッ化ビニリデン(PVdF)等の結着剤と混練し、合剤
として負極に使用する。
使用する正極材料としては、リチウム含有複合酸化物
(例えばLiCoO2)等の従来非水系電池用として使用さ
れている種々の正極材料を用いることができる。これを
アセチレンブラック、カーボンブラック等の導電剤、及
びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビ
ニリデン(PVdF)等の結着剤と混練し、合剤として使用
する。
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレン
カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、メチルエチルカーボネート、スルホラン、3-メ
チルスルホラン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロ
フラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラ
ンの単体あるいは複数成分を混合して使用することがで
きるが、これに限定されるものではない。
リン酸リチウムなどフッ素元素を含有するものが安定で
あるので、放電容量、充放電サイクル特性の点で優れる
ので好ましいといえる。具体的には、LiPF6、LiBF4、Li
CF3SO3、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9S
O2)、LiN(C2F5SO2)2及びこれらの混合物から選択された
少なくとも1種が例示できる。
るセパレーターとしては、イオン導電性に優れたポリエ
チレン製やポリプロピレン製の微多孔性膜など、従来リ
チウム二次電池用として使用されている種々のものを用
いることができる。
さらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により何
ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲
において適宜変更して実施することが可能なものであ
る。 [実験1]この実験1では、負極の炭素材料への添加物
の種類を代えて、本発明に係る特定の酸化物の優位性に
ついて検討を行った。 (実施例1:ケイ酸リチウム添加)この実施例1では、
酸化物としてケイ酸リチウムを使用した場合について、
以下に詳述する。
ち、天然黒鉛粉末に対して平均粒径5μmのケイ酸リチ
ウム粉末(Li4SiO4)を5重量%加え、混合して金属酸
化物を含有した電極材料を得た。この電極材料に結着剤
としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、重量比90:10
の比率で混合して負極合剤を得た。尚、ここで使用した
天然黒鉛粉末の平均粒径は、10μmのものを使用してい
る。
ンを加えスラリー状にし、集電体としての銅箔に塗布し
た後、圧延して幅42cmに切り出して負極を作製した。
ち、コバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末と、導電剤と
しての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデ
ン(PVdF)とを、重量比90:5:5の比率で混合して正
極合剤を得た。
ンを加えスラリー状にし、集電体としてのアルミ箔に塗
布した。その後、圧延して幅40cmに切り出して、正極を
作製した。
ネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との
等体積混合溶媒に、電解質としての六フッ化リン酸リチ
ウムを1モル/リットルの割合で溶かして調製した。
レン製の微多孔性薄膜からなるセパレータなどを用い
て、小型円筒形の本発明に係わるリチウム二次電池を作
製した。尚、電池寸法は直径14.2mm、高さ50.0mmであ
る。
A1の断面図である。電池A1は、正極1、負極2、こ
れらの両電極を隔離するセパレーター3、アルミ製の正
極リード4、ニッケル製の負極リード5、正極端子6、
及び負極缶7からなる。 (実施例2:酸化ケイ素添加)この実施例2では、酸化
物として酸化ケイ素を用いた場合について例示する。負
極の主材料である天然黒鉛粉末に、平均粒径5μmの酸
化ケイ素粉末(SiO2)を黒鉛粉末重量に対して5重量
%混合した電極材料を用いて、上記実施例1と同様にし
て、本発明に係わるリチウム二次電池用負極及びリチウ
ム二次電池A2を作製した。 (実施例3:酸化ゲルマニウム添加)この実施例3で
は、酸化物として酸化ゲルマニウムを用いたものを例示
する。負極の主材料である天然黒鉛粉末に、平均粒径5
μmの酸化ゲルマニウム粉末(GeO2)を黒鉛粉末重量
に対して5重量%混合した電極材料を用いて、上記実施
例1と同様にして、本発明に係わるリチウム二次電池用
負極及びリチウム二次電池A3を作製した。 (実施例4:酸化スズ添加)この実施例3では、酸化物
として酸化スズを用いたものを例示する。
粒径5μmの酸化スズ粉末(SnO2)を黒鉛粉末重量に
対して5重量%混合した電極材料を用いて、上記実施例
1と同様にして、本発明に係わるリチウム二次電池用負
極及びリチウム二次電池A4を作製した。 (比較例1)酸化物粉末は使用せず、天然黒鉛粉末のみ
を用いて上記実施例1と同様にして、比較用のリチウム
二次電池Xを作製した。 (比較例2)負極の主材料である天然黒鉛粉末に、平均
粒径5μmの窒化ケイ素(Si3N4)を黒鉛粉末重量に対
して5重量%混合した電極材料を用いて、上記実施例1
と同様にして、比較用のリチウム二次電池Yを作製し
た。 (比較例3)負極の主材料である天然黒鉛粉末を、トリ
メチルエトキシシランの加水分解物水溶液に浸漬し、12
0℃にて2時間乾燥し、ケイ素化合物で被膜した天然黒
鉛を得た。この際、ケイ素化合物の被覆量は5重量%で
あった。このケイ素化合物で被覆した天然黒鉛を用いた
以外は、上記実施例1と同様にして、比較用のリチウム
二次電池Zを作製した。
公報に開示された技術に近いものである。 (電池特性の比較試験)上述のとおり準備した本発明電
池A1〜A4及び比較電池X、Y、Zを用いてその放電
容量とサイクル特性とを比較した。
の充放電率で電池電圧4.2Vまで充電した後、2.7Vに至
るまで放電したときの初期放電容量(mAh)、200サイク
ル後の放電容量及びサイクル劣化率を調べた。
ている。 サイクル劣化率(%/サイクル)=[{(初期放電容
量)−(200サイクル後放電容量)}/(初期放電容
量)]×100×(1/200) この結果を、表1に示す。
マニウム、スズの酸化物を含有する電極材料を用いた本
発明に係わるリチウム二次電池A1〜A4は、比較電池
X、Y、Zと比べて、初期の放電用量が大きく、優れた
サイクル特性を有することがわかる。 [実験2]この実験2では、負極の酸化物へのリチウム
含有の優位性について、検討を行った。
mのゲルマニウム酸リチウム粉末(Li2GeO3)を、天然
黒鉛粉末の重量に対して5重量%混合した電極材料を用
いた。このようにして、上記実施例1と同様にして、リ
チウム二次電池用負極及びリチウム二次電池B1を作製
した。
径5μmのスズ酸リチウム粉末(Li 4Sn6O8)を、天然
黒鉛粉末の重量に対して5重量%混合した電極材料を用
いた。このようにして、上記実施例と同様にして、リチ
ウム二次電池用負極及びリチウム二次電池B2を作製し
た。
1同様にして、初期放電容量(mAh)、200サイクル後の
放電容量及びサイクル劣化率を調べた。
実験1で使用した電池A1、A2、A3及びA4の結果
を、併せて掲載している。
素酸化物(電池A1)、リチウム含有ゲルマニウム酸化
物(電池B1)、リチウム含有スズ酸化物(電池B2)
を使用することが、放電特性、サイクル特性に優れたリ
チウム二次電池を得る上で、より一層好ましいことがわ
かる。 [実験3]そして、この実験3では、負極に含有させた
酸化物の粒径、即ちケイ酸リチウム(Li4SiO4)の粒径
を変化させて、その依存性を検討した。
(電池C1)、1.0μm(電池C2)、3.0μm(電池C
3)、7.0μm(電池C4)、10.0μm(電池C5)、1
5.0μm(電池C6)とそれぞれ代えた以外は、前述の
電池A1と同様にして、本発明に係わるリチウム二次電
池C1〜C6を作製した。
0.4Cの充放電率で電池電圧4.2Vまで充電した後、2.7
Vに至るまで放電したときの初期放電容量(mAh)、200
サイクル後の放電容量及びサイクル劣化率を調べた。
実験1で使用した電池A1の結果を、併せて掲載した。
〜10.0μmの酸化物と炭素材料とを混合使用したリチウ
ム二次電池(電池C2、電池C3、電池A1、電池C
4、電池C5)は、特に優れた放電容量、サイクル特性
を有することがわかる。
酸リチウム粉末の粒径を変化させているが、リチウムを
含有させていないケイ素の酸化物や、ゲルマニウムの酸
化物、スズの酸化物を用いた場合であっても、有効な粒
径の範囲については、同様の傾向が観察され、前記ゲル
マニウムの酸化物、スズの酸化物はリチウムを含んでい
てもよい。 [実験4]この実験4では、負極に使用した酸化物、即
ちケイ酸リチウム(Li4SiO4)の添加量(重量%)を変
化させて、その依存性を検討した。
然黒鉛粉末の重量に対して、0.5重量%(電池D1)、
0.8重量%(電池D2)、1.0重量%(電池D3)、3.0
重量%(電池D4)、7.0重量%(電池D5)、10.0重
量%(電池D6)、12.0重量%(電池D7)、15.0重量
%(電池D8)とそれぞれ代えた以外は、上記実験1の
電池A1と同様にして、リチウム二次電池D1〜D8を
作製した。
を比較した。この時の実験条件は、上記実験1と同様で
ある。
実施例1で準備した電池A1のデータも併せて示してあ
る。
量を1.0重量%から10重量%の範囲としたもの(電池D
3、電池D4、電池A1、電池D5、電池D6)の、放
電容量、サイクル特性の向上が顕著である。
ウム粉末を用いたが、リチウムを含有させていないケイ
素の酸化物や、ゲルマニウムの酸化物、スズの酸化物を
用いた場合であっても、添加量の範囲については同様の
傾向が観察される。尚、前記ゲルマニウムの酸化物、ス
ズの酸化物は、リチウムを含んでいても良い。
に適用する場合の具体例について説明したが、電池の形
状などについては特に制限はなく、本発明は広く扁平
形、角形など、種々の形状のリチウム二次電池に適用し
得るものである。
素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)の酸化物の
少なくとも一つと炭素材料とからなるリチウム二次電池
用負極が用いられているので、初期放電容量を増大させ
ることができ、サイクル劣化率の小さく、サイクル後の
放電容量の大きなリチウム二次電池が提供でき、その工
業的価値は極めて大きい。
Claims (5)
- 【請求項1】 ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ス
ズ(Sn)の酸化物の少なくとも一つと炭素材料とを含む
ことを特徴とするリチウム二次電池用負極。 - 【請求項2】 前記酸化物が、リチウムを含有したケイ
素酸化物、リチウムを含有したゲルマニウム酸化物、リ
チウムを含有したスズ酸化物のうち少なくとも一つであ
ることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池用
負極。 - 【請求項3】 前記酸化物が、1〜10μmの粒径を有す
る粒子であることを特徴とする請求項1記載のリチウム
二次電池用負極。 - 【請求項4】 前記酸化物が、負極の重量に対して1重
量%から10重量%の範囲で含有されることを特徴とする
請求項1記載のリチウム二次電池用負極。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のリチウ
ム二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウム二
次電池。
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