JP2009287092A - カルコパイライト型半導体膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料粉末として、Cu−Se二元系銅合金粉末、Cu−In二元系銅合金粉末、Cu−Ga二元系銅合金粉末およびCu−In−Ga三元系銅合金粉末を用意し、前記Cu−Se二元系銅合金粉末に前記Cu−In二元系銅合金粉末、Cu−Ga二元系銅合金粉末またはCu−In−Ga三元系銅合金粉末をCuaInbGacSed(但し、単位は原子%、25≦a≦65、0≦b≦50、0≦c≦30、30≦d≦50、a+b+c+d=100)からなる成分組成を有するように配合し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末をホットプレスしてホットプレス体を作製し、このホットプレス体の表面を切削することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
前記カルコパイライト型半導体膜からなる光吸収層はCuaInbGacSed(但し、単位は原子%、25≦a≦65、0≦b≦50、0≦c≦30、30≦d≦50、a+b+c+d=100)からなる成分組成を有することが一般に知られており、このカルコパイライト型半導体膜の成膜方法として、蒸着法により成膜する方法が知られている。この蒸着法により得られたカルコパイライト型半導体膜からなる光吸収層は高いエネルギー変換効率が得られるものの、蒸着法による成膜は速度が遅いためにコストがかかる。そのために、スパッタリング法によってカルコパイライト型半導体膜からなる光吸収層を形成する方法が提案されている。
このカルコパイライト型半導体膜をスパッタリング法により成膜する方法の一例として、スパッタ装置にCu−GaターゲットおよびInターゲットを同時に設置してスパッタすることによりCu−Ga−In膜を成膜し、このCu−Ga−In膜をSe雰囲気中で熱処理してカルコパイライト型半導体膜であるCu−In−Ga−Se合金膜を成膜する方法が提案されている(特許文献1参照)。そして、これらCu−GaターゲットおよびInターゲットはいずれも鋳造で作製されている。
そこで、CuとSeは合金化し、CuとSeは反応しない性質を利用して、まず、Cu−Se合金溶湯を作製し、このCu−Se合金溶湯にInおよび/またはGaを添加して溶解し鋳造することによりCu−In−Ga−Se合金ターゲット、Cu−Ga−Se合金ターゲット、Cu−In−Se合金ターゲットを作製しようとしたが、Cu−Se合金溶湯に単体として残留しているSeがInおよび/またはGaとが激しく反応して爆発を起こすことがあった。
(イ)単体のCu粉末、Se粉末、In粉末および/またはGa粉末を所定の成分組成となるように配合し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末をホットプレスすることによりカルコパイライト型半導体ターゲットを製造しようとしたが、ホットプレス中にSe粉末が溶け出し、SeとIn粉末および/またはGa粉末が激しく反応してホットプレス装置を破壊することがあるので好ましくない、
(ロ)CuとSeとは合金化し、このCuとSeからなるCu−Se二元系銅合金粉末はIn粉末および/またはGa粉末と激しく反応することは無いが、Seを高濃度で含有するCu−Se二元系銅合金粉末にはSeが単体で残留することがあり、Cu−Se二元系銅合金粉末中に残留した単体のSeがあると、このSeがIn粉末および/またはGa粉末と激しく反応することがあることから、Inおよび/またはGaをCuと合金化させたCu−In二元系銅合金粉末、Cu−Ga二元系銅合金粉末およびCu−In−Ga三元系銅合金粉末をCu−Se二元系銅合金粉末を作製し、これらCu−In二元系銅合金粉末、Cu−Ga二元系銅合金粉末およびCu−In−Ga三元系銅合金粉末をCu−Se二元系銅合金粉末と混合して混合粉末を作製し、この混合粉末をホットプレスすることによりカルコパイライト型半導体膜成膜用スパッタリングターゲットを安全に量産することができる、などの研究結果が得られたのである。
(1)原料粉末として、CuとSeからなるCu−Se二元系銅合金粉末、CuとInからなるCu−In二元系銅合金粉末、CuとGaからなるCu−Ga二元系銅合金粉末およびCuとInとGaからなるCu−In−Ga三元系銅合金粉末を用意し、前記Cu−Se二元系銅合金粉末に前記Cu−In二元系銅合金粉末、Cu−Ga二元系銅合金粉末またはCu−In−Ga三元系銅合金粉末をCuaInbGacSed(但し、単位は原子%、25≦a≦65、0≦b≦50、0≦c≦30、30≦d≦50、a+b+c+d=100)からなる成分組成を有するように配合し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末をホットプレスしてホットプレス体を作製し、このホットプレス体の表面を切削するカルコパイライト型半導体膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法、に特徴を有するものである。
前記Cu−Ga二元系銅合金粉末はGa:20〜70原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記Cu−Se二元系銅合金粉末はSe:40〜80原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記Cu−In−Ga三元系銅合金粉末はIn:20〜70原子%、Ga:10〜50原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有することが好ましい。したがって、この発明は、
(2)前記Cu−Se二元系銅合金粉末はSe:40〜80原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記Cu−In二元系銅合金粉末はIn:20〜60原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記Cu−Ga二元系銅合金粉末はGa:20〜70原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記Cu−In−Ga三元系銅合金粉末はIn:20〜70原子%、Ga:10〜50原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有する前記(1)記載のカルコパイライト型半導体膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法、に特徴を有するものである。
Cu−Se二元系銅合金粉末:
Cu−Se二元系銅合金粉末に含まれるSeを40〜80原子%に限定した理由は、Seが80原子%を越えて含有すると、単体のSeが残ることがあり、この単体で残ったSeがCu−In二元系銅合金粉末、Cu−Ga二元系銅合金粉末およびCu−In−Ga三元系銅合金粉末などに含まれる単体のInおよび/またはGaと反応してホットプレス中に爆発的に反応し、ホットプレス装置を破壊する恐れがあるので好ましくなく、一方、Seが40原子%未満含まれるCu−Se二元系銅合金粉末を用いて作製したターゲットはSe含有量が30原子%未満となってカルコパイライト型半導体膜が得られなくなるので好ましくないからである。
Cu−In二元系銅合金粉末:
Cu−In二元系銅合金粉末に含まれるInを20〜60原子%に限定した理由は、Inが60原子%を越えて含有すると粉末化できなくなるので好ましくなく、一方、Inが20原子%未満含まれるCu−In二元系銅合金粉末を用いて作製したターゲットはIn含有量が5原子%未満となってカルコパイライト型半導体膜が得られなくなるので好ましくないからである。
Cu−Ga二元系銅合金粉末:
Cu−Ga二元系銅合金粉末に含まれるGaを20〜70原子%に限定した理由は、Gaが70原子%を越えて含有するとCu−Ga二元系銅合金粉末を焼結することができなくなるので好ましくなく、一方、Gaが20原子%未満含まれるCu−Ga二元系銅合金粉末を用いて作製したターゲットはGa含有量が5原子%未満となってカルコパイライト型半導体膜が得られなくなるので好ましくないからである。
Cu−In−Ga三元系銅合金粉末:
Cu−In−Ga三元系銅合金粉末に含まれるInを20〜70原子%に限定し、さらにGaを10〜50原子%に限定した理由は、Inが70原子%を越えて含有すると粉末化できなくなるので好ましくなく、さらにGaが50原子%を越えて含有すると粉末化できるがホットプレスで焼結することができなくなるので好ましくなく、一方、Inが20原子%未満、Gaが10原子%未満ではカルコパイライト型半導体が得られなくなるので好ましくないからである。
この発明のカルコパイライト型半導体膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法で使用する原料粉末は、作製したCu−Se二元系銅合金溶湯、Cu−In二元系銅合金溶湯、Cu−Ga二元系銅合金溶湯およびCu−In−Ga三元系銅合金溶湯をそれぞれアトマイズするかまたは鋳造してインゴットを作製し、このインゴットを粉砕して作製することができる。
無酸素銅をArガスを流しながら溶解し、得られたCu溶湯にSeを添加し、Se:80質量%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有するインゴットを作製し、このインゴットを振動ミルにより粉砕し、150メッシュの篩を使用して分級し、
Se:80質量%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し平均粒径:35μmを有するCu−Se二元系銅合金粉末A、並びに、
Se:85質量%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し平均粒径:35μmを有するCu−Se二元系銅合金粉末B、
を作製した。
In:70質量%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し平均粒径:35μmを有するCu−In二元系銅合金粉末C、並びに、
In:75質量%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し平均粒径:35μmを有するCu−In二元系銅合金粉末D、
を作製した。
Ga:70質量%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し平均粒径:35μmを有するCu−Ga二元系銅合金粉末E、並びに、
Ga:75質量%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し平均粒径:35μmを有するCu−Ga二元系銅合金粉末F、
を作製した。
Claims (2)
- 原料粉末として、CuとSeからなるCu−Se二元系銅合金粉末、CuとInからなるCu−In二元系銅合金粉末、CuとGaからなるCu−Ga二元系銅合金粉末およびCuとInとGaからなるCu−In−Ga三元系銅合金粉末を用意し、前記Cu−Se二元系銅合金粉末に前記Cu−In二元系銅合金粉末、Cu−Ga二元系銅合金粉末またはCu−In−Ga三元系銅合金粉末をCuaInbGacSed(但し、単位は原子%、25≦a≦65、0≦b≦50、0≦c≦30、30≦d≦50、a+b+c+d=100)からなる成分組成を有するように配合し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末をホットプレスしてホットプレス体を作製し、このホットプレス体の表面を切削することを特徴とするカルコパイライト型半導体膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記Cu−In二元系銅合金粉末はIn:20〜60原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記Cu−Ga二元系銅合金粉末はGa:20〜70原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記Cu−Se二元系銅合金粉末はSe:40〜80原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記Cu−In−Ga三元系銅合金粉末はIn:20〜70原子%、Ga:10〜50原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有することを特徴とする請求項1記載のカルコパイライト型半導体膜成膜用スパッタリングターゲットの製造方法。
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