JP2007123720A - 光電変換装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】化合物半導体薄膜を用いた光電変換素子の暗電流を大幅に低減する。
【解決手段】基板上に下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造の化合物半導体薄膜、透光性電極層が順次積層されて構成される光電変換装置であって、透光性電極層の端部の位置が、化合物半導体薄膜の側面よりも内側になるようにパターニングし、PN接合界面の端部が、パターニングされた化合物半導体薄膜の側面に達しないように、PN接合界面が化合物半導体薄膜の内部に埋め込まれた構造とすることによって、PN接合の界面の端部からのリーク電流を、さらに低減できる。
【選択図】図1
【解決手段】基板上に下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造の化合物半導体薄膜、透光性電極層が順次積層されて構成される光電変換装置であって、透光性電極層の端部の位置が、化合物半導体薄膜の側面よりも内側になるようにパターニングし、PN接合界面の端部が、パターニングされた化合物半導体薄膜の側面に達しないように、PN接合界面が化合物半導体薄膜の内部に埋め込まれた構造とすることによって、PN接合の界面の端部からのリーク電流を、さらに低減できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、光電変換装置およびその製造方法に係り、特にカルコパイライト構造の半導体薄膜を用いた光電変換装置に関する。
Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる、カルコパイライト構造の半導体薄膜であるCuInSe2(CIS系薄膜)、あるいは、これにGaを固溶したCu(In,Ga)Se2(CIGS系薄膜)を光吸収層に用いた薄膜太陽電池は、高いエネルギー変換効率を示し、光照射等による効率の劣化が少ないという利点を有している。
図8(a)乃至(d)は、従来の、CIGS系薄膜太陽電池のセルの製造方法を説明するためのデバイスの断面図である。
図8(a)に示されるように、まず、SLG(ソーダライムガラス)基板100上にプラス側の下部電極となるMo(モリブデン)電極層200が形成される。
次に、図8(b)に示されるように、Mo電極層200上に、組成制御されてp−型を示す、CIGS系薄膜からなる光吸収層3が形成される。
次に、図8(c)に示すように、その光吸収層3上に、CdSからなるバッファ層400を形成し、そのバッファ層400上に、不純物がドーピングされてn+型を示す、マイナス側の上部電極となるZnO(酸化亜鉛)からなる透光性電極層500を形成する。
次に、図8(d)に示すように、メカニカルスクライブ装置によって、ZnOからなる透光性電極層500からMo電極層200までを、一括してスクライブ加工する。これによって、薄膜太陽電池の各セルが電気的に分離(すなわち、各セルが個別化)される。
このスクライビング工程は、レーザスクライビング(レーザ光を照射することによって薄膜を部分的に除去するスクライブ技術)を利用することもできる。
しかし、この場合には、レーザ光を集中的に照射するために、局部的に高熱が発生し、これによってセルの特性が劣化するという不都合が生じる。
したがって、太陽電池のセルは、一般に、メカニカルスクライビング装置によって電気的に分離される。
特許文献1に記載のメカニカルスクライブ装置では、所定のテーパー角度をもって先細りになり、かつ先端が平坦な刃を、所定の圧力をもって被加工面のスクライブ箇所に垂直に押し付け、その刃を被加工面に沿って移動させることによってスクライブ加工を行っている。
特開2004−115356号公報
現在、CIS系薄膜ならびにCIGS系薄膜は、太陽電池としての利用が主流である。
一方、本発明の発明者らは、この化合物半導体薄膜材料の高い光吸収係数と、可視光から近赤外光までの広い波長域に渡って高い感度をもつ特性に着目し、この化合物半導体薄膜材料を、セキュリティカメラ(昼間は可視光をセンシングし、夜間は近赤外光をセンシングするカメラ)や、個人認証カメラ(外光の影響を受けない近赤外光で個人認証するためのカメラ)、あるいは、車載カメラ(夜間の視覚補助や遠方の視野確保等にために車に搭載されるカメラ)用のイメージセンサとして利用することについて検討した。
この結果として、CIS系薄膜(CuInSe2)を例にとると、暗電流(逆バイアス時にPN接合に流れる電流)が予想外に大きいことがわかった。
すなわち、例えば、−0.8Vの逆バイアス時に、1×10−3A/cm2程度の暗電流が流れ、この値は、シリコン系材料よりも6桁大きい。このままでは、1000Lux(ルクス)以下の弱い光は、雑音に埋もれてしまい、検出できないことになる。
そこで、暗電流の大幅に低減する必要が生じた。本発明の発明者は、化合物半導体薄膜において暗電流が増大する要因を詳細に調べたが、その結果、メカニカルスクライビング時に化合物半導体材料の結晶にダメージや欠陥が生じ、これにより、PN接合の界面に複数のエネルギー準位が発生し、これが大きな暗電流の要因となることがわかった。
すなわち、図8(d)において、PN接合の界面(空乏層の境界:点線で示される)の端部(図中、丸で囲んで示されるA,B部分)は、メカニカルスクライビングされて露出するCIGS薄膜300の側壁に到達している。メカニカルスクライビング面は、結晶のダメージが大きく、不要な界面順位が存在する。したがって、この部分で、PN接合のリーク電流が増大してしまう。
本発明は、このような考察に基づいてなされたものであり、化合物半導体薄膜を用いた光電変換素子の暗電流を大幅に低減することを目的とする。
本発明は、基板上に下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造の化合物半導体薄膜、透光性電極層が順次積層されて構成される光電変換装置であって、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜の端部が前記透光性電極層の端部よりも外方に位置するように、前記透光性電極層のパターンが形成されている。
化合物半導体薄膜のパターンの端面は、ダングリングボンド(結合手)等が存在して不要なエネルギー準位が形成されることがあるが、この構成によれば、化合物半導体薄膜と透光性電極との界面に形成されるPN接合界面の端部が、素子領域として機能しないように、透光性電極を除去しているため、リーク電流に起因する暗電流の低減をはかることができる。
本発明の光電変換装置は、複数の光電変換素子セルが集積化されたものを含む。
この構成により、集積化構造の光電変換装置においても暗電流の低減を図ることができる。
本発明の光電変換装置は、複数の光電変換素子セルが集積化されており、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜が基板表面に一体的に形成されたものを含む。
この構成により、透光性電極をパターニングするのみで、作業性よく、暗電流の低い光電変換装置を形成することができる。
本発明の光電変換装置は、複数の光電変換素子セルが集積化されており、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜が前記透光性電極のパターンエッジよりも外方にパターンエッジが位置するように形成されたものを含む。
この構成により、集積化構造の光電変換装置においても暗電流の低減を図ることができる。
本発明の光電変換装置は、前記化合物半導体薄膜は、前記透光性電極のパターンよりもパターン幅が大きくなるように配列されたものを含む。
この構成により、暗電流の低い、マトリックス型の光電変換装置を容易に形成することができる。一回のフォトリソグラフィで形成する場合には、エッチング条件を調整することにより、透光性電極のパターンエッジよりも前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜のパターンエッジの方が外方に位置するように形成することができる。
本発明の光電変換装置は、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜は、Cu(Inx,Ga(1-x))Se2(0≦x≦1)であるものを含む。
この構成によれば、In(インジウム)の一部をガリウムに置換したCIGS系薄膜を用いることにより、CIS系薄膜(CuInSe2)のバンドギャップの広幅化が有効となり、これにより、バンド幅を広げることによって、キャリアの再結合過程を減らすことができ、暗電流の低減をはかることができる。
本発明の光電変換装置は、前記透光性電極層は、前記化合物半導体薄膜との界面に設けられるノンドープのZnO膜と、前記ノンドープのZnO膜上に設けられるn+型のZnO膜とで構成されるものを含む。
この構成によれば、透光性電極層としてノンドープのZnO膜(i−ZnO)を設けることにより、下地のCIGS薄膜に生じるボイドやピンホールを半絶縁層で埋め込むと共に、CIGS薄膜とi−p接合を形成し、導電性のZnO膜(n+)をCIGS薄膜と直接に接触させた場合に起こるトンネル電流によるリークを防ぐことができる。したがって、ノンドープのZnO膜(i−ZnO)を厚膜化することによって、PN接合界面の暗電流を低減することができる。
本発明の光電変換装置は、前記光電変換装置は、近赤外光領域にも感度をもつフォトセンサであるものを含む。
本発明のセンサは、近赤外光にも高い感度を有するため、セキュリティカメラ(昼間は可視光をセンシングし、夜間は近赤外光をセンシングするカメラ)や、個人認証カメラ(外光の影響を受けない近赤外光で個人認証するためのカメラ)、あるいは、車載カメラ(夜間の視覚補助や遠方の視野確保等にために車に搭載されるカメラ)として、十分に利用可能である。
本発明の光電変換装置は、前記光電変換装置は、太陽電池であるものを含む。
本発明の光電変換装置は、PN接合の界面における光電変換ロスが、従来に比べて、十分に低減されているため、光により発生した電荷の収集効率が高く、光電変換効率が高い太陽電池を実現することができる。
本発明の方法は、基板上に下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造の化合物半導体薄膜、透光性電極層が積層されて構成される光電変換装置の製造方法であって、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜の一部が露呈するように、前記透光性電極を前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜に対して選択的に除去し、パターニングする工程を含む。
本発明の光電変換装置の製造方法は、前記透光性電極層をパターニングする工程が、前記透光性電極層と前記化合物半導体薄膜の接触によって構成されるPN接合界面の端部が、前記化合物半導体薄膜の側面に達しないように、前記透光性電極層の端部の位置が、前記化合物半導体薄膜の側面よりも内側になるようにパターニングする工程であるものを含む。
本発明の光電変換装置の製造方法は、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜を形成する工程は、PVD法により、Cu(Inx,Ga(1-x))Se2(0≦x≦1)薄膜を成膜する工程を含み、前記透光性電極層を形成する工程は、前記化合物半導体薄膜上にノンドープのZnO膜を形成する工程と、前記ノンドープのZnO膜上にn+型のZnO膜とを形成する工程を含む。
メカニカルスクライビングに代えて、フォトリソグラフィによるエッチングを用いて、透光性電極層をパターニングするのが望ましい。これに伴い、下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造の化合物半導体薄膜もPVD法による成膜後同様に、フォトリソグラフィによるエッチングによりパターニングすることになる。これによって、メカニカルスクライビングを行ったときのような、ダメージや欠陥が化合物半導体薄膜に生じず、暗電流の大幅な低減が可能となる。ここでPVD法とは、真空中で蒸発させた原材料を堆積させて成膜する方法をいうものとする。
また、フォトリソグラフィを用いてパターニングすることにより、メカニカルスクライビングを採用したときのような、ダメージや欠陥が化合物半導体の結晶に生じず、したがって、PN接合の界面に無用なエネルギー準位が生じず、暗電流の低減が可能である。また、ZnO膜のパターンを工夫して、PN接合界面を埋め込む構造とすることによって、PN接合界面の端部からのリーク電流を防止することもできる。すなわち、製造プロセスを変更し、光吸収層や透光性電極層のデバイス構造を最適化することによって、暗電流を103のオーダで、改善することができる。また、Cu(Inx,Ga(1-x))Se2でのバンドギャップコントロールによって、暗電流を102のオーダで、低減することができる。
本発明によれば、透光性電極層の端部の位置が、化合物半導体薄膜の側面よりも内側になるようにパターニングし、PN接合界面の端部が、パターニングされた化合物半導体薄膜の側面に達しないようにする(すなわち、PN接合界面が化合物半導体薄膜の内部に埋め込まれた構造とする)ことによって、PN接合の界面の端部からのリーク電流を、さらに低減できる。
また、In(インジウム)の一部をガリウムに置換したCIGS系薄膜を使用してバンド幅を広げることによって、キャリアの再結合過程を減らすことができ、暗電流を、さらに低減することができる。
また、Cu(Inx,Ga(1-x))Se2でのバンドギャップコントロールによって、暗電流を102のオーダで、低減することができる。
本発明のセンサは、近赤外光にも高い感度を有するため、セキュリティカメラ(昼間は可視光をセンシングし、夜間は近赤外光をセンシングするカメラ)や、個人認証カメラ(外光の影響を受けない近赤外光で個人認証するためのカメラ)、あるいは、車載カメラ(夜間の視覚補助や遠方の視野確保等にために車に搭載されるカメラ)として、十分に利用可能である。
また、本発明の光電変換装置は、PN接合の界面における光電変換ロスが、従来に比べて、十分に低減されているため、光により発生した電荷の収集効率が高く、光電変換効率が高い太陽電池を実現することができる。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる光電変換装置の製造方法の主要な工程の概要を示すフロー図である。図2は工程断面図である。
本発明の光電変換装置は、図2(j)に示すように、基板10上にMo薄膜からなる下部電極層20、光吸収(光電変換)層として機能するカルコパイライト構造のp型の化合物半導体薄膜(Cu(Inx,Ga(1-x))Se2(0≦x≦1))30、透光性電極層が順次積層されて構成され、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜の端部が前記透光性電極層の端部よりも外方に位置するように、前記透光性電極層のパターンが形成され、前記透光性電極層は、前記化合物半導体薄膜との界面に設けられるノンドープのZnO膜50と、前記ノンドープのZnO膜上に設けられるn+型のZnO膜60とで構成されたことを特徴とする。
本発明の光電変換装置は、図2(j)に示すように、基板10上にMo薄膜からなる下部電極層20、光吸収(光電変換)層として機能するカルコパイライト構造のp型の化合物半導体薄膜(Cu(Inx,Ga(1-x))Se2(0≦x≦1))30、透光性電極層が順次積層されて構成され、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜の端部が前記透光性電極層の端部よりも外方に位置するように、前記透光性電極層のパターンが形成され、前記透光性電極層は、前記化合物半導体薄膜との界面に設けられるノンドープのZnO膜50と、前記ノンドープのZnO膜上に設けられるn+型のZnO膜60とで構成されたことを特徴とする。
この構成によれば、透光性電極層としてノンドープのZnO膜(i−ZnO)を設けることにより、下地のCIGS薄膜に生じるボイドやピンホールを半絶縁層で埋め込むと共に、CIGS薄膜とi−p接合を形成し、導電性のZnO膜(n+)をCIGS薄膜と直接に接触させた場合に起こるトンネル電流によるリークを防ぐことができる。したがって、ノンドープのZnO膜(i−ZnO)を厚膜化することによって、PN接合界面の暗電流を低減することができる。
本発明の光電変換装置の製造プロセスでは、積層形成される下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造のp型の化合物半導体薄膜(以下、CIGS薄膜という)、透光性電極層(ノンドープの部分と、不純物がドープされてn+型を示す部分の双方を含んでいる)の各々を、フォトリソフラフィ技術を用いてパターニングし、CIGS薄膜の結晶に与えるダメージを最小限に抑える。
すなわち、本発明の光電変換装置の製造方法は、ガラス基板上に下部電極となるMo(モリブデン)層をスパッタ法により成膜し(0.6μm程度)、その後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする(工程S1)。
次に、CIGS薄膜の成膜と、フォトリソグラフィを用いたパターニングを行う。すなわち、組成制御のなされたp−型のCIGS薄膜(Cu(Inx,Ga(1-x))Se2(0<x<1))を、例えば、イオンビームスパッタ法によって成膜する(工程S2)。その厚みは、1.7μm程度である。
次に、そのCIGS薄膜(p−)を、ドライエッチングとウエットエッチングを併用した2段エッチングによってパターニングする(工程S3)。これにより、電気的に分離されたCIGS薄膜(p−)が得られる。
次に、バッファ層(窓層)としての、薄いCdS膜(50nm程度)を溶液成長法により成膜する(工程S4)。
次に、透光性電極層としてのZnO膜を成膜する(工程S5)。この工程が、本発明の最も重要な特徴点となる。
すなわち、スパッタ法により、ノンドープのZnO膜(i−ZnO)と、不純物がドープされた低抵抗のZnO(n+)膜を連続的に成膜する(工程S5a)。ここで、i−ZnOは60nm程度と薄く、一方、低抵抗化のZnO(n+)は、1μm程度と十分な厚みがある。
ノンドープのZnO膜(i−ZnO)は、下地のCIGS薄膜に生じるボイドやピンホールを半絶縁層で埋め込むと共に、CIGS薄膜とi−p接合を形成し、低抵抗のZnO膜(n+)をCIGS薄膜と直接に接触させた場合に起こるトンネル電流によるリークを防ぐ役割を果たす。
したがって、ノンドープのZnO膜(i−ZnO)を厚膜化することによって、PN接合界面の暗電流を低減することができる(約1/5とする効果が確認された)。但し、厚膜化するといっても、その厚みは十分に薄いため(例えば、60nm)、透光性電極層として機能する低抵抗のZnO(n+)膜とCIGS薄膜(p−)との間で実質的なpn接合が形成されると考えられる。
次に、ZnO膜(i−ZnOとZnO(n+))をパターニングする(工程S5b)。この工程S5bでは、ZnO膜の端部の位置が、パターニングされたCIGS薄膜(p−)の側面よりも内側になるようにパターニングする(すなわち、CIGS薄膜(p−)の上に、このCIGS薄膜(p−)よりも横幅が狭いZnO膜が形成されて、親亀子亀構造が形成されることになる)。
これにより、ZnO(n+)とCIGS薄膜(p−)とによって形成されるPN接合の界面(空乏層の境界)の端部が、パターニングされたCIGS薄膜(p−)の側壁(エッチングにより露出している面)に達することがなく、これによって、PN接合界面の埋込み構造が実現される。
フォトリソグラフィによりパターニングされたCIGS薄膜(p−)の側面は、メカニカルスクライビングの場合に比べ、結晶欠陥やダメージは十分に少ないが、それでも、ダングリングボンド(結合手)等が存在して不要なエネルギー準位が形成されることがないとはいえない。したがって、PN接合界面の端部が、このパターニングされたCIGS薄膜(p−)の側面(エッチングにより露出している面)に達しないようにすることによって、PN接合の界面の端部からのリーク電流を、さらに低減できる。
最後に、引き出し電極を形成する(工程S6)。これによって光電変換デバイスが完成する。
次に、図2を参照して、本発明の光電変換装置の製造方法を具体的に説明する。
図2(a)乃至(j)は、本発明の光電変換装置の製造方法を具体的に説明するための、主要な工程毎のデバイスの断面図である。
なお、以下の説明では、図3(a),(b)ならびに図4を、参照する。ここで、図3は、CIGS薄膜のパターニング方法を説明するためのデバイスのSEM(走査顕微鏡)による1万倍の拡大写真を模式化して示す図であり、(a)は、CIGS薄膜のドライエッチング直後の状態を示す図であり、(b)は、さらにウエットエッチングを行った後の状態を示す図である。
また、図4は、透光性電極層(ZnO膜)のパターニング後のデバイスのSEM(走査顕微鏡)の断面写真(2万倍の拡大写真)を模式化して示す図である。
まず、図2(a)に示すように、ソーダライムガラス基板(SLG)10上に、スパッタ法によりMo(モリブデン)膜を0.6μmの厚さで形成する。
図2(b)に示すように、例えば、Cu:In:Ga:Se=1:0.5:0.5:2の組成によってCIGS薄膜30を1.7μmの厚さで形成する。
図2(c)では、レジストパターン40を用いて、CIGS薄膜30を、ドライエッチングする。すなわち、塩素系ガスおよび臭素系ガスをエッチャントとして用いて、CIGS薄膜30を垂直にエッチングしてパターニングを行う。この場合、高いレートで、サイドエッチがほとんどないエッチングが可能であるが、多数の残渣35が残る(図3(a)からわかるように、多数のMo膜上に多数の柱状の残渣が残存している)。
そこで、図2(d)に示すように、臭素とメタノールの混合液、または、水とアンモニアの混合液で処理した後、塩酸と硝酸の混合液で処理して、残渣35を完全に除去する。図3(b)に示すように、残渣35は完全に除去される。
このように、ドライエッチングのエッチャントとして塩素系ガスおよび臭素系ガスを用いることによって、光吸収層を構成するCIGS薄膜30を高レートで、アンダーカットを生じさせることなく高精度にエッチングできる。その後、短時間のウエットエッチングを実施して、柱状の残渣35を完全に除去する。これによって、残渣を生じさせることなく、高精度のCIGS薄膜のパターンニングが可能となる。この場合、メカニカルエッチングを採用したときのような、ダメージや欠陥がCIGS薄膜30の結晶に生じず、暗電流の大幅な低減が可能となる。
次に、レジストパターン40を除去する。この状態のデバイス断面が図2(e)に示される。
図2(f)に示すように、バッファ層(窓層)としての、薄いCdS膜50(50nm程度)を溶液成長法により成膜し、続いて、スパッタ法により、ZnO膜60を成膜する。
ZnO膜60は、ノンドープのZnO膜(i−ZnO)と、n型不純物がドープされた、低抵抗のZnO(n+)膜(図中、n−ZnOと表記されている)を、連続的に成膜することによって形成される。ここで、i−ZnOの厚みは60nm程度であり、一方、低抵抗化のZnO(n+)の厚みは、1μm程度である。
ノンドープのZnO膜(i−ZnO)は、下地のCIGS薄膜に生じるボイドやピンホールを半絶縁層で埋め込むと共に、CIGS薄膜30とi−p接合を形成し、トンネル電流によるリークを防ぐ役割を果たす。
したがって、ノンドープのZnO膜(i−ZnO)を厚膜化することによって、PN接合界面の暗電流を低減することができる。但し、厚膜化するといっても、その厚みは十分に薄いため(例えば、60nm)、透光性電極層として機能する低抵抗のZnO(n+)膜とCIGS薄膜(p−)との間で実質的なpn接合が形成されると考えられる。
次に、図2(g)に示すように、レジストパターン70を形成した後、ZnO膜(i−ZnOとZnO(n+))30をウエットエッチングする。
すなわち、例えば、塩酸:水=1:10の希酸を用いて、ウエットエッチングを行う。このとき、エッチング時間を調整し、意図的に、サイドエッチを生じさせ、レジストパターン70の下にアンダーカットを生じさせる。これは、パターニングされたZnO膜60の端部の位置が、パターニングされたCIGS(p−)薄膜60の側面よりも内側になるようにするためである。
次に、レジストパターン70を用いてドライエッチングを行い、CIGS薄膜30の側壁上のCdS膜50を除去する。この状態のデバイスの断面構造が図2(h)に示されている。
次に、図2(i)に示すよう、レジストパターン70を除去する。図示されるように、ZnO膜60の横幅W2は、CIGS(p−)薄膜30の横幅W1よりも狭く、これによって、親亀子亀構造が形成されている。図4から明らかなように、ZnO膜60の端部の位置P2は、CIGS薄膜30の側壁の位置P1よりも内側に位置している。
この結果、図2(i)に示されるように、ZnO(n+)膜60とCIGS(p−)薄膜30によって形成されるPN接合の界面80(空乏層の境界:図中、点線で示されている)の端部が、パターニングされたCIGS(p−)薄膜30の側壁(エッチングにより露出した面)に達することがなく、これによって、PN接合界面の埋込み構造が実現される。
フォトリソグラフィによりパターニングされたCIGS(p−)薄膜の側壁(エッチングにより露出した面)は、メカニカルスクライビングの場合に比べ、結晶欠陥やダメージは十分に少ないが、それでも、ダングリングボンド(結合手)等が存在して不要なエネルギー準位が形成されることがないとはいえない。
したがって、PN接合界面80の端部が、このパターニングされたCIGS(p−)薄膜30の側壁に達しないようにすることによって、PN接合の界面の端部からのリーク電流を、さらに低減できる。
最後に、図2(j)に示されるように、アルミニウム等からなる引き出し電極90,95を形成する。これによって光電変換装置が完成する。
この光電変換装置は、高効率の太陽電池として、そのまま使用することができる。
(実施の形態2)
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の光電変換装置を、近赤外光領域にも高い感度をもつフォトセンサとして使用する例について説明する。
図5は、CIS薄膜(CIGS薄膜も同様である)の、光の波長に対する吸収係数を示す図である。図示されるように、CIS膜(CIGS薄膜)は、可視光から近赤外光までの広範囲に渡り、高い感度をもつことがわかる。
この点に着目し、本実施の形態では、本発明の化合物半導体薄膜からなる光電変換装置を、CMOS回路の形成されたシリコン基板上に積層して、複合イメージセンサを形成する。
図6は、通例のシリコン基板に形成されるCMOSイメージセンサの概略断面図である。また、図7は、本発明の実施の形態のCMOS回路の形成されたシリコン基板上に化合物半導体薄膜からなる光電変換装置(フォトセンサ)を積層してなる、本発明の複合イメージセンサの概略断面図である。
図6に示されるように、通例のCMOSイメージセンサは、P−型シリコン基板600内に、フォトダイオード610(例えば、pin構造をもつ)と、MOSトランジスタを構成するn+拡散層616、618、620が形成され、また、P−型シリコン基板600上に、MOSトランジスタのゲート層612,614と、配線層622と、保護膜(層間絶縁膜を含む)624が形成されている。
これに対し、本発明の複合イメージセンサは、P−型シリコン基板700内に、MOSトランジスタを構成するn+拡散層702、704、706,708が形成され、また、P−型シリコン基板700上に、MOSトランジスタのゲート層703,705と、配線層712,714と、層間絶縁膜710が形成されている。
そして、この層間絶縁膜710上に、化合物半導体薄膜からなる光電変換装置(フォトセンサ)が積層形成されている。
この光電変換装置(フォトセンサ)は、下部配線層716と、光吸収層として機能するCIGS薄膜(PD)718(図中、電極層は省略している)と、上部配線層720と、によって構成されている。
前記実施の形態で説明したように、本発明のCIGS薄膜は、フォトリソグラフィを用いた、ドライとウエットの2段エッチングによって残渣なく、高精度にパターニングされ、結晶へのダメージ、結晶欠陥が低減され、また、ZnO膜のフォトリソグラフィによるパターニングによって、PN接合界面の端部がCIGS薄膜のエッチングされた側壁に達しないように埋め込まれており、暗電流が、従来デバイスに比べ、5桁程度、劇的に低減されている。
本発明のセンサは、近赤外光にも高い感度を有するため、セキュリティカメラ(昼間は可視光をセンシングし、夜間は近赤外光をセンシングするカメラ)や、個人認証カメラ(外光の影響を受けない近赤外光で個人認証するためのカメラ)、あるいは、車載カメラ(夜間の視覚補助や遠方の視野確保等にために車に搭載されるカメラ)として、十分に利用可能である。
なお、上記の実施の形態では、カルコパイライト構造をもつ化合物半導体薄膜(CIGS薄膜)としては、Cu(Inx,Ga(1-x))Se2を用いているが、これに限定されるものではない。
CIGS薄膜としては、Cu(Inx,Ga(1-x))(Sey,S(1-y))2 x=0〜1,y=0〜1という組成のものも知られており、このような組成をもつCIGS薄膜も利用可能である。
このCIGS薄膜は、真空蒸着法やスパッタ法により基板上に形成可能である。真空蒸着法を用いる場合、化合物の各成分(Cu,In,Ga,Se,S)を蒸発源として基板上に別々に蒸着させる。スパッタ法では、カルコパイライト化合物をターゲットとして用いるか、あるいは、その各成分を別々にターゲットとして用いる。なお、カルコパイライト化合物半導体薄膜を金属基板又はガラス基板の上に形成する場合、基板を高温に加熱するため、カルコゲナイト元素(Se,S)の加熱による再蒸発が起こる。このため、カルコゲナイト元素の離脱による組成ずれが起こる場合がある。この場合は、成膜後にSe又はSの蒸気雰囲気中で400〜600℃の温度で1〜数時間程度の熱処理を行うようことにより、Se又はSを補充するのが望ましい(セレン化処理又は硫化処理)。
以上説明したように、本発明によれば、メカニカルスクライビングの代わりに、フォトリソグラフィによるエッチングを用いて、透光性電極層をパターニングし、これに伴い、下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造の化合物半導体薄膜も同様に、フォトリソグラフィによるエッチングによりパターニングし、これによって、メカニカルスクライビングを行ったときのようなダメージや欠陥が化合物半導体薄膜に生じず、暗電流の大幅な低減が可能となる。
また、透光性電極層の端部の位置が、化合物半導体薄膜の側面よりも内側になるようにパターニングし、PN接合界面の端部が、パターニングされた化合物半導体薄膜の側面に達しないようにする(すなわち、PN接合界面が化合物半導体薄膜の内部に埋め込まれた構造とする)ことによって、PN接合の界面の端部からのリーク電流を、さらに低減できる。
また、In(インジウム)の一部をガリウムに置換したCIGS系薄膜を使用してバンド幅を広げることによって、キャリアの再結合過程を減らすことができ、暗電流を、さらに低減することができる。
また、透光性電極層としてノンドープのZnO膜(i−ZnO)を設けることにより、下地のCIGS薄膜に生じるボイドやピンホールを半絶縁層で埋め込むと共に、CIGS薄膜とi−p接合を形成し、導電性のZnO膜(n+)をCIGS薄膜と直接に接触させた場合に起こるトンネル電流によるリークを防ぐことができる。したがって、ノンドープのZnO膜(i−ZnO)を厚膜化することによって、PN接合界面の暗電流を、さらに低減することができる(約1/5に低減できる)。
また、本発明の光電変換装置は、フォトリソグラフィを用いてパターニングされており、メカニカルスクライビングを採用したときのような、ダメージや欠陥が化合物半導体の結晶に生じず、したがって、PN接合の界面に無用なエネルギー準位が生じず、暗電流の低減が可能である。
また、ZnO膜のパターンを工夫して、PN接合界面を埋め込む構造とすることによって、PN接合界面の端部からのリーク電流を防止することもできる。すなわち、製造プロセスを変更し、光吸収層や透光性電極層のデバイス構造を最適化することによって、暗電流を103のオーダで、改善することができる。
また、Cu(Inx,Ga(1-x))Se2でのバンドギャップコントロールによって、暗電流を102のオーダで、低減することができる。
本発明のセンサは、近赤外光にも高い感度を有するため、セキュリティカメラ(昼間は可視光をセンシングし、夜間は近赤外光をセンシングするカメラ)や、個人認証カメラ(外光の影響を受けない近赤外光で個人認証するためのカメラ)、あるいは、車載カメラ(夜間の視覚補助や遠方の視野確保等にために車に搭載されるカメラ)として、十分に利用可能である。
また、本発明の光電変換は、PN接合の界面における光電変換ロスが、従来に比べて、十分に低減されているため、光により発生した電荷の収集効率が高く、光電変換効率が高い太陽電池を実現することができる。
本発明は、化合物半導体薄膜を用いた光電変換素子の暗電流を大幅に低減するという効果を奏し、したがって、セキュリティカメラや個人認証カメラ等に好適なフォトセンサ、固体撮像素子ならびに太陽電池、これらの光電変換装置の製造方法として有効である。
10 ソーダライムガラス(SLG)
20 Mo(モリブデン)膜
30 光吸収層としてのCIGS薄膜
35 ドライエッチング後の残渣
40 CIGS薄膜エッチング用のレジストパターン
50 バッファ層としてのCdS膜
60 ZnO膜(i−ZnO,n−ZnO)
70 ZnO膜のエッチング用マスク(レジストパターン)
80 PN接合界面(空乏層の境界)
85,90 光電変換装置の引き出し電極
20 Mo(モリブデン)膜
30 光吸収層としてのCIGS薄膜
35 ドライエッチング後の残渣
40 CIGS薄膜エッチング用のレジストパターン
50 バッファ層としてのCdS膜
60 ZnO膜(i−ZnO,n−ZnO)
70 ZnO膜のエッチング用マスク(レジストパターン)
80 PN接合界面(空乏層の境界)
85,90 光電変換装置の引き出し電極
Claims (12)
- 基板上に下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造の化合物半導体薄膜、透光性電極層が順次積層されて構成される光電変換装置であって、
前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜の端部が前記透光性電極層の端部よりも外方に位置するように、前記透光性電極層のパターンが形成されている光電変換装置。 - 請求項1記載の光電変換装置であって、
複数の光電変換素子セルが集積化されている光電変換装置。 - 請求項1または2に記載の光電変換装置であって、
複数の光電変換素子セルが集積化されており、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜が基板表面に一体的に形成された光電変換装置。 - 請求項1または2に記載の光電変換装置であって、
複数の光電変換素子セルが集積化されており、前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜が前記透光性電極のパターンエッジよりも外方にパターンエッジが位置するように形成された光電変換装置。 - 請求項3または4に記載の光電変換装置であって、
前記化合物半導体薄膜は、前記透光性電極のパターンよりもパターン幅が大きくなるように配列された光電変換装置。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の光電変換装置であって、
前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜は、Cu(Inx,Ga(1-x))Se2(0≦x≦1)である光電変換装置。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の光電変換装置であって、
前記透光性電極層は、前記化合物半導体薄膜との界面に設けられるノンドープのZnO膜と、前記ノンドープのZnO膜上に設けられるn+型のZnO膜とで構成される光電変換装置。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の光電変換装置であって、
前記光電変換装置は、近赤外光領域にも感度をもつフォトセンサである光電変換装置。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の光電変換装置であって、
前記光電変換装置は、太陽電池である光電変換装置。 - 基板上に下部電極層、光吸収層として機能するカルコパイライト構造の化合物半導体薄膜、透光性電極層が積層されて構成される光電変換装置の製造方法であって、
前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜の一部が露呈するように、前記透光性電極を前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜に対して選択的に除去し、パターニングする工程を含む光電変換装置の製造方法。 - 請求項10記載の光電変換装置の製造方法であって、
前記透光性電極層をパターニングする工程は、前記透光性電極層と前記化合物半導体薄膜の接触によって構成されるPN接合界面の端部が、前記化合物半導体薄膜の側面に達しないように、前記透光性電極層の端部の位置が、前記化合物半導体薄膜の側面よりも内側になるようにパターニングする工程である光電変換装置の製造方法。 - 請求項11または請求項11記載の光電変換装置の製造方法であって、
前記カルコパイライト構造の化合物半導体薄膜を形成する工程は、PVD法により、Cu(Inx,Ga(1-x))Se2(0≦x≦1)薄膜を成膜する工程を含み、
前記透光性電極層を形成する工程は、前記化合物半導体薄膜上にノンドープのZnO膜を形成する工程と、前記ノンドープのZnO膜上にn+型のZnO膜とを形成する工程を含む光電変換装置の製造方法。
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