JP2009182173A - グラフェントランジスタ及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】グラフェントランジスタ及び電子機器に関し、グラフェン膜を用いたチャネル層の特性を各場所で最適化することにより、グラフェントランジスタの性能を向上する。
【解決手段】一層以上のグラフェンからなる炭素膜12をキャリアが走行する能動領域とするとともに、前記能動領域を構成する前記炭素膜のキャリアの走行方向に垂直な方向の幅を場所によって変化させる。
【選択図】図1

Description

本発明はグラフェントランジスタ及び電子機器に関するものであり、高移動度と高耐圧特性とを両立するための構成に関するものである。
シリコン半導体は微細化により高性能化を果たしてきたが、加工技術の限界および発熱のため、その進歩に上限が見えてきた。
そこで、シリコンにかわる電子材料としてカーボン、特にグラフェン膜が提案されている。グラフェンはそのバンド構造からキャリア(電子、正孔)の移動度が大きく、シリコンに代わる将来の高速情報処理システムの構成要素として期待されている。
グラフェンは、上述のようにキャリア速度が大きいという特長を持つが、それ自体はバンドギャップがゼロの半導体であり、そのままトランジスタの材料とすると耐圧の低下、オフ電流の増大を招くという問題がある。
そのため、グラフェン膜にバンドギャップを持たせる方法が各種提案されている。
例えば、グラフェン膜の電流に垂直な方向の幅を微細化し、横方向に量子化するという方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
図11は、グラフェン膜におけるエネルギーギャップのリボン幅依存性の説明図であり、図から明らかなように、グラフェン膜の幅を細くするほどバンドギャップは増えていく。
近年、このようなグラフェン膜を用いて電界効果型トランジスタを構成することが提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
ここで、図12を参照して、グラフェン・リボンFETの一例を説明する。
図12は、従来のグラフェン・リボンFETの概略的平面図であり、幅が5nmのグラフェン・リボン81に、ゲート電極82を挟んでソース電極83及びドレイン電極84を設けたものである。
なお、グラフェンの成膜方法としては、基板上に直接化学気相成長法などを用い成長する方法が知られている(例えば、特許文献1或いは特許文献2参照)。
B.Obradovic,et al.,Applied Physics Letters,Vo1.88,142102,2006 http://www.ednjapan.com/content/I_news/2006/04/19_01..html 特開平07−002508号公報 特開平08−260150号公報
FETを構成するために要求される半導体材料の性質は、FETの各パートで必ずしも同一ではない。
例えば、大きな電界がかかるのはゲート端からゲート・ドレイン間にかけてであり、この部分の耐圧がデバイス全体の耐圧を決める(必要ならば、M.Sze,“Physics of Semiconductor Devices”,New York:Wiley,1981 参照)。
それ故、ゲート・ドレイン間にはバンドギャップの大きな材料が好ましい。
一方、ソース・ゲート間にはドレイン電圧が到達しないため通常、低電界であり、この間でキャリアを加速するには移動度が高い、すなわち有効質量が小さな材料が好ましい。
また、低電界ゆえに耐圧は要求されないので、バンドギャップは小さくてもかまわない。
このように、チャネルのソース側とドレイン側では材料に求められる特性が異なる。
しかしながら、一般に、半導体ではバンドギャップとキャリアの有効質量は比例する関係にあり、バンドギャップを増やすほど有効質量が増大し、移動度の低下を招くというトレードオフがある。
例えば、kp摂動を用いたバンド計算から、mをキャリアの有効質量、Eg をバンドギャップ、hをプランク定数とすると、
m=(h/2π)2 ・Eg /(2P2
の関係が導かれることが知られている。ここで、Pは波動関数から求められる運動量の期待値に比例した定数である(必要ならば、御子柴宣夫,「半導体の物理」,培風館,1982 参照)。
しかし、従来のグラフェントランジスタにおいては、グラフェン・リボンの幅を一定にしているので、幅を狭くしてバンドギャップを大きくすることにより耐圧を高めた場合には、キャリアの有効質量が大きくなって動作速度が低下することになる。
一方、幅を広くしてバンドギャップを小さくすることによりキャリアの有効質量を大きくして動作速度を速くした場合には、耐圧が低下するという問題がある。
したがって、本発明は、グラフェン膜を用いたチャネル層の特性を各場所で最適化することにより、グラフェントランジスタの性能を向上することを目的とする。
本発明の一観点からは、一層以上のグラフェンからなる炭素膜をキャリアが走行する能動領域とするとともに、前記能動領域を構成する前記炭素膜のキャリアの走行方向に垂直な方向の幅が場所によって変化するグラフェントランジスタが提供される。
開示のグラフェントランジスタによれば、チャネル層の特性を各場所で最適化することにより、高性能の電界効果型トランジスタ或いはラテラルヘテロ接合バイポーラトランジスタを構成することができ、ひいてはグラフェントランジスタを用いた電子機器の性能向上に寄与するところ大である。
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、グラフェン膜の幅を場所により変調することにより、バンドギャップを発生させ、かつ有効質量の増大を抑止したトランジスタを提供するものである。
具体的に言うと、ソース・ゲート間或いはベース領域でリボンの幅を大きくして有効質量を小さくして移動度を大きく、ゲート・ドレイン間或いはエミッタ領域でリボンの幅を小さくしてバンドギャップを大きくすることにより、有効質量とバンドギャップのトレードオフを回避し、より積極的にFET或いはラテラルヘテロ接合バイポーラトランジスタの特性を改善することができる。
グラフェンの成膜方法としては、基板上に直接化学気相成長法などを用い成長する方法(上述の特許文献1或いは特許文献2参照)や、カーボンナノチューブの先端部に成長したグラフェンシートを絶縁基板に転写する方法、或いは、絶縁基板上に成長させたSiC膜を熱処理によるグラフェン化する方法を用いる。
図1は、本発明をグラフェンFETに適用した場合の構成説明図であり、図1(a)は概念的平面図、図1(b)は概略的断面図、及び、図1(c)は、バンドダイヤグラムである。
図においては、絶縁基板11上に形成したグラフェン膜12の内、ソース領域を構成するグラフェン膜12の幅を25nmとし、ドレイン領域を構成するグラフェン膜12の幅を5nmとし、ゲート電極14直下のチャネル領域を構成するグラフェン膜12の幅を25nmから5nmに連続的に変化させる。
また、チャネル領域上にはゲート絶縁膜13を介してゲート電極14を設け、ソース領域にはソース電極15を設け、一方、ドレイン領域上にはドレイン電極16を設ける。
この時、図1(c)に示すように、上述の図11のバンドダイヤグラムのグラフェンリボン幅依存性から明らかなように、ソース側のバンドダイヤグラムは約0.04eVとなり、ドレイン側のバンドダイヤグラムは約0.2eVとなる。
ここで、図2を参照して本発明のグラフェンFETと従来のグラフェンFETの性能を、簡単なモデルにより比較してみる。
比較の対象は、ソース側を25nm幅、ドレイン側を5nm幅とした本発明のグラフェンFETと、全体を25nm幅とした従来のグラフェンFET、全体を5nmとした従来のグラフェンFETである。
図2は、各グラフェンFETの性能比較図であり、μmax ,Egmaxは移動度及びバンドギャップの最大値、Rs はソース抵抗、gm は相互コンダクタンス、IONは最大ON電流、BVはブレークダウン電圧である。
なお、ここではいくつかのパラメータを仮定しており、
ゲート容量:640nF/cm2
電子濃度:1012cm-2
ゲート−ソース間距離:0.1μm、
電子速度:5×107 cm/s
とした。
なお、全体を5nmとしたグラフェンの性能を3倍しているのは、同じ25nm幅の中には5nmのチャネルを3本配置できるからである。
まず、ソース抵抗Rs が図の左の2つで低いのは、上述のように、ソース側のリボン幅が広くバンドギャップが小さいためキャリアの有効質量が小さいので移動度が高く、またチャネル幅が広いためである。
また、ソース抵抗Rs が低い結果、相互コンダクタンスgm が向上する。
一方、最大ON電流IONは相互コンダクタンスgm と最大動作電圧、即ち、BVに関連し、両者の積で表される。
BVはバンドギャップに比例し、したがって、リボン幅に反比例することになるので、図における右側の2つが高耐圧となる。
これから、全ての項目で本発明のグラフェンFETが優れた値を示すことがわかる。
このように、グラフェンFETのチャネル幅を変化させることにより、チャネルの各部分で材料を最適化し、ギャップと移動度のトレードオフを回避し、さらにはFETの特性を改善することが可能になる。
また、グラフェンリボンの幅を連続的に変化させることによりバンドギャップを連続的に変化させ、トランジスタ内に電界を発生させ、ドリフト電界を形成することによりキャリアを加速することが可能となる。
また、n型、p型の選択ドーピングと組み合わせることにより、基板表面に沿った方向にキャリアが走行するラテラルヘテロ接合バイポーラトランジスタを形成することが可能となる。
なお、グラフェンに対するドーピング手段としては、n型にドープするためには、グラフェン膜にK(カリウム)原子を吸着すれば良く、また、p型にドープするためには、グラフェン膜にO(酸素)原子をドープすれば良い。
また、グラフェン膜の幅の選択について、まず、ドレイン側の狭い部分の幅の上限は10nm程度であると考えられる。なんとなれば、上記の図11より、幅が10nmにグラフェンリボンのバンドギャップは約0.1eVであるが、室温の熱エネルギーが25meV(=0.025eV)であることを考えると、これ以下では熱によるキャリアの発生が無視できなくなるからである。
次にソース側であるが、幅の下限は5nm程度と考えられる。
このときの移動度は2000cm2 /Vs程度と考えられ、シリコンとの差別化を考えるとこの程度の移動度が必要となるからである。
また、ソース側の幅を十分に大きくすることによりバンドギャップを実質的にゼロとし、金属或いは半金属の特性を持たせることにより、ソース・ゲート間の寄生抵抗をよりいっそう下げることが可能である。
以上を前提として、次に、図3乃至図5を参照して本発明の実施例1のグラフェンFETの形成工程を説明する。
まず、図3(a)に示すように、シリコン基板21上に例えば、原料ガスにTEOS(テトラエチルオルソシリケート)を用いたプラズマCVD法により厚さが、例えば、200nmのSiO2 膜22を堆積する。
なお、SiO2 膜22の厚さは、電気的に絶縁性が保障されていれば良く、特に制限はない。
次いで、SiO2 膜22上に原料ガスとしてSiH4 を用いたプラズマCVD法により、厚さが、例えば、5nmのSi活性層23を堆積する。
次いで、図3(b)に示すように、Si活性層23上に、フラーレン24を堆積させる。
フラーレン24は、例えば、市販のものを用いる。
フラーレンの種類はC60以外としてはC70、C82などが存在するが特に制限はない。
この時、フラーレンを堆積させる手法としては、例えば、MBE法(モレキュラー・ビームエピタキシャル成長法)を用いる。
フラーレンを堆積する真空槽内において、フラーレンが詰め込まれたルツボを抵抗加熱により温度を上げることで、フラーレンを分子線としてSi活性層23上に一様に堆積させる。
ルツボの温度は500−600℃(1×10-9Torr以下)の範囲内であり、温度によりフラーレンの堆積レートの調整は可能である。
真空槽の真空度によりフラーレンの昇華温度は異なるため、フラーレンを昇華中に水晶振動子膜厚計によりレート調整を行う。
典型的な堆積レートは、1ML(monolayer;分子層)/分以下である。
特に、1ML以下の低い堆積量を必要とする場合は、レートは遅い方が好ましい。
次いで、図3(c)に示すように、フラーレンの堆積後に850℃以上、例えば、1100℃で、10-2Torr以下の高真空下、例えば、10-3Torrで基板への抵抗加熱或いはヒーター加熱により加熱処理を行う。
この時、Si活性層23の最表面と直接接触するフラーレン24は強い化学結合(化学吸着)を有するため、加熱によっても脱離せず更なる高温によりシリコンカーバイド膜25に変化する。
この際、表面に接触していないフラーレンは互いに物理吸着しているため加熱により表面から容易に脱離し、Si活性層23の表面に直接接合した一層のフラーレン層のみが残り、シリコンカーバイド(SiC)の原料となる。
これにより、シリコンの表面積に対して常に一定量のカーボン原子を供給することが可能となる。
次いで、図3(d)に示すように、作製したシリコンカーバイド膜25を、10-2Torr以下の高真空下、例えば、10-3Torrにおいて、ヒーター加熱により1100〜2000℃、例えば、1350℃で加熱処理することによりシリコン原子を昇華させ、SiO2 膜22上にグラフェン膜26を得る(必要ならば、Appl.Phys.Lett.Vol.77,p.531,2000 参照)。
この時、プロセスに用いるフラーレンは全て脱離ないしはシリコンカーバイドの原料となり、シリコンカーバイドも昇華によりグラフェンとなるため、グラフェン膜26は触媒フリーでSiO2 膜22上に作製することが可能となる。
次いで、図4(e)に示すように、イオン注入法或いは表面吸着法により、グラフェン膜26にKをドーバントとして導入することによって、n型グラフェン膜27とする。
次いで、図4(f)に示すように、EB露光を用いたフォトリソグラフィー技術と、酸素プラズマエッチングによりn型グラフェン膜27をパターニングする。
この時、図4(f)の上図の平面図に示すように、ソース側の幅を、例えば、25nmとし、ドレイン側の幅を例えば、5nmとし、その間の長さが40nmのチャネル領域の幅を25nmから5nmに連続的に変化させる。
なお、ドレイン側の端部のドレイン電極を形成する部分の幅は、バンドギャップを小さくして接触抵抗を低減するために、例えば、25nmの幅とする。
次いで、図4(g)に示すように、Ti膜及びAu膜を順次堆積させたTi/Auからなるソース電極28及びドレイン電極29を、フォトリソグラフィー及び蒸着・リフトオフ技術により形成する。
なお、ソース電極28及びドレイン電極29がn型グラフェン膜27から外に出ているが、これはn型グラフェン膜27の側面からもコンタクトをとり、コンタクト抵抗を下げるためである。
次いで、図5(h)に示すように、CVD法によりゲート絶縁膜となるSiO2 膜30を全面に例えば、10nmの厚さに成膜する。
次いで、図5(i)に示すように、Ti膜及びAu膜を順次堆積させたTi/Auからなるゲート電極31をフォトリソグラフィー及び蒸着・リフトオフ技術により形成する。
次いで、図5(j)に示すように、CVD法により、厚さが、例えば、500nmのSiO2 膜を堆積させて層間絶縁膜32とする。
以降は、配線工程に移るが、通常のグラフェンFETと変わるところ無く、またシリコン・プロセスに準じた工程でもあり、ここでは省略する。
このように、本発明の実施例1においては、ソース−ゲート側のグラフェン膜のリボン幅を25nmとしてバンドギャップを小さくしているので、ソース抵抗が低くなるとともに、キャリアの有効質量を小さくしているので、移動度が大きくなるとともに相互コンダクタンスを大きくすることができる。
一方、ゲート−ドレイン側のグラフェン膜のリボン幅を5nmとしてバンドギャップを広くしているので、耐圧を高めることができ、高耐圧と高移動度を両立することができる。
次に、図6を参照して、本発明の実施例2のグラフェンFETを説明するが、基本的な形成工程は、上記の実施例1のグラフェンFETの形成工程と全く同様であるので、形状のみ説明図する。
図6は、本発明の実施例2のグラフェンFETの概念的平面図であり、チャネル領域となるn型グラフェン膜33の幅を、例えば、25nmから5nmへと階段的に変化させる。
この実施例2においても、グラフェン膜のリボン幅を高移動度と高耐圧とが両立できるように場所的に変化させているので、高性能のグラフェントランジスタを実現することができる。
なお、ソース側とドレイン側のリボン幅の差があまりに大きくなると、全てのキャリアがドレイン側に流れ込まなくなる虞がある。
次に、図7を参照して、本発明の実施例3のグラフェンFETを説明するが、基本的な形成工程は、上記の実施例1のグラフェンFETの形成工程と全く同様であるので、形状のみ説明図する。
図7は、本発明の実施例3のグラフェンFETの概念的平面図であり、幅が25nmのソース領域及びチャネル領域に対してリボン幅が5nmの3本のドレイン領域341 〜343 を設ける。
ソース側とドレイン側のリボン幅の差があまりに大きくなると、ドレイン側の電流容量が足りなくなり、ドレイン側の抵抗で電流が律速されることが予想される。
しかし、本発明の実施例3においては、ドレイン側に3本のチャネルを設けているので、全てのキャリアをドレイン側に流すことが可能になる。
次に、図8を参照して、本発明の実施例4のグラフェンFETを説明するが、基本的な形成工程は、上記の実施例1のグラフェンFETの形成工程と全く同様であるので、形状のみ説明図する。
図8(a)は、本発明の実施例4のグラフェンFETの概念的平面図であり、幅が10nmから25nmへと連続的に変化するのソース領域及びチャネル領域に対してリボン幅が5nmのドレイン領域34を設ける。
図8(b)は、本発明の実施例4のグラフェンFETのバンドダイヤグラムであり、ソース領域からドレイン領域にかけてリボン幅を連続的に変化させることによってバンドギャップも0.1eVから0.04eVへと連続的に変化し、電子を加速するドリフト電界Eが形成され。
本発明の実施例4においては、ソース領域からドレイン領域にかけてドリフト電界が形成されるので、動作速度をより高速にすることが可能になる。
なお、上述の実施例1乃至実施例4のグラフェンFETにおいては、チャネル幅が25nm程度であり、絶対的な電流容量は10μAのオーダーで非常に小さい。
したがって、実際の集積回路中では、複数のチャネルを並列に接続してひとつのトランジスタを形成することになる。
次に、図9を参照して、本発明の実施例5のグラフェンラテラルヘテロ接合バイポーラトランジスタ(グラフェンラテラルHBT)を説明するが、基本的な形成工程は、上記の実施例1のグラフェンFETの形成工程と全く同様であるので、形状のみ説明図する。
図9(a)は、本発明の実施例5のグラフェンラテラルHBTの概念的平面図であり、図9(b)は概略的断面図であり、図9(c)はバンドダイヤグラムである。
この本発明の実施例5のグラフェンラテラルHBTにおいては、SiO2 膜42を介してシリコン基板41上に設けたグラフェン膜をn,p、nに選択的にドーブし、エミッタのリボン幅を狭く、ベース・コレクタの幅をこれより広くすることにより、図9(c)に示すように、エミッタ/ベース界面にヘテロ接合が形成される。
この場合、エミッタを形成するn型グラフェン膜43のリボン幅を例えば、10nmとし、ベースを形成するp型グラフェン膜44の幅を25nm、長さを40nmとし、コレクタを形成するn型グラフェン膜45の幅を25nmとする。
また、エミッタ電極46及びコレクタ電極48としてはTi/Au電極を用い、ベース電極47としては、同じくTi/Au電極を用いる。
なお、上述のように、n型ドープのためには、グラフェン膜にKを吸着させ、p型ドープのためにはグラフェン膜にOを吸着させる。
従来のHBTでは縦型のHBTしが実現できなかったのに対して、本発明の実施例5においては、グラフェン膜のリボン幅を制御することによって、横型HBT、即ち、ラテラルHBTを実現することができる。
次に、図10を参照して、本発明の実施例6のグラフェンラテラルHBTを説明するが、基本的な形成工程は、上記の実施例1のグラフェンFETの形成工程と全く同様であるので、形状のみ説明図する。
図10(a)は、本発明の実施例6のグラフェンラテラルHBTの概念的平面図であり、図10(b)は概略的断面図であり、図10(c)はバンドダイヤグラムである。
この本発明の実施例6のグラフェンラテラルHBTにおいては、エミッタを形成するn型グラフェン膜51のリボン幅を例えば、10nmとし、ベースを形成する長さが40nmのp型グラフェン膜52の幅を20nmから25nmへ連続的に変化させるとともに、コレクタを形成するn型グラフェン膜53の幅を25nmとする。
また、この場合も、エミッタ電極54及びコレクタ電極56としてはTi/Au電極を用い、ベース電極55としては、同じくTi/Au電極を用いる。
この実施例6のグラフェンHBTにおいては、ベース部分で連続的にチャネル幅を広くしているので、図10(b)に示すように、バンドギャップはエミッタ端からコレクタ端にかけて狭まり、電子を加速するドリフト電界Eが形成される。
したがって、実施例5のグラフェンHBTに比べて動作速度の向上が可能になる。
なお、本発明の実施例5及び実施例6のグラフェンHBTの場合も、絶対的な電流容量は10μAのオーダーで非常に小さいので、実際の集積回路中では、複数の能動領域を並列に接続してひとつのトランジスタを形成することになる。
以上、本発明の実施の形態及び各実施例を説明してきたが、本発明は実施の形態及び各実施例に記載された構成・条件等に限られるものではなく各種の変更が可能である。
例えば、上記の各実施例においては、Si活性層の表面にフラーレンを用いてSiC膜を形成したのち、Siを昇華させることによってグラフェン膜を形成しているが、グラフェン膜の形成方法は任意である。
例えば、上述のように、基板上に直接化学気相成長法などを用い成長する方法や、カーボンナノチューブの先端部に成長したグラフェンシートを絶縁基板に転写する方法を用いても良いものである。
また、上記の各実施例においては、グラフェン膜の成長基板として、SiO2 膜を形成したシリコン基板を用いているが、絶縁膜はSiO2 膜に限られるものではなく、SiN膜を用いても良い。
なお、SiN膜を用いる場合には、原料ガスとしてSiH4 とNH3 を用いたプラズマCVD法や熱CVD法を用いれば良い。
さらには、成長基板は、表面に絶縁膜を形成したシリコン基板に限られるものではなく、サファイヤ基板等の高耐熱性の絶縁基板を用いても良い。
また、上記の実施例1等においては、接触抵抗を低減するために各電極をグラフェン膜の端部を覆うように形成しているが、上面からだけで良好なコンタクトがとれるのであれば、実施例6のベース電極或いはコレクタ電極のように、電極をグラフェン膜の上のみに配置しても良い。
また、上記の各実施例においては、nチャネル型FET或いはnpn型HBTとして説明しているが、導電型を反対にしてpチャネル型FET或いはpnp型HBTとしても良いことはいうまでもない。
本発明をグラフェンFETに適用した場合の構成説明図である。 各グラフェンFETの性能比較図である。 本発明の実施例1のグラフェンFETの途中までの形成工程の説明図である。 本発明の実施例1のグラフェンFETの図3以降の途中までの形成工程の説明図である。 本発明の実施例1のグラフェンFETの図4以降の形成工程の説明図である。 本発明の実施例2のグラフェンFETの概念的平面図である。 本発明の実施例3のグラフェンFETの概念的平面図である。 本発明の実施例4のグラフェンFETの構成説明図である。 本発明の実施例5のグラフェンラテラルHBTの構成説明図である。 本発明の実施例6のグラフェンラテラルHBTの構成説明図である。 グラフェン膜におけるエネルギーギャップのリボン幅依存性の説明図である。 従来のグラフェン・リボンFETの概略的平面図である。
符号の説明
11 絶縁基板
12 グラフェン膜
13 ゲート絶縁膜
14 ゲート電極
15 ソース電極
16 ドレイン電極
21 シリコン基板
22 SiO2
23 Si活性層
24 フラーレン
25 シリコンカーバイド膜
26 グラフェン膜
27 n型グラフェン膜
28 ソース電極
29 ドレイン電極
30 SiO2
31 ゲート電極
32 層間絶縁膜
33 n型グラフェン膜
34,341 〜343 ドレイン領域
41 シリコン基板
42 SiO2
43 n型グラフェン膜
44 p型グラフェン膜
45 n型グラフェン膜
46 エミッタ電極
47 ベース電極
48 コレクタ電極
51 n型グラフェン膜
52 p型グラフェン膜
53 n型グラフェン膜
54 エミッタ電極
55 ベース電極
56 コレクタ電極
81 グラフェン・リボン
82 ゲート電極
83 ソース電極
84 ドレイン電極

Claims (5)

  1. 一層以上のグラフェンからなる炭素膜をキャリアが走行する能動領域とするとともに、前記能動領域を構成する前記炭素膜のキャリアの走行方向に垂直な方向の幅が場所によって変化することを特徴とするグラフェントランジスタ。
  2. 前記能動領域が電界効果トランジスタのチャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を構成するとともに、前記チャネル領域のうちのソース電極に近い側の前記炭素膜の幅が、前記チャネル領域のうちのドレイン電極に近い側の前記炭素膜の幅よりも広いことを特徴とする請求項1記載のグラフェントランジスタ。
  3. 前記チャネル領域を構成する炭素膜の幅が連続的に変化していることを特徴とする請求項2記載のグラフェントランジスタ。
  4. 前記能動領域がラテラルバイポーラトランジスタのベース領域、エミッタ領域及びコレクタ領域を構成するとともに、前記エミッタ領域となる部分の前記炭素膜の幅が、前記ベース領域となる部分の炭素膜の幅よりも狭いことを特徴とする請求項1記載のグラフェントランジスタ。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のグラフェントランジスタを搭載したことを特徴とする電子機器。
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