WO2012070218A1 - 酸化カーボン薄膜の製造方法および酸化カーボン薄膜を有する素子とその製造方法 - Google Patents

酸化カーボン薄膜の製造方法および酸化カーボン薄膜を有する素子とその製造方法 Download PDF

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Abstract

 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法は、カーボン薄膜とカーボン薄膜に接するとともにFe23を含む鉄酸化物とを準備する第1のステップと;カーボン薄膜と鉄酸化物との間にカーボン薄膜側を正とする電圧または電流を印加することにより、カーボン薄膜における鉄酸化物と接する部分を酸化させて酸化カーボンにより構成される酸化部に変化させ、酸化部を有する酸化カーボン薄膜を形成する第2のステップと;を含む。この製造方法は、グラフェンをはじめとするカーボン薄膜に対してナノメートルオーダーのパターンを形成しうる方法であり、形成したパターンに与えるダメージが小さく、半導体プロセスとの親和性が高く、電子デバイスを製造するためのプロセス技術としての汎用的な応用が可能である。

Description

酸化カーボン薄膜の製造方法および酸化カーボン薄膜を有する素子とその製造方法
 本発明は、酸化カーボンにより構成される酸化部を有するカーボン薄膜である酸化カーボン薄膜の製造方法に関する。本発明は、また、酸化カーボン薄膜を有する素子とその製造方法に関する。
 炭素(C)からなる物質の構造は、ダイヤモンドはもちろん、シート、ナノチューブ、およびホーンからC60フラーレンのようなボールに至るまで、非常に多彩である。さらにその物性は、その形状以上にバラエティーに富んでいる。この豊かな物性のバリエーションは、当該物質の応用に関する精力的な研究開発を推進させる。炭素からなる物質の一つにカーボン薄膜がある。そのうち、一層または数層の、層内でsp2結合した炭素原子層により構成されるカーボン薄膜はグラフェンと呼ばれる。グラフェンは2004年にその単離が実現した物質であり、2次元系半金属としての特異な物性が次々に明らかにされつつある(Science, vol.306, pp.666-669 (2004))。グラフェンは、直線的なバンド分散を持つπバンドがフェルミエネルギー上で交差する特異なバンドを有する。このため、グラフェンには、ケイ素(Si)の10倍以上の高いキャリア(電子および正孔)移動度が期待される。グラフェンの使用により、高速かつ低消費の電子デバイスが実現する可能性がある。
 グラフェンを電子デバイス(例えばトランジスタのような電界効果素子)に用いる場合、グラフェンが有する極めて高い導電性を抑制する必要があることがある。特開2009-182173号公報およびScience, vol.319, pp.1229-1232 (2008)には、キャリアの走行方向に垂直な方向のグラフェンの幅を数ナノメートルから数十ナノメートルとすることによって、当該幅を持つ区間のグラフェンに1次元の量子閉じ込め効果が発現すること、この効果に基づき、当該区間のグラフェンがサブeVから数eV程度のエネルギーギャップを有する半導体として利用できることが開示されている。しかし、グラフェンは原子レベルの厚さを有するシートであり、このような微細な幅への加工は容易ではない。
 特開2009-182173号公報およびScience, vol.306, pp.666-669 (2004)には、電子ビームリソグラフィーおよび酸素プラズマを用いたドライエッチングによって、グラフェンを微細なパターンにパターニングする方法が開示されている。しかし、Science, vol.306, pp.666-669 (2004)は、数百ナノメートル程度のサイズでの微細加工を開示するにとどまる。一方、特開2009-182173号公報は数ナノメートルのサイズでの微細加工を開示するが、当該微細加工では、レジストの塗布および剥離といったウェット工程が実施されるとともに、プラズマ処理のような、薄膜に強いダメージを引き起こすドライ工程が併せて実施される。このため、形成されたパターンのエッジ部分がデバイス特性に大きな影響を与えると考えられる、ナノメートルオーダーでのグラフェンの安定した微細加工は困難である。これに加えて、特開2009-182173号公報に開示の微細加工は、当該加工を実現する装置が高価であることを含め、高コストである。
 Science, vol.319, pp.1229-1232 (2008)には、超音波を用いたグラフェンの微細加工方法が開示されている。しかし、この方法では、グラフェンに対して狙った場所を微細加工することは難しい。この方法はプロセス技術としての応用が困難である。
 Applied Physics Letters, vol.94, 082107 (2009)には、原子間力顕微鏡(AFM)の針を用いた陽極酸化によるグラフェンの微細加工が開示されている。しかし、この方法の時間あたりの処理能力(スループット)は低い。これに加えて、この方法では、水分の存在する雰囲気下でグラフェンの加工を実施する必要がある。このため、この方法は半導体プロセスとの親和性が低く、プロセス技術としての応用が困難である。
特開2009-182173号公報
Science, vol.306, pp.666-669 (2004) Science, vol.319, pp.1229-1232 (2008) Applied Physics Letters, vol.94, 082107 (2009)
 本発明は、グラフェンをはじめとするカーボン薄膜に対してナノメートルオーダーのパターンを形成しうる方法であって、形成したパターンに与えるダメージが小さく、半導体プロセスとの親和性が高く、電子デバイスを製造するためのプロセス技術としての汎用的な応用が可能な方法の提供を目的とする。
 本発明者らは、鋭意検討の結果、カーボン薄膜をプラズマ処理するなど、当該薄膜の一部のみを残して他の部分を除去する微細加工を採用するのではなく、酸化カーボンにより構成される酸化部を、鉄酸化物を介した電気バイアスの印加によってカーボン薄膜に形成することで上記方法を実現できることを見出した。本明細書において、酸化カーボンにより構成される酸化部が全部または一部に形成されたカーボン薄膜を、単に「酸化カーボン薄膜」とも称する。換言すれば、本明細書における酸化カーボン薄膜は、必ずしも酸化カーボンのみから構成されるわけではなく、カーボンから構成される部分を有していてもよい。
 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法は、カーボン薄膜と、前記カーボン薄膜に接するとともにFe23を含む鉄酸化物とを準備する第1のステップと;前記カーボン薄膜と前記鉄酸化物との間に前記カーボン薄膜側を正とする電圧または電流を印加することにより、前記カーボン薄膜における前記鉄酸化物と接する部分を酸化させて酸化カーボンにより構成される酸化部に変化させ、前記酸化部を有する酸化カーボン薄膜を形成する第2のステップと;を含む。
 本発明の酸化カーボン薄膜を有する素子の製造方法は、基板と、酸化カーボンにより構成される酸化部を有するとともに前記基板上に配置された酸化カーボン薄膜とを備える、酸化カーボン薄膜を有する素子の製造方法である。この製造方法は、前記基板と、前記基板上に配置されたカーボン薄膜と、Fe23を含む鉄酸化物とを、前記鉄酸化物が、前記カーボン薄膜に前記酸化部を形成する位置で当該カーボン薄膜に接するように準備する第1のステップと;前記カーボン薄膜と前記鉄酸化物との間に前記カーボン薄膜側を正とする電圧または電流を印加することにより、前記カーボン薄膜における前記鉄酸化物と接する部分を酸化させて前記酸化部に変化させ、前記酸化部を有する酸化カーボン薄膜を形成する第2のステップと;を含む。
 本発明の酸化カーボン薄膜を有する素子は、導電体または半導体により構成される基板と、前記基板上に配置された酸化カーボン薄膜と、前記基板と前記酸化カーボン薄膜との間に配置された絶縁層とを備える。前記酸化カーボン薄膜は、酸化カーボンにより構成される絶縁部とカーボンにより構成される非絶縁部とを有する。前記非絶縁部は、前記酸化カーボン薄膜の主面に垂直な方向から見て、前記絶縁部により挟まれた狭小部を有する。本発明の素子は、前記基板と前記酸化カーボン薄膜との間に電界を印加することによって、前記酸化カーボン薄膜の面内方向における、前記狭小部を介した前記非絶縁部の導電性が変化する素子である。
 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法では、酸化カーボンにより構成される酸化部を、鉄酸化物を介した電気バイアスの印加によってカーボン薄膜に形成し、当該薄膜を酸化カーボン薄膜に変化させる。酸化カーボン薄膜における酸化部とその他の部分(カーボンにより構成される部分)との間では、物性、典型的には導電性が異なる。酸化部は絶縁性であるが、その他の部分は導電性、形状およびサイズによっては半導体としての性質を示す。鉄酸化物は、薄膜形成手法を応用して、カーボン薄膜上にナノメートルオーダーのパターンで形成しうる。すなわち、本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法では、グラフェンをはじめとするカーボン薄膜に対して、その特性に基づくナノメートルオーダーのパターンを形成しうる。これに加えて、パターン形成のために、プラズマ処理のようなカーボン薄膜に強いダメージを与える手法によって当該薄膜の一部を除去する必要がなく、形成したパターンに与えるダメージが抑制される。さらに、本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法は、半導体プロセスとの親和性が高く、電子デバイスを製造するためのプロセス技術としての汎用的な応用が可能である。
 応用の一例が、本発明の酸化カーボン薄膜を有する素子の製造方法である。応用により得た製品の一例が、本発明の酸化カーボン薄膜を有する素子である。
本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法を実施するための、カーボン薄膜および鉄酸化物を含む構成の一例を示す模式図である。 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法を実施するための、カーボン薄膜および鉄酸化物を含む構成の別の一例を示す模式図である。 図2に示す構成を用いて本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法を実施するフローチャートの一例を示す図である。 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法に基づいて、図2に示す構成を用いて製造した酸化カーボン薄膜の一例を示す模式図である。 本発明の素子の製造方法を実現するための、カーボン薄膜および鉄酸化物を含む構成の一例を示す模式図である。 本発明の素子の製造方法により作製した、酸化カーボン薄膜を有する素子の一例を模式的に示す平面図である。 本発明の素子の製造方法により作製した、酸化カーボン薄膜を有する素子の一例を模式的に示す斜視図である。 実施例において評価した、多層グラフェンからなるカーボン薄膜と、当該薄膜上に形成した鉄酸化物薄膜との接合界面の近傍の断面を示す図である。 実施例においてパルス状の電気バイアス(電気パルス)をカーボン薄膜と鉄酸化物との間に印加した際における、電気パルスの印加回数に対する電気抵抗値の変化の一例を示す図である。 比較例において電気パルスをカーボン薄膜と鉄酸化物との間に印加した際における、電気パルスの印加回数に対する電気抵抗値の変化を示す図である。 実施例において評価した、電気バイアスの印加前後におけるカーボン薄膜および鉄酸化物中の酸素の分布を示す図である。 実施例において電気パルスをカーボン薄膜と鉄酸化物との間に印加した際における、電気パルスの印加回数に対する電気抵抗値の変化の一例を示す図である。 比較例において電気パルスをカーボン薄膜と鉄酸化物との間に印加した際における、電気パルスの印加回数に対する電気抵抗値の変化を示す図である。
 以下、具体的な実施の形態について説明する。本発明は、以下の具体的な実施形態および実施例に限定されない。
 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法は、例えば、図1または図2に示す実施形態により、図3に示すフローチャートに従って実施できる。
 最初に、図1に示すように、カーボン薄膜1と、カーボン薄膜上にカーボン薄膜1と接するように配置された鉄酸化物2とを準備する(第1のステップ)。カーボン薄膜1および鉄酸化物2には、バイアス印加部3が電気的に接続されている。カーボン薄膜1、鉄酸化物2およびバイアス印加部3は電気回路を形成している。次に、バイアス印加部3により、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間にカーボン薄膜側を正とする電気バイアス(バイアス電圧またはバイアス電流)を印加する(第2のステップ)。
 カーボン薄膜1は、sp2結合した炭素原子層(以下、炭素原子層)を有する薄膜である。炭素原子層は、炭素原子の2次元ネットワークにより構成される。炭素原子層を構成する炭素原子は4つの電子を有する。4つの電子のうち、3つの電子がσ(シグマ)結合を形成し、残る1つの電子が炭素原子間で共有された弱いπ(パイ)結合を形成している。このため、当該炭素原子層を有するカーボン薄膜は高い導電性を有する。しかし、酸化によって炭素原子層のsp2結合の一部がsp3結合となり、sp3結合では4つの電子が全てσ結合に使用される。このため、酸化により形成されたカーボン薄膜1の酸化部ではπ結合が作るフェルミ面上のバンドが消失して、当該酸化部は絶縁部となる。
 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法では、この酸化による絶縁部の形成を利用する。より具体的には、カーボン薄膜1上に鉄酸化物2を堆積させ、鉄酸化物2とカーボン薄膜1との間に電界を印加することによって、カーボン薄膜1における鉄酸化物2と接している部分を酸化させる。本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法では、プラズマ処理のようなカーボン薄膜に対して強いダメージを与える工程を省略できるため、得られた酸化カーボン薄膜に形成されたパターン(酸化カーボン/カーボンパターン、その特性に着目すると例えば絶縁/非絶縁パターン)に対するダメージが少ない。これは電子デバイスの特性向上に寄与する。これに加えて、本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法は、半導体プロセスのような汎用プロセスとの親和性が高い。さらに、鉄酸化物2はナノメートルオーダーの微細なパターンから、より大きな、例えばミリメートルオーダーのパターンまで、形状およびサイズの自由度が高い堆積が可能である。このため、本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法では、形状およびサイズの自由度が高い酸化カーボン薄膜のパターニングが可能である。もちろん、カーボン薄膜1の表面全体に鉄酸化物2を堆積させることにより、カーボン薄膜1全体を酸化し、酸化カーボンから構成される酸化カーボン薄膜を形成することもできる。
 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法では、酸化部がパターニングされたカーボン薄膜を形成できる。パターニングは、カーボン薄膜1の平面方向の一部または全部でありうるし、カーボン薄膜1の厚さ方向の一部または全部でありうる。ただし、厚さ方向の一部のみを酸化する場合、その程度によっては、カーボン薄膜における鉄酸化物に接する部分が絶縁部にならないことがある。形成した酸化カーボン薄膜を電界効果素子に用いる場合など、絶縁部を確実に形成したい場合には、厚さ方向の全部が酸化部となるように本発明の製造方法を実施することが好ましい。平面方向のパターニングは、例えば、カーボン薄膜1上に堆積させる鉄酸化物2の形状およびサイズにより制御できる。厚さ方向のパターニングは、例えば、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に印加する電圧または電流の強度(電圧または電流の大きさ、印加時間)により制御できる。
 カーボン薄膜1は、炭素原子層を有する薄膜である。カーボン薄膜1は、例えばグラフェンである。グラフェンは、一層または数層の炭素原子層により構成される単層または多層のグラフェンである。すなわち、カーボン薄膜1は、単層または多層のグラフェンであってもよい。グラフェン1は、例えば、単結晶グラファイト、高配向熱分解黒鉛(HOPG)の一部を剥離して得ることができる。
 鉄酸化物2は、Fe23を含む。鉄酸化物2は、Fe23により構成されていてもよい。鉄酸化物2は、一部にFe34を含む、Fe23とFe34との混合体であってもよい。この場合、電気バイアスの印加によるカーボン薄膜の酸化がよりスムーズとなる。また、Fe34はFe23に比べて抵抗が低いため、鉄酸化物2がFe34を含むことによって、電圧による印加電力の調整が容易となる。すなわち、第1のステップにおいて、Fe34をさらに含む鉄酸化物を準備してもよい。
 鉄酸化物2の形状は、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間にカーボン薄膜1側を正とする電気バイアスを印加することによって、カーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分を酸化させて酸化カーボンにより構成される酸化部に変化させ、当該酸化部を有する酸化カーボン薄膜が形成される限り限定されない。鉄酸化物2は、例えば、バルク、シート、層状、粒子状である。
 バイアス印加部3の構成は、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に電気バイアスを印加できる限り限定されない。バイアス印加部3とカーボン薄膜1および鉄酸化物2との電気的な接続に関しても同様である。バイアス印加部3は、例えば、定電圧印加型の電圧源、電池、パルスジェネレータなどを用いて構築できる。
 カーボン薄膜1および鉄酸化物2の間に印加する電気バイアスはパルス状である(電気パルスである)ことが好ましい。すなわち、第2のステップにおいて、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間にパルス状の電圧または電流を印加することが好ましい。このとき、パルス状の電圧または電流を1回以上印加することが好ましい。
 カーボン薄膜1および鉄酸化物2の間に印加する電圧または電流の値は、両者の構成により異なるが、例えば、電圧にして0.05V~100Vである。カーボン薄膜1に酸化部が形成される様子をモニターしながら、印加する電圧または電流を変化させても、例えば徐々に大きくしても、よい。酸化部の形成が期待される典型的な印加電圧の範囲は0.1V~20Vである。印加する電圧または電流が過度に大きくなると、酸化部が一度形成されたとしても当該部分で絶縁破壊が生じやすくなる。パルス状の電圧および電流を印加する際のパルス幅は、例えば、100ns~500μsである。
 パルス状の電圧または電流を印加する場合、印加するパルスの回数Nは、印加する電気バイアスの大きさおよびパルス幅に応じて調整できる。回数Nが小さい場合(少ない回数で酸化部を形成する場合)、本発明の製造方法を実施する工程が簡便となる。回数Nが大きい場合、電気バイアスの印加による酸化のスピードが遅くなり、鉄酸化物2の破壊のような機械的な劣化が抑制される。パルス状の電圧または電流の印加により、段階的な酸化部の形成が可能となる。パルスの形状は、矩形状であっても、サイン波状であってもよい。
 印加する電圧または電流は、一定値の電気バイアス(例えば直流バイアス)であってもよい。この場合、電気バイアスの印加プロトコルおよびバイアス印加部3の構成が簡便となる。
 カーボン薄膜1および鉄酸化物2に対する電気バイアスの印加は、カーボン薄膜1における鉄酸化物2に接する部分に酸化部が形成され、当該部分に(当該酸化部に)所定の電気抵抗値が出現するまで行うことが好ましい。そのためには、例えば、図2に示す構成が利用できる。電気バイアスの印加によってカーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分の電気抵抗値がある時点で急激に増加し、その後、酸化部の形成の完了に伴ってほぼ一定となる場合、所定の電気抵抗値は、例えば当該一定値とすることができる。当該部分の電気抵抗値を直接検出することが難しい場合は、例えば、当該部分を含む電気回路の電気抵抗値を検出して、当該部分に所定の電気抵抗値が出現したか否かを判断してもよい。
 図2に示す構成は、図1に示す構成に加えて、さらに信号検出部5および判断部6を備える。信号検出部5および判断部6は、カーボン薄膜1、鉄酸化物2およびバイアス印加部3により構成される電気回路を流れる信号を検出する。信号検出部5および判断部6自身が当該電気回路に含まれていてもよい。信号検出部5は、カーボン薄膜1および鉄酸化物2と電気的に接続されており、カーボン薄膜1における鉄酸化物2に接する部分の電気抵抗値の情報を含む電気信号を検出する。電気抵抗値の情報とは、例えば電気抵抗値そのもの、および/または電気抵抗値の変化量に関する情報である。信号検出部5の構成は、上記電気抵抗値の情報を含む電気信号を検出できる限り限定されず、電流計、電圧計、ソースメーターなどを用いて構築できる。信号検出部5には、半導体パラメータアナライザを使用することが好ましい。判断部6は、バイアス印加部3および信号検出部5に接続されている。判断部6は、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置を用いて構築できる。図2に示す構成によれば、カーボン薄膜1における鉄酸化物2に接する部分の電気抵抗値および/またはその変化を検出しながら、酸化カーボン薄膜を形成できる。
 図3に、図2に示す構成を用いて、所定の電位抵抗値を示す酸化部を有する酸化カーボン薄膜を製造するフローチャートの例を示す。
 最初に、信号検出部5により、電気バイアスを印加する前におけるカーボン薄膜1、鉄酸化物2およびバイアス印加部3により構成される回路の電気抵抗値を検出する(S1)。この電気抵抗値は、カーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分の、電気バイアスを印加する前の時点における電気抵抗値の情報を含む。この電気抵抗値は、初期抵抗値である。
 次に、バイアス印加部3により、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間にカーボン薄膜1側を正とする電気バイアス(電圧または電流)を印加する(S2)。図3に示す例では、パルス状の電気バイアス(電気パルス)をN回印加する。カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に印加する電気バイアスはパルス状に限られず、例えば直流バイアスを所定の時間印加してもよい。
 S2において印加する電気パルスの回数は、当該電気パルスの大きさおよびパルス幅に基づいて調整できる。S1で検出した初期抵抗値に基づいて、S2で印加する電気パルスの回数、大きさおよびパルス幅を調整してもよい。S4において「NO」と判断された際に行われる2回目以降のS2の場合、S3で検出された上記回路の電気抵抗値の情報に基づいて、S2で印加する電気パルスの回数、大きさおよびパルス幅を調整することが好ましい。
 次に、信号検出部5により、カーボン薄膜1における鉄酸化物2に接する部分の電気抵抗値の情報を含む電気信号として、上記回路の電気抵抗値を検出する(S3)。
 次に、判断部6により、信号検出部5で検出した電気信号が所定の信号であるか否かを判断する(S4)。判断の基準は、上記回路の電気抵抗値が所定の閾値に達したか否かである。すなわち判断部6では、検出した信号が、上記回路の電気抵抗値が所定の値に達したときに得られる電気信号であるか否かを検証する。
 信号が電気抵抗値そのものの値を含む場合、例えば判断部6は、当該値が所定の電気抵抗値であるか否かを判断する。信号が電気抵抗値の変化に関する情報である場合、例えば検出した信号に含まれる電気抵抗値の変化量が所定の閾値以下であるか否かを判断する。これは、所定の電気抵抗値が達成されることによって電気バイアスの印加による電気抵抗値の変化が小さくなるケースに適用できる。
 判断の基準となるデータ(所定の閾値)は、例えば信号検出部5の記録部および/または判断部6の記録部に格納されている。当該データは、1つの電気信号(例えば1つの電気抵抗値)であってもよいし、ある程度の幅を有する電気信号(例えば電気抵抗値の範囲)であってもよい。記録部は、例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)またはROM(リードオンリーメモリ)などの記録素子により構成できる。
 S4において、所定の信号が得られた(所定の電気抵抗値が達成された)と判断された場合(図3に示すYES)、フローチャートに従って製造工程が終了する(S5)。所定の信号が得られなかった(所定の電気抵抗値が未だ実現していない)と判断された場合(図3に示すNO)、製造工程のステップはS2に戻り、S2,S3およびS4が、S4における判断がYESとなるまで繰り返される。製造工程は、例えば、電気バイアスの印加停止により終了する。
 すなわち、本発明の製造方法において、第2のステップがカーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に電圧または電流を印加する第1のサブステップ、カーボン薄膜1における鉄酸化物2に接する部分の電気抵抗値の情報を含む電気信号を検出する第2のサブステップ、ならびに検出した当該電気信号が、上記電気抵抗値が所定の値に達したときに得られる電気信号であるか否かを検証する第3のサブステップを含んでもよい。このとき、第2のステップにおいて、当該検出した電気信号が、上記電気抵抗値が所定の値に達したときに得られる電気信号となるまで、第1のサブステップ、第2のサブステップおよび第3のサブステップをこの順に繰り返してもよい。
 本発明の製造方法における別の実施形態では、カーボン薄膜1における鉄酸化物2に接する部分の電気抵抗値が所定の値となる電気バイアス印加条件を予め定めておき、当該条件に従って、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に電気バイアスを印加する。この実施形態では、図1に示す構成を利用して、図3に示すS2ステップおよびS5ステップにより酸化カーボン薄膜を製造できる。
 図4に、図2に示す構成を用いてカーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に電気バイアスを印加して形成した酸化カーボン薄膜100を示す。図4に示す酸化カーボン薄膜100は、当該薄膜における鉄酸化物2と接する部分に、酸化カーボンにより構成される酸化部4を有する。使用したカーボン薄膜1がグラフェンである場合、酸化部4は酸化グラフェンにより構成される。図4に示す例の酸化部4は、酸化カーボン薄膜100の上記部分における厚さ方向の全部を占めている。
 図4に示す酸化カーボン薄膜100は、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に電気バイアスを印加して形成できる。電気バイアスの印加は、例えば図3に示すフローチャートに従って行われる。酸化部4が形成される様子は、信号検出部5によって検出される上記情報によりモニターできる。
 第1のステップにおいて準備するカーボン薄膜1および当該薄膜と接する鉄酸化物2は、公知の薄膜形成手法により形成できる。
 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法を応用して、酸化カーボン薄膜を有する素子を製造できる(本発明の素子の製造方法)。当該素子は、基板と、基板上に配置された酸化カーボン薄膜とを備える。酸化カーボン薄膜は、酸化カーボンにより構成される酸化部を有する。当該素子では、例えば、酸化カーボン薄膜においてパターニングされた酸化部が絶縁部として機能したり、パターニングされた酸化部以外の部分(非酸化部)が導電部および/または半導体部として機能したりする。
 本発明の素子の製造方法では、基板と基板上に配置されたカーボン薄膜1とFe23を含む鉄酸化物2とを、当該鉄酸化物2が、カーボン薄膜1に酸化部4を形成する位置で当該カーボン薄膜1に接するように準備する(第1のステップ)。このためには、例えば、カーボン薄膜1における酸化部4を形成する部分に、当該薄膜1に接するように鉄酸化物2を堆積させればよい。鉄酸化物2の堆積には、公知の薄膜形成手法および薄膜の微細加工手法を適用できる。
 その後、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間にカーボン薄膜1側を正とする電圧または電流を印加することにより、カーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分を酸化させて酸化部4に変化させ、酸化部4を有する酸化カーボン薄膜100を形成する(第2のステップ)。第1および第2のステップの詳細は、本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法における第1および第2のステップの詳細と同様である。
 基板は、導電体または半導体により構成される基板である。基板は、例えば、n形やp形にドープしたSi基板である。基板とカーボン薄膜1との間に絶縁層が配置されていてもよい。絶縁層は、例えば、SiO2膜(熱酸化Siを含む)、Al23膜、HfO2膜のような酸化物膜または窒化物膜、有機物膜である。素子の用途にもよるが、絶縁膜は、基板と形成した酸化カーボン薄膜との間に電界を印加できる材料から構成されることが好ましい。
 本発明の素子の製造方法は、例えば、図1または図2に示す構成を用いて、図3に示すフローチャートに従って実施できる。図5に、図2に示す構成を用いた実施形態の一例を示す。
 図5に示す例において、カーボン薄膜1が絶縁層7を介して基板8上に形成されている。カーボン薄膜1の上には、当該薄膜1に接するように、Fe23を含む鉄酸化物2が配置されている。バイアス印加部3によりカーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に電気バイアスを印加して、鉄酸化物2の配置に応じた酸化部をカーボン薄膜1に形成する。これにより、酸化部を有する酸化カーボン薄膜を備える素子が形成される。酸化部はパターニングされうる。
 図6に、図5に示す例において形成した素子101を示す。図6は、酸化カーボン薄膜100の主面に垂直な方向から素子101を見た図である。素子101は、鉄酸化物2の形状に酸化部4が形成された酸化カーボン薄膜100を備える。素子101において酸化部4は絶縁部として機能する。酸化カーボン薄膜100は、酸化部4以外の部分として、カーボンにより構成される非絶縁部を有する。非絶縁部は、酸化カーボン薄膜100の主面に垂直な方向から見て、一対の酸化部(絶縁部)4により挟まれた狭小部10を有する。用いたカーボン薄膜1がグラフェンの場合、その最小幅によっては狭小部10は半導体として機能する。狭小部10が半導体として機能するためには、狭小部10の最小幅が10nm以下であることが好ましい。本発明の素子の製造方法では、グラフェンを始めとするカーボン薄膜1に対して、このような微細なパターニングが可能である。
 このようにして形成した本発明の素子の一例を図7に示す。図7に示す素子101は、基板8と、基板8上に配置された酸化カーボン薄膜100と、基板8と酸化カーボン薄膜100との間に配置された絶縁層7とを備える。酸化カーボン薄膜100は、酸化カーボンにより構成される酸化部(絶縁部)4と、カーボンにより構成される非絶縁部とを有する。非絶縁部は、酸化カーボン薄膜100の主面に垂直な方向から見て、絶縁部4により挟まれた狭小部10を有する。基板8と酸化カーボン薄膜100との間に電界を印加することによって、酸化カーボン薄膜100の面内方向における、狭小部10を介した非絶縁部の導電性が変化する。この素子(カーボン薄膜素子)は、素子を流れる電流値が電界によって変化する電界効果素子、例えばトランジスタ、として機能することができる。
 素子101では、バイアス印加部3を用いて、基板8と酸化カーボン薄膜100との間に電界を印加する。信号検出部5を用いて、狭小部10を介して非絶縁部を流れる電流値を検出する。
 素子101における狭小部10の最小幅は、当該素子101が電界効果素子として機能するために、10nm以下が好ましい。
 以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。
 (実施例1)
 最初に、Science, vol.306, pp.666-669 (2004)の記載を参考にして、カーボン薄膜1として多層グラフェンを準備した。具体的には、1mm厚の高配向熱分解黒鉛(Highly Oriented Pyrolytic Graphite:HOPG)にセロハン製粘着テープを押しつけて結晶片を剥離し、剥離した結晶片にセロハン製粘着テープを再度押しつけてその一部を剥離し、さらに薄片にした。得られた薄片に対して、セロハン製粘着テープを用いてその一部を剥離する操作を複数回繰り返した後、粘着テープ上のHOPGの薄片をMgO製の基板上にこすりつけた。原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価した、MgO基板上のカーボン薄膜1の厚さは約1±0.5nm程度であった。これは、数層の炭素原子層の厚さに相当する。MgO以外の材料から構成される基板であっても、薄片を配置する強度を有する基板であれば同じ結果が得られることを別途確認した。また、数μm程度の厚さを有するHOPGであれば基板を用いる必要がないことを別途確認した。
 次に、パルスレーザー堆積法により、カーボン薄膜1の表面における30μm×30μmの領域に鉄酸化物2を堆積させた。鉄酸化物2の堆積は、30μm×30μmのサイズの開口部を有する酸化シリコン(SiO2)膜および200μm×200μmのサイズの開口部を有するメタルマスクを、この順にカーボン薄膜1上にそれぞれ形成および配置し(双方の開口部の中心は、カーボン薄膜1の主面に垂直な方向から見て一致させた)、これらSiO2膜およびメタルマスクの上から鉄酸化物2を堆積させることにより行った。
 鉄酸化物2を堆積させるためのターゲットには20mm径×5mm厚のFe34焼結体を用い、レーザーにはエキシマレーザー(KrF、波長248nm)を用いた。鉄酸化物2の堆積は、基板温度100~400℃(典型的には200℃)、到達真空度10-5~10-6Paに対して酸素ガス流により10-1~10-5Pa(典型的には酸素ガス流量2sccmにより2×10-2Pa)とした雰囲気にて、ターゲットに照射するパワー密度4~10J/cm2(典型的には6J/cm2)で実施した。酸素ガス流量の単位であるsccmは、"standard cc/min"であり、1気圧、温度0℃で規格化された条件で1分間あたりに流れる気体の量を示す。鉄酸化物2は、成膜レートから算出した1nm以上50nm以下の設計膜厚(典型的には5nm)で堆積させた。堆積させた鉄酸化物2の形状は、カーボン薄膜1の主面に垂直な方向から見て、SiO2膜の開口部と同一であった。
 これと同じ堆積条件で別途MgO基板上に形成した鉄酸化物の薄膜(厚さ約100nm)の構造をX線回折およびラマン分光分析により評価したところ、当該薄膜はFe23を主体とする多結晶体により構成されていた。その比抵抗は室温で30mΩ・cm程度であった。図8に、多層グラフェンからなるカーボン薄膜(厚さ約100nm)と、当該カーボン薄膜上に上記と同じ堆積条件で別途形成した鉄酸化物の薄膜との接合界面近傍の断面(透過型電子顕微鏡(TEM)による断面像)を示す。図8に示すように、カーボン薄膜と鉄酸化物薄膜とは急峻な界面で接合していた。
 次に、バイアス印加部3および信号検出部5との電気的な接触を向上させることを目的として、堆積した鉄酸化物2の上にさらにFe34(厚さ50nm)をパルスレーザー堆積法により堆積させた。Fe34を堆積させるためのターゲットには20mm径×5mm厚のFe34焼結体を用い、レーザーにはエキシマレーザー(KrF、波長248nm)を用いた。Fe34の堆積は、基板温度100~400℃(典型的には300℃)、到達真空度10-5~10-6Paに対して酸素ガスを流さない雰囲気、ターゲットに照射するパワー密度4~10J/cm2(典型的には6J/cm2)で実施した。堆積させるFe34の膜厚は、成膜レートから算出した。実施例1で作製したサンプル1-1は、酸素流量2sccmの条件で堆積させた設計膜厚5nmの鉄酸化物2(Fe23を主体とする)上に、電極として厚さ50nmのFe34膜が堆積した構造を有していた。
 次に、堆積させたFe34電極を介して鉄酸化物2に電気バイアスを印加するとともにカーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分の電気抵抗値を検出するために、バイアス印加部3および信号検出部5をカーボン薄膜1および鉄酸化物2に電気的に接続した。バイアス印加部3として、アジレント製パルスジェネレータ81110Aを使用した。信号検出部5として、ケースレー製ソースメータ2425を使用した。
 次に、図3に示すフローチャートに従ってカーボン薄膜1および鉄酸化物2に電気バイアスを印加し、カーボン薄膜1に酸化部4を形成した。印加した電気バイアスは、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間の電位差が3.5V(カーボン薄膜1側が正)、パルス幅が1μsのパルス電圧とした。電気バイアスの印加によって、カーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分の電気抵抗値が上昇した。これを抵抗変化が起きたとして、以下の表1に「○」で示す。表1を含め、これ以降の表の「サンプル構成」の欄における括弧内の数値は、膜厚である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 サンプル1-1における電気バイアスの印加による電気抵抗値の変化を図9に示す。図9では、電気パルスを20回印加する毎に測定した電気抵抗値Rを、電気バイアスを印加する前の電気抵抗値(初期抵抗値)R0に対する比(抵抗変化比R/R0)で示す。図9に示すように、電気バイアスの印加による酸化部(酸化グラフェン)の形成が、電気パルスの印加回数の増加に伴う抵抗変化比R/R0の緩やかな上昇として検出された。そして、電気パルスの印加回数Npが140回に達したときに電気抵抗値が急激に上昇し、その後は、電気パルスのさらなる印加によっても抵抗変化比R/R0はほぼ一定の値を保持した。これは、多数の並列抵抗に一定電圧が印加されている場合に、並列に接続された各抵抗の抵抗値が徐々に高くなりながら(高抵抗化しながら)、最後の抵抗が高抵抗化するときに全体の抵抗が急激に増加する挙動と同様の挙動として理解できる。一方、カーボン薄膜1側を負とした以外は上記と同様にして電気パルスを印加した場合、図10に示すように、1000回以上の電気パルスの印加によっても図9に示すような抵抗変化(電気抵抗値の上昇)は起きなかった。
 図9に示すカーボン薄膜1の変化が、ラマン分光分析により、欠陥に起因するDバンド(約1350cm-1)ピークの増加として確認された。
 サンプル1-1において得られた結果と同様の結果が、鉄酸化物2の設計膜厚を1nm~50nmの範囲で変化させた場合、およびカーボン薄膜1と鉄酸化物2とが接する接合部の面積を1μm2~2500μm2の範囲で変化させた場合にも得られた。
 サンプル1-1において得られた結果は、鉄酸化物2であるFe23からカーボン薄膜1に電子が流れるときにのみ得られた。カーボン薄膜1における酸化部4は、Fe23の酸素イオンがグラフェン側に移動してFe23+C→Fe34+COのような炭素の酸化反応が引き起こされることにより形成されると推察された。Fe34およびFe23の2つの相が、Feイオンサイトの再構築が進行しやすく、かつ酸素イオンが互いに移動しやすい関係にあることが、本発明の実現に大きく寄与していると考えられる。
 このことを確認するために、電気バイアスの印加前後におけるカーボン薄膜1および鉄酸化物2の変化を以下のように評価した。最初に、サンプル1-1よりもカーボン薄膜1を厚くし(厚さ約10nm)、鉄酸化物2の設計膜厚を約25nmとした以外は上記と同様にして、MgO基板、カーボン薄膜1および鉄酸化物2の積層体を形成した。次に、形成した積層体におけるカーボン薄膜1および鉄酸化物2の接合界面の近傍における酸素の分布を、透過型電子顕微鏡の断面観察像に対する電子エネルギー損失分光法(EELS)により評価した。評価結果を、「電気バイアス印加前」として図11に示す。次に、形成した積層体に対して、サンプル1-1に印加した電気バイアスと同じ電気バイアスを、当該積層体が示す抵抗変化比R/R0が上昇後一定となるまで印加した。電気バイアスの印加によって当該積層体は、サンプル1-1と同様の抵抗変化比R/R0の変化を示した。次に、電気バイアス印加後の積層体に対して、当該積層体におけるカーボン薄膜1および鉄酸化物2の接合界面の近傍における酸素の分布を、上記と同様に評価した。評価結果を、「電気バイアス印加後」として図11に示す。図11の縦軸は、エネルギーロスにしておよそ545eVの位置に確認される、酸素に由来するピークの規格化強度である。図11に示すように、電気バイアスの印加によって鉄酸化物2内の酸素がカーボン薄膜1との接合界面に集まり、その一部がカーボン薄膜1側にも拡がったことが確認できた。
 カーボン薄膜1側を正とする電気バイアスの印加によって鉄酸化物2からカーボン薄膜1に酸素が移動し、当該薄膜1の酸化が促進される理由の一つに、炭素の酸化に関するGibbs自由エネルギーと、Fe34が酸化してFe23となるGibbs自由エネルギーとの差が広い温度範囲において負である可能性がある。自由エネルギー差が負である場合、鉄酸化物の酸化よりも炭素の酸化が安定である。各種酸化物の自由エネルギーを示すエリンガム図では、300℃以上の温度域において炭素の酸化が安定であることが示唆されている。実際、カーボン薄膜1および鉄酸化物2に対する電気バイアスの印加により、局所的な高熱が発生することから、上記炭素の酸化の安定と、電気バイアス印加時にカーボン薄膜1の酸化が促進するという本実施例の結果とは定性的に一致する。すなわち、本実施例の結果は、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に成立する互いに好適な関係が見出されたことによって、初めて達成されたと考えられる。
 (比較例1)
 比較例1では、鉄酸化物2の代わりに膜厚5nmの酸化マグネシウム(MgO)を用いて酸化カーボン薄膜の形成を試みた(サンプル1-A)。サンプル1-Aは、鉄酸化物2の代わりにMgOを堆積させた以外、実施例1のサンプル1-1と同様に作製した。MgOの堆積は、パルスレーザー堆積法により、ターゲットとして20mm径×2mm厚のMgO焼結体を用い、レーザーとしてエキシマレーザー(KrF、波長248nm)を用いて行った。堆積条件は、基板温度が室温~300℃(典型的には室温)、到達真空度10-5~10-6Paに対して酸素ガスを流さない雰囲気、ターゲットに照射するパワー密度4~10J/cm2(典型的には6J/cm2)とした。堆積したMgOの膜厚は成膜レートから算出した。MgOの上には、サンプル1-1において鉄酸化物2を堆積させた場合と同様に、バイアス印加部3および信号検出部5との電気的な接触を向上させることを目的としてさらにFe34(厚さ50nm)を堆積させた。Fe34の堆積条件は、サンプル1-1の堆積条件と同一にした。
 このようにして形成したカーボン薄膜およびMgOの積層体に対して、カーボン薄膜とMgOとの電位差が3.5V(カーボン薄膜側が正)、パルス幅が1μsの電圧パルスを印加した。しかし、繰り返し電圧パルスを印加したにも拘わらず、カーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分の電気抵抗値は変化しなかった。これを抵抗変化が起きなかったとして、以下の表2に「×」で示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2に示す結果は、酸化に関するGibbs自由エネルギーに関して、炭素の酸化よりもMgの酸化の方が安定であることに由来すると推察された。具体的には、カーボン薄膜の酸化に必要な酸素がMgOから取り出せないことによると考えられる。実施例1および比較例1によれば、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間に電気バイアスを印加することによってカーボン薄膜1に酸化部をパターニングできるという本発明の効果が実証された。
 (実施例2、比較例2)
 鉄酸化物2を堆積させる際の酸素ガス流量に応じて、堆積した鉄酸化物2におけるFe23およびFe34の含有率比が変化する。実施例2では、鉄酸化物の堆積雰囲気の酸素ガス流量を変化させたサンプルを作製し、酸化カーボン薄膜の形成を試みた。実施例2として作製した5種類のサンプル(サンプル2-1~2-5)および比較例2として作製した1種類のサンプル(サンプル2-A)は、鉄酸化物の堆積雰囲気の酸素ガス流量を以下の表3に示す値とし、カーボン薄膜と当該薄膜上に堆積させた鉄酸化物との接合部のサイズを10μm×10μmとした以外は、実施例1のサンプル1-1と同様に作製した。次に、このようにして形成したカーボン薄膜および鉄酸化物の積層体に対して、カーボン薄膜と鉄酸化物との電位差が3.5V(カーボン薄膜側が正)、パルス幅が1μsの電圧パルスを印加し、酸化カーボン薄膜の形成を試みた。その結果を以下の表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 サンプル2-1~2-5は、電気バイアスの印加によって、サンプル1-1と同様の抵抗変化比R/R0の変化を示した。これを、抵抗変化が起きたとして、表3の抵抗変化の欄に「○」で示す。一方、サンプル2-Aは、繰り返し電圧パルスを印加したにも拘わらず、カーボン薄膜における鉄酸化物と接する部分の電気抵抗値は変化せず、抵抗変化比R/R0は変化しなかった。これを、抵抗変化が起きなかったとして、表3の抵抗変化の欄に「×」で示す。
 サンプル2-5における電気バイアスの印加による電気抵抗値の変化を図12に示す。図12では、電気パルスを1回印加する毎に測定した電気抵抗値を、図9と同様に抵抗変化比R/R0で示す。図12に示すように、鉄酸化物の堆積雰囲気の酸素ガス流量を1sccmとしたサンプル2-5において、電気パルスの印加回数の増加に伴う抵抗変化比R/R0の緩やかな上昇ならびに電気パルスの印加回数Npが489回に達した時点で生じた抵抗変化比R/R0の急激な上昇といった酸化部の形成に特徴的な電気抵抗値の変化が確認された。
 サンプル2-Aにおける電気バイアスの印加による電気抵抗値の変化を図13に示す。図13に示すように、鉄酸化物の堆積雰囲気の酸素ガス流量を0sccmとしたサンプル2-Aでは、1000回以上の電気パルスの印加によっても図12に示すような電気抵抗値の変化(酸化部の形成に特徴的な電気抵抗値の変化)は起きなかった。
 これとは別に、サンプル2-Aにおける鉄酸化物の堆積条件と同一の条件にて膜厚100nmの鉄酸化物を成膜した。成膜した鉄酸化物膜が示す抵抗の温度依存性を評価したところ、およそ130K(ケルビン)で、フェルウェイ転移と呼ばれるFe34に特徴的な電子相転移が確認された。このことから、サンプル2-Aの鉄酸化物はFe34であると考えられた。サンプル2-Aが示す結果は、Fe34の比抵抗が10mΩ・cm程度(図13参照)と小さいことに加えて、スピネル構造をとるFe34には動きやすい余剰酸素が無いため、カーボン薄膜の酸化に必要な酸素が鉄酸化物から取り出せないことによると考えられる。表3に示す結果から、鉄酸化物2は少なくともFe23を含む必要があり、Fe23とFe34との混合体が好ましいことがわかった。
 (実施例3)
 実施例3では、実施例2で作製したサンプル2-5を用いて、印加する電気バイアスを変化させた場合における抵抗変化比R/R0の変化を評価した。
 印加するパルス電圧の大きさを3.5Vから大きくしていくと、急激に抵抗変化比R/R0が変化する電気パルス印加回数Npが489回から減少した。一方、印加するパルス電圧の大きさを3.5Vから小さくしていくと、当該Npが増加した。印加するパルス電圧の大きさを3.5Vに固定するとともにパルス幅を1μsから短くすると当該Npが増加し、長くすると当該Npが減少した。さらに、直流電源を用いて3.5Vの定電圧を印加した場合にも急激な抵抗変化比R/R0の変化が確認され、急激に抵抗変化比R/R0が変化するまでのバイアス印加時間も、パルス幅1μsのパルス電圧をNp回印加した場合の積算時間(489μs)に比べて大きく低減した。これらの結果によれば、本発明による酸化カーボン薄膜の形成には、印加する電気バイアスの投入電力および電気バイアスの印加により発生するジュール熱が関与していることが示唆された。また、実施例3により、電気バイアスの印加条件を制御することにより、酸化カーボン薄膜の形成を制御できることがわかった。
 (実施例4)
 実施例4では、図5に示す構成を用いて、図7に示す素子を作製した。
 最初に、実施例1と同様にカーボン薄膜1を準備した。ただし、粘着テープ上のHOPGの薄片は、p形ドープされたSi基板に、当該基板の表面に形成された熱酸化Si膜(厚さ300nm)と接するようにこすりつけた。Si基板が図5,7の基板8に、熱酸化Si膜が絶縁層7にそれぞれ相当する。
 次に、パルスレーザー堆積法により、カーボン薄膜1の表面に鉄酸化物2を設計膜厚5nmで堆積させた。鉄酸化物2の具体的な堆積方法および堆積条件は、サンプル2-5と同じとした(堆積雰囲気の酸素ガス流量が1sccm)。ただし、堆積した鉄酸化物2の形状は、図5~7に示すように、カーボン薄膜の主面に垂直な方向から見て最小幅10nmの狭小部10(一対の鉄酸化物2に挟まれた、カーボン薄膜1が露出している部分)が形成されるようにした。一対の鉄酸化物2は当該方向から見て、各々同一の楔形状を有していた。一対の鉄酸化物2は、その長辺方向に互いに対称となるように堆積させた。鉄酸化物2を堆積させた後のカーボン薄膜1をその主面に垂直な方向から見ると、一対の鉄酸化物2の間に、当該鉄酸化物2の長辺の方向に次第に狭くなっていくとともに最後は狭小部10となる、カーボン薄膜1が露出した部分が形成されていた。このような形状および配置を有する鉄酸化物2の堆積には、電子ビームリソグラフィのレジストとして使用可能な無機ポリマーHSQ(Hydrogen Silsesquioxane)からなり、堆積させる鉄酸化物2の形状および位置に合致した開口部を有するマスクを使用した。
 次に、バイアス印加部3および信号検出部5との電気的な接触を向上させることを目的として、実施例1と同様に、鉄酸化物2の上にさらにFe34(厚さ50nm)を堆積させた。
 次に、堆積させたFe34を介して鉄酸化物2に電気バイアスを印加するとともに、カーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分の電気抵抗値を検出するために、バイアス印加部3および信号検出部5をカーボン薄膜1および鉄酸化物2に電気的に接続した。バイアス印加部3として、アジレント製パルスジェネレータ81110Aを使用した。信号検出部5として、ケースレー製ソースメータ2425を使用した。
 次に、図3に示すフローチャートに従ってカーボン薄膜1および鉄酸化物2に電気バイアスを印加し、カーボン薄膜1に酸化部4を形成した。印加した電気バイアスは、カーボン薄膜1と鉄酸化物2との間の電位差が3.5V(カーボン薄膜側が正)、パルス幅が1μsのパルス電圧とした。電気バイアスの印加によって、カーボン薄膜1における鉄酸化物2と接する部分の電気抵抗値が上昇した。これを、抵抗変化が起きたとして、以下の表4に「○」で示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 次に、Si基板8とカーボン薄膜1との間に電圧を印加できるようにバイアス印加部3を電気的に接続するとともに、信号検出部5を、狭小部10を介してカーボン薄膜1の面内を流れる電流を検知できるようにカーボン薄膜1に電気的に接続した。そして、Si基板8をゲート電極として当該基板8およびカーボン薄膜1間に電圧を印加し、その際に狭小部10を介してカーボン薄膜1の面内を流れる電流の変化を評価した。バイアス印加部3および信号検出部5には、アジレント製半導体パラメータアナライザ4156Cを用いた。
 その結果、Si基板8とカーボン薄膜1との間に印加したゲート電圧を0Vから50Vまで変化させると、狭小部10を介してカーボン薄膜1の面内を流れる電流は、少なくとも1桁以上のレベルで変調した。すなわち、実施例4で作製した素子は、電界効果素子として機能するカーボン薄膜素子であった。
 本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
 本発明の酸化カーボン薄膜の製造方法は、カーボン薄膜とこれに接する鉄酸化物とに対して電気バイアスを印加し、当該薄膜を改質する(当該薄膜に酸化部を形成する)ことにより実現しうる。この製造方法は、半導体プロセスとの親和性が高く、電子デバイスを製造するための基本的なプロセス技術として汎用的な応用が可能である。

Claims (9)

  1.  カーボン薄膜と、前記カーボン薄膜に接するとともにFe23を含む鉄酸化物とを準備する第1のステップと;
     前記カーボン薄膜と前記鉄酸化物との間に前記カーボン薄膜側を正とする電圧または電流を印加することにより、前記カーボン薄膜における前記鉄酸化物と接する部分を酸化させて酸化カーボンにより構成される酸化部に変化させ、前記酸化部を有する酸化カーボン薄膜を形成する第2のステップと;を含む、酸化カーボン薄膜の製造方法。
  2.  前記カーボン薄膜が単層または多層のグラフェンである請求項1に記載の酸化カーボン薄膜の製造方法、。
  3.  前記第2のステップにおいて、前記カーボン薄膜と前記鉄酸化物との間にパルス状の電圧または電流を印加する請求項1に記載の酸化カーボン薄膜の製造方法。
  4.  前記第2のステップが、前記カーボン薄膜と前記鉄酸化物との間に前記電圧または電流を印加する第1のサブステップ、前記カーボン薄膜における前記鉄酸化物に接する部分の電気抵抗値の情報を含む電気信号を検出する第2のサブステップ、ならびに前記検出した電気信号が、前記電気抵抗値が所定の値に達したときに得られる電気信号であるか否かを検証する第3のサブステップを含む、請求項1に記載の酸化カーボン薄膜の製造方法。
  5.  前記第2のステップにおいて、前記検出した電気信号が、前記電気抵抗値が所定の値に達したときに得られる電気信号となるまで、前記第1のサブステップ、前記第2のサブステップおよび前記第3のサブステップをこの順に繰り返す、請求項4に記載の酸化カーボン薄膜の製造方法。
  6.  前記第1のステップにおいて、Fe34をさらに含む前記鉄酸化物を準備する請求項1に記載の酸化カーボン薄膜の製造方法。
  7.  基板と、
     酸化カーボンにより構成される酸化部を有するとともに前記基板上に配置された酸化カーボン薄膜とを備える、酸化カーボン薄膜を有する素子の製造方法であって、
     前記基板と、前記基板上に配置されたカーボン薄膜と、Fe23を含む鉄酸化物とを、前記鉄酸化物が、前記カーボン薄膜に前記酸化部を形成する位置で当該カーボン薄膜に接するように準備する第1のステップと;
     前記カーボン薄膜と前記鉄酸化物との間に前記カーボン薄膜側を正とする電圧または電流を印加することにより、前記カーボン薄膜における前記鉄酸化物と接する部分を酸化させて前記酸化部に変化させ、前記酸化部を有する酸化カーボン薄膜を形成する第2のステップと;を含む、酸化カーボン薄膜を有する素子の製造方法。
  8.  導電体または半導体により構成される基板と、前記基板上に配置された酸化カーボン薄膜と、前記基板と前記酸化カーボン薄膜との間に配置された絶縁層とを備え、
     前記酸化カーボン薄膜は、酸化カーボンにより構成される絶縁部とカーボンにより構成される非絶縁部とを有し、
     前記非絶縁部は、前記酸化カーボン薄膜の主面に垂直な方向から見て、前記絶縁部により挟まれた狭小部を有し、
     前記基板と前記酸化カーボン薄膜との間に電界を印加することによって、前記酸化カーボン薄膜の面内方向における、前記狭小部を介した前記非絶縁部の導電性が変化する、酸化カーボン薄膜を有する素子。
  9.  前記方向から見た前記狭小部の最小幅が10nm以下である請求項8に記載の酸化カーボン薄膜を有する素子。
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