JP2014045111A - 超伝導回路の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より短時間で、3次元的な超伝導回路が作製できるようにする。
【解決手段】第1工程S101で、超伝導性を示す金属の化合物からなる金属原料ガスを基板の上に供給する。次いで、第2工程S102で、金属原料ガスが供給されている基板の上にガリウムイオンの集束ビームを照射位置を移動させて照射することで、基板の上に超伝導体からなる3次元構造の超伝導回路を形成する。ここで、第2工程S102では、集束ビームを生成するための電流値を制御することで、超伝導回路における電気特性を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】第1工程S101で、超伝導性を示す金属の化合物からなる金属原料ガスを基板の上に供給する。次いで、第2工程S102で、金属原料ガスが供給されている基板の上にガリウムイオンの集束ビームを照射位置を移動させて照射することで、基板の上に超伝導体からなる3次元構造の超伝導回路を形成する。ここで、第2工程S102では、集束ビームを生成するための電流値を制御することで、超伝導回路における電気特性を制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ガリウムイオンの集束ビームを用いて3次元的な超伝導回路を形成する超伝導回路の作製方法に関する。
SQUIDなどの超伝導回路をセンサ等へ応用し、これらの高感度化・高機能化、また新たな機能を達成するためには、高い構造自由度を有する超伝導回路の形成を可能とする作製技術が重要となる。例えば、ジョセフソン接合(非特許文献1),超伝導量子干渉素子(Superconducting Quantum Interference Device, SQUID)(非特許文献2)に代表されるナノスケールあるいはマイクロスケールの超伝導回路は、現在、電子ビームリソグラフィー,フォトリソグラフィー,ドライ・ウエットエッチングなどの半導体製造プロセス技術を複合的に活用して作製が行われている。
しかしながら、上述した作製技術は、基本的には2次元構造形成技術であり、これらの技術の加工特性上デバイス構造が2次元構造体に制約され、高い構造自由度を有する3次元超伝導回路の形成が困難である。
これに対し、集束イオンビーム(FIB)を用いた微小構造体の形成技術があり(特許文献1,非特許文献3参照)、この微小構造体形成の技術を応用した3次元の微細な構造体を作製する技術が提案されている(特許文献2,非特許文献4参照)。FIBによる微細構造体の形成技術では、FIB−CVDと呼ばれ、CVDの原料となるガスをガスノズルよりFIB装置の処理室内へ導入し、原料のガス分子を基板表面に吸着させ、ここにガリウム集束イオンビーム(Ga+FIB)を照射することで原料分子を解離,堆積させ、微小構造体を形成する。
この技術を応用し、Ga+FIBの照射位置および照射時間を任意に制御することで、任意形状の微小3次元ナノ・マイクロ構造を作製することが可能であり、ナノマニピュレータなどの様々な微小構造デバイスが作製されている(特許文献2,非特許文献4参照)。
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ところで、上述したFIB−CVDを3次元的な超伝導回路の作製に適用した場合、原料ガスの供給量や温度を変化させることで、異なる超伝導状態を実現している。よく知られているように、原料ガスの供給状態および温度は、これを変化させようとしても、変化後の状態が安定するまでに時間がかかる。言い換えると、原料ガスの供給状態は、短時間で変更できない。このため、上述したFIB−CVDによる3次元的な超伝導回路の作製では、所望とする超伝導回路の形成に時間がかかるという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、より短時間で、3次元的な超伝導回路が作製できるようにすることを目的とする。
本発明に係る超伝導回路の作製方法は、超伝導性を示す金属の化合物からなる金属原料ガスを基板の上に供給する第1工程と、金属原料ガスが供給されている基板の上にガリウムイオンの集束ビームを照射位置を移動させて照射することで、基板の上に超伝導体からなる3次元構造の超伝導回路を形成する第2工程とを少なくとも備え、第2工程では、集束ビームを生成するための電流値を制御することで、超伝導回路における電気特性を制御する。例えば、3次元的な構造の超伝導回路の一部を形成している途中で、電流値を変更する。
上記超伝導回路の作製方法において、第2工程において、電流値に加え、金属原料ガスの供給量および温度の少なくとも1つを制御することで、超伝導回路における電気特性を制御するようにしてもよい。
また、上記超伝導回路の作製方法において、第1工程では、金属原料ガスに加えて炭化水素ガスを基板の上に供給し、第2工程では、金属原料ガスに加えて炭化水素ガスが供給されている基板の上にガリウムイオンの集束ビームを照射位置を移動させて照射することで超伝導回路を形成するようにしてもよい。この場合、第2工程において、電流値に加え、金属原料ガスと炭化水素ガスとの供給量比,金属原料ガスの温度,および炭化水素ガスの温度の少なくとも1つを制御することで、超伝導回路における電気特性を制御してもよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、より短時間で、3次元的な超伝導回路が作製できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における超伝導回路の作製方法を説明するフローチャートである。この作製方法は、まず、第1工程S101で、超伝導性を示す金属の化合物からなる金属原料ガスを基板の上に供給する。次いで、第2工程S102で、金属原料ガスが供給されている基板の上にガリウムイオンの集束ビームを照射位置を移動させて照射することで、基板の上に超伝導体からなる3次元構造の超伝導回路を形成する。ここで、第2工程S102では、集束ビームを生成するための電流値を制御することで、超伝導回路における電気特性を制御する。
例えば、図2のフローチャートに示すように、第1工程S201で、超伝導性を示す金属の化合物からなる金属原料ガスの基板の上への供給を開始する。次に、第2工程S202で、金属原料ガスが供給されている基板の上に、第1電流値の条件で、ガリウムイオンの集束イオンビームの照射を開始し、所望とする軌跡で照射位置を移動させ、基板の上に一部の超伝導回路を形成する。
次いで、照射位置が設定されている箇所に到達したら、第3工程S203で、照射している集束イオンビームの電流値の条件を、第1電流値から第2電流値に変更する。この電流値の条件変更により、形成される一部の超伝導回路において、例えば、超伝導性を示すようになる温度(転移温度)が低い状態とする。次いで、第2電流値の条件において、照射位置が設定されている箇所に到達したら、第4工程S204で、照射している集束イオンビームの電流値の条件を、第2電流値から第1電流値に戻す。
以上のことにより、第3工程S203で形成された一部の超伝導回路は、他の領域に比較して、低い転移温度とすることができる。このように、低い転移温度として形成した部分は、第2工程S202,第4工程S204で形成した他の部分の超伝導回路が超伝導状態となる転移温度では、超伝導状態とはならず、例えば、常伝導状態が維持される。このような構成とすることで、例えば、ジョセフソン接合を構成することが可能となる。
ところで、図1を用いて説明した第2工程S102において、電流値に加え、金属原料ガスの供給量または温度を制御することで、超伝導回路における電気特性を制御してもよい。
また、金属原料ガスに加えて炭化水素ガスを基板の上に供給し、この状態で、上述同様に、ガリウムイオンの集束ビームを照射位置を移動させて照射し、この中で、集束ビームを生成するための電流値を制御して超伝導回路における電気特性を制御してもよい。この場合、上述した第2工程S102において、電流値に加え、金属原料ガスと炭化水素ガスとの供給量比,金属原料ガスの温度,および炭化水素ガスの温度の少なくとも1つを制御することで、超伝導回路における電気特性を制御してもよい。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、ガリウムイオンの集束ビームを生成するための電流値を制御(変化)させるようにしたので、形成される超伝導回路の状態を短時間で変更できるようになる。この結果、より短時間で、3次元的な超伝導回路が作製できるようになる。
以下、実施例を用いてより詳細に説明する。
[実施例]
以下では、タングステン系原料ガス,炭化水素系原料ガス,あるいはタングステン系原料ガスと炭化水素系原料ガスとの混合ガスを用いたFIB−CVDにより超伝導回路要素構造体の1つであるナノワイヤを形成し、形成したナノワイヤの電気特性を評価した結果を示す。また、ジョセフソン接合およびSQUID構造を作製した結果を示す。
以下では、タングステン系原料ガス,炭化水素系原料ガス,あるいはタングステン系原料ガスと炭化水素系原料ガスとの混合ガスを用いたFIB−CVDにより超伝導回路要素構造体の1つであるナノワイヤを形成し、形成したナノワイヤの電気特性を評価した結果を示す。また、ジョセフソン接合およびSQUID構造を作製した結果を示す。
まず、集束イオンビーム装置SMI9200(セイコーインスツルメンツ社製)およびSMI3050(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いた。装置について簡単に説明すると、図3の(a)に示すように、真空排気可能とされた処理室301と、ガリウムイオン(Ga+)の集束イオンビームを生成して照射するイオンガン302と、処理対処の基板Wを載置する基板載置台303と、タングステン系原料ガスを供給するガス銃304と、ガス銃304に原料を供給するリザーバ305と、炭化水素系原料ガスを供給するガス銃306と、ガス銃306に原料を供給するリザーバ307とを備える。
例えば、図3の(b)に示すように、ガス銃304を用い、タングステン系原料ガスとしてW(CO)6を基板Wの上に供給している状態で、Ga+の集束イオンビームを走査すれば、基板Wの上の走査した箇所にナノワイヤ311が形成できる。W(CO)6ガスを供給したことにより、W(CO)6の分子が基板Wの表面に吸着して吸着層を形成し、この吸着層にGa+の集束イオンビームを照射することで、ナノワイヤ311が形成される。このとき、タングステン系原料ガスの代わりに、炭化水素系原料ガス(例えばC14H10)を供給してもよい。
また、図3の(c)に示すように、ガス銃304を用い、W(CO)6を基板Wの上に供給すると共に、ガス銃306を用いてC14H10を供給している状態で、Ga+の集束イオンビームを走査すれば、基板Wの上の走査した箇所にナノワイヤ312が形成できる。ガス銃304のガスノズルおよびガス銃306のガスノズルより、各々の原料ガスを同時に供給すればよい。この場合、基板Wの表面には、W(CO)6の分子およびC14H10の分子が吸着して吸着層を形成し、この吸着層にGa+の集束イオンビームを照射することで、ナノワイヤ312が形成される。
また、Ga+の集束イオンビーム生成は、加速電圧30kVとして行った。なお、SMI9200では、ビーム電流4pA,6pA,10pA,50pAとし、SMI3050では、ビーム電流1pA,10pA,40pAとした。なお、SMI9200は、タングステン系原料ガスを供給する1つのガス銃と、炭化水素系原料ガスを供給する2つのガス銃を備える。また、SMI3050は、タングステン系原料ガスを供給する1つのガス銃と、炭化水素系原料ガスを供給する1つのガス銃を備える。いずれの装置においても、炭化水素系原料ガスのみを供給する状態とすれば、カーボン系ナノワイヤが作製できる。
なお、ガス銃は、リザーバに充填した原料を加熱することでガスを生成して供給している。生成したW(CO)6ガス,C14H10ガスは、基板Wの表面から150μm上方で、構造作製位置中心から150μm横方向に離れた位置に設置したガスノズルよりFIB装置の処理室301内に導入した。また、ガス圧力は、各々のリザーバにおける加熱温度により制御した。また、2つのガスを供給する場合においては、リザーバ305の加熱温度を70℃に固定し、リザーバ307の温度を変えることでナノワイヤのタングステン含有率を制御した。なお、基板Wは、表面に酸化シリコン層を形成したシリコン基板である。
以上の条件のもと、演算部および信号発生器などを有する3次元構造描画装置を用いてイオンガン302により生成したGa+の集束イオンビームの照射位置・照射時間を任意に制御し、タングステン系ナノワイヤおよびカーボン系ナノワイヤを形成した。
図4は、形成したタングステンナノワイヤの状態を、走査型電子顕微鏡で観察した結果得られた写真である。このタングステンナノワイヤは、SMI9200を用い、集束イオンビーム生成のための電流値は、6pAとし、リザーバ305の加熱温度を70℃としてW(CO)6ガスを供給し、同時に、リザーバ307の加熱温度を80℃としてC14H10ガスを供給している。また、層厚20nmのチタン層と層厚200nmのAu層とを積層して形成した4端子計測用電極の上に、上記条件でタングステンナノワイヤを形成している。形成されたタングステンナノワイヤのワイヤ長さは、14.8μmであり、ワイヤ幅は、400nmである。
次に、各条件で作製したナノワイヤの電気特性を評価した結果について、図5を用いて説明する。この評価における計測は、300Kから1.8Kの温度環境下で4端子計測法を用いて行った。図5は、作製したナノワイヤの電気特性を評価した結果を示す特性図である。
なお、図5において、「SMI9200」は、集束イオンビーム装置SMI9200を用いて作製したことを示し、「SMI3050」は、集束イオンビーム装置SMI3050を用いて作製したことを示している。また、例えば、「10pA」は、集束イオンビーム生成のための電流値が10pAの条件であることを示す。
また、例えば、「W70」は、W(CO)6ガスを供給するためのリザーバの加熱温度が70℃であることを示している。また、例えば、「C90」は、C14H10ガスを供給するためのリザーバの加熱温度が90℃であることを示している。また、「W70+C70」は、W(CO)6ガスおよびC14H10ガスを同時に供給することを示し、W(CO)6ガスを供給するためのリザーバの加熱温度が70℃であり、C14H10ガスを供給するためのリザーバの加熱温度も70℃であることを示している。以下の表1に、各条件を示す。
図5の(a),(b),(c)に示すように、イオンガンにより生成されるイオンビームの電流値の条件を変えることで、超伝導特性,常伝導特性,絶縁特性を有するナノワイヤを区別して作製できることが確認された。また、イオンガンにより生成されるイオンビームの電流値に加え、原料ガスの供給状態(リザーバの加熱温度)の条件を変えることでも、超伝導特性,常伝導特性,絶縁特性を有するナノワイヤを区別して作製できることが確認された。特に、図5の(a)および(c)に示すように、W(CO)6ガスのみにより作製したナノワイヤ,および「SMI92006pAW70+C60」,「SMI92006pAW70+C70」の条件で作製したナノワイヤが、超伝導特性を有することが確認された。
ここで、図5の(d)は、超伝導ナノワイヤの転移温度Tcを、各ナノワイヤのタングステン含有率で整理してプロットしたグラフである。また、以下の表2に各堆積条件により作製される超伝導ナノワイヤの組成および転移温度Tcをまとめた。表2からも、イオンガンにより生成される電流値の条件を変えることで、形成されるナノワイヤの転移温度Tcが制御できることがわかる。
次に、超伝導回路要素構造体の例として作製したSQUIDループ構造の電子顕微鏡写真を図6に示す。また、超伝導回路要素構造体の例として作製した3次元ナノワイヤの電子顕微鏡写真を図7に示す。図6,図7に示すように、上述した実施の形態の作製方法により、任意の2次元および3次元構造を有する超伝導回路要素構造体を作製することができる。
次に、本実施の形態における超伝導回路の作製方法を用いたジョセフソン接合の作製について、図8を用いて説明する。以下では、超伝導体−常伝導体−超伝導体(SNS)型のジョセフソン接合を形成した場合について説明する。図8において、(a),(b),(c)は断面を示し、(a’),(b’),(c’)は、平面を示している。
まず、図8の(a),(a’)に示すように、基板Wの上に、所定距離離間してTi層801およびAu層802の積層構造からなる電極を形成する。これらは、例えば、電子ビームリソグラフィー,蒸着,リフトオフプロセスにより作製すればよい。
次に、図8の(b),(b’)に示すように、ガス銃304よりW(CO)6を供給した状態で、Ga+FIBを走査することで、各電極に接続するSQUIDループ803を形成する。SMI9200を用い、イオンガンにより生成されるイオンビームの電流値は50pAとし、リザーバ温度は70℃とする。
次に、図8の(c),(c’)に示すように、ガス銃304よりW(CO)6を供給し、ガス銃306よりC14H10ガスを供給した状態で、Ga+FIBを走査することで、SQUIDループ803の接合部に、常伝導層804を形成した。SMI9200を用い、イオンガンにより生成されるイオンビームの電流値は6pAとし、W(CO)6の供給はリザーバ温度を70℃とし、C14H10ガスの供給はリザーバ温度を90℃とした。なお、常伝導層804を形成する接合部のギャップは、80nmとしている。この結果、図9の電子顕微鏡の写真に示すように、SQUIDループ構造が得られた。
また、作製したSQUIDループ構造の電気特性を評価したところ、図10に示す結果が得られた。図10の(a)が、1.2Kにおける電気特性を示し、図10の(b)が4Kにおける電気特性を示している。図10に示すように、作製したSQUIDループ構造は、SNS型ジョセフソン接合の典型的な特性を示しており、作製した構造体がジョセフソン接合として機能することが確認された。このように、実施の形態の作製方法によれば、ジョセフソン接合の要素となる配線,接合部材料の堆積条件を適宜に設定・変更することで、回路内に超伝導部および常伝導部を位置選択的に形成し、ジョセフソン接合として動作させることが可能である。
以上に説明したように、本発明によれば、ガリウムイオンの集束ビームを生成するための電流値を制御するようにしたので、より短時間で、3次元的な超伝導回路が作製できるようになる。これによれば、任意形状の2次元,3次元超伝導回路(配線,ナノワイヤ,ジョセフソン接合,コイル,超伝導量子干渉素子など)の作製が可能である。
ナノスケール,マイクロスケールの超伝導回路は、次世代センサや次世代回路素子などの中核デバイスとして期待され、研究開発が進められている。これらの次世代デバイス作製においては、超伝導により発現する特性・機能を任意に取り扱うことが可能な構造体の形成が要求される。これに対し、本発明によれば、高い構造自由度を有する超伝導回路が作製可能であり、立体的な構造を有する高機能超伝導干渉磁束計や高感度ナノメカニカル素子、立体回路を用いた超伝導量子ビット配線など、従来技術では不可能な様々な新しい技術への応用が期待される。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、上述では、超伝導性を示す金属の化合物からなる金属原料ガスとして、タングステン系原料ガスであるW(CO)6を用いるようにしたがこれに限るものではない。タングステン系原料ガスとしては、WF6を用いるようにしてもよい。また、タングステン系原料ガスに限らず、ニオブ,鉄,ニッケルなどの超伝導性を示す金属の化合物であればよい。また、炭化水素ガスは、C14H10に限らず、C8H8,C16H10の炭化水素のガスを用いることができる。
また、本発明は、電子ビーム露光技術,フォトリソグラフィー,ナノインプリント技術,ドライ・ウエットエッチング技術,蒸着・スパッタリング・化学気相成長法・分子線エピタキシー法などの成膜技術による超微細加工技術を組み合わせることも可能である。
また、本発明により作製される超伝導回路は、配線,接合部などの要素構造体の一部を上記の既存の超微細加工技術を用いても作製可能であり、これを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、図11の(a)に示すように、電子ビームリソグラフィー,蒸着,およびリフトオフプロセスを用いてAu,Cuなどで接合部構造1101を作製した後、作製した接合部構造周辺に、電極1102を形成し、また、FIB−CVDにより超伝導配線1103を形成することによっても、ジョセフソン接合1104を備えるSQUIDなどの超伝導回路の形成が可能である。
また、図11の(b)に示すように、既存の微細加工プロセス技術を用い、電極1111,Nbなどからなる超伝導配線1112を作製した後、FIB−CVDを用いて接合部構造1113を形成し、ジョセフソン接合1114を備えるSQUIDなどの超伝導回路を形成することも可能である。
加えて、本発明のFIB−CVDを利用した超伝導回路の作製法により作製可能な超伝導回路要素構造,超伝導回路の形状・機能は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて、種々の変形・応用が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、図12の(a)に示すような、立体超伝導配線1201,図12の(b)に示すような超伝導コイル1202などの超伝導回路要素構造が作製できる。また、図12の(b)に示すように、基板平面上に配置されたSQUID1203と、立体的に配置されたSQUID1204とを備える超伝導回路の作製が可能である。
301…処理室、302…イオンガン、303…基板載置台、304,306…ガス銃、305,307…リザーバ。
Claims (4)
- 超伝導性を示す金属の化合物からなる金属原料ガスを基板の上に供給する第1工程と、
前記金属原料ガスが供給されている前記基板の上にガリウムイオンの集束ビームを照射位置を移動させて照射することで、前記基板の上に超伝導体からなる3次元構造の超伝導回路を形成する第2工程と
を少なくとも備え、
前記第2工程では、前記集束ビームを生成するための電流値を制御することで、前記超伝導回路における電気特性を制御することを特徴とする超伝導回路の作製方法。 - 請求項1記載の超伝導回路の作製方法において、
前記第2工程において、前記電流値に加え、前記金属原料ガスの供給量および温度の少なくとも1つを制御することで、前記超伝導回路における電気特性を制御することを特徴とする超伝導回路の作製方法。 - 請求項1または2記載の超伝導回路の作製方法において、
前記第1工程では、前記金属原料ガスに加えて炭化水素ガスを前記基板の上に供給し、
前記第2工程では、前記金属原料ガスに加えて前記炭化水素ガスが供給されている前記基板の上にガリウムイオンの集束ビームを照射位置を移動させて照射することで前記超伝導回路を形成する
ことを特徴とする超伝導回路の作製方法。 - 請求項3記載の超伝導回路の作製方法において、
前記第2工程において、前記電流値に加え、前記金属原料ガスと前記炭化水素ガスとの供給量比,金属原料ガスの温度,および前記炭化水素ガスの温度の少なくとも1つを制御することで、前記超伝導回路における電気特性を制御することを特徴とする超伝導回路の作製方法。
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