JP2009132908A - ブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物およびそれを用いたブロー成形品 - Google Patents
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Abstract
【達成手段】 相対粘度2.5〜3.8の結晶性ポリアミド樹脂(A)、非晶性ポリアミド樹脂(B)、グリシジル基を2個以上含有する反応基含有アクリル共重合体(C)及び繊維状強化材(D)からなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)で求められる降温結晶化温度をTc2N(℃)、前記樹脂組成物の中で前記(B)成分のみを含有しない場合の降温結晶化温度をTc2M(℃)としたとき、下記関係を満足し、かつ前記樹脂組成物の融点より25℃高い温度で、0.5mm/分の剪断速度で測定した溶融粘度が3,000〜40,000Pa・sであることを特徴とするブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。 Tc2M(℃)−Tc2N(℃) ≧ 5(℃)
【選択図】 なし
Description
(1)相対粘度2.5〜3.8の結晶性ポリアミド樹脂(A)、非晶性ポリアミド樹脂(B)、グリシジル基を2個以上含有する反応基含有アクリル共重合体(C)および繊維状強化材(D)からなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)で求められる降温結晶化温度をTc2N(℃)、前記樹脂組成物の中で前記(B)成分のみを含有しない場合の降温結晶化温度をTc2M(℃)としたとき、下記関係を満足し、かつ前記樹脂組成物の融点より25℃高い温度にて、0.5mm/分の剪断速度で測定した溶融粘度が3,000〜40,000Pa・sであることを特徴とするブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
Tc2M(℃)−Tc2N(℃) ≧ 5(℃)
(2)反応基含有アクリル共重合体(C)が、(X)ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、(Y)グリシジル(メタ)アクリレート1〜80質量%および(Z)アルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%の比率で共重合してなる共重合体であり、該共重合体の重量平均分子量が500〜100,000である前記(1)に記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
(3)反応基含有アクリル共重合体(C)のエポキシ価が、800〜6,000当量/106gである前記(1)または(2)に記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
(4)塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、酢酸銅のうちの少なくとも1種を含む前記(1)〜(3)のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
(5)ポリオレフィン、反応基含有ポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、反応基含有ポリオレフィン系エラストマーのうち1種または2種以上を含む前記(1)〜(4)
のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド樹脂組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物を用いて得られるブロー成形品。
(7)ブロー成形品が、自動車関連部品である前記(6)に記載のブロー成形品。
(8)自動車関連部品が、吸気、排気系部品である前記(7)に記載のブロー成形品。
(9)吸気・排気系部品が、エアホース、エアダクト、ターボダクト、ターボホース、インテークマニホールド、エグゾ−ストマニホールドである前記(8)記載のブロー成形品。
(10)ブロー成形が、ダイレクトブロー、三次元ブロー、三次元エクスチェンジブロー、サクションブロー、三次元サクションブロー、三次元エクスチェンジサクションブロー、インジェクションストレッチブローのいずれか1種である前記(9)に記載のブロー成形品。
このため、強化ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度と固化速度を、所望の複雑な形状で外観が良好なブロー成形品を成形できるように調整することが可能であり、ブロー成形に好適な強化ポリアミド系樹脂組成物を提供することができる。
したがって、ガラス繊維等の強化材配合ポリアミド樹脂組成物のブロー成形性を改良することができ、複雑な形状の製品のみならず、多くのインサート部品を一体成形する三次元ブロー成形や多次元押出ブロー成形、多層成形等の高度なブロー成形にも対処可能である。
本発明の(A)結晶性ポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結合(―CONH―)を有し、かつ、融点とガラス点移転が存在するものであり、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリジンなどから得られる重合体または共重合体もしくはこれらのブレンド物、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる融点を有する結晶性重合体または結晶性共重合体もしくはこれらのブレンド物等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
更に具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロンMXD−6、ナイロン6/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン6共重合体等が挙げられる。本発明においてはナイロン6およびナイロン66、ナイロン6T/ナイロン6共重合体またはこれらのブレンド物が特に好ましい。
本発明におけるポリアミド樹脂のアミノ末端基およびカルボキシル末端基は、反応基含有アクリル共重合体(C)の反応基と反応し高溶融粘度化するため、アミノ末端基量およびカルボキシル末端量はある程度必要であるが特に限定されるものでは無く、各々10〜90当量/106g程度でよい。
具体的には、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等より重縮合によって得られる重合体および共重合体である。更に具体的には、ナイロン6T/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン6共重合体、ナイロン6T/ナイロン6I共重合体、ナイロンTMD−T/ナイロン6共重合体およびナイロン6I重合体等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
非晶性ポリアミド樹脂の配合量は3〜20質量%であることが好ましい。配合量が3質量%未満では組成物のTc2を充分効果的に下げることが出来ない場合があり、また20質量%を超えると組成物全体の結晶化度が低下する場合がある。
具体例としてスチレン/グリシジルメタクリレート/メチルメタクリレート、スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
これらの反応基含有アクリル系共重合体(C)の組成は、ポリアミド樹脂との反応に寄与する官能基濃度に影響するため、適切に制御する必要がある。上述の組成から外れる場合、ポリアミド樹脂との反応性が低下し、成形加工性が低下することがある。なお、(Z)の下限は5質量%以上のものが好ましい。
エポキシ価が800当量/106g未満であると、ポリアミド樹脂との反応性が不足して増粘効果が不十分になることがある。一方、6,000当量/106gを超えるとゲル化等が発生し、成形品外観、成形性に悪影響をおよぼすことがある。
前者の方法においてはポリアミド樹脂が溶融状態にあるので、添加剤の添加によりそのまま高溶融粘度化されるが、後者の方法においては添加剤を均一に分散混合されたポリアミド樹脂は高溶融粘度化のために加熱再溶融される。
加熱再溶融方法には特に制限はなく、当業者に周知のいずれの方法も可能であり、単軸押出機、2軸押出機、加圧ニーダ、バンバリーミキサ等が使用することができる。なかでも2軸押出機を使用することが好ましい。
スクリュー構成は練りの優れるニーデングディスクを数箇所組み込むことが好ましい。この様に反応基含有アクリル系共重合体を混合溶融して作成した高溶融粘度ポリアミド樹脂は、均一で溶融状態における粘度安定性が高く、特に押出成形、ブロー成形に適した流動特性を有している。
上記反応基含有アクリル系共重合体(C)以外の化合物が持つ官能基は、溶融押出時にアミノ基あるいはカルボキシル基と反応するものであればいかなるものでも良い。また、1分子中に異なった種類の官能基を持つことも差し支えない。例えば、グリシジル基、カルボキシル基、カルボン酸金属塩、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボジイミド基等の官能基、さらにはラクトン、ラクチド、ラクタム等ポリエステル末端と開環付加する官能基が挙げられる。このうち、好ましい官能基としては、反応の速さの観点から、グリシジル基あるいはカルボジイミド基が挙げられる。
特にガラス繊維、炭素繊維などが好ましく用いられる。これらの繊維状強化材は未処理のままでも使用できるが、有機シラン系化合物、有機チタン系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ系化合物等のカップリング剤で予め処理をしてあるものが好ましい。カップリング剤で処理してあるガラス繊維を配合したポリアミド系樹脂組成物では優れた機械的特性や外観特性の優れた成形品が得られるので好ましい。また 他の繊維状強化材においても、カップリング剤が未処理の場合は後添加して使用することが出来る。
さらに繊維状強化材に加えて、いわゆる無機質充填材、例えばタルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、ワラストナイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム等を添加することが出来る。
銅化合物は、またヨウ化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウムのようなハロゲン化アルカリとの併用も効果的である。またその他の耐熱剤としては、抗酸化剤や酸化防止剤としてリン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト化合物、チオエーテル系化合物等も公知の範囲で使用することが出来る。
Tc2M(℃)−Tc2N(℃) ≧ 5(℃)
Tc2N (℃)に関与する重要な因子は非晶性ポリアミド樹脂(B)であり、結晶性ポリアミド樹脂(A)とのアミド交換反応によって分子相容することにより、結晶性ポリアミド樹脂の結晶化速度をコントロールして成形時の固化速度をコントロールすることができる。このことにより、Tc2N (℃)を低下させてポリアミド系樹脂組成物の Tc2M(℃)−Tc2N (℃) ≧5℃が達成でき、複雑な形状の三次元ブロー成形が容易になる。
Tc2N(℃)とTc2M(℃)の差の上限は、用いるポリアミド樹脂の結晶化速度、融点、強化材の配合量などによって変化するので一概には決められないが、概ね30℃である。あまり差が大きくなりすぎると、成形品の結晶性が低下し、熱間の剛性・強度、荷重たわみ温度などが低下したり、成形金型温度を120℃以上の高温にすることが必要になるなど成形性が低下することがあるので、20℃程度がより好ましく、15℃程度が、さらに好ましい。
一般にブロー成形時のパリソン成形は比較的低い剪断速度で押し出されるため、溶融粘度が3,000Pa・s未満では、ノズルから放出したパリソンが自重でドローダウンして
成形できなかったり、成形品の肉厚が不均一となる場合がある。一方、溶融粘度が40,000Pa・sを超えると溶融粘度が高すぎて成形機や押出し機モーターに負荷がかかって成形機破損の恐れがある。
なお、本発明におけるポリアミド系樹脂組成物の融点とは、示差走査型熱量計(DSC)を用いて窒素ガス雰囲気下、20℃から350℃まで20℃/分の速度で昇温した時に得られるサーモグラムの結晶の融解による吸熱ピークのピークトップの温度である。ナイロン6とナイロン66のように2種類以上のポリアミド樹脂を用いた場合は、より高温側に発現するピークを樹脂組成物の融点として溶融粘度の測定温度を決定する。
さらに、上述の樹脂は、ポリアミド樹脂組成物との相溶性を高めるために、カルボン酸、エポキシ基等の官能基を含有したものであれば、さらに好ましく溶融混合することができる。また、上述の樹脂に対する官能基は、ポリアミド樹脂末端と反応する官能基であれば、限定されるものではなく、任意で使用することができる。
また、以下の実施例、比較例において示した各特性、物性値は、下記の試験方法で測定した。
・ ポリアミド樹脂の相対粘度は、ウベローデ粘度管を用い、20℃において96%硫酸溶液(ポリアミド樹脂濃度1g/dl)で測定した(JIS K 6810に準拠)。
・ ポリアミド樹脂組成物の融点は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、窒素ガス雰囲気下、20℃から350℃まで20℃/分の速度で昇温してサーモグラムの結晶の融解による吸熱ピークを得て、そのピークトップ温度を測定した。
・ 曲げ強度は、ISO−178に準拠して測定した。
・ 曲げ弾性率は、ISO−178に準拠して測定した。
・ シャルピー衝撃強度は、ISO−179−1−eAに準拠して測定した。
(6)降温結晶化温度(Tc2)の測定は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、各サンプルは水分率0.03%以下の乾燥状態でDSC装置に封入し、水分による変動を防止し、窒素気流下で20℃/分の昇温速度にて300℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の速度で100℃まで降温させることにより測定した。
(7)メルトフローインデックス(MFI)の測定は、JIS K−7210に準拠して、融点プラス10℃の温度において荷重2,160grをかけ、10分間で流動した樹脂量(gr)である。なお、各サンプルは水分率0.03以下の乾燥状態で装置に装入し、水分によるMFIの変動を防止した。
(8)溶融粘度は、キャピラリーレオメーター(東洋精機社 キャピログラフIC)を用い、前記DSCで求めたポリアミド樹脂組成物の融点+25℃の温度で、剪断速度0.5mm/分で測定した。
ブロー成形機(日本製鋼社製NB3B、50φダイレクトブロー成形機)を用い、ダイの内径/外形=40/45mmφのパリソンを押出し、図1に示す蛇腹形状の成形品を用いてパリソン固化の状態と、ドローダウンの状態について確認した。
パリソンは、肉厚の偏差をつけずに均一の厚さで押出して成形品の肉厚からドローダウンの評価を行った。エアーの噴きつけは、型締め5秒後に実施し、吹き付け時間は15秒間とした。
なお、パリソン固化とドローダウンの評価基準は、以下のとおりである。
<パリソンの固化>
ブロー成形品破れ・穴あき無し : ○
ブロー成形品破れ・穴あき有り : ×
<パリソンのドローダウン>(図2の側断面概略図参照)
成形品A部とB部の肉厚差 ≦0.5mm : ○
ドローダウンして計量できない : ×
(A)結晶性ポリアミド樹脂
ナイロン6:T−850(東洋紡績社製、相対粘度 3.5)
ナイロン66:T−662(東洋紡績社製、相対粘度2.8)
ナイロン6T/6:TY−503NX1(東洋紡績社製、相対粘度2.5)
(B)非晶性ポリアミド樹脂
6T/6I共重合ナイロン(EMS社製 グリボリーG21、相対粘度2.0)
反応基含有アクリル系共重合体(C−1):
<合成方法>
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器にメチルエチルケトン50質量部を入れ70℃に昇温した後、スチレン34.5質量部、グリシジルメタクリレート44.5質量部、メチルメタクリレート21.0質量部の混合物と、アゾビスジメチルバレロニトリル2質量部を50質量部のメチルエチルケトンに滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。その後、減圧することにより、メチルエチルケトンを反応器中から除去し、反応化合物(C-1)を得た。
<組成、特性>
得られた反応化合物(C-1)のNMR分析結果は、スチレン/グリシジルメタクリレー
ト/メチルメタクリレート=38/37/25(質量%比)の組成であった。また、ガラス転移温度は51℃、重量平均分子量は1,200であった。エポキシ価は2,626当量/106gであった。
<合成方法>
撹拌機、冷却器および加熱マントルを具備した1.5リットルの丸底フラスコ中で乳化重合によって製造した。フラスコには最初に脱イオン水900質量部、酢酸0.2質量部、FeSO4 0.005質量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩二水和物0.06質量部からなる溶液を仕込んだ。溶液に窒素ガスを散布して75℃に加熱した。75℃において、水75質量部中でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.7質量部を用いて乳化させたスチレン182質量部、グリシジルメタクリレート48.4質量部およびブチルメタクリレートモノマー25.8質量部をフラスコに加え、次に過硫酸ナトリウム0.22質量部を開始剤として加えた。次に反応をそのまま約2時間、または固形物含有量の調査によってモノマーの99.9%以上が置換されるまで進行させた。反応遂行後にエマルジョンを室温に冷却し次いで噴霧乾燥して白色の反応化合物粉末(C-2)を得た。
<組成、特性>
反応化合物(C-2)のNMR分析結果は、スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチ
ルメタクリレート=71/19/10(質量%比)の組成であった。また、ガラス転移温度は55℃、重量平均分子量は10,000であった。エポキシ価は1,330当量/106gであった。
ガラス繊維:オーウェンスコーニング社製03MAFT2A
(E)その他 添加剤
安定剤:ヨウ化カリウム(ナカライテスク社製、試薬)および 塩化第2銅(試薬)
離型剤:モンタン酸エステルワックスのWE40(クラリアントジャパン社製)
黒顔料:EPC8E313(住化カラー社製)
得られたポリアミド系樹脂組成物のペレットは、射出成形機でそれぞれの評価試料を成形し、機械特性を評価した。
成形条件は、ナイロン6を使用した場合はシリンダ温度250℃、金型温度80℃であり、ナイロン66の場合はシリンダ温度285℃、金型温度90℃、ナイロン6T/6の場合はシリンダ温度320℃、金型温度130℃である。
ブロー成形性の評価は、ダイレクトブロー成形機を用いて、ドローダウンや成形品の状態を評価した。成形条件は、シリンダ温度設定は射出成形の場合と同様に設定し、金型温度は、全ての場合で40℃とした。
評価結果は表1に示した。
一方、比較例1では、Tc2M(℃)とTc2N(℃)との温度差が小さく、また比較例2では、(B)成分が配合されていないので、それぞれTc2 が高く、固化速度が速すぎるため、部分的に固化した後にエアー噴きつけされることになり、伸びない部分が発生して穴が開いたり、成形品に破れが発生した。また、比較例2は、MAH−LDPE(無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン)が配合されて増粘しているので、溶融粘度は高いが、射出成形試験片により測定される機械的物性である曲げ強度、弾性率及び熱変形温度が実施例1や2と比較して劣っている。
比較例3は、(C)成分が配合されず溶融粘度が低いため、ブロー成形時の樹脂組成物ペレットの計量中、絶えずノズルからパリソンのドローダウンが観察され、また計量を完了できずブロー成形することが出来なかった。また機械的物性のシャルピー衝撃強度が著しく低下していた。
一方、実施例3の組成中で(C−1)成分を含まない組成である比較例4は、成形性が著しく劣っている。また、(B)成分の非晶性ポリアミドを含まない組成である比較例5は、固化速度が速く、ブロー成形品に破れ・穴あきが認められた。
実施例4は、(A)成分としてナイロン6T/6を用いた結果であるが、高融点のナイ
ロン6T/6の場合でも、(C−1)成分のS/GMA/MMA共重合体の配合で増粘が達成でき、(B)成分の非晶性ポリアミドの配合でTc2のコントロールができ、極めて良好なブロー成形性が得られた。一方、実施例4の組成中で(C−1)成分を含まない組成である比較例6は、成形性が著しく劣っていた。
このため、自動車のエンジンルーム内にある金属部品の代替の可能性がある。例えばインテークマニホールド、エアダクト、ホース、ターボダクト、ラジエーター部品等の幅広い部品での利用の可能性がある。したがって産業界に寄与すること大である。
W0・・・底面直径(金型寸法:57mm)
W1・・・蛇腹谷部直径(金型寸法:47mm)
W2・・・蛇腹山部直径(金型寸法:63mm)
A・・・・パリソンノズル側肉厚
Claims (10)
- 相対粘度2.5〜3.8の結晶性ポリアミド樹脂(A)、非晶性ポリアミド樹脂(B)、グリシジル基を2個以上含有する反応基含有アクリル共重合体(C)および繊維状強化材(D)からなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)で求められる降温結晶化温度をTc2N(℃)、前記樹脂組成物の中で前記(B)成分のみを含有しない場合の降温結晶化温度をTc2M(℃)としたとき、下記関係を満足し、かつ前記樹脂組成物の融点より25℃高い温度にて、0.5mm/分の剪断速度で測定した溶融粘度が3,000〜40,000Pa・sであることを特徴とするブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
Tc2M(℃)−Tc2N(℃) ≧ 5(℃) - 反応基含有アクリル共重合体(C)が、(X)ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、(Y)グリシジル(メタ)アクリレート1〜80質量%および(Z)アルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%の比率で共重合してなる共重合体であり、該共重合体の質量平均分子量が500〜100,000である請求項1に記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
- 反応基含有アクリル共重合体(C)のエポキシ価が、800〜6,000当量/106gである請求項1または2に記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
- 前記ブロー用ポリアミド系樹脂組成物中に塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、酢酸銅のうちの少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
- 前記ブロー用ポリアミド系樹脂組成物中にポリオレフィン、反応基含有ポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、反応基含有ポリオレフィン系エラストマーのうちの1種または2種以上を含む請求項1〜4のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド樹脂系組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物を用いて得られたブロー成形品。
- ブロー成形品が、自動車関連部品である請求項6記載のブロー成形品。
- 自動車関連部品が、吸気、排気系部品であることを特徴とする請求項7記載のブロー成形品。
- 吸気・排気系部品が、エアホース、エアダクト、ターボダクト、ターボホース、インテークマニホールド、エグゾ−ストマニホールドであることを特徴とする請求項8記載のブロー成形品。
- ブロー成形が、ダイレクトブロー、三次元シングルブロー、三次元エクスチェンジブロー、サクションブロー、三次元サクションブロー、三次元エクスチェンジサクションブロー、インジェクションストレッチブローのいずれか1種である請求項9記載のブロー成形品。
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