JP5668387B2 - 中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた中空成形体 - Google Patents
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Description
そこで、本発明者らは、非晶性ポリアミド樹脂を配合してポリアミド樹脂の含有量を高めるとともに少量のグリシジル基含有アクリル共重合体を反応せしめたポリアミド組成物を先に提案した(特許文献3)。
(1). (a)デカンテレフタルアミド単位50〜98モル%及び(b)ウンデカンアミド単位又は/及びドデカンアミド単位50〜2モル%からなる共重合ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、グリシジル基含有スチレン系共重合体(B)を0.3〜10質量部、カルボン酸基又は/及びカルボン酸無水物基を有するオレフィン系重合体(C)を0.1〜10質量部、繊維状強化材(D)を20〜150質量部含有し、さらに下記(イ)及び(ロ)の特性を満足することを特徴とする中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
(イ)共重合ポリアミド樹脂の融点+25℃の温度で、せん断速度0.5mm/分における溶融粘度が4000〜20000Pa・sである。
(ロ)共重合ポリアミド樹脂の融点+25℃の温度で、荷重10kgにおけるメルトマスフローレイト(JIS K 7210に準拠)において、既定のメルトマスフローレイト(MFR0)とメルトマスフローレイト測定時に20分間滞留させた後のメルトマスフローレイト(MFR20)との差が−1.0〜1.0の範囲内である。
(2). 共重合ポリアミド樹脂(A)が、(a)デカンテレフタルアミド単位75〜98モル%及び(b)ウンデカンアミド単位又は/及びドデカンアミド単位25〜2モル%からなる前記(1)に記載の中空成形体用強化ポリアミド系樹脂組成物。
(3). 共重合ポリアミド樹脂(A)が、(c)前記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸から得られる構成単位、または前記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大30モル%まで含有する前記(1)に記載の中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
(4). グリシジル基含有スチレン系共重合体(B)が、1分子鎖当りの平均グリシジル基数が2〜4個である前記(1)に記載の中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
(5). グリシジル基含有スチレン系共重合体(B)が、スチレン系重合体単位99〜50質量%、グリシジル基含有アクリル系重合体単位1〜30質量%、及びその他のビニル系重合体単位0〜40質量%からなる共重合体である前記(1)に記載の中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
(6). 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の強化ポリアミド樹脂組成物を用いて得られた中空成形体。
(7). 中空成形体が、自動車関連部品である前記(6)に記載の中空成形体。
(8). 自動車関連部品が、吸気・排気系部品である前記(7)に記載の中空成形体。
(9). 吸気・排気系部品が、エアホース、エアダクト、ターボダクト、ターボホース、インテークマニホールド、またはエグゾ−ストマニホールドである前記(8)に記載の中空成形体。
(10). ダイレクトブロー、三次元シングルブロー、三次元エクスチェンジブロー、サクションブロー、三次元サクションブロー、三次元エクスチェンジサクションブロー、インジェクションストレッチブローのいずれか1種の中空成形法を用いて得られた前記(9)に記載の中空成形体。
また、得られる中空成形体は、内面のガラス繊維の毛羽立ちが抑制できるため、毛羽が中空部を流動する流体の流動の障害になったり、脱落して流体中に混入するなどの問題発生を防止することが可能である。
本発明で用いられる共重合ポリアミド樹脂(A)は、10Tナイロンに相当する(a)成分と11ナイロンおよび/又は12ナイロンに相当する(b)成分を特定の割合で含有するものであり、10Tナイロンの欠点である成形性、耐衝撃性が改良されているのみならず、低吸水性も高度に満足するという特徴を有する。
前記構成単位の中でも、好ましい(c)成分の例としては、加工性、低吸水性、耐衝撃性向上のためにポリドデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン12T)やポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカアミド(ナイロン1012)などが挙げられる。共重合ポリアミド中の(c)成分の配合割合は、最大30モル%までであることが好ましく、さらに好ましくは5〜20モル%である。(c)成分の割合が、上記上限を超える場合、必須成分である(a)成分や(b)成分の量が少なくなり、本発明で用いられる共重合ポリアミド(A)の本来意図される効果が十分発揮されないおそれがあり、好ましくない。
本発明で用いられる共重合ポリアミド樹脂(A)は、特性上大きな差異は無いが、植物由来の原料を用いることが、低炭素社会、環境調和を目指す上で好ましい。具体的には、食用と競合しないヒマシ油由来原料を用いることが好ましく、本発明内の(a)成分中のデカンジアミン、(b)成分中としてアミノウンデカン酸、(c)成分としてセバシン酸は植物由来原料を用いることが好ましい。本発明の好ましい樹脂組成としては、これら植物原料を用い極めて高い植物由来原料比率を示すナイロン10T/11、ナイロンPA10T/1010/11が挙げられる。
スチレン系重合体単位の含有量が50質量%未満では、共重合ポリアミド(A)との混和性が劣り、ゲル化しやすくなる傾向があり、組成物の剛性を低下させる恐れがある。また、グリシジル基含有アクリル系重合体単位の含有量が30質量%を超えるとゲル化しやすくなる。
具体例としてスチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル、スチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル/(メタ)アクリル酸メチル、スチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などを例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
グリシジル基の濃度をエポキシ価で示すと、300〜1,200当量/106gであることが好ましく、より好ましくは400〜1,000当量/106gであり、さらに好ましくは500〜1,000当量/106gである。
エポキシ価が300当量/106g未満であると、ポリアミド樹脂との反応性が不足して増粘効果が不十分になることがある。一方、1,200当量/106gを超えるとゲル化等が発生し、成形品外観、成形性に悪影響をおよぼすことがある。
オレフィン系重合体の具体的な例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテンなどのホモポリマー、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、イソブチレンなどのα−オレフィン、1,4−ヘキサジエンジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、5−エチリデンノルボルネン、5−エチル−2,5−ノルボルナジエン、5−(1´−プロベニル)−2−ノルボルネンなどの非共役ジエンの少なくとも1種を通常の金属触媒、あるいはメタロセン系高性能触媒を用いてラジカル重合して得られるポリオレフィンを挙げることができる。
官能基含有成分の導入量が上記の範囲を下回る場合は、増粘が不十分になり、上記の範囲を上回る場合は、溶融粘度の安定性が損なわれる恐れがある。
これらの中で、ポリアミド中のアミンとの反応性が高いカルボン酸無水物基を有する重合体、共重合体が好ましい。
上記グリシジル基含有スチレン系共重合体(B)以外の化合物が持つ官能基は、溶融押出時にアミノ基あるいはカルボキシル基と反応するものであればいかなるものでも良い。また、1分子中に異なった種類の官能基を持つことも差し支えない。例えば、グリシジル基、カルボキシル基、カルボン酸金属塩、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボジイミド基等の官能基、さらにはラクトン、ラクチド、ラクタム等ポリエステル末端と開環付加する官能基が挙げられる。このうち、好ましい官能基としては、反応の速さの観点から、グリシジル基あるいはカルボジイミド基が挙げられる。
特にガラス繊維、炭素繊維などが好ましく用いられる。これらの繊維状強化材は、有機シラン系化合物、有機チタン系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ系化合物等のカップリング剤で予め処理をしてあるものが好ましく、カルボン酸基又は/及びカルボン酸無水物基と反応しやすいものが特に好ましい。カップリング剤で処理してあるガラス繊維を配合したポリアミド系樹脂組成物では優れた機械的特性や外観特性の優れた成形品が得られるので好ましい。また 他の繊維状強化材においても、カップリング剤が未処理の場合は後添加して使用することが出来る。
ガラス繊維としては、繊維長1〜20mm程度に切断されたチョップドストランド状ものもが好ましく使用できる。ガラス繊維の断面形状としては、円形断面及び非円形断面のガラス繊維を用いることができる。ガラス繊維の断面形状としては、物性面より非円形断面のガラス繊維が好ましい。非円形断面のガラス繊維としては、繊維長の長さ方向に対して垂直な断面において略楕円系、略長円系、略繭形系であるものをも含み、偏平度が1.5〜8であることが好ましい。ここで偏平度とは、ガラス繊維の長手方向に対して垂直な断面に外接する最小面積の長方形を想定し、この長方形の長辺の長さを長径とし、短辺の長さを短径としたときの、長径/短径の比である。ガラス繊維の太さは特に限定されるものではないが、短径が1〜20μm、長径2〜100μm程度である。繊維状強化材の添加量は最適な量を選択すれば良いが、共重合ポリアミド(A)100質量部に対して20〜150質量部を添加することが可能であるが、配合量が150質量部を超えると溶融時の伸びが無くなりエアー吹き付け時に穴が開く場合がある。また20質量部未満では強化材の効果が充分発揮できない場合がある。
一般に押出やブロー成形時のパリソン成形は比較的低い剪断速度で押出されるため、溶融粘度が4,000Pa・s未満では、ノズルから放出したパリソンが自重でドローダウンして成形できなかったり、成形品の肉厚が不均一となる場合がある。一方、溶融粘度が20,000Pa・sを超えると溶融粘度が高すぎて成形機や押出し機モーターに負荷がかかって成形機破損の恐れがある。
また、本発明の強化ポリアミド樹脂組成物は、融点より25℃高い温度で、荷重10kgにおけるメルトフローインデックス(JIS K 7210に準拠)において、既定のメルトマスフローレイト(MFR0)とメルトマスフローレイト測定時に20分間滞留させた後のメルトマスフローレイト(MFR20)との差が−1.0〜1.0の範囲内である。ここで、「既定のメルトマスフローレイト」とは、JIS K 7210に準拠して測定したことを示す。また、MFR0とMFR20との差とは、(MFR0−MFR20)であり、単位はg(グラム)である。
MFR1とMFR20との差が、−1.0〜1.0の範囲内でないと、中空成形体の内面の毛羽立ちの抑制が不十分になる。MFR0とMFR20との差は、小さければ小さい方がよく、好ましくは−0.9〜0.9の範囲内、より好ましくは−0.7〜0.7である。
なお、グリシジル基含有スチレン系共重合体(B)及び変性オレフィン系重合体(C)は、重合終了後のポリアミド樹脂に対し添加することができる。例えば重合終了後の重合機内に添加する、あるいは重合機を出た直後の溶融状態のポリアミド樹脂に直接添加剤を混合混練する方法及び固体化(たとえば粉末、ペレット状など)したポリアミド樹脂に添加剤を加え、次いで溶融混練する方法などが適用できる。
前者の方法においてはポリアミド樹脂が溶融状態にあるので、添加剤の添加によりそのまま高溶融粘度化されるが、後者の方法においては添加剤を均一に分散混合されたポリアミド樹脂は高溶融粘度化のために加熱再溶融される。
スクリュー構成は練りの優れるニーデングディスクを数箇所組み込むことが好ましい。この様に反応基含有アクリル系共重合体を混合溶融して作成した高溶融粘度ポリアミド樹脂は、均一で溶融状態における粘度安定性が高く、特に押出成形、ブロー成形に適した流動特性を有している。
銅化合物は、またヨウ化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウムのようなハロゲン化アルカリとの併用も効果的である。またその他の耐熱剤としては、抗酸化剤や酸化防止剤としてリン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト化合物、チオエーテル系化合物等も公知の範囲で使用することが好ましい。
[相対粘度]
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で測定した。
[融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)]
105℃で15時間減圧乾燥したポリアミドをアルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、測定試料を調製した後、示差走査熱量計DSCQ100(TA INSTRUMENTS製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した後に測定試料パンを取出し、液体窒素に漬け込み、急冷させた。その後、液体窒素からサンプルを取出し、室温で30分間放置した後、再び、示差走査熱量計DSCQ100(TA INSTRUMENTS製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した。その際の融解による吸熱のピーク温度を融点(Tm)とした。また、ガラス転移温度(Tg)は、2度目の昇温過程でガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
デカメチレンジアミン8.26kg、テレフタル酸7.97kg、11−アミノウンデカン酸6.43kg、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端調整剤として酢酸40gおよびイオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た。その後、この低次縮合物を、溶融状態を維持したまま直接二軸押出し機(スクリュー径37mm、L/D=60)に供給し、樹脂温度を330℃、3箇所のベントから水を抜きながら溶融下で重縮合を進め、共重合ポリアミドを得た。得られた共重合ポリアミドは、10T/11=60/40(モル比)の組成で融点250℃、相対粘度2.6、ガラス転移温度75℃であった。
デカメチレンジアミンの量を11.01kgに変更し、テレフタル酸の量を10.62kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を3.22kgに変更した以外は合成例(A-1)と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。得られた共重合ポリアミドは、10T/11=80/20(モル比)の組成で融点289℃、相対粘度2.6、ガラス転移温度93℃であった。
〔ポリアミド10T12の合成(A-3)〕
11−アミノウンデカン酸3.22kgをウンデカンラクタム2.93kgに変更した以外は合成例(A-2)と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。得られた共重合ポリアミドは、10T/12=80/20(モル比)の組成で融点288℃、相対粘度2.4、ガラス転移温度92℃であった。
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器のオイルジャケット温度を、200℃に保った。一方、スチレン(以下、Stという。)89質量部、グリシジルメタクリレート(以下、GMAという。)11質量部、キシレン15質量部及び重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド(以下、DTBPという。)0.5質量部からなる単量体混合液を原料タンクに仕込んだ。一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給し、反応器の内容液質量が約580gで一定になるように反応液を反応器の出口から連続的に抜き出した。その時の反応器内温は、約210℃に保たれた。反応器内部の温度が安定してから36分経過した後から、抜き出した反応液を減圧度30kPa、温度250℃に保った薄膜蒸発機により連続的に揮発成分除去処理して、揮発成分をほとんど含まない重合体(B-1)を回収した。
得られた重合体(B-1)は、GPC分析(ポリスチレン換算値)によると質量平均分子量8500、数平均分子量3300であった。エポキシ価は670当量/106g、エポキシ価数(1分子当りの平均エポキシ基の数)は2.2であった。
St77質量部、GMA23質量部、キシレン15質量部、DTBP0.3質量部からなる単量体混合液を用いた以外は、重合体(B-1)の製造と同じ方法にて、重合体(B-2)を製造した。
得られた重合体(B-2)は、GPC分析(ポリスチレン換算値)による質量平均分子量9700、数平均分子量3300であった。エポキシ価は1400当量/106g、エポキシ価数(1分子当りの平均エポキシ基の数)は4.6であった。
無水マレイン酸変性エチレン・ブテン-1共重合体(三井化学社製、タフマーMH7020)を使用した。
[繊維状強化材(D)]
ガラス繊維:日本電気硝子社製T-275H(カップリング剤:アミノシラン化合物)を用いた。
[その他 添加剤]
安定剤1:臭化第二銅(ナカライテスク社製、試薬)
安定剤2:イルガノックスB1171(チバスペシャリティケミカルズ社製)
離型剤:モンタン酸エステルワックスのWE40(クラリアントジャパン社製)
黒顔料:EPC8E313(住化カラー社製)
実施例1〜6、比較例1〜3
上記した各原料を表1に示した配合比率(その他の添加剤は組成物に対して下記の含有率)に従い計量して、35φ二軸押出機(東芝機械社製)でシリンダ温度は、ポリアミド10T11、10T12の場合は300℃、ポリアミド6の場合は250℃に設定し、スクリュー回転数100rpmにて溶融混錬した。ガラス繊維以外の原料はあらかじめ混合しメインホッパーから投入し、ガラス繊維はベント口からサイドフィードで投入した。押出機から吐出されたストランドは水槽で冷却してストランドカッターでペレット化し、125℃にて5時間乾燥後、各種評価に供した。
その他の添加剤(安定剤1:0.06質量%、安定剤2:0.3質量%、離型剤:0.4質量%、黒顔料:0.8質量%)。
得られた強化ポリアミド樹脂組成物のペレットは、射出成形機でそれぞれの評価試料を成形し、特性を評価した。
[評価サンプルの成形]
東芝機械製射出成形機EC−100を用い、シリンダ温度は、樹脂の融点+20℃に設定した。金型は縦100mm、横100mm、厚み3mmtの平板作成用金型を使用した。金型温度は130℃に設定し射出速度50mm/秒、保圧30MPa、射出・保圧時間10秒、冷却時間15秒で成形した。
95%RH吸水率の評価には、上記縦100mm、横100mm、厚み3mmの平板を作製し、これを80℃・95%RH環境下にて静置し重量の経時変化をトレースして、重量の変化がなくなった時点で平衡吸水とみなして、重量や寸法を測定し、以下の式より求めた。
95%RH吸水率(%)=(95%RH吸水時の重量−乾燥時重量)/95%RH乾燥時の重量×100
95%RH寸法変化率(%)=(95%RH吸水時の寸法−乾燥時の寸法)/乾燥時の寸法×100
ただし、95%RH、乾燥時共に寸法は、樹脂の流れ方向と反流れ方向の平均値とした。
ポリアミド樹脂の融点+25℃の温度で、荷重10kgにおけるメルトマスフローレイト(JIS K 7210に準拠)において、まず、既定のメルトマスフローレイト(MFR0:1分間当りの吐出質量(g)から10分間当たりの吐出重量(g)を算出した)を測定した。次いで、荷重を除いて20分間放置後に、再度荷重10kgを載せてメルトマスフローレイト(MFR20:1分間当りの吐出質量(g)から10分間当たりの吐出重量(g)を算出した)を測定した。
なお、各サンプルは水分率0.03%以下の乾燥状態で装置に装入し、水分によるMFRの変動を防止した。
キャピラリーレオメーター(東洋精機社 キャピログラフIC)を用い、前記DSCで求めたポリアミド樹脂組成物の融点+25℃の温度で、剪断速度0.5mm/分で測定した。
パリソンの押出賦型性およびパリソンのドローダウンは次のように測定した。
ブロー成形機(FKI社製、45φ2層式ダイレクトブロー成形機)を用い、ダイスφ32mm、マンドレルφ22mmでアキュムレーターを使用せず連続方式で図1に示す円筒形状(パイプ状)で肉厚の偏差をつけない均一の厚さのパリソンを押出し、パリソンの賦型性(固化・伸びの状態)、ドローダウンの状態及び成形品内部のガラス繊維の毛羽立ちについて以下の基準で評価した。なお、成形条件は、シリンダ温度設定は射出成形の場合と同様に設定し、金型温度は、全ての場合で130℃とした。エアーの噴きつけは、型締め3秒後に実施し、吹き付け時間は20秒間とした。
<パリソンのドローダウン>
図1に示した成形品A部とB部の肉厚差 ≦0.5mm : ○
ドローダウンが著しく、賦型できない : ×
<パリソンの押出賦型性>
吹き付け部(捨て袋)及び製品部:破れ・穴あき無し : ◎
吹き付け部(捨て袋):穴あき有り、製品部:破れ・穴あき無し : ○
吹き付け部(捨て袋)及び製品部:破れ・穴あき有り : ×
<成形品内面のガラス繊維の毛羽立ち>
成形を停止させないで連続成形した場合(滞留なし)と20分間成形停止させた直後(滞留20分)の成形品について観察した。
毛羽立ちが認められない : ○
若干の毛羽立ちが認められる : △
毛羽立ち、凹凸が顕著に認められる : ×
これらの評価結果を表1に示した。
成形品の観察箇所は、図2に示した部位である。また、実施例3の観察図(写真)を図3に、比較例3の観察図(写真)を図4に示す。
比較例1のグリシジル基含有スチレン系共重合体(B)だけでは、ブロー成形に好適な溶融粘度にするためには多量の配合が必要であるとともに、滞留安定性が悪く、また、20分間滞留させた後は、中空成形品内面のガラス繊維の毛羽立ちが発生した。比較例2のオレフィン系重合体(C)だけでは、多量に配合しても増粘効果が低く、パリソンのドローダウンが著しく、所定の成形品を得ることができなかった。比較例3の共重合ポリアミド樹脂(A)を用いないポリアミド6系では、滞留によるメルトマスフローレイトの変動が小さくてもパリソンの押出賦型性が劣るとともに成形品の内面のガラス繊維の毛羽立ちが顕著であった。
Claims (10)
- (a)デカンテレフタルアミド単位50〜98モル%及び(b)ウンデカンアミド単位又は/及びドデカンアミド単位50〜2モル%からなる共重合ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、グリシジル基含有スチレン系共重合体(B)を0.3〜10質量部、カルボン酸無水物基を有するオレフィン系重合体(C)を0.1〜10質量部、繊維状強化材(D)を20〜150質量部含有し、さらに下記(ロ)の特性を満足することを特徴とする中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
(ロ)共重合ポリアミド樹脂の融点+25℃の温度で、荷重10kgにおけるメルトマスフローレイト(JIS K 7210に準拠)において、既定のメルトマスフローレイト(MFR0)とメルトマスフローレイト測定時に20分間滞留させた後のメルトマスフローレイト(MFR20)との差が−1.0〜1.0の範囲内である。 - 共重合ポリアミド樹脂(A)が、(a)デカンテレフタルアミド単位75〜98モル%及び(b)ウンデカンアミド単位又は/及びドデカンアミド単位25〜2モル%からなる請求項1に記載の中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
- 共重合ポリアミド樹脂(A)が、(c)前記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸から得られる構成単位、または前記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大30モル%まで含有する請求項1に記載の中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
- グリシジル基含有スチレン系共重合体(B)が、1分子鎖当りの平均グリシジル基数が2〜4個である請求項1に記載の中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
- グリシジル基含有スチレン系共重合体(B)が、スチレン系重合体単位99〜50質量%、グリシジル基含有アクリル系重合体単位1〜30質量%、及びその他のビニル系重合体単位0〜40質量%からなる共重合体である請求項1に記載の中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の強化ポリアミド樹脂組成物を用いて得られた中空成形体。
- 中空成形体用が、自動車関連部品である請求項6記載の中空成形体。
- 自動車関連部品が、吸気・排気系部品であることを特徴とする請求項7記載の中空成形体。
- 吸気・排気系部品が、エアホース、エアダクト、ターボダクト、ターボホース、インテークマニホールド、またはエグゾ−ストマニホールドであることを特徴とする請求項8記載の中空成形体。
- ダイレクトブロー、三次元シングルブロー、三次元エクスチェンジブロー、サクションブロー、三次元サクションブロー、三次元エクスチェンジサクションブロー、インジェクションストレッチブローのいずれか1種の中空成形法を用いて得られた請求項9記載の中空成形体。
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JP2010210737A JP5668387B2 (ja) | 2010-09-21 | 2010-09-21 | 中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた中空成形体 |
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