JP5997526B2 - ポリアミド樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
また、特許文献4に開示されている技術では、吸水後の剛性の改良が十分ではないため、上記同様、使用環境下による物性変化が大きくなってしまうという問題がある。
さらに、特許文献5、6に開示されている技術では、低吸水性、高耐熱性に優れる特性があるものの、成形性が不十分であり、成形条件によっては、外観性、ヒケ等の成形表面不良が発生する問題がある。
(A):(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位と、(b)デカメチレンジアミンからなる単位と、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位と、
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸。
(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン。
(c−3)11−アミノウンデカン酸。
を、含有し、
かつ、下記条件(1)〜(3)を満足する、共重合ポリアミド100質量部と、
(1)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却し
たときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)
が、140℃以上である。
(2)炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)が、8以上である。
(3)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで昇温し
たときに得られる融解ピーク温度Tpmと、20℃/minで再度昇温したときに得られる
融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が、30℃以下である。
(B):繊維状強化材であって、繊維の断面の長径をD2、断面の短径をD1とするとき
、D2/D1比(以下、扁平率と表す。)が1.5以上10以下である繊維状強化材
50〜300質量部と、を、含有するポリアミド樹脂組成物。
〔2〕
前記(B):繊維状強化材が、扁平率2.5以上10以下である、前記〔1〕に記載の
ポリアミド樹脂組成物。
〔3〕
前記(B):繊維状強化材がガラス繊維である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリア
ミド樹脂組成物。
〔4〕
前記(a)脂環族ジカルボン酸が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、前記〔
1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔5〕
前記(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位におけるトランス異性体比率が65〜80
モル%である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔6〕
アミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比{アミノ末端量
/(アミノ末端量+カルボキシル末端量)}が、0.0以上0.5未満である、前記〔1
〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔7〕
前記(b)炭素数10以上のジアミンがデカメチレンジアミンである、前記〔1〕乃至
〔6〕のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔8〕
前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、炭素数10以上
の脂肪族ジカルボン酸である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリアミド樹
脂組成物。
〔9〕
前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、セバシン酸及び
/又はドデカン二酸である、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂
組成物。
〔10〕
前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、イソフタル酸で
ある、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔11〕
前記(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンが、炭素数4〜7の
脂肪族ジアミンである、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組
成物。
〔12〕
JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したと
きに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、50℃/minで再度冷却したときに得られる
結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が、10℃以下である、前記〔1〕乃
至〔11〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔13〕
前記共重合ポリアミド(A)の全構成単位の含有量の合計100モル%に対し、前記(
c)上記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分か
らなる単位の含有量が、5.0モル%以上22.5モル%以下である、前記〔1〕乃至〔
12〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔14〕
前記共重合ポリアミド(A)のバイオマスプラスチック度が25%以上である、前記〔
1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔15〕
無機充填材、造核剤、潤滑剤、安定剤、及び前記共重合ポリアミド(A)以外のポリマ
ーからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を、さらに含む、前記〔1〕乃至〔14
〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔16〕
前記〔1〕乃至〔15〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
〔17〕
自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品又は携帯機器部品である、前記〔16
〕に記載の成形品。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、
(A):(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位と、(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位と、
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸。
(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン。
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸。
を、含有し、
かつ、下記条件(1)〜(3)を満足する、共重合ポリアミド100質量部と、
(1)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が、140℃以上である。
(2)炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)が、8以上である。
(3)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで昇温したときに得られる融解ピーク温度Tpmと、20℃/minで再度昇温したときに得られる融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が、30℃以下である。
(B):繊維状強化材であって、繊維の断面の長径をD2、断面の短径をD1とするとき、D2/D1比(以下、扁平率と表す。)が1.5以上10以下である繊維状強化材1〜300質量部と、
を、含有する。
本実施形態に用いる(A)共重合ポリアミド(以下、共重合ポリアミド(A)と記載する場合がある。)は、下記成分(a)からなる単位、下記成分(b)からなる単位及び下記成分(c)からなる単位を含有する。
(a)脂環族ジカルボン酸。
(b)炭素数8以上のジアミン。
(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる、少なくとも1種の共重合成分。
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸。
(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン。
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物を構成する(A)共重合ポリアミドに含まれる(a)脂環族ジカルボン酸(以下「脂環式ジカルボン酸」とも記される。)としては、特に限定されないが、例えば、脂環構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸、好ましくは脂環構造の炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。(a)脂環族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸などが挙げられる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物を構成する(A)共重合ポリアミドに含まれる(b)炭素数8以上のジアミンとしては、炭素数8以上のジアミンであれば特に限定されないが、例えば、無置換の直鎖脂肪族ジアミンでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などの置換基を有する分岐状脂肪族ジアミンでも、脂環族ジアミンでも、芳香族ジアミンでもよい。本実施形態に用いる(b)炭素数8以上のジアミンにおける炭素数は、8〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物に含まれる(A)共重合ポリアミドを構成する(c):(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分(以下、(c)共重合成分と記載する場合がある。)は、(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸、(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン、並びに(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
組み合わせる例としては、(c−1)、(c−2)及び(c−3)の中から自由に組み合わせることができ、例えば、(c−1)から2種類を用いてもよいし、(c−2)や(c−3)から2種類を組み合わせてもよいし、(c−1)から1種類及び(c−2)から1種類のように組み合わせても構わない。
(c)共重合成分からなる単位の含有量を前記範囲とすることで、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れる共重合ポリアミド(A)とすることができる。また、該共重合ポリアミド(A)を含む本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、振動疲労特性、表面外観及び連続生産性に優れる。
本実施形態に用いる(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
中でも、(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性などの観点で、セバシン酸及び/又はドデカン二酸が好ましい。
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、表面外観などの観点で、特に、イソフタル酸が好ましい。
前記(a)脂環族ジカルボン酸の割合が、50〜100モル%であることにより、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れる共重合ポリアミド(A)とすることができる。また、該共重合ポリアミド(A)を含む本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、振動疲労特性、表面外観及び連続生産性に優れる。
本実施形態に用いる(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンとしては、前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンであれば特に限定されず、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンなどが挙げられる。
前記多価脂肪族アミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)を得る際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。具体的には、重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9〜1.2であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.1であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
本実施形態に用いる(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重(縮)合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
中でも、アミノカルボン酸としては、低吸水、靭性の観点で、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などがより好ましい。
本実施形態において、共重合ポリアミド(A)を重合する際に、上記(a)〜(c)成分以外に、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、特に限定されないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類などが挙げられ、熱安定性の観点で、モノカルボン酸、及びモノアミンが好ましい。
また、共重合ポリアミド(A)を重合する際に、上記(a)〜(c)成分以外に末端封止剤をさらに添加することにより、共重合ポリアミド中に末端封止剤からなる単位が形成される。
末端封止剤としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(異性体比率)
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)において、(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位は、トランス異性体及びシス異性体の幾何異性体として存在する。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)のバイオマスプラスチック度は、25%以上であることが好ましい。バイオマスプラスチック度とは、共重合ポリアミド(A)のうち、バイオマス由来の原料にて構成される単位の割合を意味し、下記実施例に記載する方法により算出することができる。より好ましいバイオプラスチック度としては30%以上である。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)のバイオマスプラスチック度の上限値は、特に限定されないが、80%以上になると共重合ポリアミドの長鎖モノマーが多くなり、融点の低下を招来するおそれがあるため、80%よりも低いことが好ましい。
バイオマス由来の原料としては、特に限定されないが、例えば、ひまし油の主成分であるリシノレイン酸トリグリセライドから合成することができる、セバシン酸、デカメチレンジアミン及び11−アミノウンデカン酸や、ひまわり種子の成分から合成することができる、アゼライン酸や、セルロースから合成することができる、ペンタメチレンジアミン、γ−アミノ酪酸等が挙げられる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)の分子量は、25℃の硫酸相対粘度ηrを指標とする。
共重合ポリアミド(A)の25℃の硫酸相対粘度ηrを上記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の熱溶融重合時の添加物としてのジアミン及び末端封止剤の添加量、並びに重合条件を制御する方法などが挙げられる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)の融解ピーク温度(融点)Tpm-1は、耐熱性の観点から、好ましくは280℃以上が好ましく、より好ましくは280℃以上330℃以下であり、さらに好ましくは300℃以上330℃以下であり、さらにより好ましくは310℃以上325℃以下である。
融解ピーク温度Tpm-1が330℃以下である共重合ポリアミド(A)は、押出、成形などの溶融加工における熱分解などを抑制することができるため好ましい。
共重合ポリアミド(A)の融解ピーク温度(融点)Tpm-1を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
本実施形態において、共重合ポリアミド(A)の、融解ピーク温度(融点)、結晶化ピーク温度及び結晶化エンタルピーは、JIS−K7121に準じて、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。具体的には、以下のとおり測定することができる。
測定装置としては、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いることができる。
測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する条件とする。このときに現れる吸熱ピークを融解ピークとし、もっとも高温側に現れるピークを融解ピーク温度Tpmとする。
続いて、350℃で3分間保った後、冷却速度20℃/minで350℃から50℃まで冷却する。このときに現れる発熱ピークを結晶化ピークとし、結晶化ピーク温度をTpc-1、結晶化ピーク面積を結晶化エンタルピーとする。続いて、50℃で3分間保った後、再度昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する。
このときに現れる、最も高温側に現れる吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-1とし、最も低温側に現れる吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-2とする。
なお、このときに現れる吸熱ピークが1つの場合は、該吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-1及びTpm-2(Tpm-1=Tpm-2)とする。さらに、350℃で3分間保った後、冷却速度50℃/minで350℃から50℃まで冷却する。このときに現れる結晶化ピーク温度をTpc-2とする。
共重合ポリアミド(A)において、融解ピーク温度Tpmと融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が小さいほど、共重合ポリアミド(A)中で(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分が熱力学的に安定な構造をとることを意味する。
融解ピーク温度Tpmと融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が前記範囲内である共重合ポリアミド(A)は、可塑化時間安定性に優れる。また、該共重合ポリアミド(A)を含むポリアミド樹脂組成物は、表面外観及び連続生産性に優れる。
共重合ポリアミド(A)において、融解ピーク温度Tpmと融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲とし、更に、共重合ポリアミド(A)中の(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率を65〜80モル%の範囲内に制御する方法が挙げられる。
共重合ポリアミド(A)の前記融解ピーク温度(融点)Tpm-2を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)における融解ピーク温度Tpm-1と融解ピーク温度Tpm-2との差(Tpm-1−Tpm-2)を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)の前記結晶化ピーク温度Tpc-1を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)の前記結晶化ピーク温度Tpc-2を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)において、結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が小さいほど、結晶化速度が速く、共重合ポリアミドの結晶構造が安定であることを意味する。
共重合ポリアミド(A)における結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が前記範囲内であると、低ブロッキング性、離型性の観点から好ましい。
共重合ポリアミド(A)における結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。また、(Tpc-1−Tpc-2)を小さくし、共重合ポリアミド(A)を安定な結晶構造にするためには、共重合ポリアミド(A)の構成成分である(a)〜(c)成分の炭素数を偶数とすることや、炭素鎖を直鎖状とすることや、共重合ポリアミド(A)中の炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を8以上9未満とすることが好ましい。
共重合ポリアミド(A)の結晶化エンタルピーを前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)中の炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を8以上とし、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法が挙げられる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)のガラス転移温度Tgは、好ましくは90℃以上170℃以下であり、より好ましくは90℃以上140℃以下であり、さらに好ましくは100℃以上140℃以下である。該ガラス転移温度Tgを90℃以上とすることにより、耐熱性や耐薬品性に優れる共重合ポリアミド(A)とすることができる。また、該ガラス転移温度を170℃以下とすることにより、共重合ポリアミド(A)から表面外観のよい成形品を得ることができる。
共重合ポリアミド(A)のガラス転移温度Tgを前記範囲内に制御する方法としては、例えば、共重合ポリアミド(A)の構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、共重合成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法などが挙げられる。
共重合ポリアミド(A)において、結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が大きいほど、結晶化できる温度範囲が広く、共重合ポリアミド(A)の結晶構造が安定であることを意味する。
結晶化ピーク温度Tpc-1とガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が140℃以上である共重合ポリアミド(A)は、低ブロッキング性、離型性に優れる。結晶化ピーク温度Tpc-1とガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)の上限は、特に限定されないが、例えば、300℃以下である。
また、(Tpc-1−Tg)を大きくし、共重合ポリアミド(A)を安定な結晶構造にするためには、共重合成分(a)〜(c)成分の炭素数を偶数とすることや、炭素鎖を直鎖状とすることや、共重合ポリアミド(A)中の炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を8以上9未満とすることが好ましい。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)のポリマー末端は、以下のように分類し、定義される。
すなわち、1)アミノ末端、2)カルボキシル末端、3)封止剤による末端、及び4)その他の末端である。
共重合ポリアミド(A)のポリマー末端とは、ジカルボン酸とジアミンとがアミド結合により重合したポリマー鎖の末端部分を意味する。前記共重合ポリアミド(A)のポリマー末端は、これら1)〜4)の末端のうちの1種以上である。
2)カルボキシル末端は、カルボキシル基(−COOH基)が結合したポリマー末端であり、原料のジカルボン酸に由来する。
3)封止剤による末端は、重合時に添加した末端封止剤、例えば、カルボン酸又はアミンにより封止されたポリマー末端である。
4)その他の末端は、上記の1)〜3)に分類されないポリマー末端であり、特に限定されないが、例えば、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端や、カルボキシル末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
共重合ポリアミド(A)におけるアミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比を0.0以上0.5未満とすることにより、共重合ポリアミド(A)の強度、靭性、熱時安定性及び耐加水分解性や、該共重合ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物の色調及び振動疲労特性を維持したまま、該ポリアミド樹脂組成物の熱劣化による色調の低下をより一層抑制することができる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)において、炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)は、低吸水性の観点から8以上であり、好ましくは8.2以上9未満である。
該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)は、共重合ポリアミド(A)のアミノ基濃度を示す指標である。
該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を前記範囲内とすることにより、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れた共重合ポリアミド(A)、並びに振動疲労特性、表面外観及び連続生産性に優れた共重合ポリアミド組成物を提供できる。
本実施形態に用いる共重合ポリアミド(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上述した(a)脂環族ジカルボン酸と、(b)炭素数8以上のジアミンと、(c)所定の共重合成分とを重合させる工程を含む、共重合ポリアミドの製造方法が挙げられる。
本実施形態の共重合ポリアミドの製造方法としては、末端封止剤を添加する工程を含む。末端封止剤は、共重合時に添加することが好ましい。
1)ジカルボン酸、ジアミン塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)。
3)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分と、ジアミン成分とを用いて重合させる方法(「溶液法」)。
中でも、熱溶融重合法を含む製造方法が好ましく、熱溶融重合法により共重合ポリアミド(A)を製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持するためには、共重合ポリアミド(A)の構成成分に適した重合条件で製造することが好ましい。例えば、該熱溶融重合法における重合圧力を23〜50kg/cm2(ゲージ圧)、好ましくは25kg/cm2(ゲージ圧)以上の高圧に制御し、加熱を続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分以上かけながら降圧する方法などが挙げられる。このような製造方法により得られる共重合ポリアミド(A)は、上述したトランス異性体比率等の特性を満たすことができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、上述した(A)共重合ポリアミドと、(B)繊維状強化材(B)(以下、繊維状強化材(B)と記載する場合がある。)を含有する。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(B)繊維状強化材を含有することにより、耐熱性、靭性、流動性、剛性等、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れている(A)共重合ポリアミドの性質を損なうことなく、これらの特性に加え、強度、吸水後の剛性(吸水剛性)、高温使用下での剛性(熱時剛性)に優れ、成形条件変更によるヒケ発生(成形不良)が少なく、外観性にも優れる。
(B)繊維状強化材の含有量は、上述した(A)ポリアミド共重合体100質量部に対して1〜300質量部であり、好ましくは2〜200質量部であり、より好ましくは3〜150質量部であり、さらに好ましくは5〜120質量部であり、さらにより好ましくは10〜80質量部である。
(B)繊維状強化材の配合量を1質量部以上とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の剛性向上効果が発現し、また、配合量を300質量部以下とすることにより、押出性、成形性に優れるポリアミド樹脂組成物が得られる。
(B)繊維状強化材としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維等が挙げられる。特に、強度や剛性の観点から、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。
(B)繊維状強化材は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
扁平率(又は長径及び短径)はメーカーによる公称値があればそれをそのまま使用できるが、公称値が無い場合は顕微鏡による測定値から容易に求められる。
扁平率が、例えば15〜20程度に大きいと、他の成分との混合の他、混練、成形等の処理の際、破砕されてしまうおそれがあり、所望の効果が得られない場合がある。
細すぎる場合は繊維の紡糸が困難な場合があり、太すぎる場合はポリアミド樹脂との接触面積の減少等により、成形品の機械的強度が低下してしまうおそれがある。
短径D1は3μm以上が好ましく、短径D1が3μm以上で、かつ扁平率が3より大きい値であることがより好ましい。
特に、底面に多数のオリフィスを有するオリフィスプレートにおいて、複数のオリフィス出口を囲み、当該オリフィスプレート底面より下方に延びる凸状縁を設けたオリフィスプレート、又は、単数もしくは複数のオリフィス孔を有するノズルチップの外周部先端から下方に延びる複数の凸状縁を設けた異形断面ガラス繊維紡糸用ノズルチップを使用して製造された、扁平率が1.5以上10以下のガラス繊維が好ましい。
(B)繊維状強化材は、繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
(B)繊維状強化材の配合量を(A)ポリアミド100質量部に対して1質量部以上とすることにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の機械的強度等が向上し、また、配合量を200質量部以下とすることにより、成形性に優れるポリアミド樹脂組成物が得られる。
また、ガラス繊維の引張強度は、任意であるが、通常290kg/mm2以上である。
これらの中でも、Eガラスが、入手が容易である観点から好ましい。
これらガラス繊維は、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましく、その付着量はガラス繊維重量(ガラス繊維と表面処理剤との合計量)に対し通常0.01質量%以上である。
さらに、必要に応じ、集束剤により処理を施すこともできる。集束剤としては、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩、並びにカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体を含む共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせがより好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、上記(B):扁平率が1.5以上10以下の繊維状強化材以外にも、所定の無機充填材を併用してもよい。
このような無機充填材としては、一般的な円形断面(扁平率1)のガラス繊維や炭素繊維等も含まれる。これらガラス繊維や炭素繊維の中でも、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(L/D)が10〜100であるものが、高い特性を発現するという観点からさらに好ましく用いられる。
また、ガラス繊維の引張強度は、任意であるが、通常290kg/mm2以上である。
これらの中でも、Eガラスが、入手が容易である観点から好ましい。
これらガラス繊維は、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましく、その付着量はガラス繊維重量に対し通常0.01質量%以上である。
さらに、必要に応じ、集束剤により、処理を施すこともできる。集束剤としては、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩、並びにカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体を含む共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせがより好ましい。
さらに、無機充填材としては、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素等がより好ましく、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素等の中でも、数平均繊維径が0.1〜3μmであるものがさらに好ましく用いられる。
造核剤としては、以下に制限されないが、例えば、添加によりポリアミド樹脂組成物の、結晶化ピーク温度を上昇させたり、結晶化ピークの補外開始温度と補外終了温度との差を小さくしたり、得られる成形品の球晶を微細化又はサイズの均一化させたりする効果が得られる物質のことを意味する。造核剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化珪素、カーボンブラック、チタン酸カリウム、及び二硫化モリブデンなどが挙げられる。
潤滑剤としては、特に限定されないが、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、及び高級脂肪酸アミド挙げられる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、アミン系熱安定剤、周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱安定剤をさらに含有することができる。
フェノール系熱安定剤としては、特に制限されないが、例えば、ヒンダートフェノール化合物が挙げられる。
フェノール系熱安定剤、特にヒンダードフェノール化合物は、ポリアミド等の樹脂や繊維に耐熱性や耐光性を付与する性質を有する。
ヒンダードフェノール化合物としては、特に限定されないが、例えば、N,N'−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサピロ[5,5]ウンデカン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及び1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸が挙げられる。
フェノール系熱安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、フェノール系熱安定剤としては、耐熱エージング性向上の観点から、N,N'−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]が好ましい。
リン系熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−テトラ−トリデシル)ジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、テトラ(C1〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化−4,4'−イソプロピリデンジフェニルポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)ビス(4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル))1,6−ヘキサノールジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、トリス(4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル))ホスファイト、トリス(1,3−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2、2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(3−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイト、及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイトが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、特に限定されないが、例えば、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)フェニルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)メチルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)2−エチルヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)イソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)イソトリデシルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)シクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ベンジルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)エチルセロソルブペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ブチルカルビトールペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)オクチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)(2,4−ジ−t−オクチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)(2−シクロヘキシルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)フェニルペンタエリストリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2,6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系熱安定剤を用いる場合、ポリアミド樹脂組成物中のリン系熱安定剤の含有量は、共重合ポリアミド(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.1〜1質量部である。
ポリアミド組成物中のリン系熱安定剤の含有量が上記の範囲内の場合、ポリアミド組成物の耐熱エージング性を一層向上させ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
アミン系熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β',β'−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩としては、特に限定されないが、好ましくは銅塩である。
銅塩としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化銅(ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅等)、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅及びステアリン酸銅、並びにエチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤に銅の配位した銅錯塩が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記列挙した銅塩の中でも、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅及び酢酸銅からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、より好ましくはヨウ化銅及び/又は酢酸銅である。
かかる好ましい銅塩を用いた場合、耐熱エージング性に優れ、かつ押出時のスクリューやシリンダー部の金属腐食(以下、単に「金属腐食」ともいう)を抑制可能なポリアミド組成物が得られる。
銅塩を用いる場合、ポリアミド組成物中の銅塩の含有量は、共重合ポリアミド(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.2質量部であり、より好ましくは0.02〜0.15質量部である。
ポリアミド樹脂組成物中の銅塩の含有量が上記範囲内の場合、ポリアミド組成物の耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を抑制することができる。
また、ポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性を向上させる観点から、ポリアミド組成物全量に対し、銅元素の含有濃度として、好ましくは10〜500ppmであり、より好ましくは30〜500ppmであり、さらに好ましくは50〜300ppmである。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、特に限定されないが、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム及び塩化ナトリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
特に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、ポリアミド組成物の耐熱エージング性の向上及び金属腐食の抑制という観点から、好ましくはヨウ化カリウム及び臭化カリウム、並びにこれらの混合物であり、より好ましくはヨウ化カリウムである。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いる場合、ポリアミド組成物中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物の含有量は、共重合ポリアミド(A)100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜2質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を抑制することができる。
上述した熱安定剤の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、熱安定剤の成分は、銅塩とアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物との混合物が好適である。
銅塩とアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物との割合は、ハロゲンと銅とのモル比(ハロゲン/銅)が2/1〜40/1となるように、ポリアミド組成物に含有させることが好ましく、より好ましくは5/1〜30/1である。ハロゲンと銅とのモル比(ハロゲン/銅)が上記した範囲内の場合、ポリアミド組成物の耐熱エージング性を一層向上させることができる。
上記ハロゲン/銅が2/1以上である場合、銅の析出及び金属腐食を抑制することができるため好適である。
一方、上記のハロゲン/銅が40/1以下である場合、ポリアミド組成物の靭性等の機械的な物性を殆ど損なうことなく、成形機のスクリュー等の腐食を防止できるため好適である。
前記共重合ポリアミド以外のポリマーとしては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂やエラストマー成分等が挙げられる。
その他熱可塑性樹脂としては、例えば、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂液晶ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリエーテル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレン等の縮合系樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレンープロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲンビニル化合物系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
前記共重合ポリアミド(A)以外のポリマーの含有量を上記の範囲内にすることにより、耐熱性、離型性に優れる共重合ポリアミド組成物とすることができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本実施形態の目的を損なわない範囲で、顔料及び染料などの着色剤(着色マスターバッチを含む。を添加してもよい。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、ニグロシン等の染料、酸化チタン及びカーボンブラック等の顔料、アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、及びチタン等の金属粒子、並びにマイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、及びカラーガラスフレーク等のメタリック顔料などからなる群より選ばれる少なくとも1種の着色剤が挙げられる。
本実施形態に係るポリアミド樹脂組成物には、本実施形態の目的を損なわない範囲で、ポリアミドに慣用的に用いられる添加剤を含有させることもできる。該添加剤としては、特に限定されないが、例えば、難燃剤、フィブリル化剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤、展着剤等が挙げられる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド共重合体に、上述した(B)繊維状強化材を配合することにより製造でき、さらには、必要に応じて、上述した(C)繊維状強化材以外の無機充填材、造核剤、潤滑剤、熱安定剤、上述した共重合ポリアミド(A)以外のポリマー、着色剤、劣化抑制剤、成形性改良剤、着色剤、その他の添加剤からなる群より選ばれる1種以上の成分を配合することにより作製できる。
本実施形態の成形品は、上述の共重合ポリアミド(A)又はポリアミド樹脂組成物を含む。
本実施形態の成形品は、上述の共重合ポリアミド(A)又はポリアミド樹脂組成物を、公知の成形方法を用いて成形することにより得られる。当該成形方法としては、特に限定されないが、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、及び溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法が挙げられる。
本実施形態の成形品は、上述の共重合ポリアミド(A)又はポリアミド樹脂組成物から得られるので、耐熱性、成形性、機械的強度、低吸水性、振動疲労特性、及び表面外観に優れる。
したがって、本実施形態の成形品は、自動車部品、電気及び電子部品、家電部品、OA機器部品、携帯機器部品、産業機器部品、日用品及び家庭品などの各種部品として、また、押出用途などに好適に用いることができる。中でも、本実施形態の成形品は、自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品又は携帯機器部品として好適に用いられる。
携帯機器部品としては、特に限定されないが、例えば、携帯電話、スマートフォン、パソコン、携帯ゲーム機器、デジタルカメラなどの筐体、及び構造体などが挙げられる。
また、本実施形態の成形品は、表面外観に優れるので、成形品表面に塗装膜を形成させた成形品としても好ましく用いられる。塗装膜の形成方法は公知の方法であれば特に限定されず、例えば、スプレー法、静電塗装法などの塗装によることができる。また、塗装に用いる塗料は、公知のものであれば特に限定されず、メラミン架橋タイプのポリエステルポリオール樹脂塗料、アクリルウレタン系塗料などを用いることができる。
実施例及び比較例に用いた原料及び測定方法を以下に示す。なお、本実施例において、1kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
ポリアミド樹脂組成物の原料として用いた、(A)共重合ポリアミド、(B)繊維状強化材等を下記に示す。
(1)製造例1に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンとセバシン酸とを重合させたポリアミド(PA−1)
(2)製造例2に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンとイソフタル酸とを重合させたポリアミド(PA−2)
(3)製造例3に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とオクタメチレンジアミンとイソフタル酸とを重合させたポリアミド(PA−3)
(4)製造例4に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンと1,6−ジアミノヘキサンとを重合させたポリアミド(PA−4)
(5)製造例5に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンと1,6−ジアミノヘキサンとセバシン酸とを重合させたポリアミド(PA−5)
(6)製造例6に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,12−ジアミノドデカンと1,6−ジアミノヘキサンとを重合させたポリアミド(PA−6)
(7)製造例7に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,12−ジアミノドデカンと1,10−ジアミノデカンとを重合させたポリアミド(PA−7)
(8)製造例8に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンとε−カプロラクタムとを重合させたポリアミド(PA−8)
(9)製造例9に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とデカメチレンジアミンと11−アミノウンデカン酸とを重合させたポリアミド(PA−9)
(10)製造例10に記載の、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とを重合させたポリアミド66(PA−10)
(11)比較製造例1に記載の、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とヘキサメチレンジアミン、ε−カプロラクタムとを重合させたポリアミド(PA−11)
(12)比較製造例2に記載の、ポリアミド9T(PA−12)
製造例1〜10、比較製造例1、2の(A)共重合ポリアミド等を構成するジカルボン酸、ジアミン及びカプロラクタム等について下記に示す。
(1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)
商品名:1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)
(イーストマンケミカル社製)
(2)セバシン酸(C10DC)
商品名:セバシン酸TA(伊藤製油社製)
(3)イソフタル酸(IPA)(和光純薬工業社製)
(4)テレフタル酸(TPA)(和光純薬工業社製)
(1)1,10−ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)(C10DA)(東京化成工業製)
(2)1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)(C6DA)(東京化成工業製)
(3)オクタメチレンジアミン(C8DA)(東京化成工業社製)
(4)1,12−ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)(C12DA)(東京化成工業製)
(5)1,9−ジアミノノナン(ノナメチレンジアミン)(C9DA)(東京化成工業製)
(6)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MC8DA) 特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。
(1)ε−カプロラクタム(CPL)(和光純薬工業製)
(2)11−アミノウンデカン酸(11AU)(アルドリッチ社製)
(B1)扁平ガラス繊維(GF−1)
商品名:CSG 3PA−820S(日東紡績社製)
扁平率=4(D2=28μm、D1=7μm)、カット長3mm
(B2)円形断面ガラス繊維(GF−2)
商品名:CSX 3J−451S(日東紡績社製)
扁平率=1(平均繊維径11μm)、カット長3mm
(1)共重合ポリアミド中の各構成単位の含有量
共重合ポリアミド中の各構成単位の含有量を1H−NMR測定により以下のように定量した。共重合ポリアミド組成物のペレットを約5質量%の濃度になるように重ヘキサフルオロイソプロパノールに加熱して溶解し、日本電子製核磁気共鳴分析装置JNM ECA-500を用いて1H−NMRの分析を行い、積分比を計算することによって、共重合ポリアミドを構成する(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位、(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸からなる単位、(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位、(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンからなる単位、(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位の含有量を決定した。
製造例及び製造比較例で得られた共重合ポリアミドの、融解ピーク温度(融点)、結晶化ピーク温度及び結晶化エンタルピーを、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて以下のとおり測定した。該測定は、窒素雰囲気下で行った。まず、試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温した。このときに現れる吸熱ピークを融解ピークとし、もっとも高温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpmとした。続いて、350℃で3分間保った後、冷却速度20℃/minで350℃から50℃まで冷却した。このときに現れる発熱ピークを結晶化ピークとし、結晶化ピーク温度をTpc-1、結晶化ピーク面積を結晶化エンタルピーとした。続いて、50℃で3分間保った後、再度昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温した。このときに現れるもっとも高温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpm-1とし、もっとも低温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpm-2とした。さらに、350℃で3分間保った後、冷却速度50℃/minで350℃から50℃まで冷却した。このときに現れる結晶化ピーク温度をTpc-2とした。
融解ピーク温度Tpm-1、融解ピーク温度Tpm-2を下記表2に示す。
融解ピーク温度Tpmと、融解ピーク温度Tpm-1との差を算出し、下記表2に示す。
融解ピーク温度Tpm-1と、融解ピーク温度Tpm-2との差を算出し、下記表2に示す。
20℃/minで冷却したときの結晶化ピーク温度をTpc-1、50℃/minで冷却したときの結晶化ピーク温度Tpc-2を下記表2に示す。
結晶化ピーク温度をTpc-1と、結晶化ピーク温度をTpc-2との差を算出し、下記表2に示す。
20℃/minで冷却したときの結晶化エンタルピーを下記表2に示す。
製造例及び製造比較例で得られた共重合ポリアミドのガラス転移温度を、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて以下のとおり測定した。まず、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させた。得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。当該測定サンプル10mgを用いて、昇温速度20℃/minの条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度Tgを測定した。
ガラス転移温度Tgを下記表2に示す。
また、前記結晶化ピーク温度をTpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差を算出し、下記表2に示す。
製造例及び製造比較例で得られた共重合ポリアミドの25℃における硫酸相対粘度ηrを、JIS−K6920に準じて測定した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作製し、25℃の温度条件下で測定した。
25℃における硫酸相対粘度ηrの値を、下記表2に示す。
製造例及び製造比較例で得られた共重合ポリアミドの脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性化率を以下のとおり求めた。
共重合ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、得られた溶液を用い、1H−NMRを測定した。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、1H−NMR測定における、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppm及び1.86ppmのピーク面積との比率から共重合ポリアミドの脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率を求めた。
トランス異性体比率を下記表2に示す。
製造例及び製造比較例で得られた共重合ポリアミドにおいて、ポリマー末端に結合するアミノ末端量を、中和滴定により以下のとおり測定した。
ポリアミド3.0gを90質量%フェノール水溶液100mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.025Nの塩酸で滴定を行い、該滴定結果に基づきアミノ末端量(μ当量/g)を求めた。終点はpH計の指示値から決定した。
実施例及び比較例で得られた共重合ポリアミドにおいて、ポリマー末端に結合するカルボキシル末端量を、中和滴定により以下のとおり測定した。
ポリアミド4.0gをベンジルアルコール50mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.1NのNaOHで滴定を行い、該滴定結果に基づきカルボキシル末端量(μ当量/g)を求めた。終点はフェノールフタレイン指示薬の変色から決定した。
上記(6)、(7)において得られた値から、([NH2]/([NH2]+[COOH])を算出した。
製造例及び製造比較例で得られた共重合ポリアミドにおいて、アミド基数1個あたりの炭素数の平均値(炭素数/アミド基数)を計算により求めた。具体的には、分子種主鎖中に含まれる炭素数を分子主鎖中に含まれるアミド基数で割り返すことにより炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を求めた。該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を、共重合ポリアミドにおけるアミノ基濃度を示す指標とした。
製造例及び製造比較例で得られた共重合ポリアミドにおいて、バイオマス由来の原料にて構成されるユニットの質量%をバイオマスプラスチック度として算出した。具体的には、ひまし油を原料としている、セバシン酸、1,10−ジアミノデカン、11−アミノウンデカン酸を、バイオマス由来の原料とした。
そして、製造例及び製造比較例で得られた共重合ポリアミドにおいて、セバシン酸及び1,10−ジアミノデカンに由来するユニットの割合を算出し、当該割合をバイオマスプラスチック度とした。尚、ポリアミドの重合においては、アミド結合の形成の際に、ジアミン中の2つの水素原子と、ジカルボン酸中の2つの酸素原子と、2つの水素原子とから、2モルの水分子が生成することを考慮して算出した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、ISO 3167に準拠し、厚み4mmのISO試験片に成形した。
具体的な成形条件は、射出+保圧時間25秒、冷却時間15秒、金型温度を80℃、溶融樹脂温度を、各々の実施例及び比較例で用いた共重合ポリアミドの高温側の融解ピーク温度(Tpm-1)+20℃に設定した。
得られた試験片を用いて、ISO178に準じて、23℃下で曲げ弾性率(Dry曲げ弾性率)を測定した。
また、100℃の温度条件下にした以外は同様にして、100℃における曲げ弾性率を測定した。
当該100℃の曲げ弾性率を下記表3に示した。
また、100℃保持率は下記式を用いて求めた。
100℃保持率(%)=100℃曲げ弾性率/吸水前(Dry)曲げ弾性率×100
当該100℃保持率を下記表3に示した。
前記(10)で用いた試験片と同様の厚み4mmのISO試験片を成形し、80℃の温水中で24時間浸漬後、ISO178に準じて曲げ弾性率(Wet曲げ弾性率)を測定した。
当該Wet曲げ弾性率を下記表3に示した。
また、Wet保持率は下記式を用いて求めた。
Wet保持率(%)=(吸水後(Wet)曲げ弾性率/吸水前(Dry)曲げ弾性率)×100
当該Wet保持率を下記表3に示す。
成形品は、射出成形機を用いて作製した。射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、金型温度をTg+20℃、シリンダー温度=(Tpm-1+10)℃〜(Tpm-1+30)℃に設定し、冷却20秒で固定し、射出時間を変化させて(条件1=2秒、条件2=8秒)、厚み4mmのISO試験片を得た。評価用のISO試験片は、成形開始から20ショット以降の10枚の試験片を用いた。
ヒケの測定は、ISO試験片各10枚の流動末端部の最先端からゲート部に向かって5mm毎、3箇所の厚みデプスゲージにより測定し、その3箇所の厚み変化の平均値を計算し、さらに10枚の平均値を計算し、各射出条件の厚み変化とした。
厚み変化:ISO試験片金型の試験片厚み(4mm)から厚み方向における寸法変化の数値
ヒケ変化率は下記式を用いて求めた。ヒケ変化率の数値が小さい程、成形依存性が少ないことを示す。
ヒケ変化率(%)=(1−<条件2>の厚み変化/<条件1>の厚み変化))×100
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットから平板プレート成形片を以下のとおり作製した。射出成形機[IS150E:東芝機械株式会社製]を用いて、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpm、金型温度をTg+20℃、シリンダー温度=(Tpm-1+10)℃〜(Tpm-1+30)℃に設定し、充填時間が1.0±0.1秒の範囲となるように、射出圧力及び射出速度を適宜調整し、共重合ポリアミド組成物ペレットから平板プレート成形片(13cm×13cm、厚さ4mm)を作製した。このようにして作製した平板プレート成形片の中央部を、光沢計(HORIBA製IG320)を用いてJIS−K7150に準じて60度グロスを測定した。該測定値が大きいほど表面外観に優れると判断した。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
ジカルボン酸:CHDA650g(3.78モル)、セバシン酸:C10DC85g(0.42モル)及びジアミン:C10DA720g(4.18モル)を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
この均一水溶液にジアミン:C10DA17g(0.10モル)を追添した。
このようにして得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで加温して、オートクレーブ内を窒素置換した。
オートクレーブの槽内(以下単に「槽内」とも記す。)の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の355℃)−50℃(ここでは305℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の355℃)−50℃(ここでは305℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。
を1H−NMR測定により、共重合ポリアミドを構成するジアミン、ジカルボン酸の含有量を測定し、仕込み通りの組成になっていることを確認した。
このようにして得られた共重合ポリアミドを、窒素気流中で乾燥させ、水分率を約0.2質量%に調整した。該調整後の共重合ポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果を、下記表2に示す。
ジカルボン酸、ジアミン及びカプロラクタムとして下記表1に記載の化合物及び量を用い、また、樹脂温度の最終温度を下記表1に示す温度にした以外は、製造例1に示した方法と同様にしてポリアミドの重合を行った(「熱溶融重合法」)。得られた共重合ポリアミド中の各構成単位の含有量を1H−NMR測定により、共重合ポリアミドを構成するジアミン、ジカルボン酸の含有量を測定し、仕込み通りの組成になっていることを確認した。
このようにして得られた共重合ポリアミドを、窒素気流中で乾燥させ、水分率を約0.2質量%に調整した。該調整後の共重合ポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果を、下記表2に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
ジカルボン酸:ADA620g(5.33モル)、ジアミン:C6DA780g(5.33モル)を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
このようにして得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで加温して、オートクレーブ内を窒素置換した。
オートクレーブの槽内(以下単に「槽内」とも記す。)の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約18kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約210℃であった。)。槽内の圧力を約18kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の295℃)−30℃(ここでは265℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の295℃)−30℃(ここでは265℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約355℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度は約355℃のまま、槽内を真空装置で約53.3kPa(400torr)の減圧下に30分維持し、ポリアミド共重合体(PA−10)を得た。その後、得られたポリアミド共重合体を、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、共重合ポリアミドのペレットを得た。得られた共重合ポリアミド中の各構成単位の含有量を1H−NMR測定により、共重合ポリアミドを構成するジアミン、ジカルボン酸の含有量を測定し、仕込み通りの組成になっていることを確認した。
このようにして得られた共重合ポリアミドを、窒素気流中で乾燥させ、水分率を約0.2質量%に調整した。該調整後の共重合ポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果を、下記表2に示す。
ポリアミド9T(以下、「PA9T」と略記する)を、特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法を参考に製造した。
その際、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とした。一方、1,9−ノナメチレンジアミン単位及び2−メチルオクタメチレンジアミン単位[1,9−ノナメチレンジアミン単位:2−メチルオクタメチレンジアミン単位=80:20(モル比)]をジアミン単位とした。
表1に記載の原料と蒸留水1500gとを内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に入れ(不均一スラリー状態)、窒素で置換した。100℃で30分間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃まで昇温した。その際、オートクレーブは22kg/cm2まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃で恒温し、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を10kg/cm2まで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。これを230℃、0.1mmHg下にて、10時間固相重合し、PA9Tを得た。
得られた共重合ポリアミド中の各構成単位の含有量を1H−NMR測定により、共重合ポリアミドを構成するジアミン、ジカルボン酸の含有量を測定し、仕込み通りの組成になっていることを確認した。
このようにして得られた共重合ポリアミドを、窒素気流中で乾燥させ、水分率を約0.2質量%に調整した。該調整後の共重合ポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果を、下記表2に示す。
<実施例1>
上記製造例1で得られた共重合ポリアミド(PA−1)を、窒素気流中で乾燥し、水分率を約0.2質量%に調整した。
ポリアミド樹脂組成物の製造には、押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、9番目のバレルにサイドフィード口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。該二軸押出機において、上流側供給口からダイまでを、上記製造例又は比較製造例により製造した共重合ポリアミドの融解ピーク温度Tpm-1+20℃(実施例1では348℃)に設定した。また、該二軸押出機において、スクリュー回転数300rpm、吐出量25kg/hとした。
下記表3に示す割合となるように、(A)共重合ポリアミドを上流側供給口より前記二軸押出機に供給し、押出機上流側(トップフィード口より供給された樹脂が十分溶融している状態)のサイドフィード口より、(B1)ガラス繊維を供給した。下記表3に示す種類及び質量部に従って供給した。紡口より押出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。上記記載の方法により、上述した各曲げ弾性率(吸水剛性と熱時剛性)、成形性(成形表面ヒケ性、及び外観性)の評価を行った。
各原料組成を下記表3に示す割合となるようにした以外は、実施例1と同様にして、ポ
リアミド組成物ペレットを作製した。得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、上記
記載の方法により、上述した各曲げ弾性率(吸水剛性と熱時剛性)、成形性(成形表面ヒ
ケ性、及び外観性)の評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
Claims (17)
- (A):(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位と、(b)デカメチレンジアミンからなる単位と、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位と、
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸。
(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミン。
(c−3)11−アミノウンデカン酸。
を、含有し、
かつ、下記条件(1)〜(3)を満足する、共重合ポリアミド100質量部と、
(1)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却し
たときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)
が、140℃以上である。
(2)炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)が、8以上である。
(3)JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで昇温し
たときに得られる融解ピーク温度Tpmと、20℃/minで再度昇温したときに得られる
融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が、30℃以下である。
(B):繊維状強化材であって、繊維の断面の長径をD2、断面の短径をD1とするとき
、D2/D1比(以下、扁平率と表す。)が1.5以上10以下である繊維状強化材
50〜300質量部と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物。 - 前記(B):繊維状強化材が、扁平率2.5以上10以下である、請求項1に記載のポ
リアミド樹脂組成物。 - 前記(B):繊維状強化材が、ガラス繊維である請求項1又は2に記載のポリアミド樹
脂組成物。 - 前記(a)脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、請求
項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位におけるトランス異性体比率が65〜80
モル%である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - アミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比{アミノ末端量
/(アミノ末端量+カルボキシル末端量)}が、0.0以上0.5未満である、請求項1
乃至5のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記(b)炭素数10以上のジアミンが、デカメチレンジアミンである、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、炭素数10以上
の脂肪族ジカルボン酸である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組
成物。 - 前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、セバシン酸及び
/又はドデカン二酸である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成
物。 - 前記(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が、イソフタル酸で
ある、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記(c−2)前記(b)のジアミンより炭素数の少ないジアミンが、炭素数4〜7の
脂肪族ジアミンである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物
。 - JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したと
きに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、50℃/minで再度冷却したときに得られる
結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が、10℃以下である、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記共重合ポリアミド(A)の全構成単位の含有量の合計100モル%に対し、前記(
c)上記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分か
らなる単位の含有量が、5.0モル%以上22.5モル%以下である、請求項1乃至12
のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記共重合ポリアミド(A)のバイオマスプラスチック度が25%以上である、請求項
1乃至13のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 無機充填材、造核剤、潤滑剤、安定剤、及び前記共重合ポリアミド(A)以外のポリマ
ーからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を、さらに含む、請求項1乃至14のい
ずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 請求項1乃至15のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
- 自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品又は携帯機器部品である、請求項16
に記載の成形品。
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