JP5636220B2 - ポリアミド組成物及びポリアミド組成物を成形した成形体 - Google Patents

ポリアミド組成物及びポリアミド組成物を成形した成形体 Download PDF

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本発明は、ポリアミド組成物及びポリアミド組成物を成形した成形体に関する。
ポリアミド6及びポリアミド66(以下、それぞれ、「PA6」及び「PA66」と略称する場合がある。)等に代表される各種ポリアミドは、成形加工性、機械物性又は耐薬品性に優れていることから、従来から自動車用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、日用及び家庭用品等の各種部品材料として広く用いられている。
このようなポリアミドに関しては、今後、さらなる特性向上が要求されている。
例えば自動車産業においては、環境に対する取り組みとして排出ガス低減のために、金属代替による車体軽量化の要求がある。かかる要求に応えるために、外装材料や内装材料等にポリアミドが一段と用いられるようになっており、このため、ポリアミドやこれを用いた各種ポリアミド材料に対する耐熱性、強度、及び外観等の要求特性のレベルは一層向上している。
特に、エンジンルーム内の温度も上昇傾向にあるため、高耐熱化の要求が強まっている。
また、家電等の電気及び電子産業において、表面実装(SMT)ハンダの鉛フリー化に対応すべく、ハンダの融点上昇に耐えられる高耐熱化が要求されている。
PA6及びPA66等のポリアミドでは融点が低く、上述したような高耐熱化の要求を満たすことはできない。
PA6及びPA66等の高耐熱性に関する課題を解決するべく、高融点ポリアミドが提案されている。
具体的には、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド(以下、「PA6T」と略称する場合がある。)等が提案されている。
PA6Tは、融点が370℃程度の高融点ポリアミドであるが、溶融成形により成形体を得ようとすると、ポリアミドの熱分解が激しく起こり、十分な特性を有する成形体を得ることが困難である。
PA6Tの前記問題点を解決するために、PA6TにPA6及びPA66等の脂肪族ポリアミドや、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンからなる非晶性芳香族ポリアミド(以下、「PA6I」と略称する場合がある。)等を共重合させ、融点を220〜340℃程度にまで低融点化したテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンを主成分とする高融点半芳香族ポリアミド(以下、「6T系共重合ポリアミド」と略称する場合がある。)等が提案されている。
6T系共重合体ポリアミドの例として、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなり、脂肪族ジアミンがヘキサメチレンジアミン及び2−メチルペンタメチレンジアミンの混合物である芳香族ポリアミド(以下、「PA6T/2MPDT」と略称する場合がある。)が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、アジピン酸とテトラメチレンジアミンからなる高融点脂肪族ポリアミド(以下、「PA46」と略称する場合がある。)や、脂環族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなる脂環族ポリアミド等が提案されている。
さらに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とヘキサメチレンジアミンからなる脂環族ポリアミド(以下、「PA6C」と略称する場合がある。)と他のポリアミドとの半脂環族ポリアミド(以下、「PA6C共重合ポリアミド」と略称する場合がある。)が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照。)。
具体的には、特許文献2には、ジカルボン酸単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を1〜40%配合した半脂環族ポリアミドの電気及び電子部材は、ハンダ耐熱性に優れていることが開示されており、特許文献3には、半脂環族ポリアミドの自動車部品は、流動性及び靭性等に優れていることが開示されている。
またさらに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含むジカルボン酸単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミンを含むジアミン単位からなるポリアミドが、耐光性、靭性、成形性、軽量性及び耐熱性等に優れていることが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、このポリアミドの製造方法については、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と、1,9−ノナンジアミンとを230℃以下で反応させてプレポリマーを作り、そのプレポリマーを230℃で固相重合し、融点311℃のポリアミドを製造することが開示されている。
さらにまた、トランス/シス比が50/50〜97/3である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を原料として用いたポリアミドが、耐熱性、低吸水性、及び耐光性等に優れることが開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
一方、ポリアミドに断面が非円形のガラス繊維を配合したポリアミド組成物に関する提案もなされており、具体的には、テレフタル酸と1,9−ノナンジアミンからなるポリアミド(以下、「PA9T」と略称する場合がある。)と異形比が1より大きいガラス繊維とからなるポリアミド組成物が、流動性、低反り性に優れた特性を有しているものとして開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
また、6T系共重合ポリアミドと扁平ガラス繊維とを組み合わせたポリアミド組成物に関する提案もなされており、耐熱性、流動性耐衝撃性に優れることが開示されている(例えば、特許文献7参照。)。具体的には、脂肪族ポリアミドと断面が扁平率2.5以上の長手形状であるガラス繊維とからなるポリアミド組成物が、低反り性に優れているものとして開示されている(例えば、特許文献8参照。)。
特表平6−503590号公報 特表平11−512476号公報 特表2001−514695号公報 特開平9−12868号公報 国際公開第2002/048239号パンフレット 特開2003−82228号公報 特開2009−79212号公報 特開2008−88377号公報
しかしながら、6T系共重合ポリアミドは、低吸水性、高耐熱性、及び高耐薬品性という特性はあるものの、流動性が低く、成形性が不十分であり、成形品表面外観が悪化しやすく、靭性及び耐光性にも劣るという問題を有している。
そのため、外装部品のような外観が要求され、日光等に曝される用途には不向きであり、さらには比重も大きく軽量化の面で改善を図ることが必要である。
特許文献1に開示されているPA6T/2MPDTは、従来のPA6T共重合ポリアミドが有する問題点を一部改善しているが、流動性、成形性、靭性、成形体表面外観、及び耐光性の面で、改善水準は不十分である。
PA46は、良好な耐熱性及び成形性を有するものの、吸水率が高く、吸水による寸法変化や機械物性の低下が著しく大きいという問題があり、自動車用途等で要求される寸法変化の観点から十分な特性が得られないおそれがある。
特許文献2及び3に開示されているPA6C共重合ポリアミドも、吸水率が高く、さらには、流動性が不十分である等の問題がある。
特許文献4及び5に開示されたポリアミドは、靭性、機械的強度、及び流動性の面で改善が不十分である。
特許文献6に開示されたポリアミド組成物は、流動性、機械的強度及び耐熱エージング性の面で改善が不十分である。
特許文献7に開示されたポリアミド組成物は、流動性及び耐熱エージング性の面で改善が不十分である。
特許文献8に開示されたポリアミド組成物は、耐熱性、機械的強度、低吸水性及び耐熱エージング性の面で改善が不十分である。
そこで本発明においては、耐熱性、靭性、流動性、機械的強度、寸法安定性に優れ、さらには、低吸水性、耐熱エージング性にも優れているポリアミド組成物、及びこれを用いた成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題の解決を図るべく鋭意研究を重ねた結果、脂環族ジカルボン酸を主たる構成成分として重合させたポリアミドと、断面の長径D2/断面の短径D1比(以下、扁平率と表す)が1.5以上である繊維状強化材と、を含有するポリアミド組成物が、上述した従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
(A) (a)ジカルボン酸と(b)ジアミンとを重合させたポリアミドであって、
前記(a)ジカルボン酸が、(a−1)脂環族ジカルボン酸を含有し、当該(a−1)
脂環族ジカルボン酸と、任意で含む(a−2)脂肪族ジカルボン酸とが合計で、前記(a
)ジカルボン酸中に50モル%を超えて含まれているポリアミドと、
(B) ガラス繊維であって、繊維の断面の長径をD2、断面の短径をD1とするとき、D2/D1比(以下、扁平率と表す。)が1.5以上であるガラス繊維と、
を、含有するポリアミド組成物。
〔2〕
前記(B)ガラス繊維の前記扁平率が2.5以上である、前記〔1〕に記載のポリアミド組成物。
〔3〕
前記(a)ジカルボン酸中における(a−1)脂環族ジカルボン酸の含有量が、50モ
ル%以上である前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド組成物。
〔4〕
前記(b)ジアミンが(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含む前記〔
1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔5〕
前記(b)ジアミン中における前記(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン
の含有量が、50モル%以上である前記〔4〕に記載のポリアミド組成物。
〔6〕
前記(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが、2−メチルペンタメチレン
ジアミンである、前記〔4〕又は〔5〕に記載のポリアミド組成物。
〔7〕
前記(a−1)脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔8〕
前記(a−2)脂肪族ジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸である、
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔9〕
前記(A)ポリアミドが、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸を、さらに共重
合させたポリアミドである、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔10〕
前記(A)ポリアミドの融点が270〜350℃である、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔11〕
前記(A)ポリアミド中における前記(a−1)脂環族ジカルボン酸構造のトランス異
性体比率が50〜85モル%である、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔12〕
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、
前記(B)ガラス繊維1〜200質量部を含有する、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔13〕
(C)フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、アミン系熱安定剤、周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属
塩、並びにアルカリ金属のハロゲン化物、及びアルカリ土類金属のハロゲン化物、よりな
る群から選ばれる1種以上の熱安定剤をさらに含む、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔14〕
前記(C)熱安定剤が、銅塩と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物と
の混合物である、前記〔13〕に記載のポリアミド組成物。
〔15〕
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物を成形した成形体。
〔16〕
厚さ1mm未満の部位を有し、成形後、加熱処理が施されている前記〔15〕に記載の成形体。
本発明によれば、耐熱性、靭性、流動性、機械的強度、寸法安定性に優れ、さらには、低吸水性、耐熱エージング性にも優れているポリアミド組成物及びこれを用いた成形体が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔ポリアミド組成物〕
本実施形態のポリアミド組成物は、(A)ポリアミドと、(B)繊維状強化材とを含有するものである。
((A)ポリアミド)
本実施形態において用いられる(A)ポリアミドは、下記(a)及び(b)を重合させたポリアミドである。
(a):(a−1)脂環族ジカルボン酸を含み、当該(a−1)脂環族ジカルボン酸と、任意で含む(a−2)脂肪族ジカルボン酸との合計の含有量が50モル%を超えているものである、ジカルボン酸
(b):ジアミン
なお、本実施形態においてポリアミドとは、主鎖中にアミド(−NHCO−)結合を有する重合体を意味する。
<(a)ジカルボン酸>
上記のように、(a)ジカルボン酸は、(a−1)脂環族ジカルボン酸を含み、(a−1)脂環族ジカルボン酸と、任意で含む(a−2)脂肪族ジカルボン酸との合計が50モル%を超えて含有されているジカルボン酸である。
(a)ジカルボン酸として、脂環族ジカルボン酸を含み、脂環族ジカルボン酸と任意で含む脂肪族ジカルボン酸との合計が50モル%を超えて含まれているものを用いることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸収性、及び剛性等を同時に満足するポリアミドが得られる。
(a−1)脂環族ジカルボン酸(脂環式ジカルボン酸とも記される。)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸等の、脂環構造の炭素数が3〜10、好ましくは炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換でも所定の置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、及び剛性等の観点で、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
脂環族ジカルボン酸は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸には、トランス体とシス体の幾何異性体が存在する。
原料モノマーとしての脂環族ジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸は、高温で異性化し、一定の比率になることや、シス体の方がトランス体に比べてジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、原料モノマーとしての脂環族ジカルボン酸は、トランス体/シス体が、モル比にして、好ましくは50/50〜0/100、より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。
脂環族ジカルボン酸のトランス体/シス体比(モル比)は、液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴分光法(NMR)により求められる。
(a)ジカルボン酸としては、上述した(a−1)脂環族ジカルボン酸と、これに加えて、例えば(a−2)脂肪族ジカルボン酸、(a−3)芳香族ジカルボン酸等を、さらに使用してもよい。
(a−2)脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸等の炭素数3〜20の直鎖又は分岐状飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
(a−3)芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基等のハロゲン基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、スルホン酸基及びナトリウム塩等のその塩である基等が挙げられる。
(a−1)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性等の観点で、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数6以上の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
特に、耐熱性及び低吸水性等の観点で、炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及びエイコサン二酸等が挙げられる。特に耐熱性等の観点で、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸として、さらに、本実施形態の目的を損なわない範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸等の、3価以上の多価カルボン酸を含んでもよい。
多価カルボン酸は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸中の(a−1)脂環族ジカルボン酸の割合(モル%)については、特に制限されるものではないが、50モル%以上であることが好ましい。
(a)ジカルボン酸中の(a−1)脂環族ジカルボン酸の割合は、50〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることがより好ましい。
脂環族ジカルボン酸の割合が、(a)ジカルボン酸中の50モル%以上であるものとすることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性等を同時に満足するポリアミドが得られる。
(a)ジカルボン酸中の(a−2)脂肪族ジカルボン酸の割合(モル%)については、特に制限されるものではないが、0〜50モル%が好ましく、0〜40モル%がより好ましい。
なお、本実施形態においては、(a−1)脂環族ジカルボン酸と(a−2)脂肪族ジカルボン酸とは合計で、(a)ジカルボン酸中に50モル%を超えて含まれていることが必要である。
(a)ジカルボン酸中における(a−1)脂環族ジカルボン酸と(a−2)脂肪族ジカルボン酸との合計が50モル%を超えることにより、優れた耐熱性、流動性、靭性、低吸水性及び剛性等を同時に満足するポリアミドが得られる。
(a)ジカルボン酸中に、(a−1)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を含有する場合においては、(a−1)脂環族ジカルボン酸が50.0〜99.9モル%、及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が0.1〜50.0モル%であることが好ましい。
(a−1)脂環族ジカルボン酸が60.0〜95.0モル%、及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が5.0〜40.0モル%であることがより好ましく、(a−1)脂環族ジカルボン酸が80.0〜93.0モル%、及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が7.0〜20.0モル%であることがさらに好ましい。
また、(a)ジカルボン酸としては、上述したジカルボン酸として記載した化合物に限定されるものではなく、上記ジカルボン酸と等価な化合物であってもよい。
ジカルボン酸と等価な化合物としては、上記ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物等が挙げられる。
<(b)ジアミン>
(A)ポリアミドを構成する(b)ジアミンについては、特に限定されるものではなく、主鎖から分岐した置換基をもつジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。
(b)ジアミンは、(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むことが好ましい。
(b)ジアミンに、(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むことにより、目的とするポリアミド組成物において、流動性、靭性及び機械的強度等を同時に満足できる。これら(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを(b)ジアミン中に少なくとも50モル%含むことがより好ましい。
主鎖から分岐した置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の、炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン(2−メチル−1,5−ジアミノペンタンとも記される。)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、及び2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン等の炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。
(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、剛性等の観点で、2−メチルペンタメチレンジアミンが好ましい。
(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンは、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミンのうち、(b−1)以外のジアミン、すなわち(b−2)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミン等の、炭素数2〜20の直鎖飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。
脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される。)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、メタキシリレンジアミン等が挙げられる。
(b−2)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンとしては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性等の観点で、脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンが好ましく、炭素数4〜13の直鎖飽和脂肪族ジアミンがより好ましく、炭素数6〜10の直鎖飽和脂肪族ジアミンがさらに好ましく、ヘキサメチレンジアミンがさらにより好ましい。
(b−2)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンは、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミンとしては、さらに、本実施形態の目的を損なわない範囲で、ビスヘキサメチレントリアミン等の3価以上の多価脂肪族アミンを含んでもよい。
多価脂肪族アミンは、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミン中の、上記(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合(モル%)については、特に制限は無いが、50〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることがより好ましい。(b−1)主鎖から分岐した置換基をもつジアミンの割合が、50モル%以上であることにより、流動性、靭性、及び剛性等に優れるポリアミドが得られる。
(b)ジアミン中の(b−2)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンの割合(モル%)は、0〜50モル%であることが好ましく、0〜40モル%であることがより好ましい。
<(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンとの割合>
(a)ジカルボン酸の添加量は、(b)ジアミンの添加量と同モル量付近であることが好ましい。重合反応中の(b)ジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、(a)ジカルボン酸全量のモル量1.00に対して、(b)ジアミン全体(逃散分を考慮した量も含む)のモル量は、好ましくは0.90〜1.20であり、より好ましくは0.95〜1.10であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
<(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸>
(A)ポリアミドは、上述した(a)ジカルボン酸、(b)ジアミンの他、靭性の観点で、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させたものであることが好ましい。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重縮合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸としては、炭素数4〜14のラクタム及び/又はアミノカルボン酸が好ましく、炭素数6〜12のラクタム及び/又はアミノカルボン酸がより好ましい。
ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)等が挙げられる。
特に、靭性の観点で、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム等が好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
アミノカルボン酸としては、例えば、前記ラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸、α,ω−アミノ酸等が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸等が挙げられる。その他のアミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸等も挙げられる。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸の添加量(モル%)は、上述した(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン及び(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸の各モノマー全体のモル量に対して0〜20モル%であることが好ましい。
<末端封止剤>
上述した(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、さらには必要に応じて(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸を用いてポリアミドを重合する際、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加してもよい。
末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類等が挙げられる。ポリアミドの熱安定性の観点から、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
末端封止剤は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸;並びに安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;等が挙げられる。
モノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環族モノアミン;並びにアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン;等が挙げられる。
モノアミンは、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
((A)ポリアミドの好適な態様)
上述した(a)ジカルボン酸、(b)ジアミンの組み合わせについては、限定されるものではないが、少なくとも50モル%の(a−1)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、少なくとも50モル%の(b−1)2−メチルペンタメチレンジアミンを含むジアミンとの組み合わせが好ましく、少なくとも50モル%の(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含むジカルボン酸と、少なくとも50モル%の(b−1)2−メチルペンタメチレンジアミンを含むジアミンとの組み合わせがより好ましい。
これらの組み合わせによりポリアミドを重合させることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性に優れることを同時に満足する高融点ポリアミドが得られる。
本実施形態のポリアミド組成物に含有されている(A)ポリアミドにおいて、脂環族ジカルボン酸構造は、トランス異性体及びシス異性体の幾何異性体として存在する。
(A)ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率は、(A)ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸全体中のトランス異性体の比率を表し、かかるトランス異性体比率は、好ましくは50〜85モル%であり、より好ましくは50〜80モル%であり、さらに好ましくは60〜80モル%である。
トランス異性体比率が上記範囲内にあることにより、(A)ポリアミドは、高融点、靭性及び剛性に優れるという特徴に加えて、高いガラス転移温度による熱時剛性と、通常では耐熱性と相反する性質である流動性と、高い結晶性及び低吸水性とを同時に満足するという性質を持つ。
(A)ポリアミドの上述した特徴は、(a)ジカルボン酸として、少なくとも50モル%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用い、(b)ジアミンとして、少なくとも50モル%の2−メチルペンタメチレンジアミンとを用い、かつトランス異性体比率が50〜85モル%とした(A)ポリアミドにおいて、特に顕著である。
なお、(A)ポリアミド中における(a−1)脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
(ポリアミド(A)の製造方法)
ポリアミド(A)は、少なくとも(a−1)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)ジアミンとを重合させることにより得られる。
ポリアミド(A)の製造工程においては、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
ポリアミド(A)の製造方法としては、以下に例示する(1)〜(6)の方法が挙げられる。
(1)ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩と他の成分との混合物(以下、「その混合物」と略称する。)の水溶液又は水の懸濁液を、加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)。
(2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)。
(3)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダー等の押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・押出重合法」と略称する場合がある。)。
(4)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・固相重合法」と略称する場合がある。)。
(5)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と略称する場合がある)。
(6)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド及びジアミンを用いて重合させる方法「溶液法」。
ポリアミド(A)の製造工程においては、脂環族ジカルボン酸のトランス異性体比率を50〜85モル%に維持して重合することが好ましく、ポリアミドの流動性の観点から、50〜80%に維持して重合することがより好ましい。
トランス異性体比率を上記範囲内に、特に80%以下に維持することにより、色調や引張伸度に優れ、高融点のポリアミドが得られる。
ポリアミド(A)の製造工程において、重合度を上昇させてポリアミド(A)の融点を上昇させるためには、加熱温度を上昇させたり、加熱時間を長くしたりする必要があるが、その場合、加熱によりポリアミド(A)に着色や熱劣化による引張伸度の低下が生じる場合がある。また、分子量の上昇する速度が著しく低下する場合がある。
ポリアミド(A)の着色や、熱劣化による引張伸度の低下を防止するためには、ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を80%以下に維持して重合することが好ましい。
なお、ポリアミド(A)の製造工程においては、ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を80%以下に維持することが容易であるため、また、得られるポリアミドが色調に優れるため、上述した(1)熱溶融重合法、及び(2)熱溶融重合・固相重合法によりポリアミドを製造することが好ましい。
ポリアミド(A)の製造工程における重合形態としては、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置を使用できる。例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、及びニーダー等の押出機型反応器等が挙げられる。
ポリアミド(A)の具体的な製造方法について下記に示すが、本実施形態は下記に限定されるものではない。
先ず、バッチ式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造する方法について示す。
バッチ式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒として、ポリアミドの重合成分((a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び必要に応じて、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸)を含有する約40〜60質量%の溶液を作製し、これを、110〜180℃の温度及び約0.035〜0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。
次に、上記濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。
その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)に保ち、温度が約250〜350℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。
大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。
その後、窒素等の不活性ガスで加圧し、ポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。このストランドを、冷却、カッティングしてペレットを得る。
次に、連続式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造する方法について示す。
例えば、水を溶媒としてポリアミド成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱する。
次に、濃縮層/反応器に移し、約0.1〜0.5MPa(ゲージ圧)の圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90%に濃縮して濃縮溶液を得る。
この濃縮溶液を約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出し、その後、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。
大気圧に降圧後、必要に応じて減圧する。
その後、ポリアミド溶融物は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなる。
(ポリアミド(A)の物性)
<分子量>
ポリアミド(A)の分子量としては、25℃の相対粘度ηrを指標として特定する。
ポリアミド(A)の分子量は、靭性及び剛性等の機械物性並びに成形性等の観点で、JIS−K6810に準じて測定した98%硫酸中濃度1%、25℃の相対粘度ηrにおいて、好ましくは1.5〜7.0であり、より好ましくは1.7〜6.0であり、さらに好ましくは1.9〜5.5である。
25℃の相対粘度は、下記実施例に記載するように、JIS−K6810に準じて測定できる。
<融点>
後述する実施例により測定されるポリアミド(A)の融点(Tm2)は、耐熱性の観点から、270〜350℃であることが好ましい。
融点Tm2は、好ましくは270℃以上であり、より好ましくは275℃以上であり、さらに好ましくは280℃以上である。
また、融点Tm2は、好ましくは350℃以下であり、より好ましくは340℃以下であり、さらに好ましくは335℃以下であり、よりさらに好ましくは330℃以下である。
融点Tm2を270℃以上とすることにより、耐熱性に優れるポリアミドが得られ、融点Tm2を350℃以下とすることにより、押出、成形等の溶融加工時におけるポリアミドの熱分解等を抑制できる。
<融解熱量ΔH>
ポリアミド(A)の融解熱量ΔHは、耐熱性の観点から、好ましくは10J/g以上であり、より好ましくは14J/g以上であり、さらに好ましくは18J/g以上であり、さらにより好ましくは20J/g以上である。
ポリアミド(A)の融点(Tm1又はTm2)及び融解熱量ΔHの測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K7121に準じて行うことができる。
融点及び融解熱量の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSC等が挙げられる。
<ガラス転移温度Tg>
ポリアミド(A)のガラス転移温度(Tg)は90〜170℃であることが好ましい。
ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは110℃以上である。
ガラス転移温度は、好ましくは170℃以下であり、より好ましくは165℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。
ガラス転移温度を90℃以上とすることにより、耐熱性や耐薬品性に優れるポリアミド(A)とすることができる。
また、ガラス転移温度を170℃以下とすることにより、外観のよい成形品を得ることができる。
ガラス転移温度の測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K7121に準じて行うことができる。
ガラス転移温度の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSC等が挙げられる。
((B)繊維状強化材)
本実施形態のポリアミド組成物は、上述した(A)ポリアミドと、(B)繊維状強化材と、を含有する。
ポリアミド組成物として、(B)繊維状強化材を含有することにより、耐熱性、靭性、流動性、剛性等に優れているポリアミドの性質を損なうことなく、これらの特性に加え、低吸水性、耐熱エージング性に優れるポリアミド組成物が得られる。
なお、本実施形態のポリアミド組成物は、(B)繊維状強化材を含有しても、優れた耐光性、色調を有している点にも特徴を有する。
(B)繊維状強化材としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維等が挙げられる。
特に、強度や剛性の観点から、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。
(B)繊維状強化材は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)繊維状強化材は、繊維の断面の長径をD2、繊維の断面の短径をD1とするとき、D2/D1で表される扁平率が1.5以上のものである。
扁平率(又は長径及び短径)はメーカーによる公称値があればそれをそのまま使用できるが、公称値が無い場合は顕微鏡による測定値から容易に求められる。
(B)繊維状強化材の形状としては、例えば、断面形状が、長方形、長方形に近い長円形、楕円形、長手方向の中央部がくびれた繭型等が挙げられる。
繭型形状の場合は、中央部がくびれていて、その部分の強度が低く真ん中で割れることがあり、また、くびれた部分の樹脂との密着性が劣る場合もある。
従って、繊維状強化材は、断面形状が、長方形、長方形に近い長円形、又は楕円形のものが好ましい。
板状成形品の反りの低減すなわち形状安定性、耐熱性、靭性、低吸水性、耐熱エージング性の観点から、(B)繊維状強化材の扁平率は、上記のように1.5以上であるものとし、好ましくは1.5〜10.0、より好ましくは2.5〜10.0であり、さらに好ましくは3.1〜6.0である。
扁平率が、例えば15〜20程度に大きいと、他の成分との混合の他、混練、成形等の処理の際、破砕されてしまうおそれがあり、所望の効果が得られない場合がある。
(B)繊維状強化材の太さは、任意であるが、繊維の断面の短径D1が0.5〜25μm、繊維の断面の長径D2が1.25〜250μmであることが好ましい。
細すぎる場合は繊維の紡糸が困難な場合があり、太すぎる場合は樹脂との接触面積の減少等により、成形体の機械的強度が低下してしまうおそれがある。
短径D1は3μm以上が好ましい。更には、短径D1が3μm以上で、かつ扁平率が3より大きい値であることが好ましい。
(B)繊維状強化材は、例えば、特公平3−59019号公報、特公平4−13300号公報、特公平4−32775号公報等に記載されている方法により製造できる。
特に、底面に多数のオリフィスを有するオリフィスプレートにおいて、複数のオリフィス出口を囲み、当該オリフィスプレート底面より下方に延びる凸状縁を設けたオリフィスプレート、または、単数もしくは複数のオリフィス孔を有するノズルチップの外周部先端から下方に延びる複数の凸状縁を設けた異形断面ガラス繊維紡糸用ノズルチップを使用して製造された、扁平率が1.5以上のガラス繊維が好ましい。
(B)繊維状強化材は、繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
(B)繊維状強化材の配合量は、上述した(A)ポリアミド100質量部に対して、好ましくは0.1〜200質量部であり、より好ましくは1〜180質量部であり、さらに好ましくは5〜150質量部である。
(B)繊維状強化材の配合量を(A)ポリアミド100質量部に対して0.1質量部以上とすることにより、本実施形態のポリアミド組成物の靭性、機械的強度等が向上し、また、配合量を200質量部以下とすることにより、成形性に優れるポリアミド組成物が得られる。
(B)扁平率が1.5以上の繊維状強化材がガラス繊維であるとき、具体的な組成として、Eガラス組成、Cガラス組成、Sガラス組成、耐アルカリガラス組成等が挙げられる。
また、ガラス繊維の引張強度は、任意であるが、通常290kg/mm2以上である。
これらの中でも、Eガラスが、入手が容易である観点から好ましい。
これらガラス繊維は、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましく、その付着量はガラス繊維重量(ガラス繊維と表面処理剤との合計量)に対し通常0.01質量%以上である。
さらに、必要に応じ、集束剤により処理を施すこともできる。
集束剤としては、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩、並びにカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体を含む共重合体等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせがより好ましい。
((B)以外の無機充填材)
本実施形態のポリアミド組成物は、上記(B):扁平率が1.5以上の繊維状強化材以外にも、所定の無機充填材を併用してもよい。
無機充填材としては、一般的な円形断面(扁平率1)のガラス繊維や炭素繊維等も含まれる。
これらガラス繊維や炭素繊維の中でも、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(L/D)が10〜100であるものが、高い特性を発現するという観点からさらに好ましく用いられる。
(B)以外の無機充填材が、ガラス繊維であるとき、具体的な組成として、Eガラス組成、Cガラス組成、Sガラス組成、耐アルカリガラス組成等が挙げられる。
また、ガラス繊維の引張強度は、任意であるが、通常290kg/mm2以上である。
これらの中でも、Eガラスが、入手が容易である観点から好ましい。
これらガラス繊維は、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましく、その付着量はガラス繊維重量に対し通常0.01質量%以上である。
さらに、必要に応じ、集束剤により、処理を施すこともできる。
集束剤としては、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩、並びにカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体を含む共重合体等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせがより好ましい。
本実施形態におけるポリアミド組成物の成形体において、反りの発生の低減化、寸法の異方性の低減化を図る観点から、(B)以外の無機充填材として、ガラス繊維や炭素繊維以外の無機充填材を含むことが好ましい。
このような無機充填材としては、例えば、ガラスフレーク、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、及びアパタイト等が挙げられる。
これら充填材は、表面処理されていてよい。
無機充填材としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した(B)以外の無機充填材であってガラス繊維や炭素繊維以外の無機充填材としては、ウォラストナイトがより好ましく、ウォラストナイトの中でも、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が10〜500μmであり、前記アスペクト比(L/D)が3〜100であるものがさらに好ましく用いられる。
さらに、無機充填材としては、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素等がより好ましく、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素等の中でも、数平均繊維径が0.1〜3μmであるものがさらに好ましく用いられる。
上述した(B)繊維状強化材及び(B)以外の無機充填材の数平均繊維径及び重量平均繊維長の測定は、ポリアミド組成物の成形品を、ギ酸等のポリアミドが可溶な溶媒で溶解し、得られた不溶成分の中から、例えば100本以上の繊維状強化材、無機充填材を任意に選択し、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等で観察したり、成形品を例えば電気炉等で焼却し、残渣の中から例えば100本以上の繊維状強化材、無機充填材を任意に選択し、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等で観察・測定したりすることにより求められる。
((C)熱安定剤)
本実施形態のポリアミド組成物においては、(C)フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、アミン系熱安定剤、周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物よりなる群から選択される1種以上の熱安定剤を配合することができる。
<フェノール系熱安定剤>
フェノール系熱安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ヒンダートフェノール化合物が挙げられる。
フェノール系熱安定剤、特にヒンダードフェノール化合物は、ポリアミド等の樹脂や繊維に耐熱性や耐光性を付与する性質を有する。
ヒンダードフェノール化合物としては、以下に制限されないが、例えば、N,N'−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサピロ[5,5]ウンデカン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及び1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸が挙げられる。
フェノール系熱安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、耐熱エージング性向上の観点から、N,N'−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]が好ましい。
フェノール系熱安定剤を用いる場合、ポリアミド組成物中のフェノール系熱安定剤の配合量は、ポリアミド組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.1〜1質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
<リン系熱安定剤>
リン系熱安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−テトラ−トリデシル)ジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、テトラ(C1〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化−4,4'−イソプロピリデンジフェニルポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス(4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル))・1,6−ヘキサノールジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、トリス(4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル))ホスファイト、トリス(1,3−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2、2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(3−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイト、及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイトが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系熱安定剤としては、上記の列挙したものの中でも、耐熱エージング性の一層の向上及び発生ガスの低減という観点から、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、以下に制限されないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・フェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・メチル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2−エチルヘキシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・イソデシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ラウリル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・イソトリデシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ステアリル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・シクロヘキシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ベンジル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・エチルセロソルブ・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ブチルカルビトール・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・オクチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ノニルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,6−ジ−t−ブチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,4−ジ−t−ブチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,4−ジ−t−オクチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2−シクロヘキシルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル・フェニル・ペンタエリストリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2,6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記において列挙したペンタエリスリトール型ホスファイト化合物の中でも、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2、6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトがより好ましい。
リン系熱安定剤を用いる場合、ポリアミド組成物中のリン系熱安定剤の配合量は、ポリアミド組成物100質量部に対して、0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.1〜1質量部である。
上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
<アミン系熱安定剤>
アミン系熱安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β',β'−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系熱安定剤を用いる場合、ポリアミド組成物中のアミン系熱安定剤の配合量は、ポリアミド組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.1〜1質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させることができ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
<周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩>
周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩としては、特に限定されるものではないは、好ましくは銅塩である。
銅塩としては、以下に制限されないが、例えば、ハロゲン化銅(ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅等)、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅及びステアリン酸銅、並びにエチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤に銅の配位した銅錯塩が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記列挙した銅塩の中でも、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅及び酢酸銅よりなる群から選択される1種以上が好ましく、より好ましくはヨウ化銅及び/又は酢酸銅である。
かかる好ましい銅塩を用いた場合、耐熱エージング性に優れ、かつ押出時のスクリューやシリンダー部の金属腐食(以下、単に「金属腐食」ともいう)を抑制可能なポリアミド組成物が得られる。
銅塩を用いる場合、ポリアミド組成物中の銅塩の配合量は、ポリアミド組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.2質量部であり、より好ましくは0.02〜0.15質量部である。
上記範囲内の場合、耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を抑制することができる。
また、耐熱エージング性を向上させる観点から、ポリアミド組成物全量に対し、銅元素の含有濃度として、好ましくは10〜500ppmであり、より好ましくは30〜500ppmであり、さらに好ましくは50〜300ppmである。
<アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物>
アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、以下に制限されないが、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム及び塩化ナトリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
特に、耐熱エージング性の向上及び金属腐食の抑制という観点から、好ましくはヨウ化カリウム及び臭化カリウム、並びにこれらの混合物であり、より好ましくはヨウ化カリウムである。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いる場合、ポリアミド組成物中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物の配合量は、ポリアミド組成物100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜2質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を抑制することができる。
上述した(C)熱安定剤の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、銅塩とアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物との混合物が好適である。
銅塩とアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物との割合は、ハロゲンと銅とのモル比(ハロゲン/銅)が2/1〜40/1となるように、ポリアミド組成物に含有させることが好ましく、より好ましくは5/1〜30/1である。上記した範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させることができる。
上記ハロゲン/銅が2/1以上である場合、銅の析出及び金属腐食を抑制することができるため好適である。
一方、上記のハロゲン/銅が40/1以下である場合、靭性等の機械的な物性を殆ど損なうことなく、成形機のスクリュー等の腐食を防止できるため好適である。
(その他の成分)
本実施形態のポリアミド組成物は、上記各種成分の他に、本実施形態の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに他の成分を添加してもよい。
例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤、染色剤や顔料等を添加してもよいし、他の熱可塑性樹脂を混合してもよい。ここで、上記した他の成分はそれぞれ性質が大きく異なるため、各成分についての、本実施形態の効果をほとんど損なわない好適な含有率は様々である。
そして、当業者であれば、上記した他の成分ごとの好適な含有率は容易に設定可能である。
(ポリアミド組成物の製造方法)
ポリアミド組成物の製造方法としては、前記(A)ポリアミドと、(B)繊維状強化材とを混合する方法であれば、特に限定されるものではない。
(A)ポリアミドと(B)繊維状強化材の混合方法として、例えば、ポリアミドと繊維状強化材とをヘンシェルミキサー等を用いて混合し、溶融混練機に供給し混練する方法や、単軸又は2軸押出機で溶融状態にしたポリアミドに、サイドフィダーから繊維状強化材を配合する方法等が挙げられる。
ポリアミド組成物を構成する成分を溶融混練機に供給して混合する工程においては、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよいし、構成成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもよい。
溶融混練温度は、樹脂温度にして250〜375℃程度であることが好ましい。
溶融混練時間は、0.25〜5分程度であることが好ましい。
溶融混練を行う装置については特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、及びミキシングロール等の溶融混練機を用いることができる。
(ポリアミド組成物の物性)
本実施形態のポリアミド組成物の25℃の相対粘度ηr、融点Tm2、融解熱量ΔH、ガラス転移温度Tgについては、前記ポリアミドにおける測定方法と同様の方法により測定することができる。
また、ポリアミド組成物における測定値が、前記ポリアミドの測定値として好ましい範囲と同様の範囲にあることにより、耐熱性、成形性、及び耐薬品性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
〔ポリアミド組成物を用いた成形体〕
本実施形態のポリアミド組成物の成形体は、本実施形態のポリアミド組成物を原料とし、公知の成形方法、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、及び溶融紡糸等、一般に知られているプラスチック成形方法を用いることにより製造できる。
本実施形態のポリアミド組成物の成形体は、耐熱性、靭性、機械的強度、低吸水性に優れ、さらには耐熱エージング性にも優れている。
また、本実施形態のポリアミド組成物の成形体は寸法安定性にも優れている。具体的には、本実施形態のポリアミド組成物の成形体は、用途に応じて加熱処理を施す工程が付加される場合があるが、成形体において1mm未満の薄い部位を有する場合であっても、加熱時の反りの発生を効果的に低減化できる。
〔ポリアミド組成物、成形体の用途〕
本実施形態のポリアミド組成物は、自動車用、電気、及び電子用、産業資材用、日用品、家庭用品等の各種部品材料として、また、押出用途等にも好適に用いられる。
自動車用としては、特に限定されるものではなく、例えば、吸気系部品、冷却系部品、燃料系部品、内装部品、外装部品、及び電装部品等に用いられる。
自動車吸気系部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、エキゾーストパイプカバー、インナーブッシュ、ベアリングリテーナー、エンジンマウント、エンジンヘッドカバー、リゾネーター、及びスロットルボディ等が挙げられる。
自動車冷却系部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、チェーンカバー、サーモスタットハウジング、アウトレットパイプ、ラジエータータンク、オイルネーター、及びデリバリーパイプ等が挙げられる。
自動車燃料系部品では、特に限定されるものではなく、例えば、燃料デリバリーパイプ及びガソリンタンクケース等が挙げられる。
内装部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、及びトリム等が挙げられる。
外装部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパー、及びドアミラーステイ、ルーフレール等が挙げられる。
電装部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、コネクタ、ワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチ等が挙げられる。
電気及び電子用としては、特に限定されるものではなく、例えば、コネクタ、スイッチ、リレー、プリント配線板、携帯電話・携帯情報端末・音楽プレーヤー・携帯ゲーム機等の電子デバイスのハウジング、電子部品のハウジング、コンセント、ノイズフィルター、コイルボビン、モーターエンドキャップ等に用いられる。
産業機器用としては、特に限定されるものではなく、例えば、ギヤ、カム、絶縁ブロック、バルブ、電動工具部品、農機具部品、エンジンカバー等に用いられる。
日用及び家庭用品としては、特に限定されるものではなく、例えば、ボタン、食品容器、オフィス家具等に用いられる。
押出し用途としては、特に限定されるものではなく、例えば、フィルム、シート、フィラメント、チューブ、棒、及び中空成形品等に用いられる。
特に、耐熱性、流動性、機械的強度、低吸水性、耐熱エージング性にも優れることから自動車用の部品材料として好適であり、また、耐熱性、流動性、寸法安定性、低吸水性に優れることから、電気及び電子用の部品材料としても好適である。
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて具体的に説明する。
先ず、下記実施例及び比較例において適用する物性測定法及び評価方法を示す。
なお、本明細書において、1kg/cm2は、0.098MPaであるものとする。
〔ポリアミド組成物の原料〕
ポリアミド組成物の原料として、(A)ポリアミド、(B)繊維状強化材、(C)銅化合物及び金属ハロゲン化物、(D)核剤を、下記に示す。
(A)ポリアミド
(A)ポリアミドを構成する(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸について下記に示す。
(a)ジカルボン酸
(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)
商品名:1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)
(イーストマンケミカル社製)
(a−2)テレフタル酸(TPA)(和光純薬工業社製)
(a−3)アジピン酸(ADA)(和光純薬工業社製)
(a−4)セバシン酸(C10DA)(和光純薬工業社製)
(a−5)ドデカン二酸(C12DA)(和光純薬工業社製)
(b)ジアミン
(b−1)2−メチルペンタメチレンジアミン(2MPD)(東京化成工業製)
(b−2)ヘキサメチレンジアミン(HMD)(和光純薬工業社製)
(b−3)1,9−ノナメチレンジアミン(NMD)(アルドリッチ社製)
(b−4)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MOD)(特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。)
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸
(c−1)ε−カプロラクタム(CPL)(和光純薬工業社製)
(B)繊維状強化材
(B−1)扁平ガラス繊維(GF−1)
商品名:CSG 3PA−820S(日東紡績社製)
扁平率=4(D2=28μm、D1=7μm)、カット長3mm
(B−2)繭型扁平ガラス繊維(GF−2)
商品名:CSH 3PA−870S(日東紡績社製)
扁平率=2(D2=20μm、D1=10μm)、カット長3mm
(B−3)円形断面ガラス繊維(GF−3)
商品名:CSX 3J−451S(日東紡績社製)
扁平率=1(平均繊維径11μmφ)、カット長3mm
(C)銅化合物及び金属ハロゲン化物
(C−1)ヨウ化銅(CuI)(和光純薬工業社製)
(C−2)ヨウ化カリウム(KI)(和光純薬工業社製)
(D)核剤
(D−1)窒化ホウ素(BN)
商品名:デンカボロンナイトライドSP−2(電気化学工業社製)
〔ポリアミド成分量の計算方法〕
前記(a−1)である脂環族ジカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えた(a−1)脂環族ジカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた全ての(a)ジカルボン酸のモル数)×100として、算出した。
前記(b−1)である主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル%は、(原料モノマーとして加えた(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル数/原料モノマーとして加えた全ての(b)ジアミンのモル数)×100として、算出した。
前記(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えた(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル数 / 原料モノマーとして加えた、全ての(a)ジカルボン酸のモル数+(b)全てのジアミンのモル数+(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル数)×100として、算出した。
なお、上記ポリアミド成分量の計算方式による各式で計算する際に、分母及び分子には、追添分として加えた(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル数は含まれない。
〔物性の測定方法〕
(1)融点Tm1、Tm2(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。
測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点に応じて300〜350℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最大ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とした。
なお、ピークが複数ある場合には、ΔHが1J/g以上のものをピークとみなした。
例えば、融点295℃、ΔH=20J/gと融点325℃、ΔH=5J/gの二つのピークが存在する場合、融点は325℃とした。
(2)トランス異性体比率
ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、1H−NMRで測定した。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppmと1.86ppmのピーク面積の比率からトランス異性体比率を求めた。
(3)ガラス転移温度Tg(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。
測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。
そのサンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定した。
(4)25℃の相対粘度ηr
JIS−K6810に準じて実施した。
具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作製し、25℃の温度条件下で測定した。
(5)溶融せん断粘度ηs(Pa・s)
上記(1)で求めた融点(Tm2)+20℃の温度条件下で、せん断速度1000sec-1における溶融せん断粘度ηsで流動性を評価した。
具体的な測定方法は、英国ROSAND社製ツインキャピラリーレオメーターRH7−2型を使用し、オリフィスは、ダイ径1.0mm、ダイ入口角180度のもので、L/Dが16及び0.25、の2つのオリフィスを使用した。
(6)引張強度(MPa)
後述する実施例及び比較例で作製したポリアミド組成物ペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、射出+保圧時間25秒、冷却時間15秒、金型温度を120℃、溶融樹脂温度を(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、ISO 3167、多目的試験片A型の成形片を成形した。
得られた多目的試験片(A型)を用いて、ISO 527に準拠し、引張速度5mm/minで引張試験を行い、引張強度を測定した。
(7)熱老化後の引張強度(MPa)
上記多目的試験片(A型)を、熱風循環式オーブンにて、230℃の条件下で240時間熱老化させた。
23℃にて24時間以上冷却した後、ISO 527に準拠し、引張速度5mm/minで引張試験を行い、引張強度を測定した。
(8)吸水率(%)
上記多目的試験片(A型)を成形後の絶乾状態(dry as mold)で、試験前質量(吸水前質量)を測定した。
80℃の純水中に48時間浸漬させた。その後、水中から試験片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。
吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率(%)とした。
(9)荷重たわみ温度(℃)
上記多目的試験片(A型)を切削して使用し、長さ80mm×巾10mm×厚さ4mmの試験片を用いて、ISO 75に準拠し、曲げ応力1.80MPaの条件下、フラットワイズ法で荷重たわみ温度を測定した。
(10)シャルピー衝撃強度(kJ/m2
上記多目的試験片(A型)を切削して使用し、長さ80mm×巾10mm×厚さ4mmの試験片を用いて、ISO 179/1eAに準拠し、ノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。
(11)反り
後述する実施例及び比較例において作製したポリアミド組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を120℃、溶融樹脂温度を(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、ISO 294−3に従い、タイプD1の金型を用いて、60mm×60mm×1mmの試験片を成形した。
この試験片を恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下で24時間放置した後、水平な面に置き、4角のうちの任意の1点を水平な面に固定し、その対角の点の浮き上がり高さを反り量として測定した。
(12)アニール後の反り
後述する実施例及び比較例において作製したポリアミド組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間10秒、金型温度を(A)ポリアミドのTg+10℃、溶融樹脂温度を(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、長さ125mm×巾12.5mm×厚さ0.5mmのキャビティーに、一辺が125mm、厚さ0.3mmのファンゲートから樹脂を充填して試験片を成形した。
この試験片を恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下で24時間放置した後、さらに170℃のオーブンにて2時間加熱し、アニール処理をした。
アニール処理後の試験片を水平な面に置き、ゲート側の辺を水平面に固定し、その反対側の端面の浮き上がり高さをアニール後の反り量として測定した。
なお、この(12)アニール後の反りを測定したいずれの試験片も、アニール処理前の段階においては、反り量が0.5mm未満であり、いずれも極めて小さいものであることを確認した。
〔ポリアミドの製造例〕
<製造例1>
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
(a)ジカルボン酸:CHDA896g(5.20モル)、及び(b)ジアミン:2MPD604g(5.20モル)を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
この均一水溶液に(b)ジアミン:2MPD15g(0.13モル)を追添した。
このようにして得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。
オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。
槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。
水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。
槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、最終温度−50℃になるまで加熱を続けた。液温が最終温度−50℃(ここでは300℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約350℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で400torrの減圧下に30分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミドを得た。
このようにして得られたポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度)を、下記表1に示す。
<製造例2〜12、比較製造例1、2>
(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸として、下記表1に記載の化合物と量を用いた。また、樹脂温度の最終温度を下記表1に示す温度にした。
その他の条件は、製造例1に示した方法によりポリアミドの重合を行った(「熱溶融重合法」)。
得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を下記表1に示す。
〔ポリアミド組成物の製造例〕
<実施例1〜8、比較例1〜7>
上述した製造例、比較製造例において作製したポリアミドを、窒素気流中で乾燥し、水分率を約0.2質量%に調整した。
押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、9番目のバレルに下流側供給口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを、上記製造例、比較製造例により製造した、(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定した。
スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hとし、下記表2に示す割合となるように、上流側供給口より、(A)ポリアミド、(D)核剤をドライブレンドした後に供給し、下流側供給口より(B)繊維状強化材であるガラス繊維(GF)を供給して、溶融混練しポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を窒素気流中で乾燥し、水分を500ppm以下にし、その後、溶融せん断粘度を評価した。
また、所定の成形体に加工し、引張強度、吸水率、荷重たわみ温度、シャルピー衝撃強度を評価した。物性値を組成と共に下記表2に示す。
上記表2に示す結果から、脂環族ジカルボン酸を含むポリアミドと、扁平率が1.5以上のガラス繊維とを含む実施例1〜8のポリアミド組成物は、いずれも溶融せん断粘度が低く流動性に優れ、シャルピー衝撃強度が高いことから靭性に優れていることが分かった。
実施例1〜3を対比すると、(a−2)脂肪族ジカルボン酸を併用したことにより流動性が向上したことが分かった。また、炭素数10以上の(a−2)脂肪族ジカルボン酸を併用したことにより、かかる効果が確実に得られたことが分かった。
さらに実施例2、3を対比すると、(a−2)脂肪族ジカルボン酸の含有量がより少ない実施例2の方が、引張強度、耐熱性、耐衝撃性に優れていたことが分かった。
また、実施例1、5と、比較例3とを対比すると、脂環族ジカルボン酸を含むポリアミドに、扁平率が1.5以上の(B)繊維状強化材:ガラス繊維を含むものとしたことにより、上述した流動性、靭性に加え、引張強度、荷重たわみ温度が高く、機械的強度、耐熱性に優れており、吸水率が低く低吸水性に優れることが分かった。
比較例1、2、7においては、芳香族ジカルボン酸により重合したポリアミドを用いたものであるため、溶融せん断粘度が高過ぎ流動性が悪く、シャルピー衝撃強度が実施例1〜8に比して低く、靭性に劣っていることが分かった。また、機械的強度、耐熱性、低吸水性についても、従来品に比較して向上効果は見られなかった。
実施例1〜8のポリアミド組成物と比較例3〜7のポリアミド組成物とを対比することにより、扁平率が1.5以上のガラス繊維を含むポリアミド組成物においては、アニールの前後において、いずれも反り量が小さいことが分かった。
アニール前の反り量については、ポリアミドの構造には依存しないが、アニール後の反り量については、本発明のポリアミド特有の課題であることが分かった。これは、テレフタル酸を主成分とする従来のポリアミドを使用している比較例1、2、7においては、アニール後の反り量について実用上問題が無いことから裏付けられている。
<実施例9、10、比較例8〜11>
上述した実施例1と同様にして、下記表3に示す割合に従い、上流側供給口より(A)ポリアミド、(C)銅化合物、金属ハロゲン化物、(D)核剤をドライブレンドした後に供給し、下流側供給口より(B)繊維状強化材:ガラス繊維(GF)を供給して溶融混練し、ポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を所定の成形体に加工し、引張強度、熱老化後の引張強度を測定し、熱老化により強度保持率を算出し、評価した。
測定値、算出値を、組成とともに下記表3に示す。
上記表3に示す結果から、実施例9、10においては、(C)銅化合物、金属ハロゲン化物といった熱安定剤をさらに含有することにより、優れた耐熱エージング性が得られることが分かった。
特に、熱老化後の強度保持率の数値を見ると、(C)熱安定剤と、(B)扁平率が1.5以上のガラス繊維とを組み合わせることにより、耐熱エージング性の向上に相乗効果があることを確認した。
具体的には、実施例9と比較例9、実施例10と比較例10とを、それぞれ対比すると、本発明の(A)ポリアミドに(B)扁平率が1.5以上のガラス繊維を組み合わせたポリアミド組成物においては、耐熱エージング性の向上効果が確認されたが、それ以外のポリアミドを用いた比較例8と比較例11を対比すると、扁平率が1.5以上のガラス繊維を組み合わせた比較例8においても、耐熱エージング性の向上効果は得られないことが分かった。
<実施例11〜18、比較例12〜15>
上述した実施例1と同様にして、下記表4に示す割合に従い、上流側供給口より、(A)ポリアミド、(D)核剤をドライブレンドした後に供給し、下流側供給口より(B)繊維状強化材:ガラス繊維(GF)を供給して溶融混練し、ポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を所定の成形体に加工し、引張強度、荷重たわみ温度、シャルピー衝撃強度を測定し、評価した。
物性値を組成と共に下記表4に示す。
上記表4に示す結果から、(B)繊維状強化材として、扁平率が1.5以上のガラス繊維(GF)の添加量は、広い数値範囲で、機械的強度、耐熱性、靭性に優れたポリアミド組成物が得られることが分かった。
実施例11、12と比較例12、実施例15、16と比較例14とをそれぞれ対比することにより、ガラス繊維の添加量が少ない場合においては、扁平率が1.5以上のガラス繊維を用いたことにより、耐熱性の向上効果が著しいことが分かった。
実施例13、14と比較例13、実施例17、18と比較例15とを、それぞれ対比することにより、ガラス繊維の添加量が多い場合においては、扁平率が1.5以上のガラス繊維を用いたことにより、機械的強度と靭性の向上効果が著しいことが分かった。
<実施例19〜26、比較例16>
上述した実施例1と同様にして、下記表5に示す割合に従い、上流側供給口より、(A)ポリアミド、(D)核剤をドライブレンドした後に供給し、下流側供給口より(B)繊維状強化材:ガラス繊維(GF)を供給して溶融混練し、ポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を窒素気流中で乾燥し、水分を500ppm以下にした後、溶融せん断粘度を測定した。
また、所定の成形体に加工し、引張強度、吸水率を測定し、評価した。
物性値と組成を下記表5に示す。
上記表5に示す結果から、脂環族ジカルボン酸を含むポリアミドを使用した実施例19〜26においては、脂環族ジカルボン酸を含まないポリアミドを使用した比較例16との対比により、流動性に優れたものであることを確認した。
また、実施例21と実施例26とを対比すると、(b)ジアミンとして、2−メチルペンタジアミンを選択すると、高い引張強度が得られ、機械的強度に優れていることが分かった。
さらに、上記表2中の実施例2、上記表5中の実施例24、実施例25を対比すると、(a−2)脂肪族ジカルボン酸として、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を選択することにより、流動性及び低吸水性により優れたポリアミド組成物が得られることが分かった。
本発明のポリアミド組成物は、自動車用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、日用及び家庭品用等の各種部品、成形材料として、産業上の利用可能性がある。

Claims (16)

  1. (A) (a)ジカルボン酸と(b)ジアミンとを重合させたポリアミドであって、
    前記(a)ジカルボン酸が、(a−1)脂環族ジカルボン酸を含有し、当該(a−1)
    脂環族ジカルボン酸と、任意で含む(a−2)脂肪族ジカルボン酸とが合計で、前記(a
    )ジカルボン酸中に50モル%を超えて含まれているポリアミドと、
    (B) ガラス繊維であって、繊維の断面の長径をD2、断面の短径をD1とするとき、D2/D1比(以下、扁平率と表す。)が1.5以上であるガラス繊維と、
    を、含有するポリアミド組成物。
  2. 前記(B)ガラス繊維は、扁平率が2.5以上である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
  3. 前記(a)ジカルボン酸中における(a−1)脂環族ジカルボン酸の含有量が、50モ
    ル%以上である請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
  4. 前記(b)ジアミンが、(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含む、請
    求項1乃至のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  5. 前記(b)ジアミン中における前記(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン
    の含有量が、50モル%以上である請求項に記載のポリアミド組成物。
  6. 前記(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが、2−メチルペンタメチレン
    ジアミンである、請求項4又は5に記載のポリアミド組成物。
  7. 前記(a−1)脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、
    請求項1乃至のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  8. 前記(a−2)脂肪族ジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸である、
    請求項1乃至のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  9. 前記(A)ポリアミドが、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸を、さらに共重
    合させたポリアミドである、請求項1乃至のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  10. 前記(A)ポリアミドの融点が270〜350℃である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  11. 前記(A)ポリアミド中における前記(a−1)脂環族ジカルボン酸構造のトランス異
    性体比率が50〜85モル%である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  12. 前記(A)ポリアミド100質量部に対して、
    前記(B)ガラス繊維1〜200質量部を含有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  13. (C)フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、アミン系熱安定剤、周期律表の第Ib
    族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属
    塩、並びにアルカリ金属のハロゲン化物、及びアルカリ土類金属のハロゲン化物、よりな
    る群から選ばれる1種以上の熱安定剤をさらに含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  14. 前記(C)熱安定剤が、銅塩と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物と
    の混合物である、請求項13に記載のポリアミド組成物。
  15. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載のポリアミド組成物を成形した成形体。
  16. 厚さ1mm未満の部位を有し、成形後、加熱処理が施されている請求項15に記載の成形体。
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