JP2022044221A - ポリアミド及びポリアミド組成物 - Google Patents

ポリアミド及びポリアミド組成物 Download PDF

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Ryosuke Umemura
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真次 家田
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Abstract

【課題】熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC性に優れるポリアミド及び前記ポリアミドを含むポリアミド組成物を提供する。【解決手段】ポリアミドは、テレフタル酸単位と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位とを含むジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位を含むジアミン単位と、を有し、全ジカルボン酸単位に対する、前記テレフタル酸単位の含有率が55モル%以上85モル%以下であり、前記1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有率が15モル%以上45モル%以下である。ポリアミド組成物は、前記ポリアミドと、無機充填材とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド及びポリアミド組成物に関する。
環境に対する取り組みとして、例えば自動車産業においては、排出ガス低減化を図るために、金属代替材料による車体軽量化の要求がある。この要求に応えるために、外装材料や内装材料等としてポリアミド材料が多く用いられるようになっており、ポリアミド材料に対する耐熱性、強度及び外観等の要求特性のレベルは一層向上している。特にエンジンルーム内の温度は上昇傾向にあるため、ポリアミド材料に対する高耐熱化の要求が強まっている。
また、家電等の電気及び電子産業においては、表面実装(SMT)ハンダの鉛フリー化に対応するべく、ハンダの融点上昇に耐えられる、高耐熱性を有するポリアミド材料が要求されている。
このような耐熱性の観点から高融点ポリアミドが提案されており、例えば、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとを重合してなるポリアミド(以下、「PA6T」ともいう)が知られている。PA6Tは、低吸水性、高耐熱性、及び高耐薬品性という特性を有しているものの、融点が370℃程度という高融点ポリアミドであるため、溶融成形により成形品を得ようとしても、ポリアミドの熱分解が激しく起こり、充分な特性を有する成形品を得ることが難しい。
PA6Tの熱分解に関する問題点を解決するために、PA6Tにポリアミド6及びポリアミド66(以下、それぞれ「PA6」、「PA66」ともいう)等の脂肪族ポリアミドや、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとからなる非晶性芳香族ポリアミド(以下、「PA6I」ともいう)等を共重合させ、融点を220~340℃程度にまで低融点化した高融点半芳香族ポリアミド(以下、「PA6T共重合体」ともいう)等が提案されている。
このようなPA6T共重合体として、特許文献1には、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとを重合してなり、脂肪族ジアミンがヘキサメチレンジアミン及び2-メチルペンタメチレンジアミンの混合物である芳香族ポリアミド(以下、「PA6T/2MPDT」ともいう)が開示されている。
脂環族ジカルボン酸単位と脂肪族ジアミン単位とからなる脂環族ポリアミドとして、例えば、特許文献2や3には、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位とヘキサメチレンジアミン単位とからなる脂環族ポリアミド(以下、「PA6C」ともいう)と他のポリアミドとの半脂環族ポリアミド(以下、「PA6C共重合体」ともいう)が開示されている。
特許文献4には、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位を含むジカルボン酸単位と2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を含むジアミン単位とからなるポリアミドが、耐光性、靭性、成形性、軽量性、及び耐熱性等に優れていることが開示されている。
特許文献5には、全カルボン酸成分中、トランス体/シス体がモル比にして50/50~97/3である1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を10~80モル%含有するジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とを熱重縮合して得られるポリアミドが記載されている。原料モノマーのトランス体/シス体の比率を所定の範囲としたポリアミドは、靭性、耐薬品性に優れるとともに、成形性に優れることが記載されている。
特表平6-503590号公報 特表平11-512476号公報 特表2001-514695号公報 特開平9-12868号公報 国際公開第2002/048239号
ポリアミド材料に対する耐熱性及び強度等の要求特性のレベルは一層向上しており、より高いレベルでの物性(特に熱時環境下や湿度環境下)を達成するためは、ポリアミドの更なる改良が求められている。
しかしながら、特許文献1に記載されたようなPA6T/2MPDTは、従来のPA6T共重合体の問題点を一部改善することができるものの、流動性、成形性、靭性、成形品表面外観及び耐光性の面での改善水準は不充分である。
特許文献2や3に開示されているPA6C、PA6C共重合体も吸水率が高く、流動性が不充分である等の問題がある。
特許文献4に記載されたポリアミドも、靭性、強度及び流動性の面での改善が不充分であり、特許文献5に記載されたポリアミドは熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC(Long Life Coolant)性が不十分である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC性に優れるポリアミド及び前記ポリアミドを含むポリアミド組成物を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) テレフタル酸単位と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位とを含むジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位を含むジアミン単位と、を有し、
全ジカルボン酸単位に対する、前記テレフタル酸単位の含有率が55モル%以上85モル%以下であり、前記1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有率が15モル%以上45モル%以下である、ポリアミド。
(2) 全ジカルボン酸単位に対する、前記テレフタル酸単位及び前記1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の合計含有率が90モル%以上100モル%以下である、(1)に記載のポリアミド。
(3) ISO-11357-3に準じた示差走査熱量測定において、
20℃/minで昇温したときに得られる融解ピーク温度Tm2が340℃以上360℃以下であり、
20℃/minで降温したときに得られる結晶化エンタルピーΔHcが35J/g以上60J/g以下であり、且つ、
ガラス転移温度Tgが130℃以上160℃以下である、(1)又は(2)に記載のポリアミド。
(4) 数平均分子量が5000以上20000以下である、(1)~(3)のいずれか一つに記載のポリアミド。
(5) (1)~(4)のいずれか一つに記載のポリアミドと、無機充填材とを含む、ポリアミド組成物。
上記態様のポリアミドによれば、熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC性に優れるポリアミドを提供することができる。上記態様のポリアミド組成物は、前記ポリアミドを含み、熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
なお、本明細書中、ポリアミドとは主鎖中にアミド結合(-NHCO-)を有する重合体を意味する。
≪ポリアミド≫
本実施形態のポリアミドは、テレフタル酸単位と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位とを含むジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位を含むジアミン単位と、を有する。
全ジカルボン酸単位に対する、前記テレフタル酸単位の含有率が55モル%以上85モル%以下であり、60モル%以上80モル%以下であることが好ましく、65モル%以上75モル%以下であることがより好ましい。テレフタル酸単位の含有率が上記上限値以下であることで、ガラス転移温度Tgを高く保つことができ、熱時強度、熱時剛性、及び耐衝撃性に優れる傾向がみられる。
全ジカルボン酸単位に対する、前記1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有率が15モル%以上45モル%以下であり、20モル%以上40モル%以下であることが好ましく、25モル%以上35モル%以下であることがより好ましい。1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有率が上記下限値以上であることで、ガラス転移温度Tgを高く保つことができ、熱時強度、熱時剛性、及び耐衝撃性に優れる傾向がみられる。
本実施形態のポリアミドは、上記構成を有することで、熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC性に優れる。
本実施形態のポリアミドは、(a)ジカルボン酸単位と(b)脂肪族ジアミン単位とを有し、以下に説明するポリアミドの構成単位からなり、且つ以下に説明する製造方法によって得ることができる。
以下、ポリアミドの構成単位について詳細に説明する。
<(a)ジカルボン酸単位>
本実施形態のポリアミドは、(a)ジカルボン酸単位として、少なくとも(a-1)テレフタル酸単位と(a-2)1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位を含む。全ジカルボン酸単位に対する、(a-1)テレフタル酸単位の含有率及び(a-2)1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有率はそれぞれ上述した範囲内である。
また、本実施形態のポリアミドは、より優れた熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC性を得る観点から、全ジカルボン酸単位に対する、テレフタル酸単位及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の合計含有率が、90モル%以上100モル%以下であることが好ましく、95モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、98モル%以上100モル%以下であることがより好ましい。
本実施形態のポリアミドは、その効果を損なわない範囲で、ジカルボン酸単位として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位及びテレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位を含有することができる。その他のジカルボン酸単位としては、芳香族ジカルボン酸単位、脂環族ジカルボン酸単位、脂肪族ジカルボン酸単位が挙げられ、芳香族ジカルボン酸単位、又は脂環族ジカルボン酸単位が好ましい。
[(a-3)芳香族ジカルボン酸単位]
(a-3)芳香族ジカルボン酸単位としては、テレフタル酸単位以外の芳香族ジカルボン酸単位であれば特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環骨格、ナフタレン環骨格を有するジカルボン酸単位が挙げられる。芳香族部位は無置換でも置換基を有していてもよい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数6以上10以下のアリール基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、クロロ基及びブロモ基等のハロゲン基、炭素数1以上6以下のシリル基、並びにスルホン酸基及びその塩(ナトリウム塩等)等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸単位を構成する芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等の無置換又は所定の置換基で置換された炭素数8以上20以下の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
(a)ジカルボン酸単位を構成する芳香族ジカルボン酸は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(a-4)脂環族ジカルボン酸単位
(a-4)脂環族ジカルボン酸単位としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位以外の脂環族ジカルボン酸単位であれば特に限定されるものではないが、例えば、脂環構造の炭素数が3以上12以下の脂環族ジカルボン酸単位が挙げられ、脂環構造の炭素数が5以上12以下の脂環族ジカルボン酸単位が好ましい。
このような(a-4)脂環族ジカルボン酸単位を構成する脂環族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸及び1,3-シクロペンタンジカルボン酸等が挙げられる。
(a-4)脂環族ジカルボン酸単位の脂環族基は、無置換でも置換基を有していてもよい。
この置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基の炭素数1以上4以下のアルキル基等が挙げられる。
(a-4)脂環族ジカルボン酸単位には、トランス体とシス体の幾何異性体が存在する。(a-4)脂環族ジカルボン酸単位を構成する脂環族ジカルボン酸としては、トランス体とシス体とのどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体とを所定の比率で含む混合物として用いてもよい。
(a)ジカルボン酸単位を構成する脂環族ジカルボン酸は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(a-5)脂肪族ジカルボン酸単位
(a-5)脂肪族ジカルボン酸単位を構成する脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸、分岐鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸等が挙げられる。
分岐鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルマロン酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸等が挙げられる。
これら(a)ジカルボン酸単位を構成する脂肪族ジカルボン酸は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、ポリアミドの流動性、靭性、耐熱性、及び、剛性等がより優れる傾向にあるので、(a-5)脂肪族ジカルボン酸単位を構成する脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数6以上の直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
好ましい炭素数6以上の直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸として具体的には、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。
中でも、炭素数6以上の直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、ポリアミドの耐熱性等の観点で、アジピン酸、セバシン酸又はドデカン二酸が好ましい。
また、本実施形態のポリアミドは、その効果を損なわない範囲で、必要に応じて、3価以上の多価カルボン酸に由来する単位をさらに含んでもよい。3価以上の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これら3価以上の多価カルボン酸は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<(b)ジアミン単位>
本実施形態のポリアミドは、(b)ジアミン単位として、少なくとも(b-1)脂肪族ジアミンを含む。全ジアミン単位に対する、(b-1)脂肪族ジアミンの含有率は、50モル%以上100モル%以下であることが好ましく、60モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、80モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
全ジアミン単位に対する、(b-1)脂肪族ジアミンの含有率が、上記範囲であることにより、よりガラス転移温度Tgが高く、結晶性が高く(すなわち、ΔHcが高い)、さらに流動性、靭性、及び剛性により優れるポリアミドとなる傾向にある。
(b-1)脂肪族ジアミン単位
(b-1)脂肪族ジアミン単位を構成する脂肪族ジアミンとしては、例えば、直鎖状飽和脂肪族ジアミン、及び分岐鎖状飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。
直鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン等が挙げられる。
分岐鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、2-メチルペンタメチレンジアミン(2-メチル-1,5-ジアミノペンタンともいう。)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン(2-メチルオクタメチレンジアミンともいう。)、および2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン等が挙げられる。
これら(b-1)脂肪族ジアミン単位を構成する脂肪族ジアミンは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(b-1)脂肪族ジアミン単位を構成する脂肪族ジアミンの炭素数は6が好ましく、当該脂肪族ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミンがより好ましい。(b-1)脂肪族ジアミン単位を構成する脂肪族ジアミンの炭素数が6であることにより、得られる成形品の耐熱性、結晶性及び離形性が優れる。
本実施形態のポリアミドは、その効果を損なわない範囲で、ジアミン単位中、脂肪族ジアミン単位以外のジアミン単位を含有することができる。その他のジアミン単位としては、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン単位が挙げられる。
(b-2)脂環族ジアミン単位
(b-2)脂環族ジアミン単位を構成する脂環族ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、及び1,3-シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
(b-3)芳香族ジアミン単位
(b-3)芳香族ジアミン単位を構成する芳香族ジアミンとしては、例えば、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
なお、本実施形態のポリアミドは、その効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ビスヘキサメチレントリアミン等の3価以上の多価アミンに由来する単位をさらに含んでもよい。
3価以上の多価アミンは、1種のみ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<(c)ラクタム単位及び/又はアミノカルボン酸単位>
本実施形態のポリアミドは、その目的を損なわない範囲で、上述した(a)ジカルボン酸単位及び(b)ジアミン単位の他に、(c)ラクタム単位及び/又はアミノカルボン酸単位をさらに含有することができる。
このような単位を含むことにより、靭性により優れるポリアミドが得られる傾向にある。なお、ここでラクタム単位及びアミノカルボン酸単位を構成するラクタム及びアミノカルボン酸とは、重合又は縮合重合可能なラクタム及びアミノカルボン酸をいう。
(c)ラクタム単位及び/又はアミノカルボン酸単位を構成するラクタム及びアミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数が4以上14以下のラクタム及びアミノカルボン酸が好ましく、炭素数6以上12以下のラクタム及びアミノカルボン酸がより好ましい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε-カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタム(ドデカノラクタム)等が挙げられる。
中でも、ラクタムとしては、ε-カプロラクタム、又はラウロラクタムが好ましく、ε-カプロラクタムがより好ましい。このようなラクタムを含むことにより、靭性により優れるポリアミドとなる傾向にある。
アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムが開環した化合物であるω-アミノカルボン酸やα,ω-アミノ酸等が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4以上14以下の直鎖状又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。このようなアミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。また、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸等も挙げられる。
(c)ラクタム単位及び/又はアミノカルボン酸単位を構成するラクタム及びアミノカルボン酸は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)ラクタム単位及び/又はアミノカルボン酸単位の合計割合(モル%)は、ポリアミド全体に対して、0モル%以上20モル%以下であることが好ましく、0モル%以上10モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上5モル%以下であることがさらに好ましい。
(c)ラクタム単位及び/又はアミノカルボン酸単位の合計割合が上記範囲であることにより、本実施形態の効果を損なわず、流動性の向上等の効果が得られる傾向にある。
<末端封止剤>
本実施形態のポリアミドの末端は、公知の末端封止剤により末端封止されていてもよい。
このような末端封止剤は、上述したジカルボン酸とジアミンと、必要に応じて用いるラクタム及び/又はアミノカルボン酸とから、ポリアミドを製造する際に、分子量調節剤としても添加することができる。
末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等が挙げられる。
この中でも、モノカルボン酸、又はモノアミンが好ましい。ポリアミドの末端が末端封止剤で封止されていることにより、熱安定性により優れるポリアミドとなる傾向にある。末端封止剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、ポリアミドの末端に存在し得るアミノ基との反応性を有するものであればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。中でも、酢酸が特に好ましい。
モノカルボン酸は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、ポリアミドの末端に存在し得るカルボキシ基との反応性を有するものであればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環族モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン等が挙げられる。
モノアミンは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤により末端封止されたポリアミドを含有するポリアミド組成物は、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性に優れている傾向にある。
<ポリマー末端>
本実施形態のポリアミドのポリマー末端としては、特に限定されないが、以下のように分類され、定義することができる。
すなわち、1)アミノ末端、2)カルボキシ末端、3)封止剤による末端、4)その他の末端である。
1)アミノ末端は、アミノ基(-NH基)を有するポリマー末端であり、原料の(b)ジアミン単位に由来する。
アミノ末端量([NH])は、ポリアミド1gに対して、5μモル当量/g以上100μモル当量/g以下であることが好ましく、10μモル当量/g以上70μモル当量/g以下であることがより好ましく、20μモル当量/g以上50μモル当量/g以下であることがさらに好ましく、25μモル当量/g以上40μモル当量/g以下であることが特に好ましい。
アミノ末端量が上記の範囲であることにより、ポリアミドの白色度、耐リフロー性、耐熱変色性、耐光変色性、耐加水分解性、及び熱滞留安定性がより優れる傾向にある。アミノ末端量は、中和滴定により測定することができる。具体的には、ポリアミド3.0gを90質量%フェノール水溶液100mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.025Nの塩酸で滴定を行い、アミノ末端量(μモル当量/g)を求める。終点はpH計の指示値から決定する。
2)カルボキシ末端は、カルボキシ基(-COOH基)を有するポリマー末端であり、原料の(a)ジカルボン酸に由来する。
カルボキシ末端量([COOH])は、ポリアミド1gに対して、5μモル当量/g以上150μモル当量/g以下であることが好ましく、10μモル当量/g以上140μモル当量/g以下であることがより好ましく、20μモル当量/g以上130μモル当量/g以下であることがさらに好ましく、30μモル当量/g以上120μモル当量/g以下であることが特に好ましく、40μモル当量/g以上110μモル当量/g以下であることが最も好ましい。カルボキシ末端量が上記の範囲であることにより、ポリアミドの白色度、耐リフロー性、耐熱変色性、及び耐光変色性がより優れる傾向にある。カルボキシ末端量は、中和滴定により測定することができる。具体的には、ポリアミド4.0gをベンジルアルコール50mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.1NのNaOHで滴定を行い、カルボキシ末端量(μモル当量/g)を求める。終点はフェノールフタレイン指示薬の変色から決定する。
アミノ末端の量とカルボキシ末端の量が上記の範囲であることにより、ポリアミドの耐熱変色性、及び耐光変色性がより優れる傾向にある。
活性末端合計量に対するアミノ末端量の比を制御する方法としては、例えば、ポリアミドの熱溶融重合時の添加物としてのジアミン及び末端封止剤の添加量、並びに重合条件を制御する方法が挙げられる。
3)封止剤による末端は、重合時に封止剤を添加した場合に形成される末端である。封止剤としては、上述した末端封止剤が挙げられる。
4)その他の末端は、上述した1)~3)に分類されないポリマー末端であり、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端や、カルボン酸末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
<ポリアミドの物性>
次に、本実施形態のポリアミドの物性について説明する。
なお、本実施形態のポリアミドの物性は、必要に応じて他の添加物と溶融混練してポリアミド組成物とした後であっても、もとのポリアミドの物性を維持しており、同等の測定値を有しており、後述する実施例に記載のポリアミドの物性の測定方法により各物性を測定することによって、ポリアミド組成物の中に含まれるポリアミドの物性を特定することが可能である。
なお、ポリアミド組成物の融解熱量と結晶化エンタルピーを決定する際に、無機充填材や造核剤、潤滑剤、安定剤等を含む場合には、上記熱量の値はポリアミド組成物に対するポリアミドの割合で換算し算出する。
[融解ピーク温度Tm1,Tm2]
ポリアミドの融解ピーク温度Tm1の下限値は、340℃であることが好ましく、345℃であることがより好ましい。一方、ポリアミドの融解ピーク温度Tm1の上限値は、380℃であることが好ましく、370℃であることがより好ましく、360℃であることがさらに好ましい。
すなわち、ポリアミドの融解ピーク温度Tm1は、340℃以上380℃以下であることが好ましく、340℃以上370℃以下であることがより好ましく、345℃以上360℃以下であることがさらに好ましい。
ポリアミドの融解ピーク温度Tm1が上記下限値以上であることにより、耐熱性により優れるポリアミドを得ることができる傾向にある。
また、ポリアミドの融解ピーク温度Tm1が上記上限値以下であることにより、押出、成形等の溶融加工におけるポリアミドの熱分解等をより抑制することができる傾向にある。
ポリアミドの融解ピーク温度Tm2の下限値は、340℃であることが好ましく、345℃であることがより好ましい。一方、ポリアミドの融解ピーク温度Tm2の上限値は、380℃であることが好ましく、370℃であることがより好ましく、360℃であることがさらに好ましく、355℃であることが特に好ましい。
すなわち、ポリアミドの融解ピーク温度Tm2は、340℃以上380℃以下であることが好ましく、340℃以上370℃以下であることがより好ましく、340℃以上360℃以下であることがさらに好ましく、345℃以上355℃以下であることが特に好ましい。
ポリアミドの融解ピーク温度Tm2が上記下限値以上であることにより、耐熱性により優れるポリアミドを得ることができる傾向にある。
また、ポリアミドの融解ピーク温度Tm2が上記上限値以下であることにより、押出、成形等の溶融加工におけるポリアミドの熱分解等をより抑制することができる傾向にある。
ポリアミドの融解ピーク温度Tm1は、後述の実施例に記載の方法により、ISO-11357-3に準じて測定することができる。
また、ポリアミドの融解ピーク温度Tm2は次のようにして測定することができる。1回目の昇温後、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したとき(2回目の昇温時)に現れる吸熱ピークのもっとも高温側に現れた吸熱ピーク温度がポリアミド自体の融解ピーク温度Tm2である。
ポリアミドの融解ピーク温度Tm2の測定は、下記実施例でも記載しているようにISO-11357-3に準じて行うことができる。融解ピーク温度及び融解熱量の測定装置としては、例えば、PERKIN-ELMER社製Diamond-DSC等が挙げられる。
<結晶化エンタルピーΔHc>
ポリアミドの結晶化エンタルピーΔHcは、35J/g以上60J/g以下であることが好ましく、37J/g以上55J/g以下であることがより好ましく、40J/g以上45J/g以下であることがさらに好ましい。
ポリアミドの結晶化エンタルピーΔHcが上記下限値以上であることにより、ポリアミドの耐熱性がより向上する傾向にある。
ポリアミドの結晶化エンタルピーΔHcは、ISO-11357-3に準じて行うことができる。また、結晶化エンタルピーΔHcはポリアミドを降温速度20℃/minで降温したときに現れる発熱ピーク(結晶化ピーク)の温度を結晶化ピーク温度Tc(℃)としたときの、Tcのピーク面積である。測定装置としては、下記実施例でも記載しているように、PERKIN-ELMER社製Diamond-DSCを用いることができる。
<ガラス転移温度Tg>
ポリアミドのガラス転移温度Tgの下限値は、130℃であることが好ましく、135℃であることがより好ましく、140℃であることがさらに好ましい。一方、ポリアミドのガラス転移温度Tgの上限値は、160℃であることが好ましく、155℃であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。
すなわち、ポリアミドのガラス転移温度Tgは、130℃以上160℃以下であることが好ましく、135℃以上155℃以下であることがより好ましく、140℃以上150℃以下であることがさらに好ましい。
ポリアミドのガラス転移温度Tgが上記下限値以上であることにより、耐熱変色性や耐薬品性に優れるポリアミドを得ることができる傾向にある。また、ポリアミドのガラス転移温度Tgが上記上限値以下であることにより、外観のよい成形品を得ることができる傾向にある。
ポリアミドのガラス転移温度Tgは、下記実施例に記載するように、ISO-11357-3に準じて測定することができる。
ガラス転移温度Tgの測定装置としては、例えば、PERKIN-ELMER社製Diamond-DSC等が挙げられる。
すなわち、本実施形態のポリアミドは、ISO-11357-3に準じた示差走査熱量測定において、
20℃/minで昇温したときに得られる融解ピーク温度Tm2が340℃以上360℃以下であり、
20℃/minで降温したときに得られる結晶化エンタルピーΔHcが35J/g以上60J/g以下であり、
ガラス転移温度Tgが130℃以上160℃以下であることが好ましい。
[分子量]
ポリアミドの分子量の指標としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で得られる数平均分子量Mnと重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mnを利用できる。Mnが大きいほどポリアミドの分子量が高く、小さいほどポリアミドの分子量が低い。
ポリアミドの数平均分子量Mnは、5000以上20000以下であることが好ましく、6000以上15000以下であることがより好ましく、7000以上8000以下であることがさらに好ましい。
また、ポリアミドの分子量分布を示すMw/Mnは、3.5未満であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。
数平均分子量Mnと分子量分布Mw/Mnが上記範囲であることにより、靭性及び剛性等の機械物性並びに成形性等により優れるポリアミドとなる傾向にある。
なお、MnとMwはPMMA(ポリメチルメタクリレート)標準サンプル(ポリマーラボラトリー社製)換算で測定した数平均分子量Mnを用いて、検量線を作製し、ポリアミドの分子量を求めることができる。より具体的には、下記実施例に記載する方法により測定することができる。
<ポリアミドの製造方法>
次に、本実施形態のポリアミドを得るための製造方法について説明する。
本実施形態のポリアミドを製造する際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は0.9以上1.2以下が好ましく、0.95以上1.1以下がより好ましく、0.98以上1.05以下がさらに好ましい。
ポリアミドの製造方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、以下の(1)又は(2)の重合工程を含む。
(1)ジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸と、ジアミン単位を構成するジアミンとの組み合わせを重合して重合体を得る工程。
(2)ラクタム単位を構成するラクタム、及び、アミノカルボン酸単位を構成するアミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上を重合して重合体を得る工程。
また、ポリアミドの製造方法としては、前記重合工程の後に、ポリアミドの重合度を上昇させる上昇工程を、更に含むことが好ましい。また、必要に応じて、前記重合工程及び前記上昇工程の後に、得られた重合体の末端を末端封止剤により封止する封止工程を含んでいてもよい。
ポリアミドの具体的な製造方法としては、例えば、以下の1)~4)に例示するように種々の方法が挙げられる。
1)ジカルボン酸-ジアミン塩、ジカルボン酸とジアミンとの混合物、ラクタム、及び、アミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上の水溶液又は水懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と称する場合がある)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と称する場合がある)。
3)ジカルボン酸-ジアミン塩、ジカルボン酸とジアミンとの混合物、ラクタム、及び、アミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と称する場合がある)。
4)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分と、ジアミン成分とを用いて重合させる方法(以下、「溶液法」と称する場合がある)。
中でも、ポリアミドの具体的な製造方法としては、固相重合法を含む製造方法が好ましい。また、固相重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、固相状態を保持することが好ましい。固相状態を保持するためには、ポリアミドに適した重合条件で製造することが必要となる。重合条件としては、例えば、以下に示す条件等が挙げられる。まず、固相重合法における重合圧力を10kg/cm以上25kg/cm以下(ゲージ圧)に制御し、加熱を続ける。次いで、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm)になるまで30分間以上かけながら降圧する。
ポリアミドの製造方法において、重合形態としては、特に限定されず、バッチ式でもよく、連続式でもよい。
ポリアミドの製造に用いる重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置を用いることができる。重合装置として具体的には、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、押出機型反応器(ニーダー等)等が挙げられる。
以下、ポリアミドの製造方法として、バッチ式の固相重合法によりポリアミドを製造する方法を具体的に示すが、ポリアミドの製造方法は、これに限定されない。
まず、ポリアミドの原料成分(ジカルボン酸とジアミンとの組み合わせ、並びに、必要に応じて、ラクタム及びアミノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種)を、約40質量%以上60質量%以下含有する水溶液を調製する。次いで、当該水溶液を110℃以上180℃以下の温度、及び。約0.035MPa以上0.6MPa以下(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65質量%以上90質量%以下に濃縮して濃縮溶液を得る。
次いで、得られた濃縮溶液をオートクレーブに移し、オートクレーブにおける圧力が約0.8MPa以上1.5MPa以下(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。
次いで、オートクレーブにおいて、水及びガス成分のうち少なくともいずれかを抜きながら圧力を約0.8MPa以上1.5MPa以下(ゲージ圧)に保つ。次いで、温度が約220℃以上260℃以下に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。オートクレーブ内の圧力を大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。
次いで、オートクレーブを窒素等の不活性ガスで加圧し、オートクレーブからポリアミドを紛体として排出する。
ポリアミドの製造方法は、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。また、必要に応じて、得られた重合体の末端を末端封止剤により封止する封止工程を含んでいてもよい。
≪ポリアミド組成物≫
上述したポリアミドは、ポリアミドと無機充填材とを含むポリアミド組成物とすることができる。本実施形態のポリアミド組成物は、無機充填材を含有することにより、耐熱性、熱時安定性に優れ、かつ高い融点を有する。
以下、ポリアミド組成物に含まれる各種構成成分について説明する。
<無機充填材>
無機充填材としては、特に限定されるものではなく、公知の材料を用いることができる。
例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、クレー、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、窒化珪素、アパタイト等が挙げられる。
無機充填材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材のうち、ガラス繊維や炭素繊維は、断面が真円状でも扁平状でもよい。
扁平状の断面としては、例えば、長方形、長方形に近い長円形、楕円形、長手方向の中央部がくびれた繭型等が挙げられる。
ガラス繊維や炭素繊維の中でも、優れた機械物性をポリアミド組成物に付与する観点から、ポリアミド組成物中において、数平均繊維径が3μm以上30μm以下であり、且つ、数平均繊維径(D)に対する重量平均繊維長(L)のアスペクト比(L/D)が10以上100以下であるガラス繊維又は炭素繊維が好ましく用いられる。
ポリアミド組成物を構成する無機充填材としてウォラストナイトを用いる場合、ポリアミド組成物中において、数平均繊維径が3μm以上30μm以下であり、重量平均繊維長が10μm以上500μm以下であり、且つ、アスペクト比(L/D)が3以上100以下であるものが好ましく用いられる。
無機充填材としては、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素等を用いる場合、ポリアミド組成物中において、数平均繊維径が0.1μm以上3μm以下であるものが好ましい。
無機充填材としては、機械的強度、剛性及び成形性の向上の観点から、重量平均繊維長が1mm以上15mm以下である強化繊維が好ましく、3mm以上mm以下である強化繊維がより好ましい。
なお、強化繊維の重量平均繊維長は、ポリアミド組成物のポリアミドのみ燃焼又は溶解させて除去した後、光学顕微鏡を用いて観察し、画像解析装置を用いて任意に選択した強化繊維400本の長さを測定し、平均値を算出することにより求められる。
ここで、強化繊維一本一本の長さを、それぞれL1、L2、・・・、L400としたとき、一本ごとの重量平均繊維長の算出式は下記式で表される。なお、下記式中、「i」は、1から400までの整数をとる。
(重量平均繊維長) = Σ(Li)/ΣLi
なお、重量平均繊維長は、本実施形態のポリアミド組成物に含有されている状態の強化繊維に対して適用される値である。すなわち、ポリアミドに配合する前の段階の強化繊維の重量平均繊維長については上記に限定されない。
強化繊維の材料としては、一般的にポリアミドに使用される強化繊維であれば特に制限はない。
例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、金属繊維(例:ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維等)等の無機系のものや、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ジアミノジフェニルエーテルとテレフタル酸又はイソフタル酸からの縮合物から得られる繊維等の全芳香族ポリアミド繊維、或いは、全芳香族液晶ポリエステル繊維等の有機系のものが挙げられる。
強化繊維としては、上記材料を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、機械的強度及び剛性の向上の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、及び金属繊維から選ばれる1種以上であることが好ましく、ガラス繊維及び/又は炭素繊維がより好ましい。
強化繊維は、単繊維における数平均繊維径に関して特に限定されるものではないが、例えば、直径5μm以上25μm以下のものが一般的に使用される。
なお、単繊維の数平均繊維径は、使用する強化繊維を光学顕微鏡下で観察し、画像解析装置を用いて任意に選んだ400本の繊維径を測定したときの平均値を算出することにより求められる。
また、強化繊維としては、単繊維を集束した連続繊維であるロービングを用いることが好ましい。
(表面処理剤)
ガラス繊維や炭素繊維等の無機充填材は、シランカップリング剤等の表面処理剤により表面処理されていてもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類等が挙げられる。中でも、アミノシラン類が好ましい。
シランカップリング剤としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(集束剤)
ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状の無機充填材は、さらに集束剤として、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリウレタン樹脂、並びにアクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、及びこれらの第一級、第二級、又は第三級アミンとの塩等を含んでもよい。
中でも、ポリアミド組成物の機械物性(中でも、強度)の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体(カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体)、エポキシ化合物、又はポリウレタン樹脂が好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、又はポリウレタン樹脂がより好ましい。
集束剤としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体を構成するカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、無水マレイン酸が好ましい。
また、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体を構成する不飽和ビニル単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3-ジクロロブタジエン、1,3-ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、及びエチルメタクリレート等が挙げられ、スチレン及びブタジエンが好ましい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体としては、無水マレイン酸とブタジエンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレンとの共重合体、又は無水マレイン酸とスチレンとの共重合体が好ましい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体は、重量平均分子量が、2,000以上であることが好ましく、ポリアミド組成物の流動性向上の観点から、2,000以上1,000,000以下であることがより好ましく、2,000以上1,000,000以下であることがさらに好ましい。
重量平均分子量は、GPCにより測定することができる。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイド、ペンテンオキサイド、ヘキセンオキサイド、ヘプテンオキサイド、オクテンオキサイド、ノネンオキサイド、デセンオキサイド、ウンデセンオキサイド、ドデセンオキサイド、ペンタデセンオキサイド、エイコセンオキサイド等の脂肪族エポキシ化合物;グリシドール、エポキシペンタノール、1-クロロ-3,4-エポキシブタン、1-クロロ-2-メチル-3,4-エポキシブタン、1,4-ジクロロ-2,3-エポキシブタン、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、メチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド、エポキシ化シクロヘキセンメチルアルコール等の脂環族エポキシ化合物;ピネンオキサイド等のテルペン系エポキシ化合物;スチレンオキサイド、p-クロロスチレンオキサイド、m-クロロスチレンオキサイド等の芳香族エポキシ化合物;エポキシ化大豆油;エポキシ化亜麻仁油等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂は、特に限定されるものではなく、集束剤として一般的に用いられるものを用いることができる。例えば、m-キシリレンジイソシアナート(XDI)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)等のイソシアネートと、ポリエステル系及びポリエーテル系のジオールと、から合成されるものが好適に使用できる。
アクリル酸のホモポリマー(ポリアクリル酸)としては、重量平均分子量が、1,000以上90,000以下であることが好ましく、1,000以上25,000以下であることがより好ましい。
ポリアクリル酸は、第一級、第二級、又は第三級のアミンとの塩形態であってもよい。
アミンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、グリシン等が挙げられる。
塩形態を有することによるポリアクリル酸の中和度は、ポリアクリル酸のアクリル酸成分のうち、塩を形成しているアクリル酸成分の割合を意味し、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上の観点や、アミン臭低減の観点から、20モル%以上90モル%以下であることが好ましく、40モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
塩形態のポリアクリル酸の重量平均分子量は、ガラス繊維や炭素繊維の集束性向上の観点から、3,000以上であることが好ましく、一方、ポリアミド組成物の機械物性向上の観点から、50,000以下であることが好ましい。すなわち、塩形態のポリアクリル酸の重量平均分子量は、3,000以上50,000以下であることが好ましい。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーにおけるその他共重合性モノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、水酸基及び/又はカルボキシ基を有するモノマーである、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられる。その他共重合性モノマーとしては、水酸基及び/又はカルボキシ基を有するモノマーのエステルであるモノマーを好適に用いることができる。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーの重量平均分子量は、1,000以上90,000以下であることが好ましく、1,000以上25,000以下であることがより好ましい。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーは、第一級、第二級、又は第三級のアミンとの塩形態であってもよい。
アミンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、及びグリシン等が挙げられる。
塩形態を有することによるコポリマーの中和度は、コポリマーの酸成分のうち、塩を形成している酸成分の割合を意味し、他の併用薬剤(シランカップリング剤など)との混合溶液の安定性向上の観点や、アミン臭低減の観点から、20モル%以上90モル%以下であることが好ましく、40モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
塩形態のコポリマーの重量平均分子量は、ガラス繊維や炭素繊維の集束性向上の観点から、3,000以上であることが好ましく、一方、ポリアミド組成物の機械物性向上の観点から、50,000以下であることが好ましい。すなわち、塩形態のポリアクリル酸の重量平均分子量は、3,000以上50,000以下であることが好ましい。
集束剤を含むガラス繊維や炭素繊維等の繊維状の無機充填材は、上記集束剤を、公知のガラス繊維や炭素繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状の無機充填材に付与して製造した繊維ストランドを乾燥することによって連続的に反応させて得られる。
繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
集束剤は、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状の無機充填材100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上3質量%以下相当を付与(添加)することが好ましく、0.3質量%以上2質量%以下相当を付与(添加)することがより好ましい。
集束剤の添加量が、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状の無機充填材100質量%に対し、固形分率として上記下限値以上であることで、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状の無機充填材の集束をより効果的に維持することができる。一方、集束剤の添加量が固形分率として上記上限値以下であることで、ポリアミド組成物の熱安定性をより向上させることができる。
また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、ストランドを乾燥した後に切断してもよい。
<熱安定剤及び光安定剤>
本実施形態のポリアミド組成物は、熱安定剤及び光安定剤からなる群より選ばれる1種以上をさらに含んでもよい。本実施形態のポリアミド組成物は、熱安定剤及び光安定剤からなる群より選ばれる1種以上をさらに含有することにより、ポリアミドの性質を損なうことなく、ポリアミド組成物としても、耐熱性、熱時安定性等を満足しながら、さらに、特に強度、成形加工性に優れたものとなる。
[熱安定剤]
熱安定剤としては、例えば、リン系安定剤(リン系化合物)、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物よりなる群から選択される1種類以上が挙げられる。以下に熱安定剤の具体例を示す。
(リン系安定剤(リン系化合物))
リン系化合物として、有機リン系化合物を挙げることができる。
有機リン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル-テトラ-トリデシル)ジホスファイト、テトラ(C12~C15混合アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4’-イソプロピリデンビス(2-tert-ブチルフェニル)-ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル)ジホスファイト、テトラ(C1~C15混合アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(モノ,ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、9,10-ジ-ヒドロ-9-オキサ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化-4,4’-イソプロピリデンジフェニルポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)-ビス(4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル))・1,6-ヘキサノールジホスファイト、ヘキサトリデシル-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ジホスファイト、トリス(4,4’-イソプロピリデンビス(2-tert-ブチルフェニル))ホスファイト、トリス(1,3-ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2-メチレンビス(3-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスファイト等が挙げられる。
有機リン系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の列挙した有機リン系化合物の中でも、ポリアミド組成物の耐熱エージング性の一層の向上及び発生ガスの低減という観点から、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、又はトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが好ましく、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物がより好ましい。
ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-フェニル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-メチル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-2-エチルヘキシル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-イソデシル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-ラウリル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-イソトリデシル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-ステアリル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-シクロヘキシル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-ベンジル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-エチルセロソルブ-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-ブチルカルビトール-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-オクチルフェニル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-ノニルフェニル-ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-2,6-ジ-tert-ブチルフェニル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-2,4-ジ-tert-オクチルフェニル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-2-シクロヘキシルフェニル-ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6-ジ-tert-アミル-4-メチルフェニル-フェニル-ペンタエリストリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-アミル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-オクチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記で列挙したペンタエリスリトール型ホスファイト化合物の中でも、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-アミル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-オクチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、又はビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
ポリアミド組成物中のリン系化合物の含有量は、ポリアミド組成物100質量%に対して、0.1質量%以上20.0質量%以下であり、0.2質量%以上7.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上2.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であることが特に好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下であることが最も好ましい。
リン系化合物の含有量が上記の範囲内であることにより、ポリアミド組成物は白色度、耐リフロー性、耐熱変色性、押出加工安定性、成形加工安定性に優れる傾向にある。
(フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤)
ポリアミド組成物は、熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤を含有していてもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール系酸化防止剤、中でもヒンダードフェノール化合物は、ポリアミド等の樹脂や繊維に耐熱性や耐光性を付与する性質を有する。
ヒンダードフェノール化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N’-へキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピニロキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等が挙げられる。
中でも、耐熱エージング性向上の観点から、ヒンダードフェノール化合物としては、N,N’-へキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]が好ましい。
なお、上述したフェノール系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド組成物中のフェノール系酸化防止剤の含有量は、ポリアミド組成物100質量%に対して、0質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。
フェノール系酸化防止剤の含有量が上記の範囲内であることにより、ポリアミド組成物は、耐熱エージング性により優れ、発生ガス量のより低いものとなる傾向にある。
アミン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジハイドロキノリン、6-エトキシ-1,2-ジハイドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、フェニル-α-ナフチルアミン、4,4-ビス(α,α-ジメチルデンジル)ジフェニルアミン、(p-トルエンスルフォニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-β-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等の芳香族アミンが挙げられる。
なお、アミン系酸化防止剤には、芳香族アミン系化合物を含む。アミン系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド組成物中のアミン系酸化防止剤の含有量は、ポリアミド組成物100質量%に対して、0質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。
アミン系酸化防止剤の含有量が上記の範囲内であることにより、ポリアミド組成物は、耐熱エージング性により優れ、発生ガス量のより低いものとなる傾向にある。
周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、及び第IVb族の元素の金属塩としては、特に限定されるものではなく、熱安定剤としては、銅塩であることが好ましい。
銅塩としては、特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲン化銅(ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅等)、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅及びステアリン酸銅、並びにエチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤に銅の配位した銅錯塩等が挙げられる。中でも、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅、及び酢酸銅よりなる群から選択される1種以上であることが好ましく、ヨウ化銅及び/又は酢酸銅がより好ましい。中でも、銅塩を用いた場合、耐熱エージング性に優れ、且つ押出時のスクリューやシリンダー部の金属腐食(以下、単に「金属腐食」ともいう)を抑制可能なポリアミド組成物を得ることができる。
上記金属塩は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
銅塩を用いる場合、ポリアミド組成物中の銅塩の配合量は、ポリアミド組成物100質量部に対して、0.01質量部以上0.2質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上0.15質量部以下であることがより好ましい。配合量が上記範囲内である場合、耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を抑制することができる。
また、耐熱エージング性を向上させる観点から、ポリアミド組成物全量に対し、銅元素の含有濃度として、10質量ppm以上500質量ppm以下であることが好ましく、30質量ppm以上500質量ppm以下であることがより好ましく、50質量ppm以上300質量ppm以下であることがさらに好ましい。
ポリアミド組成物に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム及び塩化ナトリウム、並びにこれらの混合物等が挙げられる。中でも、耐熱エージング性の向上及び金属腐食の抑制という観点から、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、又はこれらの混合物が好ましく、ヨウ化カリウムがより好ましい。
上記ハロゲン化物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド組成物の作製にアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いる場合、ポリアミド組成物中のアルカリ及びアルカリ土類金属のハロゲン化物の配合量は、ポリアミド組成物100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上2質量部以下であることがより好ましい。配合量が上記範囲内である場合、耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を抑制することができる。
ポリアミド組成物においては、銅塩とアルカリ及びアルカリ土類金属のハロゲン化物との混合物を熱安定剤として好適に用いることができる。銅塩とアルカリ及びアルカリ土類金属のハロゲン化物との割合は、銅に対するハロゲンのモル比(ハロゲン/銅)が2/1以上40/1以下となるように、ポリアミド組成物に含有させることが好ましく、5/1以上30/1以下となるように、ポリアミド組成物に含有させることがより好ましい。
モル比(ハロゲン/銅)が上記範囲内である場合、ポリアミド組成物の耐熱エージング性を一層向上させることができる。また、モル比(ハロゲン/銅)が上記下限値以上であることで、銅の析出及び金属腐食をより抑制することができる。一方、モル比(ハロゲン/銅)が上記上限値以下であることで、靭性等の機械物性を殆ど損なうことなく、成形機のスクリュー等の腐食をより防止できる。
[光安定剤]
光安定剤は、ポリアミド等の樹脂や繊維に優れた耐熱性及び耐光性を付与する性質を有する。光安定剤としては、アミン系光安定剤等が挙げられる。
アミン系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、4-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(フェニルアセトキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-フェノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(エチルカルバモイルオキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(フェニルカルバモイルオキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)カーボネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)オキサレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)マロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アジペート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)テレフタレート、N,N’-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル-1,3-ベンゼンジカルボキシアミド、1,2-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシ)エタン、α,α’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシ)-p-キシレン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルトリレン-2,4-ジカルバメート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ヘキサメチレン-1,6-ジカルバメート、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシレート、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアジン-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ベンゼン-1,3,4-トリカルボキシレート、1-[2-{3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]-4-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物等が挙げられる。
アミン系光安定剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、アミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)テレフタレート、N,N’-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル-1,3-ベンゼンジカルボキシアミド、又はテトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラートが好ましく、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N’-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル-1,3-ベンゼンジカルボキシアミド、又はテトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラートがより好ましく、N,N’-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル-1,3-ベンゼンジカルボキシアミドがさらに好ましい。
ポリアミド組成物中のアミン系光安定剤の含有量は、ポリアミド組成物100質量%に対して、0質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。アミン系光安定剤の含有量が上記の範囲内であることにより、ポリアミド組成物の光安定性、耐熱エージング性をより一層向上させることができ、さらに発生ガス量をより低減させることができる。
<その他の添加剤>
ポリアミド組成物には、本実施形態の目的を損なわない範囲で、ポリアミドに慣用的に用いられる添加剤、例えば、顔料及び染料等の着色剤(着色マスターバッチ含む)、難燃剤、フィブリル化剤、潤滑剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤、充填材、補強剤、展着剤、造核剤、ゴム、強化剤、その他のポリマー等を含有することもできる。
<ポリアミド組成物の製造方法>
本実施形態のポリアミド組成物の製造方法について以下に詳細を説明する。
本実施形態のポリアミド組成物の製造方法において、無機充填材と、熱安定剤、及び光安定剤から選ばれる少なくとも一つと、必要に応じて、その他の添加剤と、を添加する方法は、ポリアミドと、これら添加剤を混合する方法であれば、特に限定されるものではない。
ポリアミド組成物の構成材料の混合方法として具体的には、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて混合し溶融混練機に供給し混練する方法や、単軸又は2軸押出機で溶融状態にしたポリアミドに、サイドフィーダーから無機充填材やその他の添加剤を配合する方法等が挙げられる。
ポリアミド組成物を構成する成分を溶融混練機に供給する方法としては、すべての構成成分(ポリアミド及び無機充填材等)を同一の供給口に一度に供給してもよく、構成成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもよい。
溶融混練温度は、樹脂温度にして250℃以上375℃以下程度であることが好ましい。
溶融混練時間は、0.5分間以上5分間以下程度であることが好ましい。
溶融混練を行う装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロール等の溶融混練機を用いることができる。
なお、ポリアミド組成物に含有されている無機充填材が、重量平均繊維長が1mm以上15mm以下の強化繊維である場合のポリアミド組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミドを二軸押出機で溶融混練し、溶融したポリアミドを強化繊維のロービングに含浸させ、ポリアミド含浸ストランドを得るプルトルージョン法や、特開2008-221574号公報(参考文献1)に記載されているように、含浸ストランドを螺旋状に撚る工程によってポリアミドを充分に含浸させる方法等が挙げられる。
≪成形品≫
本実施形態の成形品は、上述のポリアミド又はポリアミド組成物を成形してなる。
ポリアミド組成物成形品は、結晶化エンタルピーΔHc、及びガラス転移温度Tgが高く、熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性および耐LLC性に優れるため、自動車用部品に好適に用いることができる。
<成形品の製造方法>
本実施形態の成形品は、上記したポリアミド又はポリアミド組成物を周知の成形方法、例えば、プレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、溶融紡糸等を用いて成形することにより得ることができる。
<使用用途>
本実施形態のポリアミド組成物成形品は、熱時強度、熱時剛性、及び耐衝撃性に優れ、また、下記実施例で示すように耐LLC性が向上しているため、自動車用、電気及び電子用、産業資材用、押出用途、日用品用及び家庭品用等の各種部品材料として好適に用いることができる。
自動車用としては、特に限定されるものではなく、例えば、吸気系部品、冷却系部品、燃料系部品、内装部品、外装部品、電装部品等に用いられる。
自動車吸気系部品としては、例えば、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、エキゾーストパイプカバー、インナーブッシュ、ベアリングリテーナー、エンジンマウント、エンジンヘッドカバー、リゾネーター、スロットルボディ等が挙げられる。
自動車冷却系部品としては、例えば、チェーンカバー、サーモスタットハウジング、アウトレットパイプ、ラジエータータンク、オイルネーター、デリバリーパイプ等が挙げられる。
自動車燃料系部品としては、例えば、燃料デリバリーパイプ、ガソリンタンクケース等が挙げられる。
内装部品としては、例えば、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリム等が挙げられる。
外装部品としては、例えば、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパー、ドアミラーステイ、ルーフレール等が挙げられる。
電装部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、コネクターやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチ等が挙げられる。
電気及び電子用としては、例えば、コネクター、スイッチ、リレー、プリント配線板、電子部品のハウジング、コンセント、ノイズフィルター、コイルボビン、モーターエンドキャップ等が挙げられる。
産業資材用としては、例えば、ギヤ、カム、絶縁ブロック、バルブ、電動工具部品、農機具部品、エンジンカバー等が挙げられる。
日用品及び家庭品用としては、例えば、ボタン、食品容器、オフィス家具等が挙げられる。
押出用途としては、例えば、フィルム、シート、フィラメント、チューブ、棒、中空成形品等が挙げられる。
以下、本実施形態を実施例によりさらに具体的に説明するが、本実施形態は、実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた原材料及び物性等の測定方法を以下に示す。
なお、本実施例において、1kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
≪ポリアミドの原材料≫
<(a)ジカルボン酸単位の原料>
(1)テレフタル酸(TPA) (東京化成工業株式会社製)
(2)1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA) イーストマンケミカル製 商品名:1,4-CHDA HPグレード(トランス体/シス体(モル比)=25/75)
(3)イソフタル酸(IPA) (東京化成工業株式会社製)
<(b)ジアミン単位の原料>
(1)ヘキサメチレンジアミン(C6DA)(東京化成工業株式会社製)
(2)2-メチルペンタメチレンジアミン(2MC5DA)(東京化成工業株式会社製)
(3)ノナメチレンジアミン(C9DA)(アルドリッチ社製)
(4)2-メチルオクタメチレンジアミン(2MC8DA)(特開平05-17413号公報に記載されている製法に従い製造した。)
≪無機充填材≫
ガラス繊維(GF) 日本電気硝子製 商品名:ECS03T275H 平均繊維径(平均粒径)10μm(真円状)、カット長3mm
≪ポリアミド構成単位の含有率の算出方法≫
ジカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えたジカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた全てのジカルボン酸単位のモル数)×100として、計算により求めた。
ジアミンのモル%は、(原料モノマーとして加えたジアミンのモル数/原料モノマーとして加えた全てのジアミン単位のモル数)×100として、計算により求めた。
なお、上記式により計算する際に、分母及び分子には、重合時の添加物として加えたジアミンのモル数は含まれない。
≪ポリアミドの物性≫
[物性1]
(ポリアミドの融解ピーク温度Tm1・Tm2(℃)、結晶化エンタルピーΔHc(J/g))
ISO-11357-3に準じて、PERKIN-ELMER社製Diamond-DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、実施例及び比較例で得られたポリアミド約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点(Tm)に応じて310℃以上370℃以下程度まで昇温したとき(1回目の昇温時)に現れる吸熱ピーク(融解ピーク)のもっとも高温側に現れた融解ピーク温度をTm1(℃)とした。なお、原料のポリアミドの融解ピーク温度Tm2は次のようにして測定することができる。1回目の昇温後、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したとき(2回目の昇温時)に現れる吸熱ピークのもっとも高温側に現れた吸熱ピーク温度がポリアミド自体の融解ピーク温度Tm2である。
なお、降温速度20℃/minで降温したときに現れる発熱ピーク(結晶化ピーク)の温度を結晶化ピーク温度Tc(℃)とし、Tcの全ピーク面積を結晶化エンタルピーΔHc(J/g)とした。
[物性2]
(ポリアミドのガラス転移温度Tg(℃))
ガラス転移温度Tg(℃)は、ISO-11357-3に準じて、PERKIN-ELMER社製Diamond-DSCを用いて測定した。測定条件は、実施例及び比較例で得られたポリアミドをホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。そのサンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30℃以上350℃以下の範囲で昇温して、ガラス転移温度Tg(℃)を測定した。
[物性3]
(分子量)
数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、及び分子量分布Mw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ、東ソー株式会社製、HLC-8020)を用いて、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒にて、PMMA(ポリメチルメタクリレート)標準サンプル(ポリマーラボラトリー社製)換算で測定した数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwにより検量線を作成し、実施例及び比較例で得られたポリアミドの分子量を求めた。なお、GPCカラムはTSK-GEL GMHHR-MとG1000HHRを使用した。
≪ポリアミド組成物の評価≫
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物について以下に示す方法を用いて成形品を作製した。
<成形品の製造>
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物をISO3167に準拠し、射出成形により多目的試験片(A型)に成形し、成形品を得た。
[評価1]
(引張強度(MPa)、引張弾性率(GPa))
各成形品(多目的試験片)を用いて、ISO 527に準拠し、120℃環境下、引張速度5mm/minで引張試験を行い、引張強度、引張弾性率、破断ひずみを測定した。
[評価2]
(シャルピー衝撃強さ)
各成形品(多目的試験片)を用いて、ISO 179に準拠し、シャルピー衝撃強さを測定した。
[評価3]
(LLC浸漬後の引張強度保持率(%))
各成形品の浸漬後の引張強度保持率(%)を以下のとおり測定した。具体的には、まず、多目的試験片(3mm厚)を、140℃のエチレングリコール50%水溶液に、24時間、1000時間浸漬し、室温に放置した。その後、上記「表1」と同様の方法の引張試験を行い、引張強度を測定した。24時間浸漬後に測定した引張強度に対する、1000時間浸漬後に測定した引張強度の割合(%)を、浸漬後の引張強度保持率(以下、「耐LLC保持率」と称する場合がある)として求めた。
≪ポリアミドの製造≫
[実施例1]
(ポリアミドPA-a1の製造)
熱溶融重合法によりポリアミドPA-a1の重合反応を以下のとおり実施した。
ジカルボン酸単位としてTPA15.95g(0.096モル)及びCHDA4.13g(0.024モル)、ジアミン単位としてC6DA13.95g(0.120モル)、蒸留水8.5gの混合物を作製した。
得られた混合物を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの槽内(以下、単に「槽内」とも記す。)の温度を常温から80℃になるまで加熱するとゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.0kg/cm2(G)を示し、これを維持した。しばらく加熱を続けたところで圧力弁を開放して常温常圧に戻るまで放置し、プレポリマーを得た。得られたプレポリマーは粉砕し、更に以下の処理を行った。
上記で得られプレポリマーを同オートクレーブに仕込み、30分間かけて内部温度を240℃に昇温した。この際オートクレーブの圧力弁を閉じたままにし、圧力は10kg/cmを示した。その後圧力弁を開放し、その状態を維持したまま6.5時間加熱を続けた。再び槽内を窒素置換してから圧力弁を閉じ、加熱をやめて常温になるまで放置した。再び、30分間かけて内部温度を240℃に昇温した。この際オートクレーブの圧力弁を閉じたままにし、圧力は10kg/cmを示した。その後圧力弁を開放し、その状態を維持したまま6.5時間加熱を続けた。再び槽内を窒素置換してから圧力弁を閉じ、加熱をやめて常温になるまで放置して、ポリアミドPA-a1を得た。
[実施例2]
(ポリアミドPA-a2の製造)
ジカルボン酸単位としてTPA14.95g(0.090モル)及びCHDA5.17g(0.030モル)、ジアミン単位としてC6DA13.95g(0.120モル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリアミドPA-a2を得た。
[実施例3]
(ポリアミドPA-a3の製造)
ジカルボン酸単位としてTPA13.95g(0.084モル)及びCHDA6.20g(0.036モル)、ジアミン単位としてC6DA13.95g(0.120モル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリアミドPA-a3を得た。
[実施例4]
(ポリアミドPA-a4の製造)
ジカルボン酸単位としてTPA12.96g(0.078モル)及びCHDA7.23g(0.042モル)、ジアミン単位としてC6DA13.95g(0.120モル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリアミドPA-a4を得た。
[実施例5]
(ポリアミドPA-a5の製造)
ジカルボン酸単位としてTPA11.96g(0.072モル)及びCHDA8.26g(0.048モル)、ジアミン単位としてC6DA13.95g(0.120モル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリアミドPA-a5を得た。
[比較例1]
(ポリアミドPA-b1の製造)
ジカルボン酸単位としてTPA13.95g(0.084モル)及びIPA5.98g(0.036モル)、ジアミン単位としてC6DA13.95g(0.120モル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリアミドPA-b1を得た。
[比較例2]
(ポリアミドPA-b2の製造)
ジカルボン酸単位としてTPA19.94g(0.120モル)、ジアミン単位としてC6DA9.76g(0.084モル)及び2MC5DA4.18g(0.036モル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリアミドPA-b2を得た。
[比較例3]
(ポリアミドPA-b3の製造)
ジカルボン酸単位としてTPA19.94g(0.120モル)、ジアミン単位としてC9DA11.16g(0.096モル)及び2MC8DA2.79g(0.024モル)、蒸留水8.7gを用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリアミドPA-b3を得た。
実施例及び比較例で得られた各ポリアミドの各物性を表1に示す。
Figure 2022044221000001
≪ポリアミド組成物の製造≫
[実施例6~10及び比較例4~6]
実施例1~5及び比較例1~3で得られた各ポリアミドと、上記各原材料とを、下記表2に記載の種類及び割合となるように用いて、ポリアミド組成物を以下のとおり製造した。
なお、実施例1~5及び比較例1~3で得られた各ポリアミドは、窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整してから、ポリアミド組成物の原料として用いた。
上記で得られたポリアミドのペレット及びガラス繊維を用いてポリアミド組成物を製造した。
具体的には、2軸押出機(東芝機械(株)製TEM35、L/D=47.6(D=37mmφ)、設定温度Tm2+10℃(例えば、ポリアミドPA-a1を用いた場合には、349+10=359℃)、スクリュー回転数300rpm)を用いて、以下のとおりポリアミド組成物を製造した。
2軸押出機の最上流部に設けられたトップフィード口より、上記水分率を調整したポリアミド(50質量部)を供給し、2軸押出機の下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より無機充填材としてガラス繊維(50質量部)をポリアミド:ガラス繊維=50:50の質量比で供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド組成物のペレットを得た。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレットを成形してなる成形品の評価結果を表2に示す。
Figure 2022044221000002
表1に示すように、全ジカルボン酸単位に対する、テレフタル酸単位の含有率が55モル%以上85モル%以下であり、且つ、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有率が15モル%以上45モル%以下である、ポリアミドPA-a1~PA-a5(実施例1~5)を含むポリアミド組成物(実施例6~10)を成形してなる成形品は、熱時強度、熱時剛性及び耐衝撃性において優れた特性を有するものであった。また、一般にポリマーが吸水すると加水分解及び薬品浸透により劣化が起こり、いわゆる耐LLC性が低下するがポリアミドPA-a1~PA-a5(実施例1~5)を含むポリアミド組成物(実施例6~10)を成形してなる成形品は耐LLC性が向上していた。
また、全ジカルボン酸単位に対する、テレフタル酸単位の含有率が低下するほど、或いは、全ジカルボン酸単位に対する、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有率が増加するほど、熱時強度、熱時剛性及び耐衝撃性により優れる傾向がみられた。
これに対して、表1に示すように、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位を有さないポリアミドPA-b1~PA-b3(比較例1~3)を含むポリアミド組成物(実施例4~6)を成形してなる成形品では、熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC性の全てが良好なものは得られなかった。
本実施形態のポリアミドによれば、熱時強度、熱時剛性、耐衝撃性、及び耐LLC性に優れるポリアミドを提供することができる。本実施形態のポリアミド組成物は、前記ポリアミドを含み、自動車用、電気及び電子用、産業資材用、日用及び家庭品用等の各種部品として好適に用いられる。

Claims (5)

  1. テレフタル酸単位と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位とを含むジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位を含むジアミン単位と、を有し、
    全ジカルボン酸単位に対する、前記テレフタル酸単位の含有率が55モル%以上85モル%以下であり、前記1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有率が15モル%以上45モル%以下である、ポリアミド。
  2. 全ジカルボン酸単位に対する、前記テレフタル酸単位及び前記1,4-シクロヘキサンジカルボン酸単位の合計含有率が90モル%以上100モル%以下である、請求項1に記載のポリアミド。
  3. ISO-11357-3に準じた示差走査熱量測定において、
    20℃/minで昇温したときに得られる融解ピーク温度Tm2が340℃以上360℃以下であり、
    20℃/minで降温したときに得られる結晶化エンタルピーΔHcが35J/g以上60J/g以下であり、且つ、
    ガラス転移温度Tgが130℃以上160℃以下である、請求項1又は2に記載のポリアミド。
  4. 数平均分子量が5000以上20000以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミド。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアミドと、無機充填材とを含む、ポリアミド組成物。
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