JP6866245B2 - 繊維強化ポリアミドシートまたはテープ - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化ポリアミドシートまたはテープに関する。
構造部品、特に自動車車体用部品には、燃費向上の観点から比強度の高い材料が求められている。繊維強化プラスチック(FRP)は、鋼板やアルミなど金属材料に比べて比重が小さいながらもこれらに匹敵する強度を有しており、近年自動車車体用部品などに用いられ始めている。
一般的にFRPのマトリックスとしては熱硬化性樹脂が用いられているが、熱硬化性樹脂は成形サイクルが長いこと、成形品の溶着などの後加工およびリサイクルが困難であることなどの課題があるため、近年は代替として熱可塑性樹脂の適用が検討されている。中でもポリアミドは炭素繊維との密着性が高いことから得られる複合材の強度が高く、注目されている(特許文献1〜5)。
国際公開第2015/046290号 国際公開第2012/165076号 特開2016−79337号公報 特開2015−17343号公報 特開2015−93984号公報
FRPのマトリックスとしてポリアミドを用いることによって様々なメリットが得られる一方で、ポリアミドを用いたFRPは吸水することで強度が落ちることが知られており、特に高温高湿条件下での強度において課題が残されている。
しかして本発明の課題は、常温、高温および高温高湿のいずれの条件下においても優れた強度を有するFRPを製造可能な繊維強化ポリアミドシートまたはテープを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のポリアミドおよび連続繊維を含有し、前記連続繊維が特定の配向度を満たす繊維強化ポリアミドシートまたはテープであれば、前記課題を解決できることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
本発明は、下記[1]〜[4]に関する。
[1]ガラス転移温度が90℃以上であり、かつアミド基1個あたりの炭素数が7以上であるポリアミドおよび連続繊維を含有し、前記連続繊維が、下記式(1)によって求められる配向度が平均2以下であるようにMD方向に配向している、繊維強化ポリアミドシートまたはテープ。
配向度=(F)/(S) (1)
(式(1)において、(F)は、前記繊維強化ポリアミドシートまたはテープをTD方向に2mm、MD方向に2mmに切り取った正方形の領域において、TD方向の二辺のうち一辺と連続繊維との任意の交点(p)、および(p)から連続繊維のみを辿って到達可能な、TD方向の他辺と連続繊維との任意の交点(q)を考えた場合に、(p)から(q)へ連続繊維のみを辿って到達する経路のうち最短経路の経路長であり、(S)は、(p)と(q)の直線距離である。ただし、前記正方形の領域を前記繊維強化ポリアミドシートまたはテープにおける厚さ方向から観察した場合に連続繊維同士が交わっていれば、実際には当該連続繊維同士が厚さ方向に離れており、接触していない場合も、当該連続繊維同士は連続した経路を構成するとみなす。)
[2]前記連続繊維が炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、セラミック繊維、メタル繊維からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]の繊維強化ポリアミドシートまたはテープ。
[3][1]または[2]の繊維強化ポリアミドシートまたはテープからなる繊維強化ポリアミド板。
[4][3]の繊維強化ポリアミド板からなる成形品。
本発明によれば、常温、高温および高温高湿のいずれの条件下においても優れた強度を有するFRPを製造可能な繊維強化ポリアミドシートまたはテープを提供できる。
繊維強化ポリアミドシートまたはテープをTD方向に2mm、MD方向に2mmに切り取った正方形の領域を、前記繊維強化ポリアミドシートまたはテープにおける厚さ方向から観察した模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、ガラス転移温度が90℃以上であり、かつアミド基1個あたりの炭素数が7以上であるポリアミドおよび連続繊維を含有し、前記連続繊維が、下記式(1)によって求められる配向度が平均2以下であるようにMD方向に配向している。
配向度=(F)/(S) (1)
(式(1)において、(F)および(S)は前記定義の通りである)
本発明において、「シート」とはその幅(TD方向)が250mm以上のものを指し、「テープ」とはその幅が250mm未満のものを指す。
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、厚さが5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましく、0.3mm以下であることが特に好ましい。厚さの下限に特に制限はないが、当該厚さは例えば、0.05mm以上とすることができる。
本発明における配向度の求め方を、図1を用いて説明する。図1は繊維強化ポリアミドシートまたはテープをTD方向に2mm、MD方向に2mmに切り取った正方形の領域を、前記繊維強化ポリアミドシートまたはテープにおける厚さ方向から観察した模式図である。
(p)は前記正方形の領域において、TD方向の二辺のうち一辺と連続繊維との任意の交点である。また(q)は、(p)から連続繊維上のみを辿って到達可能な、TD方向の他辺と連続繊維との任意の交点である。
式(1)における(F)は、(p)から(q)へと連続繊維上のみを辿って到達する経路のうち最短経路の経路長であり、図1における太い実線の長さである。また(S)は(p)と(q)の直線距離であり、図1における破線の長さである。
ただし、前記正方形の領域を前記繊維強化ポリアミドシートまたはテープにおける厚さ方向から観察した場合に連続繊維同士が交わっていれば、実際には当該連続繊維同士が厚さ方向に離れており、接触していない場合も、当該連続繊維同士は連続した経路を構成するとみなす。
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、考えられる全ての(p)と(q)の組み合わせについて配向度((F)/(S))を求め、それらを平均(数平均)したものが2以下、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.5以下であるように連続繊維がMD方向に配向している。
配向度の平均は、三次元計測X線CT装置を用いて得られた画像について、三次元ボリュームレンダリングソフトを用いて連続繊維を細線化し、全ての(p)と(q)について配向度((F)/(S))を計算してそれらを数平均することで求めることができる。
(ポリアミド)
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、ガラス転移温度が90℃以上であり、かつアミド基1個あたりの炭素数が7以上であるポリアミドを含有する。
高温高湿下における強度の観点から、本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、連続繊維を除いた全成分中、前記ポリアミドを80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましい。
前記ポリアミドとしては、ジカルボン酸単位とジアミン単位を有するものが好ましい。
高温高湿下における強度の観点から、中でもジカルボン酸単位の少なくとも一部がテレフタル酸単位であるものが好ましく、ジカルボン酸単位の40〜100モル%がテレフタル酸単位であるものがより好ましく、ジカルボン酸単位の60〜100モル%がテレフタル酸単位であるものがさらに好ましく、ジカルボン酸単位の80〜100モル%がテレフタル酸単位であるものが特に好ましい。
テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ジメチルマロン酸、3,3−ジエチルコハク酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸、シクロオクタンジカルボン酸、シクロデカンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などに由来する構成単位が挙げられる。これらの単位は1種又は2種以上であってもよい。
また、前記ポリアミドは、本発明の効果を損なわない範囲内において、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸に由来する構成単位を溶融成形が可能な範囲で含むこともできる。
高温高湿下における強度の観点から、前記ポリアミドとしては、ジアミン単位の60〜100モル%が炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位であるものが好ましく、ジアミン単位の70〜100モル%が炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位であるものがより好ましく、ジアミン単位の90〜100モル%が炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位であるものがより好ましい。
炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位としては、例えば1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミン;1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンなどに由来する構成単位が挙げられる。これらの単位は1種又は2種以上であってもよい。
高温高湿下における強度の観点から、中でも1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、および1,12−ドデカンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位であることが好ましく、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位であることがより好ましい。
ジアミン単位が1,9−ノナンジアミンに由来する構成単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミンに由来する構成単位を共に含む場合には、高温高湿下における強度の観点から、1,9−ノナンジアミンに由来する構成単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミンに由来する構成単位のモル比は、1,9−ノナンジアミンに由来する構成単位/2−メチル−1,8−オクタンジアミンに由来する構成単位=95/5〜40/60の範囲にあることが好ましく、90/10〜50/50の範囲にあることがより好ましい。
また用途によっては、1,9−ノナンジアミンに由来する構成単位/2−メチル−1,8−オクタンジアミンに由来する構成単位=55/45〜45/55の範囲にあることが好ましい場合もある。
前記ポリアミドにおけるジアミン単位は、本発明の効果を損なわない範囲で、炭素数6〜12の脂肪族ジアミン単位以外のジアミン単位を含むことができる。そのようなジアミン単位としては、例えばエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどに由来する構成単位が挙げられる。これらの単位は1種又は2種以上であってもよい。
前記ポリアミドはアミノカルボン酸単位を含んでもよい。アミノカルボン酸単位としては、例えば、カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム;11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸などから誘導される単位を挙げることができる。前記ポリアミドにおけるアミノカルボン酸単位の含有量は、前記ポリアミドのジカルボン酸単位とジアミン単位の合計100モル%に対して、40モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。
前記ポリアミドは末端封止剤由来の単位を含んでもよい。末端封止剤由来の単位は、ジアミン単位に対して1.0〜10モル%であることが好ましく、2.0〜7.5モル%であることがより好ましく、2.5〜6.5モル%であることがさらに好ましい。
末端封止剤由来の単位を上記所望の範囲とするには、重合原料仕込み時にジアミンに対して末端封止剤を上記所望の範囲となるよう仕込むことで行うことができる。なお、重合時にモノマー成分が揮発することを考慮して、得られる樹脂に所望量の末端封止剤由来の単位が導入されるよう、重合原料仕込み時の末端封止剤の仕込み量を微調整することが望ましい。
前記ポリアミド中の末端封止剤由来の単位の含有量を求める方法としては、例えば、特開平07−228690号公報に示されているように、溶液粘度を測定し、これと数平均分子量の関係式から全末端基量を算出し、ここから滴定によって求めたアミノ基量とカルボキシル基量を減じる方法や、H−NMRを用い、ジアミン単位と末端封止剤由来の単位のそれぞれに対応するシグナルの積分値に基づいて求める方法などが挙げられる。
末端封止剤としては、末端アミノ基もしくは末端カルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物を用いることができる。具体的には、モノカルボン酸、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類、モノアミンなどが挙げられる。反応性および封止末端の安定性などの観点から、末端アミノ基に対する末端封止剤としては、モノカルボン酸が好ましく、末端カルボキシル基に対する末端封止剤としては、モノアミンが好ましい。また、取り扱いの容易さなどの観点から末端封止剤としてはモノカルボン酸がより好ましい。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらの中でも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記ポリアミドは、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法又は界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法などの方法により製造することができる。
前記ポリアミドは、例えば、最初にジアミン、ジカルボン酸、および必要に応じて触媒や末端封止剤を一括して添加してナイロン塩を製造した後、200〜250℃の温度において加熱重合してプレポリマーとし、さらに固相重合するか、あるいは溶融押出機を用いて重合することにより製造することができる。重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下又は不活性ガス流動下に行うのが好ましく、重合温度が200〜280℃の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化を有効に抑制することができる。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下であるのが好ましく、かかる条件で重合すると、分解がほとんどなく、劣化の少ないポリアミドが得られる。
前記ポリアミドを製造する際に使用することができる触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩又はエステルなどが挙げられる。上記の塩又はエステルとしては、リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを挙げることができる。
高温下における強度の観点から、前記ポリアミドのガラス転移温度は100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。
高温高湿下における強度の観点、および製造容易性の観点から、前記ポリアミドのアミド基1個あたりの炭素数は7以上13以下であることが好ましく、8以上11以下であることがより好ましい。
前記ポリアミドとしては、PA9T、PA10T、PA12T、PA10T/10I、PA10T/106、PA10T/12、PA10T/11が好ましい。
(連続繊維)
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、連続繊維を含有する。
前記連続繊維としては、例えば炭素繊維、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、玄武岩繊維、メタル(例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、チタン、ステンレス等)繊維等の無機繊維;全芳香族ポリエステル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、アラミド繊維、ポリスルフォンアミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維等の有機繊維などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、力学物性や入手容易性の観点から、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、セラミック繊維、メタル繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、炭素繊維であることがより好ましい。
前記連続繊維はカップリング剤などの表面改質剤や集束剤が塗布されたものでもよい。
連続繊維の数平均繊維径は、1〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましく、5〜10μmであることがさらに好ましい。
連続繊維は、例えばフィラメント数500〜30000程度のものを目的に応じて用いることができる。
強度の観点から、本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、連続繊維を10〜80質量%含有することが好ましく、20〜70質量%含有することがより好ましい。10質量%以上とすることで十分な強度を確保することができ、80質量%以下とすることで連続繊維へポリアミドが十分に含浸する。
(その他の成分)
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、光安定剤、エラストマー、滑材、核剤、結晶化遅延材、加水分解防止剤、帯電防止剤、ラジカル抑制剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、連続繊維以外の無機物等を含んでいてもよい。無機物としては、例えばカーボンナノチューブ、フラーレン、タルク、ワラストナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アルミナシリケート、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、熱安定剤を含むことが好ましい。前記熱安定剤としては、例えばフェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤、アミン系熱安定剤、銅系熱安定剤およびこれらの誘導体等が挙げられる。
前記フェノール系熱安定剤としては、例えば2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、トリエチレングリコールビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β{(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。
前記リン系熱安定剤としては、例えばリン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン、トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト)、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピンなどが挙げられる。
前記硫黄系熱安定剤としては、例えばジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジドデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル3,4’−チオジプロピオネート、2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル]−1,3−プロパンジイルエステルなどが挙げられる。
前記アミン系熱安定剤としては、例えば4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業株式会社製「ノクラックCD」等)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業株式会社製「ノクラックWhite」等)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業株式会社製「ノクラックDP」等)、N−フェニル−1−ナフチルアミン(大内新興化学工業株式会社製「ノクラックPA」等)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業株式会社製「ノクラック810−NA」等)、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」等)、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業株式会社製「ノクラックG−1」等)などが挙げられる。
前記銅系熱安定剤としては、例えばヨウ化銅等のハロゲン化銅またはその誘導体などが挙げられる。
特に、本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤およびアミン系熱安定剤のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、フェノール系熱安定剤を含むことがより好ましい。
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープは、いわゆるUDシートまたはテープを製造するための公知の方法(例えば、特開2015−30119に記載の方法)に準じて製造することができる。
(繊維強化ポリアミド板)
本発明の繊維強化ポリアミド板は、例えば本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープを経糸や緯糸、またはその両方として用いた織物を加熱成形する方法;本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープを平行に並べて加熱成形する方法;本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープを連続繊維の方向に対して90℃ずつ交互に積層して加熱成形する方法などにより製造できるが、これらに限定されない。
(成形品)
本発明の成形品は、例えば本発明の繊維強化ポリアミド板をIRヒーター等で予備加熱した後にプレス機で加圧成形する方法などにより製造できるが、これらに限定されない。
(用途)
本発明の繊維強化ポリアミド板および成形品は、常温、高温および高温高湿のいずれの条件下においても優れた強度を有することから、一般産業資材分野、電気・電子分野、土木・建築分野、輸送機器分野などの幅広い分野において有効に用いることができる。特に、航空機、自動車、鉄道、船舶等の輸送機器分野等においては、その主要な構造をなす部材として有効に用いることができる。
例えば、パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、デジタルビデオカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、玩具用品、その他家電製品等の筐体;トレイ、シャーシ等の電気、電子機器部品;支柱、パネル、補強材等の土木、建材用部品;各種メンバ、各種フレーム、各種ヒンジ、各種アーム、各種車軸、各種車輪用軸受、各種ビーム、各種ピラー、各種サポート、各種レール等の外板またはボディー部品;バンパー、モール、アンダーカバー、エンジンカバー、整流板、スポイラー、カウルルーバー、エアロパーツ等の外装部品;インストルメントパネル、シートまたはテープフレーム、ドアトリム、ピラートリム、ハンドル、各種モジュール等の内装部品;モーター部品、CNGタンク、ガソリンタンク、燃料ポンプ、エアーインテーク、インテークマニホールド、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、各種配管、各種バルブ等の自動車または二輪車用の燃料系、排気系または吸気系部品;ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブなどの航空機用部品などに好適に用いられる。
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されない。
なお、ガラス転移温度、配向度、吸水率、繊維含有量、曲げ強度は以下の方法で測定または評価した。
(ガラス転移温度)
動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル社製 DMS6100)を用い、周波数11Hz、昇温速度3℃/minで損失正接(tanδ)の温度依存性を測定し、そのピーク温度から求めた。ここで、tanδのピーク温度とは、tanδの値の温度に対する変化量の第1次微分値がゼロとなる温度のことである。
(配向度)
三次元計測X線CT装置(ヤマト科学株式会社製)を用いて、視野サイズ2.0mm(φ)×2.0mm(h)、管電圧23kV、管電流100μAの条件で繊維強化ポリアミドシートを測定し、3次元画像を得た。3次元画像中の連続繊維を三次元ボリュームレンダリングソフト(ボリュームグラフィックス社製 VG−Studio MAX)を用いて細線化し、全ての(p)と(q)について配向度((F)/(S))を計算してそれらを数平均した。
(吸水率)
繊維強化ポリアミドシートを120℃において12時間乾燥後、重量測定を行い、この重量をM1とした。その後、40℃、湿度95%の環境下で重量増加がなくなるまで静置し、その時の重量をM2とした。そして、以下の式で吸水率を求めた。
吸水率={(M2−M1)/M1}×100(%)
(繊維含有量)
繊維強化ポリアミド板を350mg程度サンプリングし、重量測定を行い、この重量をM3とした。続いて、HFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)を15mL加え、1日室温で静置した。その後濾過し、得られた連続繊維を室温で真空乾燥してから重量測定を行い、この重量をM4とした。そして、以下の式で繊維含有量を求めた。
繊維含有量=(M4/M3)×100(%)
(曲げ強度)
繊維強化ポリアミド板について、23℃雰囲気下、80℃雰囲気下および上記吸水率の測定方法と同様の方法で吸水後の80℃雰囲気下について、それぞれISO14125に準じて測定した。
<ポリアミド樹脂組成物>
(1)PA9T樹脂組成物
790gの1,9−ノナンジアミン、790gの2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1639gのテレフタル酸(1,9−ノナンジアミン:2−メチル−1,8−オクタンジアミン:テレフタル酸=50:50:98(モル比))、48.8gの安息香酸、3.3gの次亜リン酸ナトリウム、1100gの水を反応装置に入れ、窒素置換した。2時間かけて内部温度を200℃に昇温した。この時、オートクレーブは2MPaまで昇圧した。その後2時間、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2MPaに保ちながら反応させた。次いで、30分かけて圧力を1.2MPaまで下げ、プレポリマーを得た。このプレポリマーを粉砕し、120℃、減圧下で12時間乾燥した。これを230℃、13.3Paの条件で10時間固相重合し、PA9Tを得た。
上記PA9Tを減圧下、120℃で24時間乾燥した後、PA9T100質量部に対してフェノール系熱安定剤であるスミライザーGA−80(住友化学株式会社製)を0.3質量部、LicoWax−OP(クラリアントケミカルズ株式会社製)を0.2質量部の割合でドライブレンドし、得られた混合物を二軸押出機(スクリュー径:30mm、L/D=28、シリンダー温度300℃、回転数150rpm)のホッパーからフィードして溶融混練し、ストランド状に押出した後、ペレタイザにより切断してペレット状のPA9T樹脂組成物を得た。
(2)PA66樹脂組成物
東レ株式会社製 CM3001N(融点265℃)を用いた。
<連続繊維>
三菱レーヨン株式会社製 TR50S15L(フィラメント数15000)を用いた。
[実施例1]
120℃で開繊して幅30cmに広げた連続繊維を2m/分で引き取り、PA9T樹脂組成物と連続繊維とが質量比で約1:1となるよう、295℃で融解させたPA9T樹脂組成物を連続繊維上に均一に垂らした。これをポリイミドフィルムで挟み、ロールプレス機で295℃、2MPaの条件でプレスした後に冷却して、幅30cm、厚さ0.21mmの繊維強化ポリアミドシートを得た。
得られた繊維強化ポリアミドシートを、繊維方向が0°、90°、0°、90°、0°、90°、90°、0°、90°、0°、90°、0°となるよう積層し、12cm四方の金型にセットした。金型を真空プレス機にセットし、真空引きしながら金型温度を30℃から300℃まで40分で上昇させた。300℃で30分保持してから真空引きを停止し、5MPaの圧力をかけながら15分で30℃まで冷却して、厚さ2mm程度の繊維強化ポリアミド板を得た。
[比較例1]
厚さ100μmのPA9T樹脂組成物フィルム上に炭素繊維を同一方向に並べ、その上に厚さ100μmのPA9T樹脂組成物フィルムを乗せた。フィルムと炭素繊維の質量比は約1:1とした。プレス機で300℃、2MPaの条件でプレスし、厚さ0.78mmの繊維強化ポリアミドシートを得た。
得られた繊維強化ポリアミドシートを、繊維方向が0°、90°、0°、0°、90°、0°となるよう積層し、12cm四方の金型にセットした。金型を真空プレス機にセットし、真空引きしながら金型温度を30℃から300℃まで40分で上昇させた。300℃で30分保持してから真空引きを停止し、5MPaの圧力をかけながら15分で30℃まで冷却して、厚さ2mm程度の繊維強化ポリアミド板を得た。
[比較例2]
120℃で開繊して幅30cmに広げた連続繊維を2m/分で引き取り、PA66樹脂組成物と連続繊維とが質量比で約1:1となるよう、280℃で融解させたPA66樹脂組成物を連続繊維上に均一に垂らした。これをポリイミドフィルムで挟み、ロールプレス機で280℃、2MPaの条件でプレスした後に冷却して、幅30cm、厚さ0.13mmの繊維強化ポリアミドシートを得た。
得られた繊維強化ポリアミドシートを、繊維方向が0°、90°、0°、90°、0°、90°、90°、0°、90°、0°、90°、0°となるよう積層し、12cm四方の金型にセットした。金型を真空プレス機にセットし、真空引きしながら金型温度を30℃から300℃まで40分で上昇させた。300℃で30分保持してから真空引きを停止し、5MPaの圧力をかけながら15分で30℃まで冷却して、厚さ2mm程度の繊維強化ポリアミド板を得た。
実施例および比較例にて得られた繊維強化ポリアミド板について、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006866245
表1の結果から、本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープを用いることで得られる繊維強化ポリアミド板は、常温、高温および高温高湿のいずれの条件下においても優れた強度を有することがわかる。
本発明の繊維強化ポリアミドシートまたはテープを用いることで、常温、高温および高温高湿のいずれの条件下においても優れた強度を有するFRPを製造可能であるため、一般産業資材分野、電気・電子分野、土木・建築分野、輸送機器分野などの幅広い分野の産業において有用である。

Claims (4)

  1. ガラス転移温度が90℃以上であり、かつアミド基1個あたりの炭素数が7以上であるポリアミドおよび連続繊維を含有し、前記連続繊維が、下記式(1)によって求められる配向度が平均2以下であるようにMD方向に配向している、繊維強化ポリアミドシートまたはテープ。
    配向度=(F)/(S) (1)
    (式(1)において、(F)は、前記繊維強化ポリアミドシートまたはテープをTD方向に2mm、MD方向に2mmに切り取った正方形の領域において、TD方向の二辺のうち一辺と連続繊維との任意の交点(p)、および(p)から連続繊維のみを辿って到達可能な、TD方向の他辺と連続繊維との任意の交点(q)を考えた場合に、(p)から(q)へ連続繊維のみを辿って到達する経路のうち最短経路の経路長であり、(S)は、(p)と(q)の直線距離である。ただし、前記正方形の領域を前記繊維強化ポリアミドシートまたはテープにおける厚さ方向から観察した場合に連続繊維同士が交わっていれば、実際には当該連続繊維同士が厚さ方向に離れており、接触していない場合も、当該連続繊維同士は連続した経路を構成するとみなす。)
  2. 前記連続繊維が炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、セラミック繊維、メタル繊維からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の繊維強化ポリアミドシートまたはテープ。
  3. 請求項1または2に記載の繊維強化ポリアミドシートまたはテープからなる繊維強化ポリアミド板。
  4. 請求項3に記載の繊維強化ポリアミド板からなる成形品。
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