JP6311507B2 - 繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体に関する。具体的には、本発明は、強化繊維として炭素繊維とアラミド繊維の両方を含む繊維強化プラスチック成形体用基材、及び繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体に関する。
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む不織布(繊維強化プラスチック成形体用基材、以下、「繊維強化シート」ということがある。)を加熱加圧処理し、成形した繊維強化プラスチック成形体は、既にスポーツ、レジャー用品、航空機用材料など様々な分野で用いられている。これらの繊維強化プラスチック成形体においてマトリックスとなる樹脂には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられることが多い。しかし、熱硬化性樹脂を用いた場合、熱硬化性樹脂と強化繊維を混合した不織布は冷蔵保管しなければならず、長期保管ができないという難点がある。
このため、近年は、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用い、強化繊維を含有した繊維強化シートの開発が進められている。このような熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化シートは、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有する。また、熱可塑性樹脂を含む不織布は、熱硬化性樹脂を含む不織布と比較して成形加工が容易であり、加熱加圧処理を行うことにより成形加工品を成形することができるという利点を有している。
従来、熱可塑性樹脂は、耐薬品性・強度等、熱硬化性樹脂よりも劣るものが主流であった。しかし、近年は、耐熱性、耐薬品性などに優れた熱可塑性樹脂が盛んに開発されるようになり、これまで熱可塑性樹脂について常識とされてきた上記のような欠点が目覚ましく改善されてきている。このような熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる(例えば、非特許文献1)。そして、繊維強化シートにおいても、このような熱可塑性樹脂を用いた組成のものがいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には炭素繊維とアラミド繊維とポリカーボネート繊維を用いた繊維強化プラスチック成形体が開示されている。ここでは、炭素繊維とアラミド繊維とポリカーボネート繊維からなる不織布を、カード工程を通過させることにより繊維の方向を揃えた後、複数枚積層してニードルを打ち込み、加熱加圧することで繊維強化プラスチックを製造することが記載されている。
また、特許文献2には、アラミド繊維及びガラス繊維と、マトリックスとなるポリプロピレン樹脂を用いた抄造法スタンパブルシートが開示されている。ここでは、ポリプロピレン粒子とアラミド繊維とガラス繊維を混合、抄紙して得たウエブを加熱した後、圧縮/冷却固化することでシートを製造することが記載されている。
特開2012−184286号公報 特許第3824376号公報
「平成19年度 熱可塑性樹脂複合材料の機械工業分野への適用に関する調査報告書」、財団法人 次世代金属・複合材料研究開発協会、社団法人 日本機械工業連合会、平成20年3月発行
ところで、こうした繊維強化シートでは、成形された成形体が優れた曲げ強度と耐衝撃性を有することが求められる。特に、繊維強化プラスチック成形体が自動車等の補強用芯材の成形に用いる場合には、特により高い曲げ強度と耐衝撃性を有することが求められる。この点に着目して、本発明者らが特許文献1及び2に記載の繊維強化シートを検討したところ、これらの繊維強化シートは、その製造工程で繊維が十分に配向されておらず、特に高い強度や耐衝撃性が得られるものではないことが判明した。
特許文献1では、繊維強化シートにする前の不織布を乾式法で作製しており、カード工程により不織布の繊維の方向を揃えるようにしている。しかし、カード工程は、シリンダーと該シリンダーの周囲に配設された複数のロールの間を、不織布を通過させるだけの工程であり、繊維の向きを十分に揃えることができない。特に、厚さ方向での断面において繊維の配向性が低くなってしまう。特許文献1に記載の繊維強化シートは、こうしたカード工程を用いて製造されたものであるため繊維が十分に配向されていないものと推測され、特に強度や耐衝撃性が高い成形体が得られるものとは言えない。
また、特許文献2では、繊維強化シートにする前のウエブを「抄紙」により製造することが記載されている。しかし、同文献には、抄紙条件の詳細は記載されていないが、抄紙することにより「均質なウエブ」が得られたことが記載されている。ここで、ウエブが「均質」であるということは、繊維の配向度がかなり低いことを意味しており、このことからすると同文献でいう「抄紙」とは、繊維の配向を制御していない通常の湿式抄紙であると言える。通常の湿式抄紙で製造された繊維強化シートは、厚さ方向での断面において繊維の配向度が不十分であるものと推測され、特に強度や耐衝撃性が高い成形体が得られるものではない。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、優れた曲げ強度と耐衝撃性を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、強化繊維と、熱可塑性樹脂を含むマトリックス樹脂と、バインダー成分とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材において、強化繊維としてアラミド繊維と炭素繊維の両方を用いるとともに、特定の条件となるように繊維強化プラスチック成形体を成形した際の繊維強化プラスチック成形体における厚み方向の繊維配向を規定することにより、優れた曲げ強度と耐衝撃性を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材が得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]強化繊維と、熱可塑性樹脂を含むマトリックス樹脂と、バインダー成分とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、強化繊維は、アラミド繊維及び炭素繊維を含み、繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P=0.7となるように繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得た厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において、強化繊維の全本数のうち80%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在させ得る繊維強化プラスチック成形体用基材。
[2]強化繊維の全本数のうち90%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[3]第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上となる繊維強化プラスチック成形体を成形し得る[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[4]炭素繊維の単繊維強度が4500MPa以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[5]強化繊維は、炭素繊維とアラミド繊維を1:10〜10:1の質量比で含む[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[6]アラミド繊維が、パラ型アラミド又は共重合パラ型アラミドである[1]〜[5]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[7]アラミド繊維が、共重合パラ型アラミドである[1]〜[6]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[8]熱可塑性樹脂は、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート及びポリアミドから選ばれる少なくとも1種である[1]〜[7]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[9]ポリアミドは、ナイロン6である[8]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材を、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することにより成形される繊維強化プラスチック成形体。
[11][1]〜[9]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材を、150〜600℃の温度で加熱加圧成形することにより成形される繊維強化プラスチック成形体。
[12]衝撃強さが30kJ/m2以上である[10]又は[11]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[13]強化繊維と、熱可塑性樹脂を含むマトリックス樹脂と、バインダー成分とを混合し、湿式不織布法によって繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程を含み、前記繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程は、円網抄紙機、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用いて湿式不織布法で抄紙する工程を含み、強化繊維は、アラミド繊維及び炭素繊維を含み、繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P=0.7となるように繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得た厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において、強化繊維の全本数のうち80%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在させ得る繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
[14]繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程は、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用いる湿式不織布法で抄紙する工程を含み、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.98以下となるように走行する[13]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
本発明によれば、優れた曲げ強度と耐衝撃性を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
図1は、本発明の繊維強化プラスチック成形体中の強化繊維の配向の様子を示すイメージ図である。 図2は、本発明の繊維強化プラスチック成形体中の強化繊維の配向状態を示す写真である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
<繊維強化プラスチック成形体用基材>
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、強化繊維と、熱可塑性樹脂を含むマトリックス樹脂と、バインダー成分とを含む。ここで、強化繊維はアラミド繊維及び炭素繊維を含む。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P=0.7となるように加熱加圧成形された厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において、強化繊維の全本数のうち80%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在させ得る基材である。
このように、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、強化繊維として、アラミド繊維と炭素繊維の両方を含み、かつ特定の条件となるように加熱加圧成形して、強化繊維が成形体の中心面となす角度が±20°以内で配向している。そのため、繊維強化プラスチック成形体の中心面やそれに平行な面上では、強化繊維の密度が高くなり、優れた曲げ強度と耐衝撃性が得られる。ここで、特定条件とは、繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P=0.7となるように繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して、厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体を得る条件である。
このような繊維強化プラスチック成形体用基材を使用した繊維強化プラスチック成形体は、優れた曲げ強度と耐衝撃性を発揮することができる。
また、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、繊維強化プラスチック成形体に含まれる強化繊維のうち90%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在させ得るものであることが好ましい。これにより、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度及び耐衝撃性をより高めることが可能となる。
さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上となる繊維強化プラスチック成形体を成形し得るものであることが好ましい。このように、特定方向に強度を高めた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材は、自動車等の補強用芯材の成形に好ましく用いることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、強化繊維と、熱可塑性樹脂を含むマトリックス樹脂と、バインダー成分とを含む混合材料であればよく、その形状は特に制限されるものではない。中でも、繊維強化プラスチック成形体用基材はシート状であることが好ましい。シート状の繊維強化プラスチック成形体用基材は全ての繊維を混合し、湿式抄紙法により1枚のシート状とするため、生産効率が高い。さらに、このような繊維強化プラスチック成形体用基材を用いることにより、効率よく繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。
以下において、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の構成をさらに詳細に説明する。
[強化繊維]
強化繊維は、アラミド繊維及び炭素繊維を含み、成形される繊維強化プラスチック成形体に曲げ強度と耐衝撃性を付与する機能を有する。
本発明に用いる強化繊維は、アラミド繊維と炭素繊維の混合物であることが好ましい。
(アラミド繊維)
強化繊維に含まれるアラミド繊維は、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分、もしくは芳香族アミノカルボン酸成分から構成される芳香族ポリアミド、又はこれらの芳香族共重合ポリアミドからなるポリマーである。アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン−3,4'−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが例示できる。これらのアラミド繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いるアラミド繊維は、メタ型アラミド、パラ型アラミド又は共重合パラ型アラミドであることが好ましく、パラ型アラミド又は共重合パラ型アラミドであることがより好ましく、共重合パラ型アラミドであることがさらに好ましい。ここで、パラ型アラミドとは各ベンゼン環がアミド基(CONH)を通して直線的に連結された構造を有するアラミドをいう。
アラミド繊維の繊維長は、2〜100mmであることが好ましく、5〜50mmであることがより好ましく、10〜25mmであることがさらに好ましい。アラミド繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材からアラミド繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、曲げ強度と耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。また、アラミド繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な曲げ強度と耐衝撃性と外観を有する。
アラミド繊維の繊維径は、1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましく、5〜15μmであることがさらに好ましい。アラミド繊維の繊維径を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度と耐衝撃性を高めることができる。
(炭素繊維)
強化繊維に含まれる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。これらの炭素繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせ用いてもよい。また、これら炭素繊維の中でも、工業規模における生産性及び機械特性の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維の繊維長は、2〜100mmであることが好ましく、5〜50mmであることがより好ましく、10〜25mmであることがさらに好ましい。炭素繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から炭素繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。また、炭素繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
炭素繊維の単繊維強度は、4500MPa以上であることが好ましく、4700MPa以上であることがより好ましい。単繊維強度とは、モノフィラメントの引っ張り強度をいう。このような炭素繊維を使用した場合、前述した強化繊維の繊維配向の効果との相乗効果で曲げ強度が大幅に向上する。なお、単繊維強度は、JIS R7601「炭素繊維試験方法」に準じて測定することができる。
炭素繊維の繊維径は特に限定されないが、概ね好ましい範囲としては5〜20μmが好ましい。炭素繊維の繊維径を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の強度を高めることができる。
(炭素繊維とアラミド繊維の配合比)
強化繊維は、炭素繊維とアラミド繊維を1:10〜10:1の質量比で含むことが好ましく、1:4〜4:1の質量比で含むことがより好ましく、1:1〜3:1の質量比で含むことがさらに好ましい。炭素繊維とアラミド繊維の質量比を上記範囲内とすることにより、曲げ強度と耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
(その他の繊維)
強化繊維は、アラミド繊維及び炭素繊維の他に、さらに他種の強化繊維を含んでいてもよい。例えば、ガラス繊維やPBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
(強化繊維の形状)
強化繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。
強化繊維は、このような形態であることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中に均一に混合することができる。また、繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形等、異形断面のものも使用できる。
(強化繊維の配向性)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、以上のような強化繊維を含むものであり、繊維強化プラスチック成形体用基材を特定条件となるように加熱加圧成形した繊維強化プラスチック成形体中において、強化繊維の全本数のうち80%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在している点に特徴がある。ここで、特定条件とは、繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P=0.7となるように繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して、厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体を得る条件である。
このように、繊維強化プラスチック成形体中において、80%以上の強化繊維を繊維強化プラスチック成形体の中心面と平行となるように配向している。このような繊維強化プラスチック成形体用基材を使用した繊維強化プラスチック成形体は、優れた曲げ強度と耐衝撃性を得ることができる。
ここで、繊維強化プラスチック成形体の中心面とは、繊維強化プラスチック成形体の第1の表面の平均面と第2の表面の平均面の中点を結んで形成される平面を中心面という。なお、第1の表面の平均面と第2の表面の平均面の中点とは、第1の表面の特定点から第2の表面の最短距離の中点のことをいう。また、各表面の平均面とは、表面に凹凸形状がある場合は凹部と凸部の高さの平均の高さを通る面をいい、表面に凹凸形状がない場合は、各平均面は各表面のことをいう。なお、図1(b)において、第1の表面の平均面はSで、第2の表面の平均面はTで、中心面はUで表されている面である。
繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)であるPは、空孔を含まない固体そのものの密度であり、理論密度と言われるものである。また、繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)であるQは、通気性及び非通気性の双方を含む、プラスチック成形体の単位体積あたりの質量をいい、繊維強化プラスチック成形体用基材の質量を外観容積で除すことにより算出することができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度は、不織布を構成する繊維そのものの真密度と、その質量配合比から求めることができる。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度は、下記計算式で算出することができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度=(強化繊維の真密度×質量配合比%)+(マトリックス樹脂の真密度×質量配合比)+(バインダーの真比重×質量配合比)
また、繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度は、上記方法以外に、ピクノメーター法(液相置換法)や気相置換法を用いて求めてもよい。
ピクノメーター法(液相置換法)はJIS R 1620「ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法」に準拠した方法で、エタノール水溶液、ブタノール等の液に繊維強化プラスチック成形体用基材を漬け、アルキメデスの原理で、体積を測定する方法である。繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度は、繊維強化プラスチック成形体用基材の重さを上記の方法で測定した体積で除すことによって算出することができる。
また、気相置換法は、JIS R 1620「ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法」に準拠した方法で、ヘリウムガス等で置換して、体積を測定する方法である。繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度は、繊維強化プラスチック成形体用基材の重さを上記の方法で測定した体積で除すことによって算出することができる。
繊維強化プラスチック成形体のかさ密度は、以下の手順で求めることができる。
(1)繊維強化プラスチック成形体用基材の目付けが、以下の通りとなるように重ねる。目付け(g/m2)=真密度(g/cm3)×1(mm)×1000
(2)(1)の繊維強化プラスチック成形体用基材の積層物を所定の厚さとなるように加熱加圧成形し、得られた成形体を10〜15cm×10〜15cm程度になるように切り出す。
(3)得られた成形体の縦(cm)と横(cm)をノギスで測定する。また、厚さをマイクロメーターで四辺端部と中央部の合計5点を測定し、厚さの平均値(μm)を求める。
(4)成形体の質量を0.1g単位で測定する。
(5)得られたデータより、下記式にてかさ密度を求める
かさ密度(g/cm3)=成形体質量(g)÷(成形体長さ(cm)×成形体幅(cm)×厚さ(μm)×10-4
繊維強化プラスチック成形体用基材から繊維強化プラスチック成形体を加熱加圧成形する際には、繊維強化プラスチック成形体用基材の各表面と平行になるようにステンレス板を配置し、熱プレスを行う。ここで、使用するステンレス板は、JIS G4305「冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」の表15#400の表面仕上げを行った厚さ2mmのステンレス板である。また、熱プレス時には、スペーサー板(1mm厚板)を両端に挟むことが好ましい。これにより、厚さが1mmの繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
加熱加圧成形時の熱プレス温度は、熱可塑性樹脂が結晶性熱可塑性樹脂の場合、(熱可塑性樹脂の融点Tm+30)℃であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂が非結晶性熱可塑性樹脂の場合、加熱加圧成形時の熱プレス温度は、(熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+100)℃であることが好ましい。なお、熱可塑性樹脂の融点及びガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量分析)で求めることができる。
例えば、下記の熱可塑性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用基材の熱プレス温度は下記の通りである。ポリカーボネート及びポリエーテルイミドは非結晶性熱可塑性樹脂であり、ポリプロピレン及びナイロン6は結晶性熱可塑性樹脂である。
ポリカーボネート:ガラス転移温度Tg 145℃、プレス温度245℃
ポリエーテルイミド:ガラス転移温度Tg 217℃、プレス温度317℃
ポリプロピレン:融点Tm160℃、プレス温度 190℃
ナイロン6:融点Tm225℃、プレス温度 255℃
熱可塑性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用基材を熱プレスする際の加圧条件は、10Mpa〜20MPaとすることが好ましい。この場合、加圧条件は、繊維強化プラスチック成形体の厚さが1mmとなるように調節する。
上記の条件となるように加熱加圧成形して得られた繊維強化プラスチック成形体において、中心面に対して±20°以内となるように配向している強化繊維の割合は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。
ここで、繊維強化プラスチック成形体の中心面に対して±20°以内となるように配向している強化繊維の割合は、繊維強化プラスチック成形体の断面を切り出して三次元計測X線CT装置にて撮影し、この撮影画像から100〜130本の強化繊維を選択して中心面とのなす角度を測定することで求めることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材から成形された繊維強化プラスチック成形体では、用途に応じて特定方向の強度を高めることができる。この場合、繊維強化プラスチック成形体の第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比は概ね3〜5以上に調整することも可能である。なお、第1方向とは、繊維強化プラスチック成形体用基材における強化繊維の配向方向をいい、第2方向とは、強化繊維の配向方向に直交する方向をいう。ここで、第1方向はMD方向であり、第2方向はCD方向であることが好ましい。
このような繊維強化プラスチック成形体は、自動車や航空機等に用いられる一方向に機械的曲げ強度と耐衝撃性が要求される構造部品に好ましく用いられる。
強化繊維は、繊維強化プラスチック成形体用基材の中心面と平行であって、かつ一方向に配向していることが好ましい。これにより、得られる繊維強化プラスチック成形体において、この繊維が配向している方向での強度を高めることができる。強化繊維は、繊維強化プラスチック成形体用基材のいずれの方向に配向していてもよいが、繊維強化プラスチック成形体用基材のMD方向(抄紙ラインの流れ方向)に配向していることが好ましい。
[マトリックス樹脂]
マトリックス樹脂は、熱可塑性樹脂を含む。マトリックス樹脂に含まれる熱可塑性樹脂は、繊維強化プラスチック成形体用基材の加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を成形する。このようなマトリックス樹脂を用いた不織布状の繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱硬化性樹脂を使用した基材又はシートに比べて、オートクレーブ処理が不要で、加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、生産性を高めることができる。
熱可塑性樹脂は、繊維状であることが好ましい。この熱可塑性樹脂繊維は、繊維強化プラスチック成形体用基材に加熱加圧処理が行われるまでは繊維形態を維持しており、これにより基材中には空隙が存在することが好ましい。このような繊維強化プラスチック成形体用基材は、しなやかでドレープ性を有しており、巻き取り形態での保管・輸送が可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド、ポリプロピレン等を例示することができる。これらの熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これら熱可塑性樹脂の中でも、高強度の繊維強化プラスチック成形体を得るために、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレンを用いることが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂は繊維であることが好ましく、繊維分散性が良好なポリカーボネート繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、ポリプロピレン繊維を用いることが好ましい。
また、上記の熱可塑性樹脂のうち、特にポリアミドは強化繊維であるアラミド繊維との接着性に優れるため好ましい。更に、ポリアミドはナイロン6であることが好ましく、ナイロン6繊維であることが接着性と強度に優れるためより好ましい。
熱可塑性樹脂が繊維の場合、熱可塑性繊維の繊維長は、2〜100mmであることが好ましく、5〜50mmであることがより好ましく、10〜25mmであることがさらに好ましい。熱可塑性繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から熱可塑性繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、曲げ強度と耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。また、熱可塑性繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、熱可塑性繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
熱可塑性繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。熱可塑性繊維は、このような形態であることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中に均一に混合することができる。また、繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形等、異形断面のものも使用できる。
[強化繊維と熱可塑性樹脂の配合比]
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材において、強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比は10:90〜80:20であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましく、30:70〜70:30であることがさらに好ましい。強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
[バインダー成分]
バインダー成分は、繊維同士を結着して繊維の脱落を抑制する機能を有する。本発明において、繊維強化プラスチック成形体用基材に含有されるバインダーとしては、一般的に不織布製造に使用されるアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、EVA樹脂、ウレタン樹脂、PVA樹脂等が使用できる。なお、これらのバインダー成分は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい
また、これらの樹脂は、繊維形状或いは粒子形状にして、上記の強化繊維・マトリックス樹脂と混合し、湿式抄紙することもできるし、エマルジョンや水溶液にして、ウエブにスプレー若しくは含浸法によって付与することもできる。
この中でも、バインダー成分は、加熱加圧成形後にマトリックスとなる熱可塑性樹脂が加熱加圧成形で溶融する際に、その樹脂と相溶する樹脂成分であることが特に好ましい。このような樹脂成分をバインダーとした場合、加熱加圧成形後、マトリックス樹脂とバインダー樹脂の間に界面が存在せず一体化するため高強度となる。さらにバインダー成分に起因するマトリックス樹脂のガラス転移温度の低下が少ないという特徴を持つ。
[バインダー成分の含有率]
バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダー成分の量は多くなると表面強度・層間強度共に強くなるが、逆に加熱成形時の臭気の問題が発生しやすくなる。しかし、上記の範囲においては臭気の問題はほとんど発生せず、また繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
<繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法>
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程は、強化繊維と、熱可塑性樹脂を含むマトリックス樹脂と、バインダー成分とを混合し、湿式不織布法によって繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程を含む。また、繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程は、円網抄紙機、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用いて湿式不織布法で抄紙する工程を含む。
なお、この製造工程に用いる強化繊維はアラミド繊維及び炭素繊維を含む。また、強化繊維は、炭素繊維とアラミド繊維を1:10〜10:1の質量比で含むことが好ましく、1:4〜4:1の質量比で含むことがより好ましく、1:1〜3:1の質量比で含むことがさらに好ましい。
また、本発明の製造工程で得られる繊維強化プラスチック成形体用基材は、繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P=0.7となるように繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得た厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において、強化繊維の全本数のうち80%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在させ得る基材である。
プラスチック成形体用基材を製造する方法は、溶媒中に繊維を分散させた繊維スラリーから溶媒を除去してウエブを製造する湿式不織布法である。以下、湿式不織布法の好ましい条件について説明する。
湿式不織布法にて円網抄紙機を用いて抄紙を行う場合、円網抄紙機の円網の直径は50cm以上であることが好ましい。円網抄紙機の円網の直径を上記範囲とすることにより、80%以上の強化繊維を繊維強化プラスチック成形体の中心面と平行となるように配向させることが可能となり、繊維強化プラスチック成形体において曲げ強度と耐衝撃性をより高めることができる。
円網抄紙機を用いて抄紙を行う場合の抄造速度は、抄速は3m/min以上であることが好ましく、5m/min以上であることがより好ましく、10m/min以上であることがさらに好ましい。抄造速度を上記範囲とすることにより、80%以上の強化繊維を繊維強化プラスチック成形体の中心面と平行となるように配向させることが可能となり、繊維強化プラスチック成形体において曲げ強度と耐衝撃性をより高めることができる。
また、繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程では、円網抄紙機の他に、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いてもよい。すなわち、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程において、繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程は、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用いて抄紙する工程を含むものであってもよい。なお、繊維分散性を良好にするため、傾斜ワイヤー抄紙機を用いることがより好ましい。ここで、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用いて抄紙する工程では、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.98以下となるように走行することが好ましい。
ここで、ジェットワイヤー比とは、繊維のスラリー液のインレット内における流速とワイヤー走行速度の比であり、繊維のスラリー液のインレット内の流速/ワイヤー走行速度で表される。傾斜ワイヤー抄紙機では一般に、繊維のスラリー液の流速は白水循環量の調整によって行われる。ジェットワイヤー比が1よりも大きい場合は、繊維のスラリー液の供給速度がワイヤーの走行速度よりも速く、この場合を「押し地合」という。また、ジェットワイヤー比が1よりも小さい場合は、繊維のスラリー液の供給速度はワイヤーの走行速度よりも遅く、この場合を「引き地合」という。
上述のジェットワイヤー比が0.98以下となる状態は、「引き地合」の場合である。これにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の厚み方向への強化繊維の配向を抑制することができる。
こうして得られた繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形することにより、繊維強化プラスチック成形体の中心面と強化繊維がなす角が±20°以内に配向させることが可能となり、曲げ強度と耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
なお、繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程は、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用いて抄紙する工程を含むものであることが好ましく、傾斜ワイヤー抄紙機を用いて抄紙する工程を含むものであることが、繊維分散性の観点からより好ましい。
本発明の製造方法において、ジェットワイヤー比を調整することで、繊維を特定方向に配向させ、その方向への強度をより高めることができる。繊維を特定方向に配向させるためには、ジェットワイヤー比を小さくすればよい。すなわち、ジェットワイヤー比を0.98以下、好ましくは0.75以下とすることで、繊維強化プラスチック成形体のMD方向の曲げ強度と、CD方向の曲げ強度の強度比は概ね3〜5以上に調整することも可能である。このように、本発明の製造方法では、ジェットワイヤー比を上記範囲とすることにより、強化繊維を特定の方向に配向させ、特定方向への曲げ強度と耐衝撃性をより高めることができる。
尚、このようにジェットワイヤー比を小さくする場合、傾斜ワイヤー抄紙機においては通常、白水循環量を少なくすることでインレット内の流速を遅くしつつ、抄速を速くする方向で抄造条件を調整する。この場合、あまりに白水循環量が少ないとインレット内における繊維分散性が悪化する傾向となるが、インレット内の液面の高さを可能な限り高くすることで、白水循環量を維持しつつ流速を遅くし、ジェットワイヤー比を小さくすることができる。
さらに、繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程では、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用基材に内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことが好ましい。すなわち、繊維強化プラスチック成形体用基材を成形する工程は、湿式不織布法で繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程と、バインダー成分を含む溶液等を繊維強化プラスチック成形体用基材に内添、塗布又は含浸させる工程を含むことが好ましい。さらに、内添、塗布又は含浸後には、加熱乾燥させる工程を含む。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
<繊維強化プラスチック成形体>
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、目的とする成形品の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。繊維強化プラスチック成形体用基材は、1枚単独、或いは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することができる。このように、一般的な繊維強化プラスチック成形体用基材の加熱加圧成形方法を用いて加工することにより、曲げ強度と耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチック成形体とすることができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材から繊維強化プラスチック成形体を成形する際には、繊維強化プラスチック成形体用基材を、熱可塑性樹脂を含むマトリックス樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することが好ましい。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を温度150〜600℃、圧力3〜40MPaで加熱加圧成形することが好ましい。なお、加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維が流動する温度であって強化繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
本発明で得られる繊維強化プラスチック成形体は、力学的強度に優れ、かつ工業的に有用な生産性を兼ね備えているため、種々の用途に展開することができる。本発明の繊維強化プラスチック成形体の衝撃強さは、30kJ/m2以上であることが好ましく、35kJ/m2以上であることがより好ましく、40kJ/m2以上であることがさらに好ましく、60kJ/m2以上であることが特に好ましい。
繊維強化プラスチック成形体のMD方向の曲げ強度は、300MPa以上でることが好ましく、400MPa以上であることがより好ましく、500MPa以上であることがさらに好ましく、600MPa以上であることが特に好ましい。また、繊維強化プラスチック成形体のCD方向の曲げ強度は、100MPa以上でることが好ましく、150MPa以上であることがより好ましく、200MPa以上であることがさらに好ましく、300MPa以上であることが特に好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1〜4、7〜14)
表1及び2に示した単繊維強度・繊維長である炭素繊維(台湾プラスチック株式会社製 CS815)を水中に投入し、分散剤として予め0.6質量%濃度となるように溶解した商品名「エマノーン3199」(花王社製)を、固形分添加量として炭素繊維に対し1.0質量%となるように添加し、更に水を加えて炭素繊維スラリー濃度が0.5質量%となるように希釈した。更に、該スラリーをパルパーにて3分間攪拌し、炭素繊維を分散させた。
得られた炭素繊維スラリーを別容器に流送し、ポリカーボネート(PC)樹脂繊維(ダイワボウポリテックス社製、繊維径30μm、繊維長12mm)及び繊維長12mmの共重合パラ型アラミド繊維(コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維、帝人テクノプロダクツ社製、テクノーラ)を、表1に示した配合比となるように計量し、投入した。更に、このスラリーに、繊維スラリー濃度として0.5質量%となるよう水を投入し、バインダーとして繊維状PVA(クラレ製 VPB-105-2)をスラリー中の繊維合計質量に対し2質量%となるように計量して投入し、攪拌し、繊維を混合・分散させた。
この繊維スラリーを傾斜ワイヤー抄紙機に連続的に流送し、ウエットウエブを製造した。その後、当該抄紙機に備えられたヤンキードライヤー及び熱風ドライヤーを用いて140℃で加熱乾燥させることで繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。なお、傾斜ワイヤー抄紙機に繊維スラリーを流送し、ウエットウエブを製造する際、アニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤「スミフロック(MTアクアポリマー株式会社製)の水溶液を適宜添加し、スラリー粘度を1cps〜5cpsの範囲(B型粘度計測定)で調整しながら抄造した。また、白水循環量、及び抄速を制御することにより、ジェットワイヤー比を表1に示したとおりに調整した。
得られた各繊維強化プラスチック成形体用基材を適宜重ねて、220℃、10MPaの熱プレスにて、加熱加圧処理することで厚さが1mmである繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例5)
共重合パラ型アラミド繊維の代わりに、繊維長12mmのメタ型アラミド繊維(ポリメタフェニレンイソフタルアミド(MPIA)繊維、ウンジン社製、アラウィン)を用い、傾斜ワイヤー抄紙機でのジェットワイヤー比を表1に示すように変えたこと以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例6)
共重合パラ型アラミド繊維の代わりに、繊維長12mmのパラ型アラミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)繊維、東レ・デュポン社製、ケブラー)を用い、傾斜ワイヤー抄紙機でのジェットワイヤー比を表1に示すように変えたこと以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例15)
PC樹脂繊維の代わりに、表2に示すポリエーテルイミド(PEI)樹脂繊維(Fiber Innovation Technology社、ガラス転移温度220℃、繊維長13mm)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。得られた繊維強化プラスチック成形体用基材を適宜重ねて、300℃、10MPa熱プレスにて、加熱加圧処理することで厚さが1mmである繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例16)
炭素繊維を、表2に示すように、単繊維強度を有するもの(東レ株式会社製 T700)に変更し、傾斜ワイヤー抄紙機でのジェットワイヤー比を変えたこと以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例17)
炭素繊維を、表2に示すように、単繊維強度を有するもの(東レ株式会社製 T800)に変更し、傾斜ワイヤー抄紙機でのジェットワイヤー比を変えたこと以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例18)
熱可塑性樹脂繊維を、表2に示すように、ナイロン6繊維(東レ株式会社製 「アミラン」)に変更した以外は実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。得られた繊維強化プラスチック成形体用基材を適宜重ねて、245℃、10MPaにて加熱加圧処理することで厚さが1mmである繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例19)
傾斜ワイヤー抄紙機を、直径70cmの円網ワイヤーを備える円網抄紙機に変更した以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例1〜3、5)
表3に示すように、繊維スラリーにアラミド繊維を添加せず、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維の質量比及び傾斜ワイヤー抄紙機でのジェットワイヤー比を変えたこと以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
(比較例4)
表3に示すように、傾斜ワイヤー抄紙機でのジェットワイヤー比を変えたこと以外は、実施例5と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
[評価]
(強化繊維と繊維強化プラスチック成形体の中心面との角度の測定)
強化繊維と繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度は、以下の通り測定した。まず、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体について、MD方向の断面(図1(a)のB−B’線)を切り出した。MD方向の断面のイメージ図は図1(b)に示した。この断面の強化繊維を、三次元計測X線CT装置(ヤマト科学製:商品名「TDM1000−IS/SP」)で撮影し、三次元ボリュームレンダリングソフト(NVS製:「VG−Studio MAX」)にて断面の画像を得た。そして、得られた断面画像について、Z軸方向に任意に10本の10μmのライン∨を引き、そのラインに接して見える繊維全てについて、図2の白線で示したとおり、強化繊維と繊維強化プラスチック成形体の中心面とのなす角度を測定した。具体的には、繊維強化プラスチック成形体の中心面と平行な線はラインH(点線)で表しており、このラインHと強化繊維がなす角度を測定した。測定した繊維の本数は100〜130本程度とした。そして、測定した強化繊維の全本数に対する、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内である繊維の占める繊維本数の割合を表1〜3に示した。
なお、図1(b)において、θ1は、強化繊維と繊維強化プラスチック成形体の中心面Uとなす角度が±20°以内であり、θ2は、強化繊維と繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°の範囲を超えている例を示している。
(曲げ強度の測定)
得られたプラスチック成形体を、JIS K 7074「炭素繊維強化 プラスチックの曲げ試験方法」に従って、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下MDとする)及び繊維の配向と直角方向(クロスディレクション、以下CDとする)について測定した。MD方向及びCD方向の曲げ強度及び下式にて求めた相乗平均値を表1〜3に示した。
曲げ強度の相乗平均値=√(MD方向強度×CD方向強度)
(衝撃強さの測定)
得られた繊維強化プラスチック成形体について、JIS K7111−1「シャルビー衝撃試験」に準拠した方法で測定した。MD方向及びCD方向の衝撃強さ及び下式にて求めた衝撃強さの相乗平均値を表1〜3に示した。
衝撃強さ相乗平均値=√(MD方向強度×CD方向強度)
(炭素繊維の単繊維強度の測定)
炭素繊維の単繊維強度は、JIS R 7606「炭素繊維−単繊維の引張特性の試験方法」に従って測定した。
Figure 0006311507
Figure 0006311507
Figure 0006311507
表1〜3に示すように、アラミド繊維を含むことにより、実施例1〜19の繊維強化プラスチック成形体用基材から得られた成形体は、耐衝撃性に優れており、曲げ強度も高かった。
強化繊維と熱可塑性樹脂繊維の比率については、50/50に各強度の極大点が存し、これより強化繊維の比率が多くても少なくても強度は低下する傾向があるが、本実施例で採用している30/70〜70/30の範囲であれば十分に高い強度を得ることができた。また、炭素繊維とアラミド繊維の比率については、アラミドを増加させると耐衝撃強度は向上し、曲げ強度、耐衝撃強度は50/50を極大点に緩やかに低下する傾向があるが、1:10〜10:1であれば両者でよりバランスのとれた強度を得ることができる(実施例1〜4、7〜14、比較例1〜3、5)。
ジェットワイヤー比を調整することでMD方向に特に強度が優れ、耐衝撃性に優れる繊維強化プラスチック成形体を得られることがわかる。繊維強化プラスチック成形体用基材の中心面と成す角度が±20°以下である繊維の比率が90%以上の場合、更に強度物性の優れた繊維強化プラスチック成形体を得ることができることがわかる(実施例4、12〜14、比較例4)。
ポリカーボネート繊維をPEI繊維やナイロン6繊維に変更しても良好な強度物性を有する繊維強化プラスチック成形体を得ることができた(実施例15)。
炭素繊維の単繊維強度が4500MPa以上である場合、更に優れた強度物性を有する繊維強化プラスチック成形体を得ることができることがわかる。また、実施例18において、熱可塑性樹脂としてナイロン6繊維を使用することで、特に優れた強度物性を有する繊維強化プラスチック成形体を得ることができることがわかる(実施例16〜18)。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、円網抄紙機においても問題なく抄紙されることがわかった(実施例19)。
本発明によれば、優れた曲げ強度と耐衝撃性を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。このような曲げ強度と耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチック成形体は、スポーツ、レジャー用品、航空機用材料など様々な分野で用いることができるため、産業上の利用可能性が高い。
10 繊維強化プラスチック成形体
20 強化繊維
S 第1の表面の平均面
T 第2の表面の平均面
U 中心面

Claims (14)

  1. 強化繊維と、マトリックス樹脂と、バインダー成分とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、
    前記強化繊維は、アラミド繊維及び炭素繊維を含み、
    前記マトリックス樹脂は、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含み、
    前記バインダー成分は、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、EVA樹脂、ウレタン樹脂及びPVA樹脂から選択される少なくとも1種を含み、
    前記繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P=0.7となるように前記繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得た厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において、
    前記強化繊維の全本数のうち80%以上が、前記繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在させ得る繊維強化プラスチック成形体用基材。
  2. 前記強化繊維の全本数のうち90%以上が、前記繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  3. 第1方向の曲げ強度と、前記第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上となる繊維強化プラスチック成形体を成形し得る請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  4. 前記炭素繊維の単繊維強度が4500MPa以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  5. 前記強化繊維は、炭素繊維とアラミド繊維を1:10〜10:1の質量比で含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  6. 前記アラミド繊維が、パラ型アラミド又は共重合パラ型アラミドである請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  7. 前記アラミド繊維が、共重合パラ型アラミドである請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  8. 前記熱可塑性樹脂は、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート及びポリアミドから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  9. 前記ポリアミドは、ナイロン6である請求項8に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材を、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することにより成形される繊維強化プラスチック成形体。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材を、150〜600℃の温度で加熱加圧成形することにより成形される繊維強化プラスチック成形体。
  12. 衝撃強さが30kJ/m2以上である請求項10又は11に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  13. 強化繊維と、マトリックス樹脂と、バインダー成分とを混合し、湿式不織布法によって繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程を含み、
    前記繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程は、円網抄紙機、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用いて湿式不織布法で抄紙する工程を含み、
    前記強化繊維は、アラミド繊維及び炭素繊維を含み、
    前記マトリックス樹脂は、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含み、
    前記バインダー成分は、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、EVA樹脂、ウレタン樹脂及びPVA樹脂から選択される少なくとも1種を含み、
    前記繊維強化プラスチック成形体用基材の真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P=0.7となるように前記繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得た厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において、前記強化繊維の全本数のうち80%以上が、前記繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在させ得る繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
  14. 前記繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程は、長網抄紙機又は傾斜ワイヤー抄紙機を用いる湿式不織布法で抄紙する工程を含み、
    前記長網抄紙機又は前記傾斜ワイヤー抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.98以下となるように走行する請求項13に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法。
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