JP6369287B2 - 繊維強化プラスチック成形体用シート - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体用シートに関する。具体的には、本発明は、特定の強度比を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用シートに関する。
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む不織布(繊維強化プラスチック成形体用シートともいう)を加熱加圧処理し、成形した繊維強化プラスチック成形体は、既にスポーツ、レジャー用品、航空機用材料など様々な分野で用いられている。これらの繊維強化プラスチック成形体においてマトリックスとなる樹脂には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられることが多い。しかし、熱硬化性樹脂を用いた場合、熱硬化性樹脂と強化繊維を混合した不織布は冷蔵保管しなければならず、長期保管ができないという難点がある。
このため、近年は、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用い、強化繊維を含有した繊維強化不織布の開発が進められている。このような熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化不織布は、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有する。また、熱可塑性樹脂を含む不織布は、熱硬化性樹脂を含む不織布と比較して成形加工が容易であり、加熱加圧処理を行うことにより成形加工品を成形することができるという利点を有している。
従来、熱可塑性樹脂は、耐薬品性・強度等が、熱硬化性樹脂よりも劣るものが主流であった。しかし、近年は、耐熱性、耐薬品性などに優れた熱可塑性樹脂が盛んに開発されるようになり、これまで熱可塑性樹脂について常識とされてきた上記のような欠点が目覚ましく改善されてきている。このような熱可塑性樹脂は、いわゆる「エンプラ(エンジニアリングプラスチック)」と呼ばれる樹脂であり、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる(例えば、非特許文献1)。
強化繊維には、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維等が用いられている。このような強化繊維は繊維強化プラスチック成形体の強度を高める働きをする。また、強化繊維は、その配向方向を特定の方向に調整することによって、繊維強化プラスチック成形体の強度に方向性を持たせることが知られている(例えば、特許文献1〜6)。このような繊維強化プラスチック成形体は、自動車のバンパービーム等の補強用芯材や、一方向に機械的強度が要求される構造部品に用いられている。
特開平5−44188号公報 特開平9−41280号公報 特開平6−155495号公報 特開平4−208405号公報 特開平4−208406号公報 特開平4−208407号公報
「平成19年度 熱可塑性樹脂複合材料の機械工業分野への適用に関する調査報告書」、財団法人 次世代金属・複合材料研究開発協会、社団法人 日本機械工業連合会、平成20年3月発行
上述したように、従来技術で得られる繊維強化プラスチック成形体用シートにおいては、強化繊維を一方向に配向させることにより繊維強化プラスチック成形体の強度にある程度の方向性を持たせることはできた。しかしながら、近年はより一方向に強度が高められた繊維強化プラスチック成形体が求められている。このため、より特定の方向に機械的強度が高められた繊維強化プラスチック成形体の開発が求められていた。
また、従来技術では、繊維強化プラスチック成形体用シートを湿式抄紙法で抄紙する際に、繊維の分散液をワイヤーの走行速度よりも速い流速で供給していた。このような抄紙方法で製造された繊維強化プラスチック成形体用シートにおいては、強化繊維がシートの厚み方向に傾いて配向するという問題があった。強化繊維がシートの厚み方向に傾いて配向した繊維強化プラスチック成形体用シートから成形された繊維強化プラスチック成形体においては、特定方向の機械的強度が十分に発揮されないため問題となっていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、特定方向の強度が十分に高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用シートを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を含有する繊維強化プラスチック成形体用シートを特定条件で加熱加圧した場合、繊維強化プラスチック成形体において、強化繊維のうち大半の強化繊維を成形体の中心面とほぼ平行に配向させ、第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比を3以上にさせることにより、特定方向の強度が十分に高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を含有し、湿式抄紙法により形成された繊維強化プラスチック成形体用シートであって、繊維強化プラスチック成形体用シートを下記(a)及び(b)の条件で加熱加圧成形して得られる厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体においては、第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上であり、繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の中心面とほぼ平行に存在することを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シート;
(a)プレス圧を10MPa、プレス速度を3.5cm/secで加圧する。
(b)繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用シートを、上記(a)の条件で加圧しつつ、加熱した際に得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P≧0.7となるように加熱する。
[2]繊維強化プラスチック成形体用シートを(a)及び(b)の条件で加熱加圧成形して得た厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において、
強化繊維の全本数のうち80%以上が、強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるようにする[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[3]バインダー成分をさらに含み、バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[4]バインダー成分として、ポリエチレンテレフタレート又は変性ポリエチレンテレフタレート繊維を含むことを特徴とする[3]記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[5]強化繊維の繊維長が3〜100mmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[6]強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[7]強化繊維は、単繊維強度が4600MPa以上の炭素繊維であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[8]熱可塑性繊維は、ポリエーテルイミド繊維、ポリカーボネート繊維、ポリアミド繊維及びポリプロピレン繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[9]熱可塑性繊維は、ポリプロピレン繊維であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成型体用シート。
[10]ポリプロピレン繊維は、酸変性ポリプロピレン繊維であることを特徴とする[9]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[11]熱可塑性繊維は、ナイロン繊維であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[12]ナイロン繊維は、ナイロン6繊維であることを特徴とする[11]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[13]強化繊維及び熱可塑性繊維は、チョップドストランドであることを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[14]強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を含有し、湿式抄紙法により形成された繊維強化プラスチック成形体用シートを、マトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することによって得られた繊維強化プラスチック成形体であって、第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上であり、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の中心面とほぼ平行に存在することを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
[15]繊維強化プラスチック成形体用シートは、[1]〜[13]のいずれかに記載されている繊維強化プラスチック成形体用シートである[14]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[16]繊維強化プラスチック成形体の第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が4以上であることを特徴とする[14]又は[15]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[17]繊維強化プラスチック成形体は、150〜600℃の温度で加熱加圧成形することにより形成されていることを特徴とする[14]〜[16]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体。
[18]強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を混合し、湿式不織布法によって繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程を含み、繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程は、円網抄紙機を用いて抄紙する工程を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[19]円網抄紙機の円網の直径は50cm以上であることを特徴とする[18]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[20]円網抄紙機で抄造する際の抄速は5m/min以上であることを特徴とする[18]又は[19]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[21]強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を混合し、湿式不織布法によって繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程を含み、繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程は、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程を含み、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.8以下となるように走行することを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[22]繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程を含むことを特徴とする[21]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
本発明によれば、特定方向の強度が十分に高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートから成形される繊維強化プラスチック成形体は、一方向に機械的強度が要求される構造部品等に好ましく用いられる。
図1は、本発明の繊維強化プラスチック成形体中の強化繊維の配向の様子を示すイメージ図である。 図2は、本発明の繊維強化プラスチック成形体中の強化繊維の配向状態を示す写真である。 図3は、X線CT装置/解析ソフトにより得た画像から確認される本発明の繊維強化プラスチック成形体中の強化繊維の配向の様子を示すイメージ図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(繊維強化プラスチック成形体用シート)
本発明は、強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を含有し、湿式抄紙法により形成された繊維強化プラスチック成形体用シートに関する。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを下記(a)及び(b)の条件で加熱加圧成形した場合、得られる厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体においては、第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比は3以上である。また、繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の中心面とほぼ平行に存在している。
(a)プレス圧を10MPa、プレス速度を3.5cm/secで加圧する。
(b)繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用シートを、上記(a)の条件で加圧しつつ、加熱した際に得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P≧0.7となるように加熱する。
なお、「大半の強化繊維」とは、強化繊維の全本数のうち80%以上の強化繊維のことを意味する。また、「繊維強化プラスチック成形体の中心面とほぼ平行」とは、強化繊維プラスチック成形体の中心面と強化繊維がなす角が±20°以内に配向することを意味する。すなわち、上記条件(a)及び(b)で加熱加圧成形して得た厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維の全本数のうち80%以上が、強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように配向していることを特徴とする。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、上述したように、繊維強化プラスチック成形体において、強化繊維の全本数のうち80%以上が、強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように配向させ得るものである。このため、繊維強化プラスチック成形体の中心面やそれに平行な面上では、強化繊維の密度が高くなり、優れた曲げ強度が得られる。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上となる繊維強化プラスチック成形体を成形し得るものである。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートから成形される繊維強化プラスチック成形体は、優れた曲げ強度に加え、特定方向の強度が高められている。
また、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、繊維強化プラスチック成形体に含まれる強化繊維のうち90%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在させ得るものであることが好ましい。これにより、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度をより高めることが可能となる。
ここで、繊維強化プラスチック成形体の中心面とは、繊維強化プラスチック成形体の第1の表面の平均面と第2の表面の平均面の中点を結んで形成される平面を中心面という。なお、第1の表面の平均面と第2の表面の平均面の中点とは、第1の表面の特定点から第2の表面の最短距離の中点のことをいう。また、各表面の平均面とは、表面に凹凸形状がある場合は凹部と凸部の高さの平均の高さを通る面をいい、表面に凹凸形状がない場合は、各平均面は各表面のことをいう。なお、図1(b)において、第1の表面の平均面はSで、第2の表面の平均面はTで、中心面はUで表されている面である。
強化繊維は、強化繊維プラスチック成形体の中心面と平行であって、かつ一方向に配向している。強化繊維は、強化繊維プラスチック成形体のいずれの方向に配向していてもよいが、強化繊維プラスチック成形体のMD方向(抄紙ラインの流れ方向)に配向していることが好ましい。すなわち、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを特定条件で成形して得られた強化繊維プラスチック成形体においては、強化繊維は、中心面と平行であって、かつMD方向(抄紙ラインの流れ方向)に配向していることが好ましい。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを上記(a)及び(b)の条件で成形した繊維強化プラスチック成形体では、繊維強化プラスチック成形体の第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比は3以上であればよい。また、強度比は4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。なお、第1方向とは、繊維強化プラスチック成形体における強化繊維の配向方向をいい、第2方向とは、強化繊維の配向方向に直交する方向をいう。繊維強化プラスチック成形体の強度比を上記範囲とすることにより、特定の方向に強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。このような繊維強化プラスチック成形体は、自動車や航空機等に用いられる一方向に機械的強度が要求される構造部品に好ましく用いられる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおいて、強化繊維の配合割合は、20〜83質量%であることが好ましい。強化繊維の配合割合を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体において、より特定方向に配向した繊維の本数を増やすことが可能となる。これにより、強化繊維間の距離が短くなり、加熱加圧成形後の強化繊維の充填密度が高くなり、繊維強化プラスチック成形体の強度を効果的に高めることができる。
また、繊維強化プラスチック成形体用シート中の強化繊維と熱可塑性繊維の質量比は1:0.2〜1:10であることが好ましく、1:0.5〜1:5であることがより好ましく、1:0.7〜1:3であることがさらに好ましい。強化繊維と熱可塑性繊維の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
繊維強化プラスチック成形体用シートのJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度は、250秒以下であることが好ましく、230秒以下であることがより好ましく、200秒以下であることがさらに好ましい。この数値は、数字が小さいほど空気が通りやすい(通気性が良い)ことを表す。本発明では、繊維強化プラスチック成形体用シートの透気度を上記範囲内とすることにより、加熱加圧工程における成形速度を高めることができ、生産効率を高めることができる。
(強化繊維)
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
強化繊維として、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維を使用した場合、繊維強化プラスチック成形体用シートに含まれる熱可塑性繊維の溶融温度で加熱加圧処理することにより繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。
また、強化繊維として、アラミド等の有機繊維を用いた場合は、一般的に強化繊維として無機繊維を使用した繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される成形体よりも耐摩耗性を向上させ得る。
強化繊維の繊維長は、長さ加重平均繊維長として3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることがさらに好ましく、6〜50mmであることが特に好ましい。強化繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから強化繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。また、強化繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
なお、本明細書において、長さ加重平均繊維長は、100本の繊維について測定した繊維長の平均値である。
なお、強化繊維の繊維径は、数平均繊維径として特に限定されないが、一般的には炭素繊維、ガラス繊維共に繊維径が5〜25μm程度の繊維が好適に使用される。また、強化繊維は、複数の素材や形状を併用してもよい。
なお、本明細書において、数平均繊維径は、100本の繊維の繊維径を測定した繊維径の平均値である。
(炭素繊維)
強化繊維としては炭素繊維を用いることが好ましい。強化繊維に含まれる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。これらの炭素繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせ用いてもよい。また、これら炭素繊維の中でも、工業規模における生産性及び機械特性の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維の繊維長は長さ加重平均繊維長として、3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることがさらに好ましく、6〜50mmであることが特に好ましい。炭素繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから炭素繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。また、炭素繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
炭素繊維の単繊維強度は、4500MPa以上であることが好ましく、4600MPa以上であることがより好ましく、4700MPa以上であることがさらに好ましい。単繊維強度とは、モノフィラメントの引っ張り強度をいう。このような炭素繊維を使用した場合、前述した強化繊維の繊維配向の効果との相乗効果で曲げ強度が大幅に向上する。なお、単繊維強度は、JIS R7601「炭素繊維試験方法」に準じて測定することができる。
炭素繊維の繊維径は特に限定されないが、概ね好ましい範囲としては5〜20μmが好ましい。炭素繊維の繊維径を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の強度を高めることができる。
(強化繊維の形状)
強化繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。
強化繊維は、このような形態であることにより、繊維強化プラスチック成形体用シート中に均一に混合することができる。また、繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形等、異形断面のものも使用できる。
(強化繊維の配向性)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、以上のような強化繊維を含むものである。また、繊維強化プラスチック成形体用シートを条件(a)及び(b)で加熱加圧成形した繊維強化プラスチック成形体中において、強化繊維の全本数のうち80%以上が、繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在する。条件(a)及び(b)は以下の通りである。
(a)プレス圧を10MPa、プレス速度を3.5cm/secで加圧する。
(b)繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用シートを、上記(a)の条件で加圧しつつ、加熱した際に得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P≧0.7となるように加熱する。
条件(a)は、加圧条件を規定したものであり、プレス圧を10MPa、プレス速度を3.5cm/secとする加圧条件である。プレス時間は、特に制限はないが、繊維強化プラスチック成形体用シートを(a)及び(b)の条件で加熱加圧して、プレス機が止まるまでプレスする。そして、設定温度に上昇した後、5分間保持し、所定の温度まで冷却する。
条件(a)では、プレス速度を3.5cm/secとする。プレス速度は、3.5±0.5cm/secの範囲内であれば、プレス速度を3.5cm/secでプレスした場合と同様の加圧条件となる。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートはもともと厚み方向の強化繊維の配向が少ないため、比較的高速なプレス速度で加圧しても、成形体における厚み方向の強化繊維の配向が少なくなる。プレス速度を3.5cm/secとすることで、繊維強化プラスチック成形体における強化繊維の繊維配向を適切に評価することが可能となる。
条件(b)は、加熱条件を規定したものであり、繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用シートを、上記(a)の条件で加圧しつつ、加熱した際に得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P≧0.7となるように加熱する条件である。
繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度(g/cm3)であるPは、空隙を含まない固体そのものの密度であり、理論密度と言われるものである。また、繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)であるQは、通気性及び非通気性の双方を含む、プラスチック成形体の単位体積あたりの質量をいい、繊維強化プラスチック成形体用シートの質量を外観容積で除すことにより算出することができる。
繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度は、不織布を構成する繊維そのものの真密度と、その質量比から求めることができる。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度は、下記計算式で算出することができる。
繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度=(強化繊維の真密度×質量比)+(マトリックス樹脂の真密度×質量比)+(バインダーの真密度×質量比)
また、繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度は、上記方法以外に、ピクノメーター法(液相置換法)や気相置換法を用いて求めてもよい。
ピクノメーター法(液相置換法)はJIS R 1620「ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法」に準拠した方法で、エタノール水溶液、ブタノール等の液に繊維強化プラスチック成形体用シートを漬け、アルキメデスの原理で、体積を測定する方法である。繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度は、繊維強化プラスチック成形体用シートの重さを上記の方法で測定した体積で除すことによって算出することができる。
また、気相置換法は、JIS R 1620「ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法」に準拠した方法で、ヘリウムガス等で置換して、体積を測定する方法である。繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度は、繊維強化プラスチック成形体用シートの重さを上記の方法で測定した体積で除すことによって算出することができる。
繊維強化プラスチック成形体のかさ密度は、以下の手順で求めることができる。
(1)繊維強化プラスチック成形体用シートの目付けが、以下の通りとなるように重ねる。目付け(g/m2)=真密度(g/cm3)×1(mm)×1000
(2)(1)の繊維強化プラスチック成形体用シートの積層物を所定の厚さとなるように加熱加圧成形し、得られた成形体を10〜15cm×10〜15cm程度になるように切り出す。
(3)得られた成形体の縦(cm)と横(cm)をノギスで測定する。また、厚さをマイクロメーターで四辺端部と中央部の合計5点を測定し、厚さの平均値(μm)を求める。
(4)成形体の質量を0.1g単位で測定する。
(5)得られたデータより、下記式にてかさ密度を求める
かさ密度(g/cm3)=成形体質量(g)÷(成形体長さ(cm)×成形体幅(cm)×厚さ(μm)×10-4
繊維強化プラスチック成形体用シートから繊維強化プラスチック成形体を加熱加圧成形する際には、上述した工程条件(a)及び(b)を同時に行う。具体的には、(a)の加圧条件と(b)の加熱条件を満たすように、同時に加熱加圧処理を行う。加熱加圧処理は、繊維強化プラスチック成形体用シートの各表面と平行になるようにステンレス板を配置し、熱プレスを行う処理である。ここで、使用するステンレス板は、JIS G4305「冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」の表15#400の表面仕上げを行った厚さ2mmのステンレス板である。また、熱プレス時には、スペーサー板(1mm厚板)を両端に挟むことが好ましい。これにより、厚さが1mmの繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
また、上述した加熱加圧処理を行う際には、事前に熱プレス機を40℃に加熱しておくことが好ましい。
加熱加圧成形時の熱プレス温度は、熱可塑性樹脂が結晶性熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂の融点(Tm)+30℃であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂が非結晶性熱可塑性樹脂の場合、加熱加圧成形時の熱プレス温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)+100℃であることが好ましい。なお、熱可塑性樹脂の融点及びガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量分析)で求めることができる。
例えば、下記の熱可塑性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用シートの熱プレス温度は下記の通りである。ポリカーボネート及びポリエーテルイミドは非結晶性熱可塑性樹脂であり、ポリプロピレン及びナイロン6は結晶性熱可塑性樹脂である。
ポリカーボネート:ガラス転移温度Tg 145℃、プレス温度245℃
ポリエーテルイミド:ガラス転移温度Tg 217℃、プレス温度317℃
ポリプロピレン:融点Tm160℃、プレス温度 190℃
ナイロン6:融点Tm225℃、プレス温度 255℃
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを上記の条件で加熱加圧成形して得られた厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体においては、80%以上の強化繊維を繊維強化プラスチック成形体の中心面と平行となるように配向している。このような繊維強化プラスチック成形体用シートを使用した繊維強化プラスチック成形体は、優れた曲げ強度を発揮し、特定方向の強度が高められている。
上記の条件となるように加熱加圧成形して得られた繊維強化プラスチック成形体において、中心面に対して±20°以内となるように配向している強化繊維の割合は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。
ここで、繊維強化プラスチック成形体の中心面に対して±20°以内となるように配向している強化繊維の割合は、下記の方法で求めることができる。具体的には、繊維強化プラスチック成形体の断面を切り出して三次元計測X線CT装置にて撮影し、この撮影画像から100〜130本の強化繊維を選択して中心面とのなす角度を測定することで求めることができる。
強化繊維は、繊維強化プラスチック成形体用の中心面と平行であって、かつ一方向に配向していることが好ましい。特に、強化繊維は、繊維強化プラスチック成形体用の中心面と平行であって、MD方向(抄紙ラインの流れ方向)に配向していることが好ましい。これにより、優れた曲げ強度を発揮し、特定方向の強度を発揮し得る。
(マトリックス樹脂繊維)
マトリックス樹脂繊維は、熱可塑性繊維を含む。熱可塑性繊維は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成する。このようなマトリックス樹脂繊維を用いた不織布状の繊維強化プラスチック成形体用シートは、熱硬化性樹脂を使用したシートに比べて、オートクレーブ処理が不要で、加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、生産性を高めることができる。
熱可塑性繊維としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド、ポリプロピレン等を例示することができる。中でも、繊維分散性が良好であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得るために、ポリカーボネートやポリエーテルイミド、ポリアミドを用いることが好ましい。なお、ポリアミドはナイロンであることが好ましく、ナイロン6であることがより好ましい。
本発明では、安価で融点が低いため成形加工が容易になるという理由から、熱可塑性繊維としてポリプロピレン繊維を用いることも好ましい。さらに、ポリプロピレンをマトリックス樹脂として使用する場合、ポリプロピレンは酸変性ポリプロピレンであることが好ましい。変性ポリプロピレンを使用すると変性ポリプロピレンと強化繊維との接着性が向上するため、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度と弾性率が向上する。酸変性ポリプロピレンは、酸基含有ポリオレフィンであることが好ましく、酸基含有ポリオレフィンとしては、特に限定されないが、極性基を有する酸変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。例えば、カルボキシル基を含有するモノマーと共重合したポリプロピレンを用いることができる。上記カルボキシル基を含有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸などの不飽和カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などのジカルボン酸などを用いることができる。上記共重合するポリプロピレンは、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン共重合体であってもよい。上記プロピレン共重合体としては、例えば、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンと他のオレフィンのブロック共重合体などが挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが挙げられる。具体的には、プロピレン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体などを用いることができる。中でも、安価に入手でき、融点が高く、耐衝撃性に優れることから、プロピレン単独重合体が好ましい。共重合の方法は、特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などを用いることができる。繊維にしたときにカルボキシル基が表面に出やすいという観点から、グラフト共重合であることが好ましい。カルボキシル基量が多いという観点から、酸変性ポリプロピレンは、マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。上記酸変性ポリプロピレンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性繊維は、繊維状態において限界酸素指数が24以上であることが好ましく、27以上であることがより好ましい。熱可塑性繊維の限界酸素指数を上記範囲とすることにより、難燃性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シート及び繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。なお、本発明において、「限界酸素指数」とは、燃焼を続けるのに必要な酸素濃度を表し、JIS K7201に記載された方法で測定した数値をいう。すなわち、限界酸素指数が20以下は、通常の空気中で燃焼することを示す数値である。
また、熱可塑性繊維のASTM E−662に記載の方法で測定した20分燃焼時の発煙量は30ds前後であることが好ましく、非常に発煙量が少ない繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
熱可塑性繊維のガラス転移温度は、140℃以上であるものが好ましい。熱可塑性繊維には、繊維強化プラスチック成形体を形成する際に300℃から400℃というような温度条件下で十分に流動的であることが求められる。なお、PPS樹脂繊維のようにガラス転移温度が140℃未満のスーパーエンプラ繊維であっても、樹脂の荷重たわみ温度が190℃以上となるスーパーエンプラを繊維化したものであれば使用可能である。このような熱可塑性繊維は、加熱・加圧により溶融して限界酸素指数が30以上という非常に高い難燃性を有する樹脂ブロックを形成する。
熱可塑性繊維の繊維長は、長さ加重平均繊維長として、3〜100mmであることが好ましく、3〜50mmであることがより好ましく、3〜25mmであることがさらに好ましい。熱可塑性繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから熱可塑性繊維が脱落することを抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。また、熱可塑性繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、熱可塑性繊維の分散性を良好にすることができるため、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
本発明で用いられる繊維強化プラスチック成形体用シートでは、熱可塑性繊維が繊維形態をしていることによりシート中に空隙が存在している。
本発明では、熱可塑性繊維が加熱加圧成形前には、繊維形態を維持しているため、繊維強化プラスチック成形体を形成する前は、シート自体がしなやかでドレープ性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用シートを巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
[強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比]
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおいて、強化繊維とマトリックス樹脂繊維の質量比は10:90〜80:20であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましく、30:70〜70:30であることがさらに好ましい。強化繊維とマトリックス樹脂繊維の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
(バインダー成分)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、バインダー成分をさらに含むことが好ましい。バインダー成分は、繊維強化プラスチック層の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダー成分の量は多くなると表面強度・層間強度共に強くなるが、逆に加熱成形時の臭気の問題が発生しやすくなる。しかし、上記の範囲においては臭気の問題はほとんど発生せず、また繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
バインダー成分としては、一般的に不織布製造に使用される、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、PVA樹脂、各種澱粉、セルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドーアクリル酸エステルーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が使用できる。
バインダー成分は、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位、エチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも1つを含む共重合体を含有することが好ましい。中でも、バインダー成分は、メチルメタクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチルメタクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも1つを含む共重合体を含有することが好ましい。また、これらのモノマーは他のモノマー、例えばスチレンや酢酸ビニル、アクリルアミド等と共重合させてもよい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。
更に、本発明で好ましいバインダー成分として、ポリエステル樹脂及び変性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を変性することで融点を低下させたものであれば特に限定されないが、変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。変性ポリエチレンテレフタレートとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(coPET)が好ましく、例えば、ウレタン変性共重合ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリエステル樹脂は本発明の熱可塑性繊維と加熱溶融時に相溶するため、冷却後も熱や樹脂の機能を損ないにくいため、好ましく用いられる。
共重合ポリエチレンテレフタレートは、融点が140℃以下のものが好ましく、120℃以下ものがより好ましい。また、特公平1−30926号公報に記載のような変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。変性ポリエステル樹脂の具体例として、特に、ユニチカ社製商品名「メルティ4000」(繊維全てが共重合ポリエチレンテレフタレートである繊維)が好ましく挙げられる。また、芯鞘構造のバインダー繊維としては、ユニチカ社製商品名「メルティ4080」や、クラレ社製商品名「N−720」等が好適に使用できる。
本発明では、繊維強化プラスチック成形体用シートを湿式抄紙し、強度縦横比を大きくしている。一般に、強度縦横比を大きくすると、繊維が一方向に並ぶ傾向となり、不織布の密度が高くなる傾向にある。その結果、不織布中の繊維間の交点が増加するため、バインダー成分の添加量を減少させることができ、少量のバインダーでも十分な表面強度が得られる。
(繊維形状)
本発明では、熱可塑性繊維と強化繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。また、バインダー繊維もチョップドストランドであることが好ましい。このような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シート中で、各種繊維を均一に混合することができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する際には、熱可塑性繊維、強化繊維、バインダー繊維のチョップドストランドを溶媒中に分散させ、その後溶媒を除去してウエブを形成する方法(湿式不織布法)が採用される。
(繊維強化プラスチック成形体)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、目的とする成形品の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。繊維強化プラスチック成形体用シートは、1枚単独、或いは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することができる。このように、一般的な繊維強化プラスチック成形体用シートの加熱加圧成形方法を用いて加工することにより、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体とすることができる。
本発明は強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を含有し、湿式抄紙法により形成された繊維強化プラスチック成形体用シートを、マトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することによって得られた繊維強化プラスチック成形体に関するものでもある。本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の中心面とほぼ平行であって、第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上である。
繊維強化プラスチック成形体用シートから繊維強化プラスチック成形体を成形する際には、具体的には、繊維強化プラスチック成形体用シートを150〜600℃の温度で加熱加圧成形することが好ましい。なお、加熱温度は、熱可塑性繊維が流動する温度であって強化繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体を成形する際の圧力としては、5〜20MPaが好ましい。また、所望の保持温度に到達するまでの昇温速度は3〜20℃/分が好ましく、所望の熱プレス温度での保持時間としては1〜30分、その後、成形体を取り出す温度(200℃以下)までは圧力を維持しながら、3〜20℃/分の冷却速度とするのが好ましい。更に、生産効率はやや落ちるものの、熱プレスの保持温度からマトリックス樹脂のガラス転移温度までは空冷でゆっくりと0.1〜3℃/分で冷却することも、強度向上の観点からは好ましい。また、急速加熱、急速冷却(ヒートアンドクール)成形を用いて熱プレス成形することも可能であり、その場合の昇温、冷却速度はそれぞれ30〜500℃/分である。更に、赤外線ヒーターによる場合は、温度として150〜600℃、好ましくは200〜500℃で1〜30分間加熱し、その後30〜150MPaの圧力で成形することができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上述した繊維強化プラスチック成形体用シートをマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形したものであることが好ましい。ここで用いられる繊維強化プラスチック成形体用シートは、強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を含有し、湿式抄紙法により形成された繊維強化プラスチック成形体用シートである。また、用いられる繊維強化プラスチック成形体用シートは、下記(a)及び(b)の条件で加熱加圧成形して得られる厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比を3以上とし得るものである。さらに繊維強化プラスチック成形体において強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の中心面とほぼ平行に存在させ得るものである。
(a)プレス圧を10MPa、プレス速度を3.5cm/secで加圧する。
(b)繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用シートを、上記(a)の条件で加圧しつつ、加熱した際に得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P≧0.7となるように加熱する。
本発明では、上記条件の繊維強化プラスチック成形体用シートをマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することにより、曲げ強度に優れ、かつ特定方向に強度が高められた繊維強化プラスチック成形体用を成形することができる。
本発明で得られる繊維強化プラスチック成形体は、力学的強度に優れ、かつ工業的に有用な生産性を兼ね備えているため、種々の用途に展開することができる。繊維強化プラスチック成形体の第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比は、3以上であればよく、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。なお、第1方向とは、繊維強化プラスチック成形体用シートにおける強化繊維の配向方向(MD方向)であり、第2方向とは、強化繊維の配向方向に直交する方向(CD方向)であることが好ましい。ここでは、第2方向の強度に対して第1方向の強度が3倍以上であり、4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。
また、本発明の繊維強化プラスチック成形体のMD方向の曲げ強度は、300MPa以上であることが好ましく、350MPa以上であることがより好ましく、400MPa以上であることがさらに好ましく、500MPa以上であることが特に好ましい。
繊維強化プラスチック成形体の厚みは、特に限定されないが、0.1〜50mm程度である。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上記のような構成により、所望の強度比を有し得る。
(繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造工程は、強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維とを混合する工程と、湿式不織布法によって繊維強化プラスチック成形体用シートを形成する工程を含む。
このような工程で形成される繊維強化プラスチック成形体用シートは、上記(a)及び(b)の条件で加熱加圧成形して得られる厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体において、第1方向の曲げ強度と、第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比を3以上とし得るものである。また、繊維強化プラスチック成形体において、強化繊維のうち大半の強化繊維が、繊維強化プラスチック成形体の中心面とほぼ平行に存在させ得るものである。
強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維とを混合する工程では、分散液の濃度や溶媒の粘度を調整することで、各繊維を十分に分散させることができる。溶媒の粘度は、ポリアクリルアミド系の高分子を添加する等の方法で調整できる。各繊維を十分に分散させることで、繊維強化プラスチック成形体用シート中の各繊維同士が均一に混抄される。これより、本シートを加熱加圧成形した繊維強化プラスチック成形体が、例えば、部分的に樹脂の割合が多くなるのを防ぐことができ、繊維強化プラスチックの曲げ強度を高める事ができる。混合する工程では、強化繊維を単繊維状に分散させることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程は、円網抄紙機を用いて抄紙する工程を含む。なお、繊維強化プラスチック成形体用シートを形成する工程では、強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維に加えてバインダー成分を添加することとしてもよい。
円網抄紙機を用いて抄紙を行う場合、円網抄紙機の円網の直径は50cm以上であることが好ましい。円網抄紙機の円網の直径を上記範囲とすることにより、強化繊維の配向方向を一方向とすることができ、かつ80%以上の強化繊維を繊維強化プラスチック成形体の中心面と平行となるように配向させることが可能となる。これにより、繊維強化プラスチック成形体において特定の方向の強度をより高めることができる。
円網抄紙機を用いて抄紙を行う場合の抄造速度は、抄速は3m/min以上であることが好ましく、5m/min以上であることがより好ましく、10m/min以上であることがさらに好ましい。抄造速度を上記範囲とすることにより、強化繊維の配向方向を一方向とすることができ、かつ80%以上の強化繊維を繊維強化プラスチック成形体の中心面と平行となるように配向させることが可能となる。これにより、繊維強化プラスチック成形体の特定の方向の強度をより高めることができる。
円網抄紙機で抄造する場合、抄層に原料を導入する方法に順流方式と逆流方式がある。順流方式はワイヤーの回転方向と同じ方向に原料が流れるように導入する方法であり、逆流方式はワイヤーの回転方向と逆の方向に原料が流れるように導入する方法である。本発明では、原料供給は逆流方式にするほうが、強化繊維が一方向に配向しやすくなるため好ましい。
また、繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程では、円網抄紙機の他に、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いてもよい。すなわち、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造工程において、繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程は、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程を含むものであってもよい。ここで、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程では、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.8以下となるように走行することを特徴とする。
なお、繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程は、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程を含むものであることが好ましく、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程を含むものであることがより好ましい。
ここで、ジェットワイヤー比とは、繊維のスラリー液の供給速度とワイヤー走行速度の比であり、繊維のスラリー液の供給速度/ワイヤー走行速度で表される。ジェットワイヤー比が1よりも大きい場合は、繊維のスラリー液の供給速度がワイヤーの走行速度よりも速く、この場合を「押し地合」という。また、ジェットワイヤー比が1よりも小さい場合は、繊維のスラリー液の供給速度はワイヤーの走行速度よりも遅く、この場合を「引き地合」という。
本発明の製造方法において、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いる場合、ジェットワイヤー比は0.8以下であればよく、0.7以下であることが好ましく、0.6以下でることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。このように、本発明の製造方法では、ジェットワイヤー比を上記範囲とすることにより、強化繊維の配向方向を一方向とすることができ、かつ特定条件で成形された繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内である繊維の占める割合を80%以上とすることができる。
繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程が傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程を含むものである場合、傾斜型抄紙機の傾斜ワイヤーに備えられている複数のウエットサクションボックスの吸引力を各々適宜調節することが好ましい。具体的には、傾斜ワイヤーの下流側のウエットサクションボックスの脱水量が多くなるように調節することが好ましい。通常、ウエットサクションボックスの吸引力を均一にした場合、ワイヤー上に堆積したウエットウエブの繊維の量が少ないワイヤーの上流側の脱水量が多くなり、ワイヤー上に堆積した繊維の量が多い下流側の脱水量が少なくなる傾向となる。このため、本発明では上流側の吸引力を下流側の吸引力より弱めて、傾斜ワイヤーの下流側のウエットサクションボックスの脱水量が多くなるように調節することにより、ワイヤー上の繊維強化プラスチック成形体用シートが均一に脱水される。こうして、均質な繊維強化プラスチック成形体用シートを製造することができる。また、傾斜ワイヤーの下流側のウエットサクションボックスの脱水量が多くなるように調節することにより、強化繊維とMD方向に配向させることができ、特定方向の強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
さらに、繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程では、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことが好ましい。すなわち、繊維強化プラスチック成形体用シートを形成する工程は、湿式不織布法で繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程と、バインダー成分を含む溶液等を不織布シートに内添、塗布又は含浸させる工程を含むことが好ましい。さらに、内添、塗布又は含浸後には、加熱乾燥させる工程を含む。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
なお、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用シートに内添、塗布又は含浸させた後は、その繊維強化プラスチック成形体用シートを急速に加熱することが好ましい。このような加熱工程を設けることにより、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用シートの表層領域に移行させることができる。さらに、バインダー成分を水掻き膜状に局在させることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下において、実施例1〜8はそれぞれ、参考例1〜8と読み替えるものとする。
<実施例1>
表1に示した単繊維強度・繊維長であるPAN系炭素繊維(台湾プラスチック株式会社製、CS815)と、ポリカーボネート樹脂繊維(ダイワボウポリテックス社製、限界酸素指数25)と、バインダー繊維としてPET/変性PET芯鞘バインダー繊維(ユニチカ社製 「メルティ4080」)を、質量比がPAN系炭素繊維35質量部に対しポリカーボネート樹脂繊維62質量部、芯鞘バインダー繊維3質量部となるように計量し、水中に投入した。更に、投入した水の量は、PAN系炭素繊維とポリカーボネート樹脂繊維の合計質量に対し200倍とした(すなわち、繊維スラリー濃度として0.5%)。
このスラリーに分散剤として商品名「エマノーン3199」(花王社製)を繊維(PAN系炭素繊維とポリカーボネート繊維の合計)100質量部に対し1質量部となるよう添加して攪拌し、繊維を水中に均一に分散させた繊維スラリーを作製した。
この繊維スラリーを円網抄紙機に逆流で、連続的に流送し、ウエットウエブを形成した。その後、当該抄紙機に備えられたヤンキードライヤー及び熱風ドライヤーを用いて180℃で加熱乾燥させた。これにより目付けが125g/m2である繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。なお、抄造速度は15m/minとした。また、円網抄紙機に繊維スラリーを流送し、ウエットウエブを形成する際、円網のバット内にアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤「スミフロック(MTアクアポリマー株式会社製)の水溶液を適宜添加し、スラリー粘度を1cps〜5cpsの範囲(B型粘度計測定)で調整しながら抄造した。
得られた各繊維強化プラスチック成形体用シートを、10枚積層し、プレス速度を3.5cm/secで上昇させ、プレス圧を10MPaとして255℃まで昇温し、60秒加熱加圧した後、70℃に冷却して厚み1.0mmの繊維強化プラスチック成形体を得た。繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度(g/cm3)をPとし、繊維強化プラスチック成形体用シートを条件(a)及び(b)で加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合の値を表に示した。
<実施例2〜5>
実施例1において、ウエットウエブを形成するための抄紙機を傾斜ワイヤーマシンに変更し、白水循環流量、アニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤、及び抄速を調整することにより、ジェットワイヤー比を表1の通り調整して、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例6>
炭素繊維の繊維長を表1の通りとした以外は、実施例5と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例7>
実施例1において、原料スラリーを順流で供給し、抄速を5m/minにした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例8>
炭素繊維の質量比を表1に示す通りとした以外は、実施例4と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例9>
炭素繊維を表1に示す単繊維強度の炭素繊維(東レ社製 T700)に変更した以外は、実施例8と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例10>
炭素繊維を表1に示す単繊維強度の炭素繊維(東レ社製 T800)に変更した以外は、実施例8と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例11>
ポリカーボネート繊維を、ナイロン6繊維(東レ社製 アミラン 100−3.3T×110K C4 15mm)に変更し、ホットプレスの温度を245℃に変更した以外は、実施例10と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例12>
炭素繊維の繊維長を表1に示す通りに変更した以外は、実施例11と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例13>
ナイロン6繊維を酸変性ポリプロピレン繊維(ダイワボウポリテック社製、PZAD 15mm)に変更し、繊維強化プラスチック成形体用シートの目付けを110g/m2に変更し、ホットプレスの温度を195℃に変更した以外は実施例11と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<実施例14>
ナイロン6繊維をポリエーテルイミド繊維(クラレ社製 2.2dtex×15mm)に変更し、ホットプレスの温度を300℃に変更した以外は、実施例11と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を成形した。
<比較例1及び2>
ジェットワイヤー比を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(評価)
<強化繊維と、繊維強化プラスチック成形体用シートとの角度の測定>
強化繊維と繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度は、以下の通り測定した。まず、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体について、MD方向の断面(図1(a)のB−B’線)を切り出した。MD方向の断面のイメージ図は図1(b)に示した。この断面の強化繊維を、三次元計測X線CT装置(ヤマト科学製:商品名「TDM1000−IS/SP」)で撮影し、三次元ボリュームレンダリングソフト(NVS製:「VG−Studio MAX」)にて断面の画像を得た。そして、得られた断面画像について、Z軸方向に任意に10本の10μmのライン∨を引き、そのラインに接して見える繊維全てについて、図2の白線で示したとおり、強化繊維と強化繊維プラスチック成形体の中心面とのなす角度を測定した。具体的には、強化繊維プラスチック成形体の中心面と平行な線はラインH(点線)で表しており、このラインHと強化繊維がなす角度を測定した。測定した繊維の本数は100〜130本程度とした。そして、測定した強化繊維の全本数に対する、強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内である繊維の占める繊維本数の割合を表1及び2に示した。
なお、図1(b)において、θ1は、強化繊維と強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内であり、θ2は、強化繊維と強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°の範囲を超えている。
<曲げ強度の測定>
得られた繊維強化プラスチック成形体を、JIS K 7074 炭素繊維強化 プラスチックの曲げ試験方法に従って測定した。なお、繊維強化プラスチック成形体の第1方向(マシンディレクション方向、以下MD方向とする)と第2方向(クロスディレクション方向、以下CD方向とする)は、以下の通り求めた。繊維強化プラスチック成形体の3辺(縦、横、厚さ)のうち、最短の辺を厚みとし、厚み方向に垂直の面を繊維強化プラスチック成形体の面とした。ここで、繊維強化プラスチック成形体の第1方向は、繊維強化プラスチック成形体の面上に存在する方向のうち、最も強度が強い方向である。また、第2方向は、面上に存在する方向であって、第1方向に直交する方向である。このため、繊維強化プラスチック成形体の第1方向は、繊維強化プラスチック成形体の面上の任意の1点を中心点とし、その中心点を基準として各方向(縦、横方向を含む面内に存在する方向)の強度を計測することで決定した。各方向の強度は中心点から10°刻みで36方向測定した。MD方向及びCD方向の強度と、MD方向とCD方向の強度比を表1及び2に示した。
Figure 0006369287
Figure 0006369287
表1及び2からわかるように、実施例1〜14では、一方向の強度が十分に高められている。また、強化繊維と強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内のものが80%を超えており、かつ繊維強化プラスチック成形体の一方向に配向されていることもわかる。
一方、比較例1及び2では、一方向の強度が高められていない。強化繊維と強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内のものが80%未満でありかつ、強化繊維の繊維配向が一方向に配向されていないこともわかる。
また、図2には、実施例6の図1(b)に示したような断面を三次元計測X線CT装置(ヤマト科学製:商品名「TDM1000−IS/SP」)で撮影し、三次元ボリュームレンダリングソフト(NVS製:「VG−Studio MAX」)にて得られた画像によって確認される繊維の配向状態を示している。なお、三次元計測X線CT装置における撮影条件は、電圧:40kV、管電流:22μA、画素数:512×512ピクセル、視野サイズ:2.0mmφ×2.0mmhとした。
図2に示されているように、強化繊維の全本数のうち80%以上が、強化繊維プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在していることがわかる。
なお、完全に繊維が一方向に並んでいれば、断面から見える繊維長は実際の繊維の繊維長と一致する。しかし、実際は、繊維が一方向に整列しているものが多いという状態は図3のようなものであり、僅かにMD方向に対して角度を持っている。そのため、断面を切断すると 繊維の一部のみが見えることとなる。しかし、この状態でも、繊維の方向性がランダムである状態よりは、一方向への強度が強くなることとなる。
本発明によれば、特定方向の強度が十分に高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートから成形される繊維強化プラスチック成形体は、一方向に機械的強度が要求される構造部品等に好ましく用いられ、産業上の利用可能性が高い。
10 繊維強化プラスチック成形体用シート
20 強化繊維

Claims (16)

  1. 強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を含有し、湿式抄紙法により形成された繊維強化プラスチック成形体用シートであって、
    前記繊維強化プラスチック成形体用シートを下記(a)及び(b)の条件で加熱加圧成形して得られる厚さ1mmの繊維強化プラスチック成形体においては、第1方向の曲げ強度と、前記第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上5.8以下であり、
    前記繊維強化プラスチック成形体においては、前記強化繊維の全本数のうち80%以上が、前記繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在し、
    前記強化繊維は、単繊維強度が4600MPa以上の炭素繊維であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シート;
    (a)プレス圧を10MPa、プレス速度を3.5cm/secで加圧する。
    (b)前記繊維強化プラスチック成形体用シートの真密度(g/cm3)をPとし、前記繊維強化プラスチック成形体用シートを、上記(a)の条件で加圧しつつ、加熱した際に得られる繊維強化プラスチック成形体のかさ密度(g/cm3)をQとした場合に、Q/P≧0.7となるように加熱する。
  2. バインダー成分をさらに含み、前記バインダー成分は、前記繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  3. 前記バインダー成分として、ポリエチレンテレフタレート又は変性ポリエチレンテレフタレート繊維を含むことを特徴とする請求項2記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  4. 前記強化繊維の繊維長が3〜100mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  5. 前記熱可塑性繊維は、ポリエーテルイミド繊維、ポリカーボネート繊維、ポリアミド繊維及びポリプロピレン繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  6. 前記熱可塑性繊維は、ポリプロピレン繊維であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成型体用シート。
  7. 前記ポリプロピレン繊維は、酸変性ポリプロピレン繊維であることを特徴とする請求項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  8. 前記熱可塑性繊維は、ナイロン繊維であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  9. 前記ナイロン繊維は、ナイロン6繊維であることを特徴とする請求項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  10. 前記強化繊維及び前記熱可塑性繊維は、チョップドストランドであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  11. 強化繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を含有し、湿式抄紙法により形成された繊維強化プラスチック成形体用シートを、前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することによって得られた繊維強化プラスチック成形体であって、
    第1方向の曲げ強度と、前記第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が3以上5.8以下であり、
    前記強化繊維の全本数のうち80%以上が、前記繊維強化プラスチック成形体の中心面となす角度が±20°以内となるように存在し、
    前記強化繊維は、単繊維強度が4600MPa以上の炭素繊維であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
  12. 前記繊維強化プラスチック成形体用シートは、請求項1〜10のいずれか1項に記載されている繊維強化プラスチック成形体用シートである請求項11に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  13. 前記繊維強化プラスチック成形体の第1方向の曲げ強度と、前記第1方向に直交する第2方向の曲げ強度の強度比が4以上であることを特徴とする請求項11または12に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  14. 前記繊維強化プラスチック成形体は、150〜600℃の温度で加熱加圧成形することにより形成されていることを特徴とする請求項1113のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  15. 単繊維強度が4600MPa以上の炭素繊維と、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維を混合し、湿式不織布法によって繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程を含み、
    前記繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程は、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程を含み、
    前記長網抄紙機又は前記傾斜型抄紙機のワイヤーは、ジェットワイヤー比が0.8以下となるように走行することを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  16. 前記繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程は、傾斜型抄紙機を用いて抄紙する工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
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