JPWO2018021336A1 - 複合成形体、複合成形体用中間体、複合成形体の製造方法および輸送機器用内装材 - Google Patents

複合成形体、複合成形体用中間体、複合成形体の製造方法および輸送機器用内装材 Download PDF

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Abstract

複合成形体1は、樹脂2と、樹脂2中に分散して設けられた繊維3と、樹脂2と繊維3との間に形成された空孔4と、を含み、比強度が30〜400MPa・(g/cm−1である。これにより、軽量化と高い機械的特性とを両立させた複合成形体を提供することができる。

Description

本発明は、複合成形体、複合成形体用中間体、複合成形体の製造方法および輸送機器用内装材に関する。
航空機や自動車の内装等に用いられる構造材料は、さらなる軽量化が求められている。軽量化によって航空機や自動車の燃料消費量を抑えることができる。
このような構造材料として、ガラス繊維等の強化繊維と、ポリプロピレン等の樹脂と、を混合させてなる混合物(抄造シート)を加熱しつつ加圧成形して得られる繊維強化樹脂が用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の繊維強化樹脂では、繊維が3次元のあらゆる方向を向いて相互に絡まっている。これにより、繊維強化樹脂の補強が図られている。
また、この特許文献1では、繊維強化樹脂の成形時に強化繊維のスプリングバックを利用して抄造シートを膨張させ、繊維強化樹脂の密度を低下させることが開示されている。これにより、防音性や断熱性を備えた繊維強化樹脂を得ることができる。
特開2016−016541号公報
近年、構造材料のさらなる軽量化の要請は強い。このため、繊維強化樹脂の密度をさらに低下させることが求められている。
しかしながら、繊維強化樹脂の密度を低下させた場合、繊維強化樹脂の機械的強度が低下する。その結果、繊維強化樹脂は、構造材料としての役割を果たせなくなるおそれがある。
本発明の目的は、軽量化と高い機械的特性とを両立させた複合成形体および輸送機器用内装材、幅広い空孔率の複合成形体へ容易に製造可能な複合成形体用中間体、ならびに、前記複合成形体を効率よく製造可能な複合成形体の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 樹脂と、前記樹脂中に分散して設けられた繊維と、前記樹脂と前記繊維との間に形成された空孔と、を含み、比強度が30〜400MPa・(g/cm−1であることを特徴とする複合成形体。
(2) 空孔率が5〜90%である上記(1)に記載の複合成形体。
(3) 前記繊維の平均長さは、1mm以上である上記(1)または(2)に記載の複合成形体。
(4) 前記繊維は、無機繊維である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の複合成形体。
(5) 前記樹脂は、熱可塑性樹脂を含む上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の複合成形体。
(6) 2分総発熱量が50[kW・min/m]以下であり、最大発熱速度が50[kW/m]以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の複合成形体。
(7) 前記樹脂の融点は、200〜400℃である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の複合成形体。
(8) 樹脂と、前記樹脂よりも融点が高い繊維と、空孔と、を含み、
空孔率が25〜99%であり、
加熱されたとき成形性を有することを特徴とする複合成形体用中間体。
(9) 前記樹脂の融点は、200〜400℃である上記(8)に記載の複合成形体用中間体。
(10) 前記樹脂は、繊維状をなしている上記(8)または(9)に記載の複合成形体用中間体。
(11) 前記繊維は、無機繊維である上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の複合成形体用中間体。
(12) 融点が200〜400℃の樹脂と、前記樹脂よりも融点が高い繊維と、を含む分散液を抄造し、中間体を得る工程と、
前記中間体を加熱しつつ加圧成形することにより、前記樹脂の少なくとも一部を溶融させ、複合成形体を得る工程と、
を有することを特徴とする複合成形体の製造方法。
(13) 前記樹脂は、繊維状をなしている上記(12)に記載の複合成形体の製造方法。
(14) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の複合成形体を備えることを特徴とする輸送機器用内装材。
本発明によれば、軽量化と高い機械的特性とを両立させた複合成形体および輸送機器用内装材が得られる。
また、本発明によれば、幅広い空孔率の複合成形体へ容易に製造可能な複合成形体用中間体が得られる。
また、本発明によれば、軽量化と高い機械的特性とを両立させた複合成形体を効率よく製造することができる。
図1は、本発明の複合成形体の実施形態を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の複合成形体の製造方法の実施形態を説明するための図である。 図3は、本発明の複合成形体の製造方法の実施形態を説明するための図である。 図4は、本発明の複合成形体の製造方法の実施形態を説明するための図である。 図5は、本発明の複合成形体の製造方法の実施形態を説明するための図である。 図6は、本発明の複合成形体の製造方法の実施形態を説明するための図である。 図7は、本発明の輸送機器用内装材の実施形態を模式的に示す斜視図である。 図8は、設定した成形圧力と、その成形圧力での加圧成形によって得られた複合成形体の密度と、の関係を示すグラフである。
以下、本発明の複合成形体、複合成形体用中間体、複合成形体の製造方法および輸送機器用内装材について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<複合成形体>
まず、本発明の複合成形体の実施形態について説明する。
図1は、本発明の複合成形体の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図1に示す複合成形体1は、樹脂2と、樹脂2中に分散して設けられた繊維3と、樹脂2と繊維3との間に形成された空孔4と、を含む。また、複合成形体1の比強度は、30〜400MPa・(g/cm−1である。このように、複合成形体1は、硬化している樹脂2のマトリックスに繊維3と空孔4とが分散した構造を有し、さらに、上記範囲の比強度を有している。このような複合成形体1によれば、軽量化と高い機械的特性とを両立させることができる。これにより、例えば輸送機器用内装材のように、軽量化と高い機械的特性の双方を求められる分野の構造材料として有用な成形体が得られる。
また、このような複合成形体1は、所望の形状に成形されている。すなわち、複合成形体1は、用途に応じて最適な形状をとり得るため、例えば内装材としての高い有用性を有する。なお、かかる観点から、複合成形体1の形状は、シート状(2次元形状)であっても、立体形状(3次元形状)であってもよい。
以下、複合成形体1を構成する成分について詳述する。
(樹脂)
樹脂2は、複合成形体1に成形性や保形性を付与したり、繊維3同士を結着するバインダーとして機能したりする。したがって、樹脂2としては、このような機能を有するものであれば特に限定されない。例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタンのような熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン等)、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミドのような熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、樹脂2は、これらのうちの少なくとも1種を含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
一方、樹脂2は、特に熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。これにより、複合成形体1の成形性を特に高めることができ、より寸法精度が高い複合成形体1が得られる。
さらに、樹脂2は、熱可塑性樹脂の中でもスーパーエンジニアリングプラスチックを含むことが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂がもたらす効果に加え、高い機械的特性という効果が複合成形体1に付加されることとなる。なお、スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂等が挙げられる。
樹脂2の融点は、特に限定されないが、200〜400℃であるのが好ましい。このような樹脂2を用いることにより、複合成形体1の機械的特性および耐熱性を十分に高めることができる。これにより、例えば輸送機器用内装材等に複合成形体1が適用された場合、難燃性に優れた内装材が得られる。
また、樹脂2の融点は、より好ましくは210〜390℃とされ、さらに好ましくは260〜380℃とされる。これにより、例えば輸送機器用内装材等に複合成形体1が適用された場合、難燃性により優れた内装材が得られる。
なお、樹脂2の融点が前記下限値を下回ると、樹脂2の機械的特性および耐熱性が不十分になる。このため、複合成形体1の構成によっては、複合成形体1の高温時の機械的強度が低下したり、耐熱性に基づく難燃性が低下したりするおそれがある。一方、樹脂2の融点は前記上限値を上回ってもよいが、それに伴って一部の物性(例えば耐衝撃性等)が低下するおそれがある。
なお、樹脂2の融点は、原則として結晶融点のことであり、例えば、示差走査熱量計(DSC−2920、TAインスツルメント社製)により測定できる。
また、樹脂2に結晶融点が存在せずガラス転移温度が存在する場合には、本発明における樹脂2の融点はガラス転移温度も含むものとする。このガラス転移温度も、上記の示差走査熱量計により測定可能である。
さらに、樹脂2が熱硬化性樹脂の場合であって結晶融点もガラス転移温度も存在しない場合には、本発明における樹脂2の融点は熱硬化性樹脂の硬化物の耐熱温度も含むものとする。この耐熱温度は、JIS K 6911:1995の熱可塑性プラスチック一般試験方法に規定されている荷重たわみ温度とする。
(繊維)
繊維3は、複合成形体1の機械的特性を向上させたり、熱伝導性を高めたりする。
このような繊維3は、例えば、繊維糸または長い繊維束を所定の長さに切断することによって得られる。
繊維3の平均長さは、特に限定されないが、1mm以上であるのが好ましく、2mm以上であるのがより好ましく、4mm以上であるのがさらに好ましい。繊維3の平均長さを前記範囲内に設定することにより、複合成形体1の機械的特性を十分に高めることができる。特に樹脂2の機械的特性が比較的低い場合であっても、繊維3によってそれを十分に補うことができる。その結果、機械的特性が特に良好な複合成形体1が得られる。
なお、繊維3の平均長さの上限値は、特に限定されないが、例えば100mm以下であるのが好ましく、50mm以下であるのがより好ましい。これにより、複合成形体1を製造するにあたって繊維3を分散媒に分散させるとき、その分散性が良好になる。その結果、均質な構造の成形体が得られるため、最終的に機械的特性に優れた複合成形体1が得られる。
なお、繊維3の平均長さは、次のように測定される。複合成形体1の樹脂2を溶解する等して取り出された任意の100本以上の繊維3について、それらの長さを測定する。得られた長さの測定値を平均した値を繊維3の平均長さとする。
また、繊維3の平均径は、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜80μm程度であるのがより好ましい。繊維3の平均径を前記範囲内に設定することにより、複合成形体1の機械的特性を高めつつ、複合成形体1を製造するときの成形性を高めることができる。
なお、繊維3の平均径は、次のように測定される。複合成形体1の樹脂2を溶解する等して取り出された任意の100本以上の繊維3について、それらの径を測定する。得られた径の測定値を平均した値を繊維3の平均径とする。
また、繊維3の径に対する長さの比(長さ/径)は、10以上であるのが好ましく、100以上であるのがより好ましい。これにより、繊維3が上記のような効果をより確実に発揮する。
このような繊維3としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、ステンレス鋼繊維、黄銅繊維、チタン繊維、鋼繊維、リン青銅繊維のような金属繊維、綿繊維、絹繊維、木質繊維のような天然繊維、アルミナ繊維のようなセラミック繊維、全芳香族ポリアミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)(PBZT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含むものが用いられる。
このうち、繊維3としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維およびセラミック繊維のような無機繊維が好ましく用いられる。引張強度等の機械的特性に優れている無機繊維を用いることにより、複合成形体1の機械的特性を特に高めることができる。
なお、繊維3には、必要に応じて、カップリング剤処理、界面活性剤処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、プラズマ照射処理等の表面処理が施されていてもよい。
このうち、カップリング剤としては、例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランのようなアミノ基含有アルコキシシラン、およびそれらの加水分解物等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含むものが用いられる。
複合成形体1における繊維3の含有量は、特に限定されないが、樹脂2の5〜300体積%程度であるのが好ましく、10〜150体積%程度であるのがより好ましく、20〜90体積%程度であるのがさらに好ましい。繊維3の含有量を前記範囲内に設定することにより、樹脂2と繊維3との量的なバランスが最適化される。このため、複合成形体1が空孔4を含む場合であっても、複合成形体1の機械的特性を特に高めることができる。すなわち、繊維3の含有量が前記下限値を下回ると、繊維3の含有量が相対的に不足するため、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料および空孔率等によっては、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。一方、繊維3の含有量が前記上限値を上回ると、樹脂2の含有量が相対的に不足するため、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料および空孔率等によっては、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。
なお、図1に示す繊維3の形状は、一例であり、図示したような直線状には限定されない。
(空孔)
空孔4は、複合成形体1に内包されている空間のことをいう。この空孔4は、その1つ1つまたは複数個が連結したものが系外と隔離されている(樹脂2等によって取り囲まれている)空間になっている状態(独立気泡)であってもよく、系外と連通している(複合成形体1の外部に露出している)空間になっている状態(連続気泡)であってもよい。
このうち、特に限定されるものではないが、独立気泡が連続気泡よりも多いことが好ましい。これにより、複合成形体1が空孔4を含んでいても、複合成形体1の機械的特性がより低下し難くなる。これは、独立気泡が圧壊し難いので、それに伴って複合成形体1の機械的強度が低下し難いことによる。
なお、独立気泡が連続気泡より多いとは、複合成形体1の断面を拡大観察したとき、その独立気泡が占める面積の合計が、連続気泡が占める面積の合計より大きい状態をいう。
複合成形体1が空孔4として独立気泡を含む場合、空孔4の平均径は、特に限定されないが、2〜300μm程度であるのが好ましく、5〜200μm程度であるのがより好ましい。これにより、空孔4による複合成形体1の軽量化と、空孔4による複合成形体1の機械的特性の低下の抑制と、を両立させることができる。すなわち、空孔4の平均径が前記下限値を下回る場合、空孔率によっては、複合成形体1の軽量化が難しくなるおそれがある。一方、空孔4の平均径が前記上限値を上回る場合、空孔率によっては、空孔4が屈折や亀裂等の起点になり易くなるため、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。
なお、空孔4の平均径は、複合成形体1の断面から各空孔4の面積と同じ面積を持つ円をそれぞれ仮想したとき、それらの円の直径(円相当径)の平均値として求められる。
複合成形体1の空孔率は、特に限定されないが、5〜90%程度であるのが好ましく、10〜90%程度であるのがより好ましく、15〜87.5%程度であるのがさらに好ましく、20〜85%程度であるのが特に好ましい。空孔率を前記範囲内に設定することにより、複合成形体1の軽量化と機械的特性とをバランスよく両立させることができる。すなわち、空孔率が前記下限値を下回ると、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料等によっては、複合成形体1の軽量化が不十分になるおそれがある。一方、空孔率が前記上限値を上回ると、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料等によっては、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。また、空孔4が独立気泡を含む場合には、複合成形体1の断熱性が向上する。これにより、複合成形体1における熱伝導性が低下するので、難燃性を高めることができる。
なお、複合成形体1の空孔率は、例えば複合成形体1の断面の面積において、空孔4が占める面積の割合(空孔4の面積率)として求められる。
(パルプ)
複合成形体1は、必要に応じてパルプを含んでいてもよい。パルプとは、フィブリル構造を有する繊維材料であり、上記繊維3とは異なるものである。パルプは、例えば、繊維材料を機械的または化学的にフィブリル化することによって得ることができる。
パルプとしては、例えば、リンターパルプ、木材パルプのようなセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹のような天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)およびその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維およびそれらの共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維のような有機繊維等をフィブリル化したものが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
また、複合成形体1におけるパルプの含有量は、特に限定されないが、樹脂2の0.5〜10質量%程度であるのが好ましく、1〜8質量%程度であるのがより好ましく、1.5〜5質量%程度であるのがさらに好ましい。これにより、機械的特性や熱伝導性がより良好な複合成形体1を実現することができる。
(凝集剤)
複合成形体1は、必要に応じて凝集剤を含んでいてもよい。
凝集剤としては、例えば、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
より具体的には、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
また、複合成形体1における凝集剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂2の0.01〜1.5質量%程度であるのが好ましく、0.05〜1質量%程度であるのがより好ましく、0.1〜0.5質量%程度であるのがさらに好ましい。これにより、複合成形体1を例えば抄造法により製造するとき、脱水処理等を容易かつ安定的に行うことができ、最終的に均質で機械的特性に優れた複合成形体1が得られる。
(その他の添加剤)
複合成形体1は、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。
かかる添加剤としては、例えば、無機粉末、金属粉、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、硬化触媒、硬化促進剤、顔料、耐光剤、帯電防止剤、抗菌剤、導電剤、分散剤等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
ここで、複合成形体1の比強度は、30〜400MPa・(g/cm−1とされる。これにより、軽量化と機械的特性の向上との両立が図られた複合成形体1が得られる。なお、比強度が前記下限値を下回ると、重い割には曲げ強度が小さいといえるので、例えば輸送機器用内装材のように、軽量化と高い機械的特性の双方を求められる分野の構造材料としては不適当になるおそれがある。一方、比強度が前記上限値を上回ると、軽い割には曲げ強度が大きいといえるが、その他の物性とのバランスによっては耐衝撃性が低下したり、製造条件によるバラツキが出やすくなるため、製造歩留まりを高め難くなったりするおそれがある。
また、複合成形体1の比強度は、40〜350MPa・(g/cm−1程度であるのが好ましく、50〜300MPa・(g/cm−1程度であるのがより好ましく、50〜250MPa・(g/cm−1程度であるのがさらに好ましい。
なお、複合成形体1の比強度は、曲げ強度(単位:MPa)を密度(単位:g/cm)で除することによって求められる。
また、複合成形体1は、以下のような特性を有することが好ましい。
まず、複合成形体1の密度は、特に限定されないが、0.05〜1.6g/cm程度であるのが好ましく、0.1〜1.55g/cm程度であるのがより好ましく、0.2〜1.5g/cm程度であるのがさらに好ましい。これにより、軽量化と機械的特性の向上とを両立させた複合成形体1が得られる。
なお、密度は、JIS K 7112:1999にA法として規定されている試験方法に準じて測定される。
また、複合成形体1の曲げ強度は、特に限定されないが、50〜400MPa程度であるのが好ましく、70〜350MPa程度であるのがより好ましく、100〜300MPa程度であるのがさらに好ましい。これにより、十分に機械的特性が高い複合成形体1が得られる。
なお、複合成形体1の曲げ強度は、室温(25℃)において、ISO178:2001に規定されている試験方法に準じて測定される。
また、複合成形体1の比弾性率は、特に限定されないが、2〜30GPa・(g/cm−1程度であるのが好ましく、3〜25GPa・(g/cm−1程度であるのがより好ましく、4〜20GPa・(g/cm−1程度であるのがさらに好ましい。これにより、軽量化と機械的特性の向上との両立が図られた複合成形体1が得られる。
なお、複合成形体1の比弾性率は、曲げ弾性率(単位:GPa)を密度(単位:g/cm)で除することによって求められる。そして、曲げ弾性率は、室温(25℃)において、ISO178:2001に規定されている試験方法に準じて測定される。
また、複合成形体1の最大発熱速度(Peak Heat Release Rate)は、特に限定されないが、50kW/m以下であるのが好ましく、45kW/m以下であるのがより好ましく、40kW/m以下であるのがさらに好ましい。これにより、複合成形体1の軽量化を図りつつも、難燃性をより高めることができる。すなわち、軽量化と難燃性との両立を図ることができる。
なお、複合成形体1の最大発熱速度の下限値は、特に限定されないが、例えば1kW/m以上とされる。これにより、軽量化と難燃性とのバランスを最適化することができる。そして、このような複合成形体1を例えば輸送機器用内装材に適用することにより、求められる軽量化(軽量性)と難燃性とを高度に両立した内装材が実現される。
この最大発熱速度は、FAR25.853(Appendix F,Part IV)に準拠したヒートリリース試験により測定されるものである。
また、複合成形体1の2分総発熱量(Total Heat Release w/in First 2 Minutes)は、特に限定されないが、50kW・min/m以下であるのが好ましく、45kW・min/m以下であるのがより好ましく、40kW・min/m以下であるのがさらに好ましい。これにより、複合成形体1の軽量化を図りつつも、難燃性をより高めることができる。すなわち、軽量化と難燃性との両立を図ることができる。
なお、複合成形体1の2分総発熱量の下限値は、特に限定されないが、例えば1kW・min/m以上とされる。これにより、軽量化と難燃性とのバランスを最適化することができる。そして、このような複合成形体1を例えば輸送機器用内装材に適用することにより、求められる軽量化(軽量性)と難燃性とを高度に両立した内装材が実現される。
この2分総発熱量は、FAR25.853(Appendix F,Part IV)に準拠したヒートリリース試験により測定されるものである。
そして、上述した最大発熱速度と2分総発熱量は、その双方が上記範囲内にあることが好ましい。これにより、軽量化と難燃性とのバランスをより高度に最適化した複合成形体1が得られる。このような複合成形体1は、例えば輸送機器用内装材として特に有用なものとなる。
<複合成形体の製造方法>
次に、本発明の複合成形体の製造方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、一例として、前述した複合成形体1を製造する方法について説明する。
図2〜6は、それぞれ本発明の複合成形体の製造方法の実施形態を説明するための図である。
本実施形態に係る複合成形体1の製造方法は、樹脂2と繊維3とを含む分散液を抄造し中間体10(本発明の複合成形体用中間体の実施形態)を得る工程と、中間体10を加熱しつつ加圧成形することにより、樹脂2の少なくとも一部を溶融させ、複合成形体1を得る工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、図2に示すように、樹脂2と繊維3とこれらを分散させる分散媒5とを含む分散液6を調製する。調製した分散液6は、十分に撹拌、混合される。なお、分散液6には、必要に応じて、前述した凝集剤やパルプ、その他の添加剤等が添加されていてもよい。
なお、樹脂2としては、例えば融点が200〜400℃である樹脂が用いられる。
また、樹脂2の形状は、特に限定されず、略球形粒子状、薄膜粒子状等の粒子状(粉状)であってもよいが、繊維状をなしているのが好ましい。これにより、後述する抄造において、繊維3とともに樹脂2を抄きとることができる。その結果、樹脂2と繊維3とを絡み合わせることができ、見かけ密度の小さい中間体を容易に得ることができる。なお、図2やその他の図では、樹脂2を波線で表しているが、これは繊維状の樹脂2を模式的に示したものであり、形状の一例である。
なお、樹脂2が熱硬化性樹脂を含む場合、その熱硬化性樹脂は半硬化状態であることが好ましい。半硬化の熱硬化性樹脂は、中間体10を製造後、加熱、加圧によって所望の形状に成形されて硬化に至る。これにより、熱硬化性樹脂の特性を生かした複合成形体1が得られることとなる。
一方、繊維3としては、例えば樹脂2よりも融点が高い繊維が用いられる。このような繊維3を用いることにより、後述する工程において中間体を加熱しつつ加圧成形するとき、樹脂2のみを選択的に溶融させることができる。これにより、樹脂2を繊維3の周辺で溶融、分散させることができ、均質な複合成形体1が得られる。
繊維3の融点は、樹脂2の融点よりも高いことが好ましく、さらにはその差は10℃以上であるのがより好ましく、50℃以上であるのがさらに好ましい。
このうち、繊維3としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維およびセラミック繊維のような無機繊維が好ましく用いられる。引張強度等の機械的特性に優れている無機繊維を用いることにより、複合成形体1の機械的特性を特に高めることができる。また、無機繊維は、一般に融点が非常に高いので、中間体10が加熱されたとき、ほとんど溶融するおそれがない。このため、樹脂2の構成材料として融点の高い材料を用いた場合でも、確実に複合成形体1を製造することができる。
また、分散媒5としては、樹脂2や繊維3を溶解させ難く、かつ、樹脂2や繊維3を分散させる過程において揮発し難いものが好ましく用いられる。また、脱溶媒させ易いものが好ましく用いられる。かかる観点から、分散媒5の沸点は50〜200℃程度であるのが好ましい。
分散媒5としては、例えば、水、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチルのようなエステル類、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールのようなエーテル類等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
これらの中でも、水が好ましく用いられる。水は、入手が容易であり、環境負荷が低く安全性も高いことから、分散媒5として有用である。
続いて、調製した分散液6を抄造する。これにより、複合成形体1を製造するための中間体10(複合成形体用中間体)を得る。
具体的には、まず、図3に示すように、底面にフィルター71が設けられた容器70を用意する。
次に、容器70内に分散液6を供給する。そして、分散液6中の分散媒5を、フィルター71を介して容器70の底面から外部へ排出する。これにより、分散液6中の分散質である樹脂2と繊維3とがフィルター71上に残存する(抄造)。以上のようにしてフィルター71上に中間体10を得る。
このとき、フィルター71の形状を適宜選択することにより、所望の形状を有する中間体10を製造することができる。
このようにして得られた中間体10は、分散媒5を含んでいても、含んでいなくてもよい。
その後、必要に応じて、図4に示すように、プレス型72とプレス型73との間に中間体10を配置し、プレス型72とプレス型73との間に形成される図示しないキャビティーによって中間体10を加圧成形する。
例えば、プレス型72を矢印Pのように降下させることにより、プレス型72とプレス型73との間で中間体10が圧縮される。これにより、中間体10に残存していた分散媒5を十分に排出し、中間体10を乾燥することができる。
なお、必要に応じて、さらに乾燥機等で中間体10を乾燥するようにしてもよい。
このようにして得られた中間体10は、樹脂2と繊維3とを含み、見かけ密度が小さいものである。すなわち、樹脂2と繊維3とが絡まり合っているため、これらの間には相対的に大きな容積の空隙が生じている。このため、中間体10の全体の見かけ密度が小さくなっている。特に、樹脂2が繊維状をなしている場合、樹脂2と繊維3との絡み合いが非常に複雑になる。このため、両者の間に極めて大きな容積の空隙が伴うこととなり、中間体10の見かけ密度は特に小さくなる。その結果、かかる中間体10は、後述するように、幅広い範囲の空孔率の複合成形体1を容易に製造可能なものとなる。
繊維状をなす樹脂2の平均長さは、特に限定されないが、1mm以上であるのが好ましく、2mm以上であるのがより好ましく、4mm以上であるのがさらに好ましい。繊維状をなす樹脂2の平均長さを前記範囲内に設定することにより、繊維状をなす樹脂2と繊維3との絡み合いの程度がさらに大きくなる。これにより、製造される複合成形体1において実現可能な空孔率の幅をより広くとることができる。
なお、繊維状をなす樹脂2の平均長さの上限値は、特に限定されないが、例えば100mm以下であるのが好ましく、50mm以下であるのがより好ましい。これにより、複合成形体1を製造するにあたって繊維状をなす樹脂2を分散媒に分散させるとき、その分散性が良好になる。その結果、均質な構造の成形体が得られるため、最終的に機械的特性に優れた複合成形体1が得られる。
なお、繊維状をなす樹脂2の平均長さとは、任意の100本以上の繊維状をなす樹脂2について、その長さを測定し、平均した値のことをいう。
また、繊維状をなす樹脂2の平均長さは、繊維3の平均長さの10〜1000%程度であるのが好ましく、20〜500%程度であるのがより好ましい。これにより、繊維状をなす樹脂2と繊維3との絡まり合いの程度がより顕著になるため、中間体10の保形性がより良好になるとともに、より幅広い範囲の空孔率の複合成形体1を容易に製造可能な中間体10が得られる。
また、繊維状をなす樹脂2の平均径は、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜80μm程度であるのがより好ましい。繊維状をなす樹脂2の平均径を前記範囲内に設定することにより、繊維状をなす樹脂2自体がある程度の機械的強度を有するものとなるため、中間体10において繊維状をなす樹脂2が均一に分散した状態を維持し易くなる。その結果、製造される複合成形体1において実現可能な空孔率の幅をより広くとることができる。
なお、繊維状をなす樹脂2の平均径とは、任意の100本以上の繊維状をなす樹脂2について、その径を測定し、平均した値のことをいう。
また、繊維状をなす樹脂2の径に対する長さの比(長さ/径)は、10以上であるのが好ましく、100以上であるのがより好ましい。これにより、繊維状をなす樹脂2が上記のような効果をより確実に発揮する。
このように、中間体10は、樹脂2と、樹脂2よりも融点が高い繊維3と、空孔8と、を含む(図5参照)。そして、中間体10は、空孔8を多く含むこととなり、空孔率が高いものとなる。具体的には、中間体10の空孔率は、特に限定されないが、25〜99%程度であるのが好ましく、40〜99%程度であるのがより好ましい。このような中間体10は、非常に高い空孔率を有するとともに、後述する工程において加熱されたときに成形性を有するものとなる。この成形性は、樹脂2を加熱して溶融することにより発現するものである。樹脂2を溶融し、加圧成形すると、空孔8が樹脂2によって埋められる。その結果、空孔率は徐々に低下する。したがって、樹脂2の溶融量および加圧力等に応じて、最終的に得られる複合成形体1の空孔率が決まることとなる。
これらのことから、中間体10が前述したような高い空孔率を有することにより、製造される複合成形体1の空孔率を幅広い範囲で調整することが可能になる。その結果、目的とする空孔率の複合成形体1を容易に製造することができる。
なお、中間体10が含む空孔8は、ほぼ全てが連続気泡になっている可能性が高い。このため、中間体10の外形から求めた見かけの体積と、中間体10を水に浸漬することによって求められる連続気泡を除いた体積と、の差を計算することにより、空孔8の体積率、すなわち空孔率を求めることができる。
また、中間体10は、さらに、融点が200℃未満である熱可塑性樹脂(以下、「低融点樹脂」という。)が含まれることが好ましい。この低融点樹脂が含まれることにより、中間体10の保形性をより高めることができる。すなわち、中間体10が加圧成形における加熱温度よりも低温で加熱されたとき(例えば乾燥等)、低融点樹脂が溶融して繊維3同士、樹脂2同士または樹脂2と繊維3との間を結着する。これにより、中間体10はその形状を維持し易くなる。その結果、最終的に得られる複合成形体1についても、目的とする空孔率が得られ易くなるとともに、寸法精度や機械的特性についても低下し難くなる。また、中間体10が型崩れし難くなるため、中間体10を把持し易くなり、可搬性が高くなる。これにより、中間体10を梱包したり、搬送したりする作業をより容易に行うことができる。
溶融する前の低融点樹脂の形状は、特に限定されず、略球形粒子状、薄膜粒子状等の粒子状(粉状)をなしていてもよく、繊維状をなしていてもよい。
また、中間体10における低融点樹脂の含有量は、特に限定されないが、0.5〜30体積%程度であるのが好ましく、1〜20体積%程度であるのがより好ましく、2〜10体積%程度であるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果を損なうことなく、低融点樹脂を添加することによる中間体10の保形性を高めるという効果が必要かつ十分に確保される。
低融点樹脂の融点は、樹脂2の融点から10〜250℃程度低いのが好ましく、50〜200℃程度低いのが好ましい。このような融点の差があることにより、低融点樹脂が乾燥等の工程において溶融するとともに、加圧成形の際には熱分解して除去され易くなる。このため、低融点樹脂が持つ機能を最大限に発揮させることができる。すなわち、中間体10においては低融点樹脂がその形状を維持させるように働き、複合成形体1においては低融点樹脂が多く存在することによる機械的特性の低下を抑制することができる。
中間体10における繊維3の含有量は、特に限定されないが、樹脂2の20〜300体積%程度であるのが好ましく、30〜150体積%程度であるのがより好ましく、40〜90体積%程度であるのがさらに好ましい。繊維3の含有量を前記範囲内に設定することにより、樹脂2と繊維3との量的なバランスが最適化されるため、中間体10の保形性を高めつつ、より幅広い範囲で空孔率を調整しつつ複合成形体1を製造可能な中間体10が得られる。なお、繊維3の含有量が前記下限値を下回ると、繊維3の含有量が相対的に不足するため、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料および空孔率等によっては、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。一方、繊維3の含有量が前記上限値を上回ると、樹脂2の含有量が相対的に不足するため、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料および空孔率等によっては、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。
[2]次に、中間体10を加熱しつつ加圧成形する。これにより、中間体10中の樹脂2の少なくとも一部を溶融させ、複合成形体1を得る。
具体的には、図6に示すように、成形型74と成形型75との間に中間体10を配置し、成形型74と成形型75との間に形成される図示しないキャビティーによって中間体10を加圧成形する。
例えば、成形型74を矢印Pのように降下させることにより、成形型74と成形型75との間で中間体10が圧縮される。このとき、同時に加熱されるため、樹脂2の少なくとも一部が溶融し、繊維3同士の間に流れ込み、繊維3同士を結着するバインダーとして機能する。また、それとともに、中間体10の空孔8の一部が溶融した樹脂2によって充填される。そして、加圧成形によって全体の体積も減少するとともに、目的とする形状に変形していく。その結果、繊維3同士が溶融した樹脂2によって結着され、かつ、中間体10よりも空孔率が減少した複合成形体1が得られる。なお、図6は、中間体10が複合成形体1になった後の状態を示している。
また、成形後の冷却によって樹脂2が硬化(固化も含む。以下同様。)するため、中間体10は、その内部に空孔を内包したまま硬化に至る。その結果、図6に示すように、樹脂2と繊維3と空孔4とを含む複合成形体1が得られる。
本工程において減少する空孔率の減少幅は、中間体10の加熱条件や加圧条件に応じて調整可能である。すなわち、加熱温度を低くしたり、加熱時間を短くしたり、加圧力を小さくしたりしたときには、空孔率の減少幅を相対的に小さくすることができる。一方、加熱温度を高くしたり、加熱時間を長くしたり、加圧力を大きくしたりしたときには、空孔率の減少幅を相対的に大きくすることができる。その結果、製造される複合成形体1における空孔率の変化幅を十分に広くとりながら、複合成形体1を製造することができる。すなわち、目的とする空孔率を有する複合成形体1を製造することができる。なお、高い空孔率の複合成形体1を得たい場合は、中間体10と成形型74および成形型75との間にスペーサーを設けたうえで、中間体10を加熱、加圧成形することが好ましい。これにより、高い空孔率を有する複合成形体1を容易に得ることができる。
加圧成形に伴う空孔率の減少幅は、特に限定されないが、5〜90%程度であるのが好ましく、10〜80%程度であるのがより好ましい。このような範囲の減少幅は、樹脂2が必要かつ十分に溶融し、繊維3同士を結着していることの証左であるといえる。したがって、これにより、軽量化と高い機械的特性との両立が図られた複合成形体1が得られる。
加圧成形時の成形圧力は、特に限定されないが、0.03〜13MPa程度であるのが好ましく、0.05〜10MPa程度であるのがより好ましく、0.1〜8MPa程度であるのがさらに好ましい。成形圧力を前記範囲内に設定することにより、中間体10の樹脂2と繊維3とが十分な頻度で接触するため、溶融した樹脂2によって繊維3同士を確実に結着させることができる。その結果、複合成形体1の保形性をより高めることができる。なお、成形圧力が前記下限値を下回ると、接触頻度が低下し、中間体10の空孔率によっては複合成形体1の機械的特性が不十分になるおそれがある。一方、成形圧力が前記上限値を上回ると、接触頻度が過剰になるため、中間体10の空孔率によっては複合成形体1の空孔率が小さくなり過ぎて軽量化が不十分になるおそれがある。
また、加圧成形時の加熱温度は、樹脂2の融点に応じて適宜設定され特に限定されないが、150〜350℃程度であるのが好ましく、160〜300℃程度であるのがより好ましい。
また、このときの加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定されるが、5〜180分程度であるのが好ましく、10〜60分程度であるのがより好ましい。
加熱条件を上記のように設定することで、樹脂2を必要かつ十分に溶融させることができるので、軽量化と高い機械的特性との両立が図られた複合成形体1が得られる。
なお、複合成形体1においては、樹脂2が溶融しているため、樹脂2の当初の形状は失われていることが多い。しかし、樹脂2の当初の形状は、完全に失われている必要はなく、一部が残存していてもよい。すなわち、複合成形体1に含まれている樹脂2は、粒子状や繊維状等の形状を残していてもよい。これにより、樹脂2と繊維3との間や繊維3同士の間に空隙を形成し易くなるため、空孔率が大きい複合成形体1を容易に実現することができる。
また、上述した複合成形体1の最大発熱速度と2分総発熱量は、樹脂2や繊維3の構成材料や含有量によって制御可能である。例えば樹脂2として融点の高いものを使用したり、繊維3として耐熱性の高いものを使用したりすることにより、複合成形体1の最大発熱速度や2分総発熱量を高めることができる。
なお、複合成形体1を製造する方法は、上記の方法に限定されず、その他の製造方法、例えば射出成形法等であってもよい。
<輸送機器用内装材>
次に、本発明の輸送機器用内装材の実施形態について説明する。
図7は、本発明の輸送機器用内装材の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図7に示す輸送機器用内装材100は、窓となる開口部110が形成された複合成形体1を備える。これにより、軽量化と高い機械的特性とを両立させた輸送機器用内装材100が実現される。
なお、輸送機器用内装材100としては、例えば、キャビン天井パネル、キャビン内装パネル、キャビン床面、コックピット天井パネル、コックピット内装パネル、コックピット床面、手荷物ロッカー壁、収納ロッカー壁、ドア内張、窓カバー、機長席、副操縦士席、客室乗務員用座席、乗客座席のような各種座席、化粧室用内装材等の各種航空機用内装材の他、自動車用内装材、船舶用内装材、鉄道用内装材、宇宙船用内装材等が挙げられる。
以上、本発明の複合成形体、複合成形体用中間体、複合成形体の製造方法および輸送機器用内装材を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の複合成形体、複合成形体用中間体および輸送機器用内装材は、前記実施形態に任意の要素が付加されたものであってもよい。
また、本発明の複合成形体の製造方法は、前記実施形態に任意の工程が付加されたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.複合成形体の製造
(実施例1)
まず、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂繊維(平均長さ10mm)と、PAN系炭素繊維(平均長さ13mm)と、を水に添加し、ディスパーザーで30分撹拌してスラリーを得た。ここでは、樹脂と繊維の合計100質量部に対して、水を10000質量部使用した。
次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(合成スメクタイト:スメクトン(クニミネ工業社製))を、上述した樹脂と繊維の合計に対して0.2質量%添加し、フロック状に凝集させた。
次いで、得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離した。これにより、中間体を得た。この後、この中間体を、脱水プレスし、乾燥機による50℃、5時間の乾燥処理に供した。
次いで、得られた中間体を成形型のキャビティー内に入れ、加熱しつつ加圧成形することにより、縦80mm×横50mm×厚さ4mmのシート状の複合成形体を得た。
(実施例2〜10)
スラリー中の成分を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして複合成形体を得た。
(比較例1〜4)
スラリー中の樹脂を表1に示すように変更するとともに、繊維の添加を省略した以外は、実施例1と同様にして複合成形体を得た。
2.複合成形体の評価
2.1 密度(比重)の評価
各実施例および各比較例の複合成形体について、JIS K 7112:1999に規定されているA法に準拠した方法により、密度を25℃において測定した。
測定結果を表1に示す。
また、併せて、複合成形体の空孔率を測定し、測定結果を表1に示す。
2.2 機械的特性の評価
各実施例および各比較例の複合成形体について、ISO178:2001に準拠した方法により、曲げ強度および曲げ弾性率を25℃において測定した。
測定結果を表1に示す。
また、測定した曲げ強度および曲げ弾性率をそれぞれ密度で除することにより、比強度および比弾性率を算出した。
算出結果を表1に示す。
また、各実施例および各比較例の複合成形体について、鋼球落下試験による耐衝撃性を評価した。なお、耐衝撃性の評価は、複合成形体に損傷が認められるまで鋼球を繰り返し落下衝突させ、その回数に基づいて以下の評価基準に照らして行った。
<耐衝撃性の評価基準>
A:損傷に至るまでの落下回数が特に多い
B:損傷に至るまでの落下回数がやや多い
C:損傷に至るまでの落下回数が少ない
2.3 発熱性の評価
各実施例および各比較例の複合成形体について、最大発熱速度と2分総発熱量とを測定した。なお、この測定は、FAR25.853(Appendix F,Part IV)に準拠したヒートリリース試験により行った。
測定結果を表1に示す。
2.4 炎伝搬性の評価
各実施例および各比較例の複合成形体について、サンプルフレーミングタイム(Sample flaming time)、ドロップフレーミングタイム(Drop flaming time)、およびバーンレングス(Burn Length)を測定した。なお、この測定は、FAR25.853(Appendix F,Part IV)に準拠した断熱材の火炎伝搬試験により行った。そして、測定結果を以下の評価基準に照らして評価した。
<サンプルフレーミングタイムの評価基準>
A:サンプルフレーミングタイムが15秒未満である
B:サンプルフレーミングタイムが15秒以上である
<ドロップフレーミングタイムの評価基準>
A:ドロップフレーミングタイムが3秒未満である
B:ドロップフレーミングタイムが3秒以上である
<バーンレングスの評価基準>
A:バーンレングスが152mm未満である
B:バーンレングスが152mm以上である
2.5 発煙性の評価
各実施例および各比較例の複合成形体について、4分後の煙密度(比光学密度)を測定した。なお、この測定は、FAR25.853(Appendix F,Part V)に準拠した煙密度測定試験の有炎法により行った。そして、測定結果を以下の評価基準に照らして評価した。
<4分後の煙密度の評価基準>
A:4分後の比光学密度が200未満である
B:4分後の比光学密度が200以上である
2.6 ガス毒性の評価
各実施例および各比較例の複合成形体について、4分後のガス毒性を分析した。なお、この分析は、BSS 7239に準拠した煙の毒性試験により行った。そして、その分析結果を、ガスの成分ごとに、以下の評価基準に照らして評価した。
<4分後のガス毒性の評価基準>
A:4分後の濃度が以下の範囲内にある
B:4分後の濃度が以下の範囲外にある
HCN<150ppm
CO<1000ppm
NO、NO<100ppm
SO<100ppm
HF<100ppm
HCl<150ppm
Figure 2018021336
表1から明らかなように、各実施例で得られた複合成形体は、比強度および比弾性率がそれぞれ最適化されていることから、軽量化と高い機械的特性とを両立している。また、発熱性も相対的に小さいことから、難燃性に優れていることも認められた。
一方、各比較例で得られた複合成形体は、比強度および比弾性率がそれぞれ最適な範囲にないことから、軽量化と高い機械的特性とが両立されていないと認められる。
なお、上記2.4〜2.6の評価結果については、いずれも表1には示していないものの、各実施例で得られた複合成形体については、いずれも「A」に当たる評価が得られた。一方、各比較例で得られた複合成形体については、「B」に当たる評価になった特性が含まれていた。
なお、表1中の「PPS」はポリフェニレンサルファイド、「PEI」はポリエーテルイミド、「PEEK」はポリエーテルエーテルケトン、「PP」はポリプロピレン、「PE」はポリエチレンのことを指す。
3.空孔率の調整
(実施例11〜14)
まず、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂繊維と、PAN系炭素繊維(平均長さ13mm)と、を水に添加し、ディスパーザーで30分撹拌してスラリーを得た。ここでは、樹脂と繊維の合計100質量部に対して、水を10000質量部使用した。
次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(合成スメクタイト:スメクトン(クニミネ工業社製))を、上述した樹脂と繊維の合計に対して0.2質量%添加し、フロック状に凝集させた。
次いで、得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離した。これにより、中間体を得た。この後、この中間体を、脱水プレスし、乾燥機による50℃、5時間の乾燥処理に供した。このとき、得られた中間体の密度は、0.55g/cmであった。
次いで、得られた中間体を成形型のキャビティー内に入れ、加熱しつつ加圧成形することにより、縦80mm×横50mm×厚さ4mmのシート状の複合成形体を得た。このとき、成形圧力の大きさを表2に示す値に設定し、それぞれ実施例11〜14の複合成形体を得た。
次に、得られた複合成形体について、前述した2.1と同様にして密度を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2018021336
また、図8は、設定した成形圧力と、その成形圧力での加圧成形によって得られた複合成形体の密度と、の関係を示すグラフである。なお、図8には、各成形圧力によって得られた複合成形体の密度をプロットしているとともに、それらのデータを線形近似した直線およびその直線を表す数式を併せて示している。
図8から明らかなように、成形圧力と密度との間には、正の相関関係が認められる。しかも、成形圧力を変えたときの密度の変化率が比較的大きい。具体的には、図8に示す例では、成形圧力(単位:MPa)の変化に対する密度(単位:g/cm)の変化率が0.0844である。このような比較的大きな変化率であれば、成形圧力を容易に調整可能な範囲内で変更したとき、密度の変化幅、すなわち空孔率の変化幅を大きく確保することができる。これにより、前記実施形態に係る中間体を用いることで、幅広い空孔率(密度)を持つ複合成形体を容易に製造することができる。
なお、中間体が含む樹脂として繊維状の樹脂を用いた場合には、この変化率を0.03〜0.3程度という十分な大きさにすることができる。これにより、上記のような効果が確実に得られることとなる。
一方、中間体が含む樹脂として粒子状の樹脂を用いた場合には、この変化率がこの範囲よりも小さくなる。これにより、複合成形体を製造するとき、調整可能な空孔率の幅が狭くなるおそれがあるため、かかる観点からすれば、中間体に含まれる樹脂には繊維状のものが特に好ましく用いられる。なお、変化率がこの範囲よりも大きくてもよいが、その場合、成形圧力の変化に対して密度の変化が敏感になり易いため、製造安定性がやや低下するおそれがある。
(実施例15〜17および比較例5)
まず、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂繊維と、ポリエチレン(PE)樹脂繊維と、PAN系炭素繊維(平均長さ13mm)と、を水に添加し、ディスパーザーで30分撹拌してスラリーを得た。ここでは、樹脂と繊維の合計100質量部に対して、水を10000質量部使用した。
次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(合成スメクタイト:スメクトン(クニミネ工業社製))を、上述した樹脂と繊維の合計に対して0.2質量%添加し、フロック状に凝集させた。
次いで、得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離した。これにより、中間体を得た。この後、この中間体を、脱水プレスし、乾燥機による50℃、5時間の乾燥処理に供した。このとき、得られた中間体の密度は、0.02g/cmであった。
次いで、得られた中間体を成形型のキャビティー内に入れ、加熱しつつ加圧成形することにより、縦80mm×横50mm×厚さ4mmのシート状の複合成形体を得た。なお、実施例17および比較例5については、中間体と成形型との間にスペーサーを設けたうえで、中間体を加熱、加圧成形することにより複合成形体を得た。
次に、得られた複合成形体について、前述した2.1〜2.3と同様にして測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2018021336
表3から明らかなように、複合成形体の空孔率を幅広い範囲(9.0%〜86%)で調整することができた。また、空孔率が9.0%〜80%の範囲である各実施例で得られた複合成形体は、比強度および比弾性率がそれぞれ最適化されていることから、軽量化と高い機械的特性とを両立している。また、発熱性も相対的に小さいことから、難燃性に優れていることも認められた。一方、比較例5で得られた複合成形体は、比強度が最適な範囲にないことから、軽量化と高い機械的特性とが両立されていないと認められる。
なお、前述した2.4〜2.6についても同様に測定した。これらの評価結果については、いずれも表3には示していないものの、各実施例で得られた複合成形体について、いずれも「A」に当たる評価が得られた。
本発明の複合成形体は、樹脂と、前記樹脂中に分散して設けられた繊維と、前記樹脂と前記繊維との間に形成された空孔と、を含み、比強度が30〜400MPa・(g/cm−1である。これにより、軽量化と高い機械的特性とを両立させた複合成形体を提供することができる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。
1 複合成形体
2 樹脂
3 繊維
4 空孔
5 分散媒
6 分散液
8 空孔
10 中間体
70 容器
71 フィルター
72 プレス型
73 プレス型
74 成形型
75 成形型
100 輸送機器用内装材
110 開口部
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
(1) 樹脂と、前記樹脂中に分散して設けられた繊維と、前記樹脂と前記繊維との間に形成された空孔と、を含み、
ISO178:2001に規定される試験法に準じて測定された曲げ強度を密度で除することによって求められる比強度が30〜400MPa・(g/cm−1であり、
2分総発熱量が50[kW・min/m ]以下であり、
最大発熱速度が50[kW/m ]以下であることを特徴とする複合成形体。
(6) 前記樹脂の融点は、200〜400℃である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の複合成形体。
(7) 繊維状の樹脂と、前記樹脂よりも融点が高い繊維と、空孔と、を含み、
空孔率が40〜99%であり、
加熱されたとき成形性を有し、
成形時の成形圧力(MPa)と成形後の密度(g/cm )との関係において、前記成形圧力の変化に対する前記密度の変化率が0.03〜0.3であることを特徴とする複合成形体用中間体。
(8) 前記樹脂の融点は、200〜400℃である上記(7)に記載の複合成形体用中間体
(9) 前記繊維は、無機繊維である上記(7)または(8)に記載の複合成形体用中間体。
(10) 融点が200〜400℃の樹脂と、前記樹脂よりも融点が高い繊維と、を含む分散液を抄造し、空孔率40〜99%の中間体を得る工程と、
前記中間体を加熱しつつ加圧成形することにより、前記樹脂の少なくとも一部を溶融させ、複合成形体を得る工程と、
を有し、
前記加圧成形に伴う前記中間体の空孔率の減少幅が5〜90%であることを特徴とする複合成形体の製造方法。
(11) 前記中間体を前記加圧成形する際の成形圧力(MPa)と前記複合成形体の密度(g/cm )との関係において、前記成形圧力の変化に対する前記密度の変化率が0.03〜0.3である上記(10)に記載の複合成形体の製造方法。
(12) 前記樹脂は、繊維状をなしている上記(10)または(11)に記載の複合成形体の製造方法。
(13) 上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の複合成形体を備えることを特徴とする輸送機器用内装材。

Claims (14)

  1. 樹脂と、前記樹脂中に分散して設けられた繊維と、前記樹脂と前記繊維との間に形成された空孔と、を含み、比強度が30〜400MPa・(g/cm−1であることを特徴とする複合成形体。
  2. 空孔率が5〜90%である請求項1に記載の複合成形体。
  3. 前記繊維の平均長さは、1mm以上である請求項1または2に記載の複合成形体。
  4. 前記繊維は、無機繊維である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合成形体。
  5. 前記樹脂は、熱可塑性樹脂を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複合成形体。
  6. 2分総発熱量が50[kW・min/m]以下であり、最大発熱速度が50[kW/m]以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の複合成形体。
  7. 前記樹脂の融点は、200〜400℃である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の複合成形体。
  8. 樹脂と、前記樹脂よりも融点が高い繊維と、空孔と、を含み、
    空孔率が25〜99%であり、
    加熱されたとき成形性を有することを特徴とする複合成形体用中間体。
  9. 前記樹脂の融点は、200〜400℃である請求項8に記載の複合成形体用中間体。
  10. 前記樹脂は、繊維状をなしている請求項8または9に記載の複合成形体用中間体。
  11. 前記繊維は、無機繊維である請求項8ないし10のいずれか1項に記載の複合成形体用中間体。
  12. 融点が200〜400℃の樹脂と、前記樹脂よりも融点が高い繊維と、を含む分散液を抄造し、中間体を得る工程と、
    前記中間体を加熱しつつ加圧成形することにより、前記樹脂の少なくとも一部を溶融させ、複合成形体を得る工程と、
    を有することを特徴とする複合成形体の製造方法。
  13. 前記樹脂は、繊維状をなしている請求項12に記載の複合成形体の製造方法。
  14. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の複合成形体を備えることを特徴とする輸送機器用内装材。
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