JP7196988B2 - 複合成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合成形体の製造方法に関するものである。
例えば航空機や自動車等に用いられる構造材料には、さらなる軽量化が求められている。軽量化によって航空機や自動車の燃料消費量を抑えることができる。
このような構造材料として、例えば、ガラス繊維等の強化繊維と、ポリプロピレン等の樹脂と、を混合させてなる繊維強化樹脂が知られている。このような繊維強化樹脂では、繊維が3次元のあらゆる方向を向いて相互に絡まることにより、補強が図られている。
しかしながら、近年、構造材料には機械的強度をさらに高めることへの要請が強い。
そこで、より長い繊維を用いて抄造体(複合成形体)を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、抄造体の機械的強度をさらに高めることが試みられている。
特開平4-174793号公報
しかしながら、このような繊維を用いたとしても、機械的強度を高めるという市場の要請に対して十分に応えられていないのが現状である。
本発明の目的は、機械的強度が高い複合成形体を効率よく製造可能な複合成形体の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(8)の本発明により達成される。
(1) 樹脂、長さ20mm以上の長繊維、定着剤、および、パルプを含み、前記定着剤の濃度が質量比で50~1000ppmである分散液を調製する工程と、
前記分散液を抄造して、中間体を得る工程と、
前記中間体を加圧成形することにより、前記パルプの含有量が0.5~10質量%であって、内部に独立気泡を有する複合成形体を得る工程と、
を有することを特徴とする複合成形体の製造方法。
(2) 前記樹脂は、繊維状をなしている上記(1)に記載の複合成形体の製造方法。
(3) 前記分散液は、熱膨張性マイクロカプセルを含む上記(1)または(2)に記載の複合成形体の製造方法。
(4) 前記長繊維は、無機繊維である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
(5) 前記樹脂は、熱硬化性樹脂を含む上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
(6) 前記中間体に含まれる前記熱硬化性樹脂は、半硬化状態にある上記(5)に記載の複合成形体の製造方法。
(7) 前記長繊維の融点は、前記樹脂の融点より高い上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
(8) 前記分散液は、長さ20mm未満の短繊維を含む上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
本発明によれば、高い機械的強度の複合成形体を効率よく製造することができる。
本発明の複合成形体の実施形態を示す斜視図である。 図1に示す複合成形体を製造する方法の一例を説明するための図である。 図1に示す複合成形体を製造する方法の一例を説明するための図である。 図1に示す複合成形体を製造する方法の一例を説明するための図である。 図1に示す複合成形体を製造する方法の一例を説明するための図である。 図1に示す複合成形体を製造する方法の一例を説明するための図である。
以下、本発明の複合成形体および複合成形体の製造方法について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<複合成形体>
まず、本発明の複合成形体の実施形態について説明する。
図1は、本発明の複合成形体の実施形態を示す斜視図である。
図1に示す複合成形体1は、シート状をなしており、主面の平面視形状は長方形である。かかる複合成形体1は、樹脂2と繊維3とを含み、繊維3として長さ20mm以上の長繊維を含んでいる。
このような複合成形体1によれば、機械的強度の高いものが得られる。これにより、例えば輸送機器用内装材のように、軽量化と高い機械的強度とを両立させることが求められる分野の構造材料として有用な複合成形体1が得られる。すなわち、かかる複合成形体1は、樹脂2に由来する軽量化という恩恵を受けつつ、繊維3に由来する高い機械的強度を満足するものとなる。
以下、複合成形体1を構成する成分について詳述する。
(樹脂)
樹脂2は、複合成形体1に成形性や保形性を付与したり、繊維3同士を結着するバインダーとして機能したりする。したがって、樹脂2としては、このような機能を有するものであれば特に限定されない。例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタンのような熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン等)、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミドのような熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、樹脂2には、これらのうちの少なくとも1種が含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
樹脂2は、特にフェノール系樹脂、エポキシ系樹脂およびビスマレイミド系樹脂のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、複合成形体1の機械的特性および耐熱性を特に高めることができる。
フェノール系樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂のようなノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油のような変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、コストおよび成形性の観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましく用いられる。
フェノール系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、1000~15000程度であるのが好ましい。なお、フェノール系樹脂の重量平均分子量が前記下限値を下回ると、樹脂2の粘度が低くなり過ぎて製造時の成形が難しくなるおそれがある。一方、フェノール系樹脂の重量平均分子量が前記上限値を上回ると、樹脂2の粘度が高くなり過ぎて製造時の成形性が低下するおそれがある。
フェノール系樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたポリスチレン換算の重量分子量として求めることができる。
エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型のようなビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型のようなノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型、臭素化フェノールノボラック型のような臭素化型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、高流動性や成形性等の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
また、比較的分子量の低いビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく用いられる。
さらに、耐熱性の観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がさらに好ましく用いられ、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。
ビスマレイミド系樹脂としては、例えば、分子鎖の両末端にマレイミド基を有する樹脂であれば、特に限定されないが、ベンゼン環を有するものが好ましく、下記一般式(1)で表されるものがより好ましく用いられる。
Figure 0007196988000001
[式中、R~Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~4の炭化水素基または水素原子を表す。また、Rは、2価の有機基を表す。]
ただし、ビスマレイミド系樹脂は、分子鎖の両末端以外にマレイミド基を有していてもよい。
ここで、有機基とは、炭素原子以外の原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、炭素原子以外の原子としてはO、S、N等が挙げられる。
は、好ましくはメチレン基と芳香環とエーテル結合(-O-)とが任意の順序で結合した主鎖構造を有し、主鎖上に置換基および側鎖の少なくとも一方を有していてもよい。主鎖構造に含まれるメチレン基と芳香環とエーテル結合との合計数は15個以下である。上記の置換基または側鎖としては、例えば、炭素数3個以下の炭化水素基、マレイミド基、フェニレン基等が挙げられる。
ビスマレイミド系樹脂としては、例えば、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N’-エチレンジマレイミド、N,N’-ヘキサメチレンジマレイミド等が挙げられる。
また、樹脂2とともに、必要に応じて硬化剤が併用される。
例えば、樹脂2としてノボラック型フェノール樹脂が用いられる場合、硬化剤としては、通常、ヘキサメチレンテトラミンが用いられる。
また、例えば、樹脂2としてエポキシ系樹脂が用いられる場合、硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアミンジアミドのようなアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物のような酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂のようなポリフェノール化合物、イミダゾール化合物等が用いられる。
これらの中でも、取り扱い性や環境面の観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましく用いられる。特に、エポキシ系樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては、硬化物の耐熱性がより向上し易いという観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましく用いられる。
また、例えば、樹脂2としてビスマレイミド系樹脂が用いられる場合、硬化剤としては、イミダゾール化合物が用いられる。
なお、硬化剤としては、上述したもののうちの1種または2種以上が用いられる。
一方、樹脂2は、特に熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。これにより、複合成形体1の成形性を特に高めることができ、より寸法精度が高い複合成形体1が得られる。
さらに、樹脂2は、熱可塑性樹脂の中でもスーパーエンジニアリングプラスチックを含むことが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂がもたらす効果に加え、高い機械的特性という効果が付加されることとなる。なお、スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂等が挙げられる。
樹脂2の融点は、特に限定されないが、200~400℃であるのが好ましく、210~390℃であるのがより好ましく、260~380℃であるのがさらに好ましい。このような樹脂2を用いることにより、複合成形体1の機械的特性および耐熱性を十分に高めることができる。これにより、複合成形体1が例えば輸送機器用内装材等に適用された場合、難燃性に優れた内装材が得られる。
なお、樹脂2の融点が前記下限値を下回ると、樹脂2の機械的特性および耐熱性が不十分になるため、複合成形体1の構成によっては、複合成形体1の高温時の機械的強度が低下したり、耐熱性に基づく難燃性が低下したりするおそれがある。一方、樹脂2の融点は前記上限値を上回ってもよいが、それに伴って一部の物性(例えば耐衝撃性等)が低下するおそれがある。
なお、樹脂2の融点は、原則として結晶融点のことであり、例えば、示差走査熱量計(DSC-2920、TAインスツルメント社製)により測定できる。
また、樹脂2に結晶融点が存在せずガラス転移温度が存在する場合には、本発明における樹脂2の融点はガラス転移温度も含むものとする。このガラス転移温度も、上記の示差走査熱量計により測定可能である。
さらに、樹脂2が熱硬化性樹脂の場合であって結晶融点もガラス転移温度も存在しない場合には、本発明における樹脂2の融点は熱硬化性樹脂の硬化物の耐熱温度も含むものとする。この耐熱温度は、JIS K 6911:1995の熱可塑性プラスチック一般試験方法に規定されている荷重たわみ温度とする。
(繊維)
繊維3は、複合成形体1の機械的特性を向上させたり、熱伝導性を高めたりする。
このような繊維3としては、例えば、繊維糸または長い繊維束を所定の長さに切断することによって得られたものが用いられる。
また、繊維3は、長さ20mm以上の長繊維を含む。繊維3としてこのような非常に長いものを含めることにより、複合成形体1は極めて機械的特性に優れたものとなる。このため、例えば樹脂2として機械的特性が低いものを使用した場合であっても、繊維3によってそれを十分に補うことができる。その結果、樹脂2として目的とする特性に特化したもの、例えば機械的特性は多少劣るものの難燃性に優れたものといった選択をすることが可能になり、様々な特性を有する複合成形体1が得られる。
また、長繊維の長さは、好ましくは25mm以上とされ、より好ましくは30mm以上とされる。
なお、長繊維の長さが前記範囲を下回ると、従来の複合成形体に期待される機械的特性の範囲を超えることができず、例えば金属部品等を置き換え得るほどの優れた機械的特性を獲得することができない。このため、長繊維を用いることによる製造工程の煩雑さ等によって、機械的特性のわりには複合成形体1の製造コストが高くなる。
なお、長繊維の長さの上限値は、特に限定されないが、200mm以下であるのが好ましく、150mm以下であるのがより好ましい。これにより、複合成形体1を製造するにあたって繊維3を分散媒に分散させるとき、その分散性が良好になる。その結果、均質な構造の成形体が得られるため、最終的に機械的特性に優れた複合成形体1が得られる。
このような長繊維は、繊維3に少しでも含まれていればよいが、繊維3のうち50質量%以上の割合で含まれているのが好ましく、60質量%以上の割合で含まれているのがより好ましく、70質量%以上の割合で含まれているのがさらに好ましい。これにより、長繊維によってもたらされる上述したような効果が、より確実に発現することとなる。すなわち、長繊維が支配的に存在することになるため、複合成形体1の機械的特性においても長繊維の影響が支配的になる。その結果、とりわけ機械的特性が高い複合成形体1を実現することができる。
なお、長繊維の含有率は、複合成形体1の樹脂2を溶解する等して100本以上の繊維3を取り出した後、各繊維3の長さを測定し、長さが20mm以上である繊維3の本数の割合として求められる。
一方、繊維3の全てが長繊維であってもよいが、長さが長繊維に及ばない繊維、すなわち長さが20mm未満である短繊維が含まれていてもよい。このような短繊維が含まれていることにより、複合成形体1の耐衝撃性を高めることができる。すなわち、長繊維の割合が高くなり過ぎると、繊維3の含有率や樹脂2の組成等によっては、複合成形体1の耐衝撃性が低下するおそれがあるので、長繊維のみならず短繊維を含めることによってかかる課題の発生を抑制することができる。
この場合、短繊維の含有率は、特に限定されないが、長繊維より少ないのが好ましく、長繊維の0.1~90質量%程度であるのがより好ましく、0.5~80質量%程度であるのがさらに好ましい。これにより、長繊維によってもたらされる上述したような効果が支配的になる一方、短繊維によってもたらされる効果を、同時に発現させることができる。すなわち、耐衝撃性や靭性に優れた機械的強度が高い複合成形体1を実現することができる。
なお、短繊維の含有率は、複合成形体1の樹脂2を溶解する等して100本以上の繊維3を取り出した後、各繊維3の長さを測定し、長さが20mm未満である繊維3の本数の割合として求められる。
また、繊維3の平均長さは、特に限定されないが、1mm以上であるのが好ましく、2mm以上であるのがより好ましく、4mm以上であるのがさらに好ましい。繊維3の平均長さを前記範囲内に設定することにより、複合成形体1の機械的特性を十分に高めることができる。特に樹脂2の機械的特性が比較的低い場合であっても、繊維3によってそれを十分に補うことができる。その結果、機械的特性が特に良好な複合成形体1が得られる。
なお、繊維3の平均長さの上限値は、特に限定されないが、例えば100mm以下であるのが好ましく、50mm以下であるのがより好ましい。これにより、複合成形体1を製造するにあたって繊維3を分散媒に分散させるとき、その分散性が良好になる。その結果、均質な構造の成形体が得られるため、最終的に機械的特性に優れた複合成形体1が得られる。
なお、繊維3の平均長さとは、複合成形体1の樹脂2を溶解する等して取り出された任意の100本以上の繊維3について、その長さを測定し、平均した値のことをいう。
また、繊維3の平均径は、特に限定されないが、1~100μm程度であるのが好ましく、5~80μm程度であるのがより好ましい。繊維3の平均径を前記範囲内に設定することにより、複合成形体1の機械的特性を高めつつ、複合成形体1を製造するときの成形性を高めることができる。
なお、繊維3の平均径とは、複合成形体1の樹脂2を溶解する等して取り出された任意の100本以上の繊維3について、その径を測定し、平均した値のことをいう。
また、繊維3の径に対する長さの比(長さ/径)は、10以上であるのが好ましく、100以上であるのがより好ましい。これにより、繊維3が上記のような効果をより確実に発揮する。
このような繊維3としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、ステンレス鋼繊維、黄銅繊維、チタン繊維、鋼繊維、リン青銅繊維のような金属繊維、綿繊維、絹繊維、木質繊維のような天然繊維、アルミナ繊維のようなセラミック繊維、全芳香族ポリアミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(パラ-フェニレンベンゾビスチアゾール)(PBZT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(パラ-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)(PBO)等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含むものが用いられる。
このうち、長繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維のような無機繊維が好ましく用いられる。引張強度等の機械的特性に優れている無機繊維を用いることにより、複合成形体1の機械的特性を特に高めることができる。
なお、繊維3には、必要に応じて、カップリング剤処理、界面活性剤処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、プラズマ照射処理等の表面処理が施されていてもよい。
このうち、カップリング剤としては、例えば、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシランのようなアミノ基含有アルコキシシラン、およびそれらの加水分解物等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含むものが用いられる。
複合成形体1における繊維3の含有量は、特に限定されないが、樹脂2の5~300体積%程度であるのが好ましく、10~150体積%程度であるのがより好ましく、20~120体積%程度であるのがさらに好ましい。繊維3の含有量を前記範囲内に設定することにより、樹脂2と繊維3との量的なバランスが最適化されるため、複合成形体1の機械的特性を特に高めることができる。すなわち、繊維3の含有量が前記下限値を下回ると、繊維3の含有量が相対的に不足するため、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料等によっては、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。一方、繊維3の含有量が前記上限値を上回ると、樹脂2の含有量が相対的に不足するため、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料等によっては、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。
なお、図1に示す繊維3の形状は、一例であり、図示したような直線状には限定されない。
(パルプ)
複合成形体1は、必要に応じてパルプを含んでいてもよい。パルプとは、フィブリル構造を有する繊維材料であり、上記繊維3とは異なるものである。パルプは、例えば、繊維材料を機械的または化学的にフィブリル化することによって得ることができる。
パルプとしては、例えば、リンターパルプ、木材パルプのようなセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹のような天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)およびその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維およびそれらの共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維のような有機繊維等をフィブリル化したものが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
また、複合成形体1におけるパルプの含有量は、特に限定されないが、樹脂2の0.5~10質量%程度であるのが好ましく、1~8質量%程度であるのがより好ましく、1.5~5質量%程度であるのがさらに好ましい。これにより、機械的特性や熱伝導性がより良好な複合成形体1を実現することができる。
(凝集剤)
複合成形体1は、必要に応じて凝集剤を含んでいてもよい。
凝集剤としては、例えば、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
より具体的には、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
(その他の添加剤)
複合成形体1は、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。
かかる添加剤としては、例えば、無機粉末、金属粉、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、硬化触媒、硬化促進剤、顔料、耐光剤、帯電防止剤、抗菌剤、導電剤、分散剤等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
(空孔)
また、複合成形体1は、内部に空孔を含んでいてもよい。これにより、複合成形体1の密度(比重)を変化させることができる。
空孔は、複合成形体1に内包されている空間のことをいう。この空孔は、その1つ1つまたは複数個が連結したものが系外と隔離されている(樹脂2等によって取り囲まれている)空間(独立気泡)であってもよく、系外と連通している空間(連続気泡)であってもよい。
このうち、特に限定されるものではないが、独立気泡が連続気泡よりも多いことが好ましい。これにより、空孔を含んでいても複合成形体1の機械的特性がより低下し難くなる。これは、独立気泡が圧壊し難いので、それに伴って複合成形体1の機械的強度が低下し難いことによる。
なお、独立気泡が連続気泡より多いとは、複合成形体1の断面を拡大観察したとき、その独立気泡が占める面積の合計が、連続気泡が占める面積の合計より大きい状態をいう。
複合成形体1が空孔として独立気泡を含む場合、空孔の平均径は、特に限定されないが、2~300μm程度であるのが好ましく、5~200μm程度であるのがより好ましい。これにより、空孔による複合成形体1の軽量化と、空孔による複合成形体1の機械的特性の低下の抑制と、を両立させることができる。すなわち、空孔の平均径が前記下限値を下回る場合、空孔率によっては、複合成形体1の軽量化が難しくなるおそれがある。一方、空孔の平均径が前記上限値を上回る場合、空孔率によっては、空孔が屈折や亀裂等の起点になり易くなるため、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。
なお、空孔の平均径とは、複合成形体1の断面から空孔の面積と同じ面積を持つ円を仮想したとき、その円の直径(円相当径)として求められる。
複合成形体1の空孔率は、特に限定されないが、10~90%程度であるのが好ましく、15~87.5%程度であるのがより好ましく、20~85%程度であるのがさらに好ましい。空孔率を前記範囲内に設定することにより、複合成形体1の軽量化と機械的特性とをバランスよく両立させることができる。すなわち、空孔率が前記下限値を下回ると、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料等によっては、複合成形体1の軽量化が不十分になるおそれがある。一方、空孔率が前記上限値を上回ると、樹脂2の組成や繊維3の長さ、構成材料等によっては、複合成形体1の機械的特性が低下するおそれがある。また、空孔が独立気泡を含む場合には、複合成形体1の断熱性が向上する。これにより、複合成形体1における熱伝導性が低下するので、難燃性を高めることができる。
なお、複合成形体1の空孔率は、例えば複合成形体1の断面の面積において、空孔が占める面積の割合(空孔の面積率)として求められる。
ここで、複合成形体1の比強度は、50~400MPa・(g/cm-1とされる。これにより、軽量化と機械的特性の向上との両立が図られた複合成形体1が得られる。なお、比強度が前記下限値を下回ると、重い割には曲げ強度が小さいといえるので、例えば輸送機器用内装材のように、軽量化と高い機械的特性の双方を求められる分野の構造材料としては不適当になるおそれがある。一方、比強度が前記上限値を上回ると、軽い割には曲げ強度が大きいといえるが、その他の物性とのバランスによっては耐衝撃性が低下したり、製造条件によるバラツキが出やすくなるため、製造歩留まりを高め難くなったりするおそれがある。
また、複合成形体1の比強度は、100~390MPa・(g/cm-1程度であるのがより好ましく、150~380MPa・(g/cm-1程度であるのがさらに好ましい。
なお、複合成形体1の比強度は、曲げ強度(単位:MPa)を密度(単位:g/cm)で除することによって求められる。
また、複合成形体1は、以下のような特性を有することが好ましい。
まず、複合成形体1の密度は、特に限定されないが、0.05~1.6g/cm程度であるのが好ましく、0.1~1.55g/cm程度であるのがより好ましく、0.2~1.5g/cm程度であるのがさらに好ましい。これにより、軽量化と機械的特性の向上とを両立させた複合成形体1が得られる。
なお、密度は、JIS K 7112:1999にA法として規定されている試験方法に準じて測定される。
また、複合成形体1の曲げ強度は、特に限定されないが、50~400MPa程度であるのが好ましく、70~350MPa程度であるのがより好ましく、100~300MPa程度であるのがさらに好ましい。これにより、十分に機械的特性が高い複合成形体1が得られる。
なお、複合成形体1の曲げ強度は、室温(25℃)において、ISO178:2001に規定されている試験方法に準じて測定される。
また、複合成形体1の比弾性率は、特に限定されないが、2~30GPa・(g/cm-1程度であるのが好ましく、3~25GPa・(g/cm-1程度であるのがより好ましく、4~20GPa・(g/cm-1程度であるのがさらに好ましい。これにより、軽量化と機械的特性の向上との両立が図られた複合成形体1が得られる。
なお、複合成形体1の比弾性率は、曲げ弾性率(単位:GPa)を密度(単位:g/cm)で除することによって求められる。そして、曲げ弾性率は、室温(25℃)において、ISO178:2001に規定されている試験方法に準じて測定される。
このような複合成形体1は、前述したように、樹脂2と繊維3とを含み、繊維3として長繊維を含んでいる。このような複合成形体1によれば、非常に長い繊維3を含んでいることから、機械的強度の高いものが得られる。これにより、従来では複合成形体を用いることができなかったような分野にまで、複合成形体1の用途を広げることができる。その結果、軽量化という利点を損なうことなく、様々な分野における構造材料として適用可能な複合成形体1が得られる。
<複合成形体の製造方法>
次に、本発明の複合成形体の製造方法の実施形態について説明する。
図2~6は、それぞれ図1に示す複合成形体を製造する方法の一例を説明するための図である。
複合成形体1の製造方法は、樹脂2と繊維3とを含む分散液を調製する工程と、分散液を抄造し中間体10を得る工程と、中間体10を加熱しつつ加圧成形することにより、樹脂2の少なくとも一部を溶融させ、複合成形体1を得る工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、図2に示すように、樹脂2と繊維3とこれらを分散させる分散媒5とを含む分散液6を調製する。調製した分散液6は、十分に撹拌、混合される。なお、分散液6には、必要に応じて、前述した凝集剤やパルプ、その他の添加剤等が添加されていてもよい。
樹脂2の形状は、特に限定されず、例えば、略球形粒子状、薄膜粒子状等の粒子状(粉状)または繊維状とされる。これにより、後述する抄造において、繊維3とともに樹脂2を抄きとることができる。その結果、樹脂2と繊維3とを絡み合わせることができ、均質な複合成形体1を製造可能な中間体10が得られる(図5参照)。
なお、樹脂2が熱硬化性樹脂を含む場合、その熱硬化性樹脂は半硬化状態であることが好ましい。半硬化の熱硬化性樹脂は、中間体10を製造後、加熱、加圧によって所望の形状に成形されて硬化に至る。これにより、熱硬化性樹脂の特性を生かした複合成形体1が得られることとなる。
一方、繊維3としては、例えば樹脂2よりも融点が高い繊維が用いられる。このような繊維3を用いることにより、後述する工程において中間体10を加熱しつつ加圧成形するとき、樹脂2のみを選択的に溶融させることができる。これにより、樹脂2を繊維3の周辺で溶融、分散させることができ、均質な複合成形体1が得られる。
繊維3の融点は、樹脂2の融点よりも高いことが好ましく、さらにはその差が10℃以上であるのがより好ましく、50℃以上であるのがさらに好ましい。
このうち、繊維3としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維のような無機繊維が好ましく用いられる。引張強度等の機械的特性に優れている無機繊維を用いることにより、複合成形体1の機械的特性を特に高めることができる。また、無機繊維は、一般に融点が非常に高いので、中間体10が加熱されたとき、ほとんど溶融するおそれがない。このため、樹脂2の構成材料として融点の高い材料を用いた場合でも、確実に複合成形体1を製造することができる。
また、分散媒5としては、樹脂2や繊維3を溶解させ難く、かつ、樹脂2や繊維3を分散させる過程において揮発し難いものが好ましく用いられる。また、脱溶媒させ易いものが好ましく用いられる。かかる観点から、分散媒5の沸点は50~200℃程度であるのが好ましい。
分散媒5としては、例えば、水、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、エチレングリコールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチルのようなエステル類、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールのようなエーテル類等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
これらの中でも、水が好ましく用いられる。水は、入手が容易であり、環境負荷が低く安全性も高いことから、分散媒5として有用である。
また、分散液6の粘度は、前述した凝集剤(定着剤)の濃度を適宜設定することによって調整可能である。具体的には、分散液6中に添加される凝集剤の濃度は、質量比で50~1000ppmであるのが好ましく、100~500ppmであるのがより好ましい。これにより、分散液6の粘度が最適化され、分散液6において繊維3を均一に分散させることができる。その結果、均質で機械的強度の高い複合成形体1を効率よく製造することができる。
なお、分散液6における凝集剤の濃度が前記下限値を下回ると、分散液6の粘度が低くなり過ぎるため、繊維3が凝集するなどして繊維3を均一に分散させることが困難になるおそれがある。一方、分散液6における凝集剤の濃度が前記上限値を上回ると、分散液6の粘度が高くなり過ぎるため、凝集物の脱水、乾燥工程に長時間を要することとなり、複合成形体1の生産性が低下するおそれがある。
[2]続いて、調製した分散液6を抄造する。これにより、複合成形体1を製造するための中間体10を得る。
具体的には、まず、図3に示すように、底面にフィルター71が設けられた容器70を用意する。
次に、容器70内に分散液6を供給する。そして、分散液6中の分散媒5を、フィルター71を介して容器70の底面から外部へ排出する。これにより、分散液6中の分散質である樹脂2と繊維3とがフィルター71上に残存する(抄造)。以上のようにしてフィルター71上に中間体10を得る。
このとき、フィルター71の形状を適宜選択することにより、所望の形状を有する中間体10を製造することができる。
このようにして得られた中間体10は、分散媒5を含んでいても、含んでいなくてもよい。
その後、必要に応じて、図4に示すように、プレス型72とプレス型73との間に中間体10を配置し、プレス型72とプレス型73との間に形成される図示しないキャビティーによって中間体10を圧縮する。
例えば、プレス型72を矢印Pのように降下させることにより、プレス型72とプレス型73との間で中間体10が圧縮される。これにより、中間体10に残存していた分散媒5を十分に排出し、中間体10を乾燥させることができる。
なお、必要に応じて、さらに乾燥機等で乾燥させるようにしてもよい。
また、樹脂2として特に繊維状のものを用いた場合には、見かけ密度が特に小さい中間体10を得ることができる。このような中間体10は、後述する加圧成形においてその条件を適宜設定することにより、密度が小さい複合成形体1の製造を可能にする。すなわち、十分な軽量化が図られた複合成形体1が得られる。
繊維状をなす樹脂2の平均長さは、特に限定されないが、1mm以上であるのが好ましく、2mm以上であるのがより好ましく、4mm以上であるのがさらに好ましい。繊維状をなす樹脂2の平均長さを前記範囲内に設定することにより、繊維状をなす樹脂2と繊維3との絡み合いの程度がさらに大きくなる。これにより、製造される複合成形体1において実現可能な空孔率の幅をより広くとることができる。
なお、繊維状をなす樹脂2の平均長さの上限値は、特に限定されないが、例えば100mm以下であるのが好ましく、50mm以下であるのがより好ましい。これにより、複合成形体1を製造するにあたって繊維状をなす樹脂2を分散媒5に分散させるとき、その分散性が良好になる。その結果、均質な構造の中間体10が得られるため、最終的に機械的特性に優れた複合成形体1が得られる。
なお、繊維状をなす樹脂2の平均長さとは、任意の100本以上の繊維状をなす樹脂2について、その長さを測定し、平均した値のことをいう。
また、繊維状をなす樹脂2の平均長さは、繊維3の平均長さの10~1000%程度であるのが好ましく、20~500%程度であるのがより好ましい。これにより、繊維状をなす樹脂2と繊維3との絡まり合いの程度がより顕著になるため、中間体10の保形性がより良好になるとともに、より幅広い範囲の空孔率の複合成形体1を容易に製造可能な中間体10が得られる。
また、繊維状をなす樹脂2の平均径は、特に限定されないが、1~100μm程度であるのが好ましく、5~80μm程度であるのがより好ましい。繊維状をなす樹脂2の平均径を前記範囲内に設定することにより、繊維状をなす樹脂2自体がある程度の機械的強度を有するものとなるため、中間体10において繊維状をなす樹脂2が均一に分散した状態を維持し易くなる。その結果、製造される複合成形体1において実現可能な空孔率の幅をより広くとることができる。
なお、繊維状をなす樹脂2の平均径とは、任意の100本以上の繊維状をなす樹脂2について、その径を測定し、平均した値のことをいう。
また、繊維状をなす樹脂2の径に対する長さの比(長さ/径)は、10以上であるのが好ましく、100以上であるのがより好ましい。これにより、繊維状をなす樹脂2が上記のような効果をより確実に発揮する。
一方、分散液6は、熱膨張性マイクロカプセルを含んでいてもよい。
この熱膨張性マイクロカプセルとは、揮発性の液体発泡剤を、ガスバリア性を有する熱可塑性シェルポリマーによりマイクロカプセル化した粒子である。このような熱膨張性マイクロカプセルは、次のようなメカニズムにより、発泡剤として機能するものである。すなわち、加熱によりカプセルの外殻が軟化しつつ、カプセルに内包した液体発泡剤が気化し圧力が増加する。その結果、カプセルが膨張し、中空球状粒子が形成される。この中空球状粒子は、加圧成形後においても残存するため、結果的に複合成形体1の密度を低下させることに寄与する。したがって、密度の小さい複合成形体1を得ることができる。
液体発泡剤としては、例えば、イソペンタン、イソブタン、イソプロパン等といった低沸点の炭化水素が挙げられる。
熱可塑性シェルポリマーとしては、例えば、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン-メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニリデン-エチルメタクリレート、アクリロニトリル-メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル-エチルメタクリレート等が挙げられ、これらを単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、エクスパンセル(日本フェライト社製)、マイクロスフェアーF50、マイクロスフェアーF60(以上、松本油脂製薬社製)、アドバンセルEM(積水化学工業社製)といった市販品を用いることができる。
熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、樹脂2の0.05~10質量%程度とするのが好ましく、0.1~5質量%程度とするのがより好ましい。これにより、複合成形体1の密度を低下させつつ、ある程度の機械的強度を確保することができる。
[3]次に、中間体10を加熱しつつ加圧成形する。これにより、中間体10中の樹脂2の少なくとも一部を溶融させ、複合成形体1が得られる。
具体的には、図6に示すように、成形型74と成形型75との間に中間体10を配置し、成形型74と成形型75との間に形成される図示しないキャビティーによって中間体10を加圧成形する。
例えば、成形型74を矢印Pのように降下させることにより、成形型74と成形型75との間で中間体10が圧縮される。このとき、同時に加熱されるため、樹脂2の少なくとも一部が溶融し、繊維3同士の間に流れ込み、繊維3同士を結着するバインダーとして機能する。その後、樹脂2が硬化することにより、樹脂2によって繊維3同士が結着される。これにより、中間体10から複合成形体1が得られる。
このときの加熱温度は、樹脂2の組成等に応じて適宜設定されるが、一例として150~350℃程度であるのが好ましく、160~300℃程度であるのがより好ましい。
また、このときの加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定されるが、1~180分程度であるのが好ましく、5~60分程度であるのがより好ましい。
また、このときの加圧力は、加熱温度や加熱時間に応じて適宜設定されるが、0.05~80MPa程度であるのが好ましく、0.1~60MPa程度であるのがより好ましい。
なお、本工程における条件を適宜変更することにより、複合成形体1の空孔率を調整することが可能である。例えば、加熱温度を低くしたり、加熱時間を短くしたり、加圧力を小さくしたりしたときには、比較的空孔率の大きい複合成形体1を得ることができる。一方、加熱温度を高くしたり、加熱時間を長くしたり、加圧力を大きくしたりしたときには、比較的空孔率の小さい複合成形体1を得ることができる。
以上、本発明の複合成形体および複合成形体の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の複合成形体は、前記実施形態に任意の要素が付加されたものであってもよい。
また、本発明の複合成形体の製造方法は、前記実施形態に任意の工程を付加したものであってもよく、前記実施形態の各工程の順序を入れ替えたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.複合成形体の製造
(実施例1)
[1]まず、レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、品番PR-51723)と、アラミド繊維(帝人株式会社製、品番T32PNW、平均長さ20mm、平均径12μm)と、アラミドパルプ(デュポン社製、品番パラアラミドパルプ)と、を水に加え、ディスパーザーで20分間撹拌した。これにより、固形分濃度0.6質量%の分散液を得た。なお、配合比は表1に示す通りである。
次に、得られた分散液に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド、分子量1000000)を、0.03質量%(質量比で300ppm)の濃度で添加した。
[2]次に、分散液を、40メッシュの金属網(スクリーン)でろ過し、凝集物を圧力3MPaで脱水プレスして水を除去した。
次に、脱水した凝集物を、50℃で5時間乾燥させて、中間体を得た。
[3]次に、成形型のキャビティー内に、中間体を配置した。
次に、成形型を加熱しつつ、中間体を4mmの厚さに加圧成形した。このときの加熱温度を180℃、加圧力を2MPa、加圧時間を10分間とした。
以上により、複合成形体を得た。
(実施例2~14)
複合成形体の製造条件を表1または表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして複合成形体を得た。なお、分散液における凝集剤の濃度は、いずれも質量比で50~1000ppmであった。
また、表1および表2における「PEI」は、ポリエーテルイミドのことを指す。
(比較例1~6)
複合成形体の製造条件を表1または表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして複合成形体を得た。
2.複合成形体の評価
2.1 密度の評価
まず、各実施例および各比較例の複合成形体について、JIS K 7112:1999のA法に準拠した方法により密度を測定した。測定結果を表1、2に示す。
2.2 耐衝撃強度の評価
次に、各実施例および各比較例の複合成形体について、ASTM D3763に準拠した方法により耐衝撃強度を測定した。
そして、実施例1~6および比較例1の複合成形体については、比較例2の複合成形体の耐衝撃強度を1としたときの相対値を算出した。
また、実施例7の複合成形体については、比較例3の複合成形体の耐衝撃強度を1としたときの相対値を算出した。
また、実施例8~13および比較例4の複合成形体については、比較例5の複合成形体の耐衝撃強度を1としたときの相対値を算出した。
また、実施例14の複合成形体については、比較例6の複合成形体の耐衝撃強度を1としたときの相対値を算出した。
次に、算出した相対値を以下の評価基準に照らして評価した。
<耐衝撃強度の評価基準>
A:相対値が1.75以上である
B:相対値が1.50以上1.75未満である
C:相対値が1.25以上1.50未満である
D:相対値が1.00以上1.25未満である
E:相対値が0.75以上1.00未満である
F:相対値が0.75未満である
評価結果を表1、2に示す。
2.3 靭性の評価
次に、各実施例および各比較例の複合成形体について、ASTM D3763に準拠した方法により衝撃エネルギーを測定した。
そして、実施例1~6および比較例1の複合成形体については、比較例2の複合成形体の衝撃エネルギーを1としたときの相対値を算出した。
また、実施例7の複合成形体については、比較例3の複合成形体の衝撃エネルギーを1としたときの相対値を算出した。
また、実施例8~13および比較例4の複合成形体については、比較例5の複合成形体の衝撃エネルギーを1としたときの相対値を算出した。
また、実施例14の複合成形体については、比較例6の複合成形体の衝撃エネルギーを1としたときの相対値を算出した。
次に、算出した相対値を以下の評価基準に照らすことにより靭性を評価した。なお、衝撃エネルギーの相対値が大きいほど、靭性が大きいことを示す。
<靭性の評価基準>
A:相対値が1.75以上である
B:相対値が1.50以上1.75未満である
C:相対値が1.25以上1.50未満である
D:相対値が1.00以上1.25未満である
E:相対値が0.75以上1.00未満である
F:相対値が0.75未満である
評価結果を表1、2に示す。
Figure 0007196988000002
Figure 0007196988000003
表1、2から明らかなように、各実施例の複合成形体については、比較例の複合成形体に比べて機械的強度が高いことが認められた。
1 複合成形体
2 樹脂
3 繊維
5 分散媒
6 分散液
10 中間体
70 容器
71 フィルター
72 プレス型
73 プレス型
74 成形型
75 成形型

Claims (8)

  1. 樹脂、長さ20mm以上の長繊維、定着剤、および、パルプを含み、前記定着剤の濃度が質量比で50~1000ppmである分散液を調製する工程と、
    前記分散液を抄造して、中間体を得る工程と、
    前記中間体を加圧成形することにより、前記パルプの含有量が0.5~10質量%であって、内部に独立気泡を有する複合成形体を得る工程と、
    を有することを特徴とする複合成形体の製造方法。
  2. 前記樹脂は、繊維状をなしている請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
  3. 前記分散液は、熱膨張性マイクロカプセルを含む請求項1または2に記載の複合成形体の製造方法。
  4. 前記長繊維は、無機繊維である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合成形体の製造方法。
  5. 前記樹脂は、熱硬化性樹脂を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複合成形体の製造方法。
  6. 前記中間体に含まれる前記熱硬化性樹脂は、半硬化状態にある請求項5に記載の複合成形体の製造方法。
  7. 前記長繊維の融点は、前記樹脂の融点より高い請求項1ないし6のいずれか1項に記載の複合成形体の製造方法。
  8. 前記分散液は、長さ20mm未満の短繊維を含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の複合成形体の製造方法。
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