JP2017186396A - 発泡体および発泡体の製造方法 - Google Patents

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大輝 今野
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Abstract

【課題】軽さおよび吸音特性のバランスに優れた発泡体を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂の硬化体中にフィラーが分散した発泡体であって、JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率が40%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、発泡体および発泡体の製造方法に関する。
吸音部材について、その吸音特性を向上させるべく、これまでに種々の検討がなされている。
たとえば、特許文献1には、特定の太さの炭素繊維からなる繊維集合体が熱硬化性樹脂で接合されている吸音断熱材が記載されている。
特開2000−328412号公報
しかし、本発明者らが検討した結果、従来の吸音部材は、その軽さおよび吸音特性のバランスという観点において改善の余地を有していた。
本発明は、軽さおよび吸音特性のバランスに優れた発泡体及び発泡体の製造方法を提供する。
本発明者らは、軽さおよび吸音特性のバランスを向上させた発泡体を提供すべく、鋭意検討した。その結果、熱硬化性樹脂の硬化体中にフィラーが分散した発泡体において、JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzでの垂直入射吸音率という尺度が設計指針として有効であることを見出し、本発明を完成させた。具体的には、本発明者らは、JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzにおける発泡体の垂直入射吸音率が所定値以上となるよう制御することにより、軽さ、強度および吸音特性のバランスが改善されることを見出した。
本発明によれば、熱硬化性樹脂の硬化体中にフィラーが分散した発泡体であって、
JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率が40%以上である、発泡体が提供される。
さらに、本発明によれば、発泡体を製造するための発泡体の製造方法であって、
前記熱硬化性樹脂、前記フィラー、及び熱膨張性マイクロカプセルを混合したスラリーを準備し、前記スラリーを抄造することにより発泡性抄造体を得る工程と、
金型の内部の一部に前記発泡性抄造体を配置し、前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、前記金型の内部の全体にまで前記発泡性抄造体を膨張させることにより、前記発泡性抄造体の成形体からなる発泡体を得る工程と、を含む、発泡体の製造方法が提供される。
本発明によれば、軽さおよび吸音特性のバランスに優れた発泡体及び発泡体の製造方法が提供される。
本実施形態に係る発泡性抄造体の一例を示す斜視模式図である。 本実施形態に係る発泡性抄造体の製造方法の一例を示す断面模式図である。 本実施形態に係る発泡体の製造方法の一例を示す断面模式図である。 実施例、比較例および参考例に関する垂直入射吸音率の測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態の発泡体の概要を説明する。
本実施形態の発泡体は、熱硬化性樹脂の硬化体中にフィラーが分散した発泡体である。この発泡体は、JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率が40%以上となるものである。
本発明者らが検討した結果、熱硬化性樹脂の硬化体中にフィラーが分散した発泡体において、JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzでの垂直入射吸音率という尺度が、軽さと吸音特性とのバランスを示す指標となることが見出された。
本発明者らは、このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率が40%以上となるように制御することにより、軽さと吸音特性とのバランスが改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本実施形態によれば、軽さと吸音特性とのバランスに優れた発泡体を実現することができる。
以下、本実施形態の発泡体について詳細に説明する。
本実施形態の発泡体は、熱硬化性樹脂の硬化体中にフィラーが分散した構造を有している。上記のフィラーの詳細については、後述する。
本実施形態の発泡体について、JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率は、40%以上であるが、好ましくは、45%以上であり、さらに好ましくは、50%以上であり、最も好ましくは、60%以上である。これにより、発泡体について、その軽さと吸音特性とのバランスを向上させることができる。また、上記4kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率の上限値は、特に限定されないが、100%以下としてもよく、95%以下としてもよく、90%以下としてもよい。これにより、軽さと吸音特性とのバランスを良好なものとすることができる。
なお、上述した垂直入射吸音率は、たとえば、10041型電子測器(電子計測株式会社製)を用いて測定することができる。
また、本実施形態の発泡体は、JIS A1405−1(2007)に準じて0kHz以上5kHz以下の周波数領域における当該発泡体の垂直入射吸音率を測定した際に、好ましくは、2kHz以上5kHz以下の周波数領域に上記垂直入射吸音率が50%以上となるピーク周波数を有しており、さらに好ましくは、2kHz以上5kHz以下の周波数領域に上記垂直入射吸音率が60%以上となるピーク周波数を有しており、より好ましくは、2kHz以上5kHz以下の周波数領域に上記垂直入射吸音率が65%以上となるピーク周波数を有しており、最も好ましくは、2kHz以上4kHz以下の周波数領域に上記垂直入射吸音率が65%以上となるピーク周波数を有している。これにより、発泡体について、軽さと吸音特性とのバランスを向上させることができる。一方、2kHz以上5kHz以下の周波数領域に有する上記ピーク周波数での垂直入射吸音率の上限値は、特に限定されないが、例えば、100%以下としてもよく、95%以下としてもよく、90%以下としてもよい。これにより、軽さと吸音特性とのバランスを良好なものとすることができる。
また、本実施形態の発泡体は、JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数1kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率が、好ましくは、15%以上であり、さらに好ましくは、18%以上であり、より好ましくは、20%以上である。これにより、発泡体について、軽さと、周波数が3kHz以下である中音領域での吸音特性とのバランスを向上させることができる。また、上記周波数1kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率の上限値は、特に限定されないが、100%以下としてもよく、95%以下としてもよく、90%以下としてもよい。これにより、軽さと、周波数が3kHz以下である中音領域での吸音特性とのバランスを良好なものとすることができる。
本実施形態の発泡体の体積空隙率の下限値は、例えば、50%以上が好ましく、52%以上がより好ましく、55%以上がさらに好ましい。これにより、該発泡体の軽さと吸音特性とを向上させることができる。一方、上記発泡体の体積空隙率の上限値は、特に限定されないが、例えば、95%以下が好ましく、93%以下がより好ましく、91%以下がさらに好ましい。これにより、軽さと吸音特性とのバランスを良好なものとすることができる。
本実施形態において、上記発泡体の体積空隙率の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、画像解析により算出することができる。具体的には、次のような測定方法を用いることができる。すなわち、まず、発泡体の中央付近を切り出す。切り出した発泡体の断面の画像を二値化し、熱硬化性樹脂等のマトリックス樹脂からなるマトリックス相と気泡からなる気泡相との面積比を、体積空隙率(発泡成形後の発泡体の原料体積分率(体積%))とみなすことができる。
本実施形態の発泡体の発泡構造は、独立気泡構造または連続気泡構造を有していてもよい。本実施形態の発泡体において、軽さ、強度および吸音特性のバランスを向上させる観点から、全体が上述した気泡構造を有していてもよい。本実施形態において、独立気泡構造とは、熱硬化性樹脂の硬化体により系外と隔離された空間(気泡)を複数有する構造を意味する。このような独立気泡構造においては、隣り合った空間の間で気体が通気することが抑制されているため、気密性に優れている構造を実現できる。
また、本実施形態の発泡体の密度の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.05g/cm以上でもよく、0.07g/cm以上でもよく、0.1g/cm以上でもよい。これにより、発泡体に関し、強度と軽さのバランスを図ることができる。一方で、上記発泡体の密度の上限値は、例えば、1.6g/cm以下であり、1.55g/cm以下が好ましく、1.5g/cm以下がより好ましい。これにより、発泡体に関し、軽さと吸音特性のバランスをさらに高めることができる。
本実施形態の発泡体の密度当たりの引張り強度を示す比引張強度の下限値は、特に限定されないが、例えば、5MPa/(g/cm)以上としてもよく、10MPa/(g/cm)以上としてもよく、15MPa/(g/cm)以上としてもよい。これにより、強度と軽さのバランスを向上させることができる。一方、上記比引張強度の上限値は、特に限定されないが、例えば、100MPa/(g/cm)以下としてもよく、90MPa/(g/cm)以下としてもよく、80MPa/(g/cm)以下としてもよい。これにより、吸音特性と強度のバランスを図ることができる。上記引張強度は、たとえば、引張試験機(テンシロン万能材料試験機、A&D社製)を用い、JIS K−7162に準拠した方法で測定できる。
本実施形態の発泡体の密度当たりの曲げ強度を示す比曲げ強度の下限値は、特に限定されないが、例えば、100MPa/(g/cm)以上としてもよく、120MPa/(g/cm)以上としてもよく、150MPa/(g/cm)以上としてもよい。これにより、強度と軽さのバランスを向上させることができる。一方、上記比曲げ強度の上限値は、特に限定されないが、例えば、300MPa/(g/cm)以下としてもよく、270MPa/(g/cm)以下としてもよく、250MPa/(g/cm)以下としてもよい。これにより、吸音特性と強度のバランスを図ることができる。上記曲げ強度は、JIS K−7171に準拠した方法にて測定できる。
本実施形態の発泡体の密度当たりの曲げ弾性率を示す比曲げ弾性率の下限値は、特に限定されないが、例えば、1GPa/(g/cm)以上としてもよく、2GPa/(g/cm)以上としてもよく、3GPa/(g/cm)以上としてもよい。これにより、強度と軽さのバランスを向上させることができる。一方、上記比曲げ弾性率の上限値は、特に限定されないが、例えば、20GPa/(g/cm)以下としてもよく、15GPa/(g/cm)以下としてもよく、12GPa/(g/cm)以下としてもよい。これにより、吸音特性と強度のバランスを図ることができる。上記曲げ弾性率は、JIS K−7171に準拠した方法にて測定できる。
本実施形態の発泡体のガラス転移温度(Tg)の下限値は、例えば、100℃以上としてもよく、好ましくは120℃以上としてもよく、より好ましくは150℃以上としてもよい。これにより、耐熱性を向上させることができ、たとえば、発熱部材などの熱履歴が生じる場所に使用することができる。一方、上記発泡体のガラス転移温度(Tg)の上限値は、特に限定されないが、例えば、350℃以下としてもよい。上記ガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査熱量計(DSC−2920、TAインスツルメント社製)により測定できる。
また、本実施形態の発泡体は、全体または一部が発泡性抄造体の成形体で構成されていてもよい。本実施形態において、製造安定性の観点から、上記発泡体の全体が、発泡性抄造体の成形体(発泡成形体)で構成されていることが好ましい。
以下、本実施形態の発泡性抄造体および発泡成形体について説明する。
<発泡性抄造体10>
図1は、本実施形態の発泡性抄造体10の一例を示す斜視模式図である。
本実施形態の発泡性抄造体10は、バインダー樹脂Aに、繊維フィラーBと、熱膨張性マイクロカプセルCとが分散している抄造体である。
ここで、本明細書において、「抄造体」という用語は、繊維材料を漉く手法を使用して得られた物の状態を示す技術用語として一般的に使用されている。この物の状態に関して、例えば、特許公報1(特許第4675276号)および特許公報2(特許第5426399号)に記載されている。同文献によれば、当該抄造体は、繊維や樹脂等の原料を分散媒に分散させた原料スラリーから、液体分が脱水され、フィルター上に残った湿潤状態の固形分を指す、と記載されている。ここでいう上記湿潤状態とは、加熱処理を施す前の未硬化状態、すなわち、ポストキュア前の未硬化状態を意味する。
本実施形態において、発泡性抄造体10は、シート状であっても、所望の成型品形状を模倣した形状に加工された立体形状(すなわち素形体の形態)であってもよい。そして、この発泡性抄造体10に対して、加熱処理等の発泡成形を行うことにより、成形体(発泡成形体50)を得ることができる。この発泡成形体50は、発泡性抄造体10の硬化物である。
本実施形態に係る発泡性抄造体10は、抄造法により得られたものである。
抄造法により得られた発泡性抄造体10は、図1に示すように、以下の点において構造上の特徴1〜3を有する。
(特徴1)発泡性抄造体10の表面の平面視において、繊維フィラーBおよび熱膨張性マイクロカプセルCがランダムに配向している。
(特徴2)発泡性抄造体10の厚み方向における断面視において、繊維フィラーBの配向状態が高度に制御されており、繊維フィラーBが特定方向に配向している。言い換えれば、発泡性抄造体10の厚み方向におけて、繊維フィラーBは積層した状態である。
(特徴3)繊維フィラーB同士がバインダー樹脂Aにより結着している。
このように図1に示す発泡性抄造体10は、バインダー樹脂Aと繊維フィラーBと熱膨張性マイクロカプセルCとが、面方向においてランダムに絡み合っており、このような面構造が厚み方向に重なるような、抄造構造を有している。
また、発泡性抄造体10は、発泡処理により所望の形状に成型して発泡成形体50を得るための材料に利用できる。
発泡性抄造体10における樹脂は完全硬化していない状態、例えば、Bステージ状態にある。そのため、発泡性抄造体10は、別の形状に変形することができる。そして、発泡性抄造体10は、熱硬化性樹脂であるバインダー樹脂Aの硬化温度で加熱することにより、樹脂を発泡・完全硬化して発泡成形体50を得ることができる。
次いで、発泡性抄造体10を構成する成分について説明する。
(バインダー樹脂A)
バインダー樹脂Aは、繊維フィラーB同士の間をつなぐ結着剤として機能するものであれば特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂を用いることができる。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて、適宜選択して使用することが可能であり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
機械特性や耐熱性の観点から、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。また、軽量化と強度の高い次元での両立の観点から、フェノール樹脂を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂は、粒状または粉状の形状を有するものとしてもよい。これにより、発泡性抄造体10を発泡・硬化して得られた発泡成形体50の強度をより効果的に向上させることができる。この理由は明らかではないが、発泡性抄造体10を加熱加圧して発泡させる際に、熱硬化性樹脂が粒状または粉状の形状を有することにより溶融時の熱硬化性樹脂の含浸性が向上し、繊維フィラーBと、熱硬化性樹脂との界面が良好に形成されることによると推定される。
熱硬化性樹脂として、例えば、平均粒径500μm以下で、室温で固体状態のものを使用することができる。これにより、発泡性抄造体10の製造工程において、熱硬化性樹脂の凝集状態をより形成しやすくすることができる。また、発泡性抄造体10の製造工程において、ワニス状の材料組成物を得る観点から、熱硬化性樹脂の平均粒径は1nm以上300μm以下であることがより好ましい。
このような平均粒径を有する熱硬化性樹脂は、例えば、アトマイザー粉砕機等を用いて粉砕処理を行うことにより得ることが可能である。
なお、熱硬化性樹脂の平均粒径は、例えば、株式会社島津製作所製のSALD−7000等のレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、質量基準の50%粒子径を平均粒径として求めることができる。
発泡性抄造体10に含まれる熱硬化性樹脂は半硬化状態であることが好ましい。半硬化の熱硬化性樹脂は、発泡性抄造体10を製造後、加熱加圧により所望の形状に発泡させ、成型する工程において、完全硬化される。これにより、高い強度と軽量化のバランスに優れた発泡成形体50が得られる。
(繊維フィラーB)
繊維フィラーBとは、繊維糸または長い繊維束を所定の長さに切断して得られるものである。
繊維フィラーBの平均繊維長は、抄造による特殊な構造を得る観点から、0.1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、機械的強度を得る観点から、2.5mm以上であることがさらに好ましく、2.8mm以上であることが特に好ましい。一方、良好な分散性を得る観点から、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましく、12mm以下であることが更に好ましい。
繊維フィラーBとしては、例えば、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)(PBZT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)等の繊維が挙げられる。これらの繊維フィラーBは、必要に応じて、適宜選択して使用することが可能であり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、軽さと強度のバランスを図る観点から、液晶ポリマー繊維を含有させてもよく、好ましくは、ポリアリレート繊維を含有させてもよい。ここで、液晶ポリマー繊維とは、液晶ポリマーを溶融紡糸した繊維のことを指す。そして、液晶ポリマーとは、溶融状態で分子の直鎖が規則正しく並んだ液晶様性質を示す、熱可塑性樹脂のことを指す。また、液晶ポリマー繊維は、上記液晶ポリマーを繊維化して得られたものであるため、液晶の配列方向が特定の方向に配向している。くわえて、液晶ポリマー繊維は、上述した特異な分子配向特性を示すため、優れた機械的強度や剛性を示すだけでなく、当該液晶ポリマー繊維を配合して得られた成形品の薄さが薄くなるほどその機械的強度が増すという特徴を有した繊維材料である。
繊維フィラーBの含有量は、強度を上げる観点から、バインダー樹脂A(熱硬化性樹脂)に対して、例えば、10重量%以上としてもよく、20重量%以上としてもよい。また、強度と軽量化のバランスを図る観点から、バインダー樹脂A(熱硬化性樹脂)に対して、例えば、80重量%以下としてもよく、75重量%以下としてもよく、70重量%以下としてもよく、50重量%以下としてもよい。
(熱膨張性マイクロカプセルC)
熱膨張性マイクロカプセルCとは、揮発性の液体発泡剤を、ガスバリア性を有する熱可塑性シェルポリマーによりマイクロカプセル化した粒子である。熱膨張性マイクロカプセルCは、次のようなメカニズムにより、発泡剤として機能するものである。すなわち、加熱によりカプセルの外殻が軟化しつつ、カプセルに内包した液体発泡剤が気化し圧力が増加する。その結果、粒子が膨張し、中空球状粒子(熱膨張性マイクロカプセルCの発泡粒子)が形成される。
上記液体発泡剤としては、例えば、イソペンタン、イソブタン、イソプロパン等といった低沸点の炭化水素が挙げられる。
上記熱可塑性シェルポリマーとしては、例えば、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−エチルメタクリレート、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱膨張性マイクロカプセルCとしては、例えば、エクスパンセル(日本フィライト社製)、マイクロスフェアーF50、マイクロスフェアーF60(松本油脂製薬社製)、アドバンセルEM(積水化学工業社製)といった市販品を用いることができる。
熱膨張性マイクロカプセルCの含有量は、発泡成形体50の密度を低くする観点から、バインダー樹脂A(熱硬化性樹脂)に対して、0.05重量%以上としてもよく、0.1重量%以上としてもよい。また、発泡成形体50の適度な強度を発現する観点から、バインダー樹脂A(熱硬化性樹脂)に対して、10重量%以下としてもよく、5重量%以下としてもよい。
その他、本実施形態における発泡性抄造体10は、上記成分の他に、パルプ、凝集剤、及び各種添加剤といった成分を含むことができる。
(パルプ)
本実施形態の発泡性抄造体10は、パルプを含んでもよい。パルプとは、フィブリル構造を有する繊維材料であり、上記繊維フィラーBとは異なるものである。パルプは、例えば、繊維材料を機械的又は化学的にフィブリル化することによって得ることができる。
発泡性抄造体10の製造時において、バインダー樹脂A、繊維フィラーB、熱膨張性マイクロカプセルCとともにパルプを抄造することによって、これらをより効果的に凝集させることができることから、より安定的な発泡性抄造体10の製造を実現することが可能となる。
上記パルプとしては、例えば、リンターパルプ、木材パルプ等のセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹等の天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)及びその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維及びそれらの共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維等の有機繊維をフィブリル化したものが挙げられる。パルプは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
パルプの含有量は、バインダー樹脂A(熱硬化性樹脂)に対して、0.5重量%以上としてもよく、1重量%以上としてもよく、2重量%以上としてもよい。これにより、抄造時における熱硬化性樹脂の凝集をより効果的に発生させて、さらに安定的な発泡性抄造体10の製造を実現することができる。一方、パルプの含有量は、バインダー樹脂A(熱硬化性樹脂)に対して、10重量%以下としてもよく、8重量%以下としてもよく、5重量%以下としてもよい。これにより、発泡成形体50の機械的特性や熱的特性をより効果的に向上させることが可能となる。
(凝集剤)
本実施形態の発泡性抄造体10は、凝集剤を含んでもよい。凝集剤は、発泡性抄造体10の製造時において、バインダー樹脂A、繊維フィラーB及び熱膨張性マイクロカプセルCをフロック状に凝集させる機能を有する。このため、より安定的な発泡性抄造体10の製造を実現することができる。
上記凝集剤としては、例えば、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、及び両性高分子凝集剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイド等を挙げることができる。これらの凝集剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、凝集剤において、そのポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基等の官能基量等は、必要特性に応じて調整することが可能である。
凝集剤の含有量は、バインダー樹脂A(熱硬化性樹脂)に対して、0.01重量%以上としてもよく、0.05重量%以上としてもよく、0.1重量%以上としてもよい。これにより、発泡性抄造体10の製造において、収率の向上を図ることができる。一方、凝集剤の含有量は、バインダー樹脂A(熱硬化性樹脂)に対して、1.5重量%以下としてもよく、1重量%以下としてもよく、0.5重量%以下としてもよい。これにより、抄造法を用いた発泡性抄造体10の製造において、脱水処理等をより容易にかつ安定的に行うことが可能となる。
本実施形態における発泡性抄造体10は、生産条件調整や要求される物性を発現させることを目的に、さらに、様々な添加剤を使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂、特性向上を目的とした無機粉末、金属粉、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、顔料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤等の紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤等のサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミ等の凝結剤等が挙げられる。
本実施形態の発泡性抄造体10は、添加剤として、アラミド微小繊維を有していてもよい。これにより、発泡性抄造体10を乾燥した抄造素形体のハンドリング性を良好とすることができる。
<発泡性抄造体10の製造方法>
図2は、発泡性抄造体10の製造方法の一例を示す断面模式図である。
本実施形態の発泡性抄造体10の製造方法は、バインダー樹脂A、繊維フィラーB、及び熱膨張性マイクロカプセルCを混合し、次いで、抄造法により混合物を抄造することにより発泡性抄造体10を得る工程を有する。ここで、上記抄造法とは、図2(b)に示すような製紙化技術の一つである紙抄き技術を利用したものである。
以下、図2を参照して、湿式抄造法による発泡性抄造体10の製造方法について詳述する。
まず、図2(a)に示すように、バインダー樹脂A、繊維フィラーB、及び熱膨張性マイクロカプセルCを溶媒中へ添加して撹拌、混合し、分散させる。このとき、上述した成分のうち、凝集剤を除く他の成分を溶媒中に添加してもよい。これにより、発泡性抄造体10を形成するためのワニス状の材料組成物(スラリー)を得ることができる。
各成分を溶媒に分散させる方法としては、特に限定されないが、例えば、ディスパーザーを用いて撹拌する方法が挙げられる。
上記溶媒としては、特に限定されないが、上記材料組成物の構成材料を分散させる過程において揮発しにくいことと、発泡性抄造体10中への残存を抑制するために脱溶媒をしやすいこと、脱溶媒によってエネルギーが増大してしまうことを抑制すること等の観点から、沸点が50℃以上200℃以下であるものが好ましい。
上記溶媒としては、例えば、水、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラール等のエーテル類等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、供給量が豊富であり、安価、環境負荷が低い、安全性も高く扱いやすいという理由から、水を用いることが更に好ましい。
続いて、得られたスラリー中に、さらに、凝集剤を添加してもよい。これにより、溶媒中のバインダー樹脂Aと、繊維フィラーBと、熱膨張性マイクロカプセルCとをフロック状に凝集させてなる凝集物Fを得ることがより容易となる(図2(b))。
続いて、バインダー樹脂A、繊維フィラーB、熱膨張性マイクロカプセルC等を混合したスラリーを、フィルターで抄くことにより、発泡性抄造体10を得る事ができる。
具体的には、図2(b)に示すように、底面がシート状のメッシュ30(フィルター)が設けられた容器に、上述のスラリーを導入する。そして、スラリー中の溶媒をメッシュ30に通し容器の外に排出させるとともに、スラリー中の凝集物Fをメッシュ30(フィルター)上に残存させる。これにより、凝集物Fと溶媒とを互いに分離することができる。
ここで、メッシュ30の形状を適宜選択することによって、得られる発泡性抄造体10の形状を調整することが可能である。
その後、フィルター(メッシュ30)上に得られた凝集物Fに対して、例えば乾燥炉内に入れて乾燥処理を行い、凝集物F中に残存する溶媒をさらに除去してもよい。
以上により、図2(c)に示す発泡性抄造体10が製造される。
図2(b)に示すような抄造法を用いることにより、発泡性抄造体10は、フィルターの表面に沿って形成される。このような発泡性抄造体10は、面方向にランダムに交絡した繊維フィラーBが、厚み方向に積層した構造を有する。繊維フィラーBが交絡した構造を有することにより、軽量でありながら優れた強度を有する発泡性抄造体10を得ることができる。
また、抄造法を用いることにより、発泡性抄造体10中の熱膨張性マイクロカプセルCの分散を高めることができる。
<発泡成形体50>
本実施形態の発泡成形体50は、発泡性抄造体10の成形体であり、熱膨張性マイクロカプセルCが発泡してなる気泡Dが当該成形体中に分散した気泡構造を有する。
<発泡成形体50の製造方法>
本実施形態の発泡成形体50の製造方法は、熱硬化性樹脂(バインダー樹脂A)、フィラー(繊維フィラーB)、及び熱膨張性マイクロカプセルCを混合したスラリーを準備し、このスラリーを抄造することにより発泡性抄造体10を得る工程と、
金型40,41の内部の一部に発泡性抄造体10を配置し、熱膨張性マイクロカプセルCを膨張させて、金型40,41の内部の全体にまで発泡性抄造体10を膨張させることにより、発泡性抄造体10の成形体からなる発泡体(発泡成形体50)を得る工程と、を含むことができる。
図3は、本実施形態に係る発泡体の製造方法の一例を示す断面模式図である。
以下、図3を参照して、発泡成形体50の製造方法について詳述する。
まず、図3(a)に示すように、発泡性抄造体10を、金型40,41の内部(金型キャビティ)に配置する。このとき、金型40及び金型41からなる金型キャビティの容積は、発泡性抄造体10の体積よりも大きいものとする。これにより、金型40,41の内部が完全に充填されない状態、いわゆるショートショットで、原料である発泡性抄造体10を配置することができる。
次に、発泡性抄造体10に対して発泡成形を行う。例えば、図3(b)に示すように、加熱処理により、熱膨張性マイクロカプセルCを膨張させて、発泡性抄造体10を膨張させる。膨張した発泡性抄造体10は、金型キャビティ全体に充填されることになる。このとき、熱膨張性マイクロカプセルCの発泡による内圧(金型40,41からの応力)により、発泡性抄造体10が成形されて発泡成形体50が得られる。これにより、所定の形状を有する発泡成形体50に成形することができる。
上述の発泡成形工程において、バインダー樹脂Aの硬化反応が進み、発泡成形体50中に、3次元構造を有するマトリックス樹脂(3次元網目構造を有する樹脂硬化体)が形成されることになる。また、熱膨張性マイクロカプセルCは、上記加熱処理により膨張し、気泡D(中空球状粒子)が形成される。
このように、本実施形態の発泡成形体50は、ショートショット法により製造することができる。ショートショット法を用いることにより、熱膨張性マイクロカプセルCの気泡拡大により生じる発泡圧を利用して、発泡性抄造体10を成形することができる。
上記加熱処理は、特に限定されないが、例えば、約160〜250℃、約10〜30分間としてもよい。本実施形態の発泡成形体50の製造方法においては、外部から成形圧を加えてはいないが、金型40,41中の内圧は、例えば、約1.5〜5MPaとなる。
ここで、外部から成形圧を加える方法として、射出成形法等が挙げられる。この方法では、充填圧や保持圧により、熱膨張性マイクロカプセルが発泡できない、気泡が破壊されてしまうことが生じていた。
これに対して、本実施形態の発泡成形体50の製造方法においては、外部から成形圧を加えていないため、熱膨張性マイクロカプセルCの未発泡や気泡Dの破壊を十分抑制することができる。
本実施形態において、発泡性抄造体10中の配合成分の種類や含有量、発泡性抄造体10および発泡成形体50の製造方法等を適切に選択することにより、上記垂直入射吸音率の値を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、繊維フィラーBとしてガラス繊維を使用すること、抄造法により繊維フィラーBや熱膨張性マイクロカプセルCの分散性を向上させること、ショートショット法により発泡倍率や気泡サイズを適切に制御する方法等が、上記垂直入射吸音率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。また、ショートショット法で発泡倍率を高くする方法としては、例えば熱膨張性マイクロカプセルCを増やし、マトリックス樹脂(バインダー樹脂A)の含有量や繊維フィラーBの含有量を発泡倍率分だけ減らすこと等が挙げられる。
本実施形態の発泡体は、例えば、建築資材分野、自動車や航空機などの輸送機分野等において、吸音材、防音材または遮音材として使用することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた材料は、以下の通りである。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂1:フェノール樹脂(フェノールレジン、「PR51723」、住友ベークライト株式会社製)
(フィラー)
繊維フィラー1:ポリアリレート繊維(クラレ株式会社製、「ベクトラン」)
繊維フィラー2:アラミド繊維(帝人株式会社製、「テクノーラT32PNW」)
繊維フィラー3:ガラス繊維(チョップドストランド「CS3J 891」、日東紡株式会社製)
(発泡剤)
発泡剤1:熱膨張性マイクロカプセル(「アドバンセル(登録商標)EM−304」、積水化学工業社製)
(その他の添加剤)
アラミド微小繊維1:アラミド微小繊維(「ティアラ」、ダイセルファインケム株式会社製)
<実施例1〜2>
(発泡性抄造体の製造)
実施例1〜2において、表1に示す配合割合(発泡成形後の原料体積分率[Vol%])で、次のようにして発泡性抄造体を製造した。
まず、アトマイザー粉砕機で平均粒径100μm(質量基準の50%粒子径)に粉砕した熱硬化性樹脂と、フィラーと、添加剤と、発泡剤とを水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌して混合物を得た。ここでは、熱硬化性樹脂と、フィラーと、添加剤と、発泡剤とからなる構成材料の合計100重量部に対して、10000重量部の水に添加した。
次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(合成スメクタイト:スメクトン(クニミネ工業社製))を、上述した構成材料の合計に対して0.2重量%添加し、構成材料をフロック状に凝集させた。
続けて、得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離した。この後、金属網上に残存した凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に3時間入れて乾燥させて、発泡性抄造体を得た。収率は97%であった。
(発泡体の製造)
実施例1〜2において、得られた発泡性抄造体を4mm厚の金型内に配置し、180℃、10分間、加熱処理を施し、発泡成形体からなる発泡体を製造した。このとき金型中の内圧は2MPaであった。実施例1〜2は、ショートショット法による発泡成形を行った。得られた発泡体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1中における発泡剤の発泡成形後の原料体積分率は、発泡体の体積空隙率を示す。
<比較例1>
(抄造体の製造)
比較例1において、表1に示す配合割合(コンプレッション成形後の原料体積分率[Vol%])で、次のようにして抄造体を製造した。
まず、アトマイザー粉砕機で平均粒径100μm(質量基準の50%粒子径)に粉砕した熱硬化性樹脂と、フィラーと、添加剤とを水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌して混合物を得た。ここでは、熱硬化性樹脂と、フィラーと、添加剤とからなる構成材料の合計100重量部に対して、10000重量部の水に添加した。
次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(合成スメクタイト:スメクトン(クニミネ工業社製))を、上述した構成材料の合計に対して0.2重量%添加し、構成材料をフロック状に凝集させた。
続けて、得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離した。この後、金属網上に残存した凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に3時間入れて乾燥させて、抄造体を得た。収率は97%であった。
(無発泡体の製造)
比較例1において、得られた抄造体を4mm厚の金型内に配置し、180℃、10分間、加熱処理を施し、コンプレッション成形により、抄造体の成形体からなる無発泡体を製造した。このとき成形圧は10MPaであった。得られた無発泡体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
また、参考例を表1に合わせて示す。なお、表1中の金属については、次の通りである。
(金属)
金属板1:金属板(ステンレス鋼、SUS304)
Figure 2017186396
(評価)
・成形後サンプル密度:JIS K−7112 A法に準拠した方法で測定した。
・垂直入射吸音率:JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した。
また、0kHz以上5kHz以下の周波数領域における垂直入射吸音率の測定結果を図4に示す。
なお、成形後サンプル密度、垂直入射吸音率は、いずれも室温25℃で測定した。
実施例1および2の発泡体は、軽さと吸音特性とのバランスに優れていることが分かった。一方、比較例1の無発泡体は、吸音特性が低下していることが分かった。
また、図4からも分かるとおり、実施例1の発泡体は、周波数約3kHzに垂直入射吸音率が78%となるピーク周波数を有していた。
以上、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
10 発泡性抄造体
30 メッシュ
40 金型
41 金型
50 発泡成形体
A バインダー樹脂
B 繊維フィラー
C 熱膨張性マイクロカプセル
D 気泡
F 凝集物

Claims (9)

  1. 熱硬化性樹脂の硬化体中にフィラーが分散した発泡体であって、
    JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数4kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率が40%以上である、発泡体。
  2. 請求項1に記載の発泡体であって、
    JIS A1405−1(2007)に準じて0kHz以上5kHz以下の周波数領域における当該発泡体の垂直入射吸音率を測定した際に、2kHz以上5kHz以下の周波数領域に前記垂直入射吸音率が50%以上となるピーク周波数を有する、発泡体。
  3. 請求項1または2に記載の発泡体であって、
    JIS A1405−1(2007)に準拠した方法で測定した周波数1kHzにおける当該発泡体の垂直入射吸音率が15%以上である、発泡体。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の発泡体であって、
    体積空隙率が50%以上95%以下である、発泡体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の発泡体であって、
    前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂を含む、発泡体。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の発泡体であって、
    前記フィラーが、繊維フィラーを含む、発泡体。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の発泡体であって、
    前記フィラーが、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)(PBZT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)からなる群から選択される一種以上を含む、発泡体。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の発泡体であって、
    発泡性抄造体の成形体からなる、発泡体。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の発泡体を製造するための発泡体の製造方法であって、
    前記熱硬化性樹脂、前記フィラー、及び熱膨張性マイクロカプセルを混合したスラリーを準備し、前記スラリーを抄造することにより発泡性抄造体を得る工程と、
    金型の内部の一部に前記発泡性抄造体を配置し、前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、前記金型の内部の全体にまで前記発泡性抄造体を膨張させることにより、前記発泡性抄造体の成形体からなる発泡体を得る工程と、を含む、発泡体の製造方法。
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