JP2010239478A - スピーカー用振動板、およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性に優れ、軽量、高剛性、かつ音響特性に関し良好な周波数特性を有するスピーカー用振動板を提供すること。
【解決手段】発泡体層と、前記発泡体層の両主面側に配置された一対の被覆層とを有し、前記発泡体層と前記一対の被覆層とが加熱加圧により一体化されたスピーカー用振動板であって、前記発泡体層が、(A)エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、(B)中空球状無機物質、および(C)熱可塑性樹脂からなる外殻の内部に揮発性液体発泡剤を収容する熱膨張性マイクロカプセルを含有し、全成分中の前記(B)中空球状無機物質の含有量が1重量%以上60重量%以下、かつ前記(C)熱膨張性マイクロカプセルの含有量が1重量%以上10重量%以下である発泡性樹脂組成物からなるもの。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカー用振動板、およびその製造方法に係り、特に成形性に優れ、軽量、高剛性、かつ音響特性に関し良好な周波数特性を有するスピーカー用振動板、およびその製造方法に関する。
従来、種々のスピーカー用振動板について、用途に応じて種々の材料が用いられている。このような材料としては、例えばチタン箔、アルミ箔等の金属箔、高分子フィルム、コーティング布、発泡ウレタン等が用いられている。
高分子フィルムとしては、例えばポリエーテルイミド(PEI)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチックが用いられている。このようなエンジニアリングプラスチックは、汎用プラスチックと比べて強度が高いものの、重量が大きく、また内部損失や反発弾性率も小さくなる。
コーティング布は、例えば綿または合成樹脂からなる織布にフェノール樹脂を含浸させ、その表面にアクリル系樹脂またはウレタン樹脂を塗布することにより製造されるものであり、軽量で弾性率が大きいものの、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂を含浸しているために内部損失や反発弾性率が小さくなる。
発泡ウレタンは、例えば30倍程度の高倍率に発泡させたものを熱プレスで圧縮成形して使用されており、多くの場合、ポリオールがポリエステル系またはポリエーテル系であるポリウレタンが用いられている。このような発泡ウレタンは低比重、低硬度で、反発弾性率、圧縮永久歪み、およびヒステリシスに優れるものの、湿度により加水分解し、耐候性が十分でない。
このような従来の問題に対処して、例えばシラスバルーン、ガラスバルーン等の中空微小球状無機充填剤を含有するもの(例えば、特許文献1、2参照)、また発泡剤を含有するもの(例えば、特許文献3、4参照)、さらに内部を発泡層とし、表面を未発泡層とした3層構造の射出発泡成形体からなるもの(例えば、特許文献5参照)が検討されている。
特開昭63−109698号公報 特開平6−178385号公報 特開2001−25087号公報 特開2000−201394号公報 特開平8−340594号公報
しかしながら、中空微小球状無機充填剤を用いるものについては、必ずしも成形性に優れたものとはいえず、耐衝撃性等の機械的強度についても十分なものとなっていない。また、発泡剤を用いるものについても、必ずしも上記した要求特性を十分に満足させるものとはなっていない。さらに、射出発泡成形体とするものについても、発泡倍率が十分でなく、必ずしも上記した要求特性を十分に満足させるものとはなっていない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、成形性に優れ、軽量、高剛性、かつ音響特性に関し良好な周波数特性を有するスピーカー用振動板、およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、スピーカー用振動板の構成材料、製造方法等について鋭意検討を行った結果、スピーカー用振動板を発泡体層と被覆層とからなる特定構造とすると共に、発泡体層を特定組成の発泡性樹脂組成物からなるものとすることによって、成形性に優れ、軽量、高剛性、かつ音響特性に関し良好な周波数特性を有するものとできることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明のスピーカー用振動板は、発泡体層と、前記発泡体層の両主面側に配置された一対の被覆層とを有し、前記発泡体層と前記一対の被覆層とが加熱加圧により一体化されたスピーカー用振動板であって、前記発泡体層は、(A)エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、(B)中空球状無機物質、および(C)熱可塑性樹脂からなる外殻の内部に揮発性液体発泡剤を収容する熱膨張性マイクロカプセルを含有し、全成分中の前記(B)中空球状無機物質の含有量が1重量%以上60重量%以下、かつ前記(C)熱膨張性マイクロカプセルの含有量が1重量%以上10重量%以下である発泡性樹脂組成物からなることを特徴とする。
前記発泡性樹脂組成物における前記(B)中空球状無機物質は、ガラスバルーン、シラスバルーン、およびシリカ−アルミナバルーンの中から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましく、前記(C)熱膨張性マイクロカプセルは、未膨張の状態での平均粒径が2μm以上50μm以下、膨張開始温度が70℃以上、かつ最大膨張温度が150℃以上であることが好ましい。また、前記被覆層は、金属箔、高分子フィルム、コーティング布、熱硬化性樹脂フィルム、または熱硬化性コーティング材からなることが好ましい。
本発明のスピーカー用振動板の製造方法は、一対の被覆材の間に、(A)エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、(B)中空球状無機物質、および(C)熱可塑性樹脂からなる外殻の内部に揮発性液体発泡剤を収容する熱膨張性マイクロカプセルを含有し、全成分中の前記(B)中空球状無機物質の含有量が1重量%以上60重量%以下、かつ前記(C)熱膨張性マイクロカプセルの含有量が1重量%以上10重量%以下である発泡性樹脂組成物を配置する工程と、前記発泡性樹脂組成物と前記一対の被覆材とを前記(C)熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に加熱し、前記発泡性樹脂組成物を発泡させると共に、前記発泡性樹脂組成物と前記一対の被覆材とを加熱加圧により一体化する工程とを有することを特徴とする。
本発明のスピーカー用振動板の具体的な製造方法としては、例えば成形用金型における一対の対向する内面上に前記一対の被覆材を配置すると共に、前記一対の被覆材の間に前記発泡性樹脂組成物を配置した後、前記発泡性樹脂組成物と前記一対の被覆材とを前記膨張開始温度以上の温度に加熱して加圧一体化する方法が挙げられる。
また、本発明のスピーカー用振動板の他の具体的な製造方法としては、例えば前記一対の被覆材を連続的に供給すると共に、前記一対の被覆材の間に前記発泡性樹脂組成物を連続的に供給して配置した後、これらを前記膨張開始温度以上とした領域に通過させて加熱ることにより連続的に一体化する方法が挙げられる。
本発明によれば、成形性に優れ、軽量、高剛性、かつ音響特性に関し良好な周波数特性を有するスピーカー用振動板を提供することができる。また、本発明によれば、このような特性に優れるスピーカー用振動板を容易に製造するための製造方法を提供することができる。
本発明のスピーカー用振動板を示す断面図。 本発明のスピーカー用振動板の製造方法の一例を示す断面図。 本発明のスピーカー用振動板の製造方法の他の例を示す断面図。 実施例および比較例のスピーカー用振動板の出力音圧周波数特性の測定結果を示す図。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明のスピーカー用振動板1は、発泡体層2と、この発泡体層2の両主面側に配置された一対の被覆層3とを有するものである。
本発明では、このようなスピーカー用振動板1における発泡体層2を、特定組成を有する発泡性樹脂組成物、すなわち(A)エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、(B)中空球状無機物質、および(C)熱可塑性樹脂からなる外殻の内部に揮発性液体発泡剤を収容する熱膨張性マイクロカプセルを含有し、全成分中の(B)中空球状無機物質の含有量が1重量%以上60重量%以下、かつ(C)熱膨張性マイクロカプセルの含有量が1重量%以上10重量%以下である発泡性樹脂組成物からなるものとすることを特徴としている。
本発明では、スピーカー用振動板1を発泡体層2の両主面に一対の被覆層3を配置した3層構造とすると共に、発泡体層2を上記した特定組成を有する発泡性樹脂組成物からなるものとすることで、生産性、特に成形性に優れ、軽量、高剛性、かつ音響特性に関し良好な周波数特性を有するものすることができる。
発泡性樹脂組成物における(A)成分の熱硬化性樹脂は、少なくともエポキシ樹脂を含有するものであればよく、例えばエポキシ樹脂のみからなるものであってもよいし、また例えばエポキシ樹脂とこれ以外の熱硬化性樹脂とからなるものであってもよい。
エポキシ樹脂としては、1分子に2個以上のエポキシ基を含有するものが好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD(アセトアルデヒド)型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
また、これらのエポキシ樹脂に他の族または型のエポキシ樹脂を混合した混合物、もしくはこれらの相互反応物を用いることもできる。他の族または型のエポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、含複素環エポキシ樹脂、水添型(水素添加型)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族、脂肪族、もしくは脂環式のカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂、スピロ環型エポキシ樹脂等を用いることができる。
一方、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
このような(A)成分の熱硬化性樹脂に対応して、発泡性樹脂組成物には(A)成分の熱硬化性樹脂と反応して硬化物を生成し得る硬化剤を含有させることが好ましい。硬化剤としては、(A)成分の熱硬化性樹脂と反応して硬化物を生成し得るものであれば特に制限されるものではなく、例えばエポキシ樹脂の硬化剤として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等の酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール樹脂、無水フタル酸誘導体、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、アルミニウムキレート、BFのようなルイス酸のアミン錯体等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
硬化剤の含有量は、(A)成分の熱硬化性樹脂の種類、硬化剤の種類等によっても異なるものの、例えばエポキシ樹脂については、そのエポキシ当量によっても異なるものの、エポキシ樹脂100質量部に対して、通常2質量部以上150質量部以下とすることが好ましい。
(B)成分の中空球状無機物質は、発泡体層2の軽量化等を目的として加えられるものであり、各種の無機質バルーン、例えばガラスバルーン、シラスバルーン、フライアッシュ、シリカ−アルミナバルーン等のセラミックバルーンが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。これらの中でも、特にガラスバルーンを用いることが好ましい。
中空球状無機物質の平均粒径は30μm以上150μm以下とすることが好ましい。中空球状無機物質の平均粒径が150μmを超える場合、スピーカー用振動板1を得るための成形時に壊れやすく、また発泡体層2の表面が粗くなるために好ましくない。また、中空球状無機物質の平均粒径が30μm未満の場合、発泡性樹脂組成物の成形性が低下するためにスピーカー用振動板1の製造が困難となり、また発泡体層2における単位体積あたりの含有量が多くなるために軽量化が困難となるおそれがある。
このような中空球状無機物質は、(A)成分の熱硬化性樹脂との密着性を向上させる観点から表面処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば有機シラン化合物、有機チタネート化合物、または有機アルミネート化合物が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
有機シラン化合物としては、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタアクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
有機チタネート化合物としては、例えばテトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムラクチート、オクチレングリコールチタネート、イソプロピル(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。また、有機アルミネート化合物としては、例えばアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピネート等が挙げられる。
中空球状無機物質の表面処理は、通常の方法によって行うことができ、例えば水または各種の有機溶剤に表面処理剤を溶解し、これに中空球状無機物質を浸漬し、乾燥させてもよいし、また例えばヘンシェルミキサー等のミキサー中で中空球状無機物質を加熱攪拌しつつ、水または各種の有機溶剤に表面処理剤を溶解したものを少しずつ添加するようにしてもよい。
中空球状無機物質の見かけ密度は0.2g/cm以上0.7g/cm以下であることが好ましい。中空球状無機物質の見かけ密度が0.2g/cm未満の場合、スピーカー用振動板1を得るための成形時に壊れやすく、また0.7g/cmを超えると、発泡体層2の軽量化が困難となるおそれがある。中空球状無機物質の見かけ密度を上記範囲内とすることで、発泡性樹脂組成物の成形性を良好にしつつ、発泡体層2を軽量、高剛性なものとすることができる。
中空球状無機物質の含有量は、発泡性樹脂組成物の全体中、1質量%以上60質量%以下であり、好ましくは5質量%以上50質量%以下である。中空球状無機物質の含有量が1質量%未満の場合、発泡体層2の軽量化、高剛性化が困難となるおそれがあり、60質量%を超えると、発泡性樹脂組成物の成形性が低下し、また相対的に(C)成分の熱膨張性マイクロカプセルの含有量が少なくなり、その熱膨張も阻害するおそれがある。
(C)成分の熱膨張性マイクロカプセルは、成形時にその熱により膨張するものであり、スピーカー用振動板1を軽量化しつつ、高剛性、かつ音響特性に関し良好な周波数特性を有するものとするために加えられるものである。
熱膨張性マイクロカプセルは、揮発性液体発泡剤と、この揮発性液体発泡剤を内部に収容する熱可塑性樹脂により構成される外殻とからなるものである。具体的には、成形時の温度で揮発する揮発性液体発泡剤を該温度で軟化する熱可塑性樹脂からなる外殻で包んだものである。このようなものとすることで、成形時にその熱により適切に膨張させることができ、これにより発泡性樹脂組成物を発泡状態とすることができる。このように成形時の温度で適切に膨張させる観点から、熱膨張性マイクロカプセル、すなわち揮発性液体発泡剤と外殻との合計量中の揮発性液体発泡剤の含有量は5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
揮発性液体発泡剤としては、常温では液体で、成形時の温度で気化するイソブタン、イソペンタン、ノルマルブタン、ノルマルペンタン、ネオペンタン、ヘキサン等が挙げられるが、これらの中でもイソブタン、イソペンタン等の低沸点炭化水素が好適なものとして挙げられる。
揮発性液体発泡剤としては上記以外のものも用いることができ、例えばジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン等の特定のフレオン類や、代替フレオン類、石油エーテルのような炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレン等の塩素化炭化水素等が挙げられるが、必ずしもこれらのものに限られるものではない。
外殻を構成する熱可塑性樹脂は、成形時の温度で適切に軟化し、内部に収容された揮発性液体発泡剤の揮発膨張によって膨張することができるように、例えば70℃以上150℃以下の温度で軟化するものが好ましい。また、外殻を構成する熱可塑性樹脂は、成形時の熱膨張によって破裂せず、カプセル状態を維持することができるように、成形時の温度で十分に大きな粘性を有するものが好ましい。
このような条件を満たすものとしては、例えば塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタアクリトニトリル、もしくはメチルメタクリレートの重合体、またはこれらの二種以上の共重合体、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、これらの一種以上とハロゲン化ビニル、スチレン系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレンをはじめとする種々の単量体との共重合体が挙げられる。
この熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート等の架橋剤で架橋または架橋可能とされていてもよい。これらの熱可塑性樹脂中でも、特に熱膨張開始温度および最大膨張温度が高い(メタ)アクリロニトリルのホモポリマーまたは(メタ)アクリロニトリル含有量の高い共重合体が好適に用いられる。
熱膨張性マイクロカプセル(外殻)の平均粒径は未膨張の状態で2μm以上50μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上40μm以下、さらに好ましくは10μm以上30μm以下である。熱膨張性マイクロカプセルの平均粒径が上記範囲よりも小さい場合、成形時の膨張率や膨張力が十分でなくなるおそれがあり、また上記範囲よりも大きい場合、成形時の膨張率や膨張力が大きくなりすぎるために、得られる発泡体層2の表面平滑性が低下するおそれがあり、またスピーカー用振動板1の機械的強度も十分でなくなるおそれがある。
また、熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度は70℃以上であることが好ましい。熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度が70℃未満であると、例えば発泡性樹脂組成物の調製時、具体的には混合、混練時に熱膨張性マイクロカプセルが膨張するおそれがある。なお、成形時の温度で適切に膨張させる観点から、熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度は150℃以下であることが好ましい。
さらに、熱膨張性マイクロカプセルの最大膨張温度、すなわち熱膨張性マイクロカプセルの膨張率が最大となるときの温度は150℃以上であることが好ましい。熱膨張性マイクロカプセルの最大膨張温度が150℃以上であると、成形時に熱膨張性マイクロカプセルの膨張率を最大とすることができるために好ましい。また、同様の観点から、熱膨張性マイクロカプセルの最大膨張温度は200℃以下であることが好ましい。
なお、膨張開始温度、最大膨張温度の測定は、例えば熱膨張性マイクロカプセルを円筒形のアルミニウム容器等に入れ、TMA(TAインスツルメンツ社製)を用いて上から加圧端子により力を加えた状態で昇温し、加圧端子の垂直方向における変位量を測定することにより行うことができ、変位が観測され始めた温度を膨張開始温度とし、最大変位量となった温度を最大膨張温度とすることができる。
このような未膨張の熱膨張性マイクロカプセルとしては、市販されているものを好適に用いることができ、例えばエクスパンセル[EXPANCEL](日本フィライト社製)が挙げられる。これは、外殻が上記した塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体またはアクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合体等からなり、揮発性液体発泡剤がイソブタンまたはイソペンタン等からなるものである。
具体的には、商品番号642、551、461(外殻;塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、揮発性液体発泡剤;イソブタン、熱膨張開始温度;約90℃(商品番号642)、約100℃(商品番号551)、約110℃(商品番号461))、商品番号091、092(外殻;アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合体、揮発性液体発泡剤;イソペンタン、熱膨張開始温度;約130℃)等が挙げられる。これらは、最大約4倍程度の大きさに膨張するため、体積にすると約60倍程度に膨張する。
熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、発泡性樹脂組成物の全体中、1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。熱膨張性マイクロカプセルの含有量が上記範囲よりも少ない場合、成形時の膨張率や膨張力が十分でなくなるおそれがあり、また熱膨張性マイクロカプセルの含有量が上記範囲よりも多い場合、成形時の膨張率や膨張力が大きくなりすぎるために、スピーカー用振動板1の機械的強度が十分でなくなるおそれがある。
発泡性樹脂組成物には、上記した(A)成分の熱硬化性樹脂、(B)成分の中空球状無機物質、および(C)成分の熱膨張性マイクロカプセルの他、必要に応じて、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、その他の成分、例えば無機充填剤、カップリング剤、消泡剤、着色剤、硬化促進剤、形状維持剤等を含有させることができる。
無機充填剤としては、例えばシリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。無機充填剤の粒径は、発泡性樹脂組成物の流動性等の点から平均粒径が0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることがより好ましい。
発泡性樹脂組成物の調製は、公知の樹脂組成物の調製方法を適用して行うことができ、例えば(A)成分の熱硬化性樹脂、(B)成分の中空球状無機物質、および(C)成分の熱膨張性マイクロカプセルの他、必要に応じて添加されるその他の成分を配合して、混合、混練することにより行うことができる。なお、発泡性樹脂組成物を調製するための混合、混練においては、(C)成分の熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張開始温度よりも低い温度で行うことが好ましい。
このような発泡性樹脂組成物を発泡させて得られる発泡体層2は、例えば厚さが100μm以上2000μm以下であることが好ましい。また、発泡体層2の発泡倍率は2以上10以下であることが好ましい。発泡倍率が上記範囲よりも小さくなると、発泡体層2の比重が過度に大きくなるおそれがあり、上記範囲を超えて大きくなると、発泡体層2の剛性が十分でなくなるおそれがある。
ここで、発泡倍率は、熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させていないいわゆる未発泡の発泡体層2の密度と、熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させた発泡済みの発泡体層2の密度とから、「未発泡の発泡体層2の密度/発泡済みの発泡体層2の密度」により求められるものである。なお、発泡倍率の調整は、例えば熱膨張性マイクロカプセルの平均粒径、含有量等を調整することによって、また例えば成形条件、具体的には成形温度、成形時間、成形圧力、成形金型のクリアランス等を調整することによって行うことができる。
一方、被覆層3は、スピーカー用振動板1の機械的強度を確保すると共に、スピーカー用振動板1の成形時に発泡性樹脂組成物をサンドイッチ成形するために設けられるものであり、例えば金属箔、高分子フィルム、コーティング布、熱硬化性樹脂フィルム、または熱硬化性コーティング材等からなるものである。
金属箔としては、例えばアルミニウム箔、チタン箔、銅箔、SUS箔、マグネシウム箔等を用いることができる。また、高分子フィルムとしては、例えばPEフィルム、OPPフィルム、TPXフィルム、PETフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。さらに、コーティング布としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、芳香族アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の無機繊維、もしくは有機繊維からなる織布または不織布等からなる基材に、メラミン樹脂、フェノール樹脂、またはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸、もしくはコーティングしたものを用いることができる。
また、熱硬化性樹脂フィルムとしては、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはアクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂からなる樹脂組成物をシート状あるいはフィルム状としたものを用いることができる。さらに、熱硬化性コーティング材としては、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはアクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂からなる塗料用組成物を用いることができる。
被覆層3の厚さは、スピーカー用振動板1の軽量化、高剛性化等の観点から1μm以上100μm以下が好ましい。また、同様の観点から、被覆層3の引張り強度は100MPa以上400MPa以下が好ましく、引張り弾性率は1GPa以上10GPa以下であることが好ましい。
また、このような発泡体層2と被覆層3とからなるスピーカー用振動板1は、軽量、高剛性、かつ音響特性に関し良好な周波数特性を有するものとする観点から、密度が0.2g/cm以上1.0g/cm以下であることが好ましく、弾性率(曲げ弾性率)が1GPa以上10GPa以下であることが好ましい。
次に、本発明のスピーカー用振動板1の製造方法について説明する。
本発明のスピーカー用振動板1の製造方法は、一対の被覆材の間に、上記した発泡性樹脂組成物を配置する工程と、これら発泡性樹脂組成物と一対の被覆材とを発泡性樹脂組成物における(C)成分の熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に加熱し、発泡性樹脂組成物を発泡させると共に、発泡性樹脂組成物と一対の被覆材とを加熱加圧により一体化する工程とを有することを特徴としている。
図2は、本発明のスピーカー用振動板1の製造方法の一例を示したものである。この製造方法では、上下一対の成形用金型11、12を用い、まずその対向する内面11a、12a上にそれぞれ一対の被覆層3となる被覆材3aを配置する。この際、被覆材3aが例えば金属箔等のシート状のものの場合には、内面11a、12aに貼り付けるようにすることで配置することができ、また例えば被覆材3aが熱硬化性コーティング材のように塗料状のものの場合には、内面11a、12aに塗布するようにすることで配置することができる。
その後、この一対の被覆材3aの間に発泡体層2となる発泡性樹脂組成物2aを配置する。なお、発泡性樹脂組成物2aは、このように成形用金型11、12の内部に一対の被覆材3aを配置した後、この一対の被覆材3aの少なくとも一方の対向面に塗布または注入等により配置してもよいし、また例えば成形用金型11、12に被覆材3aを配置する前に、予め被覆材3aの対向面となる表面に配置しておいてもよい。
そして、発泡性樹脂組成物2aと一対の被覆材3aとが内部に配置された成形用金型11、12を加熱、加圧することにより熱プレス成形する。この加熱により、熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張して発泡状態の発泡体層2が得られると共に、この発泡体層2によって一対の被覆材3aが接着されることにより一体化されてスピーカー用振動板1を得ることができる。
成形用金型11、12としては、例えば平型金型、ドーム型金型、エッジ金型等を用いることができ、このようなものの中からスピーカー用振動板1の形状等に合わせて適宜選択して用いることができる。また、成形方法としては、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の公知の成形方法を適用することができ、これらの中でも発泡性樹脂組成物2aと一対の被覆材3aとからサンドイッチ構造のスピーカー用振動板1を容易に得る観点から圧縮成形が好適に用いられる。
成形条件、すなわち成形温度、成形圧力、成形時間、金型クリアランス等は、必ずしも限定されるものではなく適宜設定することができるが、発泡性樹脂組成物2aを適切に発泡させる観点から、好ましくは成形温度が90℃以上200℃以下、成形圧力が1MPa以上350MPa以下、成形時間が1分以上20分以下、金型クリアランスが0.6mm以上1mm以下である。
また、本発明のスピーカー用振動板1の製造方法としては、発泡性樹脂組成物2aと一対の被覆材3aとを連続的に一体化する連続成形法を適用してもよく、例えばロールラミネート法やダブルベルトプレス法等の連続ラミネート法を適用してもよい。
図3は、ダブルベルトプレス法による製造方法の一例を示したものである。この製造方法に用いるラミネート装置21は、上下一組の回転するスチールベルト22を有しており、それらが対向する比較的に幅の狭い部分が発泡性樹脂組成物2aと一対の被覆材3aとを加熱、加圧して一体化するためのラミネート部23となっている。
一組のスチールベルト22は、図中矢印で示すように、ラミネート部23においてそれぞれ右側から左側へと移動するように構成されている。また、ラミネート部23のクリアランス、すなわちラミネート部23における一組のスチールベルト22の対向する表面間の間隔は、最終的に得ようとするスピーカー用振動板1の厚さ、具体的には発泡体層2や被覆層3の厚さによっても異なるものの、例えば0.1mm以上2mm以下である。
ラミネート部23における加熱は、全体を一様な温度としてもよいが、発泡性樹脂組成物2a等の導入側(図中、右側)から順に徐々に温度を上昇させることが好ましく、例えば図示するように導入側から順に低温領域、高温領域とすることが好ましい。低温領域は、例えば発泡性樹脂組成物2aを発泡させ、一組の被覆材3aを貼り合わせると共に、この発泡性樹脂組成物2aの表面を平滑化する観点から、70℃以上110℃以下とすることが好ましい。また、高温領域は、発泡性樹脂組成物2aを硬化させて全体を完全に一体化する観点から、100℃以上200℃以下とすることが好ましい。
このようなラミネート装置21については、ラミネート部23における一組のスチールベルト22に引き込まれるようにして図中右側より一対の被覆材3aが連続的に導入される。また、このラミネート装置21に導入される一対の被覆材3aの間には図示しない塗布装置等によって発泡性樹脂組成物2aが連続的に導入される。
そして、このように一対の被覆材3aの間に発泡性樹脂組成物2aが配置されたものは、まずラミネート部23における低温領域を通過させることで、例えば発泡性樹脂組成物2aを発泡させ、一対の被覆材3aを貼り合わせると共に、この発泡性樹脂組成物2aの表面を平滑化する。その後、さらに高温領域を通過させ、必要に応じて加圧することで、例えば発泡性樹脂組成物2aを硬化させて全体を完全に一体化する。このようにして発泡性樹脂組成物2aと一対の被覆材3aとが一体化されたものは、所望の形状に切断することで最終的なスピーカー用振動板1とすることができる。
以下、本発明について、実施例を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
まず、以下に示すような割合で各成分を配合し、混練機を用いて回転数60rpmで10分間の混練を行い発泡性樹脂組成物[1]を調製した。各成分の投入順序は、以下に記載される通りの順序で行った。なお、各成分の投入順序は、必ずしもこのような投入順序に限定されるものではない。
発泡性樹脂組成物[1]
(1)エポキシ樹脂: 100質量部
(2)硬化剤: 35質量部
(3)中空球状無機物質: 54質量部
(4)熱膨張性マイクロカプセル: 4質量部
各成分の詳細は以下に示す通りである。
・エポキシ樹脂:JER807(商品名)、ジャパンエポキシレジン社製
・硬化剤:TCG3049B(商品名)、京セラケミカル社製
・中空球状無機物質:
K−37(商品名)、住友3M社製、ガラスバルーン、平均粒径50μm、
見かけ密度0.37g/cm
・熱膨張性マイクロカプセル:
(053)DU40(商品名)、日本フィライト社製、平均粒径15μm、
膨張開始温度100℃、最大膨張温度160℃
次に、平型金型の両金型内面に離型剤を塗布した後、一対の被覆材として熱硬化性コーティング剤(TEB9502(商品名)、京セラケミカル社製)を厚さが30μmとなるように塗布し、さらに一対の被覆材の間に上記した発泡性樹脂組成物[1]を導入し、温度160〜180℃、圧力5MPaの条件で30分間の熱圧プレス成形を行い、厚さ0.4mmのスピーカー用振動板を製造した。
(実施例2)
実施例1で用いたものと同様の平型金型の両金型内面に被覆材として厚さ30μmの高分子フィルム(カプトンEN(商品名)、東レデュポン社製)を配置し、その後は実施例1と同様にして発泡性樹脂組成物[1]を導入して熱圧プレス成形を行い、厚さ0.4mmのスピーカー用振動板を製造した。
(実施例3)
高分子フィルムを用いる代わりに厚さ30μmのガラスエポキシプリプレグ(TLP−551(商品名)、京セラケミカル社製)を用いた以外は実施例2と同様にしてスピーカー用振動板を製造した。
(実施例4)
連続ラミネート法によりスピーカー用振動板を製造した。すなわち、一対の被覆材として厚さ30μmの高分子フィルム(カプトンEN(商品名)、東レデュポン社製)を用い、一方の高分子フィルムの対向面となる表面に発泡性樹脂組成物[1]を塗布し、この発泡性樹脂組成物[1]が塗布された表面側に他方の高分子フィルムを重ね合わせるようにして熱ロールで貼り合わせ、さらに加熱炉を通過させ、厚さ0.4mmのスピーカー用振動板を製造した。なお、ロール圧は0.5MPa、加熱炉の温度は90〜180℃、実質的な加熱時間は10分間とした。
(比較例1)
発泡性樹脂組成物[1]の代わりに下記の発泡性樹脂組成物[2]を用い、それ以外は実施例2と同様にしてスピーカー用振動板を製造した。なお、発泡性樹脂組成物[2]は、熱膨張性マイクロカプセルを過剰に含有するものである。
発泡性樹脂組成物[2]
(1)エポキシ樹脂: 100質量部
(2)硬化剤: 35質量部
(3)中空球状無機物質: 53質量部
(4)熱膨張性マイクロカプセル: 25質量部
(比較例2)
発泡性樹脂組成物[1]の代わりに下記の発泡性樹脂組成物[3]を用い、それ以外は実施例2と同様にしてスピーカー用振動板を製造した。なお、発泡性樹脂組成物[3]は、熱膨張性マイクロカプセルを含有しないものである。
発泡性樹脂組成物[3]
(1)エポキシ樹脂: 100質量部
(2)硬化剤: 33質量部
(3)中空球状無機物質: 150質量部
(比較例3)
被覆材を用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてスピーカー用振動板を製造した。
(比較例4)
発泡性樹脂組成物[1]の代わりに下記の発泡性樹脂組成物[4]を用い、それ以外は実施例2と同様にしてスピーカー用振動板を製造した。なお、発泡性樹脂組成物[4]は、樹脂成分を低密度ポリエステル樹脂(エリエールUE3380(商品名)、ユニチカ社製)としたものである。
発泡性樹脂組成物[4]
(1)低密度ポリエステル樹脂: 100質量部
(2)硬化剤: 35質量部
(3)中空球状無機物質: 54質量部
(4)熱膨張性マイクロカプセル: 4質量部
(比較例5)
発泡性樹脂組成物[1]の代わりに下記の発泡性樹脂組成物[5]を用い、それ以外は実施例2と同様にしてスピーカー用振動板を製造した。なお、発泡性樹脂組成物[5]は、熱膨張性マイクロカプセルの代わりにジアゾカルボンアミドを混合したポリエチレン樹脂からなる発泡剤(ポリスレンEE−205(商品名)、永和化成工業社製)を用いたものである。
発泡性樹脂組成物[5]
(1)エポキシ樹脂: 100質量部
(2)硬化剤: 35質量部
(3)中空球状無機物質: 54質量部
(4)発泡剤: 25質量部
次に、上記した実施例および比較例の各スピーカー用振動板について、以下の特性評価を行った。結果を表1、図4に示す。
(密度)
各スピーカー用振動板の密度をJIS K6758に準拠して測定した。
(弾性率)
各スピーカー用振動板の曲げ弾性率を熱分析(DMA)法により測定した。
(比弾性率)
上記した弾性率と密度とから、「弾性率/密度」により算出した。
(出力音圧周波数特性)
実施例2、および比較例1、2のスピーカー用振動板について、それぞれ同様のスピーカーに組み込み、無響室において音圧の周波数特性を取得した。なお、音圧の周波数特性の取得は、日本オーディオ社製のレスポンスチェッカーを用いて行った。
Figure 2010239478
表1から明らかなように、発泡体層を特定組成の発泡性樹脂組成物からなるものとした実施例のスピーカー用振動板はいずれも密度が低く、弾性率、比弾性率が高く、また図4に代表して示されるように高音域における出力も高く、良好な出力音圧周波数特性が得られることがわかる。
1…スピーカー用振動板、2…発泡体層、2a…発泡性樹脂組成物、3…被覆層、3a…被覆材、11、12…成形用金型、11a、12a…成形用金型の内面

Claims (7)

  1. 発泡体層と、前記発泡体層の両主面側に配置された一対の被覆層とを有し、前記発泡体層と前記一対の被覆層とが加熱加圧により一体化されたスピーカー用振動板であって、
    前記発泡体層は、(A)エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、(B)中空球状無機物質、および(C)熱可塑性樹脂からなる外殻の内部に揮発性液体発泡剤を収容する熱膨張性マイクロカプセルを含有し、全成分中の前記(B)中空球状無機物質の含有量が1重量%以上60重量%以下、かつ前記(C)熱膨張性マイクロカプセルの含有量が1重量%以上10重量%以下である発泡性樹脂組成物からなることを特徴とするスピーカー用振動板。
  2. 前記(B)中空球状無機物質は、ガラスバルーン、シラスバルーン、およびシリカ−アルミナバルーンの中から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1記載のスピーカー用振動板。
  3. 前記(C)熱膨張性マイクロカプセルは、未膨張の状態での平均粒径が2μm以上50μm以下、膨張開始温度が70℃以上、かつ最大膨張温度が150℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載のスピーカー用振動板。
  4. 前記被覆層は、金属箔、高分子フィルム、コーティング布、熱硬化性樹脂フィルム、または熱硬化性コーティング材からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスピーカー用振動板。
  5. 一対の被覆材の間に、(A)エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、(B)中空球状無機物質、および(C)熱可塑性樹脂からなる外殻の内部に揮発性液体発泡剤を収容する熱膨張性マイクロカプセルを含有し、全成分中の前記(B)中空球状無機物質の含有量が1重量%以上60重量%以下、かつ前記(C)熱膨張性マイクロカプセルの含有量が1重量%以上10重量%以下である発泡性樹脂組成物を配置する工程と、
    前記発泡性樹脂組成物と前記一対の被覆材とを前記(C)熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に加熱し、前記発泡性樹脂組成物を発泡させると共に、前記発泡性樹脂組成物と前記一対の被覆材とを加熱加圧により一体化する工程と
    を有することを特徴とするスピーカー用振動板の製造方法。
  6. 成形用金型における一対の対向する内面上に前記一対の被覆材を配置すると共に、前記一対の被覆材の間に前記発泡性樹脂組成物を配置した後、前記発泡性樹脂組成物と前記一対の被覆材とを前記膨張開始温度以上の温度に加熱して加圧一体化することを特徴とする請求項5記載のスピーカー用振動板の製造方法。
  7. 前記一対の被覆材を連続的に供給すると共に、前記一対の被覆材の間に前記発泡性樹脂組成物を連続的に供給して配置した後、これらを前記膨張開始温度以上とされた領域に通過させて加熱することにより連続的に一体化することを特徴とする請求項5記載のスピーカー用振動板の製造方法。
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