JP2015044914A - 繊維強化プラスチック成形体用シート及び繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、優れた強度と難燃性を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用シートを提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分と、カップリング剤とを含有し、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シートに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体用シート及び繊維強化プラスチック成形体に関する。具体的に、本発明は、強化繊維、熱可塑性繊維を含むマトリックス樹脂繊維、バインダー成分及びカップリング剤を含む繊維強化プラスチック成形体用シートと、該繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することにより形成される繊維強化プラスチック成形体に関するものである。
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む不織布を加熱加圧処理し、成形した繊維強化プラスチック成形体は、既にスポーツ、レジャー用品、航空機用材料など様々な分野で用いられている。これらの繊維強化プラスチック成形体においてマトリックスとなる樹脂には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられることが多い。
上記のような熱硬化性樹脂を用いた繊維強化プラスチック成形体においては、その強度を向上させるために、マトリックス樹脂に無機粒子を配合する試みがなされている。例えば、特許文献1には、カップリング剤で処理した無機粒子樹脂を配合したマトリックス樹脂組成物が開示されている。ここでは、マトリックス樹脂繊維には、主に熱硬化性樹脂が用いられている。また、特許文献2には、熱硬化性樹脂と無機粒子とカップリング剤を含む繊維強化プラスチック成形体用シートが開示されている。ここでは、カップリング剤は熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を有しており、このようなカップリング剤を用いることにより、圧縮強度や曲げ強度を向上させることが提案されている。
特開平8−157620号公報 特開2012−149237号公報
しかしながら、マトリックス樹脂繊維として熱硬化性樹脂を用いた場合、得られる繊維強化プラスチック成形体用シートは冷蔵保管しなければならず、長期保管ができないという難点がある。
このような問題に対しては、熱硬化性樹脂に替えて熱可塑性樹脂を用いて繊維強化プラスチック成形体用シートを形成することが考えられる。熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック成形体用シートは、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有するからである。
しかし、従来の熱可塑性樹脂を用いた繊維強化プラスチック成形体用シートから繊維強化プラスチック成形体を形成した場合、その強度や難燃性が十分ではないという問題があった。
また、熱可塑性樹脂と強化繊維とカップリング剤を併用した繊維強化プラスチック成形体用シートについては、未だ十分な検討がなされておらず、熱可塑性樹脂と強化繊維とカップリング剤を組み合わせて用いた時に発揮し得る機能等については未知数であった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、優れた強度と難燃性を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用シートであって、成形体の加工工程におけるハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分と、カップリング剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用シートにおいて、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数を24以上とすることにより、優れた強度と難燃性を有する繊維強化プラスチック成形体を効率良く生産できることを見出した。さらに、本発明者らは、このような繊維強化プラスチック成形体用シートを用いることにより、繊維強化プラスチック成形体の生産効率を高め得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分と、カップリング剤とを含有し、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シート。
[2]前記強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[3]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であり、かつ前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は前記強化繊維の繊維径の5倍以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[4]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維はポリエーテルイミド繊維又はポリカーボネート繊維から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[5]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維がポリエーテルイミド(PEI)繊維であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[6]JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度が250秒以下であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[7]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維及び前記強化繊維は、チョップドストランドであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[8]前記カップリング剤が、シラン系カップリング剤であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[9]前記シラン系カップリング剤が、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、メルカプト基、ポリスルフィド基及びイソシアネート基から選ばれる基を官能基として含有するものであることを特徴とする[8]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[10]前記バインダー成分は、前記繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[11]前記バインダー成分は前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維と加熱溶融状態で相溶することを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[12]前記バインダー成分は、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも一方を含む共重合体を含有することを特徴とする[1]〜[11]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[13]前記バインダー成分として、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度よりも低い融点を有するバインダー繊維を含有することを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[14]前記バインダー繊維は、ポリエチレンテレフタレート又は変性ポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする[13]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[15]前記繊維強化プラスチック成形体用シートは表層領域と前記表層領域に挟まれた中間領域を有し、前記表層領域に含有されているバインダー成分は、前記中間領域に含有されているバインダー成分より多いことを特徴とする[1]〜[14]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[16]前記バインダー成分に含まれる共重合体は、前記強化繊維と前記マトリックス樹脂繊維を構成する繊維同士の交点に水掻き膜状に局在していることを特徴とする[12]〜[15]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[17]強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分と、カップリング剤とを混合し、乾式不織布法または湿式不織布法によって不織布シートを形成する工程を含む繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法において、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[18]前記不織布シートを形成する工程は、前記バインダー成分を含む溶液又は前記バインダー成分を含むエマルジョンを前記不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことを特徴とする[17]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[19][1]〜[16]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することにより形成されている、繊維強化プラスチック成形体。
[20][1]〜[16]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートを、150〜600℃の温度で加熱加圧成形することにより形成されている、繊維強化プラスチック成形体。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを用いることにより、優れた強度と難燃性を有する繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを用いれば、繊維強化プラスチック成形体を効率よく連続生産することが可能となり、その製造コストを抑制することができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(繊維強化プラスチック成形体用シート)
本発明は、強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維の混合物を含み、さらにバインダー成分と、カップリング剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用シートに関する。ここでは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上である。
このように、本発明では、限界酸素指数が24以上の熱可塑性スーパーエンプラ繊維を用い、強化繊維とバインダー成分とカップリング剤とを組み合わせて繊維強化プラスチック成形体用シートを形成することにより、優れた強度及び難燃性を有する繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを成形することにより得られる繊維強化プラスチック成形体の強度及び難燃性は、従来の熱可塑性樹脂を用いた場合よりも優れている。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートにおいて、強化繊維と熱可塑性スーパーエンプラ繊維の質量比は1:0.2〜1:10であることが好ましく、1:0.5〜1:5であることがより好ましく、1:0.7〜1:3であることがさらに好ましい。強化繊維と熱可塑性スーパーエンプラ繊維の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
一般に、マトリックス樹脂は、溶融粘度が高いため、射出成形等の方法では強化繊維を多量に配合すると、強化繊維を均一に分散させることが難しいため、強化繊維の配合比に限界がある。しかし、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートでは、必要とされる強度に応じて比較的自由に強化繊維とマトリックス樹脂繊維との比率を設定することができる。
また、カップリング剤は、繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して、0.1〜12質量%含まれていることが好ましく、0.5〜10質量%含まれていることがより好ましく、1〜8質量%含まれていることがさらに好ましい。カップリング剤を上記範囲となるように添加することにより、繊維強化プラスチック成形体の強度をより高めることができる。
繊維強化プラスチック成形体用シートのJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度は、250秒以下であることが好ましく、230秒以下であることがより好ましく、200秒以下であることがさらに好ましい。この数値は、数字が小さいほど空気が通りやすい(通気性が良い)ことを表す。本発明では、繊維強化プラスチック成形体用シートの透気度を上記範囲内とすることにより、加熱加圧工程における成形速度を高めることができ、生産効率を高めることができる。
但し、上記通気性を満たすための材料として、処理前のシートを嵩高に調整した場合、繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧工程での熱プレス機等に挿入する際に不都合が生じる場合がある。また、繊維強化プラスチック成形体用シートを製造後、加熱加圧工程に供するまでの間、保管コストがかかるという問題もある。このような問題は、加熱加圧成形前に熱プレス、若しくは熱カレンダーによって軽くプレスし、適宜密度を高めることで解決できる。この方法の場合、空気は多少通りにくくなるので、JAPAN TAPPI紙パルプ試験法に準拠した方法で測定される透気度が250秒以下という状態を維持できる範囲で高密度化することが好ましい。
(強化繊維)
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
強化繊維として、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維を使用した場合、繊維強化プラスチック成形体用シートに含まれる熱可塑性スーパーエンプラ繊維の溶融温度で加熱加圧処理することにより繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。
また、強化繊維として、アラミド繊維等の高耐熱性・高強度の有機繊維を使用した場合は、高度な平滑性の要求される精密な研磨用の機器に適する繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。アラミド等の有機繊維を強化繊維として含有する繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される繊維強化プラスチック成形体は、一般的に強化繊維として無機繊維を使用した繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される成形体よりも耐摩耗性に優れる。また擦過等によって繊維強化プラスチック体の一部が削り取られたとしても、その削り粕が無機繊維よりも柔らかいので、被研磨物を傷つけるおそれが少ない。
強化繊維の繊維長は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることがさらに好ましい。また、強化繊維の繊維長は、40mm以下であることが好ましく、35mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることがさらに好ましい。
強化繊維の繊維径としては、特に限定されるものではないが、3〜18μmが好ましい。強化繊維の繊維径を上記範囲内とすることにより、製造工程或いは使用中に人体に取り込まれることを防ぐことができ、かつ均一に混合することが可能となる。
<マトリックス樹脂繊維>
マトリックス樹脂繊維は、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含む。熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成する。このようなマトリックス樹脂繊維を用いた不織布状の繊維強化プラスチック成形体用シートは、熱硬化性樹脂を使用したシートに比べて、オートクレーブ処理が不要で、加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、生産性を高めることができる。
熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、スーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)と称される熱可塑性樹脂の繊維であり、耐熱性で難燃性の熱可塑性樹脂を繊維化したものである。熱可塑性スーパーエンプラ繊維としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)等を例示することができる。ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂は耐薬品性が高く、耐熱性が高いため、耐薬品性と高温時の強度に優れる繊維強化プラスチックを得ることができる。ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂を用いた場合は、他のスーパーエンプラよりも耐薬品性と高温時の強度に特に優れる繊維強化プラスチックを得ることができる。また、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂は炭素繊維やガラス繊維との密着性が優れ、また限界酸素指数が樹脂ブロックの状態で47と非常に高いため、強度と難燃性に優れる繊維強化プラスチックを得ることができる。
本発明では、熱可塑性スーパーエンプラ繊維として、ポリエーテルイミド(PEI)繊維又はポリカーボネート(PC)繊維から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましい。中でも、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂を繊維化したポリエーテルイミド(PEI)繊維を用いることが特に好ましい。ポリエーテルイミド(PEI)樹脂は、溶融し成形加工された状態での限界酸素指数が40以上、またASTM E−662に記載の方法で測定した20分燃焼時の発煙量が30ds前後と、非常に発煙量が少ないため好ましく用いられる。
尚、通常熱可塑性スーパーエンプラ繊維には分類されないが、ポリカーボネート(PC)も難燃性に優れているため、本発明には含むものとする。本発明の熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、2種類以上用いることもできる。また、本発明の効果を損ねない範囲で、また、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エポキシ樹脂等の熱可塑性スーパーエンプラ繊維以外も添加することができる。
熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、繊維状態において限界酸素指数が24以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましい。熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数を上記範囲とすることにより、難燃性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。なお、本発明において、「限界酸素指数」とは、燃焼を続けるのに必要な酸素濃度を表し、JIS K7201に記載された方法で測定した数値をいう。すなわち、限界酸素指数が20以下は、通常の空気中で燃焼することを示す数値である。尚、上記ポリカーボネートの限界酸素指数は24〜26である。
また、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のASTM E−662に記載の方法で測定した20分燃焼時の発煙量は30ds前後であることが好ましく、非常に発煙量が少ない繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度は、140℃以上であるものが好ましい。熱可塑性スーパーエンプラ繊維には、繊維強化プラスチック成形体を形成する際に300℃から400℃というような温度条件下で十分に流動的であることが求められる。なお、PPS樹脂繊維のようにガラス転移温度が140℃未満のスーパーエンプラ繊維であっても、樹脂の荷重たわみ温度が190℃以上となるスーパーエンプラを繊維化したものであれば使用可能である。このような熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、加熱・加圧により溶融して限界酸素指数が30以上という非常に高い難燃性を有する樹脂ブロックを形成する。
熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であることが好ましい。さらに、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は上述した強化繊維の繊維径の5倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることがさらに好ましい。熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の強度をより高めることができる。
熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、32μm以下であることがさらに好ましい。中でも、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は、1〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維長は、1mm以上であることが好ましく、 2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることがさらに好ましい。また、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維長は、40mm以下であることが好ましく、35mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる繊維強化プラスチック成形体用シートでは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維が繊維形態をしていることによりシート中に空隙が存在している。
本発明では、熱可塑性スーパーエンプラ繊維が加熱加圧成形前には、繊維形態を維持しているため、繊維強化プラスチック成形体を形成する前は、シート自体がしなやかでドレープ性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用シートを巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
また、本発明で用いられる繊維強化プラスチック成形体用シートは、繊維強化プラスチック成形体に加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、その生産性に優れている。繊維強化プラスチック成形体用シートを短時間で加熱加圧成形するためには、使用される熱可塑性スーパーエンプラ繊維が高温下で速やかに溶融することが必要であり、そのためには、スーパーエンプラ繊維の繊維径が細いほうが好ましい。繊維径が細いほど繊維同士の接触点数が増加するため、繊維同士の接触面積が増加し、熱伝導が良好となること、及び繊維の熱容量が小さくなるため、溶融させるために必要な熱量が少なくなるためである。
<カップリング剤>
カップリング剤は、強化繊維とマトリックス樹脂繊維間で強固な結合を形成することができる。このようなカップリング剤を用いることにより、優れた強度を有する繊維強化プラスチック成形体を形成し得る繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。また、カップリング剤を用いることにより、強化繊維が繊維強化プラスチック成形体用シートから脱落することを抑制することもできる。
カップリング剤としては、カルボン酸系、高分子系、リン酸系、チタネート、シランカップリング剤などが挙げられるが、特に、その強度向上効果の点でシランカップリング剤を添加することが好ましい。特に分子内に官能基を有するシラン系カップリング剤は、広範囲な樹脂に適用可能で、反応性も高いため、好ましく用いられる。この場合、シラン系カップリング剤は、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、メルカプト基、ポリスルフィド基及びイソシアネート基から選ばれる基を官能基として含有するものであることが好ましい。中でも、アミノ基、エポキシ基を官能基として含有することが好ましい。
例えば、分子内にエポキシ基を有するシラン系カップリング剤の具体的な例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。
また、分子内にアミノ基を有するシラン系カップリング剤の具体的な例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩などを挙げることができる。
カップリング剤は、繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して、0.1〜12質量%含まれていることが好ましく、0.5〜10質量%含まれていることがより好ましく、1〜8質量%含まれていることがさらに好ましい。カップリング剤を上記範囲となるように添加することにより、繊維強化プラスチック成形体の強度をより高めることができる。さらに、コスト面でのメリットを得ることもできる。
カップリング剤の混合方法については特に限定されないが、例えば、内添法(湿式法)、含浸法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法等が挙げられる。
<バインダー成分>
繊維強化プラスチック成形体用シートには、さらにバインダー成分が含まれる。含有されるバインダーとしては、一般的に不織布製造に使用されるフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、或いは熱水溶融するPVA樹脂等が使用できる。
バインダー成分は、加熱加圧成形後にマトリックスとなる熱可塑性スーパーエンプラ繊維が加熱加圧成形で溶融する際に、その樹脂と相溶する樹脂成分であることが特に好ましい。このような樹脂成分をバインダーとした場合、加熱加圧成形後、マトリックス樹脂とバインダー樹脂の間に界面が存在せず一体化するため高強度となる。さらにバインダー成分に起因するマトリックス樹脂のガラス転移温度の低下が少ないという特徴を持つ。
本発明では、バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.4〜9.5質量%であることがより好ましく、0.5〜8質量%であることがさらに好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダー成分の量は多くなると表面強度・層間強度共に強くなるが、逆に加熱成形時の臭気の問題が発生しやすくなる。しかし、上記の範囲においては臭気の問題はほとんど発生せず、また繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
本発明で好ましいバインダー成分は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート及びエチルアクリレートの少なくとも1種のモノマーを含有するモノマー混合物を重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。上記共重合体としては、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位、エチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも1つを含む共重合体を含有する。中でも、メチルメタクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチルメタクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも1つを含む共重合体を含有することが好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。
更に、本発明で好ましいバインダー成分として、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度よりも低い融点を有するバインダー繊維が挙げられる。バインダー繊維は、熱可塑性スーパーエンプラ繊維等と混合して水中に分散し、湿式抄紙法で抄造した場合、粒状バインダーのように抄紙ワイヤーの目から抜けて歩留が低下したり、ワイヤー側に偏在したりすることがないため好ましく用いられる。また、このようなバインダー繊維を使用することにより、層間強度を向上させることができる。
バインダー繊維としては、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を変性することで融点を低下させたものであれば特に限定されないが、変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。変性ポリエチレンテレフタレートとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(CoPET)が好ましく、例えば、ウレタン変性共重合ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリエステル樹脂はポリエーテルイミド繊維と加熱溶融時に相溶するため、冷却後も熱や樹脂の機能を損ないにくいため、好ましく用いられる。
共重合ポリエチレンテレフタレートは、融点が140℃以下のものが好ましく、120℃以下ものがより好ましい。また、特公平1−30926号公報に記載のような変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。変性ポリエステル樹脂の具体例として、特に、ユニチカ社製商品名「メルティ4000」(繊維全てが共重合ポリエチレンテレフタレートである繊維)が好ましく挙げられる。また、上記芯鞘構造のバインダー繊維としては、ユニチカ社製商品名「メルティ4080」や、クラレ社製商品名「N−720」等が好適に使用できる。
上記のメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート及びエチルアクリレートの少なくとも1種のモノマーを含有するモノマー混合物を重合させることによって得られる共重合体や、ポリエステル樹脂繊維等のバインダー繊維は、単独で使用することもできるが、本発明の効果を更に向上させるために併用することもできる。
共重合体は繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜4質量%となるように含有され、バインダー繊維は繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して1.5〜6質量%となるように含有されることが好ましい。
共重合体とバインダー繊維の含有率を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの表面強度及び層間強度を高めることができる。なお、上記の範囲においては、共重合体を成分とするバインダー(液状バインダー)の配合量は、ポリエステル樹脂又は変性ポリエステル樹脂よりも少ないほうが、臭気の関係から好ましい結果が得られる。ポリエステル系バインダーはマトリックス樹脂と相溶するため、比較的添加量が多くとも臭気を発生しにくく、また、液状バインダーは繊維交点に集中して偏在しやすいため、かかる結果が得られているものと推定している。
バインダー成分として好ましい組合せとしては、アクリル系のエマルジョンと低融点熱可塑性樹脂繊維としてのチョップ状のPET繊維の組合せである。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対してアクリル系バインダー0.3〜4質量%に対し、PET繊維1.5〜6質量%である。好ましくはアクリル系バインダー1〜3質量%に対し、PET繊維2〜6質量%、更に好ましくはアクリル系バインダー1.5〜2.5質量%に対し、PET繊維3〜5質量%である。
繊維強化プラスチック成形体用シートは表層領域と表層領域に挟まれた中間領域を有するシート形状である場合、表層領域に含有されているバインダー成分は、中間領域に含有されているバインダー成分より多いことが好ましい。特にバインダー成分のうち、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位、エチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも1つを含む共重合体が表層領域に多く含有されていることが好ましい。
ここで、繊維強化プラスチック成形体用シートの表層領域は、繊維強化プラスチック成形体用シートシートを厚さ方向(Z軸方向)に略3分割した際に、外側に位置する2つの領域である。なお、中間領域はこれらの2つの領域に挟まれた間の領域をいう。表層領域に含有されているバインダー成分は、中間領域に含有されているバインダー成分より多いことが好ましく、表層領域に含有されているバインダー成分は、中間領域に含有されているバインダー成分の1.1〜1.5倍であることがより好ましい。
このように、バインダー成分を表層領域に集中させることで、高温の金型やプレス板により加熱加圧成形される際に、バインダー成分が効果的に加熱されるため、バインダー成分が速やかに熱分解・揮発する。これにより熱成形品に残留するバインダー成分がごく僅かな量に抑えられることとなる。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートでは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の機能を十分に発揮することができる。
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、及びメチルアクリレートの少なくとも1種のモノマーを含有するモノマー混合物の共重合体を成分とする液状バインダーは繊維強化プラスチック成形体用シートの表層領域に集中して存在することが好ましい。また、これらの液状バインダーは、両表層領域の繊維成分同士の交点に水掻き膜状に局在することが好ましい。すなわち、共重合体は、強化繊維とマトリックス樹脂繊維を構成する繊維同士の交点に水掻き膜状に局在することが好ましい。このように局在することにより、バインダー成分が少量であっても使用工程においても両表層領域の繊維の脱落を少なくすることができる。また、変色が少なく好適であり、繊維強化プラスチック成形体用シートの抄造直後に平板にカットして積層し、プレスするような工程に好適に使用できる。
なお、バインダー成分のうち、共重合体を含む成分は、表層領域に集中させることが好ましいが、バインダー繊維は、繊維強化プラスチック成形体用シートの中間領域に含有させることもできる。これにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの層間強度が高まり、加熱成形加工時のハンドリング性が更に改善される。
バインダー繊維は、強化繊維やマトリックス樹脂繊維等と共に空気中に分散させてネットに捕捉してウエブを形成する方法(乾式不織布法)で繊維強化プラスチック成形体用シートに含有させることができる。また、バインダー繊維は、溶媒中に分散させ、その後溶媒を除去してウエブを形成する方法(湿式不織布法)等の方法で繊維強化プラスチック成形体用シートに含有させることもできる。
繊維強化プラスチック成形体用シートの表層にバインダーを相対的に多く存在させる方法としては、下記方法が挙げられる。例えば、バインダー成分を溶媒に溶解した液状物、若しくはバインダー成分の乳化物(エマルジョン)を不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥するという製造方法が挙げられる。中でも、湿式不織布法又は乾式不織布法によってウエブを形成した後、バインダー成分を溶媒に溶解した液状物、若しくはバインダー成分の乳化物(エマルジョン)を、ディッピング、若しくはスプレー法等で付与し、加熱乾燥するという製造方法が好ましく用いられる。この方法によれば、加熱乾燥する際に、ウエブ内部の溶媒が両面の表層に移動し、蒸発するため、この溶媒の移動に伴ってバインダーも表層に相対的に多く集中する。
上記のように、繊維強化プラスチック成形体用シートの表層にバインダー成分を偏在させるためには、バインダー成分の溶液、若しくはエマルジョン等、液状のバインダー成分を使用し、加熱乾燥させる製造方法を採用することができる。この場合、溶媒の移動が多いほうがバインダー成分の偏在が強まるため好ましい。
このような方法を採用する場合、湿式不織布法でウエットウエブを形成後、バインダーの水溶液、若しくはエマルジョンをウエブにディッピング若しくはスプレー等の方法で付与し、乾燥する方法が好ましい。この場合、ウエブ水分はバインダーの水溶液、若しくはエマルジョンのバインダー液濃度や、湿式不織布製造工程におけるウエットサクション、ドライサクションによる水分の吸引力の調整で行うことが可能である。
バインダー成分を偏在させるために好ましいウエブ内の水分量は50%以上であるが、ある程度以上に水分が多いと乾燥負荷が大きくなり、製造コストがかさむため、両者を勘案して適宜ウエブ内水分量を調整することが好ましい。
上記の対策で不十分な場合、バインダー成分の添加量を減少させる方法として、繊維強化プラスチック成形体用シートを湿式抄紙し、強度縦横比を大きくすることも好ましい。具体的には、ジェットワイヤー比の調整によってマシンの抄造方向(MD方向)とその直角方向(CD方向)の強度比(強度縦横比)を大きくすることができる。一般に、強度縦横比を大きくすると、繊維が一方向に並ぶ傾向となり、不織布の密度が高くなる傾向にある。その結果、繊維間の交点が増加するため、少量のバインダーでも十分な表面強度が得られる。このような効果が明確に得られるのは、通常、強度縦横比が1.5以上、より明確に得られるのは3.0以上、更に明確に得られるのは5.0以上である。
一方、あまりに強度縦横比が強いと横強度が弱くなり、ハンドリング性に劣る。この点を考慮すると、好ましい強度縦横比は15以下、より好ましくは10以下である。
(繊維形状)
本発明では、熱可塑性スーパーエンプラ繊維と強化繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。また、バインダー繊維もチョップドストランドであることが好ましい。このような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シート中で、各種繊維を均一に混合することができる。
上記のような場合、繊維強化プラスチック成形体用シートは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維、強化繊維、バインダー繊維のチョップドストランドを、空気中に分散させてネットに捕捉してウエブを形成する方法(乾式不織布法)で製造される。また、熱可塑性スーパーエンプラ繊維、強化繊維、バインダー繊維のチョップドストランドを溶媒中に分散させ、その後溶媒を除去してウエブを形成する方法(湿式不織布法)等の方法で製造されてもよい。
(繊維強化プラスチック成形体)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、目的とする成形品の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工して成形体とすることができる。繊維強化プラスチック成形体用シートは、1枚単独、或いは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することができる。このように、一般的なスタンパブルシートの加熱加圧成形方法を用いて加工することにより、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体とすることができる。
本発明では、繊維強化プラスチック成形体用シートから繊維強化プラスチック成形体を作製する際には、繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形することが好ましい。例えば、熱プレスによる成形加工の条件としては、使用される熱可塑性樹脂によって異なるが、温度として150〜600℃、より好ましくは200〜500℃、さらに好ましくは250〜450℃、圧力としては5〜20MPaが好ましい。また、所望の保持温度に到達するまでの昇温速度は3〜20℃/分が好ましく、所望の熱プレス温度での保持時間としては1〜30分、その後、成形体を取り出す温度(200℃以下)までは圧力を維持しながら、3〜20℃/分の冷却速度とするのが好ましい。更に、生産効率はやや落ちるものの、熱プレスの保持温度からスーパーエンプラ繊維のガラス転移温度までは空冷でゆっくりと0.1〜3℃/分で冷却することも、強度向上の観点からは好ましい。また、急速加熱、急速冷却(ヒートアンドクール)成形を用いて熱プレス成形することも可能であり、その場合の昇温、冷却速度はそれぞれ30〜500℃/分である。更に、赤外線ヒーターによる場合は、温度として150〜600℃、好ましくは200〜500℃で1〜30分間加熱し、その後30〜150MPaの圧力で成形することができる。
本発明で得られるプラスチック成形品は、力学的強度に優れ、かつ工業的に有用な生産性を兼ね備えているため、種々の用途に展開することができる。
(繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造工程は、強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分と、カップリング剤とを混合し、乾式不織布法または湿式不織布法によって不織布シートを形成する工程を含む。なお、この製造工程に用いる熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上である。また、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であり、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は強化繊維の繊維径の5倍以下であることが好ましい。
本発明では、不織布シートを形成する工程では、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことが好ましい。すなわち、繊維強化プラスチック成形体用シートを形成する工程は、乾式不織布法又は湿式不織布法のいずれかの方法で不織布シートを形成する工程と、バインダー成分を含む溶液等を不織布シートに内添、塗布又は含浸させる工程を含むことが好ましい。さらに、内添、塗布又は含浸後には、加熱乾燥させる工程を含む。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用不織布シートの表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
なお、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布シートに内添、塗布又は含浸させた後は、その不織布シートを急速に加熱することが好ましい。このような加熱工程を設けることにより、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用シートの表層領域に移行させることができる。さらに、バインダー成分を水掻き膜状に局在させることができる。
不織布シートを形成する工程は、カップリング剤をスプレー法で添加する工程を含んでいてもよい。カップリング剤をスプレー法で添加する場合は、湿式あるいは乾式抄紙で得られたウェブに所定量のカップリング剤をスプレーにて添加する。
また、不織布シートを形成する工程は、カップリング剤を内添法で添加する工程を含んでいてもよい。カップリング剤を内添法(湿式法)する場合は、強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維を水に分散させて0.1〜5%程度のスラリー状とし、そこへカップリング剤を所定量添加して撹拌混合を行う。そのスラリーを湿式抄紙法でウェットウェブを形成、加熱乾燥して不織布シートを得る。
さらに、不織布シートを形成する工程は、強化繊維成分と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維よりなるマトリックス樹脂繊維とを有する不織布シートを、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度以上の温度で、加熱処理する工程を有していてもよい。これにより、表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、各製造例において部及び%は、特にことわらない限り、質量部及び質量%を表す。
(実施例1)
繊維径7μm、繊維長13mmのPAN系炭素繊維と、表1に示した繊維径のPPS樹脂繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数41)を、質量比がポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維40に対しポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂繊維60となるように計量し、水中に投入した。投入した水の量は、PAN系炭素繊維とPPS樹脂繊維の合計質量に対し200倍となるようにした(すなわち繊維スラリー濃度として0.5%)。
このスラリーに分散剤として商品名「エマノーン3199」(花王社製)を繊維(PAN系炭素繊維とPPS繊維の合計)100質量部に対し1質量部となるよう添加して攪拌し、繊維を水中に均一に分散させた繊維スラリーを作製した。
次に、表1に記載の粒状ポリビニルアルコール(PVA)(ユニチカ社製、商品名「OV−N」)を濃度が10%となるように水に添加し、攪拌してバインダースラリーを作成した。この粒状PVAの10%濃度スラリー及びアミノシランカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、表1に記載の配合率で繊維スラリーに投入して湿式抄紙法でウエットウエブを形成し、180℃で加熱乾燥した後、220℃の熱プレスにて、加熱加圧処理することで表1に記載の透気度となる目付けが250g/m2である繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。尚、得られた繊維強化プラスチック成形体用シートの、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度は195秒であった。
(実施例2及び3)
実施例2においては実施例1よりも加熱加圧時間を短縮し、密度を低くすることによって透気度を表1の通り調整した。
また、実施例3においては、バインダー添加量を12質量%とした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
なお、粒状PVAの繊維強化プラスチック成形体用シートに対する配合率は、表1に示す通りとなるよう、粒状PVAスラリー濃度の添加量を適宜調整した。
(実施例4)
PPS樹脂繊維を、表1に示した繊維径であるPPS繊維(KBセーレン社製、ガラス転移温度92℃、繊維長13mm、限界酸素指数41)に変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(実施例5〜7)
実施例1における繊維径7μm、繊維長13mmであるPAN系炭素繊維を、繊維径が9μmであり、繊維長が18mmのガラス繊維に変更し、実施例1におけるPPS樹脂繊維(Fiber Innovation Technology社製、ガラス転移温度92℃、限界酸素指数41)を、表2に示したポリエーテルイミド(PEI)樹脂繊維(Fiber Innovation Technology社、ガラス転移温度220℃、繊維長13mm、限界酸素指数47)に変更した以外は実施例1と同様にして、目付けが250g/m2である不織布を得た。得られたシートを、280℃の熱プレスによって加熱加圧することで、表2の通り透気度を適宜調整し、実施例5、6の繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。尚、実施例6は、実施例5よりも2820℃熱プレスによる加熱加圧時間を短縮し、密度を低くすることによって透気度を表2の通り調整した。
また、粒状PVA(ユニチカ社製、商品名「OV−N」)を、PET/coPET変性芯鞘バインダー繊維(ユニチカ社製、商品名「メルティ4080」)に変更した以外は、実施例5と同様にして実施例7の繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(実施例8〜13)
実施例1におけるPPS樹脂繊維を、繊維径16μmのPPS樹脂繊維(Fiber Innovation Technology社製、ガラス転移温度92℃、繊維長13mm、限界酸素指数41)に代えるとともに、粒状PVAに代えて、ウエットウエブ形成後に表3のバインダー液及びシランカップリング剤をスプレー法によって表3に示されている量で添加し、加熱乾燥させた以外は、実施例1と同様にして実施例8〜13の繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。尚、220℃熱プレスの条件は表3に記載の透気度が得られるよう適宜調整した。
(実施例14〜19)
実施例8〜13におけるPPS樹脂繊維を、繊維径15μmのPEI樹脂繊維(Fiber Innovation Technology社製、ガラス転移温度220℃、繊維長13mm、限界酸素指数47)に代える以外は、実施例8〜13のそれぞれに対応する実施例14〜19の繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
なお、上記のバインダー液において、PVA水溶液は、クラレ社製商品名「PVA117」を熱水に溶解したPVA水溶液を使用した。また、スチレン−アクリルエマルジョンは、DIC社製商品名「GM−1000」を使用し、ウレタンエマルジョンはDIC社製商品名「AP−X101」を使用した。
(実施例20)
実施例14における繊維径15μmのPEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数47)の代わりにポリカーボネート繊維(繊維長15mm、繊維径30μm、限界酸素指数25)を用いた以外は、実施例14と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
(実施例21)
ポリカーボネート繊維(繊維長15mm、繊維径30μm、限界酸素指数25)及び繊維径15μmのPEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数47)を50/50の質量比で混合して使用した以外は、実施例14と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
(実施例22)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、エポキシシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−303」)に代えた以外は、実施例14と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(実施例23)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、スチリルシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−403」)に代えた以外は、実施例14と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(実施例24)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、メタクリロキシシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−503」)に代えた以外は、実施例14と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(実施例25)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、アクリロキシシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−5103」)に代えた以外は、実施例14と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(実施例26)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)の添加量を2.0%とした以外は、実施例14と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(実施例27)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)の添加量を8.0%とした以外は、実施例14と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(比較例1)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(比較例2)
実施例1において、PPS樹脂繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数41)の代わりにポリアミド6樹脂(東レ社製、商品名「アミランCM1021」、融点210℃、限界酸素指数20、繊維径20μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを製造した。
(比較例3)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を添加しなかった以外は、実施例5と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
(比較例4)
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を添加しなかった以外は、実施例8と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
以上の各実施例及び比較例で得られた各繊維強化プラスチック成形体用シートを、6枚積層し、310℃に予熱したホットプレスに挿入して60秒加熱加圧した後、230℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。
(評価)
(外観)
得られた繊維強化プラスチック成形体の外観を下記の基準で評価を行った。
◎:ボイド等がなく良好
○:わずかにボイドが確認できる
△:ボイドの発生があるが実用上差し支えのない
×:ボイドに起因して明らかに外観が悪く、製品として使用できない
(強度)
曲げ強度については、得られた繊維強化プラスチック体について、JIS K7074に準拠した方法で測定した。
(限界酸素指数)
また、限界酸素指数(LOI値)については、JIS K7201法に基づいて、難燃性試験を行い算出した。
Figure 2015044914
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実施例1〜27では、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度及び難燃性(限界酸素指数)が高く、両者のバランスが良く、優れていることがわかる。一方、比較例1、3、4では、曲げ強度が低く、逆に比較例2では強度はある程度得られているものの、難燃性が劣っていることがわかる。
本発明によれば、優れた強度と難燃性を有する繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを用いれば、繊維強化プラスチック成形体を効率よく連続生産することが可能となり、繊維強化プラスチックを用いる各種製造業において、産業上の利用可能性が高い。

Claims (20)

  1. 強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分と、カップリング剤とを含有し、
    前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シート。
  2. 前記強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  3. 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であり、かつ前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は前記強化繊維の繊維径の5倍以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  4. 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維はポリエーテルイミド繊維又はポリカーボネート繊維から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  5. 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維がポリエーテルイミド(PEI)繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  6. JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度が250秒以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  7. 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維及び前記強化繊維は、チョップドストランドであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  8. 前記カップリング剤が、シラン系カップリング剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  9. 前記シラン系カップリング剤が、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、メルカプト基、ポリスルフィド基及びイソシアネート基から選ばれる基を官能基として含有するものであることを特徴とする請求項8に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  10. 前記バインダー成分は、前記繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  11. 前記バインダー成分は前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維と加熱溶融状態で相溶することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  12. 前記バインダー成分は、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも一方を含む共重合体を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  13. 前記バインダー成分は、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度よりも低い融点を有するバインダー繊維を含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  14. 前記バインダー繊維は、ポリエチレンテレフタレート又は変性ポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項13に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  15. 前記繊維強化プラスチック成形体用シートは表層領域と前記表層領域に挟まれた中間領域を有し、
    前記表層領域に含有されているバインダー成分は、前記中間領域に含有されているバインダー成分より多いことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  16. 前記バインダー成分に含まれる共重合体は、前記強化繊維と前記マトリックス樹脂繊維を構成する繊維同士の交点に水掻き膜状に局在していることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
  17. 強化繊維と、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分と、カップリング剤とを混合し、乾式不織布法または湿式不織布法によって不織布シートを形成する工程を含む繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法において、
    前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  18. 前記不織布シートを形成する工程は、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを前記不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
  19. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することにより形成されていることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
  20. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートを、150〜600℃の温度で加熱加圧成形することにより形成されていることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
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