JP6256012B2 - 多層成形品 - Google Patents

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本発明は、多層成形品に関する。具体的には、本発明は、樹脂層と樹脂層の一方の面上に積層される第1の繊維強化プラスチック層を有する多層成形品であって、樹脂層と第1の繊維強化プラスチック層に共通の樹脂成分を有する多層成形品に関する。
近年、航空機や車両などの構造材料や、電気機器の筐体部品には、軽量化が求められており、金属素材以外の成形材料に代替が進められている。特に、炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む不織布を加熱加圧処理し、成形した繊維強化プラスチック成形体は、金属素材の代替材料として様々な分野で用いられている。
このような繊維強化プラスチック成形体には、軽量であることに加えて、優れた機械的強度を有することも求められている。このため、機械的強度を高めるために、構成の異なる2種以上のプラスチック層を積層した多層成形品の開発が進められている。例えば、特許文献1には、エポキシ化合物を含む樹脂組成物で形成されたコア層と、アクリル樹脂で形成されたスキン層からなる二層成形品が開示されている。また、特許文献2には、ポリカーボネートから構成される非繊維強化プラスチック層と、強化繊維と樹脂を含む繊維強化プラスチック層を有する成形品が開示されている。なお、特許文献2では、繊維強化プラスチック層にはエポキシ樹脂が好ましく用いられている。
特開平11−157018号公報 特開2009−172950号公報
しかしながら、従来技術により得られた積層タイプの成形品は、各層間の密着性が十分ではないという問題があった。このため、積層し多層成形品を成形した際に各層間のズレが生じたり、成形品に反りが生じたりするなどの問題があることが本発明者らの検討により明らかとなった。
また、従来技術により得られた積層タイプの成形品であっても、その機械的強度は十分ではなく、さらなる改善が求められていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、軽量でありながらも、各層間の密着性に優れ、かつ機械的強度がより高められた多層成形品を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、樹脂層の一方の面上に積層される第1の繊維強化プラスチック層を有する多層成形品において、第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち所定割合の樹脂成分を、樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分とすることにより、各層間の密着性に優れ、かつ機械的強度の高い多層成形品が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、このような多層成形品は、成形加工が容易であることも見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、前記樹脂層の一方の面上に積層される第1の繊維強化プラスチック層を有する多層成形品であって、前記第1の繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂成分と強化繊維とを含む第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することで得られた層であり、前記第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であることを特徴とする多層成形品。
[2]前記第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも40質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であることを特徴とする[1]に記載の多層成形品。
[3]前記樹脂層の一方の面上であって、前記第1の繊維強化プラスチック層が積層された面とは反対側の面に積層される第2の繊維強化プラスチック層をさらに有し、前記第2の繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂成分と強化繊維とを含む第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することで得られた層であり、前記第2の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の多層成形品。
[4]前記第2の繊維強化プラスチック層に含まれる熱可塑性樹脂繊維のうち少なくとも40質量%以上が、前記樹脂層のマトリックス樹脂成分と同一の樹脂成分であることを特徴とする[3]に記載の多層成形品。
[5]前記第1の繊維強化プラスチック層は、バインダー成分をさらに含み、前記バインダー成分は、前記第1の繊維強化プラスチック層の全質量に対して0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の多層成形品。
[6]前記第2の繊維強化プラスチック層は、バインダー成分をさらに含み、前記バインダー成分は、前記第2の繊維強化プラスチック層の全質量に対して0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする[3]〜[5]のいずれか1項に記載の多層成形品。
[7]前記熱可塑性樹脂はポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド及びそれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の多層成形品。
[8]前記強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の多層成形品。
[9](A)強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維とを混合し、乾式又は湿式抄紙法によって第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程と、(B)前記第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを、前記熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形し、第1の繊維強化プラスチック層を成形する工程と、(C)前記第1の繊維強化プラスチック層と樹脂層を熱プレス法によって貼合する工程を含み、前記第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であることを特徴とする多層成形品の製造方法。
[10](D)強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維を混合し、乾式又は湿式抄紙法によって第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程と、(E)前記第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを、前記熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形し、第2の繊維強化プラスチック層を成形する工程とをさらに含み、(F)前記第1の繊維強化プラスチック層と、前記樹脂層と、前記第2の繊維強化プラスチック層をこの順に積層して熱プレス法によって貼合する工程を含み、前記第2の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であることを特徴とする[9]に記載の多層成形品の製造方法。
[11][9]又は[10]に記載の製造方法によって製造される多層成形品。
本発明によれば、各層間の密着性に優れ、かつ機械的強度がより高められた多層成形品を得ることができる。このように、本発明の多層成形品は、軽量でありながらも、層間の密着性と機械的強度に優れているため、航空機や車両などの構造材料や、電気機器の筐体部品等の様々な分野で好ましく用いられる。
図1は、本発明の多層成形品の構成を表す断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(多層成形品)
本発明は、熱可塑性樹脂を含む樹脂層と樹脂層の一方の面上に積層される第1の繊維強化プラスチック層を有する多層成形品に関する。ここで、第1の繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂成分と強化繊維とを含む第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することで得られた層である。また、第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上は、樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分である。本発明では、このような層構成を有する多層成形品を得ることにより、樹脂層と第1の繊維強化プラスチック層の密着性を高めることができる。さらに、このような多層成形品は、軽量でありながらも、優れた機械的強度を有する。また、本発明では繊維強化プラスチック層を、熱可塑性樹脂繊維と強化繊維を含む第1の繊維強化プラスチック成形体用シートから成形しているため、成形加工が容易であり、効率よく多層成形品を成形することができる。
第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち、樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂成分と同一の樹脂成分の割合は、15質量%以上であればよく、25質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。同一の樹脂成分を上記範囲内とすることにより、層間の密着性をより効果的に高めることが可能となり、さらに、多層成形品はより優れた機械的強度を発揮することができる。
本発明の多層成形品は、さらに第2の繊維強化プラスチック層を有していることが好ましい。第2の繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂成分と強化繊維とを含む第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することで得られた層である。第2の繊維強化プラスチック層は、樹脂層の一方の面上であって、第1の繊維強化プラスチック層が積層された面とは反対側の面に積層される。また、第2の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上は、樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分である。本発明の多層成形品が第2の繊維強化プラスチック層を有している場合、樹脂層、第1の繊維強化プラスチック層及び第2の繊維強化プラスチック層は全て共通の樹脂成分を含んでいる。なお、第1の繊維強化プラスチック層と第2の繊維強化プラスチック層は、同一の層であってもよく、組成や厚みが異なる層であってもよい。
第2の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち、樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂成分と同一の樹脂成分の割合は、15質量%以上であればよく、25質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。同一の樹脂成分を上記範囲内とすることにより、層間の密着性をより効果的に高めることが可能となり、さらに、多層成形品はより優れた機械的強度を発揮することができる。
本発明の多層成形品の厚みは、0.2〜3.0mmであることが好ましく、0.3〜2.0mmであることがより好ましく、0.4〜1.5mmであることがさらに好ましい。本発明の多層成形品は、上記のように薄膜構造でありながらも優れた機械的強度を発揮することができる。
多層成形品に含まれる樹脂層の厚みは、0.05〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.0mmであることがより好ましく、0.3〜1.0mmであることがさらに好ましい。
第1の繊維強化プラスチック層の厚みは、0.05〜1.0mmであることが好ましく、0.075〜0.8mmであることがより好ましく、0.1〜0.6mmであることがさらに好ましい。
また、第2の繊維強化プラスチックの厚みは、0.05〜1.0mmであることが好ましく、0.075〜0.8mmであることがより好ましく、0.1〜0.6mmであることがさらに好ましい。樹脂層、第1の繊維強化プラスチック層及び第2の繊維強化プラスチック層の厚みを上記範囲内とすることにより、多層成形品を軽量化しつつも、より効果的に機械的強度を高めることができる。
第1の繊維強化プラスチック層及び第2の繊維強化プラスチック層の少なくとも一方の厚みは、樹脂層の厚みよりも薄いことが好ましい。中でも、第1の繊維強化プラスチック層及び第2の繊維強化プラスチック層の両方は各々、樹脂層の厚みよりも薄いことが好ましい。本発明の多層成形品が第2の繊維強化プラスチック層を有する場合、多層成形品のコア層となる樹脂層の厚みが最も厚いことが好ましく、表層となる繊維強化プラスチック層の厚みは、樹脂層よりも薄いことが好ましい。各層構成を上記のようにすることにより、層間の密着性を高めることができ、かつ機械的強度を高めることが可能となる。
(繊維強化プラスチック層)
第1の繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂成分と強化繊維とを含む第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することで得られる。第1の繊維強化プラスチック成形体用シートにおける強化繊維と熱可塑性樹脂繊維の質量比は、1:0.2〜1:10であることが好ましく、1:0.5〜1:5であることがより好ましく、1:0.7〜1:3であることがさらに好ましい。また、第2の繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂成分と強化繊維とを含む第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することで得られる。第2の繊維強化プラスチック成形体用シートにおける強化繊維と熱可塑性樹脂繊維の質量比も上記範囲であることが好ましい。
強化繊維と熱可塑性樹脂繊維の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
第1の繊維強化プラスチック成形体用シート及び第2の繊維強化プラスチック成形体用シートのJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度は、250秒以下であることが好ましく、230秒以下であることがより好ましく、200秒以下であることがさらに好ましい。この数値は、数字が小さいほど空気が通りやすい(通気性が良い)ことを表す。本発明では、繊維強化プラスチック成形体用シートをカット繊維から構成し、かつ透気度を上記範囲内とすることにより、加熱加圧工程における成形速度を高めることができ、生産効率を高めることができる。
第1の繊維強化プラスチック成形体用シート及び第2の繊維強化プラスチック成形体用シートは、目的とする成形品の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。繊維強化プラスチック成形体用シートは、1枚単独、或いは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することができる。このように、一般的な繊維強化プラスチック成形体用シートの加熱加圧成形方法を用いて加工することにより、強度に優れた繊維強化プラスチック層とすることができる。
繊維強化プラスチック成形体用シートから繊維強化プラスチック層を成形する際には、繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形する。具体的には、繊維強化プラスチック成形体用シートを150〜600℃の温度で加熱加圧成形することが好ましい。なお、加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維が流動する温度であって強化繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
繊維強化プラスチック層を成形する際の圧力としては、1〜20MPaが好ましい。また、所望の保持温度に到達するまでの昇温速度は3〜20℃/分が好ましく、所望の熱プレス温度での保持時間としては1〜30分、その後、成形体を取り出す温度(200℃以下)までは圧力を維持しながら、3〜20℃/分の冷却速度とするのが好ましい。更に、生産効率はやや落ちるものの、熱プレスの保持温度からマトリックス樹脂のガラス転移温度までは空冷でゆっくりと0.1〜3℃/分で冷却することも、強度向上の観点からは好ましい。また、急速加熱、急速冷却成形を用いて熱プレス成形することも可能であり、その場合の昇温、冷却速度はそれぞれ30〜500℃/分である。更に、赤外線ヒーターによる場合は、温度として150〜600℃、好ましくは200〜500℃で1〜30分間加熱し、その後30〜150MPaの圧力で成形することができる。
−強化繊維−
第1の繊維強化プラスチック成形体用シート及び第2の繊維強化プラスチック成形体用シートに強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
強化繊維として、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維を使用した場合、繊維強化プラスチック成形体用シートに含まれる熱可塑性樹脂繊維の溶融温度で加熱加圧処理することにより繊維強化プラスチック層を形成することが可能となる。
また、強化繊維として、アラミド繊維等の高耐熱性・高強度の有機繊維を使用した場合は、高度な平滑性の要求される精密な研磨用の機器に適する繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。アラミド等の有機繊維を強化繊維として含有する繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される繊維強化プラスチック層は、一般的に強化繊維として無機繊維を使用した繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される層よりも耐摩耗性に優れる。また擦過等によって繊維強化プラスチック層の一部が削り取られたとしても、その削り粕が無機繊維よりも柔らかいので、被研磨物を傷つけるおそれが少ない。
強化繊維の繊維長は、6〜50mmであることが好ましく、8〜30mmであることがよりこのましく、10〜20mmであることがさらに好ましい。強化繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから強化繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック層を形成することが可能となる。また、強化繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック層は良好な強度と外観を有する。
なお、強化繊維の繊維径は、特に限定されないが、一般的には炭素繊維、ガラス繊維共に繊維径が5〜25μm程度の繊維が好適に使用される。
−マトリックス樹脂成分−
マトリックス樹脂成分は、熱可塑性樹脂繊維を含む。本明細書中、「熱可塑性樹脂繊維」とは、熱可塑性樹脂のうち繊維状のもののことを言う。マトリックス樹脂成分は、さらに、熱可塑性樹脂繊維以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、粉末やペレット、フレーク状のもの、もしくは繊維状のものを用いることができる。この中でも、ウェブのハンドリング性や歩留まりを向上させる観点、ならびに、溶融した熱可塑性樹脂と強化繊維とを十分に絡ませ、強度と剛性を向上させる観点からは、繊維状のものが好ましい。熱可塑性樹脂繊維は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成する。このようなマトリックス樹脂繊維を用いた不織布状の繊維強化プラスチック成形体用シートは、熱硬化性樹脂を使用したシートに比べて、オートクレーブ処理が不要で、加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、生産性を高めることができる。
熱可塑性樹脂繊維としては、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリオレフィン(PO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)等を例示することができる。なお、熱可塑性樹脂繊維としては、これらの繊維を単独で用いてもよく、これらの共重合体を用いてもよい。中でも、入手容易性とコスト、及び高強度の繊維強化プラスチック層を得る観点から、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド及びそれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、特に、耐衝撃性の点でポリカーボネートを用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維は、繊維状態において限界酸素指数が24以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維の限界酸素指数を上記範囲とすることにより、難燃性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シート及び繊維強化プラスチック層を得ることができる。この点から、本発明で使用される熱可塑性樹脂繊維としては、特に、ポリカーボネート(限界酸素指数25)、ポリエーテルイミド(限界酸素指数47)が好ましい。なお、本発明において、「限界酸素指数」とは、燃焼を続けるのに必要な酸素濃度を表し、JIS K7201に記載された方法で測定した数値をいう。すなわち、限界酸素指数が20以下は、通常の空気中で燃焼することを示す数値である。
熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、2〜50mmであることが好ましく、5〜40mmであることがより好ましく、10〜25mmであることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートから熱可塑性樹脂繊維が脱落することを抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。また、熱可塑性樹脂繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、熱可塑性樹脂繊維の分散性を良好にすることができるため、強度に優れた繊維強化プラスチック層を形成することが可能となる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック層は良好な強度と外観を有する。
第1の繊維強化プラスチック層及び第2の繊維強化プラスチック層の形成に用いられる第1の繊維強化プラスチック成形体用シート及び第2の繊維強化プラスチック成形体用シートでは、熱可塑性樹脂繊維が繊維形態をしていることによりシート中に空隙が存在している。
本発明では、熱可塑性樹脂繊維が加熱加圧成形前には、繊維形態を維持しているため、繊維強化プラスチック層を形成する前は、シート自体がしなやかでドレープ性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用シートを巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。また、多層成形品を効率よく生産することができる。
−バインダー成分−
第1の繊維強化プラスチック層及び第2の繊維強化プラスチック層は、バインダー成分をさらに含むことが好ましい。バインダー成分としては、バインダー繊維が好ましい。本明細書中、「バインダー繊維」とは、バインダー成分のうち繊維状のもののことを言う。マトリックス樹脂成分は、さらに、バインダー繊維以外のバインダー成分を含んでいてもよい。バインダー成分としては、粉末やペレット、フレーク状のものも用いることができる。
本発明では、バインダー成分は、第1の繊維強化プラスチック層又は第2の繊維強化プラスチック層の全質量に対して、各々0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダー成分の量は多くなると表面強度・層間強度共に強くなるが、逆に加熱成形時の臭気の問題が発生しやすくなる。しかし、上記の範囲においては臭気の問題はほとんど発生せず、また繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。
バインダー成分としては、一般的に不織布製造に使用される、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、変性ポリアミド(ナイロン)樹脂、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、PVA樹脂、各種澱粉、セルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドーアクリル酸エステルーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が使用できる。
上記バインダー成分のうち、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位、エチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも1つを含む共重合体を含有することが好ましい。中でも、バインダー成分は、メチルメタクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチルメタクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも1つを含む共重合体を含有することが好ましい。また、これらのモノマーは他のモノマー、例えばスチレンや酢酸ビニル、アクリルアミド等と共重合させてもよい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。
更に、本発明で好ましいバインダー成分として、ポリエステル樹脂及び変性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を変性することで融点を低下させたものであれば特に限定されないが、変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。変性ポリエチレンテレフタレートとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(CoPET)が好ましく、例えば、ウレタン変性共重合ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
共重合ポリエチレンテレフタレートは、融点が140℃以下のものが好ましく、120℃以下ものがより好ましい。また、特公平1−30926号公報に記載のような変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。変性ポリエステル樹脂の具体例として、特に、ユニチカ社製商品名「メルティ4000」(繊維全てが共重合ポリエチレンテレフタレートである繊維)が好ましく挙げられる。また、上記芯鞘構造のバインダー繊維としては、ユニチカ社製商品名「メルティ4080」や、クラレ社製商品名「N−720」等が好適に使用できる。
−繊維形状−
本発明で用いる熱可塑性樹脂繊維と強化繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。また、バインダー繊維もチョップドストランドであることが好ましい。このような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シート中で、各種繊維を均一に混合することができる。また、多層成形品の生産効率を高めることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する際には、熱可塑性樹脂繊維、強化繊維、バインダー繊維のチョップドストランドを、空気中に分散させてネットに捕捉してウエブを形成する方法(乾式不織布法)で製造される。また、熱可塑性樹脂繊維、強化繊維、バインダー繊維のチョップドストランドを溶媒中に分散させ、その後溶媒を除去してウエブを形成する方法(湿式不織布法)等の方法で製造されてもよい。
(樹脂層)
樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む。樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としては特に制限はない。樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂の例としては、繊維強化プラスチック層のマトリックス樹脂成分として用いられる熱可塑性樹脂繊維の熱可塑性樹脂の例と同じである。なお、樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としては、これらの熱可塑性樹脂を単独で用いてもよく、これらの共重合体を用いてもよい。中でも、入手容易性とコストの観点から、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド及びそれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、特に、耐衝撃性の点でポリカーボネートを用いることが好ましい。本発明の樹脂層は、通常のプラスチックの製造に使用される任意の成形法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、真空成形等によって成形される。また、熱可塑性樹脂を繊維化して乾式不織布法又は湿式不織布法でシート化後、熱プレス成形したものでもよい。
(多層成形品の製造方法)
本発明の多層成形品の製造工程は、(A)強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維とを混合し、乾式又は湿式抄紙法によって第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程と、(B)第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形し、第1の繊維強化プラスチック層を成形する工程と、(C)第1の繊維強化プラスチック層と樹脂層を熱プレス法によって貼合する工程を含む。また、第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上は、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分である。なお、第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程では、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維に加えてバインダー成分を添加することとしてもよい。熱プレスの条件としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂が僅かに溶解または流動して接着できれば良い。例えばポリカーボネートを熱可塑性樹脂として含む場合は150〜200℃の範囲で軽く熱プレスするのが好ましい。
また、本発明の一実施形態では、例えば、金型に第1の繊維強化プラスチック層をセットし、そこに射出成形機で樹脂層を流し込んで貼合してもよい。また、第1の繊維強化プラスチックにダイコータで樹脂層を塗工して、貼合してもよい。更に、第1の繊維強化プラスチック成形体用シートと樹脂層の成形体用シートとを、多層抄きにして加熱加圧成形してもよい。
本発明の多層成形品の製造工程の好ましい態様では、さらに、(D)強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維を混合し、乾式又は湿式抄紙法によって第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程と、(E)第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形し、第2の繊維強化プラスチック層を成形する工程を含み、(F)第1の繊維強化プラスチック層と、樹脂層と、第2の繊維強化プラスチック層をこの順に積層して熱プレス法によって貼合する工程を含み、第2の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上は、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分である。なお、第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程では、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維に加えてバインダー成分を添加することとしてもよい。
なお、本発明では、第1の繊維強化プラスチック層と、樹脂層と、第2の繊維強化プラスチック層をこの順に積層して熱プレス法によって一度に貼合しても良い。これにより、第1の繊維強化プラスチック層と、樹脂層と、第2の繊維強化プラスチック層を貼合したものの反りを抑えることができる。なお、金型に第1の繊維強化プラスチック層と第2の繊維強化プラスチック層をそれぞれセットし、そこに射出成形機で樹脂層を流し込んで貼合してもよい。また、第1の繊維強化プラスチックにダイコータで樹脂層を塗工した後に、第2の繊維強化プラスチックを貼合してもよい。更に、第1の繊維強化プラスチック成形体用シートと樹脂層の成形体用シートと第2の繊維強化プラスチック成形体用シートとを、多層抄きにして加熱加圧成形してもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
ポリカーボネート繊維(繊維径25μm、繊維長15mm)及び、ガラス繊維(繊維径9μm、繊維長18mm)を、質量比がガラス繊維100質量部に対して、ポリカーボネート繊維100質量部となるように計量し、水中に投入した。尚、投入した水の量は、上記繊維の合計質量に対し200倍となるようにした(すなわち繊維スラリー濃度として0.5%)。
このスラリーに分散剤として商品名「エマノーン3199」(花王社製)を上記の繊維合計100質量部に対し1質量部となるよう添加して攪拌し、繊維を水中に均一に分散させた繊維スラリーを作製した。
次に、表1に記載の、鞘部に変性PET(融点110℃)、芯部にPET繊維を使用した芯鞘バインダー繊維(クラレ社製、商品名「N−720」)を濃度が10%となるように水に添加し、攪拌してバインダースラリーを作成した。この10%濃度バインダースラリーを、表1に記載の配合率となるように繊維スラリーに投入して湿式抄紙法でウエットウエブを形成し、180℃で加熱乾燥した後、220℃の熱プレスにて、加熱加圧処理することで目付けが125g/m2である第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。次に、第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを、4枚積層し、280℃に予熱したホットプレスに挿入して60秒加熱加圧した後、230℃に冷却して、厚さ0.3mmの第1の繊維強化プラスチック層を得た。以上の操作を更に1回実施して、厚さ0.3mmの第2の繊維強化プラスチック層を計2枚得た。
得られた第1の繊維強化プラスチック層及び第2の繊維強化プラスチック層を繊維強化プラスチック層として、樹脂層の厚さ0.4mmのポリカーボネート樹脂板の両面に1枚ずつ積層し、165℃の熱プレスで貼り合わせして多層成形品を得た。
(実施例2)
実施例1のガラス繊維の代わりに、PAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を用いた以外は実施例1と同様にして多層成形品を得た。
(実施例3)
ポリカーボネート繊維(繊維径25μm、繊維長15mm)、PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維径15μm、繊維長13mm)及びPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を、質量比がPAN系炭素繊維100質量部に対して、PEI繊維25質量部、ポリカーボネート繊維75質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例2と同様にして多層成形品を得た。
(実施例4)
ポリカーボネート繊維(繊維径25μm、繊維長15mm)、PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、繊維径15μm)及びPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を、質量比がPAN系炭素繊維100質量部に対して、PEI樹脂繊維50質量部、ポリカーボネート繊維50質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例2と同様にして多層成形品を得た。
(実施例5)
ポリカーボネート繊維(繊維径25μm、繊維長15mm)、PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維径15μm、繊維長13mm)及びPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を、質量比がPAN系炭素繊維100質量部に対して、PEI樹脂繊維80質量部、ポリカーボネート繊維20質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例2と同様にして多層成形品を得た。
(実施例6)
実施例4の炭素繊維の代わりに、ガラス繊維(繊維径9μm、繊維長18mm)を用いた以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た。
(実施例7)
ポリアミド(ナイロン6)繊維(東洋紡社製、繊維径16μm、繊維長12mm)、PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維径15μm、繊維長13mm)、及びPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を、質量比がPAN系炭素繊維100質量部に対して、PEI樹脂繊維50質量部、ポリアミド(ナイロン6)繊維50質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例4と同様にして厚さ0.3mmの第1の繊維強化プラスチック層と、第2の繊維強化プラスチック層を得た。
更に、樹脂層として、ポリカーボネート樹脂板の代わりに厚さ0.4mmのポリアミド(ナイロン6)樹脂板を用いた以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た。
(実施例8)
ポリプロピレン繊維(繊維径15μm、繊維長15mm)、PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維径15μm、繊維長13mm)、及びPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を、質量比がPAN系炭素繊維100質量部に対して、PEI樹脂繊維50質量部、ポリプロピレン繊維50質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例4と同様にして厚さ0.3mmの第1の繊維強化プラスチック層と、第2の繊維強化プラスチック層を得た。
更に、樹脂層として、ポリカーボネート板の代わりに厚さ0.4mmのポリプロピレン板を用いた以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た。
(実施例9)
ポリカーボネート繊維(繊維径25μm、繊維長15mm)、PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維径15μm、繊維長13mm)、及びPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を、質量比がPAN系炭素繊維100質量部に対して、PEI樹脂繊維50質量部、ポリカーボネート繊維50質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例4と同様にして厚さ0.3mmの第1の繊維強化プラスチック層と、第2の繊維強化プラスチック層を得た。
更に、樹脂層として、ポリカーボネート板の代わりに厚さ0.4mmのPEI板を用いた以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た。
(実施例10)
実施例4の繊維強化プラスチック層の製造において、繊維強化プラスチック成形体用シートを、2枚積層し、280℃に予熱したホットプレスに挿入して60秒加熱加圧した後、230℃に冷却して、厚さ0.15mmの第1の繊維強化プラスチック層を得た。以上の操作を更に1回実施して第2の繊維強化プラスチック層を得た。更に、得られた第1の繊維強化プラスチック層と第2の繊維強化プラスチック層を厚さ0.7mmのポリカーボネート板の両面に1枚ずつ積層し、165℃の熱プレスで貼り合わせして多層成形品を得た。
(実施例11)
実施例4の繊維強化プラスチック層の製造において、繊維強化プラスチック成形体用シート1枚を、280℃に予熱したホットプレスに挿入して60秒加熱加圧した後、230℃に冷却して、厚さ0.075mmの第1の繊維強化プラスチック層を得た。以上の操作を更に1回実施して第2の繊維強化プラスチック層を得た。更に、得られた第1の繊維強化プラスチック層と第2の繊維強化プラスチック層を厚さ0.85mmのポリカーボネート板の両面に1枚ずつ積層し、165℃の熱プレスで貼り合わせして多層成形品を得た。
(実施例12)
第1の繊維強化プラスチック層として、実施例4で作製した繊維強化プラスチック層、第2の繊維強化プラスチック層として、実施例6で作製した繊維強化プラスチック層を用いた以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た。
(実施例13)
第1の繊維強化プラスチック層として、実施例4で作製した繊維強化プラスチック層、第2の繊維強化プラスチック層として、実施例2で作製した繊維強化プラスチック層を用いた以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た。
(実施例14)
実施例4で芯鞘バインダースラリーを添加しなかった以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た。
(実施例15)
実施例10において、樹脂層として厚さ0.85mmのポリカーボネート板を用い、かつ、第2の繊維強化プラスチック層を積層しなかった以外は、実施例10と同様にして多層(2層)成形品を得た。
(比較例1)
PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維径15μm、繊維長13mm)及びPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を、質量比がPAN系炭素繊維100質量部に対して、PEI樹脂繊維100質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例14と同様にして多層成形品を得た。
(比較例2)
ポリカーボネート繊維(繊維径25μm、繊維長15mm)、PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維径15μm、繊維長13mm)及びPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長13mm)を、質量比がPAN系炭素繊維100質量部に対して、PEI樹脂繊維90質量部、ポリカーボネート繊維10質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た。
(比較例3)
ポリカーボネート繊維(繊維径25μm、繊維長15mm)、PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維径15μm、繊維長13mm)及びガラス繊維(繊維径9μm、繊維長18mm)を、質量比がガラス繊維100質量部に対して、PEI樹脂繊維90質量部、ポリカーボネート繊維10質量部となるように計量し、水中に投入した以外は実施例4と同様にして多層成形品を得た、
(評価)
(成形品密着性)
成形後の多層成形品について、23℃相対湿度50%の雰囲気下で24時間放置した後、剥離状況を目視で以下のとおり評価した。
A:剥離が全く見られない。
B:剥離が僅かに観察されるが実用上問題ない。
C:大部分が剥離しており、実用上問題である。
D:完全に剥離しており、実用上使用できない。
(強度)
得られた多層成形品の強度は、JIS K 7074に規定される曲げ試験方法で測定し、以下のようにA〜Dに分類して評価した。
A:実施例1の値の120%以上のもの
B:実施例1の値の120〜80%のもの
C:実施例1の値の50〜80%のもの
D:実施例1の値の50%以下であり実用上使用できない。
なお、実施例1で得られた多層成形品の曲げ強度は、150MPaであった。
Figure 0006256012
実施例1〜15では、多層成形品の曲げ強度の値が高く、かつ樹脂層と繊維強化プラスチック層の密着性が優れていることがわかる。
一方、比較例1では、曲げ強度が大きく劣っており、層間の密着性も劣っている。また、比較例2及び3で、繊維強化プラスチック層に含まれる樹脂成分のうち、樹脂層と同一の樹脂成分の割合が低く、曲げ強度が大きく劣っており、層間の密着性も低下していることがわかる。
本発明によれば、各層間の密着性に優れ、かつ機械的強度がより高められた多層成形品を得ることができる。このように、本発明の多層成形品は、軽量でありながらも、層間の密着性と機械的強度に優れているため、航空機や車両などの構造材料や、電気機器の筐体部品等の様々な分野で好ましく用いられ、産業上の利用可能性が高い。
10 樹脂層
12 第1の繊維強化プラスチック層
14 第2の繊維強化プラスチック層

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、
    前記樹脂層の一方の面上に積層される第1の繊維強化プラスチック層を有する多層成形品であって、
    前記第1の繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂成分と強化繊維とを含む第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することで得られた層であり、
    前記第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であり、
    前記第1の繊維強化プラスチック層の厚みが、前記樹脂層の厚みよりも薄いことを特徴とする多層成形品。
  2. 前記第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも40質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であることを特徴とする請求項1に記載の多層成形品。
  3. 前記樹脂層の一方の面上であって、前記第1の繊維強化プラスチック層が積層された面とは反対側の面に積層される第2の繊維強化プラスチック層をさらに有し、
    前記第2の繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂成分と強化繊維とを含む第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することで得られた層であり、
    前記第2の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層成形品。
  4. 前記第2の繊維強化プラスチック層に含まれる熱可塑性樹脂繊維のうち少なくとも40質量%以上が、前記樹脂層のマトリックス樹脂成分と同一の樹脂成分であることを特徴とする請求項3に記載の多層成形品。
  5. 前記熱可塑性樹脂はポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド及びそれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多層成形品。
  6. 前記強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多層成形品。
  7. (A)強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維とを混合し、乾式又は湿式抄紙法によって第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程と、
    (B)前記第1の繊維強化プラスチック成形体用シートを、前記熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形し、第1の繊維強化プラスチック層を成形する工程と、
    (C)前記第1の繊維強化プラスチック層と樹脂層を熱プレス法によって貼合する工程を含み、
    前記第1の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であり、
    前記第1の繊維強化プラスチック層の厚みが、前記樹脂層の厚みよりも薄いことを特徴とする多層成形品の製造方法。
  8. (D)強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維を混合し、乾式又は湿式抄紙法によって第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する工程と、
    (E)前記第2の繊維強化プラスチック成形体用シートを、前記熱可塑性樹脂繊維を含むマトリックス樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形し、第2の繊維強化プラスチック層を成形する工程とをさらに含み、
    (F)前記第1の繊維強化プラスチック層と、前記樹脂層と、前記第2の繊維強化プラスチック層をこの順に積層して熱プレス法によって貼合する工程を含み、
    前記第2の繊維強化プラスチック層に含まれるマトリックス樹脂成分のうち少なくとも15質量%以上が、前記樹脂層の熱可塑性樹脂と同一の樹脂成分であることを特徴とする請求項に記載の多層成形品の製造方法。
  9. 請求項又はに記載の製造方法によって製造される多層成形品。
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